説明

血管新生因子の局所供給を用いる、慢性全梗塞を処置するための拡張可能な医療装置および方法

心臓における血管梗塞を処置する方法が、自己持続性血管を確立するのに充分な延長された投与期間に亘って、移植可能な装置から該血管壁へと局所的に、血管新生剤を供給する。血管新生剤供給用の拡張可能な医療装置は、血管新生を促進させる1つ以上の血管新生剤を供給するために、拡張可能な該医療装置構造中に、開口部を包含する。本装置は引き続き、例えば慢性全梗塞と関連した疾患および病状を処置するために、血管新生を促進させる複数の薬剤を供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2002年11月8日に出願された米国仮出願第60/424,896号への優先権を請求し、該仮出願はその全体を、本明細書中において援用される。
【0002】
本発明は、血管新生を促進させるために、1つ以上の血管新生組成物を動脈壁へと供給することにより、慢性全梗塞を処置するための、拡張可能な医療装置の使用に関する。本発明はまた、血管新生を促進させる複数の薬剤の連続的供給に有用である。
【背景技術】
【0003】
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【0023】
関連技術の要約
慢性的に梗塞または狭窄した血管は、組織への適切な血流を妨げる。慢性的に梗塞した動脈の処置は、四半世紀に及ぶ経皮的血管形成術の後でさえ、問題となったままである。この疾患の処置のための従来の血管形成術の原理的な限界は、梗塞を貫通する小チャネルが作り出されて、ガイドワイヤおよび血管形成装置の貫通を可能にしなくてはならないということである。従来の血管形成術は、ガイドワイヤを梗塞(部位)に貫通させ、バルーンを用いて拡張し、そしてしばしば切開したての梗塞を横断してステントを置くことにより、患者の50%近くにおいて成功することがある。再梗塞または再狭窄は、非梗塞または非狭窄血管の処置に比較して、慢性梗塞血管の処置においてより高率である。しかしながら、多くの梗塞は、この技術を使用して処置され得ない。レーザー、アテローム切開、超音波、顕微鏡、および血栓溶解を包含するがこれらに限定されない種々の代わりの技術が開発され、評価されてきた。これらの方法のいずれもが、有利さを証明するものではない。
【0024】
ある種の形態の狭窄した血管は、上手な外科手術または経皮処置に対して従順ではない。これらは、分散して病態化した血管、小直径血管、蛇行血管、石灰化した血管、妨げられた血管流出量を組織床に供給する血管を包含するが、これらに限定されない。
【0025】
動脈の外側中へと注入されるかまたは適用される血管新生因子を使用する数多くの研究が、報告されている。このような血管新生因子は、タンパク質、DNA、または遺伝子断片を包含している。暫定的な結果が得られてきているが、定まったものではない。先行技術の研究の原理的な限界は、これら血管新生因子を、局所的および持続した期間に亘って供給できないことにあった。このため、血管新生因子の最適下限での供給により、効率は妥協されてきた。
【0026】
血管新生の俯瞰
血管形成は、細胞外マトリックス(ECM)、可溶もしくは不溶のポリペプチド、および細胞表面受容体間での連続的相互作用を含んだ、込み入ったプロセスである。該プロセスは、胚新生の間に始まり、この時中葉細胞は、凝集して血管細胞の「島(island)」を形成する血管芽細胞へと分化する。「島」の内側および外側の細胞は更にそれぞれ、造血前駆細胞および始原内皮細胞(血管芽細胞)へと分化する。塩基性線維芽成長因子(bFGF)およびVEGF−A受容体は、これらの分化現象に関連している(Carmeliet,P.およびCollen,D.(1999))。
【0027】
血管新生として知られるプロセスでは、血管芽細胞が、始原血管キャピラリー中へと移動して集まり(キャピラリー叢)、これは、管腔および外側として区別可能な表面を含んでいる。血管新生は、VEGF−A、bFGF、フィブロネクチン、αvβ3インテグリン、VEカドヘリン、および形質転換成長因子(TFG)−β1のような、ポリペプチド性因子を含んだものである。このプロセスもまた、2つのVEGF−A受容体:血管新生を促進させるVEGF受容体−2および該プロセスを阻害するVEGF受容体−1の間での、調整的な引っ張り合いを含んだものである。α5インテグリン受容体も、役割を演じることがある。ECMおよびその周囲の周辺細胞は、血管新生の間に形成される始原キャピラリーに浸潤し、陥入および分岐を引き起こし、結果的にキャピラリー・ループを与えることがある。該プロセスはまた、アンジオ(アンギオ)ポエチン、TIE受容体、およびECMポリペプチドと協調して、VEGF−Aによっても媒介される(Carmeliet,P.およびCollen,D.(1999))。
【0028】
VEGF−Aのような血管新生因子に対する応答では、出現するこのキャピラリー・ネットワークが、血管新生と呼ばれるプロセスにおいて、更なる分岐、延長、および接続を生じさせる。血管新生の間、既存のキャピラリーのECMは、将来の血管部位において、tPAおよびuPA同様、マトリックス・メタロプロテアーゼにより、タンパク質分解される。該ECM分断部位の内皮細胞は、これらの血管新生因子に向かって分かれ、移動し、新しい血管になる内皮細胞の軸索を形成する。出現するこれらの軸索は、フィブロネクチンおよびα4インテグリンを含んだプロセスにおいて、他のキャピラリーと融合する。VE−カドヘリン、Ang1、Ang2、組織因子、TGF−β1、血小板由来成長因子(PDGF)−B、TIE2、および他の血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インシュリン様成長因子、内皮成長因子、血小板由来内皮細胞成長因子(PD−ECGF)、血小板因子4(PF4)、低酸素血症誘導因子(HIF−1)、トロンボスポンジン(TSP−1)、腫瘍壊死因子(TNF)、アンジオ(アンギオ)ゲニン、線維芽成長因子受容体(FGFR)、プロリフェリン、プラスミノーゲン活性剤阻害剤タイプ1(PAI−1)、インターロイキン8(IL−8)、高分子量キニノーゲン(HMWK)、ならびにスフィンゴシン1−リン酸等が全て、血管新生において関係している。後にエラスチンおよびフィブリリンが、最もありがちなのは血流が確立した後に、これらの血管中において積層される(Carmeliet,P.およびCollen,D.(1999);Freedman,S.B.およびIsner,J.M.(2002);Simons,M.(2001);Davda,J.およびLabhasetwar,V.(2001);Zimmerman,M.A.ら(2001);ならびにこれらの中の引用文献)。
【0029】
血管新生のプロセスは、胚新生に限定されるものではない。血管新生は、低酸素血症および虚血に対する自然な応答であり、傷の修復および胎盤の成長のような正常な生理学的プロセスと密接に関連している。血管新生は、病原性疾患・病状にも関連し、これらは腫瘍成長を包含する(Freedman,S.B.およびIsner,J.M.(2001);Davda,J.およびLabhasetwar,V.(2001);Browder,T.ら(2000);ならびにこれらの中の引用文献)。
【0030】
ヒトの疾患および傷における血管新生の重要性の観点では、臨床状態における血管新生を促進するのに有用な血管新生剤を同定するための更なる研究が、実施されている。In vivoにおいて血管新生を誘導することが示された幾つかの血管新生ポリペプチドが、以降より詳細に記載される。
【0031】
血管内皮成長因子(VEGF):
VEGFは、内皮細胞の増殖および転移を促進し、内皮組織、好中球、および単核細胞により発現される、構造的に関連した糖タンパク質ファミリーである。VEGFはまた、血管透過性を増大させ、結果的に種々の血漿成分の漏出に至る。VEGFは構造的相同性を分かち合うものの、ヘパリン結合活性に関しては異なる。現在では、VEGFファミリーは、VEGF(VEGF−A)、VEGF−1、VEGF−2(VEGF−C)、VEGF−3(VEGF−B)、VEGF−D、VEGF−E、および、胎盤成長因子と名付けられたもう1つ別のポリペプチドを包含する。加えて、代わりのスプライシングが結果的に、VEGF−1の他のアイソフォーム、つまり、VEGF121、VEGF145、VEGF165、VEGF189、およびVEGF206を与え、ここで数字は、これらの成熟ペプチド中のアミノ酸残基数である(Freedman,S.B.およびIsner,J.M.(2002);Simons,M.(2001);Davda,J.およびLabhasetwar,V.(2001);Zimmerman,M.A.ら(2001);ならびにこれらの中の引用文献)。
【0032】
酸性および塩基性線維芽成長因子:
酸性FGF(aFGF、FGF−1)および塩基性FGF(bFGF、FGF−2)は、細胞表面ヘパリンおよびヘパリン硫酸を使用して標的チロシン・キナーゼ受容体への結合を媒介するポリペプチドの、巨大なファミリーのメンバーである。FGFは、種々のタイプの細胞にとってのリガンドであり、内皮細胞にとっての潜在的有糸分裂促進剤である。FGF結合に対する応答において、内皮細胞は、プラスミノーゲン活性化剤やメタロプロテアーゼのようなプロテアーゼを産生するが、これらは、細胞外マトリックス分解において含まれているものである(Freedman,S.B.およびIsner,J.M.(2002);Davda,J.およびLabhasetwar,V.(2001);Nugent,M.A.およびIozzo,R.V.(2000);ならびにこれらの中の引用文献)。
【0033】
低酸素血症誘導因子(HIF−1):
HIF−1は、VEGF、VEGF受容体、およびAng−2を包含する、血管新生に関連した幾つかの遺伝子を活性化する転写因子である。正常な生理学的条件下では、このポリペプチドのαサブユニットが急速に分解されるが、低酸素条件は結果的に該αサブユニットの分解を抑え、HIF−1活性を上昇させる。低酸素血症応答に結びつくことに加えて、ある種の血管新生関連遺伝子の要素であるHIF−1がまた、3’(および恐らく5’も)非翻訳領域へと結合することによりRNAを安定化させることがあり、血管新生関連mRNAの、キャップ(cap)から独立した翻訳(領域)に含まれていることもある(Simons,M.(2001);Freedman,S.B.およびIsner,J.M.(2001);ならびにこれらの中の引用文献)。
【0034】
血球成長因子(HGF):
HGFは、内皮細胞の増殖、転移、および侵入;平滑筋細胞からのVEGF産生;ならびにプロテアーゼ産生を促進させる(Davda,J.およびLabhasetwar,V.(2001);Webster,K.A.(2000);ならびにこれらの中の引用文献)。
【0035】
実験データは更に、複数の血管新生因子が、血管新生の間の特定の時間において投与され、成熟した安定な血管形成を媒介するよう要求されることを、示唆するものである。例えばVEGFは、第2の分岐および複雑さを欠く薄壁洞状血管の産生を刺激する。しかしながら、引き続いてのAng−1投与は更なる分岐を誘導し、未熟なVEGF誘導血管壁へと、平滑筋細胞(および恐らく他の内皮支持周辺細胞も)を動員させる。
【0036】
血管新生に含まれるポリペプチドの同定は、虚血または低酸素血症を患う患者のための臨床治療開発における重要なステップである。しかしながら、血管新生因子を用いる単純な全身処置は、低血圧および浮腫(例えばVEGFを用いたときに観察されるような)ならびに全身毒性、血小板減少症、および貧血(例えばFGFを用いたときに観察されるような)を引き起こしかねない(Freedman,S.B.およびIsner,J.M.(2001);Davda,J.およびLabhasetwar,V.(2001))。局所的な虚血、例えば、心臓および周辺動脈の慢性全梗塞に由来する虚血の処置は、選択された生理学的標的のみへの血管新生剤の供給を要求する(例えば、Simons,M.(2001)参照)。しかしながら、有益な薬剤の適切な供給ビヒクルが当業界にないことが、臨床状態において血管新生因子を供給する試みを苛立たせてしまっている。
【0037】
有益な薬剤の供給のための拡張可能な医療装置
体内の「通路」の通りを維持するための「通路」内での移植用の永久的な装置および生分解性の装置が、開発されてきた。これらの装置は典型的には経皮的に導入され、所望の位置に位置付けされるまで、経腰大動脈経由で輸送されてきた。これらの装置は次いで、該装置の内側に位置する心軸もしくはバルーンの拡張によるなどして機械的に拡張されるか、あるいは、これらの装置自体が、体内での稼働時に貯えられたエネルギーを放出することによって拡張する。一旦この「通路」内で拡張されると、ステントと呼ばれるこれらの装置は体内組織内に包み込まれ、永久的に移植物を残す。
【0038】
既知のステントデザインは、単フィラメントワイヤーコイルステント(米国特許第4,969,458号明細書);溶接金属ケージ(米国特許第4,733,665号明細書および米国特許第4,776,337号明細書);ならびにその周囲に形成される鉛直のスロットを有する薄壁金属シリンダー(米国特許第4,733,665号明細書;米国特許第4,739,762号明細書;および米国特許第4,776,337号明細書)を包含する。ステントにおける使用のための既知の構築材料は、ポリマー、有機繊維、ならびに、ステンレス鋼、金、銀、タンタル、チタン、コバルト主体の合金、およびNitinolのような形状記憶合金のような、生体相容性金属を包含する。
【0039】
米国特許第4,733,665号明細書;米国特許第4,739,762号明細書;および米国特許第4,776,337号明細書は、鉛直のスロットを有する薄壁管状部品形態の、拡張可能で変形可能な、血管間での血管移植物を開示し、これは、これらの部品が体内「通路」と接触するように、外側に向かって急速に拡張されるようにするものである。挿入後、これらの管状部品は、これらの弾性限界を超えて機械的に拡張され、このため体内において永久的に固定される。
【0040】
コーティングされたステントは、種々の有益な薬剤を放出するようデザインされるが、決まって結果的に、ステント移植とよく関連する病状である再狭窄を抑制することが示されている。例えば、米国特許第5,716,981号明細書は、ポリマーキャリアとパクリタキセル(癌腫瘍処置において汎用されるよく知られたチューブリン集合阻害剤)とを含む組成物を用いて表面をコーティングされたステントを開示するものである。
【0041】
しかしながら、血管新生剤の供給用ステントの使用に直面する主要な技術的障害は、該ステントのコーティングの厚さである。ステントのコーティングは必ずや非常に薄く、典型的には5〜8ミクロンである。該ステントの表面積は比較的広いので、有益な薬剤は全て非常に短い拡散経路を持つことになり、その周囲の組織中へと放出される。この問題は、有益な薬剤の長きに亘る供給を要する治療にとって特に問題である。該表面コーティングの厚さを増すことは、薬剤放出速度論的な向上をもたらすが、それはまた、ステントの厚さ全体の望まれない増加という結果にもなる。
【0042】
これゆえに、血管新生組成物の長きに亘る供給が可能な薬剤供給ステントを提供することができれば、望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
本発明は、1つ以上の血管新生剤を移植部位へと供給して血管新生を刺激することにより慢性的な梗塞全体を処置する方法および拡張可能な医療装置を提供することによって、当業界における必要性を満足させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明の1態様によれば、梗塞した血管を処置する方法は、梗塞血管を同定し、該血管中の梗塞部位もしくはこの近傍の移植部位を同定し;この選択された移植部位へと向かう該梗塞血管中へと拡張可能な医療装置を供給し;該医療装置を該移植部位に移植し;拡張可能な該医療装置から、該移植部位の組織へと、該組織への適切な血流を再確立するのに充分持続された期間に亘って、血管新生組成物を供給すること;を包含する。
【0045】
本発明のもう1つ別の態様によれば、梗塞血管へと血管新生組成物を供給する方法は:
a)梗塞血管を同定し、該血管中の梗塞(部位)もしくはこの近傍の移植部位を同定すること;
b)血管新生組成物を有する拡張可能な医療装置を提供すること;
c)該移植部位へと、該血管新生組成物を有する拡張可能な該医療装置を供給すること;ならびに
d)自己持続性血管を作り出すのに充分な期間に亘る、該血管新生組成物の持続的供給により、血管新生を刺激すること
を包含する。
【0046】
本発明の更なる態様によれば、動脈慢性全梗塞(部位)へと一連の血管新生組成物を供給する方法は:
a)梗塞血管を同定し、該血管中の梗塞(部位)もしくはこの近傍の移植部位を同定すること;
b)このステントからの連続供給用に配置された第1の血管新生組成物および第2の血管新生組成物を有する拡張可能な医療装置を提供すること;
c)該移植部位へと、第1および第2の該血管新生組成物を有する拡張可能な該医療装置を供給すること;ならびに
d)該移植部位において連続的に、第1および第2の該血管新生組成物を供給すること
を包含する。
【0047】
本発明の更なる態様によれば、有益な薬剤の供給装置は、複数の開口部を有する複数の支柱を持つ拡張可能な医療装置と、生体再吸収性マトリックス中のこれら複数の開口部中に含有される血管新生組成物とを包含する。該血管新生剤およびマトリックスは、少なくとも1週間に亘る該装置の血管壁側への該血管新生剤の投与のために、形を与えられる。
【0048】
本発明のもう1つ別の態様によれば、有益な薬剤の供給装置は、複数の開口部を有する複数の支柱を持つ拡張可能な医療装置と、複数の該開口部中に含有される第1の血管新生剤と、複数の該開口部中に含有される第2の血管新生剤とを包含する。第1および第2の該血管新生剤は、該装置を取り巻く組織への連続供給のための該開口部中に配置される。
【0049】
定義
本明細書中で使用される場合、以下の用語は、以下の意味を持つ。
【0050】
外膜:血管の最外接続組織層。
【0051】
血管新生剤:血管新生ポリペプチド、血管新生ポリヌクレオチド、血管新生ポリペプチドをコード化する遺伝子治療供給ベクター、血管新生小分子、またはこれらの活性もしくは不活性な組み合わせ。
【0052】
血管新生組成物:血管新生剤を含む組成物。
【0053】
血管新生因子:血管新生ポリペプチド。
【0054】
動脈硬化:動脈の内膜に対する変性もしくは肥厚の変化、または、動脈壁中の筋肉および弾力組織における進展的な増加によりもたらされる、該動脈の硬化。
【0055】
粥状硬化:中程度もしくは大きな直径の動脈の内膜中での脂質の沈着により特徴付けられる、動脈硬化の最もありふれた形態。影響を被る血管の部分的もしくは全部の梗塞という結果になる。
【0056】
有益な薬剤:本明細書中において使用される場合、用語「有益な薬剤」とは、それの最も広い可能な解釈を持つように意図され、障壁層、キャリア層、治療剤層、もしくは保護層のような不活性物質同様、如何なる治療剤もしくは薬剤をも包含するように使用される。有益な薬剤は、血管新生ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および小分子を包含するが、これらに限定されない。
【0057】
有益な層:有益な組成物を含む生分解性層。
【0058】
生分解性:以下の「生体受食性」参照。
【0059】
生体受食性:生理学的環境との相互作用時に、化学的または物理的プロセスにより、生体再吸収性であるか、および/または、分解されることが可能であるという特徴。例えば、生分解性または生体受食性マトリックスは、数分〜数年、好ましくは1年未満の期間に亘って、化学的または物理的に、代謝可能もしくは排泄可能な成分へと分解され、一方、同期間中、如何なる構造的統合性要件をも維持する。
【0060】
慢性全梗塞:未定の期間、血管を完全に塞ぎ、この梗塞した該血管により通常供給を受けている組織における慢性低酸素血症を引き起こす。
【0061】
浸食:媒体またはマトリックス成分が、化学的または物理的プロセスにより生体再吸収および/または分解および/または壊される当該プロセス。例えば生分解性ポリマーマトリックスに関しては、浸食は該ポリマー鎖の開裂または加水分解により起こり得るが、これにより、該マトリックスの溶解性および有益な薬剤の使用可能性を向上させ、あるいは、浸食は物理的溶解または排泄により起こり得る。
【0062】
浸食速度:浸食プロセスが起きるのに要する時間の測定値であり、通常、単位時間当たりの単位面積として報告される。
【0063】
低酸素血症:影響を被る組織における異常に低い酸素濃度により特徴付けられる病状。
【0064】
内膜:血管の最内層。
【0065】
虚血:影響を被る組織への血流が閉ざされてしまったことに由来する局所的な貧血。
【0066】
マトリックスまたは生体相容性マトリックス:用語「マトリックス」または「生体相容性マトリックス」は互換的に使用されて媒体または材料に関し、これは被験体中での移植時に、該マトリックスの拒絶という結果に至るに充分な障害性応答を惹起しないものである。該マトリックスは典型的には、それ自体では治療性応答を与えないが、該マトリックスは、本明細書中において定義される有益な薬剤を含有するかまたは包んでもよい。マトリックスはまた、支持性、構造的統合性、または構造的障壁を単に提供するだけでよい媒体でもある。該マトリックスは、ポリマー性、非ポリマー性、疎水性、親水性、親油性、両親媒性、および同様のものであってもよい。該マトリックスは、生体受食性または非生体受食性であってもよい。
【0067】
中膜:血管の中間層。
【0068】
パクリタキセル:微小管の脱重合を防ぐ抗癌剤であり、これにより、初期の微小管の形成を可能にするが、細胞の成長に必要な引き続いての再配置(配列)を防ぐ。
【0069】
医薬的に許容可能:宿主または患者に対して毒性がなく、有益な薬剤の安定性維持に適している特徴であり、標的細胞または組織への有益な該薬剤の供給を可能にする。
a.ポリマー:用語「ポリマー」は、2つ以上の繰り返し単位、いわゆる単量体(モノマー)の化学的結合から形成される分子に関する。従って、該用語「ポリマー」内には、例えば、ダイマー(2量体)、トリマー(3量体)、およびオリゴマーが包含されてよい。該ポリマーは、合成品、天然起源、または半合成品であってもよい。その好ましい形態では、用語「ポリマー」は、約3,000より大きい、好ましくは約10,000より大きいMwを典型的に持つ分子に関し、Mwは約10,000,000未満、好ましくは約1,000,000未満、より好ましくは約200,000未満である。ポリマーの例は、ポリ乳酸(PLLAもしくはDLPLA)、ポリグリコール酸、ポリ乳酸+グリコール酸(PLGA)、ポリ乳酸+カプロラクトンのようなポリ−α−ヒドロキシ酸エステル;ポリ(ブロック−エチレンオキシド−ブロック−ラクチド+グリコリド)ポリマー(PEO−ブロック−PLGAおよびPEO−ブロック−PLGA−ブロック−PEO);ポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキシド、ポリ(ブロック−エチレンオキシド−ブロック−プロピレンオキシド−ブロック−エチレンオキシド);ポリビニルピロリドン;ポリオルトエステル;ポリヒアルロン酸、ポリ(グルコース)、ポリアルギン酸、キチン、キトサン、キトサン誘導体、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シクロデキストリン、およびβ−シクロデキストリンスルホブチルエーテルのような置換シクロデキストリンのような多糖類および多糖類誘導体;ポリペプチド、および、ポリリジン、ポリグルタミン酸、アルブミンのようなタンパク質;ポリ無水物;ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシブチレート、および同様のもののようなポリヒドロキシアルコノエートを包含するが、これらに限定されない。
b.放射状内側表面:拡張可能な医療装置の支柱に関して、放射状内側表面とは、該内側支柱表面のそれに実質的に等価な半径を持つ表面のことを言う。
【0070】
放射状中間表面:拡張可能な医療装置の支柱に関して、放射状中間表面とは、内側および外側該支柱表面のそれの中間に実質的に等価な半径を持つ表面のことを言う。
【0071】
再狭窄:外科手術後の狭窄の再発であって、以前の慢性梗塞を治すために移植された拡張可能な医療装置の孔中への、平滑筋細胞の浸透を包含する。
【0072】
自己持続性血管:例えば血管新生剤による誘導後に、少なくとも12ヶ月間、組織を灌流し続ける血管。
【0073】
連続的供給:特定の並び方での有益な薬剤の供給であって、例えば、第2の薬剤の約50%が供給される前に、第1の薬剤の約75%が供給される場合。
【0074】
狭窄:如何なる管状部または開口部の、制限または梗塞。
【0075】
血栓症:血管内での血栓(血餅)形成であって、しばしば該血管の部分的または全体的梗塞に至り、梗塞した該血管による供給を受ける組織における低酸素状態に至る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0076】
本発明は、拡張可能な医療装置の使用、より具体的には、延長された期間に亘って移植部位へと有益な薬剤を供給するための、有益な薬剤を含有する複数の開口部を持つ拡張可能な医療装置の使用に関する。本発明はまた、異なる(つまり種々の)有益な薬剤またはこれらの組み合わせを血管壁へと供給して局所的血管新生を刺激するための、拡張可能な医療装置の使用にも関する。本発明の1実施形態において、有益な薬剤は、慢性全梗塞の1カ所以上の部位へと供給される。慢性全梗塞に関連する疾患または病状は、冠状動脈の慢性全梗塞に由来する、末端塞栓形成、動脈破裂、急性心筋梗塞、心筋梗塞、鼠径部血腫、コントラスト誘導腎症、狭心症、デジタル微小循環、慢性血栓形成肺性高血圧、慢性未臨界虚血、死亡、および他の疾患もしくは病状を包含するが、これらに限定されない。
【0077】
本発明において使用される拡張可能な医療装置の1実施形態は、動脈中縦方向に配置されて示され、図1に描かれる。拡張可能な医療装置のもう1つ別の実施形態が、図2および3に示される。図1〜3に示される拡張可能な医療装置10は、延性ヒンジ40により繋がれる複数の支柱12を包含し、これにより、該装置が拡張すると該延性ヒンジは変形し、一方、該支柱は変形しないままである。支柱12中の開口部14は、組織へと有益な薬剤を供給するための貯蔵場所を提供する。図1〜3の実施形態中の開口部14は、拡張可能な該医療装置の非変形部品中において提供される。しかしながら、他の装置構造も使用されてよい。
【0078】
血管新生剤16は、開口部14中において配置され、1つ以上の血管新生ポリペプチドを含んでよい。該血管新生ポリペプチドは、天然品であっても、または、組み換えポリペプチドであってもよい。血管新生ポリペプチドの例は、VEGF、FGF、およびHGF、ならびにAng1を包含する。血管新生ポリペプチドは、血管新生ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを使用して提供されてもよい。ポリヌクレオチドは、レトロウィルスベクターまたはアデノウィルスベクターを包含するがこれらに限定されない遺伝子供給ベクターを使用して、供給されてよい。前記血管新生組成物は、血管新生小分子をも包含してよい。血管新生組成物は、血管新生ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および小分子の組み合わせを含んでよい。血管新生組成物およびこれらの組み合わせは、局所的血管新生を刺激するための拡張可能な医療装置の移植後1〜2週〜月間、好ましくは少なくとも1ヶ月間に亘って、供給されてよい。該血管新生組成物の持続的供給により生み出される血管または血管網は自己持続性であり、慢性全梗塞のために虚血になった組織へと血流を提供する。
【0079】
図1は、動脈100の血管116中に移植される拡張可能な医療装置10の一部分の横断面俯瞰図である。動脈100の血管壁は、3つの区別可能な組織層、内膜110、中膜112、および外膜114を包含する。拡張可能な医療装置10は、その全体を本明細書中において援用される米国特許第6,241,762号明細書に記載される拡張可能な医療装置に類似のものである。米国特許第6,241,762号明細書は、延性ヒンジおよび非変形ステントの使用により、以前の拡張可能な医療装置の性能欠陥をなくす拡張可能な医療装置のデザイン(設計)を記載するものである。
【0080】
図1は更に、開口部14を持つ拡張可能な医療装置10周辺の支柱12を描くものである。有益な薬剤16を含有する拡張可能な医療装置の支柱12中の開口部14の存在は、数多くの重要な利点を提供する。例えば開口部14は、コーティングの場合において使用され得るよりも実質的により大きな容積の有益な薬剤16の使用を可能にし、慢性全梗塞部位への供給に使用可能な有益な薬剤の全量を増加させる。拡張可能な医療装置10の開口部14中において有益な薬剤16を配置する能力は、単純なコーティングの使用に比較して延長された供給期間に亘り、有益な該薬剤の徐々の放出をも容易にする。更に、例えば障壁層18により一端において本質的にシールされる開口部14の使用は、移植された拡張可能な医療装置10に対して1方向のみへの、有益な薬剤16の放出を可能にする。例えば図1に示されるように、有益な薬剤16は、動脈100の内膜110に隣接する拡張可能な医療装置10の外側表面24へと供給されてもよく、一方、有益な薬剤は、拡張可能な該医療装置が移植される動脈の血管116へは、本質的に向けられない。拡張可能な医療装置10の開口部14中の障壁層18は、有益な薬剤16の方向を持った供給を可能にする該障壁層方向への該薬剤の拡散を最小化させる。
【0081】
図2は、拡張可能な医療装置10の支柱12中の複数の開口部14を示す、該装置の1実施形態の斜視図である。図3は、図2の拡張可能な医療装置10の一部の拡大側面図であり、該装置の支柱12中の開口部14の配置を更に示す。
【0082】
図2および3の実施形態において、支柱12は、延性ヒンジ20により繋がれる非変形支柱である。延性ヒンジ20は、拡張可能な医療装置10の拡大または圧縮を可能にしつつ、支柱12、これゆえに開口部14が、拡大または圧縮の間中変形しないままでいることを可能にする。
【0083】
複数層中に提供される1つ以上の有益な薬剤を示す開口部の拡大横断面が、図4〜6に示される。図4の実施形態に示されるように、支柱12中の開口部14は、生体受食性マトリックス材料と組み合わされる有益な薬剤16の複数層と共に提供される。本発明の1実施形態において、開口部14の合計の深さは約50〜約140ミクロン(μM)であり、典型的な層厚は約2〜約50ミクロン、好ましくは約12ミクロンである。各層はこれゆえに、表面(だけ)をコーティングされた拡張可能な医療装置に適用される典型的なコーティングよりも、個々に約2倍厚い。各開口部14中には2層、または、1つの開口部中には6〜20層もの層が存在し得、有益な薬剤の全体での厚さは、典型的な表面コーティングよりも約25〜約28倍厚い。本発明の1実施形態によれば、開口部14は各々、少なくとも約5×10−6平方インチ、好ましくは少なくとも約10×10−6平方インチの断面積を持っている。
【0084】
有益な薬剤の各層は個々に作られてもよいので、個々の化学組成および薬物速度論的特性が、各層へと付与され得る。数多くの層の有用な配置が形成され得、これらの内の幾つかが、以降に記載される。これらの層の各々が、層毎に異なるかまたは同一の割合にて、1つ以上の薬剤16を包含してもよい。これらの層は固体でもよく、有孔性でもよく、または他の薬剤もしくは賦形剤により充填されてもよい。
【0085】
例示の簡潔さのために、離れた複数層が示されるが、これらの層は独立した組成の離れた層でもよく、または、ブレンドされて連続したポリマーマトリックスおよび薬剤インレーを形成してもよい。例えばこれらの層は、薬剤、ポリマー、溶媒組成物の層として別個に積層され得、これらは次いで該溶媒の作用により、その開口部中において一緒にブレンドされる。該薬剤はインレー内において、一様または濃度勾配を付けて分布されてよい。このような層および層の配置を作り出す幾つかの方法の例が、2002年6月27日に公開された米国特許出願第2002/0082680号に記載され、その全体が本明細書中において援用される。開口部14内においてポリマーと組み合わされる薬剤の使用は、医療装置10が、所望される特定の薬剤供給(ドラッグ・デリバリー)プロファイルへとテーラー・メイドされる薬剤放出速度論を用いて設計されることを可能にする。
【0086】
図4は、開口部14中に複数層の単一配置を有する拡張可能な医療装置10を示す。これらの層は、有益な薬剤の一様な均一分布を一緒に確立する生体受食性マトリックス中に懸濁または溶解される少なくとも1つの有益な薬剤の同一層を包含する。該生体受食性マトリックスの浸食は結果的に、該マトリックスの浸食速度に対応する時間に亘って、ある放出速度にて有益な薬剤を放出することになる。開口部と組み合わせた生体受食性キャリアの使用は特に有用であり、予め決められた期間内での、有益な該薬剤の本質的に100%の放出を確実にする。
【0087】
これらの層中における同一の血管新生剤の濃度は層毎に変動され、予め決められた形の放出プロファイルを容易にすることができるであろう。更には、より深層における血管新生剤濃度を上昇させることは結果的に、ずっと、または、およそ0オーダーの供給プロファイルに亘って、およそ直線的な速度にて、この薬剤を放出させる。
【0088】
あるいは、異なる層は、異なる(種々の)血管新生剤または1つの血管新生剤ともう1つ別の治療剤とを含み、拡張可能な医療装置10の移植後の異なる時間において、異なる薬剤を放出する能力を提供することができるであろう。本発明の1実施形態において、これら種々の層は連続的に浸食されて、装置10の外側表面にある第1の層中の有益な薬剤の大部分が、第2の層もしくはより下層等の有益な薬剤の大部分が供給される前に供給されるようにする。
【0089】
図5は、移植部位における該装置の血管壁側への連続供給用の2つの有益な薬剤を包含する拡張可能な医療装置10の、代わりの実施形態を示すものである。図5において、複数の第1の層44が、第1の有益な薬剤を供給するために提供され、複数の第2の層46が、第2の有益な薬剤を供給するために提供される。第1および第2の該薬剤は、第2の有益な該薬剤の大部分の前に、第1の有益な該薬剤の大部分が供給されるような連続的な様式で、供給される。図4の実施形態におけるように、図5の実施形態は、第1および第2の有益な該薬剤を、拡張可能な該医療装置が移植される動脈の血管壁へと向かわせるための障壁層18を包含する。
【0090】
個々の層の浸食速度は、図6に示されるもののように、選択された層の表面上において等高線を創出することにより、更にコントロールされてよい。もう1つ別の例においては、層表面上のリブが全体の表面積を増加させ、初期放出速度を増加させる。1つの層の盛り上がるかまたは突出した部分、例えば、もう1つ別の層における窪んだ領域中へと突き出している部分は、突出するかまたは窪んだ該層において、有益な該薬剤の放出プロファイルの先導的または牽引的な特徴を引き起こす。
【0091】
図4〜6に示されるような障壁層18は、幾つかの方式で有益な薬剤放出速度論をコントロールするのに使用され得る。第1に、実質的に生体非分解性障壁材料を有する障壁層18は、有益な薬剤16の1方向での拡散を本質的に防ぐために使用され得、これにより、有益な薬剤の拡張可能な医療装置10のまず1表面への供給を確実化するであろう。あるいは、有益な該薬剤層中において使用される生分解性マトリックスの浸食時間よりも長い、予め決められた浸食時間を有する生分解性障壁層18は、移植された拡張可能な医療装置10の外側表面へと有益な薬剤を向かわせるにも有用であるが、結局、予め決められた時間において処置を終結させながら、浸食されるであろう。
【0092】
図4〜6に示される実施形態において、障壁層18は、拡張可能な医療装置の開口部14の内側表面22または血管側に配置される。有益な薬剤(つまり血管新生剤)層が、障壁層18表面上に配置され、拡張可能な医療装置10の外側表面24への有益な薬剤の供給を可能にするが、拡張可能な医療装置の開口部14の内側表面22への有益な薬剤の供給を本質的に防ぐ。有益な該薬剤の放出速度は、各薬剤を供給するように選択される特定の生体受食性マトリックスに依存して、独立にコントロールされ得る。放出速度および放出プロファイルは、層の分離、層厚、および多くの他の要因によってもコントロールされ得る。
【0093】
開口部14またはウェルの存在は、生体受食性マトリックス層および治療剤層が、拡張可能な医療装置10の外側表面24(または内側表面22)を超えて積層されることをも可能にするが、一方、該開口部またはウェル内に配置される該マトリックスおよび治療剤材料は、該開口部またはウェルの外のマトリックスおよび治療剤材料の、ドーム、円錐、または他の盛り上がった塊のためのアンカーとして働く。
【0094】
図6は、拡張可能な医療装置10の外の、マトリックスおよび治療剤材料でできた伸びた円錐26を示すものである。該円錐は例えば、標的動脈100へと供給されるべき第1の数多くの血管新生剤(または血管新生剤の第1の組み合わせ)16を含み得る。拡張可能な医療装置10の移植時に、マトリックス材料の円錐26は、動脈100の内膜110と強制的に接触させられ、有益な薬剤16が標的細胞または組織から遠ざかってしまう拡散機会を最小限にしつつ、濃縮された形態で有益な該薬剤を供給する。
【0095】
加えて、充分な堅さの円錐26は、該マトリックス材料によりまず決められるが、標的動脈110の内膜110または該内膜と中膜112とに機械的に浸透し、1つ以上の有益な薬剤16を、中膜112および/または外膜114へと直接供給することができ、この場合、血管新生因子が最も効果を持ちやすい。外側円錐26の材料が溶解するに連れ、生体受食性マトリックスの新たな層が露わになり、更なる有益な薬剤16を血管壁118へと供給する。1実施形態において、最外層のみが円錐形状である。もう1つ別の実施形態においては、1層以上が円錐形状である。内膜110または該内膜と中膜112とへの浸透は、組織のこれらの層をゆっくり通過するかまたは組織のこれらの層中に蓄積する傾向のある有益な薬剤16に関して、特に有益である。
【0096】
1実施形態において、該開口部またはウェルは1つ以上の血管新生剤を含有し、これは血管新生ポリペプチドを包含するが、これらに限定されない。本明細書中において使用される場合、血管新生ポリペプチドは、ヒトにおける血管新生を直接的または間接的に調節するポリペプチドを包含し、上記および下記の血管新生ポリペプチドを包含するが、これらに限定されない。
【0097】
ポリペプチドとは、全長のポリペプチド、短縮されたポリペプチド、キメラ・ポリペプチド、変異ポリペプチド、ポリペプチド断片、共役ポリペプチド、または、天然もしくは合成アミノ酸を含む合成ポリペプチドのことである。これらポリペプチドのいずれもが、グリコシル化、リン酸化、アシル化、または他の様式で修飾されてよい。本発明は、個々のポリペプチド、複数のポリペプチド、複数のサブユニットを含むポリペプチド、共因子(コファクター)を要求するポリペプチド、およびこれらの組み合わせの使用を包含する。
【0098】
これらのポリペプチドは、天然品でもまたは組み換え品でもよい。これらのポリペプチドは、天然供給源から得られるものでも、または、バクテリア、イースト、もしくは哺乳類細胞を包含するがこれらに限定されない動物細胞中において発現されるものでもよい。本発明の好ましい実施形態において、これらのポリペプチドは、ヒトのポリペプチドである。本発明のもう1つ別の実施形態において、これらのポリペプチドは、ヒト以外の始原ポリペプチドである。本発明の尚もう1つ別の実施形態において、これらのポリペプチドは、哺乳類のポリペプチドである。本発明のもう1つ別の実施形態において、これらのポリペプチドは、1つ以上の上記のポリペプチドを含む、短縮、キメラ、または変異ポリペプチドである。
【0099】
これらのポリペプチドは、活性でもまたは不活性でもよい。不活性ポリペプチドは、例えば、1つ以上の不活性な有益な薬剤を持つ拡張可能な医療装置のコントロールを必要とする臨床試験や、拡張可能な医療装置の移植と同時または後のある時間において、アンジオ(アンギオ)テンシン受容体活性をブロックまたは調節するのに有用である。これらのポリペプチドは更に、タンパク質開裂部位、開裂(破壊)配列、あるいは、拡張可能な医療装置の移植と同時または後に、ポリペプチド活性、特異性、または安定性を、1つ以上の調節薬剤が調節することを可能にする第2の結合部位を、包含してもよい。
【0100】
1実施形態において、該開口部またはウェルは、生体受食性マトリックス中に、VEGFポリペプチドを含有してもよい。好ましい実施形態において、VEGFポリペプチドはVEGF−AまたはVEGF−145である。もう1つ別の実施形態において、拡張可能な該医療装置の該開口部またはウェルは、FGFポリペプチドを含有する。好ましい実施形態において、該ポリペプチドは、bFGFまたはFGF−2である。本発明の尚もう1つ別の実施形態において、拡張可能な該医療装置の該開口部またはウェルは、マトリックス・メタロプロテアーゼ、tPA、uPA、Ang1、Ang2、組織因子、TGF−β1、PDGF−B、肝細胞成長因子(HGF)、インシュリン様成長因子、内皮成長因子、PD−ECGF、PF4、TSP−1、TNF、プロリフェリン、プラスミノーゲン活性化因子、IL−8、およびHGFから選択される1つ以上のポリペプチドを含有する。
【0101】
これらの血管新生ポリペプチドは、例えばこれらの安定性、親水性、疎水性、活性、または、特定の受容体、特定のタイプの細胞、もしくは特定の組織と相互作用する能力を調節する他の分子へ共役されてもよい。本発明の1実施形態において、これらのポリペプチドは、ヘパリンまたはヘパリン硫酸へ共役される。もう1つ別の実施形態において、これらのポリペプチドは、天然起源または合成の脂質分子へ共役される。
【0102】
実施者は例えば、ポリペプチドの安定性、供給、または調節に有用である当業界において既知の如何なるポリペプチド共役体も本発明の範囲内において使用されてよいことを、認識するであろう。如何なる数の異なる共役体も、本発明において使用されてよい。加えて、本発明の一部として使用される如何なるサブセットまたは全部のポリペプチドも、全て共役され、部分的に共役され、または異なる分子と共役され、同一層または異なる層中に配置されてよい。
【0103】
本発明のもう1つ別の実施形態において、該開口部は複数の異なる層の有益な薬剤を含有し、それで1つの層の溶解が、一連の次の層を露わにさせる。
【0104】
本発明の1実施形態において、第1の層または一連の層(つまり標的細胞に最も近い層)はVEGFを含み、第2の層または一連の層(つまり前記障壁層により近く配置される隣接層)はアンジオ(アンギオ)ゲニンを含む。慢性全梗塞部位に隣接する部位へのVEGFの供給は、未成熟な薄壁状の洞状血管の産生を刺激する。アンジオ(アンギオ)ゲニン、例えばAng1の引き続いての供給は、更なる枝分かれを誘導し、未成熟VEGF−Aにより誘導される血管壁へと平滑筋細胞(および恐らく他の内皮周辺支持細胞も)を動員させる。1例においてVEGFは、適切に浸食される生体受食性マトリックスを使用して、約4〜8週間に亘って供給される。VEGF−A含有層の溶解は、該Ang1含有層を露わにさせる。Ang1は次いで、適切な生体受食性マトリックスを使用して、約4〜8週間に亘って供給される。
【0105】
本発明のもう1つ別の実施形態において、第1の層(単数または複数)はFGFを含み、第2の層(単数または複数)はVEGFを含む。本発明のもう1つ別の実施形態において、第1の層(単数または複数)はFGFを含み、第2の層(単数または複数)はアンジオ(アンギオ)ゲニンを含む。本発明のもう1つ別の実施形態において、第1の層(単数または複数)はFGFを含み、第2の層(単数または複数)はVEGFを含み、第3の層(単数または複数)はアンジオ(アンギオ)ゲニンを含む。本発明の尚もう1つ別の実施形態において、第1の層(単数または複数)はVEGFを含み、第2の層(単数または複数)はFGFを含み、第3の層(単数または複数)はアンジオ(アンギオ)ゲニンを含む。本発明のもう1つ別の実施形態において、第1の層(単数または複数)はVEGFおよびFGFを含み、第2の層(単数または複数)はアンジオ(アンギオ)ゲニンを含む。
【0106】
本発明のもう1つ別の実施形態において、第1の層(単数または複数)は、拡張可能な該医療装置が移植される血管の細胞外マトリックスを局所的に分解できるプロテアーゼを含む。本発明を実施するのに有用であるプロテアーゼの例は、マトリックス・メタロプロテアーゼ、uPA、およびtPAを包含するが、これらに限定されない。引き続く1層以上の層が、上記および下記のもののような、血管新生ポリペプチドまたは血管新生ポリペプチドの組み合わせを含む。
【0107】
有益な効果を促進するために血管新生ポリペプチドまたは共役血管新生ポリペプチドを使用することの代わりとして、血管新生ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドが、拡張可能な医療装置と組み合わされた遺伝子治療主体のアプローチを使用して供給される。本明細書中において使用される場合、ポリヌクレオチドとは、前記の1つ以上の、全長、短縮、キメラ、変異、断片、または他のポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドのことを言う。
【0108】
遺伝子治療とは、細胞または組織への外来遺伝子の供給のことを言い、これにより、標的細胞の該外来遺伝子産物発現を引き起こす。遺伝子は典型的に、機械的方法またはベクターを介する方法により供給される。機械的方法は、直接DNA微小注入、弾丸DNA粒子供給、リポゾームを介するトランスフェクション、および受容体を介する遺伝子導入を包含するが、これらに限定されない(Morgan,R.A.およびAnderson,W.F.(1993)ならびにこの中の引用文献)。ベクターを介する供給は典型的には、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス、ヘルペスウィルス、ワクシニアウィルス、ピコルナウィルス、アルファウィルス、およびパポーバウィルスのものを包含するがこれらに限定されない組み換えウィルスのゲノムを含むものである(Toddら(2000);およびこの中の引用文献)。
【0109】
本発明の1実施形態において、血管新生ポリペプチドまたは血管新生ポリペプチドの一部分をコード化するポリヌクレオチドが、適切なプロモーターのコントロール下に、遺伝子治療供給物中へとクローニングされる。本発明の1実施形態において、該ベクターはレトロウィルスベクターである。好ましい実施形態において、該ベクターはレンチウィルスベクターである。好ましい実施形態において、該レトロウィルス(例えばレンチウィルス)ベクターは、標的細胞のゲノム中へと感染して行き一体化するが、感染性ウィルス粒子を生成しない。このようなレトロウィルスベクターは典型的に、感染性粒子を生成させるにはパッケージング細胞株を要求する。本発明のもう1つ別の実施形態において、該ベクターはアデノウィルスベクターである。
【0110】
これらのベクターは、例えば、平滑筋細胞、血管内皮細胞、または周辺細胞を包含する標的細胞のタイプに関して特異的な走行性を持っていてもよく、あるいは、これらのベクターは両栄養性であってもよく、つまり、種々のタイプの細胞に感染できる。本発明の1実施形態において、前記血管新生ポリペプチドをコード化する遺伝子の天然または相同プロモーターが使用される。本発明のもう1つ別の実施形態において、該プロモーターは、例えば、レトロウィルスLTR配列、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーター、またはサルウィルス40(SV40)プロモーターである。標的細胞特異的プロモーターも、本発明を実施するのに有用であることがある。実際当業者は、例えば該標的細胞中における所望のレベルでの発現や所望の組織特異的発現プロファイルに依存して、多くのプロモーターが本発明の実施において使用され得ることを認識するであろう。
【0111】
充分に精製されたベクターが、更なる適切な医薬賦形剤と共に、1層以上の生分解性層中において提供されてもよく、該ベクターの長きに亘る放出および新たな標的細胞への連続感染を可能にする。ベクターにより感染された細胞は引き続いて、コード化されているポリペプチドを発現する。遺伝子治療ベクター供給方法は、例えば上記および下記の、全長、短縮、キメラ、変異、または断片ポリペプチド、ポリペプチドの組み合わせ、ポリペプチドの配列組み合わせ、あるいは以上の組み合わせのいずれを供給するにも、有用である。有益な薬剤を供給するために選ばれる特定のウィルスベクターが、異なる有益なポリペプチドをコード化する同様なウィルスベクターによる同一標的細胞の重複感染を許容しない場合、当業者は、異なるウィルスベクターまたは異なる細胞走行性を有するベクターを使用する必要性を認めるであろう。
【0112】
本発明のもう1つ別の実施形態において、血管新生ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドが、上記および下記の全長、短縮、キメラ、変異、または断片ポリペプチド、ポリペプチドの組み合わせ、ポリペプチドの配列組み合わせ、あるいは以上の組み合わせのいずれかをコード化するDNAそのまま、リポゾーム会合DNA、または他の様式で修飾されるか、共役しているか、あるいはカプセル化されたDNAとして、供給される。
【0113】
本発明は、血管新生を刺激する小分子治療剤の使用をも提供する。これらの小分子治療剤の幾つかは、その全体を本明細書中において援用される米国特許第4,888,324号明細書および米国特許第5,756,453号明細書に記載されるような脂質;その全体を本明細書中において援用される米国特許第5,945,403号明細書に記載されるようなアンジオ(アンギオ)スタチン断片;その全体を本明細書中において援用される米国特許出願第2002/0128294号に記載されるようなニコチン;その全体を本明細書中において援用される米国特許第5,876,916号に記載されるようなピルベート化合物;ならびにモノブチリンを包含する。
【0114】
血管新生ポリペプチドおよび小分子の供給は、機械的方法および遺伝子治療主体の遺伝子供給方法と組み合わされてもよく、同時かまたは連続して、複数の方法による同じポリペプチドもしくはポリペプチドの組み合わせ、または、複数の方法による異なるポリペプチドもしくはポリペプチドの組み合わせを供給する。例えば、VEGF−Aポリペプチドが第1の層(単数または複数)中において供給され、Ang1が第2の層(単数または複数)中において遺伝子治療ベクターを使用して供給され得るであろう。
【0115】
前記血管新生剤が、拡張可能な医療装置の移植後数週間〜数ヶ月間に亘って供給されてよい。複数の有益な層の使用は、拡張可能な医療装置の移植後の予め決められた期間に亘って、異なる血管新生剤、異なる組み合わせの血管新生剤、異なる濃度の血管新生剤、またはこれらの組み合わせの連続放出を可能にする。
【0116】
本発明はまた、血管新生用ステントの血管壁側へと供給される薬剤に加えて、該ステントの血管壁もしくは血管腔側からの1つ以上の更なる治療剤の供給にも、特によく適している。血管壁づたいに供給される幾つかの薬剤は、抗新生物剤、抗血管新生剤、血管新生因子、抗再狭窄剤、ヘパリンのような抗血栓剤、パクリタキセルやラパマイシンのような抗増殖剤を包含してもよい。
【0117】
血管腔または血管壁づたいに伝達されてもよい、本発明と共に使用される他の治療剤の幾つかは、抗増殖剤、抗トロンビン剤、免疫抑制剤、抗脂質剤、抗炎症剤、抗新生物剤、抗血小板剤、血管新生剤、抗血管新生剤、ビタミン、抗有糸分裂剤、メタロプロテアーゼ阻害剤、NO供与体、エストラジオール、抗狭窄剤、および血管活性剤、内皮成長因子、エストロゲン、βブロッカー、AZブロッカー、ホルモン、スタチン、インシュリン成長因子、抗酸化剤、膜安定化剤、カルシウムアンタゴニスト、レチノイドを、単独または前記治療剤のいずれかとの組み合わせで包含するが、これらに限定されない。治療剤は、ペプチド、リポタンパク質、ポリペプチド、ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチド、脂質、タンパク質製剤、タンパク質と共役する薬剤、酵素、オリゴヌクレオチドおよびこれの誘導体、リボザイム、他の遺伝子材料、細胞、アンチセンス、オリゴヌクレオチド、モノクローナル抗体、血小板、プリオン、ウィルス、バクテリア、および、内皮細胞、幹細胞、ACE阻害剤、単球/マクロファージ、または血管平滑筋細胞のような真核細胞をも包含し、これらは名前を挙げられるべきものであるが、幾つかの例に過ぎない。該治療剤はプロドラッグであってもよく、これは宿主へと投与される時に、所望の薬剤へと代謝される。加えて治療剤は、治療剤層中へと取り込まれる前に、マイクロカプセル、微小球、微小泡、リポゾーム、ニオゾーム、エマルション、分散体、または同様のものとして、予め処方されてもよい。治療剤はまた、放射性同位体(アイソトープ)、あるいは、光もしくは超音波エネルギーのようなある種の他の形態のエネルギーにより、または、全身投与され得る他の循環分子により活性化される薬剤であってもよい。治療剤は、血管新生、再狭窄、細胞増殖、血栓形成、血小板凝集、凝固、および血管拡張を調節することを包含する多数の機能を果たしてもよい。抗炎症剤は、アリール酢酸誘導体、例えばジクロフェナク;アリールプロピオン酸誘導体、例えばナプロキセン;およびサリチル酸誘導体、例えば、アスピリン、ジフルニサルのような非ステロイド抗炎症剤(NSAID)を包含する。抗炎症剤はまた、デキサメタゾン、プレドニソロン、およびトリアムシノロンのようなグルココルチコイド(ステロイド)をも包含する。抗炎症剤は、抗増殖剤と組み合わされて使用されてもよく、該抗増殖剤に対する組織の反応を緩和する。
【0118】
本明細書中において記載される薬剤の幾つかは、これらの活性を保つ添加剤と組み合わされてもよい。例えば、界面活性剤、抗酸剤、抗酸化剤、および洗剤を包含する添加剤が使用されてもよく、インシュリンのようなタンパク質製剤の変性および凝集を最小化する。アニオン性、カチオン性、または非イオン性洗剤が、使用されてよい。非イオン性添加剤の例は、ソルビトール、スクロース、トレハロースを包含する糖類;デキストラン、カルボキシメチル(CM)デキストラン、ジエチルアミノエチル(DEAE)デキストランを包含するデキストラン類;D−グルコサミン酸およびD−グルコースジエチルメルカプタールを包含する糖誘導体;ポリエチレングリコール(PEO)およびポリビニルピロリドン(PVP)を包含する合成ポリエーテル;D−乳酸、グリコール酸、およびプロピオン酸を包含するカルボン酸;n−ドデシル−β−D−マルトシド、n−オクチル−β−D−グルコシド、PEO−脂肪酸エステル(例えばステアレート(myrj59)またはオレエート)、PEO−ソルビタン−脂肪酸エステル(例えば、Tween80、PEO−20ソルビタンモノオレエート)、ソルビタン−脂肪酸エステル(例えば、SPAN60、ソルビタンモノステアレート)、PEO−グリセリル−脂肪酸エステル、グリセリル脂肪酸エステル(例えばグリセリルモノステアレート)、PEO−炭化水素−エーテル(例えばPEO−10オレイルエーテル)を包含する、疎水性界面に対する親和性を有する洗剤;トリトンX−100;ならびにルブロール(Lubrol)を包含するが、これらに限定されない。イオン性洗剤の例は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛を包含する脂肪酸塩;レシチンおよびホスファチジルコリンを包含するリン脂質;CM−PEG;胆汁酸;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ドクセート(docusate、AOT);ならびにタウロ胆汁酸を包含するが、これらに限定されない。
【実施例】
【0119】
実施例1
この実施例では、約3mm×17mmの拡張された大きさを持つ、図2および3に示されるステントに実質的に等価な薬剤供給(ドラッグ・デリバリー)ステントが、以下の様式で、VEGF−145を充填される。該ステントは心軸上に位置され、ゆっくり分解する層または障壁層が、該ステント中の開口部中へと積層される。該障壁層は高分子量PLGAであり、血管腔側に提供されて、この装置の血管腔側へのこの血管新生組成物の実質的な供給を防ぐ。ここで記載される層は滴下様式で積層され、DMSO、NMP、またはDMAcのような適切な有機溶媒の使用により、液体形態で供給される。該障壁層が投与期間後まで実質的に分解しないように、該障壁層の分解速度が選択される。複数層のVEGF−145および低分子量PLGAマトリックスが次いで、該開口部中へと積層され、血管新生用薬剤のインレーを形成する。該VEGF−145およびポリマーマトリックスは、全薬剤の約70%が最初の約2日間中に放出され、約100%が約30日間中に放出される結果になる薬剤供給(ドラッグ・デリバリー)プロファイルを達成する様式で組み合わされ、積層される。低分子量PLGA、つまり速く分解するポリマーのキャップ層が、該VEGF−145層の上に積層され、この血管新生剤がこの移植部位への該ステントの輸送、貯蔵、および供給の間に放出されるのを防ぐ。
【0120】
実施例2
この実施例では、約3mm×17mmの拡張サイズを持つ、図2および3に示されるステントに実質的に等価な薬剤供給(ドラッグ・デリバリー)ステントが、以下の様式で、VEGF−145およびアンジオ(アンギオ)ゲニンを充填される。該ステントは心軸上に位置され、ゆっくり分解する層または障壁層が、該ステント中の開口部中へと積層される。該障壁層は、高分子量PLGAであり、血管腔側に提供されて、この装置の血管腔側へのこの血管新生組成物の実質的な供給を防ぐ。該障壁層が投与期間後まで実質的に分解しないように、該障壁層の分解速度が選択される。
【0121】
複数層のアンジオ(アンギオ)ゲニンおよび低分子量PLGAマトリックスが次いで、該開口部中へと積層され、血管新生用薬剤のインレーを形成する。該アンジオ(アンギオ)ゲニンおよびポリマーマトリックスは、結果的に約1時間〜約5日間での投与となる薬剤供給(ドラッグ・デリバリー)プロファイルを達成する様式で組み合わされ、積層される。複数層のVEGF−145および低分子量PLGAマトリックスが次いで、該開口部中へと積層され、血管新生用薬剤のインレーを形成する。該VEGF−145およびポリマーマトリックスは、結果的に約1日間〜約30日間での投与となる薬剤供給(ドラッグ・デリバリー)プロファイルを達成する様式で組み合わされ、積層される。血管壁側の該VEGF−145および血管腔側の該アンジオ(アンギオ)ゲニンというこの配置は結果的に、これら2つの薬剤の連続的供給を与える。
【0122】
低分子量PLGA、つまり速く分解するポリマーのキャップ層が、該アンジオ(アンギオ)ゲニン層の上に積層され、この血管新生剤がこの移植部位への該ステントの輸送、貯蔵、および供給の間に放出されるのを防ぐ。
【0123】
本発明がその好ましい実施形態に言及して詳細に記載されてきたが、当業者には、本発明から逸脱することなく、種々の変更および修飾がなされ得、等価なものが用いられることは、明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0124】
本発明が今から、添付の図面に示される好ましい実施形態に言及しながらより詳細に記載され、ここで、同様な要素は同様な参照番号を持つ。
【図1】図1は、動脈管中に移植される、有益な薬剤を有する拡張可能な医療装置の一部分の、横断面俯瞰図である。
【図2】図2は、拡張可能な医療装置の複数の開口部を示す俯瞰図である。
【図3】図3は、図2の拡張可能な医療装置の一部分の拡大側面図である。
【図4】図4は、複数層中で提供される1つ以上の有益な薬剤を示す、開口部の拡大横断面である。
【図5】図5は、連続的供給用に提供される複数の有益な薬剤を示す、開口部の拡大横断面である。
【図6】図6は、拡張可能な該医療装置の表面を超えて続く層(単数もしくは複数)中で提供される1つ以上の有益な薬剤を示す、開口部の拡大横断面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梗塞血管を処置する方法であって:
梗塞血管を同定し、該血管中の梗塞部位もしくはこの近傍の移植部位を同定すること;
選択された該移植部位へと向かう該梗塞血管中へ、拡張可能な医療装置を供給すること;
該移植部位に、該医療装置を移植すること;ならびに
該移植部位にある組織への適切な血流を再確立するのに充分な持続期間に亘り、拡張可能な該医療装置から、該組織へと、血管新生組成物を供給すること
を含む方法。
【請求項2】
前記血管新生組成物が、拡張可能な前記医療装置中の開口部中に配置される、請求項1の方法。
【請求項3】
拡張可能な前記医療装置が、内側表面および外側表面を持つ1つ以上の支柱部品を含み、ここで拡張可能な該医療装置の開口部が、該支柱部品の該外側表面を横断する、請求項2の方法。
【請求項4】
前記開口部が、拡張可能な医療装置の前記支柱の内側表面に配置される障壁層と共に提供される、請求項2の方法。
【請求項5】
前記血管新生組成物が、前記障壁層から外側に向かって放射状に配置される、請求項4の方法。
【請求項6】
前記血管新生組成物が、生体受食性マトリックスに懸濁される1つ以上の血管新生ポリペプチドを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記血管新生ポリペプチドが、天然のポリペプチドである、請求項6の方法。
【請求項8】
前記血管新生ポリペプチドが、組み換えポリペプチドである、請求項6の方法。
【請求項9】
前記血管新生ポリペプチドが、VEGF、FGF、およびHGFからなる群から選択される、請求項6の方法。
【請求項10】
前記血管新生組成物が更にAng1ポリペプチドを含む、請求項9の方法。
【請求項11】
前記血管新生組成物が第1の薬剤および第2の薬剤を含み、第1および第2の該薬剤が連続的に供給されるように配置される、請求項1の方法。
【請求項12】
第1の前記薬剤がVEGFであり、第2の前記薬剤がアンジオ(アンギオ)ゲニンであり、第1の該薬剤が第2の該薬剤の前に実質的に供給される、請求項11の方法。
【請求項13】
第1の前記薬剤が、少なくとも1週間に亘って供給される、請求項11の方法。
【請求項14】
第2の前記薬剤が、少なくとも2週間に亘って供給される、請求項11の方法。
【請求項15】
前記血管新生組成物が、少なくとも1ヶ月間に亘って供給される、請求項1の方法。
【請求項16】
前記血管新生組成物が拡張可能な前記医療装置中の開口部中に配置され、該血管新生組成物が該開口部から突き出て、該装置から突き出た突出を形成する、請求項1の方法。
【請求項17】
血管新生組成物を梗塞血管へと供給する方法であって:
a)梗塞血管を同定し、該血管中の梗塞部位もしくはこの近傍の移植部位を同定するステップ;
b)血管新生組成物を、拡張可能な医療装置に供給するステップ;
c)該血管新生組成物を有する拡張可能な該医療装置を、該移植部位へと供給するステップ;ならびに
d)自己持続性血管を作り出すのに充分な期間に亘り、該血管新生組成物の持続性供給により、血管新生を刺激するステップ
を含む方法。
【請求項18】
前記血管新生組成物が、拡張可能な前記医療装置中の開口部中に配置される、請求項17の方法。
【請求項19】
拡張可能な前記医療装置が、内側表面および外側表面を持つ1つ以上の支柱部品を含み、ここで拡張可能な該医療装置の開口部が、該支柱部品の該外側表面を横断する、請求項18の方法。
【請求項20】
前記開口部が、拡張可能な医療装置の前記支柱の内側表面に配置される障壁層と共に提供される、請求項19の方法。
【請求項21】
前記血管新生組成物が、前記障壁層から外側に向かって放射状に配置される、請求項20の方法。
【請求項22】
前記血管新生組成物が、生体受食性マトリックスに懸濁される1つ以上の血管新生ポリペプチドを含む、請求項17の方法。
【請求項23】
前記血管新生ポリペプチドが天然のポリペプチドである、請求項22の方法。
【請求項24】
前記血管新生ポリペプチドが組み換えポリペプチドである、請求項22の方法。
【請求項25】
前記血管新生ポリペプチドが、VEGF、FGF、およびHGFからなる群から選択される、請求項22の方法。
【請求項26】
前記血管新生組成物が更にAng1ポリペプチドを含む、請求項22の方法。
【請求項27】
前記血管新生組成物が第1の薬剤および第2の薬剤を含み、第1および第2の該薬剤が連続的に供給されるように配置される、請求項17の方法。
【請求項28】
第1の前記薬剤がVEGFであり、第2の前記薬剤がアンジオ(アンギオ)ゲニンであり、第1の該薬剤が第2の該薬剤の前に実質的に供給される、請求項27の方法。
【請求項29】
第1の前記薬剤が、少なくとも1週間に亘って供給される、請求項27の方法。
【請求項30】
第2の前記薬剤が、少なくとも2週間に亘って供給される、請求項27の方法。
【請求項31】
前記血管新生組成物が、少なくとも1ヶ月間に亘って供給される、請求項17の方法。
【請求項32】
一連の血管新生組成物を慢性全梗塞動脈へと供給する方法であって:
a)梗塞血管を同定し、該血管中の梗塞部位もしくはこの近傍の移植部位を同定するステップ;
b)拡張可能な医療装置(ステント)からの連続供給用に配置された第1の血管新生組成物および第2の血管新生組成物を有する該ステントを提供するステップ;
c)第1および第2の該血管新生組成物を有する拡張可能な該医療装置を、該移植部位へと供給するステップ;ならびに
d)第1および第2の該血管新生組成物を、該移植部位において連続的に供給するステップ
を含む方法。
【請求項33】
第1および第2の前記血管新生組成物が、拡張可能な前記医療装置中の開口部中に配置される、請求項32の方法。
【請求項34】
拡張可能な前記医療装置が、内側表面および外側表面を持つ1つ以上の支柱部品を含み、ここで拡張可能な該医療装置の開口部が、該支柱部品の該外側表面を横断する、請求項33の方法。
【請求項35】
前記開口部が、拡張可能な医療装置の前記支柱の内側表面に配置される障壁層と共に提供される、請求項33の方法。
【請求項36】
第1および第2の前記血管新生組成物が、前記障壁層から外側に向かって放射状に配置される、請求項35の方法。
【請求項37】
第1および第2の前記血管新生組成物が、生体受食性マトリックスに懸濁される、請求項32の方法。
【請求項38】
第1の前記血管新生組成物が、少なくとも1週間に亘って供給される、請求項32の方法。
【請求項39】
第2の前記血管新生組成物が、少なくとも2週間に亘って供給される、請求項32の方法。
【請求項40】
有益な薬剤を供給する装置であって:
a)複数の開口部を有する複数の支柱を持つ拡張可能な医療装置;ならびに
b)生体再吸収性マトリックス中の複数の該開口部中に含有される血管新生組成物であって、その血管新生剤およびマトリックスが、少なくとも1週間に亘って該装置の血管壁側への該血管新生剤の投与用の形状をしている血管新生組成物
を含む装置。
【請求項41】
前記開口部が、拡張可能な医療装置の前記支柱の内側表面に配置される障壁層と共に提供される、請求項40の方法。
【請求項42】
前記血管新生組成物が、前記障壁層から外側に向かって放射状に配置される、請求項41の方法。
【請求項43】
前記血管新生組成物が、生体受食性マトリックスに懸濁される1つ以上の血管新生ポリペプチドを含む、請求項40の方法。
【請求項44】
前記血管新生ポリペプチドが天然のポリペプチドである、請求項43の方法。
【請求項45】
前記血管新生ポリペプチドが組み換えポリペプチドである、請求項44の方法。
【請求項46】
前記血管新生ポリペプチドが、VEGF、FGF、およびHGFからなる群から選択される、請求項44の方法。
【請求項47】
前記血管新生組成物が更にAng1ポリペプチドを含む、請求項44の方法。
【請求項48】
前記血管新生組成物が第1の薬剤および第2の薬剤を含み、第1および第2の該薬剤が連続的に供給されるように配置される、請求項40の方法。
【請求項49】
第1の前記薬剤がVEGFであり、第2の前記薬剤がアンジオ(アンギオ)ゲニンであり、第1の該薬剤が第2の該薬剤の前に実質的に供給される、請求項48の方法。
【請求項50】
第1の前記薬剤が、少なくとも1週間に亘って供給されるような形状とされる、請求項48の方法。
【請求項51】
第2の前記薬剤が、少なくとも2週間に亘って供給されるような形状とされる、請求項48の方法。
【請求項52】
前記血管新生組成物が、少なくとも1ヶ月間に亘って供給されるような形状とされる、請求項40の方法。
【請求項53】
拡張可能な前記医療装置中の開口部中に配置された前記血管新生組成物が、該開口部から突き出て、該装置から突き出た突出を形成する、請求項40の装置。
【請求項54】
有益な薬剤を供給する装置であって:
a)複数の開口部を有する複数の支柱を持つ拡張可能な医療装置;
b)複数の該開口部中に含有される第1の血管新生剤;ならびに
c)複数の該開口部中に含有される第2の血管新生剤
を含み、ここで第1および第2の該血管新生剤が、該装置の周囲の組織への連続供給のために、該開口部中において配置される装置。
【請求項55】
前記開口部が、拡張可能な医療装置の前記支柱の内側表面に配置される障壁層と共に提供される、請求項54の方法。
【請求項56】
第1および第2の前記血管新生組成物が、前記障壁層から外側に向かって放射状に配置される、請求項55の方法。
【請求項57】
第1および第2の前記血管新生組成物が、生体受食性マトリックスに懸濁される、請求項54の方法。
【請求項58】
第1および第2の前記血管新生組成物が、VEGF、FGF、およびHGFからなる群から選択される、請求項54の方法。
【請求項59】
第1の前記血管新生組成物が、少なくとも1週間に亘って供給されるような形状とされる、請求項54の方法。
【請求項60】
第2の前記血管新生組成物が、少なくとも2週間に亘って供給されるような形状とされる、請求項54の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−505364(P2006−505364A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552072(P2004−552072)
【出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/035945
【国際公開番号】WO2004/043509
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(500449400)コナー メドシステムズ, インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】CONOR MEDSYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1360 Hamilton Court,Menlo Park,CA 94025 U.S.A.
【Fターム(参考)】