説明

血糖値降下剤若しくは血糖値降下作用を有する健康食品

【目的】従来の健康食品と比べて、極めて効果の高い新規血糖値降下作用を有する健康食品又は新規血糖値降下剤を提供する。
【構成】大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液又はこの濾過した液に、ヤエヤマアオキ(和名、学名をモリンダ・シトリフォリアという)の果実、好ましくは果実の圧搾液を加えた液は、従来の健康食品と比べて著しく高い血糖値降下作用を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、新規血糖値降下剤若しくは血糖値降下作用を有する健康食品に係り、詳記すれば大豆と玄米を発酵させた液を素材とする新規血糖値降下剤若しくは血糖値降下作用を有する健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
40歳以上の3人に一人が糖尿病若しくはその予備軍と言われている。従来の糖尿病の薬は、常用するとある程度の副作用があることから、これを飲まないで血糖値を下げる健康食品として、血糖値降下作用を有する種々の健康食品が市販されている。しかしながら、これら市販品はある程度の血糖値降下作用を示すが、薬と比べて作用が弱いので、多くの糖尿病患者の血糖値を正常値若しくは大幅に下げることはできない問題があった。
【0003】
本発明者は、大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液(株式会社ニチゾーからナイアスの商標名で市販されている)が、優れた血糖値降下作用を示すことを見出した。
【0004】
一方、ヤエヤマアオキ(和名、学名をモリンダ・シトリフォリアという)の果実、好ましくは果実の圧搾液を混合した液についても、血糖値降下作用を示すことが知られていたが、その作用は弱く、人によっては殆ど効果を示さなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、従来の健康食品と比べて、極めて効果の高い新規血糖値降下作用を有する健康食品又は新規血糖値降下剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究の結果、大豆を発酵させた液と、玄米を発酵させた液とを混合し、濾過した液が優れた血糖値降下作用を示すと共に、これにヤエヤマアオキ(和名、学名をモリンダ・シトリフォリアという)の果実、好ましくは果実の圧搾液を混合した液が、それぞれ単独では得られない極めて高い血糖値降下相乗作用を示すことを見出し、本発明に到達した。
【0007】
しかして従来、大豆を発酵させた液と、玄米を発酵させた液とを混合した液自体公知ではない。勿論、この液体に、ヤエヤマアオキの果実を配合した液は、全く知られていない。
【0008】
前記大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液は、株式会社ニチゾーから「ナイアス」の商標名で販売されているが、このものがどのようにして製造されたのか、或いはその組成はどのようなものかは、全く知られていない。
【0009】
ヤエヤマアオキの果実の添加量は、大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後濾過した液(「ナイアス」)に対して、1〜30重量%添加するのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来血糖値降下作用を有することが知られていなかった大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液(「ナイアス」)が健康食品としては、従来のものと比べ極めて高い血糖値降下作用を示すと共に、これにヤエヤマアオキの果実、好ましくは果実の圧搾液とを混合することによって、健康食品としては、従来のものと比べて著しく高い血糖値降下作用を示すという絶大な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
大豆を発酵させた液は、鍋にいれた大豆に浸す程度の水を加え、加熱すると発酵を開始するので、加熱を停止し、大豆が液化するまで1ヶ月前後発酵放置することにより得られる。
【0012】
玄米を発酵させた液は、通常の方法で玄米を蒸して、発酵が開始されたら加熱を停止し、玄米が液化するまで1ヶ月前後発酵放置することにより得られる。
【0013】
上記のようにして得られた大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、冷蔵庫に放置すると、2層に分離するので、分離した固体層を除去する。固体層を除去した液に活性炭を加えて濾過すると、本発明の健康食品(血糖値降下剤)である透明な液体(「ナイアス」)が得られる。
【0014】
ヤエヤマアオキの果実は、砕いて上記透明な液体(「ナイアス」)で抽出しても良いが、ヤエヤマアオキの果実の圧搾液を使用するのが好ましい。ヤエヤマアオキの果実の圧搾液は、ヤエヤマアオキの果実を圧搾して濾過することにより得られる。この圧搾液を、直ちに上記透明な液体(「ナイアス」)又はその水希釈液に加えることにより本発明の健康食品(血糖値降下剤)が得られる。
【0015】
ヤエヤマアオキの果実の配合量は、上記透明な液体(「ナイアス」)に対し、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは5〜10重量%であるので、10倍に水で希釈した液に対しても、好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.5〜1.5重量%である。少なすぎると、効果が十分発現されないし、多すぎると腐敗し易くなる。
【0016】
実施例1:製造例
「ナイアス」100gに対し、ヤエヤマアオキの果実の圧搾液5gを加えて、攪拌混合し、冷蔵庫に放置し、本発明の健康食品(血糖値降下剤)を得た。
実施例2:本発明の健康食品(血糖値降下剤)の臨床試験
次に、上記のようにして得た液体を使用して、糖尿病に対する効果を試験した。試験は、上記液体について、某国立大学医学部付属病院で行った。自宅で通常の生活を送っている患者に対し、上記実施例1で製造した健康食品(血糖値降下剤)を毎日15ミリリットルを飲ませ、1ヶ月ごとにHB−AIC値と血糖値(GLU 値)を測定した。結果は、次表1の通りであった。
【0017】
【表1】

上記結果より、投与1ヶ月〜投与4ヶ月と、HB−AIC値は、確実に減少していること明らかである。また血糖値(GLU 値)は、投与4ヶ月で完全に正常化(95)した。尚、HB−AIC値は、投与1ヶ月で悪化したが、これは2ヶ月間位の平均値だからであり、血糖値が減少していることから、改善していることは明らかである。
【0018】
実施例3:本発明の健康食品(血糖値降下剤)の血糖値降下試験
投与前血糖値155(A)、163(B)、180(C)の3人の糖尿病患者に対し、(A)には、ヤエヤマアオキの果実の圧搾液を毎日1g、(B)にはナイアスを毎日15cc、 (C)には上記実施例1で製造した健康食品(血糖値降下剤)を毎日15ミリリットルを飲ませ、1ヶ月ごとに血糖値(GLU 値)を測定した。結果は、次表2の通りであった。
【0019】
【表2】

尚、上記糖尿病患者(A)及び(B)に対し、上記試験の直後上記実施例1で製造した健康食品(血糖値降下剤)を毎日15ミリリットル飲ませた結果、(A)は血糖値132に、(B)は血糖値109に減少した。
上記結果から、本発明の健康食品(血糖値降下剤)は、ヤエヤマアオキの果実の圧搾液及びナイアス単独に比べ、相乗作用を有すること明らかである。
【0020】
参考試験例:ナイアスの魚類による急性毒試験
上記実施例1のようにして製造した「ナイアス」の魚類による急性毒試験を、財団法人日本食品分析センターで試験した。
(試験方法)
ヒメダカによる24及び48時間TLm(LC50,半数致死濃度)を、JISK0102工場排水試験方法 魚類による急性毒試験の項に準拠して測定した。
【0021】
(試験条件)
1)供試魚:ヒメダカ(平均体長 2.2cm、平均体重 0.15g)
2)供試魚数:1試験水当り10匹とする。
3)試験水量と供試魚体重の割合:試験水1リットル当り魚体重約1gとする。
4)試験水温:20±1℃
5)試験水:試料を希釈水で種々の濃度に溶解または混合する。
6)希釈水:純水に無機塩(塩化カルシウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム及び炭酸水素ナトリウム)を添加して作成した人工淡水(pH7.0、アルカリ度0.4meq/リットル、硬度25mg/リットル)
【0022】
(試験結果)
各濃度の試験水におけるヒメダカの24及び48時間後の生存率(%)を次表3に示す。
【0023】
【表3】

(結論)
供試品(ナイアス)の24時間及び48時間TLmは、いずれも50,000ppm以上であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液からなることを特徴とする血糖値降下剤。
【請求項2】
大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液に、ヤエヤマアオキ(和名、学名をモリンダ・シトリフォリアという)の果実を混合したことを特徴とする血糖値降下剤。
【請求項3】
前記ヤエヤマアオキの果実が、ヤエヤマアオキの果実の圧搾液である請求項2記載の血糖値降下剤。
【請求項4】
前記大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液は、株式会社ニチゾーから「ナイアス」の商品名で販売されている液体である請求項1〜3のいずれかに記載の血糖値降下剤。
【請求項5】
大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液に対して、1〜30重量%のヤエヤマアオキの果実を添加する請求項1〜4のいずれかに記載の血糖値降下剤。
【請求項6】
大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液からなることを特徴とする血糖値降下作用を有する健康食品。
【請求項7】
大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液に、ヤエヤマアオキの果実を加えたことを特徴とする血糖値降下作用を有する健康食品。
【請求項8】
前記ヤエヤマアオキの果実が、ヤエヤマアオキの果実の圧搾液である請求項6又は7記載の健康食品。
【請求項9】
前記大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液は、株式会社ニチゾーから「ナイアス」の商品名で販売されている液体である請求項6〜8のいずれかに記載の健康食品。
【請求項10】
大豆を発酵させた液と玄米を発酵させた液とを混合後、濾過した液に対して、1〜30重量%のヤエヤマアオキの果実を添加する請求項6〜9のいずれかに記載の健康食品。




【公開番号】特開2009−242377(P2009−242377A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39513(P2009−39513)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(594016986)株式会社ニチゾー (1)
【Fターム(参考)】