血管弾性モニタリング装置
【課題】医療現場で使いやすい血管弾性モニタリング装置を提供する。
【解決手段】血管弾性モニタリング装置1は、生体のプレチスモグラムを測定するプレチスモグラム測定器2と、生体の最高血圧及び最低血圧を測定する自動血圧計3と、プレチスモグラム測定器2によって測定されたプレチスモグラムと、自動血圧計3によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、生体の血管壁の剛性及び粘性を推定する血管壁インピーダンス推定器4とを備える。
【解決手段】血管弾性モニタリング装置1は、生体のプレチスモグラムを測定するプレチスモグラム測定器2と、生体の最高血圧及び最低血圧を測定する自動血圧計3と、プレチスモグラム測定器2によって測定されたプレチスモグラムと、自動血圧計3によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、生体の血管壁の剛性及び粘性を推定する血管壁インピーダンス推定器4とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムに基づいて、生体の血管壁の剛性及び粘性を推定する血管弾性モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管は、刺激に応じて、その直径が小さくなって収縮したり、直径が大きくなって弛緩したりして、状態が変化する。この状態変化を示したものがプレチスモグラムである。図12は、血管の状態変化を説明するための図である。このような血管の力学特性を解析することにより、例えば手術中の診断を支援することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図13は、血管壁インピーダンスを説明するための図である。血管壁の機械インピーダンスは、血管壁の半径方向に沿って加わる応力と、血管壁の歪とに基づいて、血管壁の慣性M、粘性B及び剛性Kによって表される。
【0004】
図14は、従来の血管弾性モニタリング装置の構成を説明するための模式図である。従来の血管弾性モニタリング装置は、人体の一方の腕の指先のプレチスモグラムPl(t)を測定するプレチスモグラム測定器を備えている。プレチスモグラム測定器の一例として、指先の血管に赤外線を照射する発光素子と、血管を透過した赤外線を受光する受光素子とを含んでいるものがある。発光素子から血管に照射された赤外線は、血管によってその一部が吸収され、残りの赤外線は、受光素子に入射する。このため、受光素子に入射した赤外線の量に基づいて、血管を流れる血液の量の変動、及び血管の容積(半径)の変動が分かる。プレチスモグラム測定の他の例としては、腕や指など人体の外周囲の長さの変化を基に、血管を流れる血液の量の変動、及び血管の容積(半径)の変動を測定するものもある。
【0005】
血管弾性モニタリング装置には、カテーテルが設けられている。カテーテルは、プレチスモグラム測定器により赤外線が照射された指を有する腕の動脈血圧Pb(t)を測定する。
【0006】
図15は、血管壁インピーダンスモデルを説明するための模式図である。血管壁の機械インピーダンスを推定するためには、応力と歪とを計測する必要がある。血管(動脈)の内膜に作用する法線応力は、動脈血圧と等しいので、法線応力は、動脈血圧Pb(t)と等しい。血管壁の歪は、直接測定することは困難であるが、プレチスモグラムPl(t)によって表すことができる。よって、プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムPl(t)に基づいて血管壁の歪を求め、カテーテルによって測定された動脈血圧Pb(t)に基づいて血管壁の法線応力を求め、血管壁の粘性B及び剛性Kを推定することができる。
【0007】
図16は、血管壁の剛性K及び粘性Bを推定する従来のアルゴリズムを説明するための
模式図である。プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムPl(t)のある時刻t0からの変化量
dPl(t)=Pl(t)−Pl(t0)
を表す波形と、プレチスモグラムPl(t)を微分したプレチスモグラム速度のある一定時刻t0からの変化量を表す波形と、カテーテルによって測定された動脈血圧Pb(t)のある一定時刻t0からの変化量
dPl(t)=Pl(t)−Pl(t0)
を表す波形とを用い、図16に示す血管の力学モデルの式に基づいて最小二乗法でフィッティングを行うことにより、血管壁の剛性K及び粘性Bを推定する。
【特許文献1】特開2006−129958号公報(平成18年5月25日(2006.5.25)公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、動脈血圧の連続波形に基づいて、最小二乗法により血管壁の剛性及び粘性を推定する処理が複雑であり、医療現場で使い難いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、医療現場で使いやすい血管弾性モニタリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置は、上記課題を解決するために、生体のプレチスモグラムを測定するプレチスモグラム測定手段と、前記生体の最高血圧及び最低血圧を測定する血圧測定手段と、前記プレチスモグラム測定手段によって測定されたプレチスモグラムと、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、前記生体の血管壁の剛性を推定する血管壁インピーダンス推定手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記の特徴によれば、血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、前記生体の血管壁の剛性及び粘性を推定するので、汎用的な自動血圧計を使用して、血管壁の剛性及び粘性を推定することができる。このため、医療現場で使いやすい血管弾性モニタリング装置を提供することができる。
【0012】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記プレチスモグラム測定手段は、前記生体の血管に光線を照射する発光素子と、前記血管を透過した光線を受光する受光素子とを含むことが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、簡単な構成により生体のプレチスモグラムを測定することができる。
【0014】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記プレチスモグラム測定手段は、人体の指先のプレチスモグラムを測定することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、人体のプレチスモグラムを容易に測定することができる。
【0016】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記プレチスモグラム測定手段は、人体の一方の腕の指先のプレチスモグラムを測定し、前記血圧測定手段は、前記一方の腕の最高血圧及び最低血圧を測定することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、同一の腕から、プレチスモグラムを測定し、最高血圧及び最低血圧を測定するので、血管壁の剛性及び粘性精度を向上させることができる。
【0018】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記プレチスモグラムから取得した血管径の最大伸長比率及び最大収縮比率と、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて前記生体の血管壁の剛性を推定することが好ましい。
【0019】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管径の最大伸長比率及び最大収縮比率より得られる血管径の変動比率と、前記血圧測定手段によって測定された血圧の変動幅との比率に基づいて前記生体の血管壁の剛性を推定することが好ましい。
【0020】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管壁の粘性を推定する場合は、前記プレチスモグラムの微分値を利用することが好ましい。
【0021】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管壁の粘性を推定する場合は、前記プレチスモグラムより得られる血管径の変動速度を利用することが好ましい。
【0022】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記プレチスモグラム測定手段と前記血圧測定手段とは、心臓の鼓動一拍単位内での測定を行い、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記一拍単位で前記生体の血管壁の剛性及び粘性を推定することが好ましい。
【0023】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記光線は、赤外線であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置は、以上のように、前記生体の最高血圧及び最低血圧を測定する血圧測定手段と、前記プレチスモグラム測定手段によって測定されたプレチスモグラムと、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、前記生体の血管壁の剛性を推定する血管壁インピーダンス推定手段とを備えているので、医療現場で使いやすい血管弾性モニタリング装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の一実施形態について図1ないし図11に基づいて説明すると以下の通りである。図1は、実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置1の構成を模式的に示すブロック図である。
【0026】
血管弾性モニタリング装置1は、プレチスモグラム測定器2を備えている。プレチスモグラム測定器2は、人体の一方の腕の指先のプレチスモグラムを測定する。
【0027】
図2は、プレチスモグラム測定器2の構成を模式的に示す回路図である。プレチスモグラム測定器2は、指先7の血管に赤外線を照射する発光素子5と、この血管を透過した赤外線を受光する受光素子6とを含んでいる。発光素子5はLEDによって構成されており、受光素子6はフォトダイオードによって構成されている。発光素子5から血管に照射された赤外線は、血管によってその一部が吸収され、残りの赤外線は、受光素子6に入射する。このため、受光素子6に入射した赤外線の量に基づいて、血管を流れる血液の量の変動、及び血管の容積(半径)の変動が分かる。
【0028】
血管に赤外線を照射する例を示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、超音波またはレーザを照射するように構成してもよい。また、指先に照射する例を示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、足先または耳たぶに照射するように構成してもよい。また、ストレンゲージプレチスモグラフィーによってプレチスモグラム測定器2を構成してもよい。
【0029】
血管弾性モニタリング装置1には、自動血圧計3が設けられている。自動血圧計3は、人体の一方の腕の最高血圧及び最低血圧を測定する。自動血圧計3は、市販の汎用的な自動血圧計によって構成することができる。なお、本実施の形態では、自動血圧計を使用する例を示すが、本発明はこれに限定されない。例えば、カテーテルによって血圧測定手段を構成してもよい。
【0030】
血管弾性モニタリング装置1は、血管壁インピーダンス推定器4を備えている。血管壁インピーダンス推定器4は、プレチスモグラム測定器2によって測定された指先のプレチスモグラムと、自動血圧計3によって測定された腕の最高血圧及び最低血圧とに基づいて、人体の血管壁の剛性及び粘性を推定する。
【0031】
図3は血管壁インピーダンス推定器4によって推定される血管壁の剛性を説明するためのグラフであり、図4はプレチスモグラム測定器2によって測定されたプレチスモグラムPl[%]を示すグラフであり、図5は自動血圧計3によって測定された最高血圧Pbmax及び最低血圧Pbminを示すグラフである。
【0032】
図4における横軸は時間を示し、縦軸はプレチスモグラムPl[%]を示している。プレチスモグラムPl[%]は、心臓の心拍に応じて周期的に変動する。血管壁インピーダンス推定器4は、心臓の心拍ごとに血管壁の剛性及び粘性を推定する。
【0033】
図5における横軸は時間を示し、縦軸は動脈血圧Pb[mmHg]を示している。動脈血圧Pb[mmHg]も心臓の心拍に応じて周期的に変動し、自動血圧計3は、1周期中の最高血圧Pbmaxと最低血圧Pbminとを計測する。
【0034】
図3における横軸はプレチスモグラムPl[%]を示し、縦軸は動脈血圧Pb[mmHg]を示している。図3には、動脈血圧PbとプレチスモグラムPlとのリサージュ波形が示されている。
【0035】
血管壁の剛性は、血管径の変動に対する血圧の変動量の割合を表していることから、図3に示すように、プレチスモグラムPlと、動脈血圧Pbの最低血圧Pbminと最高血圧Pbmaxとを結ぶ直線の傾きで近似する。
【0036】
図6は血管壁インピーダンス推定器4によって推定される血管壁の粘性を説明するためのグラフであり、図7はプレチスモグラム測定器2によって測定された図4に示すプレチスモグラムを微分したプレチスモグラム速度を示すグラフである。
【0037】
血管壁の粘性は、血管径の速度の変動に対する血圧の変動量の割合を表していることから、図6に示すように、プレチスモグラム速度と、動脈血圧Pbの最低血圧Pbminと最高血圧Pbmaxとを結ぶ直線の傾きで近似する。
【0038】
このようにして、一心拍ごとに推定を繰り返すことにより、血管の状態変化を捉えることが可能となる。
【0039】
このように、最低血圧Pbminと最高血圧Pbmaxとのみによって血管壁の剛性及び粘性を推定することが出来るので、血圧の測定には自動血圧計を使用すれば足り、少ない計算量によって血管の状態変化を捉えることができる。
【0040】
本実施の形態において提案した推定アルゴリズムの推定精度の検証を試みた。胸部交感神経遮断術を行った患者(被験者A,B)について血管弾性モニタリング装置の血管壁インピーダンス推定実験を行った。プレチスモグラム測定器とカテーテルとから計測した連続動脈血圧を用いた従来手法に加え、プレチスモグラム測定器と自動血圧計とから計測した最高・最低血圧を用いた本実施の形態に係る手法による推定を行った。プレチスモグラムと動脈血圧の測定にはベッドサイドモニタBSS−9800(日本光電工業株式会社)を用いて計測し、パーソナルコンピュータに記録した。
【0041】
胸部交感神経遮断術は、多汗症患者に対して行われる手術である。多汗症とは、胸部の背骨の横に連なっている交感神経の機能亢進により、手のひらや脇の下の発汗が通常の人よりも多い病気であり、同時に血管が収縮し、血液循環が悪い状態にある。この手術は、交感神経をクリップで遮断し、発汗を止めるために行われる。それに伴い血管が弛緩し、血管壁の剛性が下がることが知られている。
【0042】
血管弾性モニタリング装置の実験結果を図8及び図9に示す。図8に示すグラフは、交感神経遮断術の被験者Aの血管壁の剛性値及び粘性値を示しており、図9に示すグラフは、被験者Bの剛性値及び粘性値を示している。本実施の形態に係る推定方法による推定結果は、従来の方法による推定結果と精度良く一致していることが分かる。
【0043】
自動血圧計を利用した本実施の形態に係る推定方法を用いた血管壁インピーダンス推定を、肝切除患者(被験者C、被験者D)に対して試みた。血管弾性モニタリング装置の実験では心電図、プレチスモグラム、動脈血圧をベッドサイドモニタBSS−9800(日本光電工業株式会社)を用いて計測し、パーソナルコンピュータに記録した。繞骨動脈にカテーテルを挿入して動脈血圧を計測し、同側の指尖部よりプレチスモグラムを計測した。また、カテーテルを挿入した逆側の腕から自動血圧計を用いて動脈血圧を計測した。
【0044】
図10〜図11は、血管弾性モニタリング装置1によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示す実験結果のグラフである。図10は被験者Cについての血管弾性モニタリング装置の実験結果を示しており、図11は被験者Dについての血管弾性モニタリング装置の実験結果を示している。
【0045】
血管壁の粘性、剛性ともに、本実施の形態に係る推定方法による推定結果は、従来の方法による推定結果と精度良く一致する傾向が得られるとともに、両手法の推定結果に高い相関を確認することができた。従って、最高・最低血圧とプレチスモグラムを用いて血管粘弾性を推定する手法の有効性を確認することができた。
【0046】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムに基づいて、生体の血管壁の剛性及び粘性を推定する血管弾性モニタリング装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】上記血管弾性モニタリング装置に設けられたプレチスモグラム測定器の構成を模式的に示す回路図である。
【図3】上記血管弾性モニタリング装置に設けられた血管壁インピーダンス推定器によって推定される血管壁の剛性を説明するためのグラフである。
【図4】上記プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムを示すグラフである。
【図5】上記血管弾性モニタリング装置に設けられた自動血圧計によって測定された最高血圧及び最低血圧を示すグラフである。
【図6】上記血管壁インピーダンス推定器によって推定される血管壁の粘性を説明するためのグラフである。
【図7】上記プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムを微分したプレチスモグラム速度を示すグラフである。
【図8】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示す実験結果のグラフである。
【図9】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示す他の実験結果のグラフである。
【図10】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示すさらに他の実験結果のグラフである。
【図11】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示すさらに他の実験結果のグラフである。
【図12】血管の状態変化を説明するための図である。
【図13】血管壁インピーダンスを説明するための図である。
【図14】従来の血管弾性モニタリング装置の構成を説明するための模式図である。
【図15】血管壁インピーダンスモデルを説明するための模式図である。
【図16】血管壁の剛性及び粘性を推定する従来のアルゴリズムを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0049】
1 血管弾性モニタリング装置
2 プレチスモグラム測定器(プレチスモグラム測定手段)
3 自動血圧計(血圧測定手段)
4 血管壁インピーダンス推定器(血管壁インピーダンス推定手段)
5 発光素子
6 受光素子
7 指先
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムに基づいて、生体の血管壁の剛性及び粘性を推定する血管弾性モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管は、刺激に応じて、その直径が小さくなって収縮したり、直径が大きくなって弛緩したりして、状態が変化する。この状態変化を示したものがプレチスモグラムである。図12は、血管の状態変化を説明するための図である。このような血管の力学特性を解析することにより、例えば手術中の診断を支援することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図13は、血管壁インピーダンスを説明するための図である。血管壁の機械インピーダンスは、血管壁の半径方向に沿って加わる応力と、血管壁の歪とに基づいて、血管壁の慣性M、粘性B及び剛性Kによって表される。
【0004】
図14は、従来の血管弾性モニタリング装置の構成を説明するための模式図である。従来の血管弾性モニタリング装置は、人体の一方の腕の指先のプレチスモグラムPl(t)を測定するプレチスモグラム測定器を備えている。プレチスモグラム測定器の一例として、指先の血管に赤外線を照射する発光素子と、血管を透過した赤外線を受光する受光素子とを含んでいるものがある。発光素子から血管に照射された赤外線は、血管によってその一部が吸収され、残りの赤外線は、受光素子に入射する。このため、受光素子に入射した赤外線の量に基づいて、血管を流れる血液の量の変動、及び血管の容積(半径)の変動が分かる。プレチスモグラム測定の他の例としては、腕や指など人体の外周囲の長さの変化を基に、血管を流れる血液の量の変動、及び血管の容積(半径)の変動を測定するものもある。
【0005】
血管弾性モニタリング装置には、カテーテルが設けられている。カテーテルは、プレチスモグラム測定器により赤外線が照射された指を有する腕の動脈血圧Pb(t)を測定する。
【0006】
図15は、血管壁インピーダンスモデルを説明するための模式図である。血管壁の機械インピーダンスを推定するためには、応力と歪とを計測する必要がある。血管(動脈)の内膜に作用する法線応力は、動脈血圧と等しいので、法線応力は、動脈血圧Pb(t)と等しい。血管壁の歪は、直接測定することは困難であるが、プレチスモグラムPl(t)によって表すことができる。よって、プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムPl(t)に基づいて血管壁の歪を求め、カテーテルによって測定された動脈血圧Pb(t)に基づいて血管壁の法線応力を求め、血管壁の粘性B及び剛性Kを推定することができる。
【0007】
図16は、血管壁の剛性K及び粘性Bを推定する従来のアルゴリズムを説明するための
模式図である。プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムPl(t)のある時刻t0からの変化量
dPl(t)=Pl(t)−Pl(t0)
を表す波形と、プレチスモグラムPl(t)を微分したプレチスモグラム速度のある一定時刻t0からの変化量を表す波形と、カテーテルによって測定された動脈血圧Pb(t)のある一定時刻t0からの変化量
dPl(t)=Pl(t)−Pl(t0)
を表す波形とを用い、図16に示す血管の力学モデルの式に基づいて最小二乗法でフィッティングを行うことにより、血管壁の剛性K及び粘性Bを推定する。
【特許文献1】特開2006−129958号公報(平成18年5月25日(2006.5.25)公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、動脈血圧の連続波形に基づいて、最小二乗法により血管壁の剛性及び粘性を推定する処理が複雑であり、医療現場で使い難いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、医療現場で使いやすい血管弾性モニタリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置は、上記課題を解決するために、生体のプレチスモグラムを測定するプレチスモグラム測定手段と、前記生体の最高血圧及び最低血圧を測定する血圧測定手段と、前記プレチスモグラム測定手段によって測定されたプレチスモグラムと、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、前記生体の血管壁の剛性を推定する血管壁インピーダンス推定手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記の特徴によれば、血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、前記生体の血管壁の剛性及び粘性を推定するので、汎用的な自動血圧計を使用して、血管壁の剛性及び粘性を推定することができる。このため、医療現場で使いやすい血管弾性モニタリング装置を提供することができる。
【0012】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記プレチスモグラム測定手段は、前記生体の血管に光線を照射する発光素子と、前記血管を透過した光線を受光する受光素子とを含むことが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、簡単な構成により生体のプレチスモグラムを測定することができる。
【0014】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記プレチスモグラム測定手段は、人体の指先のプレチスモグラムを測定することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、人体のプレチスモグラムを容易に測定することができる。
【0016】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記プレチスモグラム測定手段は、人体の一方の腕の指先のプレチスモグラムを測定し、前記血圧測定手段は、前記一方の腕の最高血圧及び最低血圧を測定することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、同一の腕から、プレチスモグラムを測定し、最高血圧及び最低血圧を測定するので、血管壁の剛性及び粘性精度を向上させることができる。
【0018】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記プレチスモグラムから取得した血管径の最大伸長比率及び最大収縮比率と、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて前記生体の血管壁の剛性を推定することが好ましい。
【0019】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管径の最大伸長比率及び最大収縮比率より得られる血管径の変動比率と、前記血圧測定手段によって測定された血圧の変動幅との比率に基づいて前記生体の血管壁の剛性を推定することが好ましい。
【0020】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管壁の粘性を推定する場合は、前記プレチスモグラムの微分値を利用することが好ましい。
【0021】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管壁の粘性を推定する場合は、前記プレチスモグラムより得られる血管径の変動速度を利用することが好ましい。
【0022】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記プレチスモグラム測定手段と前記血圧測定手段とは、心臓の鼓動一拍単位内での測定を行い、前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記一拍単位で前記生体の血管壁の剛性及び粘性を推定することが好ましい。
【0023】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置では、前記光線は、赤外線であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る血管弾性モニタリング装置は、以上のように、前記生体の最高血圧及び最低血圧を測定する血圧測定手段と、前記プレチスモグラム測定手段によって測定されたプレチスモグラムと、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、前記生体の血管壁の剛性を推定する血管壁インピーダンス推定手段とを備えているので、医療現場で使いやすい血管弾性モニタリング装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の一実施形態について図1ないし図11に基づいて説明すると以下の通りである。図1は、実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置1の構成を模式的に示すブロック図である。
【0026】
血管弾性モニタリング装置1は、プレチスモグラム測定器2を備えている。プレチスモグラム測定器2は、人体の一方の腕の指先のプレチスモグラムを測定する。
【0027】
図2は、プレチスモグラム測定器2の構成を模式的に示す回路図である。プレチスモグラム測定器2は、指先7の血管に赤外線を照射する発光素子5と、この血管を透過した赤外線を受光する受光素子6とを含んでいる。発光素子5はLEDによって構成されており、受光素子6はフォトダイオードによって構成されている。発光素子5から血管に照射された赤外線は、血管によってその一部が吸収され、残りの赤外線は、受光素子6に入射する。このため、受光素子6に入射した赤外線の量に基づいて、血管を流れる血液の量の変動、及び血管の容積(半径)の変動が分かる。
【0028】
血管に赤外線を照射する例を示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、超音波またはレーザを照射するように構成してもよい。また、指先に照射する例を示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、足先または耳たぶに照射するように構成してもよい。また、ストレンゲージプレチスモグラフィーによってプレチスモグラム測定器2を構成してもよい。
【0029】
血管弾性モニタリング装置1には、自動血圧計3が設けられている。自動血圧計3は、人体の一方の腕の最高血圧及び最低血圧を測定する。自動血圧計3は、市販の汎用的な自動血圧計によって構成することができる。なお、本実施の形態では、自動血圧計を使用する例を示すが、本発明はこれに限定されない。例えば、カテーテルによって血圧測定手段を構成してもよい。
【0030】
血管弾性モニタリング装置1は、血管壁インピーダンス推定器4を備えている。血管壁インピーダンス推定器4は、プレチスモグラム測定器2によって測定された指先のプレチスモグラムと、自動血圧計3によって測定された腕の最高血圧及び最低血圧とに基づいて、人体の血管壁の剛性及び粘性を推定する。
【0031】
図3は血管壁インピーダンス推定器4によって推定される血管壁の剛性を説明するためのグラフであり、図4はプレチスモグラム測定器2によって測定されたプレチスモグラムPl[%]を示すグラフであり、図5は自動血圧計3によって測定された最高血圧Pbmax及び最低血圧Pbminを示すグラフである。
【0032】
図4における横軸は時間を示し、縦軸はプレチスモグラムPl[%]を示している。プレチスモグラムPl[%]は、心臓の心拍に応じて周期的に変動する。血管壁インピーダンス推定器4は、心臓の心拍ごとに血管壁の剛性及び粘性を推定する。
【0033】
図5における横軸は時間を示し、縦軸は動脈血圧Pb[mmHg]を示している。動脈血圧Pb[mmHg]も心臓の心拍に応じて周期的に変動し、自動血圧計3は、1周期中の最高血圧Pbmaxと最低血圧Pbminとを計測する。
【0034】
図3における横軸はプレチスモグラムPl[%]を示し、縦軸は動脈血圧Pb[mmHg]を示している。図3には、動脈血圧PbとプレチスモグラムPlとのリサージュ波形が示されている。
【0035】
血管壁の剛性は、血管径の変動に対する血圧の変動量の割合を表していることから、図3に示すように、プレチスモグラムPlと、動脈血圧Pbの最低血圧Pbminと最高血圧Pbmaxとを結ぶ直線の傾きで近似する。
【0036】
図6は血管壁インピーダンス推定器4によって推定される血管壁の粘性を説明するためのグラフであり、図7はプレチスモグラム測定器2によって測定された図4に示すプレチスモグラムを微分したプレチスモグラム速度を示すグラフである。
【0037】
血管壁の粘性は、血管径の速度の変動に対する血圧の変動量の割合を表していることから、図6に示すように、プレチスモグラム速度と、動脈血圧Pbの最低血圧Pbminと最高血圧Pbmaxとを結ぶ直線の傾きで近似する。
【0038】
このようにして、一心拍ごとに推定を繰り返すことにより、血管の状態変化を捉えることが可能となる。
【0039】
このように、最低血圧Pbminと最高血圧Pbmaxとのみによって血管壁の剛性及び粘性を推定することが出来るので、血圧の測定には自動血圧計を使用すれば足り、少ない計算量によって血管の状態変化を捉えることができる。
【0040】
本実施の形態において提案した推定アルゴリズムの推定精度の検証を試みた。胸部交感神経遮断術を行った患者(被験者A,B)について血管弾性モニタリング装置の血管壁インピーダンス推定実験を行った。プレチスモグラム測定器とカテーテルとから計測した連続動脈血圧を用いた従来手法に加え、プレチスモグラム測定器と自動血圧計とから計測した最高・最低血圧を用いた本実施の形態に係る手法による推定を行った。プレチスモグラムと動脈血圧の測定にはベッドサイドモニタBSS−9800(日本光電工業株式会社)を用いて計測し、パーソナルコンピュータに記録した。
【0041】
胸部交感神経遮断術は、多汗症患者に対して行われる手術である。多汗症とは、胸部の背骨の横に連なっている交感神経の機能亢進により、手のひらや脇の下の発汗が通常の人よりも多い病気であり、同時に血管が収縮し、血液循環が悪い状態にある。この手術は、交感神経をクリップで遮断し、発汗を止めるために行われる。それに伴い血管が弛緩し、血管壁の剛性が下がることが知られている。
【0042】
血管弾性モニタリング装置の実験結果を図8及び図9に示す。図8に示すグラフは、交感神経遮断術の被験者Aの血管壁の剛性値及び粘性値を示しており、図9に示すグラフは、被験者Bの剛性値及び粘性値を示している。本実施の形態に係る推定方法による推定結果は、従来の方法による推定結果と精度良く一致していることが分かる。
【0043】
自動血圧計を利用した本実施の形態に係る推定方法を用いた血管壁インピーダンス推定を、肝切除患者(被験者C、被験者D)に対して試みた。血管弾性モニタリング装置の実験では心電図、プレチスモグラム、動脈血圧をベッドサイドモニタBSS−9800(日本光電工業株式会社)を用いて計測し、パーソナルコンピュータに記録した。繞骨動脈にカテーテルを挿入して動脈血圧を計測し、同側の指尖部よりプレチスモグラムを計測した。また、カテーテルを挿入した逆側の腕から自動血圧計を用いて動脈血圧を計測した。
【0044】
図10〜図11は、血管弾性モニタリング装置1によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示す実験結果のグラフである。図10は被験者Cについての血管弾性モニタリング装置の実験結果を示しており、図11は被験者Dについての血管弾性モニタリング装置の実験結果を示している。
【0045】
血管壁の粘性、剛性ともに、本実施の形態に係る推定方法による推定結果は、従来の方法による推定結果と精度良く一致する傾向が得られるとともに、両手法の推定結果に高い相関を確認することができた。従って、最高・最低血圧とプレチスモグラムを用いて血管粘弾性を推定する手法の有効性を確認することができた。
【0046】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムに基づいて、生体の血管壁の剛性及び粘性を推定する血管弾性モニタリング装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】上記血管弾性モニタリング装置に設けられたプレチスモグラム測定器の構成を模式的に示す回路図である。
【図3】上記血管弾性モニタリング装置に設けられた血管壁インピーダンス推定器によって推定される血管壁の剛性を説明するためのグラフである。
【図4】上記プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムを示すグラフである。
【図5】上記血管弾性モニタリング装置に設けられた自動血圧計によって測定された最高血圧及び最低血圧を示すグラフである。
【図6】上記血管壁インピーダンス推定器によって推定される血管壁の粘性を説明するためのグラフである。
【図7】上記プレチスモグラム測定器によって測定されたプレチスモグラムを微分したプレチスモグラム速度を示すグラフである。
【図8】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示す実験結果のグラフである。
【図9】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示す他の実験結果のグラフである。
【図10】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示すさらに他の実験結果のグラフである。
【図11】実施の形態に係る血管弾性モニタリング装置によって推定された血管壁の剛性及び粘性と、従来の方法によって推定された血管壁の剛性及び粘性とを示すさらに他の実験結果のグラフである。
【図12】血管の状態変化を説明するための図である。
【図13】血管壁インピーダンスを説明するための図である。
【図14】従来の血管弾性モニタリング装置の構成を説明するための模式図である。
【図15】血管壁インピーダンスモデルを説明するための模式図である。
【図16】血管壁の剛性及び粘性を推定する従来のアルゴリズムを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0049】
1 血管弾性モニタリング装置
2 プレチスモグラム測定器(プレチスモグラム測定手段)
3 自動血圧計(血圧測定手段)
4 血管壁インピーダンス推定器(血管壁インピーダンス推定手段)
5 発光素子
6 受光素子
7 指先
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体のプレチスモグラムを測定するプレチスモグラム測定手段と、
前記生体の最高血圧及び最低血圧を測定する血圧測定手段と、
前記プレチスモグラム測定手段によって測定されたプレチスモグラムと、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、前記生体の血管壁の剛性を推定する血管壁インピーダンス推定手段とを備えたことを特徴とする血管弾性モニタリング装置。
【請求項2】
前記プレチスモグラム測定手段は、前記生体の血管に光線を照射する発光素子と、
前記血管を透過した光線を受光する受光素子とを含む請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項3】
前記プレチスモグラム測定手段は、人体の指先のプレチスモグラムを測定する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項4】
前記プレチスモグラム測定手段は、人体の一方の腕の指先のプレチスモグラムを測定し、
前記血圧測定手段は、前記一方の腕の最高血圧及び最低血圧を測定する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項5】
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記プレチスモグラムから取得した血管径の最大伸長比率及び最大収縮比率と、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて前記生体の血管壁の剛性を推定する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項6】
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管径の最大伸長比率及び最大収縮比率より得られる血管径の変動比率と、前記血圧測定手段によって測定された血圧の変動幅との比率に基づいて前記生体の血管壁の剛性を推定する請求項5記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項7】
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管壁の粘性を推定する場合は、前記プレチスモグラムの微分値を利用する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項8】
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管壁の粘性を推定する場合は、前記プレチスモグラムより得られる血管径の変動速度を利用する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項9】
前記プレチスモグラム測定手段と前記血圧測定手段とは、心臓の鼓動一拍単位内での測定を行い、
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記一拍単位で前記生体の血管壁の剛性を推定する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項10】
前記光線は、赤外線である請求項2記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項1】
生体のプレチスモグラムを測定するプレチスモグラム測定手段と、
前記生体の最高血圧及び最低血圧を測定する血圧測定手段と、
前記プレチスモグラム測定手段によって測定されたプレチスモグラムと、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて、前記生体の血管壁の剛性を推定する血管壁インピーダンス推定手段とを備えたことを特徴とする血管弾性モニタリング装置。
【請求項2】
前記プレチスモグラム測定手段は、前記生体の血管に光線を照射する発光素子と、
前記血管を透過した光線を受光する受光素子とを含む請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項3】
前記プレチスモグラム測定手段は、人体の指先のプレチスモグラムを測定する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項4】
前記プレチスモグラム測定手段は、人体の一方の腕の指先のプレチスモグラムを測定し、
前記血圧測定手段は、前記一方の腕の最高血圧及び最低血圧を測定する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項5】
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記プレチスモグラムから取得した血管径の最大伸長比率及び最大収縮比率と、前記血圧測定手段によって測定された最高血圧及び最低血圧とに基づいて前記生体の血管壁の剛性を推定する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項6】
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管径の最大伸長比率及び最大収縮比率より得られる血管径の変動比率と、前記血圧測定手段によって測定された血圧の変動幅との比率に基づいて前記生体の血管壁の剛性を推定する請求項5記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項7】
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管壁の粘性を推定する場合は、前記プレチスモグラムの微分値を利用する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項8】
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記血管壁の粘性を推定する場合は、前記プレチスモグラムより得られる血管径の変動速度を利用する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項9】
前記プレチスモグラム測定手段と前記血圧測定手段とは、心臓の鼓動一拍単位内での測定を行い、
前記血管壁インピーダンス推定手段は、前記一拍単位で前記生体の血管壁の剛性を推定する請求項1記載の血管弾性モニタリング装置。
【請求項10】
前記光線は、赤外線である請求項2記載の血管弾性モニタリング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−61910(P2008−61910A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244874(P2006−244874)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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