説明

血管形成およびヘリコバクター−ピロリを予防および阻害し、様々な健康利益をもたらす強力な抗酸化物質として作用する、方法およびアントシアニンを多量に含むベリー抽出物の組成物

血管形成およびヘリコバクター-ピロリを予防または阻害する方法および組成物、ならびに非常に多くの健康利益をもたらす強力な抗酸化物質を提供する方法および組成物。前記の方法は、特定の食用ベリー抽出物を含む組成物を投与する段階を含み、この組成物は特定の食用ベリー抽出物からなる。前記の方法および関連する組成物は、血管形成を誘発する増殖因子の放出を効果的に阻害する、ヘリコバクター-ピロリの増殖を阻害または予防する、ならびに高い酸素ラジカル吸収容量(ORAL)および低い細胞障害性を有する強力な抗酸化物質として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、一般的に、ヒトに様々な健康利益をもたらす方法および関連する組成物に関し、より詳細には、血管形成およびヘリコバクター-ピロリ(Helicobacter pylori)を予防または阻害し、様々な健康利益をもたらす強力な抗酸化物質として作用する、方法およびアントシアニンを多量に含むベリー抽出物の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血管形成は、ヒトにおける血管の形成に関する用語である。通常、血管形成は、ヒトでは、損傷部分に血液を送るための創傷治癒プロセスの一部として起こる。しかしながら、血管形成は体内の腫瘍によって促進されることもある。血管形成は、腫瘍増殖および癌転移に関連する重要な事象である。腫瘍は、腫瘍に血液を供給するために、血管を成長させる多量の増殖因子(例えば、血管内皮増殖因子(VEGF))を産生する。VEGFは腫瘍の血管新生に極めて重要な役割を果たしている。VEGFが放出されると、腫瘍が増殖し、癌細胞がヒトの循環系に流出すると予想される。特に、最近の証拠はVEGFが主要な皮膚血管形成因子であると示唆している。腫瘍は、内皮細胞の増殖および移動を刺激する多量のVEGFを産生し、それにより、パラクリン機構によって腫瘍血管新生を誘導する。腫瘍血管の内皮細胞はVEGF受容体を多量に発現している。VEGFの発現は、サイトカインおよび腫瘍部位に存在するオキシダントを含む多くの刺激によって様々な細胞タイプにおいて誘導することができる。
【0003】
腫瘍形成と血管形成の関係の結果として、癌を予防および治療する抗血管形成法が関心のある研究分野になってきている。これらの抗血管形成法は、一般的に、2つのアプローチに分かれる。
【0004】
1つのアプローチは、腫瘍血管形成を効率的に制限するように働く特定の医薬品に焦点を当てている。これらの医薬品は、新たな血管成長を止めて腫瘍への血液供給を遮断するのに用いられる。一般的に、患者には、腫瘍により放出される増殖因子の効果を打ち消す血管形成阻害剤が与えられる。これらの治療は、患者の腫瘍増殖の阻害に比較的成功していることが示されている。しかしながら、これらの医薬品療法は完全な成功を収めてはおらず、望ましくない副作用を患者において引き起こすことがある。これらの療法はまた、正しく処方または投与されなければ、害を及ぼすことがある。
【0005】
血管形成を制限する他の方法は、食物をベースとした、医薬品でない栄養組成物の使用に焦点を当てている。これらのアプローチは非常に多くの利点をもたらす。医薬品を使用しない方法および治療は、一般的に、副作用が少なく、通常、長期間行うことができ、多くの人に受け入れられる。植物をベースとする食物の摂取は、広範囲にわたる新血管新生に関連する腫瘍の発生および進行の予防に役立つ可能性があることが示されているが、この方法の基礎をなす機構は依然としてはっきりしていない。どの場合でも、以前の研究から、癌に関連する事象の中には、食事を変えることによって予防できるものもあることが示唆されている。
【0006】
食事療法のアプローチに関して、多くの研究において食用植物生成物の抗血管形成性が以前に報告されている。フラボノイド、硫酸化炭水化物、またはテルペノイドが、植物生成物の活性のある抗血管形成成分であると考えられてきた。緑茶などの植物抽出物から得られるカテキンおよびポリフェノールは強力な抗癌活性を示す。同様に、天然のフラボノイド抗酸化物質は、いくつかの上皮癌に対して抗癌作用を示す。フラボノイドは、慢性疾患(固形腫瘍を含む)に対する、植物をベースとする食物の予防作用に寄与する可能性があることが提案されている。ある特定の植物生成物に抗血管形成性がある可能性があることは一般に認められているが、基礎をなす機構は十分に特徴付けられていない。結果として、医薬品を使用しない有効な血管形成治療は、現在、存在しない。従って、ヒトの血管形成を予防または阻害する、医薬品を使用しない方法または組成物が必要とされることは理解されるはずである。
【0007】
ヘリコバクター-ピロリ(H.pylori)は、現在、重要なヒトの病原体および発癌物質であると認識されている。世界保健機関は、発癌物質であるヘリコバクター-ピロリに感染すると胃癌およびリンパ腫になりやすくなると発表している。世界人口および米国人口の50%がH.ピロリに感染していると概算されている。慢性胃炎、胃炎症性疾患、消化性潰瘍性疾患、および胃癌を含む様々な胃腸管疾患がH.ピロリ感染と関連付けられている。
【0008】
酸素フリーラジカルおよび酸化ストレスは、いくつかの胃腸管疾患に結び付けられている。これらは、腸の虚血および再灌流後の、ならびに出血性ショック後の胃腸管損傷の発生に重要であるように思われる。これらはまた、虚血-再灌流による肝臓損傷にも結び付けられている。胃腸管炎症性疾患(例えば、急性膵炎)および炎症性腸疾患において、酸化ストレスおよび酸素フリーラジカルは重要な役割を果たすことが示されている。最後に、胃腸管による異物代謝の間にフリーラジカルの生成が増大し、これが腸疾患につながる可能性があることも証明されている。
【0009】
活動性十二指腸潰瘍患者からの十二指腸生検材料ではフリーラジカル濃度が高いことが証明されている。試料が同等の巨視的損傷または微視的損傷によって分類された時、H.ピロリ陽性組織の化学ルミネセンスは陰性組織と比較して大きいことが研究から分かっている。この違いはH.ピロリ陽性粘膜への好中球浸潤の増大によってある程度説明されているが、同等の好中球浸潤を示す生検試料と直接比較した時、H.ピロリ陽性試料の化学ルミネセンスは陰性組織試料より大きい。H.ピロリとは無関係の症例での胃粘膜損傷の発生におけるフリーラジカルの役割は、はっきりしていない。従って、フリーラジカルの生成はH.ピロリ陽性洞感染と関連し、重要な発病機構であるかもしれない。H.ピロリにより誘導される十二指腸潰瘍形成ではフリーラジカルの生成が上昇することも研究から証明されている。興味深いことに、H2受容体拮抗薬であり、広く用いられている胃保護薬であるシメチジンは強力なヒドロキシルラジカルスカベンジャーであり、これは、フリーラジカルの生成がH.ピロリの発病機構の重要な部分である可能性があることをさらに示唆している。
【0010】
様々なH.ピロリ株とのインキュベーション後に、ヒト胃粘膜細胞ではフリーラジカルの生成が増大し(これはスーパーオキシドアニオンおよびヒドロキシルラジカルの生成の上昇により証明された)、胃組織では脂質過酸化およびDNA損傷が増大することが最近の研究から証明されている。病原性H.ピロリ株に対する強力な抗酸化物質ガルシノール(garcinol)の殺菌作用も示されている。
【0011】
アモキシシリン、テトラサイクリン、メトロニダゾール、クラリスロマイシン、およびビスマス塩を含む多くの抗菌剤がH.ピロリに対する活性を有するが、どの抗菌剤も単独の薬剤として治療効果があると証明されていない。一般的に、H.ピロリ感染の治療法は、1〜2週間の1種類または2種類の有効な抗菌剤と次サリチル酸ビスマスまたはプロトンポンプ阻害剤(ランソプラゾール、オメプラゾール、エソメトラザン(esometrazan)、もしくはラベラプラゾールナトリウム)からなる。使用する療法に応じて、このような治療は成人において61%〜94%の根絶率をもたらす。抗菌治療は一部の個体で無効であるだけでなく、費用もかかり、下痢および薬物アレルギーなどの有害な副作用を引き起こすこともある。
【0012】
さらに、抗菌治療を使用する個体は、一般的に、抗生物質に対する耐性を徐々に増大させる。抗生物質耐性は、H.ピロリを含む多くの感染症の治療にとって大きな脅威である。H.ピロリ株により引き起こされる感染症の治療に用いられるクラリスロマイシンに対して、この病原体は耐性を増していることが最近の研究から分かっている。小児からのH.ピロリ分離株のクラリスロマイシン耐性率は成人より高い(恐らく、気道感染治療のためのマクロライドに対する小児の暴露増大のせいである)。従って、H.ピロリ感染の治療のために、抗生物質療法の代わりとなるものが求められている。従って、抗生物質療法の使用に通常関連する問題および副作用の無い、ヘリコバクター-ピロリ感染を効果的に阻害または予防する方法または組成物が必要とされている。
【0013】
過去20年間、様々な果実および野菜に存在するアントシアニンの多様な健康利益および保護効果も多くの研究によって調べられてきた。アントシアニンは、色をつけ、天然の抗酸化物質として働く、ベリーおよびその抽出物の一般的な成分である。アントシアニンはまた抗炎症剤および抗変異原性剤として働き、血管透過性を維持することによって心臓を保護するとも考えられている。アントシアニンを多量に含むベリーで栄養を補うことは加齢による酸化ストレスを低下させるのに有効であり、年齢に関連したニューロン変化および行動変化を逆転させるのに有益であることが研究から分かっている。さらに、アントシアニンを6〜8週間補給すると、抗酸化状態を改善することによって年齢に関連したニューロン機能および認知機能の低下を遅らせることが分かっている。アントシアニンがもたらす多様な健康利益は、抗酸化保護をもたらし、DNAの完全性を維持する能力によるものであることが研究によって示唆されている。
【0014】
食用ベリーはまた、広範囲の重要な治療特性および化学的予防特性を有することも示されている。ベリーに見られるアントシアニンは加齢により誘導される酸化ストレスを低下させ、抗酸化状態を促進することによってニューロン機能および認知機能を助けることが研究によって示唆されている。アントシアニンはまた抗炎症剤および抗変異原性剤として作用し、血管透過性を維持することによって心臓を保護するとも考えられている。様々な食用ベリーが様々な特定の利益(利益の一部として心血管保護、神経保護、尿路保護、および眼の保護が挙げられる)ならびに抗酸化性、抗糖尿病性、および老化防止性を示している。様々なベリーによってもたらされる様々な利益は少なくとも大部分は、強力な抗酸化物質として作用する能力によるものであると考えられている。食用ベリーに含まれる様々な抗酸化物質のそれぞれが、前記の特定の利益の1つまたはそれ以上をもたらすと考えられている。抗酸化物質は、果実および野菜に関連する広範囲の利益を提供することに大きな役割を果たしていると考えられているので、優れた抗酸化保護および最小限の細胞傷害性をもたらす方法または組成物を提供することは極めて望ましい。
【0015】
特定の利益のいくらかの知識にもかかわらず、果実および野菜を使用して、血管形成およびヘリコバクター-ピロリを予防または阻害する満足のゆく治療も組成物も得られず、細胞傷害性が低いながらも優れた抗酸化保護をもたらす治療も組成物も得られなかった。従って、血管形成およびヘリコバクター-ピロリを安全かつ効果的に予防または阻害する方法および組成物、ならびに非常に多くの健康利益をもたらす強力な抗酸化物質として作用する方法および組成物が必要とされていることは理解されるはずである。本発明はこれらの必要を満たし、さらに関連する利益を提供する。
【発明の開示】
【0016】
発明の概要
本発明は、血管形成およびヘリコバクター-ピロリを予防または阻害する方法および組成物、ならびに非常に多くの健康利益をもたらす強力な抗酸化物質として作用する方法および組成物にある。この方法は、血管形成およびヘリコバクター-ピロリを予防または阻害し、非常に多くの健康利益をもたらす強力な抗酸化物質として作用する特定のベリー抽出物を含む組成物の投与を含む。この組成物は、血管形成およびヘリコバクター-ピロリを予防または阻害し、非常に多くの健康利益をもたらす強力な抗酸化物質として作用する、特定のベリー抽出物の組み合わせである。
【0017】
前記の方法および関連する組成物は、細胞傷害性が非常に低いながらも、血管形成を誘発する増殖因子の放出の阻害に有効であり、ヘリコバクター-ピロリの阻害に有効であり、フリーラジカルに対して優れた保護をもたらす強力な抗酸化物質を提供することに有効である。特に、ベリー抽出物の特定の新規の組み合わせは、血管形成およびヘリコバクター-ピロリを予防または阻害し、ブドウ種子プロアントシアニジン抽出物(GSPE)または試験された他のベリー抽出物の組み合わせより有意に高い酸素ラジカル吸収容量(oxygen radical absorbance capacity: ORAC)値を有することが見出された。さらに、乳酸脱水素酵素(LDH)漏出能力(細胞生存)によって測定された組成物の細胞傷害性から、本発明の組成物の細胞傷害性は、試験された等量のどの個々のベリー抽出物よりも低く、等量のGSPEより有意に低いことが分かった。
【0018】
さらに詳細に述べると、本発明の1つの局面において、本発明の方法は、血管形成に罹患しているヒトまたは血管形成に罹患するリスクのあるヒトを特定する段階、およびヒトの血管形成を予防または阻害する1種類を超えるベリー抽出物で作られる有効量の組成物をヒトに投与する段階を含む。
【0019】
本発明の方法のさらに詳細な局面において、本発明の組成物をヒトに投与すると、組成物が投与されたヒトにおいてVEGF発現量が低下する。
【0020】
本発明の別のさらに詳細な局面において、投与される組成物の有効量は、血管形成もしくはヘリコバクター-ピロリを予防もしくは阻害する任意の量、または優れた抗酸化保護をもたらす任意の量であり、一般的に、18mg/用量〜270mg/用量である。
【0021】
本発明の方法および組成物の別の異なる独立した局面において、組成物の細胞傷害性は0.5LDH単位/リットルより低い。
【0022】
本発明の方法および組成物の別の異なる独立した局面において、組成物のベリー抽出物は、ブルーベリー抽出物、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、ラズベリー抽出物、およびストロベリー抽出物からなる群より選択される。
【0023】
本発明の別の異なる独立した局面において、組成物は、約50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、約35重量%ストロベリー抽出物、約7.5重量%クランベリー抽出物、約2.5重量%ラズベリー種子抽出物、約2.5重量%エルダーベリー抽出物、および約2.5重量%ワイルドビルベリー抽出物である。
【0024】
本発明の別の異なる独立した局面において、組成物は、約50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、約25重量%ストロベリー抽出物、約12.5重量%ワイルドビルベリー抽出物、および約12.5重量%ラズベリー種子抽出物である。
【0025】
本発明の別の異なる独立した局面において、本発明の方法は、強力な抗酸化物質として作用する1種類を超えるベリー抽出物からなる有効量の組成物を投与する段階を含む。投与される組成物の酸素ラジカル吸収容量は、組成物に用いられるどのベリー抽出物よりも高い。
【0026】
本発明の別のさらに詳細な局面において、組成物の酸素ラジカル吸収容量は等量のGSPEより高い。
【0027】
本発明の別のさらに詳細な局面において、組成物の細胞傷害性は等量のGSPEより低い。
【0028】
本発明の別のさらに詳細な局面において、本発明の組成物の酸素ラジカル吸収容量は40トロキソール(Troxol)相当量/gm生体重より大きい。
【0029】
本発明の別の異なる独立した局面において、本発明の方法は、酸素ラジカル吸収容量が高い抗酸化物質の使用から利益を得るヒトを特定する段階を含む。
【0030】
本発明の別の異なる独立した局面において、本発明の組成物は、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%ラズベリー種子抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、および2.5重量%ワイルドビルベリー抽出物である。
【0031】
本発明の別の異なる独立した局面において、本発明の組成物は、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ワイルドビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー種子抽出物である。
【0032】
本発明の別のさらに詳細な局面において、ベリー抽出物組成物の酸素ラジカル吸収容量は等量のGSPEより高く、等量のどのベリー抽出物よりも高い。
【0033】
本発明の別の異なる独立した局面において、本発明の方法は、ヒトにおけるヘリコバクター-ピロリの増殖を予防または阻害する1種類を超えるベリー抽出物からなる有効量の組成物を投与する段階を含む。
【0034】
本発明のさらに詳細な局面において、本発明の方法は、ヒトにおけるヘリコバクター-ピロリの増殖を予防または阻害する抗生物質の能力を改善する。
【0035】
本発明のさらに詳細な局面において、本発明の方法は、ヒトにおけるヘリコバクター-ピロリの増殖を予防または阻害する0.1%〜5.0%濃度のクラリスロマイシンの能力を、等濃度のクラリスロマイシンのみの使用と比較して改善する。
【0036】
本発明の別の異なる独立した局面において、ベリー抽出物組成物は、ブルーベリー抽出物、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、ラズベリー抽出物、およびストロベリー抽出物からなる群より選択される1種類を超えるベリー抽出物を含み、酸素ラジカル吸収容量が高い組成物または血管形成もしくはH.ピロリを効果的に予防もしくは阻害する組成物を得るように、ベリー抽出物が互いと比較して選択および配分される。
【0037】
本発明の別の異なる独立した局面において、組成物は任意の食用ベリーに由来する抽出物をさらに含んでもよい。
【0038】
本発明の他の特徴および利点は、例として本発明の原理を示す添付の図面と以下の好ましい態様の説明から明らかになるはずである。
【0039】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、血管形成およびヘリコバクター-ピロリを予防または阻害する方法および組成物、ならびに優れた抗酸化保護と低い細胞傷害性をもたらす方法および組成物にある。前記方法は、血管形成もしくはH.ピロリを予防もしくは阻害するのに十分なある量の特定のベリー抽出物含有組成物、またはヒトにおいて優れた抗酸化保護をもたらすのに十分なある量の特定のベリー抽出物含有組成物をヒトに投与する段階を含む。本発明はまた、血管形成もしくはH.ピロリを同様に予防もしくは阻害する特定の組成物またはヒトにおいて優れた抗酸化保護をもたらす特定の組成物で例示される。
【0040】
前記の特定の組成物は、抗血管形成作用をもたらす特定の抗酸化物質を含む1種類を超えるベリー抽出物を含む。多くのベリーに由来する抽出物が抗血管形成作用を示すことが見出されている。本発明の1つの局面は、血管形成もしくはH.ピロリを予防もしくは阻害する、または優れた抗酸化保護をもたらす、1種類を超えるベリー抽出物を含む有効量の組成物がヒトに投与される方法を含む。本発明の別の局面において、血管形成もしくはH.ピロリを予防もしくは阻害する方法は、血管形成もしくはH.ピロリに罹患しているヒトまたは血管形成もしくはH.ピロリに罹患するリスクのあるヒトを特定する段階をさらに含み、優れた抗酸化保護をもたらす方法は、優れた抗酸化保護から利益を得るヒトを特定する段階をさらに含む。次いで、特定されたヒトには、望ましくない血管形成もしくはH.ピロリを予防もしくは阻害するのに十分なある量の前記のベリー抽出物組成物、または優れた抗酸化保護をもたらすのに十分なある量の前記ベリー抽出物組成物が投与される。
【0041】
本発明の方法における使用に好ましい既知の組成物は、インターヘルスニュートラシューティカルズ (InterHealth Nutraceuticals),Benicia Californiaから入手することができる。クラリスロマイシン(バイアキシン(Biaxin))はアボットラボラトリーズ(Abbott laboratories),North Chicago,IL 60064から入手した。特別の定めの無い限り、他の全ての化学薬品および試薬はシグマケミカル(Sigma Chemical Co.)(St.Louis,MO)から入手した。これらは分析用グレードまたは入手可能な最高のグレードのものであった。
【0042】
本発明の範囲はヒトが食用可能な任意の種類のベリーを使用すること含み、血管形成もしくはH.ピロリを予防もしくは阻害するために、または優れた抗酸化保護もしくは他の関連する利点をもたらすために、本明細書に記載のベリー抽出物と共に、または本明細書に記載のベリー抽出物の代わりにベリーそれ自体またはその任意の部分を使用できることが理解されるはずである。さらに、本発明の範囲は、任意の手段によって生育されたベリー(従来どおりに生育されたベリー、有機栽培によって生育されたベリー、または野生に生えているベリーを含むが、これに限定されない)を使用することを含む。
【0043】
本発明の別の局面において、本発明の方法は、ワイルドブルーベリー、ストロベリー、クランベリー、ラズベリー種子、エルダーベリー、もしくはワイルドビルベリー抽出物、またはその任意の組み合わせを含む組成物をヒトに投与する段階を含む。
【0044】
本発明の別の態様において、本発明の組成物は、ブルーベリー、ストロベリー、クランベリー、ラズベリー、エルダーベリー、ビルベリー、またはその任意の組み合わせからの2種以上のベリー抽出物を含む組成物を含む。
【0045】
本発明のさらに別の局面において、本発明の方法は、以下の組成:50重量%ブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%ラズベリー抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、および2.5重量%ビルベリー抽出物を有する組成物をヒトに投与する段階を含む。
【0046】
本発明の別の態様において、本発明は、以下の組成:50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%ラズベリー種子抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、および2.5重量%ワイルドビルベリー抽出物を有する組成物を含む。この配合の組成物は混合物1と呼ばれる。
【0047】
本発明のさらに別の局面において、本発明の方法は、以下の組成:50重量%ブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー抽出物を有する組成物をヒトに投与する段階を含む。
【0048】
本発明の別の態様において、本発明は、以下の組成:50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ワイルドビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー種子抽出物を有する組成物を含む。この配合の組成物は混合物2と呼ばれる。
【0049】
本発明の方法および組成物の一部としてヒトに投与される組成物の実際の量は様々な要因に応じて変化する。要因として、ヒトの年齢、身体状態、および体重が挙げられるが、これに限定されない。組成物および方法の効力をもたらし得るこれらの要因および他の要因を考慮して、本発明は、血管形成もしくはH.ピロリを予防もしくは阻害するある量の特定の組成物、または優れた抗酸化保護をもたらすある量の特定の組成物を投与する段階を含む。前記のように、組成物の有効量は、一般的に、18mg/用量〜270mg/用量であると考えられている。
【0050】
さらに、本発明によれば、本発明の方法および組成物は、食品および薬物に関連する製品に一般的に用いられるか、または当技術分野において現在知られている任意の不活性成分または希釈剤(例えば、糖もしくは増量剤)をさらに含んでもよい。本発明によれば、本発明の組成物は、当業者に現在知られている任意の形で提供することができる。形として、栄養補助食品、丸剤、錠剤、カプセル、散剤、ロゼンジ、ゴム、または液体が挙げられるが、これらに限定されない。組成物を投与する段階は、組成物を食品または飲料の一部として投与する段階を含む。食品または飲料として、バー(bar)、シェーキ、飲み物、および他の加工または調理された食品または飲料が挙げられるが、これに限定されない。
【0051】
本発明の方法および組成物における使用に適した組成物を、インビボでの効力試験に供した。試験の手順および試験の結果を以下に示す。この試験は、皮膚血管形成に対する本発明の組成物の効果の分析、H.ピロリに対する本発明の組成物の効果の分析、および組成物の酸素ラジカル吸収容量(ORAC)に焦点を当てた。
【0052】
皮膚血管形成を阻害または予防する組成物の能力の測定
成人皮膚の脈管構造は、内因性の血管形成阻害剤の影響が血管形成刺激より強いために、通常、静止状態にある。しかしながら、皮膚は、炎症性皮膚疾患(例えば、乾癬)および皮膚癌(例えば、皮膚扁平上皮癌)の間に血管形成を迅速に開始する能力を保持している。さらに、毛包の成長期には周期的な血管の拡大が生じる。VEGFは主要な皮膚血管形成因子であることが最近の証拠から示唆されている。皮膚血管形成の間に、VEGFの発現が上皮ケラチノサイトにおいて誘導される。VEGFは、扁平上皮癌における腫瘍の浸潤および転移のマーカーである。従って、VEGFの発現およびVEGFの発現に対する本発明の組成物の効果の試験は、血管形成および関連する腫瘍増殖を予防する効力に関連する。
【0053】
試験に使用した組成物は、混合物1および混合物2として前述されたベリー抽出物の粉末を含んだ。また、比較試験のために、ブドウ種子プロアントシアニジン抽出物(GSPE)をインターヘルスニュートラシューティカルズから入手した。GSPEは、約54%の二量体プロアントシアニジン、13%の三量体プロアントシアニジン、および7%の四量体プロアントシアニジン、ならびに少量の単量体ビオフラボノイド含む天然抽出物である。
【0054】
さらに、個々のベリー抽出物のORAC値に基づいて、これらのベリー抽出物を組み合わせた。ワイルドブルーベリー抽出物およびビルベリー抽出物は最も高いORAC値を示し、これらの値は他のベリー抽出物と比較して有意に高かった。ストロベリー抽出物は、エルダーベリー、クランベリー、およびラズベリー種子と比較して有意に高いORAC値を示した。クランベリーは、エルダーベリーと比較してわずかに高いORAC値を示したのに対して、エルダーベリーは、ラズベリー種子と比較してわずかに高いORAC値を示した。さらに、図2に示したように、本発明のベリー抽出物組成物の細胞傷害性は等量のGSPEより低く、または等量のどのベリー抽出物よりも低い。
【0055】
本発明者らは、最初に、50%の1種類のベリー抽出物および10%の残りの抽出物のブレンドを含む、6種類の組み合わせを作成した。ビルベリーおよびストロベリーはクランベリー、エルダーベリー、およびラズベリー種子と比較して高いORAC値を示したので、本発明者らは4種類の組み合わせを作成した。最初の2種類の組み合わせは、50%ワイルドブルーベリー、25%のワイルドビルベリーまたはストロベリー、および6.25%の残りのベリー抽出物を用いて作成された。最後の2種類の組み合わせは、50%ワイルドブルーベリー、35%のビルベリーまたはストロベリー、および3.75%の残りのベリー抽出物を用いて作成された。
【0056】
別のセットでは、本発明者らはベリー抽出物の4種類の組み合わせを作成した。最初の3種類の組み合わせは、50%ワイルドブルーベリー、25%ストロベリー、12.5%ワイルドビルベリー、および12.5%のクランベリー、ラズベリー種子、またはエルダーベリー抽出物を含んだ。4番目の組み合わせは、50%ワイルドブルーベリー、25%ストロベリー、それぞれ12.5%のクランベリーおよびラズベリー種子抽出物を含んだ。最後のセットでは、本発明者らは、それぞれ、50%ワイルドブルーベリーおよび35%ストロベリーを含む6種類の組み合わせを作成した。1番目の組み合わせは、それぞれ3.75%のワイルドビルベリー、エルダーベリー、クランベリー、およびラズベリー種子抽出物も含んだのに対して、前記の組み合わせのうちの3つは、5%のクランベリー、エルダーベリー、もしくはラズベリー種子抽出物、3.33%ワイルドビルベリー抽出物、およびそれぞれ3.33%のエルダーベリーおよびラズベリー種子抽出物、またはそれぞれ3.33%のクランベリーおよびラズベリー種子抽出物、またはそれぞれ3.33%のエルダーベリーおよびクランベリー抽出物を含んだ。5番目の組み合わせは、5%ワイルドビルベリーならびにそれぞれ3.33%のエルダーベリー、クランベリー、およびラズベリー種子抽出物も含んだ。最後の組み合わせは、7.5%クランベリーならびにそれぞれ2.5%のワイルドビルベリー、エルダーベリー、およびラズベリー種子抽出物も含んだ。
【0057】
従って、本発明者らは、評価のために合計20種類のベリー抽出物の組み合わせを調製した。以下の表Iは、本発明の範囲内である20種類のベリー組み合わせを示す。
【0058】
(表1)20種類の食用ベリー抽出物の組み合わせの組成

【0059】
試験に使用した細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地(ライフテクノロジーズ(Life Technologies)Gaithersburg,MDから入手し、10%胎仔ウシ血清、100U/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシンを添加した)において増殖させた不死化HaCaTヒトケラチノサイトであった。
【0060】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)マルチチャンネル電気化学分析のために、ベリー抽出物組成物を調製した。試験組成物を10mg試料まで秤量し、それぞれを、400pAのメタノール水溶液(62.5+0.29%BHA)に溶解した。次いで、試料を氷上で2分間(30s×4パルス)超音波処理し、100JLlの6N HClを各試料に添加した。次いで、試料を30秒間窒素で泡立たせ、90℃で2時間インキュベートした。次いで、試料を冷却し、500pAの100%メタノールを添加した。試料を4℃で5分間13,000rpmで遠心分離し、次いで、0.45ミクロンフィルターを用いて濾過した。
【0061】
次に、ベリー抽出物の特定の構成要素の取り込み量を測定するために、前記の細胞を試験した。細胞を従来法を用いて150mm×20mmプレートにおいて培養した。播種の24時間後に、増殖培地を無血清RPMIに交換した。次いで、細胞に微量にしか取り込まれない構成要素を検出するために、過剰量の(250μg/mL)ベリー抽出物を添加した。すなわち、誘導性VEGF発現に対するベリー抽出物の効果を試験した以前の試験では、最大50μg/mLのベリー抽出物が使用されている。しかしながら、この場合、少量で取り込まれる特定のベリー構成要素の存在の検出が分析限界によって妨げられないように、以前に使用された量の5倍量の抽出物を与えた。この処理の24時間後に、細胞をPBSで洗浄し、こすり取って、集めた。リン酸緩衝液を細胞ペレットに添加し、ペレットを、ぬれた氷の上でホモジナイズし、次いで、超音波処理した。次いで、HCl(3M)を試料に添加し、結果とした生じた生成物を暗所で室温で30分間インキュベートした。このインキュベーションの後、ポリフェノールを、酢酸エチル2mlを用いて各試料から抽出し、下記のようにHPLCを用いた電量電気化学アレイ検出によって分析した。
【0062】
前記のように調製した後、ベリー抽出物とGSPE抽出物を、従来のHPLC法を用いて試験した。勾配分析装置は、オートサンプラー、恒温槽、および12チャンネルコールアレイ(CoulArray)検出器からなった。
【0063】
クロマトグラフィー条件を以下に列挙する。
カラム:シンメトリー(Symmetry)C18 5μm(4.6×250mm)
移動相A:50mMリン酸ナトリウム緩衝液;pH3.0;メタノール(99:1v/v)
移動相B:100mMリン酸ナトリウム緩衝液pH3.45;アセトニトリル;メタノール(30:60:10v/v/v)
勾配:条件:0%B(5分間)から80%B(40分まで)、45分まで80%Bに保ち、次いで、55分まで0%Bに戻す。
流速:0.8ml/min。
【0064】
検出器条件は以下の通りであった。
検出器:モデル5600A,コールアレイ
印加電位:i)+80mV刻みで-20→+100mV、
ii)60mV刻みで+160→+400mV、
iii)100mV刻みで+500→+700mV。
【0065】
ベリー抽出物またはGSPEを含む溶液を、細胞懸濁液に含まれる溶媒の最終濃度が決して0.1%を超えないような濃度で、ジメチルスルホキシドに溶解して新たに調製した。細胞処理の前に、DMSO溶液を滅菌のために0.22μMフィルターに通して濾過した。それぞれの対照を等量のジメチルスルホキシドで処理した。試験細胞はベリー溶液で前処理した。
【0066】
50μg/mLまでの濃度のベリー組成物を用いた細胞の処理は細胞生存に影響を及ぼさなかった。細胞生存は標準的な乳酸脱水素酵素依存性生存アッセイによって検出した。しかしながら、GSPEは25μg/mLの濃度では処理細胞に対して毒性であった。それぞれのベリー組成物とのインキュベーション後、細胞を無血清培地で洗浄し、次いで、TNFα(25ng/ml)またはH2O2 (250μm)を含む無血清培地で処理した。
【0067】
細胞生存を測定するために、試験細胞を12ウェルプレートに0.15×106細胞/ウェル/mlの密度で播種した。播種の24時間後に、増殖培地を無血清RPMIに交換し、ベリー組成物を高用量50μg/mLで添加した。24時間後、培地を集め、4℃で5分間3500rpmで遠心分離した。結果として生じたアリコートを平底プレートに移し、乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイをアリコートに対して行った。培地へのLDH放出は、シグマケミカル(St.Louis,Missouri)から入手した乳酸脱水素酵素に基づくインビトロ毒物学アッセイキットを用いて測定した。
【0068】
VEGFタンパク質の測定
試験細胞をマルチウェル培養プレートに播種した。80%コンフルエンシーで24時間の増殖後に、血清を取り除いた培地中で細胞を12時間培養することによって、細胞を同調させた。同調の後に、細胞をH2O2またはTNFαで処理した。ベリー処理プロトコールは以下の表2〜4の説明文に示す。血清成分とH2O2との起こり得る全ての相互作用を避けるために、無血清培地を選択した。培地中のVEGF濃度は、アールアンドディーシステムズ(R and D systems)(Minneapolis,Minnesota)により販売されている市販のELISAキットを用いて測定した。
【0069】
さらに詳細に説明すると、表2は、対照、H2O2のみ、ならびにGSPEおよびH2O2と比較して、本発明の様々なベリー抽出物およびベリー抽出物組成物(混合物1として知られる組成物を含む)が、H2O2により誘導されるVEGF発現をどのように阻害したかを示す表である。表3は、対照、TNFα、ならびにGSPEおよびTNFαと比較して、様々なベリー抽出物およびベリー抽出物組成物(混合物1として知られる組成物を含む)が、TNFαにより誘導されるVEGF発現をどのように阻害したかを示す表である。表4は、対照およびH2O2のみと比較して、選択されたフラボノイドおよびトコフェロールが、H2O2により誘導されるVEGF発現をどのように阻害したかを示す表である。
【0070】
(表2)H2O2により誘導されるVEGF発現に対する混合物1および他のベリー抽出物の効果

HaCaT細胞は0.45×106/ウェル/3mlの密度で播種した。24時間後、増殖培地を無血清RPMIに交換し、ベリー試料(50μg/ml)またはGSPE(25μg/ml)を添加した。12時間後、細胞をH2O2 (150μM)で攻撃した。H2O2による活性化の12時間後、ELISAのために培地を集めた。p<0.05, H2O2処理に対する応答が高い;H2O2処理細胞と比較して低い。3回の実験の平均±SD。
【0071】
(表3)TNFαにより誘導されるVEGF発現に対する混合物1および他のベリー抽出物の効果

HaCaT細胞は0.45×106/ウェル/3mlの密度で播種した。24時間後、増殖培地を無血清RPMIに交換し、ベリー試料(50μg/ml)またはGSPE(25μg/ml)を添加した。12時間後、細胞をTNFα(25μg/ml)で攻撃した。TNFαによる活性化の12時間後、ELISAのために培地を集めた。p<0.05,TNFα処理に対する応答が高い;TNFα処理細胞と比較して低い。3回の実験の平均±SD。
【0072】
(表4)H2O2により誘導されるVEGF発現に対する選択されたフラボノイドおよびトコフェロールの効果

HaCaT細胞は0.45×106/ウェル/3mlの密度で播種した。24時間後、増殖培地を無血清RPMIに交換し、ベリー試料において観察される濃度の純粋なフラボノイド(フェルラ酸,FA 200nM;カテキン,Cat 100nM;ルチン,rut 1μM)またはα-トコフェロール(10μM,参照抗酸化物質として)を添加した。12時間後、細胞をH2O2 (150μM)で攻撃した。H2O2による活性化の12時間後、ELISAのために培地を集めた。p<0.05,H2O2処理に対する応答が高い;H2O2処理細胞と比較して低い。3回の実験の平均±SD。
【0073】
インビトロ血管形成アッセイ
ベリー組成物はまた、血管形成プロセス自体に影響を及ぼしたかどうか確かめるために試験された。様々なインビボ血管形成試験法およびインビトロ血管形成試験法の中で、インビトロマトリゲル(Matrigel)アッセイは、試験化学種の血管形成性または抗血管形成性を試験するための信頼性の高いアプローチである。この方法は、EHS腫瘍に由来する基底膜マトリックスであるマトリゲルの上に毛細血管様構造を形成する内皮細胞の分化に基づいている。マトリゲルは内皮細胞が分化するように誘導し(これは形態の変化および増殖の低下によって示される)、従って、血管形成に関連する生化学的事象および分子的事象を研究するための便利なかつ信頼性のあるモデルを提供する。本発明者らは、このアッセイのためにヒト皮膚微小血管内皮細胞を使用した。このアッセイは、最大の毛細血管様構造形成を得るように条件が最適化されたキットを使用して行われた。
【0074】
このアッセイのために、ケミコンインターナショナル(CHEMICON International,Inc.)(Temecula,California)により販売されているインビトロ血管形成キットを使用した。イーシーマトリックス(ECMatrix)(商標)は、エンゲルブレスホルムスワム(EngelbrethHolm-Swarm:EHS)マウス腫瘍から調製された基底タンパク質の固形ゲルである。イーシーマトリックス(商標)(10×)溶液を氷上で解凍し、キットに付いている希釈剤で希釈した。希釈したイーシーマトリックス(商標)(10×)溶液100μlを96ウェル組織培養プレートの各ウェルに移し、マトリックス溶液を凝固させるために37℃の温度で少なくとも1時間インキュベートした。次いで、HMVE細胞を採取し、ベリー抽出物の存在下または非存在下で培地に再懸濁した。細胞を約5000細胞/ウェルの量で、凝固したマトリックス溶液の上に添加し、37℃の温度で一晩、細胞培養インキュベーターに入れて維持した。この後に、内皮管形成が観察され、倒立光学顕微鏡の下で倍率20でデジタル写真を撮影した。
【0075】
組成物の酸素ラジカル吸収容量の測定
異なるベリー抽出物およびベリー抽出物組成物の酸素ラジカル吸収容量(ORAC)値を測定するために、個々のベリー抽出物の25mg試料をそれぞれメタノール1mlに溶解した。次いで、リン酸緩衝液0.09mlを、前記のように得られたベリー/メタノール溶液0.01mlに添加した。合計0.01mlの各ベリー組成物をこの分析に使用した。
【0076】
ORACアッセイを実施するための手順は、参照として本明細書に組み入れられる、Cao,G.,Alessio,H.M.and Cutler,RG.(1993)「Oxygen-radical absorbance capacity assay for antioxidants」Free Radic.Biol.Med.14,303-11に記載のように行った。このアッセイは、パーオキシラジカルを生成する物質であるAAPHにより誘導されるB-フィコエリスルム(B-phycoerythrm)(B-PE)蛍光の低下を、試験材料中の抗酸化化合物が阻害する能力を測定する。この反応混合物は、75mMリン酸緩衝液(pH 7.0)1.6ml、320nM AAPH 200μl、および試料100μlを含んだ。水溶性のビタミンE類似体であるトロロックス(Trolox)を、対照の抗酸化物質標準として使用した。最後の測定の蛍光が最初の測定の<5%に低下するまで、B-PEの蛍光を、ターナー(Turner)蛍光光度計を使用して励起波長540nmおよび発光波長570nmで5分毎に測定および記録した。最終結果(すなわち、ORAC値)は、ブランクと試料との間のB-PE消光曲線下の面積の差を使用して計算し、生体重1グラム当たりのトロロックス相当量(TE)(マイクロモル)として表した。
【0077】
結果
一対の平均値間の有意性はスチューデントt検定によって求めた。全ての分析について、p<0.05であれば有意とみなした。それぞれの値は、4回の繰り返し実験の平均±標準偏差である。
【0078】
第2の組み合わせのセットにおいて、本発明者らは、50%の1種類のベリー抽出物および10%の残りの5種類のベリー抽出物のブレンドを含む、6種類の組み合わせを分析した。このセットにおいて、50%ワイルドブルーベリーと10%の残りの5種類のベリー抽出物のブレンドの組み合わせは最も高いORAC値を示し、この組み合わせのORAC値は、50%ビルベリーと10%の残りの5種類のベリー抽出物のブレンドの組み合わせよりわずかに高かったことが結果から証明される。
【0079】
第3のセットにおいて、本発明者らは4種類の組み合わせを作成した。最初の2種類の組み合わせは、50%ワイルドブルーベリー、25%のワイルドビルベリーまたはストロベリー、および6.25%の残りのベリー抽出物を使用して作成された。最後の2種類の組み合わせは、50%ワイルドブルーベリー、35%のワイルドビルベリーまたはストロベリー、および3.75%の残りのベリー抽出物を使用して作成された。これらの4種類の組み合わせの間で、有意な差は観察されなかった。だが、4番目の組み合わせ(50%ワイルドブルーベリー、35%ストロベリー、それぞれ3.75%のワイルドビルベリー、エルダーベリー、クランベリー、およびラズベリー種子)は、他の3つの組み合わせと比較してわずかに高い値を示した。
【0080】
4番目のセットにおいて、本発明者らは4種類の組み合わせを試験した。最初の3種類の組み合わせは、50%ワイルドブルーベリー、25%ストロベリー、12.5%ワイルドビルベリー、および12.5%のクランベリー、ラズベリー種子、またはエルダーベリー抽出物を含んだ。4番目の組み合わせ(本明細書では混合物2と呼ばれる)は、25%ストロベリー抽出物、12.5%ワイルドビルベリー抽出物、および12.5%ラズベリー種子抽出物からなり、50%ワイルドブルーベリー、25%ストロベリー、12.5%ワイルドビルベリー、および12.5%クランベリー抽出物を含む組み合わせよりわずかに高いORAC値を示し、残りの2つの組み合わせより有意に高いORAC値を示した。
【0081】
第5のセットにおいて、本発明者らは5種類の組み合わせ(それぞれ50%ワイルドブルーベリーおよび35%ストロベリーを含む)を作成した。1番目の組み合わせは、それぞれ3.75%のワイルドビルベリー、エルダーベリー、クランベリー、およびラズベリー種子抽出物も含んだのに対して、前記の組み合わせのうちの3つは、5%のクランベリー、エルダーベリー、もしくはラズベリー種子抽出物、3.33%ワイルドビルベリー抽出物、ならびにそれぞれ3.33%のエルダーベリーおよびラズベリー種子抽出物、またはそれぞれ3.33%のクランベリーおよびラズベリー種子抽出物、またはそれぞれ3.33%のエルダーベリーおよびクランベリー抽出物を含んだ。5番目の組み合わせは、5%ワイルドビルベリーならびにそれぞれ3.33%のエルダーベリー、クランベリー、およびラズベリー種子抽出物も含んだ。6番目の組み合わせ(本明細書では混合物1と呼ばれる)は、35%ストロベリー抽出物、7.5%クランベリー抽出物、2.5%ラズベリー種子抽出物、2.5%エルダーベリー抽出物、および約2.5%ワイルドビルベリー抽出物からなり、他の5つの組み合わせより有意に高いORAC値を示した。これらの様々なベリー抽出物組成物の酸素ラジカル吸収容量を図1に示す。
【0082】
酸素ラジカル吸収容量(ORAC)
前記のORACアッセイ法を用いて、ベリー組成物およびGSPE組成物のパーオキシラジカル捕捉能を研究した。クランベリー、エルダーベリー、およびラズベリー種子組成物は同等のORAC値を有することが観察された。これらのベリー組成物の抗酸化能は、研究された他のベリー組成物の抗酸化能より有意に低かった。ストロベリーおよびGSPE組成物のORAC値は、クランベリー、エルダーベリー、またはラズベリー種子のORAC値より高かったが、研究された他の組成物のORAC値より有意に低かった。ワイルドビルベリーおよびワイルドブルーベリー組成物は最も高いORAC値を有した。これらの値は、2種類のベリー混合物のORAC値に匹敵するものであった。本発明の様々なベリー抽出物組成物のORAC値を図1にグラフで示した。
【0083】
抗血管形成性
表2および表3は、試験細胞における誘導性VEGF発現に対するベリー組成物の効果の表で表した結果を示す。このデータから、研究された各ベリー組成物は、ヒトケラチノサイトによるH2O2で誘導されたVEGF発現およびTNFαで誘導されたVEGF発現を両方とも強力に阻害したことが分かる。しかしながら、高いORAC値を有するGSPEまたはα-トコフェロールなどの抗酸化物質は誘導性VEGF発現に影響を及ぼさなかった。これは、観察されたベリー組成物の効果がその抗酸化特性だけに依存しなかったことを示唆している。表5に示したように、フェルラ酸(ferrulic acid)、カテキン、およびルチンなどの純粋なフラボノイドは、オキシダント誘導性のVEGF発現をある程度まで抑制する能力を共有した。従って、ベリー組成物のフラボノイド成分が、誘導性VEGF発現および放出に対して観察された効果の少なくとも一部を担った可能性があることは明らかである。
【0084】
本実施例は、ベリー抽出物が誘導性VEGF発現を強力に阻害することを示す初めての証拠を示す。ある特定の抗酸化物質が抗血管形成作用を有することが以前に観察されていた。しかしながら、高い抗酸化能を有するGSPEが誘導性VEGF発現を阻害しなかったという本発明者らの観察は、抗酸化特性のみでは、観察された抗血管形成作用の説明とならない可能性があることを示唆している。これは、非常に多くの植物生成成分が、いくつかのシグナル伝達経路の強力な制御因子として働くという発見と矛盾がない。
【0085】
純粋な単量体フラボノイドを用いた本発明者らの結果は、フラボノイドが誘導性VEGF発現の強力な阻害剤として働く可能性があり、ベリー組成物のフラボノイド内容物が、観察された効果の原因であった可能性があるという初めての証拠を示す。単量体フラボノイドがGSPEに占める割合は1%未満であり、これは、観察された、GSPEが誘導性VEGF発現を阻害できなかったことを説明しているのかもしれない。ベリー組成物は、誘導性VEGF発現の阻害作用に加えてインビトロでの血管形成も低下させた。これは、インテグリン機能などの他の血管形成に重要な事象がベリー構成要素に対して感受性である可能性があることを示唆している。これらの観察は、癌および炎症などの血管形成に関連する疾患を予防するための食事に基づく実現可能なアプローチが食用ベリーを用いて得られるという主張への、確固とした機構に基づく支持となる。
【0086】
世界人口の約50%は、成人および小児の慢性胃炎および消化性潰瘍の原因に結び付けられてきたヘリコバクター-ピロリに感染している。いくつかの経口抗菌剤がH.ピロリに対して効力を有する。クラリスロマイシンは、胃H.ピロリの根絶に推奨される多くの治療法の重要な成分である。H.ピロリ感染の抗生物質治療はしばしば副作用(クラリスロマイシンを含む抗菌剤に対する耐性の発生を含む)を伴う。
【0087】
天然抗酸化物質は、H.ピロリにより誘導される酸化的損傷の緩和における新規の治療ツールとして役立つかもしれない。いくつかの最近の研究から、ヒト胃腸管細胞へのH.ピロリ付着に対するクランベリージュースおよびその構成要素の阻害作用が証明されている。この阻害の正確な機構は、この時点でははっきりしていないが、もっともらしい説明は、アントシアニンの存在による、クランベリージュースの抗酸化特性であるかもしれない。
【0088】
本発明の方法および組成物を発見するために、本発明者らは、胃損傷の原因となる87kDa細胞毒を産生することが知られている病原性H.ピロリ株(ATCC49503株)に対する、クラリスロマイシン存在下または非存在下での様々なベリー抽出物の阻害作用を評価した。この株は、組織培養モデルにおいて他のH.ピロリ株と比較して最大のLDH(乳酸脱水素酵素)漏出およびスーパーオキシドアニオン生成を引き起こすことを証明した以前の研究に基づいて選択された。
【0089】
H.ピロリの予防または阻害における本発明の方法および組成物の効力を確かめるために、クラリスロマイシンの5mg/ml保存液をDMSOで調製し、40℃で保管した。殺菌試験に使用するために、さらなる薬物希釈液をリン酸緩衝食塩水で作成した。それぞれの実験のために新たな溶液を調製した。
【0090】
凍結乾燥された細胞毒産生H.ピロリATCC 49503株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture collection)(Rockville,MD)から入手した。凍結乾燥試料を滅菌ブルセラブロス(Brucella broth)に再溶解し、新たな血液寒天プレート上で培養する前に37℃で30分間インキュベートした。
【0091】
H.ピロリの増殖にはレノックスブロス(Lennox broth)(フィッシャーケミカルズ(Fisher Chemicals))を使用した。生細菌の数を求めるために、5%脱線維素ヒツジ血液を含むトリプチケースソイ寒天(TSA)プレート(BBL,ベクトンディキンソン(Becton Dickinson),MD 21152)を使用した。細菌プレートおよび培養チューブを、インキュベーター内で、37℃、微好気条件下(酸素5%、二酸化炭素10%、および窒素85%)でインキュベートした。
【0092】
H.ピロリは、最初に、5%血液寒天プレート上で一晩増殖させた。次いで、細胞懸濁液をPBS 2mlに溶解して調製し、10倍に希釈した。前記の様々なベリー抽出物を、0.25%、0.5%、および1%それぞれの濃度でレノックスブロスに含めた。対照チューブはブロスのみであった。次いで、細菌細胞懸濁液100μlを各チューブに添加し、微好気条件下で18時間インキュベートした。次いで、それぞれの培養チューブからの試料を連続希釈し、10-7希釈チューブから10μlを新たな5%血液寒天プレートにプレートし、次いで、このプレートを微好気条件下で18時間インキュベートし、コロニー数を計数した。H.ピロリの増殖をCLO試験によって確認した。全ての実験を3回繰り返して行った。
【0093】
CLO試験は、当初、胃粘膜生検材料においてH.ピロリのウレアーゼ酵素を検出するために開発された迅速なウレアーゼ試験である。これはまた、組織培養物におけるH.ピロリ感染によるウレアーゼ産生を検出するのにも使用されている。試験スライドは、バラードメディカルプロダクツ(Ballard Medical Products),Draper,UT 84020から入手した。16時間のインキュベーション後に、H.ピロリの増殖を確認するために、細菌培養物のウレアーゼ活性を試験した。
【0094】
H.ピロリに対するクラリスロマイシンおよびベリー抽出物の殺菌作用を確かめるために、連続希釈した実験試料および対照試料のそれぞれを、15μg/mlのクラリスロマイシンと1時間インキュベートした。次いで、各チューブから10μlの3つの複製(replicate)を5%血液寒天プレートにプレートし、微好気条件下で18時間インキュベートし、コロニー数を計数した。もう一度、H.ピロリの増殖をCLO試験で確認した。
【0095】
統計解析
試験結果をデータベースに入力し、ABSTATソフトウェアを用いて解析した。異なる濃度での結果を比較するために、カイ二乗検定を使用した。有意水準をp<0.05に設定した。
【0096】
H.ピロリに対する、クラリスロマイシン存在下および非存在下での様々なベリー抽出物のインビトロ殺菌活性を図3〜8に示す。試験した全ての濃度の抽出物全てが対照と比較してH.ピロリの増殖を阻害し、最大の効果は混合物1で認められた。図4に示すように、0.25%の最小濃度でさえ、H.ピロリの有意な阻害がエルダーベリー(30%)、ワイルドビルベリー(50%)、ワイルドブルーベリー(50.5%)、および混合物1(62%)で認められた。図6および7に示すように、さらに高い濃度の0.5%および1%の全抽出物では、阻害は濃度依存的に増大した。図6に示すように、エルダーベリー、ワイルドビルベリー、ワイルドブルーベリー、および混合物1で認められた増大と比較して、あまり大きくない殺菌作用増大が0.5%濃度のストロベリー、ラズベリー種子、およびクランベリー抽出物で見られた。図7に示すように、1%濃度では、全ての抽出物が>70%阻害を示し、クランベリー、エルダーベリー、ワイルドビルベリー、およびワイルドブルーベリー抽出物は>90%阻害を示し、混合物1は100%阻害を示した。
【0097】
図3に示すように、0.25%濃度のクラリスロマイシンを添加すると、H.ピロリに対するエルダーベリー、ワイルドビルベリー、ワイルドブルーベリー、および混合物1の殺菌作用は著しく増大した。図5に示すように、クラリスロマイシンを0.5%濃度で添加した時、試験した全ての抽出物によるH.ピロリ阻害は著しく増大した。最後に、図8に示すように、クラリスロマイシンを1%濃度まで添加した時、全ての抽出物で>90%阻害が認められ、エルダーベリー、ワイルドビルベリー、ワイルドブルーベリー、およびオプチベリー(Optiberry)は100%阻害を示した。
【0098】
図3〜8に示した結果から、H.ピロリが濃度依存的に阻害され、最も高い抗菌活性は1%濃度の全抽出物で認められたことが分かる。全ての抽出物が同等の活性を有するとは限らなかったことに注目することも重要である。明らかに、前記の混合物1は、試験した全ての濃度において最大の効果を示したが、他の抽出物の一部(例えば、ワイルドブルーベリーおよびワイルドビルベリー)のH.ピロリに対する活性は、ラズベリー種子、クランベリー、およびストロベリーと比較して(特に、低濃度で)有意に優れていた。最後に、クラリスロマイシンと、試験した全ての濃度のベリー抽出物で相加作用が認められ、最大の作用がもう一度、混合物1で認められた。従って、本発明の方法および組成物は、特に、既知の発癌物質および病原体であるH.ピロリの増殖を効果的に予防または阻害するために、ベリー抽出物を使用する。
【0099】
本発明は好ましい態様のみに関して詳細に開示されたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、さらなる方法および組成物を作成できることを理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0100】
(図1)本発明の範囲内の様々なベリー抽出物組成物の酸素ラジカル吸収容量 (ORAC)のグラフ図である。図1において、X軸に沿って表示した組成物は以下のように構成されている。

最終的な結果(ORAC値)はトロロックス(Trolox)相当量/gm生体重を用いて計算し、表した。図1のそれぞれの棒の上の1個の星印()は他の組み合わせと比較して有意に高いこと(p<0.05)を示し、図1のそれぞれの棒の上の2個の星印(**)は他のベリー抽出物の組み合わせと比較して有意に異なること(p<0.01)を示している。
(図2)細胞から培地へのLDH漏出により測定された、様々なベリー抽出物および本発明の範囲内のベリー抽出物組成物ならびに対照およびGSPEの細胞傷害性のグラフ図である。様々なベリー抽出物の細胞傷害性を測定するために、HaCaT細胞を12ウェルプレートに0.15×106細胞/ウェル/1mlの密度で播種した。24時間の増殖後に、培地を無血清RPMIと交換した。図示されているように、ベリー粉末抽出物(50μg/ml)またはGSPE(25μg/ml)を細胞に添加した。24時間後に、乳酸脱水素酵素に基づくインビトロ毒物学アッセイのために培地を集めた。図2のGSPE棒の上の1個の星印()は対応する対照と比較して有意に高いこと(p<0.05)を示す。この実験から、25μg/ml以上のGSPEが細胞傷害性であることも分かった。
(図3)0.25%濃度の選択されたベリー抽出物および0.25%濃度のベリー抽出物組成物(混合物1として知られる)を処理細胞に暴露した後の、クラリスロマイシンによるH.ピロリの阻害パーセントを示すグラフ図である。
(図4)0.25%濃度の選択されたベリー抽出物および0.25%濃度のベリー抽出物組成物(混合物1として知られる)によるH.ピロリの阻害パーセントを示すグラフ図である。
(図5)0.50%濃度の選択されたベリー抽出物および0.50%濃度のベリー抽出物組成物(混合物1として知られる)を処理細胞に暴露した後の、クラリスロマイシンによるH.ピロリの阻害パーセントを示すグラフ図である。
(図6)0.50%濃度の選択されたベリー抽出物および0.50%濃度のベリー抽出物組成物(混合物1として知られる)によるH.ピロリの阻害パーセントを示すグラフ図である。
(図7)1.00%濃度の選択されたベリー抽出物および1.00%濃度のベリー抽出物組成物(混合物1として知られる)によるH.ピロリの阻害パーセントを示すグラフ図である。
(図8)1.00%濃度の選択されたベリー抽出物および1.00%濃度のベリー抽出物組成物(混合物1として知られる)を処理細胞に暴露した後の、クラリスロマイシンによるH.ピロリの阻害パーセントを示すグラフ図である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの血管形成を予防または阻害する方法であり、以下の段階を含む方法:
血管形成に罹患しているヒトまたは血管形成に罹患するリスクのあるヒトを特定する段階;および
1種類を超えるベリー抽出物を含む有効量の組成物をヒトに投与する段階であり、組成物はヒトの血管形成を予防または阻害するのに十分である、段階。
【請求項2】
組成物をヒトに投与すると、ヒトのVEGF発現量が低下する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
組成物の有効量が18mg/用量〜270mg/用量であり、組成物の細胞傷害性が0.5LDH単位/リットルより低い、請求項1記載の方法。
【請求項4】
組成物が、ブルーベリー抽出物、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、ラズベリー抽出物、およびストロベリー抽出物からなる群より選択される1種類を超えるベリー組成物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ブルーベリー抽出物がワイルドブルーベリー抽出物であり、ビルベリー抽出物がワイルドビルベリー抽出物であり、ラズベリー抽出物がラズベリー種子抽出物である、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
組成物が、約50重量%ブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%ラズベリー抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、および2.5重量%ビルベリー抽出物である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
組成物が、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%ラズベリー種子抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、および2.5重量%ワイルドビルベリー抽出物である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、約50重量%ブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー抽出物である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
組成物が、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ワイルドビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー種子抽出物である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
酸素ラジカル吸収容量が高い化合物を提供する方法であり、以下の段階を含む方法:
1種類を超えるベリー抽出物からなる有効量の組成物を投与する段階であり、組成物の酸素ラジカル吸収容量は、組成物に用いられるどのベリー抽出物の酸素ラジカル吸収容量よりも高い、段階。
【請求項11】
組成物の酸素ラジカル吸収容量が等量のGSPEより高い、請求項10記載の方法。
【請求項12】
組成物の細胞傷害性が等量のGSPEより低い、請求項10記載の方法。
【請求項13】
組成物の有効量が18mg/用量〜270mg/用量であり、組成物の細胞傷害性が0.5LDH単位/リットルより低い、請求項10記載の方法。
【請求項14】
組成物の酸素ラジカル吸収容量が40トロキソール(Troxol)相当量/gm生体重より大きい、請求項10記載の方法。
【請求項15】
組成物が、ブルーベリー抽出物、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、ラズベリー抽出物、およびストロベリー抽出物からなる群より選択される1種類を超えるベリー抽出物を含む、請求項10記載の方法。
【請求項16】
ブルーベリー抽出物がワイルドブルーベリー抽出物であり、ビルベリー抽出物がワイルドビルベリー抽出物であり、ラズベリー抽出物がラズベリー種子抽出物である、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
組成物が、約50重量%ブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%ラズベリー抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、および2.5重量%ビルベリー抽出物である、請求項10記載の方法。
【請求項18】
組成物が、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、2.5重量%ワイルドビルベリー抽出物、および2.5重量%ラズベリー種子抽出物である、請求項10記載の組成物。
【請求項19】
組成物が、約50重量%ブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー抽出物である、請求項10記載の方法。
【請求項20】
組成物が、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ワイルドビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー種子抽出物である、請求項10記載の組成物。
【請求項21】
酸素ラジカル吸収容量が高い抗酸化物質の使用から利益を得るヒトを特定する段階をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項22】
組成物の細胞傷害性がGSPEより低い、請求項21記載の方法。
【請求項23】
組成物の有効量が18mg/用量〜270mg/用量であり、組成物の細胞傷害性が0.5LDH単位/リットルより低い、請求項21記載の方法。
【請求項24】
組成物の酸素ラジカル吸収容量が等量のGSPEより高い、請求項21記載の方法。
【請求項25】
組成物の細胞傷害性が等量のGSPEより低い、請求項21記載の方法。
【請求項26】
ヒトにおけるヘリコバクター-ピロリ(Helicobacter pylori)の増殖を予防または阻害する方法であり、以下の段階を含む方法:
1種類を超えるベリー抽出物からなる有効量の組成物をヒトに投与する段階であり、組成物が、組成物に用いられるどのベリー抽出物よりもヘリコバクター-ピロリの増殖を予防または阻害する、段階。
【請求項27】
組成物が、ヘリコバクター-ピロリの増殖を予防または阻害する抗生物質の能力を改善する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
抗生物質が0.1%〜5.0%濃度のクラリスロマイシンである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
抗生物質が、好ましくは、0.25%〜1%濃度のクラリスロマイシンである、請求項27記載の方法。
【請求項30】
組成物の有効量が18mg/用量〜270mg/用量であり、組成物の細胞傷害性が0.5LDH単位/リットルより低い、請求項26記載の方法。
【請求項31】
組成物が、ブルーベリー抽出物、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、ラズベリー抽出物、およびストロベリー抽出物からなる群より選択される1種類を超えるベリー抽出物から調製される、請求項26記載の方法。
【請求項32】
ブルーベリー抽出物がワイルドブルーベリー抽出物であり、ビルベリー抽出物がワイルドビルベリー抽出物であり、ラズベリー抽出物がラズベリー種子抽出物である、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
組成物が、約50重量%ブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%ラズベリー抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、および2.5重量%ビルベリー抽出物である、請求項26記載の方法。
【請求項34】
組成物が、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、2.5重量%ワイルドビルベリー抽出物、および2.5%ラズベリー種子抽出物である、請求項26記載の組成物。
【請求項35】
組成物が、約50重量%ブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー抽出物である、請求項26記載の方法。
【請求項36】
組成物が、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ワイルドビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー種子抽出物である、請求項26記載の組成物。
【請求項37】
ヘリコバクター-ピロリの増殖を予防または阻害する組成物の使用から利益を得るヒトを特定する段階をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項38】
組成物の有効量が18mg/用量〜270mg/用量であり、組成物の細胞傷害性が0.5LDH単位/リットルより低い、請求項37記載の方法。
【請求項39】
血管形成もしくはヘリコバクター-ピロリを予防もしくは阻害する組成物、またはヒトの身体において強力な抗酸化物質として作用する組成物であり、以下の段階を含む、組成物:
ブルーベリー抽出物、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、ラズベリー抽出物、およびストロベリー抽出物からなる群より選択される1種類を超えるベリー抽出物を選択する段階であり、血管形成もしくはヘリコバクター-ピロリを効果的に予防もしくは阻害する組成物または酸素ラジカル吸収容量が高い組成物を得るように、ベリー抽出物は全ての選択されたベリー抽出物と比較して選択および配分される、段階。
【請求項40】
ブルーベリー抽出物がワイルドブルーベリー抽出物であり、ビルベリー抽出物がワイルドビルベリー抽出物であり、ラズベリー抽出物がラズベリー種子抽出物である、請求項39記載の組成物。
【請求項41】
ベリー抽出物の群が、さらに、ブラックベリー、デューベリー、ボイゼンベリー、ローガンベリー、ヤングベリー、スグリ、グズベリー、ジュニパーベリー、ハックルベリー、エルダーベリー、チンブルベリー、ブラックキャップベリー、マウンテンアッシュベリー、サーモンベリー、および他の類似のベリーからなる、請求項39記載の組成物。
【請求項42】
組成物が、組成物を取り込んだヒトにおいてVEGF発現の低下をもたらす、請求項39記載の組成物。
【請求項43】
組成物の細胞傷害性が等量のGSPEより低い、請求項39記載の組成物。
【請求項44】
組成物の有効量が18mg/用量〜270mg/用量である、請求項39記載の組成物。
【請求項45】
組成物の酸素ラジカル吸収容量が等量のGSPEより高く、かつ等量のどのベリー抽出物よりも高い、請求項39記載の組成物。
【請求項46】
組成物の酸素ラジカル吸収容量が40トロキソール相当量/gm生体重より大きい、請求項39記載の組成物。
【請求項47】
組成物の重量の約50%がブルーベリー抽出物であり、重量の約35%がストロベリー抽出物であり、重量の約7.5%がクランベリー抽出物であり、重量の約2.5%がラズベリー抽出物であり、重量の約2.5%がエルダーベリー抽出物であり、重量の約2.5%がビルベリー抽出物である、請求項39記載の組成物。
【請求項48】
組成物が、50重量%のワイルドブルーベリー抽出物、35重量%のストロベリー抽出物、7.5重量%のクランベリー抽出物、2.5重量%のエルダーベリー抽出物、2.5重量%のワイルドビルベリー抽出物、および2.5重量%のラズベリー種子抽出物を含む、請求項39記載の組成物。
【請求項49】
組成物の重量の約50%がブルーベリー抽出物であり、重量の約25%がストロベリー抽出物であり、重量の約12.5%がビルベリー抽出物であり、重量の約12.5%がラズベリー抽出物である、請求項39記載の組成物。
【請求項50】
組成物の重量の約50%がワイルドブルーベリー抽出物であり、重量の約25%がストロベリー抽出物であり、重量の約12.5%がワイルドビルベリー抽出物であり、重量の約12.5%がラズベリー種子抽出物である、請求項39記載の組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管形成および/またはヘリコバクター-ピロリ(Helicobacter pylori)感染の予防および/または治療用の薬剤を製造するための、1種類を超えるベリー抽出物を含む組成物の使用。
【請求項2】
薬剤が血管形成の予防および/または治療用である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
薬剤がヘリコバクター-ピロリ感染の予防および/または治療用である、請求項1記載の使用。
【請求項4】
組成物の酸素ラジカル吸収容量が、組成物に用いられるどのベリー抽出物よりも高い、請求項1から3のいずれか一項記載の使用。
【請求項5】
組成物の酸素ラジカル吸収容量が、等量のブドウ種子プロアントシアニジン抽出物よりも高い、請求項1から3のいずれか一項記載の使用。
【請求項6】
組成物の細胞傷害性が、等量のブドウ種子プロアントシアニジン抽出物よりも低い、請求項1から5のいずれか一項記載の使用。
【請求項7】
組成物が、血管内皮増殖因子の発現量を低下させる、請求項1、2、4、5、および6のいずれか一項記載の使用。
【請求項8】
組成物が、ヘリコバクター-ピロリの増殖を予防または阻害する抗生物質の能力を改善する、請求項1、3、4、および5のいずれか一項記載の使用。
【請求項9】
抗生物質が0.1%〜5.0%のクラリスロマイシンである、請求項8記載の使用。
【請求項10】
有効な組成物が18mg/用量から270mg/用量であり、組成物の細胞傷害性が0.5乳酸脱水素酵素単位/リットルより低い、請求項1から9のいずれか一項記載の使用。
【請求項11】
1種類を超えるベリー抽出物が、ブルーベリー抽出物、ワイルドブルーベリー抽出物、ワイルドビルベリー抽出物、ビルベリー抽出物、クランベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、ラズベリー抽出物、ラズベリー種子抽出物、ストロベリー抽出物、ブラックベリー抽出物、デューベリー抽出物、ボイゼンベリー抽出物、ローガンベリー抽出物、ヤングベリー抽出物、スグリ抽出物、グズベリー抽出物、ジュニパーベリー抽出物、ハックルベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、チンブルベリー抽出物、ブラックキャップベリー抽出物、マウンテンアッシュベリー抽出物、およびサーモンベリー抽出物からなる群より選択される、請求項1から10のいずれか一項記載の使用。
【請求項12】
組成物が、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、35重量%ストロベリー抽出物、7.5重量%クランベリー抽出物、2.5重量%ラズベリー種子抽出物、2.5重量%エルダーベリー抽出物、および2.5重量%ワイルドビルベリー抽出物である、請求項11記載の使用。
【請求項13】
組成物が、50重量%ワイルドブルーベリー抽出物、25重量%ストロベリー抽出物、12.5重量%ワイルドビルベリー抽出物、および12.5重量%ラズベリー種子抽出物である、請求項11記載の使用。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項において定義される組成物。


【公表番号】特表2006−503059(P2006−503059A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538263(P2004−538263)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/029548
【国際公開番号】WO2004/026325
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(503354516)インターヘルス ニュートラシューティカルズ、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】