説明

血管新生を阻害するキメラタンパク質およびその利用

本発明は、血管新生を阻害するキメラ組み換えタンパク質をコードするDNA配列、該キメラタンパク質自体、該キメラタンパク質の薬学的使用、および上記組み換えタンパク質を含む製剤の薬学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、遺伝子工学技術に関するものであって、より具体的には、血管新生を阻害する組み換えキメラタンパク質をコードするDNA配列、該DNAにコードされるキメラタンパク質、該キメラタンパク質の治療への利用、並びに、該キメラタンパク質を含む医療用組成物および製剤に関するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
血管新生は、現存の血管から新しい血管を形成させる過程である。たいていの成人の血管システムは、無活動な状態であり、血管新生は、ある生理的機構および病的機構においてのみ起こる。上記生理的機構および病的機構としては、腫瘍、糖尿病性網膜症、関節炎、貧血器官、子宮内膜増殖症などを挙げることができる。血管新生は、腫瘍の分化過程で、腫瘍細胞が急激に増殖するのに重要な役割を果たす(Hanahan and Folkman: Patterns and emerging mechanisms of the angiogenic switch during tumorigenesis, Cell, 1996, 86:353-364)。動物の癌モデルおよびヒトの臨床試験の研究によって、腫瘍の血管新生を阻害すると、腫瘍の成長および分化が効果的に阻害され、その結果、患者の寿命を延ばせることが、すでに知られている。血管新生は、多くの生物学的因子によって、影響され、かつ制御される。血管新生に影響を与える主な細胞は、血管内皮細胞である。血管内皮細胞は、血管壁の内側を形成する細胞である。様々な増殖因子は、血管内皮細胞の表面上にある適切な受容体に結合することができる。そして、細胞内情報伝達を介する細胞プロセスを制御し、結果として、血管新生に影響を与えることができる。
【0003】
様々な増殖因子の中で、VEGF(vascular endothelial cell growth factor、血管内皮細胞増殖因子)は、最も重要な血管新生因子である(Ferrara: VEGF and the quest for tumor angiogenesis factor, Nat. Rev. Cancer, 2002, 10: 795-803; Ferrara: Role of vascular endothelial growth factor in physiologic and pathologic angiogenesis: therapeutic implications, Semin. Oncol., 2002,29 (6 sumppl): 10-14)。VEGFは、多くの種類の細胞によって、分泌される。しかし、腫瘍細胞では、しばしば、過剰に発現される。VEGFは、適切な受容体に結合することによって機能する。VEGF受容体には、主な2種類の受容体がある。具体的には、FLT−1(fms-like tyrosine kinase、fms様チロシンキナーゼ)、およびKDRである。分子構造の点において、これら2つの受容体は、共に、3つの異なる機能を有する領域からなる。1つ目の領域は、細胞外領域である。該細胞外領域は、7つの免疫グロブリン様(Ig様)ドメイン(d1〜d7)からなり、VEGFに対する特異的な親和性を有する。また、VEGFへの結合において重要な領域である。2つ目の領域は、疎水性のアミノ酸残基を含む膜貫通領域である。3つ目の領域は、チロシンキナーゼとしての機能団(functioning group)を含む細胞内ドメインである。該細胞内ドメインは、該受容体がVEGFによって活性化された後、リン酸化される。そして、細胞内情報伝達を誘発し、内皮細胞の機能的な効果および血管新生を引き起こす。
【0004】
FLT−1およびKDRは、主に、血管内皮細胞に分布している。したがって、VEGFが血管内皮細胞に影響を与える活性は、非常に特異的である。VEGFは、内皮細胞の分化を促進し、内皮細胞の移動を誘導し、アポトーシスを阻害し、また、血管の形態学的な変化を引き起こす。つまり、VEGFは、非常に効果的に血管新生を促進させる因子である。
【0005】
腫瘍組織におけるVEGFの発現レベルは、正常組織におけるそれよりも高い。さらに、腫瘍の急激な成長は、しばしば、該腫瘍の内部で低酸素症を引き起こす。低酸素症は、さらに、VEGFの発現を誘導する。したがって、VEGFは、腫瘍の血管新生を促進させる重要な因子である。動物を用いた多くの研究によって、VEGFがその受容体に結合することを阻害することにより、腫瘍の血管新生は効果的に阻害され、その結果、腫瘍の成長が阻害されることが明らかとなった。例えば、糖尿病性網膜症および関節炎などのような他の血管新生が関与する疾患においても、VEGFはこれら疾患の進行に密接に関連している(Ferrara: Role of vascular endothelial growth factor in physiologic and pathologic angiogenesis: therapeutic implications. Semin. Oncol. 2002, 29 (6 sumppl): 10-14)。
【0006】
癌および他の疾患においてVEGFは重要な役割を果たしているため、VEGFを特異的に阻害するタンパク質または化学物質は、治療に利用できる可能性を有している。例えば、VEGFに対する中和抗体は、腫瘍の成長を効果的に阻害できることが研究により示されている(Jain: Tumor angiogenesis and accessibility: role of vascular endothelial growth factor, Semin. Oncol., 2002,29 (6 suppl): 3-9)。したがって、有効なVEGF阻害剤を新たに開発することは、臨床的な研究において重要である。FLT−1およびKDRは、VEGFの本来の受容体であるため、可溶性のFLT−1(FLT−1の細胞内ドメイン)および可溶性のKDR(KDRの細胞内ドメイン)の血管新生を抑制する機能を調べた研究がある(Yoko Hasumi: Soluble FLT-1 Expression Suppresses Carcinomatous Ascites in Nude Mice Bearing Ovarian Cancer. Cancer Research 62, 2002: 2019-2023)。上記可溶性のFLT−1は、in vitroにおいて、血管内皮細胞の成長を効果的に阻害することができる。しかし、上記可溶性のFLT−1は、血清半減期が短く、効果的な血清濃度には達しない。同様に、上記可溶性のKDRも、in vitroにおいて、血管内皮細胞の成長を阻害することができた。しかし、モデル動物における抗腫瘍活性は十分ではなかった(Yoko Hasumi: Soluble FLT-1 Expression Suppresses Carcinomatous Ascites in Nude Mice Bearing Ovarian Cancer. Cancer Research 62, 2002: 2019-2023)。上記従来技術の欠点を克服するために、本発明は、FLT−1およびKDRの種々の断片を含み、VEGFの生物学的活性を効果的に阻止し、血管新生を阻害する新規なキメラタンパク質を提供する。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明の第1の形態として、VEGFの生物学的な活性を阻止し、血管新生を阻害する新規な組み換えキメラタンパク質を提供する。
【0008】
本発明の第2の形態として、上記キメラタンパク質をコードするDNA配列を提供する。
【0009】
本発明の第3の形態として、上記キメラタンパク質をコードするDNA配列を含むベクター、および該ベクターの組み換え宿主を提供する。
【0010】
本発明の第4の形態として、VEGF活性を阻止し、血管新生を阻害する薬剤を調製するための上記キメラタンパク質の使用、上記キメラタンパク質と適切な医療担体とを含む医療用組成物およびその製剤、並びに、上記医療用組成物を用いた治療を提供する。
【0011】
本発明の重要な点は、種々のFLT−1またはKDRの断片をもつ一連のキメラタンパク質を設計し、作製すること、および、その後、VEGF結合アッセイを含む試験法を用いて、VEGFに対して高い親和性を有するキメラタンパク質を選択すること、さらに、最終的には、適切なVEGF阻害剤を取得することにある。上記キメラタンパク質は、ヒト免疫グロブリンのFcを含むことが好ましい。なお、その作製方法は、図1に示す。上記キメラタンパク質は、従来の分子クローニング技術を用いて作製する。実験の詳細な方法論は、Molecular Cloning, the 2nd or the 3rd edition (Joseph Sambrook)のようなラボマニュアルに記載されている。
【0012】
本発明によれば、組み換えDNA技術によって作製されたキメラタンパク質は、VEGF受容体であるFLT−1およびKDRの種々の断片を含む。また、上記キメラタンパク質は、KDRの第1Ig様ドメインと、FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3Ig様ドメインとからなるキメラタンパク質(「KDRd1-FLTd2-KDRd3」と称する);FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3および第4Ig様ドメインとからなるキメラタンパク質(「FLTd2-KDRd3,4」と称する);FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3Ig様ドメインと、FLT−1の第4Ig様ドメインとからなるキメラタンパク質(「FLTd2-KDRd3-FLTd4」と称する);FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3、第4、および第5Ig様ドメインとからなるキメラタンパク質(「FLTd2-KDRd3,4,5」と称する);並びに、FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3Ig様ドメインと、FLT−1の第4および第5Ig様ドメインとからなるキメラタンパク質(「FLTd2-KDRd3-FLTd4,5」と称する);からなる群より選択される。
【0013】
FLTd2のアミノ酸配列は、配列番号1に示されている。FLTd4のアミノ酸配列は、配列番号2に示されている。KDRd1のアミノ酸配列は、配列番号3に示されている。KDRd3のアミノ酸配列は、配列番号4に示されている。KDRd4のアミノ酸配列は、配列番号5に示されている。
【0014】
本明細書において、FLTは、FLT−1配列を示す。KDRは、KDR配列を示す。また、diは、FLT−1またはKDRにおける第iIg様ドメインを示す。
【0015】
好ましくは、本発明は、ヒト免疫グロブリンのFcを含む、一種のキメラタンパク質を提供する。このようなキメラタンパク質は、KDRd1-FLTd2-KDRd3-Fcと称されるFP2’;FLTd2-KDRd3,4-Fcと称されるFP3’;FLTd2-KDRd3-FLTd4-Fcと称されるFP4’;FLTd2-KDRd3,4,5-Fcと称されるFP5’;および、FLTd2-KDRd3-FLTd4,5-Fcと称されるFP6’;からなる群より選択されることが好ましい。
【0016】
本明細書において、Fcは、ヒト免疫グロブリンのFCに由来するヒト免疫グロブリンのFcの断片を示す。上記ヒト免疫グロブリンとしては、IgG、IgM、およびIgA、またはサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、IgG4が挙げられる。上記Fc領域は、Fc配列の全長であってもよし、CH2、CH3、またはヒンジ領域に由来するFc配列の断片であってもよい。
【0017】
図1に示すように、従来技術において知られているキメラタンパク質(「FP1’」と称する)は、FLT−1の第2Ig様ドメイン(FLTd2)と、KDRの第3Ig様ドメイン(KDRd3)と、ヒト免疫グロブリンのFcとからなる。本発明において提供されるキメラタンパク質FP2’は、FP1’にKDRの第1Ig様ドメイン(KDRd1)のアミノ酸配列を付加したものである。FP’2は、VEGFの結合部位が増加し、VEGFに対する親和性が向上されている。キメラタンパク質FP3’およびFP4’は、それぞれ、FP1’を基本として、KDRの第4Ig様ドメイン(KDRd4)またはFLT−1の第4Ig様ドメイン(FLTd4)のアミノ酸配列を付加したものである。FP5’およびFP6’は、それぞれ、FP1’を基本として、KDRの第4および第5Ig様ドメイン(KDRd4,5)、または、FLT−1の第4および第5Ig様ドメイン(KLT-1d4,5)の配列を付加したものである。これらの付加された配列は、キメラタンパク質の2量体化を促進し、VEGFの結合に適した3次元構造に折りたたみ、VEGFに対する親和性を向上させることができる。
【0018】
より好ましくは、本発明は、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するキメラタンパク質FP3を提供する。
【0019】
本発明において述べられるキメラタンパク質は、従来の組み換えDNA技術を用いて取得することができる。まず、上述したキメラタンパク質をコードする組み換えDNA配列を取得する。このとき、FLT−1およびKDRをコードするDNAは、GenBank(NCBI (National Center for Biotechnology Information))から利用することができる。次に、上述したキメラタンパク質をコードするDNA配列をPCRにより合成した後、ベクターにクローニングする。本発明において、上記ベクターは、通常、プラスミド、ウィルス、または分子生物学におけるDNA断片が用いられる。上記キメラタンパク質を細胞外に確実に分泌させるために、分泌のためのシグナル配列が、上記キメラペプチドのDNA配列の末端に挿入される。上記ベクターの配列は、遺伝子の転写を可能にするプロモーター領域、タンパク質の翻訳を開始させるシグナルおよび終止させるシグナル、並びにpoly A配列を含む。上記ベクターは、微生物の増殖に対する抗生物質の耐性遺伝子を含む。さらに、上記ベクターは、安定な形質移入細胞株を選抜するための真核細胞の選抜遺伝子を含む。
【0020】
FLT−1およびKDRにおける全てのIg様ドメインのアミノ酸配列について、完全な境界はないため、これらドメインの配列長にはバラツキがある。したがって、本発明において述べられるキメラタンパク質の配列には、同様に、バラツキがある。これら配列の全てのバリエーションは、本発明の範囲に含まれると理解されるものである。
【0021】
上述したキメラタンパク質のプラスミドを構築した後、該プラスミドは、上記キメラタンパク質を発現させるための宿主細胞に形質移入するために用いられる。これらキメラタンパク質の発現系は数多く存在する。上記発現系には、哺乳類細胞、微生物、酵母、および昆虫細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。上記のうち、哺乳類細胞および昆虫細胞は、真核細胞である。一方、微生物および酵母の細胞は、原核細胞である。哺乳類細胞で発現したタンパク質は、グリコシル化されている。本発明のキメラタンパク質は、グリコシル化部位を含むため、哺乳類細胞は、該キメラタンパク質を発現させるために最も適した細胞である。大スケールでタンパク質を製造するために適した哺乳類細胞の種類は多く存在する。例えば、293細胞、CHO細胞、SP20細胞、NS0細胞、COS細胞、BHK細胞、およびPerC6細胞などが挙げられる。また、他の多くの種類の細胞も、上記キメラタンパク質を発現させ、製造するために用いることができる。これらは、全て、本発明の範囲に含まれる。上述したキメラタンパク質をコードするプラスミドは、上記細胞に形質移入される。形質移入の方法には、エレクトロポレーション法、リポソームを用いたトランスフェクション、およびカルシウム沈殿法などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
また、これらキメラタンパク質を発現させるために、哺乳類細胞以外、例えば、微生物、酵母、および昆虫細胞などの発現系を用いることができる。これらは、すべて、本発明の範囲に含まれると考えるべきである。これらの発現系は、哺乳類細胞と比較して、タンパク質の製造収率がより高い。しかし、これらの発現系では、哺乳類細胞の発現系とは異なり、グリコシル化されていないタンパク質、またはグリコシル化された炭化水素鎖を有するタンパク質が製造される。
【0023】
上記キメラタンパク質を発現させた後、細胞培養培地におけるキメラタンパク質濃度を、ELISAまたはその他の試験法によって測定することができる。上記キメラタンパク質は免疫グロブリンのFc領域を含むため、該キメラタンパク質を、ProteinAアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製することができる。
【0024】
様々なキメラタンパク質を上記組み換え宿主細胞の培地から取得した後、それらキメラタンパク質の試験を行い、VEGFに対する親和性を比較する。上記試験は、VEGFの結合実験によって行う。さらに、それらキメラタンパク質のVEGF阻害活性を試験する。該試験は、VEGFによって誘導されるヒト血管内皮細胞の増殖実験によって行う。上記実験結果から、本発明において作製されたキメラタンパク質は、全て、従来技術であるFP1’と比較して、高い親和性でVEGFに結合できることが明らかとなった(図2)。さらに、本発明にかかるキメラタンパク質は、血管内皮細胞のVEGFによる活性化を効果的に阻止し、該内皮細胞の成長を阻害した。さらなる実験から、FP3は、本発明にかかるキメラタンパク質の中で、VEGFに対する阻害活性が最も高く、最も効果的にVEGFを阻止することが明らかとなった。
【0025】
このように、本発明において作製されるキメラタンパク質は、VEGFに対する非常に高い阻害活性を有する。また、上記キメラタンパク質は、全て、血管新生を抑制する生物学的活性を有する。したがって、血管新生またはVEGFに関連する疾患を治療するために用いることができる。上記疾患には、様々な腫瘍、糖尿病性網膜症、関節炎、貧血症、および子宮内膜増殖症などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
in vivoにおいて上記キメラタンパク質が血管新生を抑制する効果をさらに実証するために、いくつかの動物モデル実験を行った。これらの実験の結果から、B16F10メラノーマBALB/Cヌードモデルマウス、およびヒトPC−3前立腺腫瘍異種移植モデルマウスにおいて、本発明のキメラタンパク質は、従来技術のFP1’よりもずっと優れており、腫瘍の成長を効果的に阻害し、動物の寿命を延ばすことが明らかとなった。このように、本発明のキメラタンパク質は、高い抗癌活性を有する。
【0027】
また、本発明は、上述したキメラタンパク質および適切な医療担体を含む医療用組成物を提供する。該医療用組成物は、従来の調合方法を用いて、あらゆる製剤に調合することができる。中でも、注射剤に調合することが好ましく、凍結乾燥された形態に調合されることがさらに好ましい。
【0028】
〔具体的な実施形態〕
図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる5つのキメラタンパク質および従来技術のFP1の構造を示す。これらは、遺伝子工学技術により、FLT−1、KDR、および免疫グロブリンのFc領域に由来する様々な断片を用いて作製される。
【0029】
図2は、本発明の好ましい実施形態にかかる5つのキメラタンパク質のVEGFへの結合を、従来技術のFP1のVEGFへの結合と比較した結果を示す。OD値は、VEGFにキメラタンパク質が結合していることを表すシグナルを示す。上記結果から、上記5つのキメラタンパク質は、全て、FP1よりも非常に高い親和性で、VEGFに結合することが明らかとなった。また、上記5つのキメラタンパク質のうち、FP3は、最も親和性が高いことが明らかとなった。
【0030】
図3は、本発明のキメラタンパク質は、FP1と比較して、in vitroでヒト血管内皮細胞の増殖を効果的に阻害することを示す。図4は、キメラタンパク質FP3は、マウスにおいて、B16F10メラローマ腫瘍の成長を効果的に阻害することを示す。図5は、キメラタンパク質FP3は、マウスにおいて、ヒトPC−3前立腺腫瘍の成長を効果的に阻害することを示す。図6は、本発明のキメラタンパク質FP6のマウスにおける腫瘍の成長抑制活性と、従来技術のFP1のそれとを比較するものである。
【0031】
以下の例は、本発明で述べるキメラタンパク質の作製、実験方法、および用途を詳細に記載するものである。しかし、これらの例は、本発明の保護範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。
【0032】
<実施形態1:キメラタンパク質をコードするDNA配列のクローニングおよび組み換えベクターの構築>
免疫グロブリンのFcをコードするDNA配列を除いて、本発明の様々なキメラタンパク質をコードするDNA配列は、FLT−1およびKDRのcDNAに由来するものである。FLT−1およびKDRは、主に、血管内皮細胞で発現されるため、ヒトの臍静脈内皮細胞(HUVEC)から、RNA精製キット(QIAGEN)を用いて、全RNAを抽出した。その後、AMV逆転写酵素(Promega)を用いて、RNAからcDNAを合成した。そして、様々なプライマーを用いて、様々なFLT−1断片およびKDR断片をPCRにて増幅させた。最終的に、FLT−1、KDR、およびヒト免疫グロブリンのFc(IgG1 Fc)の配列をPCRによって、融合し、様々なキメラタンパク質をコードする組み換えDNA配列を構築した。従来技術のFP1を含む、6つ全てのキメラタンパク質の構造を図1に示す。
【0033】
〔実施例1:FP3をコードする配列および組み換えベクターの構築〕
EGM−2培地(Clonetics)を用いて、T−175フラスコ内で、HUVEC細胞(Clonetics)を培養した。1×10個の細胞を収集し、RNA精製キット(QIAGEN)を用いて、全RNAを抽出した。その後、cDNAキット(Invitrogen)を用いて、cDNAを合成した。そのcDNA産物は、使用するまで−80℃で保存した。上記のHUVEC由来のcDNAから、FLT−1およびKDRの様々なドメインをPCRにより増幅させるために、以下の特異的なプライマーを用いた。また、リンパ節cDNA(BD Clontech)から、ヒトIgG1 FcをPCRにより増幅させるために、以下の特異的なプライマーを用いた。
【0034】
プライマー:
FLT-1 d2 forward: 5’-cctttcgtagagatgtacagtga-3’
FLT-1d2 reverse: 5’-tatgattgtattggtttgtccat-3’
KDR d3-4 forward: 5’-gatgtggttctgagtccgtctca-3’
KDR d3-4 reverse: 5’-cggtgggacatacacaaccaga-3’
ヒトIgG1 Fc forward: 5’-gacaaaactcacacatgcccact-3’
ヒトIgG1 Fc reverse: 5’-tcatttacccggagacagggagag-3’
Ig様ドメインおよびヒトIgG1 Fcの断片は、以下の条件のPCRにより増幅された。
変性:95℃で30秒間
アニーリング:56℃で45秒間
伸長:72℃で2分間
サイクル数:30サイクル。
【0035】
その後、PCR産物は、TAクローニングキットを用いて、プラスミドpCR2.1(Invitrogen)にクローニングされた。E.coli(JM109)に形質転換した後、白いコロニーを選び取り、LB培地で一晩培養した。Qiagenのキットを用いて、DNAプラスミドを調製し、酵素消化して、DNA配列解読を行った。
【0036】
EcoRI部位を含むプライマーを用いて、FLT−1、KDR、およびIgGのFcのcDNAを、PCRにより縫い合わせ、融合させた。EcoRIで消化した後、DNA断片を、Qiagenの精製キットを用いて精製した。そして、プラスミドpcDNA3.1にクローニングした。E.coli(JM109)に形質転換した後、ポジティブコロニーを選び取り、LB培地で一晩培養した。Qiagenのプラスミド精製キットを用いて、DNAプラスミドを抽出し、その後、酵素消化して、DNA配列解読を行った。こうして得られたFP3をコードするDNA配列を配列番号6に示す。上記の通り確認されたプラスミドを用いて、293細胞またはCHO細胞に形質移入し、FP3を発現する安定な細胞株を取得した。FP3のアミノ酸配列を、配列番号7に示す。
【0037】
〔実施例2:FP1遺伝子および組み換えベクターの構築〕
FP1は、FLT−1の第2Ig様ドメイン、KDRの第3Ig様ドメイン、および実施例1と同一のヒトIgG1 Fcを融合させて目的の組み換えDNAを構築したことを除いて、実施例1と同様にして作製した。
【0038】
〔実施例3:FP2遺伝子および組み換えベクターの構築〕
FP2は、KDRの第1Ig様ドメイン、FLT−1の第2Ig様ドメイン、KDRの第3Ig様ドメイン、および実施例1と同一のヒトIgG1 Fcを融合させて目的の組み換えDNAを構築したことを除いて、実施例1と同様にして作製した。
【0039】
〔実施例4:FP4遺伝子および組み換えベクターの構築〕
FP4は、FLT−1の第2Ig様ドメイン、KDRの第3Ig様ドメイン、FLT−1の第4Ig様ドメイン、および実施例1と同一のヒトIgG1 Fcを融合させて目的の組み換えDNAを構築したことを除いて、実施例1と同様にして作製した。
【0040】
〔実施例5:FP5遺伝子および組み換えベクターの構築〕
FP5は、FLT−1の第2Ig様ドメイン、KDRの第3、第4、および第5Ig様ドメイン、並びに実施例1と同一のヒトIgG1 Fcを融合させて目的の組み換えDNAを構築したことを除いて、実施例1と同様にして作製した。
【0041】
〔実施例6:FP6遺伝子および組み換えベクターの構築〕
FP6は、FLT−1の第2Ig様ドメイン、KDRの第3Ig様ドメイン、FLT−1の第4および第5Ig様ドメイン、並びに実施例1と同一のヒトIgG1 Fcを融合させて目的の組み換えDNAを構築したことを除いて、実施例1と同様にして作製した。
【0042】
<実施形態2:細胞内でのキメラタンパク質の発現>
〔実施例7:キメラタンパク質FP3の発現〕
上述した組み換えプラスミドの構築の後、Qiagenのプラスミドキットを用いて高品質のプラスミドDNAを取得した。その後、FUGEN6トランスフェクションキット(Roche)を用いて、293細胞(ATCC)に形質移入した。キメラタンパク質の発現させるために、必要とされるタンパク質の量に応じて異なる2つの方法を用いた。
【0043】
第1の方法は、一過性の形質移入法である。この方法を用いて、少量のキメラタンパク質を製造した。まず、10%FBSを含むDMEM培地を用いて、組織培養皿内で293細胞を培養した。60〜80%の細胞密集率(cell confluence)のとき、プラスミドDNAとFUGEN6試薬との混合物を上記培養液中に添加した。翌日、上記培地を血清無添加のDMEMに交換した。そして、さらに3日間、上記細胞の培養を続けた。その後、培地を回収した。これらの培地は、発現したキメラタンパク質を含んでおり、該キメラタンパク質の濃度を、ELISAによって検定した。
【0044】
第2の方法は、安定な形質移入法である。安定な細胞株を確立し、上記キメラタンパク質を大量に製造した。宿主細胞は、再び293細胞(ATCC)とした。組み換えプラスミドを形質移入する工程は、上述した一過性の形質移入法と同一とした。しかし、第2日目に、ネオマイシンを含むDMEMで細胞を培養し、有限希釈によりクローン化した。約21日後、ネオマイシン耐性クローンを選び取り、より大きなスケールで培養した。最終的に、撹拌フラスコ内で、キメラタンパク質を発現させた。キメラタンパク質の濃度をELISAにより検定した。
【0045】
FP3は、アフィニティークロマトグラフィーおよびゲルろ過などを含む試験法を用いて、培養された培地から精製された。FP3の分子量は、140KDであった。
【0046】
〔実施例8:他のキメラタンパク質の発現〕
キメラタンパク質FP1、FP2、FP4、およびFP5を、実施例7の方法に従って、取得した。
【0047】
<実施形態3:上記キメラタンパク質のVEGFに対する結合実験>
本発明において、キメラタンパク質のVEGFに対する親和性は、VEGF結合アッセイによって調べた。まず、組み換えVEGFタンパク質(Chemicom)を、96穴ELISAプレートにコートした。その後、該プレートにおいて、タンパク質が非特異的に結合する部分を、5%ミルク溶液を用いてマスクした。次に、様々なキメラタンパク質を、様々な濃度で、各ウェルに添加した。そして、37℃で2時間インキュベートした。洗浄後、ウサギ抗ヒトIg−HRP(Sigma)を各ウェルに添加した。最終的に、発色させるための酵素の基質を上記プレートに添加した。吸光度ODの読取値は、ELISAプレートリーダーを用いて、記録した。より高いOD値は、該キメラタンパク質のVEGFに対する結合親和性がより高いことを示した。
【0048】
図2に示すように、本発明の実施形態において構築し、発現させた5つ全てのキメラタンパク質は、VEGFに結合することができた。また、従来技術のFP1よりも高い親和性を有していた。VEGFとの結合は、1μg/mlという低濃度で検出することができた。好ましくは、FP3は、最も高い親和性を有しており、最もよいVEGF阻害剤であった。その半最大結合濃度(half maximal binding concentration)は、FP1のそれよりも約5倍低かった。FP5は、FP3よりもわずかに親和性が低かった。これらの結果は、KDRの第4Ig様ドメインは、該キメラタンパク質のVEGFに対する阻害活性を実質的に増加させることを示唆している。しかし、第5Ig様ドメインのようなKDRドメインをさらに付加しても、VEGFに対する阻害効果をさらに強化することはできなった。残りの3つのキメラタンパク質は、FP3およびFP5と比較すると、低い親和性しか示さなかったが、FP1よりも高い親和性を示した。
【0049】
<実施形態4:in vitroにおけるヒト血管内皮細胞の増殖の、上記キメラタンパク質による効果的な阻害>
本発明のこの好ましい実施形態は、上記キメラタンパク質が、血管内皮細胞のVEGFによって誘導される増殖を効果的に阻止することを立証することである。実験では、HUVEC細胞(Clonetics)を、2%FBSおよび15ng/mlのVEGFを含むEBM培地を入れた96穴組織培養プレートに移した。キメラタンパク質を含む293細胞の上清を、様々な量で上記プレートに添加した。ネガティブコントロールとして、キメラタンパク質を含まない非形質移入293細胞の培地を用いた。HUVEC細胞は全て、37℃で3日間培養した。その後、細胞密度を、細胞計測により測定した。
【0050】
HUVECの増殖実験から、本発明に従って作製された5つのキメラタンパク質は全て、従来技術のFP1よりも効果的に血管内皮細胞の増殖を阻害できることが明らかとなった(図3)。上記実験におけるHUVEC細胞の増殖は、VEGFの活性化によって誘導される。したがって、5つのキメラタンパク質は全て、VEGFの受容体の活性化を阻害でき、抗血管新生活性を有することを示唆している。上記5つのキメラタンパク質のうち、FP3は、HUVEC細胞に対して、最も高い阻害効果を示し、そのIC50は、約3ng/mlであった。従来技術のFP1のIC50は、約12ng/mlであった。また、FP2、FP4、FP5およびFP6のICは、全て、約5〜8ng/mlであった。
【0051】
<実施形態5:マウスにおける腫瘍増殖の上記キメラタンパク質による阻害>
〔実施例9:上記キメラタンパク質を含む注射剤の調製〕
24mg/mlのFP3、5mMのPB、100mMのNaCl、および20%ショ糖を用いた注射剤を、従来のありふれた方法を用いて調製した。
【0052】
〔実施例10:マウスにおけるB16F10メラローマ細胞の増殖の、上記キメラタンパク質による効果的な阻害〕
本発明のキメラタンパク質の用途の1つは、VEGF阻害剤として、抗癌治療に用いることである。VEGFに対して、非常に効果的な遮断効果を有するため、FP3を、モデル動物における抗腫瘍実験を行うために選択した。
【0053】
上記モデル動物は、急激に増殖する腫瘍細胞の一種であるB16F10メラローマ細胞をもつマウスであった。実験では、まず、1×10個のB16F10細胞(0.05ml)をBALB/Cヌードマウスの背中に、皮下注射した。その後、精製キメラタンパク質を、マウス1匹(マウスの平均体重22g)当たり400μgずつ、週に2回、腹腔内注射した。同じ量の精製ヒト免疫グロブリンのFcをネガティブコントロールのマウスに注射した。腫瘍の増殖曲線を図4に示した。それは、キメラタンパク質FP3が上記メラローマ細胞の成長を効果的に阻害することを示した(P<0.01)。
【0054】
〔実施例11:マウスにおける異種移植された前立腺癌の増殖の、上記キメラタンパク質による効率的な阻害〕
ヌードマウスにおいて成長するヒト腫瘍細胞の異種移植モデルは、動物モデルの一つである。それは、ヒトの腫瘍と最も類似している。ヌードマウスは免疫拒絶を欠くので、ヌードマウス内で多くのヒト腫瘍細胞を成長させることができる。キメラタンパク質FP3が、BALB/Cヌードマウスにおけるヒト前立腺腫瘍PC−3細胞(ATCC)の増殖を阻害することを調べた。このモデルでは、まず、1×10個の細胞(0.05ml)をマウスの背中に皮下注射した。その後、精製キメラタンパク質をマウス1匹当たり400μgずつ、週に2回、腹腔内注射した。同量の精製ヒト免疫グロブリンのFcをネガティブコントロールのマウスに注射した。上記実験の結果を図5に示した。コントロールのマウスでは、腫瘍は、移植後、45日目で、1000mmよりも大きく成長した。しかし、上記キメラタンパク質を投与したマウスでは、FP3は上記腫瘍の成長をほぼ完全に阻害した(P<0.01)。このことは、FP3の治療上の著しい抗腫瘍効果を示すものである。
【0055】
<実施形態6:マウスにおける腫瘍の成長阻害に関する、キメラタンパク質FP3と従来技術のFP1との比較研究>
FP3の非常に優れた抗癌活性をさらに実証するために、腫瘍の成長実験において、FP1およびFP3の効果を比較した。健常なBALB/Cヌードマウスを10匹選択し、それぞれの背中に、1×10個のラット膠芽細胞腫C6細胞(0.05ml)を皮下注射した。その後、2.5mg/kgの精製PF1またはPF3を、それぞれ、週に2回、31日目まで腹腔内注射した。同量の精製ヒト免疫グロブリンのFcを、ネガティブコントロールのマウスに注射した。上記実験の結果を図6に示した。FP1およびFP3は共に、上記腫瘍に対して著しい治療効果を示した。35日目のFP1およびFP3を投与されたマウスの腫瘍容積は、それぞれ、1167.3および557.6であった。一方、Fcで処理をしたコントロールマウスの腫瘍容積は、24日目で、すでに1312.3に達した。したがって、FP3は、従来技術のFP1よりも著しい効果を示した(P<0.05)。
【0056】
以上をまとめると、本発明に従って作製されたキメラタンパク質は、VEGFに対して高い親和性を有していた。また、in vitroでの血管内皮細胞の増殖を阻害することができた。さらに、in vivoにおいて、腫瘍の成長を効果的に阻害した。血管新生は、全ての腫瘍の増殖において重要であるため、本発明のキメラタンパク質は、多くの腫瘍に対する治療用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる5つのキメラタンパク質および従来技術のFP1の構造を示す図である。
【図2】図2は、本発明の好ましい実施形態にかかる5つのキメラタンパク質のVEGFへの結合を、従来技術のFP1のVEGFへの結合と比較した結果を示す図である。
【図3】図3は、本発明のキメラタンパク質が、FP1と比較して、in vitroにおけるヒト血管内皮細胞の増殖を効果的に阻害することを示す図である。
【図4】図4は、キメラタンパク質FP3が、マウスにおいて、B16F10メラローマ腫瘍の成長を効果的に阻害することを示す図である。
【図5】図5は、キメラタンパク質FP3が、マウスにおいて、ヒトPC−3前立腺腫瘍の成長を効果的に阻害することを示す図である。
【図6】図6は、本発明のキメラタンパク質FP6のマウスにおける腫瘍の成長抑制活性と、従来技術のFP1のそれとを比較した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
VEGF受容体であるFLT−1およびKDRの様々な断片からなる一種のキメラタンパク質であって、以下の(a)〜(e)からなる群より選択されることを特徴とするキメラタンパク質。
(a)KDRの第1Ig様ドメインと、FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3Ig様ドメインとからなり、KDRd1-FLTd2-KDRd3と称されるキメラタンパク質
(b)FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3および第4Ig様ドメインとからなり、FLTd2-KDRd3,4と称されるキメラタンパク質
(c)FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3Ig様ドメインと、FLT−1の第4Ig様ドメインとからなり、FLTd2-KDRd3-FLTd4と称されるキメラタンパク質
(d)FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3、第4、および第5Ig様ドメインとからなり、FLTd2-KDRd3,4,5と称されるキメラタンパク質
(e)FLT−1の第2Ig様ドメインと、KDRの第3Ig様ドメインと、FLT−1の第4および第5Ig様ドメインとからなり、FLTd2-KDRd3-FLTd4,5と称されるキメラタンパク質
【請求項2】
請求項1に記載のキメラタンパク質とヒト免疫グロブリンのFcとからなる一種のキメラタンパク質であって、以下の(f)〜(j)からなる群より選択されるキメラタンパク質。
(f)KDRd1-FLTd2-KDRd3-Fcと称されるFP2’
(g)FLTd2-KDRd3,4-Fcと称されるFP3’
(h)FLTd2-KDRd3-FLTd4-Fcと称されるFP4’
(i)FLTd2-KDRd3,4,5-Fcと称されるFP5’
(j)FLTd2-KDRd3-FLTd4,5-Fcと称されるFP6’
【請求項3】
上記ヒト免疫グロブリンのFcは、ヒト免疫グロブリンのクラスまたはサブクラスに由来する請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項4】
上記免疫グロブリンのFcの断片は、全長のFcまたはFc配列の断片である請求項3に記載のキメラタンパク質。
【請求項5】
アミノ酸配列が、配列番号7で表される請求項2に記載のキメラタンパク質FP3。
【請求項6】
請求項1〜4のキメラタンパク質をコードする組み換えDNA。
【請求項7】
請求項5に記載のキメラタンパク質をコードする組み換えDNAであって、DNA配列が、配列番号6で表される組み換えDNA。
【請求項8】
請求項6または7に記載の組み換えDNAの配列を含み、
プラスミド、ウィルス、またはDNA断片から選択されるベクター。
【請求項9】
請求項8に記載の組み換えベクターを含み、
真核細胞または原核細胞である組み換え宿主。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のキメラタンパク質の使用方法であって、
該キメラタンパク質を抗血管新生の薬剤の調製に用いる使用方法。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のキメラタンパク質と、薬学的に許容可能な担体とを含む薬学的組成物。
【請求項12】
注射溶液である請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
請求項11に記載の薬学的組成物の使用方法であって、
該薬学的組成物を、腫瘍、糖尿病性網膜症、関節炎、貧血症、および子宮内膜増殖症を含む、血管新生に関連する疾患の治療に用いる使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−503243(P2008−503243A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526176(P2007−526176)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000802
【国際公開番号】WO2005/121176
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(506405437)ツェンドゥー カンホン バイオテクノロジーズ カンパニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】