衛生洗浄装置
【課題】短時間で被乾燥面を乾燥できる乾燥機能を備えた衛生洗浄装置を提供することである。
【解決手段】空気流入口をノズル20の後端の軸心近傍に設け、可撓性チューブ39との接続方向をノズルの軸と略平行としたので、ノズルが左右方向に回転駆動する際にチューブがノズル回転で振り回されることがなく、安定した駆動が可能となり、人体局部の広い範囲に空気噴流を当てることができ、水滴除去が確実にできる。
【解決手段】空気流入口をノズル20の後端の軸心近傍に設け、可撓性チューブ39との接続方向をノズルの軸と略平行としたので、ノズルが左右方向に回転駆動する際にチューブがノズル回転で振り回されることがなく、安定した駆動が可能となり、人体局部の広い範囲に空気噴流を当てることができ、水滴除去が確実にできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の噴出により濡れた表面の水滴を除去し乾燥させる乾燥機能を備えた衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置においては、使用者の好みに応じた洗浄を実現すべく各種の機能が案出されてきた。使用者は、各種機能を用いた衛生洗浄装置を用いて局部洗浄を行い、トイレットペーパー等の紙により局部に付着した水滴の除去を行っていた。しかし、近年、トイレットペーパー等の紙の代替として、乾燥装置が提案されている( 例えば、特許文献1参照)。図14は従来の乾燥装置を備えた衛生洗浄装置の一例を示す模式的斜視図。図15はこの従来の衛生洗浄装置のノズルの模式的平面図。図16このノズルの模式的側断面図である。
【0003】
図14から図16に示すように、衛生洗浄装置は、便器1上に配置された便座2、便蓋3、衛生洗浄装置の本体ケース4、水洗タンク5(ロータンク)およびリモコン7を含んで構成されている。
【0004】
本体ケース4には、人体局部に向けて温風を吹出す温風吹出装置6と、人体局部に温水を噴出する洗浄水噴出ノズル8と、洗浄後の人体局部に向けて加圧空気を断続的に噴出する空気噴出ノズル9とを内蔵している。
【0005】
さらに、洗浄水噴出ノズル8と空気噴出ノズル9を一体化しノズル手段10を構成するとともに、ノズル手段10を進退動作させるノズル駆動手段A11と、ノズル手段10を左右方向に動作させるノズル駆動手段B12を設けている。
【0006】
使用者が便座2に着座し用便後、リモコン7によりおしり洗浄操作を行うと、ノズル駆動手段A11によりノズル手段10を突出し、洗浄水噴出ノズル8より温水が人体局部に向けて噴出される。この際、ノズル駆動手段A11とノズル駆動手段B12により、洗浄位置を前後左右に調節することができる。
【0007】
洗浄後、乾燥操作すると、温風吹出装置6が駆動され、温風が吹出されるとともに、空気噴出ノズル9から人体局部に向けて加圧空気が噴出される。この際、ノズル駆動手段A11とノズル駆動手段B12を駆動して前後左右方向に噴出位置を可変して水滴を効果的に除去するとしている。
【0008】
なお、温水はノズル手段10の水流入口14に接続されるチューブ(図示せず)から供給される。また、加圧空気は空気流入口15に接続されるチューブ(図示せず)から供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−294835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、空気噴出ノズル9から人体局部に加圧空気を噴出する際に、加圧空気が直接当たる部位は水滴が除去されるが、濡れ広がった周囲の水滴は
風圧により更に周辺に広がってしまい、充分な水滴除去ができない。このため、駆動手段B12の稼動範囲を大きくして広い範囲に加圧空気が当たるようにすると、前後左右の動作によって水流入口14と空気流入口15に接続するチューブの引き回しが困難になってしまう課題があった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、衛生的でかつ短時間で被乾燥面を乾燥できる乾燥機能を備えた衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衛生洗浄装置は、人体局部方向に加圧空気を噴出する空気噴出口と、前記空気噴出口と連通する空気流入口を備える棒状のノズルと、
前記ノズルを軸方向に進退駆動するとともに、前記ノズルの軸を中心に左右方向に回動駆動する駆動手段と、
前記ノズルの空気流入口に流体を搬送する可撓性のチューブとを備え、
前記空気流入口は、前記ノズルの後端の軸心近傍に設け、前記チューブとの接続方向を前記ノズルの軸と略平行としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空気噴出ノズルの加圧空気の噴出方向を前後に移動させるとともに、左右に回動させるので、人体局部の広い範囲に空気噴流を当てることができ、水滴除去が確実にできる。
【0014】
また、チューブがノズル軸心近傍で軸方向に接続されているので、ノズルが左右方向に回転駆動する際にチューブにかかる力はねじり作用が主となるので、チューブがノズル回転で振り回されることがなく、安定した駆動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図
【図2】図1の衛生洗浄装置における遠隔操作装置の一例を示す模式図
【図3】図1の衛生洗浄装置における洗浄水噴出手段の構成を示すブロック図
【図4】図1の衛生洗浄装置における空気噴出手段および加熱手段の構成を示すブロック図
【図5】(a)図1の衛生洗浄装置におけるノズル収納時の駆動手段の構成を示す斜視図、(b)同装置におけるノズル突出時の駆動手段の構成を示す斜視図
【図6】(a)図1の衛生洗浄装置におけるノズル洗浄手段の横断面を示す模式図、(b)同装置におけるノズル洗浄手段35の縦断面を示す模式図
【図7】(a)図1の衛生洗浄装置におけるノズルの平面図、(b)同装置におけるAA断面図、(c)同装置の乾燥設定におけるBB断面図、(d)同装置のおしり洗浄設定におけるBB断面図、(e)同装置のビデ設定におけるBB断面図
【図8】(a)図1の衛生洗浄装置におけるノズル収納時の駆動手段の側面図、(b)同装置のAA断面図、(c)同装置のBB断面図
【図9】図1の衛生洗浄装置におけるノズル角度設定の制御動作を示すタイムチャート
【図10】図1の衛生洗浄装置における「おしり洗浄」および「乾燥」運転の制御動作を示すタイムチャート
【図11】(a)図1の衛生洗浄装置における「おしり洗浄」の運転状態の模式的断面図、(b)同装置における「乾燥」の第1のステップの運転状態の模式的断面図、(c)同装置における「乾燥」の第2のステップの運転状態の模式的断面図
【図12】図1の衛生洗浄装置における「乾燥」の第1および第2ステップの被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図
【図13】図1の衛生洗浄装置における「乾燥」の第3および第4ステップの被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図
【図14】従来の乾燥装置を備えた衛生洗浄装置の模式的斜視図
【図15】従来の乾燥装置を備えた衛生洗浄装置のノズルの模式的平面図
【図16】従来の乾燥装置を備えた衛生洗浄装置のノズルの模式的断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、
人体局部方向に加圧空気を噴出する空気噴出口と、前記空気噴出口と連通する空気流入口を備える棒状のノズルと、
前記ノズルを軸方向に進退駆動するとともに、前記ノズルの軸を中心に左右方向に回動駆動する駆動手段と、
前記ノズルの空気流入口に流体を搬送する可撓性のチューブとを備え、
前記空気流入口は、前記ノズルの後端の軸心近傍に設け、前記チューブとの接続方向を前記ノズルの軸と略平行としたものである。
【0017】
これによって、チューブがノズル軸心近傍で軸方向に接続されているので、ノズルが左右方向に回転駆動する際に、チューブがノズル回転で振り回されることがなく、安定した駆動が可能となる。
【0018】
第2の発明は、特に、第1の発明のノズルの後端部にノズルを回動自在に支持するノズルホルダを備え、前記空気流入口は、少なくとも一部が前記ノズルホルダ内に配置されるものである。
【0019】
これによって、空気流入口をノズルホルダ内に配置することによって、ノズル後端部の凸部を抑えて、空気流入口とチューブとを接続した状態での衛生洗浄装置本体内での収納効率を向上させることができる。
【0020】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明のチューブを前記空気流入口との接続部から所定長さの位置に固定部を備え、前記接続部と前記固定部の間でU字状に屈曲して配置するものである。
【0021】
これによって、ノズルの進退駆動と左右方向の回動駆動による、空気流入口と固定部の位置および角度の変化をU字状屈曲により吸収させ、安定した動作が可能となる。
【0022】
第4の発明は、特に、第1から第3のいずれかひとつの発明のチューブと流入口とを、前記ノズルの回動範囲の中で、加圧空気噴出角度が略人体局部方向において前記チューブのねじり作用が小さくなるように接続するものである。
【0023】
これはノズルを回動する際にチューブのねじり作用が働くのを左右対称にすることで、左右動作のバランスを取ることができる。
【0024】
第5の発明は、特に、第1から第4のいずれかひとつの発明のノズルに、人体局部に洗浄水を噴出するための洗浄水噴出口と、前記洗浄水噴出口に連通する洗浄水流入口と、前記洗浄水流入口に接続するチューブとを更に備え、前記空気流入口と前記洗浄水流入口は前記ノズル後端の軸心近傍に配置するものである。
【0025】
これはひとつのノズルに人体局部を洗浄する機能と、人体局部に付着した水滴を除去す
る機能を備えるもので、二つの機能を一体化することによってコンパクトで低コストのノズルを実現できる。
【0026】
第6の発明は、特に、第5の発明のノズルを、前記洗浄水噴出口と、前記空気噴出口とを前記ノズルの先端部外周面に異なる角度に配置し、前記噴出口を切換える際は前記駆動手段により使用する噴出口を所定位置の噴出方向にノズル角度を変更するものである。
【0027】
これは1本のノズルで、洗浄水の噴出と空気の噴出を簡単に素早く切換えることができる。以下、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置およびそれを備えるトイレ装置を示す外観斜視図である。トイレ装置1000はトイレットルーム内に設置される。
【0029】
トイレ装置1000において、便器600には衛生洗浄装置100が取り付けられる。衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成される。
【0030】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉可能に取り付けられている。また、本体部200には、空気噴出手段であるノズル20を含む乾燥装置50と、洗浄水を噴出するための洗浄水噴出手段30と、加熱手段40とが設けられるとともに、制御部が内蔵されている。
【0031】
図1では、本体部200の正面上部に設けられる着座センサ610が示されている。この着座センサ610は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ610は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0032】
入室検知センサ700は、トイレットルームの入口等に取り付けられる。入室検知センサ700は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、入室検知センサ700は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0033】
本体部200の制御部は、遠隔操作装置300、入室検知センサ700および着座センサ610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の各部の動作を制御する。
【0034】
空気噴出手段50は、加圧空気を供給するエアポンプ51と、この加圧空気を噴出する空気噴出口21を備えたノズル20と、空気噴出口21から噴出される加圧空気の噴流を前後左右に移動するために、ノズル20を駆動する駆動手段52とにより構成されており、空気噴出手段50から噴出する加圧空気は被乾燥面に到達する風速が秒速20〜50mの能力を備えており、被乾燥面における噴流の当接範囲は直径約1cm程度の大きさとなっている。
【0035】
ノズル20には、洗浄水を噴出する洗浄水噴出口22を含む洗浄水噴出手段30の洗浄ノズル部33が一体で構成されている。
【0036】
洗浄水噴出手段30は、ノズル20に設けられた第1の洗浄水噴出口22と第2の洗浄水噴出口23以外に水道水の供給を開閉する開閉弁と、水道水を加熱する温水加熱手段31と、温水加熱手段31からの温水をノズル20の方向とノズル洗浄部方向とに流路を切
換える切換弁32とで構成されている。なお、第1の洗浄水噴出口22はおしり洗浄用洗浄水を噴出し、第2の洗浄水噴出口23はビデ用洗浄水を噴出する。
【0037】
加熱手段40は、内蔵のヒータに送風して温風を供給する送風手段であるエアファン41と、この温風を温風噴出口42に導くダクト43により構成されており、温風噴出口42より噴出する温風は前記空気噴出手段50から噴出する加圧空気の流速より遅く、秒速10m以下であり、被乾燥面に対する当接面積は広く被乾燥面の略全面に拡散する構成となっている。
【0038】
図2は、図1の遠隔操作装置300の正面図である。遠隔操作装置300は、使用者のスイッチ操作信号を本体部200に送信し、衛生洗浄装置を駆動制御する操作手段であり、コントローラ本体部301の下部にコントローラ蓋部302が開閉自在に設けられた構造を有する。
【0039】
図2(a)に示すように、コントローラ蓋部302が閉じられた状態で、コントローラ本体部301の上部には乾燥モード選択スイッチ320a,320b,320c、洗浄の強さ調整スイッチ322,323が設けられ、コントローラ蓋部302には停止スイッチ311、乾燥スイッチ314、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313が設けられている。
【0040】
使用者により、上記各スイッチが操作される。これにより、遠隔操作装置300から図1の本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。本体部200の制御部150(図3、図4)は、受信した信号に基づいて本体部200(図1)および便座部400(図1)の各構成部の動作を制御する。
【0041】
例えば、使用者がおしりスイッチ312またはビデスイッチ313を操作することにより、後述するノズル部20(図3)から使用者の局部に洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ311を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部への洗浄水の噴出が停止される。
【0042】
使用者が乾燥スイッチ314を操作することにより、使用者の局部の被乾燥面に後述する空気噴出手段50(図4)から加圧空気が噴出されると同時に加熱手段40(図4)から温風が吹き出される。
【0043】
また、使用者が乾燥モードスイッチ320a,320b,320cを選択操作することにより、前述の使用者の局部に噴出される乾燥空気の噴出条件が変更され、使用状況や使用者の好みにより任意に選択することが可能となっている。
【0044】
乾燥モードスイッチ320aは、短時間で乾燥を終了したい場合の「急速乾燥運転」、乾燥モードスイッチ320bは局部を確実に乾燥させてさらっと仕上げる「しっかり乾燥運転」、乾燥モードスイッチ320cは加圧空気を当てたくない場合に温風だけを吹き出す「温風乾燥運転」、をそれぞれ選択できるようになっている。
【0045】
また、使用者が強さ調整スイッチ322,323を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量および圧力等が調整される。
【0046】
図2(b)に、コントローラ蓋部302が開かれた状態の遠隔操作装置300の正面図が示されている。
【0047】
図2(b)に示すように、コントローラ蓋部302により覆われるコントローラ本体部
301の下部には、上述の停止スイッチ311、乾燥スイッチ314、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313に加えて、自動開閉の入り切りスイッチ315、温風温度調整スイッチ340、水温調整スイッチ333、便座温度調整スイッチ334、除菌スイッチ335および便器洗浄スイッチ336が設けられている。
【0048】
これらのスイッチが操作される場合にも、遠隔操作装置300から本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて本体部200および便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0049】
自動開閉の入り切りスイッチ315はつまみにより構成されている。使用者が自動開閉の入り切りスイッチ315のつまみを操作することにより、蓋部500(図1)の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉の入り切りスイッチ315のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入退室に応じて蓋部500が開閉される。
【0050】
使用者が温風温度調整スイッチ340を操作することにより、加熱手段40から使用者の局部に吹き出される温風の温度が調整される。この温風温度調整スイッチ340は、一回押す毎に設定が、「高」、「中」、「低」、「切」と切り替わる。この「切」の設定で運転した場合は、ヒータ43(図4)がオフとなり送風だけとなる。
【0051】
また、使用者が水温調整スイッチ333を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。使用者が便座温度調整スイッチ334を操作することにより、便座部400の温度が調整される。
【0052】
次に、本体部200内に設けられた洗浄水噴出手段30について説明を行う。図3は洗浄水噴出手段30および制御部150の構成を示すブロック図である。
【0053】
図3に示す洗浄水噴出手段30は、開閉弁34、温水加熱手段31、切換弁32、ノズル20、ノズル洗浄手段35、駆動手段52、前後駆動モータ53 、左右駆動モータ54および制御部150を含む。
【0054】
切換弁32は温水加熱手段31からの温水をノズル20の第1の洗浄水噴出口22方向と第2の洗浄水噴出口23方向と、ノズル洗浄35方向に切換駆動する。
【0055】
洗浄水噴出手段30の制御部150は、開閉弁34、温水加熱手段31、切換弁32、前後駆動モータ53および左右駆動モータ54の動作を制御する。
【0056】
続いて本体部200内に設けられた乾燥機能について説明を行う。図4は乾燥機能における空気噴出手段50、加熱手段40および制御部150の構成を示すブロック図である。
【0057】
図4に示す空気噴出手段50は、ノズル20、エアポンプ51、駆動手段52、前後駆動モータ53 、左右駆動モータ54を含む。また、加熱手段40は、エアファン41、ヒータ43および温風噴出口42を含む。
【0058】
また前述の洗浄水噴出手段30のノズル20とは一体に構成し、前記の駆動手段52、前後駆動モータ53、左右駆動モータ54、制御部150は、前述する洗浄水噴出手段30と共用している。
【0059】
乾燥機能の制御部150は、室温検出手段151の検出信号を入力し、エアポンプ51
、前後駆動モータ53、左右駆動モータ54、エアファン41およびヒータ43の動作を制御する。室温検出手段151は、衛生洗浄装置の雰囲気温度が検出できるように本体部200(図1)に内蔵されたサーミスタにより室温を検出する。
【0060】
そして、この乾燥機能は、加熱手段40と空気噴出手段50を同時に駆動させて、加熱手段40により送風される温風を、空気噴出手段50により噴出される加圧空気により誘引しながら混合して被乾燥面に噴出する第1の乾燥運転と、空気噴出手段50だけを駆動して加圧空気だけ被乾燥面に噴出する第2の乾燥運転と、加熱手段40だけを駆動して温風だけ被乾燥面に吹き出す第3の乾燥運転の3通りの運転パターンを有している。
【0061】
図5は洗浄水噴出手段30および空気噴出手段50における駆動手段52の構成を示す斜視図である。(a)はノズル20が収納された状態を示し、(b)はノズル20が突出された状態を示す。
【0062】
図5に示す駆動手段52は、ノズル20と、ノズル20からの空気噴流を左右方向に揺動する揺動手段と、空気噴流を前後方向に往復動させる進退駆動手段と、ベース55により構成しており、ノズル20から噴出する加圧空気の被乾燥面に対する当接範囲を被乾燥面の全面に亘り任意に移動させることができる。
【0063】
ノズル20への加圧空気および洗浄水の供給はチューブ39により行う。このチューブ39の一端は後述するノズル20の空気流入口および洗浄水流入口に接続し、U字状に屈曲して他端を固定部(図示せず)に支持する。この際、空気噴出口21の噴出方向が上方の角度において、各チューブ39のねじり作用が小さくなるように接続する。
【0064】
また、角シャフト66とチューブ39が干渉しないように、チューブ39と角シャフト66の距離を保つチューブ39の設置角度としている。
【0065】
ベース55は、上面に前傾して構成したレール部56に沿ってノズル20を傾斜させて配置し、ベース先端に開孔して配置したガイド部57にノズル20を通して保持する。このガイド部57は摺動性のよい材質で構成し、ノズル20がスムーズに回転および摺動するように適度にクリアランスを設けている。
【0066】
また、ベース55上面には、レール部56に沿ってスライドするノズルホルダ58を備え、ノズル20の後端部を回動自在に支持する。そして、ノズルホルダ58の動作に合わせて、ノズル20はレール部56に沿って駆動する。
【0067】
進退駆動手段は、前後駆動モータ53と、原動プーリ60と従動プーリ59a、59bとテンションプーリ59cとの間に配置されたタイミングベルト61により構成され、タイミングベルト61の従動プーリ59a、59b間はレール部56と平行に配置される。
【0068】
また、ノズルホルダ58とタイミングベルト61は、ノズルホルダ58のアーム部58aにより連結し、タイミングベルと61の動きに応じて、ノズル20がレール部56に沿って駆動する。
【0069】
前後駆動モータ53は、ベース55の下部後端に配置し、原動プーリ60を正逆回転するよう接続されている。タイミングベルト61は、この原動プーリ60の動作に応じて動く。
【0070】
したがって、前後駆動モータ53の回転に合わせて、ノズルホルダ58に支持されたノズル20が前後に進退駆動する。ここでの前方向とは図5のA方向を表し、後方向とはB
方向を表しており、前方向は便座400に着座した用便者の前面方向に対応し、後方向は用便者の背面方向に対応する。
【0071】
揺動手段は、ベース上部後端に配置した左右駆動モータ54と、歯車A62、歯車B63、歯車C64、歯車D65および角シャフト66より成り、左右駆動モータ54の回転を歯車A62、歯車B63により角シャフト66に伝える。歯車C64はノズルホルダ58に保持され、角シャフト66からの回転を摺動自在に伝達されるように構成している。歯車D65はノズル20に直結して、歯車C64からの回転をノズル20に伝える。
【0072】
したがって、左右駆動モータ54の正逆回転に応じてノズル20が回転し、空気噴出口21から噴出する空気噴流は図5のCおよびDの右左方向に揺動する。
【0073】
ノズル洗浄手段35は、ガイド部57と一体に構成されており、図6を用いて詳細に説明する。
【0074】
図6(a)はノズル洗浄手段35の横断面を示す模式図、図6(b)はノズル洗浄手段35の縦断面を示す模式図である。
【0075】
図6(a)、(b)に示すノズル洗浄手段35は、入水口36、洗浄室37、洗浄水拡散部38を含み、洗浄水は入水口36より供給され、洗浄水拡散部38の段差に衝突して洗浄室37に拡散する。そして、ノズル20の表面を洗い流す。
【0076】
次に図7を用いて、ノズル20を中心としたノズルユニットの構成について説明する。図7(a)はノズルユニットの外観を示す平面図、図7(b)はノズルユニットの縦断面図(断面図AA)、図7(c)から(e)はノズルユニットの横断面図(断面図BB)である。
【0077】
図7に示すノズル20は円柱形状を成し、先端近傍の外周方向に、空気噴出口21と第1の洗浄水噴出口22と第2の洗浄水噴出口23とが設けられ、内部に加圧空気を空気噴出口21に導くエア流路24と、おしり洗浄用の洗浄水を第1の洗浄水噴出口22に導く水用流路a25と水用流路b26と、ビデ用洗浄水を第2の洗浄水噴出口23に導く水用流路c27が設けられている。
【0078】
ノズル20外周部には、ノズル20の外周面を覆い、回動自在に設けたノズルカバー28が配置され、ノズル20の洗浄水噴出口22,23と空気噴出口21とに対向する一つの開口部29を備えている。したがって、ノズル20とノズルカバー28の相対角度を変えることで、開口部29に望む噴出口を切換えることができる。図7(c)は開口部29と空気噴出口21を一致させた場合を示し、図7(d)は開口部29と第1の洗浄水噴出口22を一致させた場合、図7(e)は開口部29と第2の洗浄水噴出口23を一致させた場合を示す。このように運転モードに応じて噴出口を簡単に切換えることができる。
【0079】
第1の洗浄水噴出口22は、水用流路b26からの平行流に、水用流路a25からの旋回流を合成して噴出するので、平行流と旋回流の割合を調整することにより噴流の広がりと強さを変更することができる。
【0080】
ノズルカバー28はパイプ状のステンレス金属により構成することにより、細菌の繁殖が抑制され、より衛生性を向上できる。
【0081】
エアポンプ51からの加圧空気は、チューブ39aと接続する空気流入口45aからエア流路24に供給されるように接続され、切換弁32からの洗浄水は、チューブ39bと
接続する洗浄水流入口b45bから水用流路b26に供給されるように接続されている。
【0082】
同様に、水用流路a25と水用流路c27にも洗浄水流入口a(図示せず)および洗浄水流入口c(図示せず)があり、それぞれにチューブ39c、39d(図5)が接続される。これらチューブaからdは、ノズル20が回転や前後駆動する際に、ねじれや屈曲の力が働くためゴムやエラストマなどの可撓性素材で構成する。
【0083】
空気流入口45aと洗浄水流入口aからcは、ノズルホルダ58内に配置している。この構成によって、チューブを接続してU字状に屈曲して構成する際の、ノズル20後端部の寸法を小さくすることができるので、ノズル収納時の本体への収まりがよくなる。
【0084】
次に、ノズルカバー28とノズル20の角度設定の構成について図8を含めて説明する。図8(a)は駆動手段52の構成を示す正面図、図8(b)はその一部断面図(断面図AA)、図8(c)は別の一部断面図(断面図BB)である。
【0085】
図8(a)、(b)に示すベース55とノズルホルダ58には、ノズルカバー28の回転を抑制する回転抑制手段であるストッパa71、ストッパb72を設けている。
【0086】
ストッパa71は、ベース55の後部に配置され、ノズルが前後駆動の最終端に移動し収納状態になった場合に、ノズルカバー28のアーム73が収まり、ノズルカバー28の回転が制限される。この状態で、ノズル20を回転駆動すれば、ノズル20とノズルカバー28の相対角度を変更することができる。このストッパa71は、ノズル20の左右両側に設けられ、何れの方向からでも角度変更を可能としている。
【0087】
ストッパb72は、ノズルホルダ58の左右2箇所に配置されており、ノズルカバー28の回転範囲を制限するだけでなく、ノズル20の回転角度も制限している。これは、ノズル20とノズルカバー28の回転範囲を同じ範囲となるように設定している。また、アーム73がストッパb72に当たっている状態で、更にノズル20を回転させることによっても、ノズル20とノズルカバー28の相対角度を変更することができる。
【0088】
図8(c)に、ノズル20とノズルカバー28との相対角度を所定角度に保持する角度保持手段74示す。この角度保持手段74は、ノズルカバー28に構成したバネ性のある凸部75と、ノズル20外周面に設けた3箇所の凹部76a、76b、76cによって成り、凸部75と凹部の一箇所が嵌合されて角度を保持する。
【0089】
以下に制御部150における制御動作について、図9、図10および図11を加えて説明する。図9は制御部150による「おしり洗浄」、「ビデ」および「乾燥」運転におけるノズル角度設定のタイムチャート、図10は、制御部150による「おしり洗浄」および「乾燥」運転における制御動作のタイムチャート、図11は、「おしり洗浄」および「乾燥」の運転状態の模式的断面図である。図12および図13は、「乾燥」運転状態の被乾燥面における噴流の当接範囲Eの移動パターンを示す模式図である。
【0090】
図9に示すように、まだ操作がされていない状態のT0の時点では、ノズル20の前後方向は後端の収納位置に配置されている。ノズル20の左右方向は、揺動手段70に設けた中心部位置を検出する位置センサ(図示せず)の検出位置に角度設定されている。この角度は中心角度となり、ノズル20の空気噴出口21とノズルカバー28の開口部29が一致して上方に設定されている。すなわち、ノズル20は「乾燥」に設定されている。
【0091】
使用者が、遠隔操作装置300のおしりスイッチ312を押下操作するT1において、前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10
mm前方)まで移動する。
【0092】
次に、T2において、左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20がストッパb72に当たる左端角度(−90°)まで角度変更する。
【0093】
T3では、前後駆動モータ53を収納位置(約10mm後方)まで運転させて、アーム73をストッパa71に嵌め込むように移動する。この動作により、ノズルカバー28はストッパa71により角度が保持される。
【0094】
次に、T4で左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20の第1の洗浄水噴出口22とノズルカバー28の開口部29が一致するように、ノズル20を右方向に回転させる(約+90°)。ここではノズル20を回転させると、角度が保持されたノズルカバー28との相対角度が変わり、ノズルカバー28に対してノズル20の回転角度を変えることができる。
【0095】
T5では、再び前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動する。そして、T6で左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20の第1の洗浄水噴出口22およびノズルカバー28の開口部29が上方を向くように、ノズル20を右方向に回転させる(約+90°)。
【0096】
T7で、前後駆動モータ53を運転してノズルを収納位置(約10mm後方)まで移動する。そしてT8で動作を完了する。
【0097】
以上のT1からT8までの動作によって、ノズルカバー28の開口部29におしり洗浄用の第1の洗浄水噴出口22の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【0098】
次に、使用者が遠隔操作装置300のビデスイッチ313を押下操作する場合の動作について説明する。なお、この場合もまだ操作がされていない状態では、ノズル20の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル20の左右方向は、揺動手段70に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。
【0099】
T11において、前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動して、T12において、左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20がストッパb72に当たる右端角度(+90°)まで角度変更する。
【0100】
T13では、前後駆動モータ53を収納位置(約10mm後方)まで運転させて、アーム73をストッパa71に嵌め込むように移動し、ノズルカバー28をストッパa71により保持する。
【0101】
次に、T14で左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20の第2の洗浄水噴出口23とノズルカバー28の開口部29が一致するように、ノズル20を左方向に回転させる(約−90°)。
【0102】
T15では、再び前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動して、T16で左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20の第2の洗浄水噴出口23およびノズルカバー28の開口部29が上方を向くように、ノズル20を左方向に回転させる(約−90°)。
【0103】
T17で、前後駆動モータ53を運転してノズルを収納位置(約10mm後方)まで移動する。そしてT18で動作を完了する。
【0104】
以上のT11からT18までの動作によって、ノズルカバー28の開口部29にビデ用の第2の洗浄水噴出口23の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【0105】
次に、使用者が遠隔操作装置300の乾燥スイッチ314を押下操作する場合の動作について説明する。この場合も、まだ操作がされていない状態では、ノズル20の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル20の左右方向は、揺動手段70に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。ただし、ノズルカバー28の開口部29の方向は未定とする。
【0106】
T21において、前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動して、T22において、左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20がストッパb72に当たる右端角度(+90°)まで角度変更する。もし、T22時点でノズルカバー28の開口部29と第1の洗浄水噴出口22が一致していた場合は、アーム73がストッパb72に当たり、ノズルカバー28はノズル20との相対角度が変わり、空気噴出口21とノズルカバー28の開口部29が一致するまで角度が変わる。
【0107】
次に、T23で左右駆動モータ54を反転させて、ノズル20が反対側のストッパb72に当たる左端角度(−180°)まで角度変更する。もし、T23時点でノズルカバー28の開口部29と第2の洗浄水噴出口23が一致していた場合は、アーム73が反対側のストッパb72に当たり、ノズルカバー28はノズル20との相対角度が変わり、空気噴出口21とノズルカバー28の開口部29が一致するまで角度が変わる。
【0108】
このように、ノズルカバー28の開口部29に対してノズルがどの方向を向いていても、上記動作によって開口部29と空気噴出口21とが一致する。
【0109】
そして、T24で左右駆動モータ54を再び反転させて、空気噴出口21およびノズルカバー28の開口部29が上方を向くように回転させる(約+90°)。
【0110】
T25で、前後駆動モータ53を運転してノズルを収納位置(約10mm後方)まで移動する。そしてT26で動作を完了する。
【0111】
以上のT21からT26までの動作によって、ノズルカバー28の開口部29に空気噴出口21の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【0112】
次に、おしり洗浄から乾燥運転の制御動作について説明する。
【0113】
図10に示す「乾燥」の運転モードは、図2の乾燥モードスイッチ320aが選択された状態の「急速乾燥運転」であり、温風温度調整スイッチ340は「中」設定とした状態のタイムチャートである。この「急速乾燥運転」は、乾燥機能における温風を加圧空気により誘引しながら被乾燥面に噴出する第1の乾燥運転で行う。
【0114】
図10に示すように、まだ操作がされていない状態のT0の時点では、ノズル20前後方向は後端の収納位置に配置されている。ノズル20の左右方向は、揺動手段70に設けた中心部位置を検出する位置センサ(図示せず)の検出位置に角度設定されている。
【0115】
使用者が、遠隔操作装置300のおしりスイッチ312を押下操作するT1において、図9で説明したように、ノズルカバー28の開口部29におしり洗浄用の第1の洗浄水噴出口22の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作について省略する。そして同時に、開閉弁34が開き、水道水が温水加熱手段31に流れ込む、内蔵の流量センサ(図示せず)が水流を検出すると、温水加熱手段31への通電が開始され、加熱された温水が供給し始める。この時ノズル20は収納位置にあるので、第1の洗浄水噴出口21から噴出され、充分に温まっていない温水はガイド部57の内面に当たり便器600内に排出される。
【0116】
温水加熱手段31からの出湯温度が所定の温度(例えば36℃)に達した時点T2において、温水加熱手段31および開閉弁34を停止し、前後駆動モータ53を運転させてノズル20を中心部位置(例えば前方100mm)まで前進させる。そして、T3において温水加熱手段31および開閉弁34の運転を再開して、使用者の被洗浄面に洗浄水を噴出する。温水加熱手段31への電力制御は、出湯温度を検出する温度センサ(図示せず)の検出温度が設定温度(例えば40℃)になるように公知PIDやFF制御を用いて行う。
【0117】
また、洗浄水の流量は切換弁32の弁開度を調整することにより使用者の好みの量に設定されている。このおしり洗浄における被洗浄面の濡れ状態は図11(a)に示すように洗浄水が直接当たる中心部だけでなく、水滴が流れて周辺部を濡らしてしまう。
【0118】
おしり洗浄が終了し、使用者が遠隔操作装置300の停止スイッチ311を押下操作する図6のT4において、温水加熱手段31および開閉弁34を停止し、切換弁32を第1の洗浄水噴出口21方向からノズル洗浄手段35方向へ切換え、ノズル20からの洗浄水噴出を停止すると同時に、前後駆動モータ53を逆転させてノズル20を収納位置まで後退させて、洗浄動作を終了する。
【0119】
なお本実施の形態では、おしり洗浄における動作を説明したが、遠隔操作装置300のビデスイッチ313押下操作するビデ洗浄を押下操作する場合においても、基本となるシーケンスは同様である。ただ、ビデ洗浄の場合は、ビデに対応するノズル位置と流量設定に変更される。
【0120】
次に、T4から所定時間後のT5aにおいて、開閉弁34を開き図6のノズル洗浄手段35における、入水口36より洗浄水を供給して洗浄水拡散部38を介してノズル20に洗浄水を噴き付け、ノズル洗浄を行なう。そして、図10のT5bで開閉弁34を停止してノズル洗浄を終了する。この動作は「乾燥」運転が選択されると仮定して、事前にノズルを洗浄する。
【0121】
次に、T6において使用者が遠隔操作装置300の乾燥スイッチ314を押下操作すると、図9で説明したように、ノズルカバー28の開口部29に空気噴出口21の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作について省略する。そして、ヒータ43が通電されヒータ自身の温度上昇が開始される。このように、エアファン41運転する前にヒータ43に通電することにより、放熱が少ない状態でヒータが加熱されるので、高速にヒータ温度を上昇させることができる。
【0122】
このとき同時にエアポンプ51が短時間(たとえば1秒間)だけ運転され、加圧空気がノズル20の空気噴出口21より一瞬噴出される。この動作は、洗浄室37内にノズル20先端が収納状態で、空気噴射口21より加圧空気を噴出させることにより、洗浄室37内を加圧空気がノズル20に沿って高速に流れるので、ノズル20表面に付着した水滴が吹き飛ばされる。したがって、使用者に対して水滴の再付着を防止する。
【0123】
T7でエアファン41の運転を開始して、温風噴出口42から温風を吹出す。吹出される温風温度は加熱されたヒータ43を通過するため、始めから高温の温風温度となる。そして、前述のヒータ加熱量に制御されて、高温(例えば60℃)の温風が吹き出されるように設定される。そして、温風噴出口42から使用者の洗浄面である被乾燥面の略全面に対して送風される。
【0124】
その後、前後駆動モータ53を運転させてノズル20を最前進位置(例えば前方150mm)まで前進させながら、左右駆動モータ54を運転させてノズル20の左右角度を右端角度(例えば+50°)まで角度変更する。
【0125】
T8において、エアポンプ51の運転を開始して、被乾燥面に対して空気噴出口21から加圧空気の噴出を開始する。
【0126】
そして、T8からT9の第1のステップにおいて、駆動手段52の左右駆動モータ54と前後駆動モータ53の運転方向および運転速度を制御して、ノズル20の前後駆動を所定範囲(例えば前方50mmから150mm)で高速に往復運転し、同時にノズル20の左右角度を右端角度から右側所定角度(例えば+50°から+20°)まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。この第1のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の右側所定位置から前後方向に高速に移動しながら徐々に中心部に接近してくる。
【0127】
したがって、図12の動作パターンP1に示すように、空気噴流当接範囲Eは、被乾燥面Fの右端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Gに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、図11(b)に示すように、洗浄水の噴出範囲よりも充分に外側から加圧空気の噴出を開始するので、被乾燥面の右側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【0128】
図10のT9では一旦エアポンプ51を停止して、ノズル20の左右角度を左端角度(例えば−50°)まで角度変更する。そしてT10において、エアポンプ51の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【0129】
そして、T10からT11の第2のステップにおいて、ノズル20の前後駆動を第1のステップと同様に所定範囲(例えば前方50mmから150mm)で高速に往復運転し、同時にノズル20の左右角度を左端角度から左側所定角度(例えば−50°から−20°)まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。この第2のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の左側所定距離から前後方向に高速に移動する周期移動しながら徐々に中心部に漸進移動して接近してくる。
【0130】
したがって、図12の動作パターンP2に示すように、空気噴流の当接範囲Eは被乾燥面Fの左端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Gに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、図11(C)に示すように、被乾燥面の左側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【0131】
以上の第1のステップと第2のステップによって、被洗浄面に付着して残る水滴は中心部を中心に前後残るのみとなる。
【0132】
人体の臀部は、肛門や陰茎の洗浄中心部に対して左右両サイドに凸部が形成されているため、便座に座った場合に洗浄中心部より左右両サイドが低くなる。したがって、洗浄水
が左右に濡れ広がりやすく、乾燥時に最初に中心部に空気噴流を当ててしまうと、付着した水滴が左右に大きく広がり、濡れ面積が拡大してしまう。上述のように、第1のステップと第2のステップによって被洗浄面の水滴が左右に広がるのを防止しながら吹き飛ばすので、効率の良い乾燥ができる。
【0133】
第2のステップの終了時点T11では、ノズル20を最前進位置まで前進させる。そして、T11からT12の第3のステップにおいて、ノズル20の前後駆動を最先進位置から中心部方向にゆっくり後退させながら、同時にノズル20の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。この第3のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動に移動しながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に中心部に接近してくる。
【0134】
したがって、図13の動作パターンP3に示すように、空気噴流の当接範囲Eは被乾燥面Fの先端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら、中心部Gに向けて徐々に斬新移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Gより前方に残る水滴を、中心部G方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【0135】
T12では一旦エアポンプ51を停止して、ノズル20の前後方向位置を後部所定位置(例えば前方50mm)まで移動させる。そしてT13において、エアポンプ51の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【0136】
そしてT13からT14の第4のステップにおいて、ノズル20の前後駆動を後部所定位置から中心部方向にゆっくり前進させながら、同時にノズル20の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。この第4のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動しながら、後方の所定距離から前方に向かって徐々に中心部に接近してくる。
【0137】
したがって、図13の動作パターンP4に示すように、空気噴流の当接範囲Eは被乾燥面Fの後端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら、中心部Gに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Gより後方に残る水滴を、中心部G方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【0138】
以上の第1から第4のステップによって被乾燥面に付着して残る水滴は中心部のみとなる。
【0139】
前記の第1から第4のステップでの被乾燥面に付着する水滴への作用を説明する。各ステップの動作中の被乾燥面への空気噴流の駆動方向が、中心部に向けて移動する速度より、中心部に対して略接線方向の移動速度の方を充分に速くしているので、被乾燥面に衝突して広がる空気流れ方向が、前記の略接線方向に対して垂直方向の流れ成分が多くなる。
【0140】
したがって、この略接線方向に駆動する空気噴流と中心部の間に付着する水滴は、略接線方向に対して垂直方向の空気流に押されて中心部方向に移動するように作用する。そして徐々に空気噴流を中心部に接近させるので、中心部方向に集まってくる。この動きを第1から第4のステップにおいて右、左、前、後の4方向から行うことによって、水滴は中心部に集まる。このように第1から第4のステップが被乾燥面に付着する水滴を被乾燥面の中心部に集める工程となる。
【0141】
T14では、再びエアポンプ51を停止して、ノズル20の前後方向位置を前方の所定位置(例えば前方130mm)まで移動させる。そしてT15において、エアポンプ51の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【0142】
そして、T15からT16の第5のステップにおいて、ノズル20の前後駆動を前方の所定位置から後退を開始し、中心部を通過して、中心部より後方の所定距離(例えば前方50mm)までをゆっくりと後退する。同時にノズル20の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。この第5のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動する周期移動をしながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に漸進移動をして中心部に接近し、さらに中心部を通過して後方の所定位置まで漸進移動する。
【0143】
したがって、被乾燥面に対して空気噴流の当たる位置が前方から中心部を通って後方に徐々に移動するので、被乾燥面の中央部に残る水滴を、完全に吹き飛ばすことができる。すなわち、この第5のステップが集めた水滴を吹き飛ばす工程となる。
【0144】
T16で、エアポンプ51を停止して、ノズル20の前後方向は最前進位置(例えば前方150mm)まで移動させる。ノズル20の左右方向は、中心角度に戻す。
【0145】
T17aからT17bで、ノズル20の前後方向を収納位置に向けて移動させながら、開閉弁34を開きノズル洗浄を行なう。この間でノズル20全体に洗浄水が噴き付けられノズル全体の洗浄ができる。そしてT17bでは、開閉弁34を停止して、ノズル洗浄を終了する。
乾燥が終了し、使用者が遠隔操作装置300の停止スイッチ311を押下操作するT18でヒータ43の運転を停止する。
【0146】
そして、T19でエアファン41を停止することによって、ヒータ43の余熱を減少させて乾燥運転が終了する。
【0147】
以上のように、おしり洗浄とビデと乾燥を1本のノズルで構成し、駆動手段も共用したので、ノズルの設置面積を小さくでき、さらに部品点数が少なくできるため、省スペース化や低コスト化が実現できる。
【0148】
さらに、乾燥のための加圧空気を単一のノズル孔から噴出するように構成しているので、低流量でも空気噴流の流速が大きくでき、小容量のエアポンプでも高い乾燥性能が得られる。すなわち、噴流の流速が大きいので、被乾燥面に付着した水滴に噴流が当たる際の水滴を引き剥がすエネルギーが大きくなるため、水滴を効率よく吹き飛ばすことができる。
【0149】
本実施の形態において、図5および図7(c)に示したようにノズル20の空気噴出口21が上方に向いている姿勢のとき、チューブ39(39a、39b、39c、39d)にねじれがほとんどない状態で、チューブ39(39a、39b、39c、39d)を空気流入口45aや洗浄水流入口45bなどに挿入組み立てしたことにより、図9に示したT0、T11、T21の各時点、すなわち、ノズル20および衛生洗浄装置を使用終了した不使用時は、チューブ39(39a、39b、39c、39d)に不要なねじれや応力がほとんどない平常状態にすることができる。
【0150】
これにより、上記の不使用時にチューブ39(39a、39b、39c、39d)のねじれ癖や、応力による破損等を防止でき、長期の安定寿命を得ることができる。
【0151】
さらに、図9のT21〜T26における乾燥時において、左右駆動モータ54でノズル20を図5(b)の矢印CおよびDの右左方向に揺動する際、チューブ39(39a、39b、39c、39d)は、ねじれや応力がほとんどない状態を中心にCおよびDの各方
向に20度〜30度回転するねじりが作用するだけである。それは、ねじれや応力がほとんどない状態を中心に左右両方向に二分され少ないねじれ作用ですむだけでなく、左右駆動モータ54にかかる負荷は、矢印CおよびDの右左方向とも同様の負荷とバランスよくできるので、ノズル20を矢印CおよびDの右左方向に揺動運転する動作速度も小型のモータでも安定して得ることができる。
【0152】
また、図7(c)に示したようにノズル20は、空気噴出口21を中心として左右回転角度90度以内の位置に、第1の洗浄水噴出口22(おしり)および第2の洗浄水噴出口23(ビデ)をそれぞれ配置して設けた構成により、ノズル20の必要回転角度は、左右それぞれ90度以内でよい。すなわち、チューブ39(39a、39b、39c、39d)のねじり角度は最大で片側90度以内にできる。
【0153】
なお、本実施の形態の図7(c)において、第1の洗浄水噴出口22(おしり)および第2の洗浄水噴出口23(ビデ)は、空気噴出口21を中心として左右回転角度90度の位置に配置したが、たとえば左右回転角度60度や45度の位置にすることによって、チューブ39(39a、39b、39c、39d)のねじり角度をより少なくすることができる。要するに、空気噴出口21を中心として、その左右両側に第1の洗浄水噴出口22(おしり)および第2の洗浄水噴出口23(ビデ)を配置することが、チューブ39(39a、39b、39c、39d)のねじり角度をより少なくできる条件である。
【0154】
なお、本実施の形態においては、操作手段の前後左右の操作スイッチによる洗浄水の噴出位置を調節する構成を説明したが、加圧空気の噴出時に同様の位置調節をすれば加圧空気の位置調整をすることもできる。
【0155】
また、本実施の形態では、洗浄と乾燥を一本の円筒で構成して駆動手段を共用したが、これをそれぞれ独立したノズルと駆動手段で構成してもよい。
【0156】
さらに、本実施の形態においては、加圧空気の流速を秒速20〜50mとしたが、水滴を吹き飛ばす効果を得るためには秒速10m以上が最低必要であり、噴流の当接範囲の大きさの設定要素であるノズル孔の大きさやノズル孔の数は、エアポンプの能力と加圧空気の流速を考慮して選択する必要がある。
【0157】
また、本実施の形態では、第1のステップから第5のステップを順次実行したが、各ステップは繰り返し実行してもよいし、各ステップの順番を入れ替えてもよい。また、第1と第2のステップを省略しても良いし、第3と第4のステップを省略しても良い。
【0158】
また、本実施の形態では、乾燥運転開始時にエアファンを運転する前にヒータを通電してヒータ温度上昇を高速化したが、エアファンとヒータを同時に起動して、そのときエアファンの起動時に送風量を徐々に上げるソフトスタート機能を持たせることにより、ヒータ温度上昇の高速化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上のように、本発明に係る空気噴出手段およびそれを備えた衛生洗浄装置は、少ない空気量でも効率良く水滴を吹き飛ばし、乾燥するので、衛生洗浄装置だけでなく、シャワーや手洗い等で濡れた身体の乾燥にも応用できる。また、食器洗浄機や洗車機、部品洗浄機などの洗浄機における水滴除去や乾燥の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0160】
20 ノズル
21 空気噴出口
22 洗浄水噴出口
39 チューブ
45a 空気流入口
45b 洗浄水流入口
52 駆動手段
58 ノズルホルダ
100 衛生洗浄装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の噴出により濡れた表面の水滴を除去し乾燥させる乾燥機能を備えた衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置においては、使用者の好みに応じた洗浄を実現すべく各種の機能が案出されてきた。使用者は、各種機能を用いた衛生洗浄装置を用いて局部洗浄を行い、トイレットペーパー等の紙により局部に付着した水滴の除去を行っていた。しかし、近年、トイレットペーパー等の紙の代替として、乾燥装置が提案されている( 例えば、特許文献1参照)。図14は従来の乾燥装置を備えた衛生洗浄装置の一例を示す模式的斜視図。図15はこの従来の衛生洗浄装置のノズルの模式的平面図。図16このノズルの模式的側断面図である。
【0003】
図14から図16に示すように、衛生洗浄装置は、便器1上に配置された便座2、便蓋3、衛生洗浄装置の本体ケース4、水洗タンク5(ロータンク)およびリモコン7を含んで構成されている。
【0004】
本体ケース4には、人体局部に向けて温風を吹出す温風吹出装置6と、人体局部に温水を噴出する洗浄水噴出ノズル8と、洗浄後の人体局部に向けて加圧空気を断続的に噴出する空気噴出ノズル9とを内蔵している。
【0005】
さらに、洗浄水噴出ノズル8と空気噴出ノズル9を一体化しノズル手段10を構成するとともに、ノズル手段10を進退動作させるノズル駆動手段A11と、ノズル手段10を左右方向に動作させるノズル駆動手段B12を設けている。
【0006】
使用者が便座2に着座し用便後、リモコン7によりおしり洗浄操作を行うと、ノズル駆動手段A11によりノズル手段10を突出し、洗浄水噴出ノズル8より温水が人体局部に向けて噴出される。この際、ノズル駆動手段A11とノズル駆動手段B12により、洗浄位置を前後左右に調節することができる。
【0007】
洗浄後、乾燥操作すると、温風吹出装置6が駆動され、温風が吹出されるとともに、空気噴出ノズル9から人体局部に向けて加圧空気が噴出される。この際、ノズル駆動手段A11とノズル駆動手段B12を駆動して前後左右方向に噴出位置を可変して水滴を効果的に除去するとしている。
【0008】
なお、温水はノズル手段10の水流入口14に接続されるチューブ(図示せず)から供給される。また、加圧空気は空気流入口15に接続されるチューブ(図示せず)から供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−294835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、空気噴出ノズル9から人体局部に加圧空気を噴出する際に、加圧空気が直接当たる部位は水滴が除去されるが、濡れ広がった周囲の水滴は
風圧により更に周辺に広がってしまい、充分な水滴除去ができない。このため、駆動手段B12の稼動範囲を大きくして広い範囲に加圧空気が当たるようにすると、前後左右の動作によって水流入口14と空気流入口15に接続するチューブの引き回しが困難になってしまう課題があった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、衛生的でかつ短時間で被乾燥面を乾燥できる乾燥機能を備えた衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衛生洗浄装置は、人体局部方向に加圧空気を噴出する空気噴出口と、前記空気噴出口と連通する空気流入口を備える棒状のノズルと、
前記ノズルを軸方向に進退駆動するとともに、前記ノズルの軸を中心に左右方向に回動駆動する駆動手段と、
前記ノズルの空気流入口に流体を搬送する可撓性のチューブとを備え、
前記空気流入口は、前記ノズルの後端の軸心近傍に設け、前記チューブとの接続方向を前記ノズルの軸と略平行としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空気噴出ノズルの加圧空気の噴出方向を前後に移動させるとともに、左右に回動させるので、人体局部の広い範囲に空気噴流を当てることができ、水滴除去が確実にできる。
【0014】
また、チューブがノズル軸心近傍で軸方向に接続されているので、ノズルが左右方向に回転駆動する際にチューブにかかる力はねじり作用が主となるので、チューブがノズル回転で振り回されることがなく、安定した駆動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図
【図2】図1の衛生洗浄装置における遠隔操作装置の一例を示す模式図
【図3】図1の衛生洗浄装置における洗浄水噴出手段の構成を示すブロック図
【図4】図1の衛生洗浄装置における空気噴出手段および加熱手段の構成を示すブロック図
【図5】(a)図1の衛生洗浄装置におけるノズル収納時の駆動手段の構成を示す斜視図、(b)同装置におけるノズル突出時の駆動手段の構成を示す斜視図
【図6】(a)図1の衛生洗浄装置におけるノズル洗浄手段の横断面を示す模式図、(b)同装置におけるノズル洗浄手段35の縦断面を示す模式図
【図7】(a)図1の衛生洗浄装置におけるノズルの平面図、(b)同装置におけるAA断面図、(c)同装置の乾燥設定におけるBB断面図、(d)同装置のおしり洗浄設定におけるBB断面図、(e)同装置のビデ設定におけるBB断面図
【図8】(a)図1の衛生洗浄装置におけるノズル収納時の駆動手段の側面図、(b)同装置のAA断面図、(c)同装置のBB断面図
【図9】図1の衛生洗浄装置におけるノズル角度設定の制御動作を示すタイムチャート
【図10】図1の衛生洗浄装置における「おしり洗浄」および「乾燥」運転の制御動作を示すタイムチャート
【図11】(a)図1の衛生洗浄装置における「おしり洗浄」の運転状態の模式的断面図、(b)同装置における「乾燥」の第1のステップの運転状態の模式的断面図、(c)同装置における「乾燥」の第2のステップの運転状態の模式的断面図
【図12】図1の衛生洗浄装置における「乾燥」の第1および第2ステップの被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図
【図13】図1の衛生洗浄装置における「乾燥」の第3および第4ステップの被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図
【図14】従来の乾燥装置を備えた衛生洗浄装置の模式的斜視図
【図15】従来の乾燥装置を備えた衛生洗浄装置のノズルの模式的平面図
【図16】従来の乾燥装置を備えた衛生洗浄装置のノズルの模式的断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、
人体局部方向に加圧空気を噴出する空気噴出口と、前記空気噴出口と連通する空気流入口を備える棒状のノズルと、
前記ノズルを軸方向に進退駆動するとともに、前記ノズルの軸を中心に左右方向に回動駆動する駆動手段と、
前記ノズルの空気流入口に流体を搬送する可撓性のチューブとを備え、
前記空気流入口は、前記ノズルの後端の軸心近傍に設け、前記チューブとの接続方向を前記ノズルの軸と略平行としたものである。
【0017】
これによって、チューブがノズル軸心近傍で軸方向に接続されているので、ノズルが左右方向に回転駆動する際に、チューブがノズル回転で振り回されることがなく、安定した駆動が可能となる。
【0018】
第2の発明は、特に、第1の発明のノズルの後端部にノズルを回動自在に支持するノズルホルダを備え、前記空気流入口は、少なくとも一部が前記ノズルホルダ内に配置されるものである。
【0019】
これによって、空気流入口をノズルホルダ内に配置することによって、ノズル後端部の凸部を抑えて、空気流入口とチューブとを接続した状態での衛生洗浄装置本体内での収納効率を向上させることができる。
【0020】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明のチューブを前記空気流入口との接続部から所定長さの位置に固定部を備え、前記接続部と前記固定部の間でU字状に屈曲して配置するものである。
【0021】
これによって、ノズルの進退駆動と左右方向の回動駆動による、空気流入口と固定部の位置および角度の変化をU字状屈曲により吸収させ、安定した動作が可能となる。
【0022】
第4の発明は、特に、第1から第3のいずれかひとつの発明のチューブと流入口とを、前記ノズルの回動範囲の中で、加圧空気噴出角度が略人体局部方向において前記チューブのねじり作用が小さくなるように接続するものである。
【0023】
これはノズルを回動する際にチューブのねじり作用が働くのを左右対称にすることで、左右動作のバランスを取ることができる。
【0024】
第5の発明は、特に、第1から第4のいずれかひとつの発明のノズルに、人体局部に洗浄水を噴出するための洗浄水噴出口と、前記洗浄水噴出口に連通する洗浄水流入口と、前記洗浄水流入口に接続するチューブとを更に備え、前記空気流入口と前記洗浄水流入口は前記ノズル後端の軸心近傍に配置するものである。
【0025】
これはひとつのノズルに人体局部を洗浄する機能と、人体局部に付着した水滴を除去す
る機能を備えるもので、二つの機能を一体化することによってコンパクトで低コストのノズルを実現できる。
【0026】
第6の発明は、特に、第5の発明のノズルを、前記洗浄水噴出口と、前記空気噴出口とを前記ノズルの先端部外周面に異なる角度に配置し、前記噴出口を切換える際は前記駆動手段により使用する噴出口を所定位置の噴出方向にノズル角度を変更するものである。
【0027】
これは1本のノズルで、洗浄水の噴出と空気の噴出を簡単に素早く切換えることができる。以下、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る衛生洗浄装置およびそれを備えるトイレ装置を示す外観斜視図である。トイレ装置1000はトイレットルーム内に設置される。
【0029】
トイレ装置1000において、便器600には衛生洗浄装置100が取り付けられる。衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成される。
【0030】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉可能に取り付けられている。また、本体部200には、空気噴出手段であるノズル20を含む乾燥装置50と、洗浄水を噴出するための洗浄水噴出手段30と、加熱手段40とが設けられるとともに、制御部が内蔵されている。
【0031】
図1では、本体部200の正面上部に設けられる着座センサ610が示されている。この着座センサ610は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ610は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0032】
入室検知センサ700は、トイレットルームの入口等に取り付けられる。入室検知センサ700は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、入室検知センサ700は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0033】
本体部200の制御部は、遠隔操作装置300、入室検知センサ700および着座センサ610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の各部の動作を制御する。
【0034】
空気噴出手段50は、加圧空気を供給するエアポンプ51と、この加圧空気を噴出する空気噴出口21を備えたノズル20と、空気噴出口21から噴出される加圧空気の噴流を前後左右に移動するために、ノズル20を駆動する駆動手段52とにより構成されており、空気噴出手段50から噴出する加圧空気は被乾燥面に到達する風速が秒速20〜50mの能力を備えており、被乾燥面における噴流の当接範囲は直径約1cm程度の大きさとなっている。
【0035】
ノズル20には、洗浄水を噴出する洗浄水噴出口22を含む洗浄水噴出手段30の洗浄ノズル部33が一体で構成されている。
【0036】
洗浄水噴出手段30は、ノズル20に設けられた第1の洗浄水噴出口22と第2の洗浄水噴出口23以外に水道水の供給を開閉する開閉弁と、水道水を加熱する温水加熱手段31と、温水加熱手段31からの温水をノズル20の方向とノズル洗浄部方向とに流路を切
換える切換弁32とで構成されている。なお、第1の洗浄水噴出口22はおしり洗浄用洗浄水を噴出し、第2の洗浄水噴出口23はビデ用洗浄水を噴出する。
【0037】
加熱手段40は、内蔵のヒータに送風して温風を供給する送風手段であるエアファン41と、この温風を温風噴出口42に導くダクト43により構成されており、温風噴出口42より噴出する温風は前記空気噴出手段50から噴出する加圧空気の流速より遅く、秒速10m以下であり、被乾燥面に対する当接面積は広く被乾燥面の略全面に拡散する構成となっている。
【0038】
図2は、図1の遠隔操作装置300の正面図である。遠隔操作装置300は、使用者のスイッチ操作信号を本体部200に送信し、衛生洗浄装置を駆動制御する操作手段であり、コントローラ本体部301の下部にコントローラ蓋部302が開閉自在に設けられた構造を有する。
【0039】
図2(a)に示すように、コントローラ蓋部302が閉じられた状態で、コントローラ本体部301の上部には乾燥モード選択スイッチ320a,320b,320c、洗浄の強さ調整スイッチ322,323が設けられ、コントローラ蓋部302には停止スイッチ311、乾燥スイッチ314、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313が設けられている。
【0040】
使用者により、上記各スイッチが操作される。これにより、遠隔操作装置300から図1の本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。本体部200の制御部150(図3、図4)は、受信した信号に基づいて本体部200(図1)および便座部400(図1)の各構成部の動作を制御する。
【0041】
例えば、使用者がおしりスイッチ312またはビデスイッチ313を操作することにより、後述するノズル部20(図3)から使用者の局部に洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ311を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部への洗浄水の噴出が停止される。
【0042】
使用者が乾燥スイッチ314を操作することにより、使用者の局部の被乾燥面に後述する空気噴出手段50(図4)から加圧空気が噴出されると同時に加熱手段40(図4)から温風が吹き出される。
【0043】
また、使用者が乾燥モードスイッチ320a,320b,320cを選択操作することにより、前述の使用者の局部に噴出される乾燥空気の噴出条件が変更され、使用状況や使用者の好みにより任意に選択することが可能となっている。
【0044】
乾燥モードスイッチ320aは、短時間で乾燥を終了したい場合の「急速乾燥運転」、乾燥モードスイッチ320bは局部を確実に乾燥させてさらっと仕上げる「しっかり乾燥運転」、乾燥モードスイッチ320cは加圧空気を当てたくない場合に温風だけを吹き出す「温風乾燥運転」、をそれぞれ選択できるようになっている。
【0045】
また、使用者が強さ調整スイッチ322,323を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量および圧力等が調整される。
【0046】
図2(b)に、コントローラ蓋部302が開かれた状態の遠隔操作装置300の正面図が示されている。
【0047】
図2(b)に示すように、コントローラ蓋部302により覆われるコントローラ本体部
301の下部には、上述の停止スイッチ311、乾燥スイッチ314、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313に加えて、自動開閉の入り切りスイッチ315、温風温度調整スイッチ340、水温調整スイッチ333、便座温度調整スイッチ334、除菌スイッチ335および便器洗浄スイッチ336が設けられている。
【0048】
これらのスイッチが操作される場合にも、遠隔操作装置300から本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて本体部200および便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0049】
自動開閉の入り切りスイッチ315はつまみにより構成されている。使用者が自動開閉の入り切りスイッチ315のつまみを操作することにより、蓋部500(図1)の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉の入り切りスイッチ315のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入退室に応じて蓋部500が開閉される。
【0050】
使用者が温風温度調整スイッチ340を操作することにより、加熱手段40から使用者の局部に吹き出される温風の温度が調整される。この温風温度調整スイッチ340は、一回押す毎に設定が、「高」、「中」、「低」、「切」と切り替わる。この「切」の設定で運転した場合は、ヒータ43(図4)がオフとなり送風だけとなる。
【0051】
また、使用者が水温調整スイッチ333を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。使用者が便座温度調整スイッチ334を操作することにより、便座部400の温度が調整される。
【0052】
次に、本体部200内に設けられた洗浄水噴出手段30について説明を行う。図3は洗浄水噴出手段30および制御部150の構成を示すブロック図である。
【0053】
図3に示す洗浄水噴出手段30は、開閉弁34、温水加熱手段31、切換弁32、ノズル20、ノズル洗浄手段35、駆動手段52、前後駆動モータ53 、左右駆動モータ54および制御部150を含む。
【0054】
切換弁32は温水加熱手段31からの温水をノズル20の第1の洗浄水噴出口22方向と第2の洗浄水噴出口23方向と、ノズル洗浄35方向に切換駆動する。
【0055】
洗浄水噴出手段30の制御部150は、開閉弁34、温水加熱手段31、切換弁32、前後駆動モータ53および左右駆動モータ54の動作を制御する。
【0056】
続いて本体部200内に設けられた乾燥機能について説明を行う。図4は乾燥機能における空気噴出手段50、加熱手段40および制御部150の構成を示すブロック図である。
【0057】
図4に示す空気噴出手段50は、ノズル20、エアポンプ51、駆動手段52、前後駆動モータ53 、左右駆動モータ54を含む。また、加熱手段40は、エアファン41、ヒータ43および温風噴出口42を含む。
【0058】
また前述の洗浄水噴出手段30のノズル20とは一体に構成し、前記の駆動手段52、前後駆動モータ53、左右駆動モータ54、制御部150は、前述する洗浄水噴出手段30と共用している。
【0059】
乾燥機能の制御部150は、室温検出手段151の検出信号を入力し、エアポンプ51
、前後駆動モータ53、左右駆動モータ54、エアファン41およびヒータ43の動作を制御する。室温検出手段151は、衛生洗浄装置の雰囲気温度が検出できるように本体部200(図1)に内蔵されたサーミスタにより室温を検出する。
【0060】
そして、この乾燥機能は、加熱手段40と空気噴出手段50を同時に駆動させて、加熱手段40により送風される温風を、空気噴出手段50により噴出される加圧空気により誘引しながら混合して被乾燥面に噴出する第1の乾燥運転と、空気噴出手段50だけを駆動して加圧空気だけ被乾燥面に噴出する第2の乾燥運転と、加熱手段40だけを駆動して温風だけ被乾燥面に吹き出す第3の乾燥運転の3通りの運転パターンを有している。
【0061】
図5は洗浄水噴出手段30および空気噴出手段50における駆動手段52の構成を示す斜視図である。(a)はノズル20が収納された状態を示し、(b)はノズル20が突出された状態を示す。
【0062】
図5に示す駆動手段52は、ノズル20と、ノズル20からの空気噴流を左右方向に揺動する揺動手段と、空気噴流を前後方向に往復動させる進退駆動手段と、ベース55により構成しており、ノズル20から噴出する加圧空気の被乾燥面に対する当接範囲を被乾燥面の全面に亘り任意に移動させることができる。
【0063】
ノズル20への加圧空気および洗浄水の供給はチューブ39により行う。このチューブ39の一端は後述するノズル20の空気流入口および洗浄水流入口に接続し、U字状に屈曲して他端を固定部(図示せず)に支持する。この際、空気噴出口21の噴出方向が上方の角度において、各チューブ39のねじり作用が小さくなるように接続する。
【0064】
また、角シャフト66とチューブ39が干渉しないように、チューブ39と角シャフト66の距離を保つチューブ39の設置角度としている。
【0065】
ベース55は、上面に前傾して構成したレール部56に沿ってノズル20を傾斜させて配置し、ベース先端に開孔して配置したガイド部57にノズル20を通して保持する。このガイド部57は摺動性のよい材質で構成し、ノズル20がスムーズに回転および摺動するように適度にクリアランスを設けている。
【0066】
また、ベース55上面には、レール部56に沿ってスライドするノズルホルダ58を備え、ノズル20の後端部を回動自在に支持する。そして、ノズルホルダ58の動作に合わせて、ノズル20はレール部56に沿って駆動する。
【0067】
進退駆動手段は、前後駆動モータ53と、原動プーリ60と従動プーリ59a、59bとテンションプーリ59cとの間に配置されたタイミングベルト61により構成され、タイミングベルト61の従動プーリ59a、59b間はレール部56と平行に配置される。
【0068】
また、ノズルホルダ58とタイミングベルト61は、ノズルホルダ58のアーム部58aにより連結し、タイミングベルと61の動きに応じて、ノズル20がレール部56に沿って駆動する。
【0069】
前後駆動モータ53は、ベース55の下部後端に配置し、原動プーリ60を正逆回転するよう接続されている。タイミングベルト61は、この原動プーリ60の動作に応じて動く。
【0070】
したがって、前後駆動モータ53の回転に合わせて、ノズルホルダ58に支持されたノズル20が前後に進退駆動する。ここでの前方向とは図5のA方向を表し、後方向とはB
方向を表しており、前方向は便座400に着座した用便者の前面方向に対応し、後方向は用便者の背面方向に対応する。
【0071】
揺動手段は、ベース上部後端に配置した左右駆動モータ54と、歯車A62、歯車B63、歯車C64、歯車D65および角シャフト66より成り、左右駆動モータ54の回転を歯車A62、歯車B63により角シャフト66に伝える。歯車C64はノズルホルダ58に保持され、角シャフト66からの回転を摺動自在に伝達されるように構成している。歯車D65はノズル20に直結して、歯車C64からの回転をノズル20に伝える。
【0072】
したがって、左右駆動モータ54の正逆回転に応じてノズル20が回転し、空気噴出口21から噴出する空気噴流は図5のCおよびDの右左方向に揺動する。
【0073】
ノズル洗浄手段35は、ガイド部57と一体に構成されており、図6を用いて詳細に説明する。
【0074】
図6(a)はノズル洗浄手段35の横断面を示す模式図、図6(b)はノズル洗浄手段35の縦断面を示す模式図である。
【0075】
図6(a)、(b)に示すノズル洗浄手段35は、入水口36、洗浄室37、洗浄水拡散部38を含み、洗浄水は入水口36より供給され、洗浄水拡散部38の段差に衝突して洗浄室37に拡散する。そして、ノズル20の表面を洗い流す。
【0076】
次に図7を用いて、ノズル20を中心としたノズルユニットの構成について説明する。図7(a)はノズルユニットの外観を示す平面図、図7(b)はノズルユニットの縦断面図(断面図AA)、図7(c)から(e)はノズルユニットの横断面図(断面図BB)である。
【0077】
図7に示すノズル20は円柱形状を成し、先端近傍の外周方向に、空気噴出口21と第1の洗浄水噴出口22と第2の洗浄水噴出口23とが設けられ、内部に加圧空気を空気噴出口21に導くエア流路24と、おしり洗浄用の洗浄水を第1の洗浄水噴出口22に導く水用流路a25と水用流路b26と、ビデ用洗浄水を第2の洗浄水噴出口23に導く水用流路c27が設けられている。
【0078】
ノズル20外周部には、ノズル20の外周面を覆い、回動自在に設けたノズルカバー28が配置され、ノズル20の洗浄水噴出口22,23と空気噴出口21とに対向する一つの開口部29を備えている。したがって、ノズル20とノズルカバー28の相対角度を変えることで、開口部29に望む噴出口を切換えることができる。図7(c)は開口部29と空気噴出口21を一致させた場合を示し、図7(d)は開口部29と第1の洗浄水噴出口22を一致させた場合、図7(e)は開口部29と第2の洗浄水噴出口23を一致させた場合を示す。このように運転モードに応じて噴出口を簡単に切換えることができる。
【0079】
第1の洗浄水噴出口22は、水用流路b26からの平行流に、水用流路a25からの旋回流を合成して噴出するので、平行流と旋回流の割合を調整することにより噴流の広がりと強さを変更することができる。
【0080】
ノズルカバー28はパイプ状のステンレス金属により構成することにより、細菌の繁殖が抑制され、より衛生性を向上できる。
【0081】
エアポンプ51からの加圧空気は、チューブ39aと接続する空気流入口45aからエア流路24に供給されるように接続され、切換弁32からの洗浄水は、チューブ39bと
接続する洗浄水流入口b45bから水用流路b26に供給されるように接続されている。
【0082】
同様に、水用流路a25と水用流路c27にも洗浄水流入口a(図示せず)および洗浄水流入口c(図示せず)があり、それぞれにチューブ39c、39d(図5)が接続される。これらチューブaからdは、ノズル20が回転や前後駆動する際に、ねじれや屈曲の力が働くためゴムやエラストマなどの可撓性素材で構成する。
【0083】
空気流入口45aと洗浄水流入口aからcは、ノズルホルダ58内に配置している。この構成によって、チューブを接続してU字状に屈曲して構成する際の、ノズル20後端部の寸法を小さくすることができるので、ノズル収納時の本体への収まりがよくなる。
【0084】
次に、ノズルカバー28とノズル20の角度設定の構成について図8を含めて説明する。図8(a)は駆動手段52の構成を示す正面図、図8(b)はその一部断面図(断面図AA)、図8(c)は別の一部断面図(断面図BB)である。
【0085】
図8(a)、(b)に示すベース55とノズルホルダ58には、ノズルカバー28の回転を抑制する回転抑制手段であるストッパa71、ストッパb72を設けている。
【0086】
ストッパa71は、ベース55の後部に配置され、ノズルが前後駆動の最終端に移動し収納状態になった場合に、ノズルカバー28のアーム73が収まり、ノズルカバー28の回転が制限される。この状態で、ノズル20を回転駆動すれば、ノズル20とノズルカバー28の相対角度を変更することができる。このストッパa71は、ノズル20の左右両側に設けられ、何れの方向からでも角度変更を可能としている。
【0087】
ストッパb72は、ノズルホルダ58の左右2箇所に配置されており、ノズルカバー28の回転範囲を制限するだけでなく、ノズル20の回転角度も制限している。これは、ノズル20とノズルカバー28の回転範囲を同じ範囲となるように設定している。また、アーム73がストッパb72に当たっている状態で、更にノズル20を回転させることによっても、ノズル20とノズルカバー28の相対角度を変更することができる。
【0088】
図8(c)に、ノズル20とノズルカバー28との相対角度を所定角度に保持する角度保持手段74示す。この角度保持手段74は、ノズルカバー28に構成したバネ性のある凸部75と、ノズル20外周面に設けた3箇所の凹部76a、76b、76cによって成り、凸部75と凹部の一箇所が嵌合されて角度を保持する。
【0089】
以下に制御部150における制御動作について、図9、図10および図11を加えて説明する。図9は制御部150による「おしり洗浄」、「ビデ」および「乾燥」運転におけるノズル角度設定のタイムチャート、図10は、制御部150による「おしり洗浄」および「乾燥」運転における制御動作のタイムチャート、図11は、「おしり洗浄」および「乾燥」の運転状態の模式的断面図である。図12および図13は、「乾燥」運転状態の被乾燥面における噴流の当接範囲Eの移動パターンを示す模式図である。
【0090】
図9に示すように、まだ操作がされていない状態のT0の時点では、ノズル20の前後方向は後端の収納位置に配置されている。ノズル20の左右方向は、揺動手段70に設けた中心部位置を検出する位置センサ(図示せず)の検出位置に角度設定されている。この角度は中心角度となり、ノズル20の空気噴出口21とノズルカバー28の開口部29が一致して上方に設定されている。すなわち、ノズル20は「乾燥」に設定されている。
【0091】
使用者が、遠隔操作装置300のおしりスイッチ312を押下操作するT1において、前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10
mm前方)まで移動する。
【0092】
次に、T2において、左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20がストッパb72に当たる左端角度(−90°)まで角度変更する。
【0093】
T3では、前後駆動モータ53を収納位置(約10mm後方)まで運転させて、アーム73をストッパa71に嵌め込むように移動する。この動作により、ノズルカバー28はストッパa71により角度が保持される。
【0094】
次に、T4で左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20の第1の洗浄水噴出口22とノズルカバー28の開口部29が一致するように、ノズル20を右方向に回転させる(約+90°)。ここではノズル20を回転させると、角度が保持されたノズルカバー28との相対角度が変わり、ノズルカバー28に対してノズル20の回転角度を変えることができる。
【0095】
T5では、再び前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動する。そして、T6で左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20の第1の洗浄水噴出口22およびノズルカバー28の開口部29が上方を向くように、ノズル20を右方向に回転させる(約+90°)。
【0096】
T7で、前後駆動モータ53を運転してノズルを収納位置(約10mm後方)まで移動する。そしてT8で動作を完了する。
【0097】
以上のT1からT8までの動作によって、ノズルカバー28の開口部29におしり洗浄用の第1の洗浄水噴出口22の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【0098】
次に、使用者が遠隔操作装置300のビデスイッチ313を押下操作する場合の動作について説明する。なお、この場合もまだ操作がされていない状態では、ノズル20の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル20の左右方向は、揺動手段70に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。
【0099】
T11において、前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動して、T12において、左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20がストッパb72に当たる右端角度(+90°)まで角度変更する。
【0100】
T13では、前後駆動モータ53を収納位置(約10mm後方)まで運転させて、アーム73をストッパa71に嵌め込むように移動し、ノズルカバー28をストッパa71により保持する。
【0101】
次に、T14で左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20の第2の洗浄水噴出口23とノズルカバー28の開口部29が一致するように、ノズル20を左方向に回転させる(約−90°)。
【0102】
T15では、再び前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動して、T16で左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20の第2の洗浄水噴出口23およびノズルカバー28の開口部29が上方を向くように、ノズル20を左方向に回転させる(約−90°)。
【0103】
T17で、前後駆動モータ53を運転してノズルを収納位置(約10mm後方)まで移動する。そしてT18で動作を完了する。
【0104】
以上のT11からT18までの動作によって、ノズルカバー28の開口部29にビデ用の第2の洗浄水噴出口23の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【0105】
次に、使用者が遠隔操作装置300の乾燥スイッチ314を押下操作する場合の動作について説明する。この場合も、まだ操作がされていない状態では、ノズル20の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル20の左右方向は、揺動手段70に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。ただし、ノズルカバー28の開口部29の方向は未定とする。
【0106】
T21において、前後駆動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動して、T22において、左右駆動モータ54を回転させて、ノズル20がストッパb72に当たる右端角度(+90°)まで角度変更する。もし、T22時点でノズルカバー28の開口部29と第1の洗浄水噴出口22が一致していた場合は、アーム73がストッパb72に当たり、ノズルカバー28はノズル20との相対角度が変わり、空気噴出口21とノズルカバー28の開口部29が一致するまで角度が変わる。
【0107】
次に、T23で左右駆動モータ54を反転させて、ノズル20が反対側のストッパb72に当たる左端角度(−180°)まで角度変更する。もし、T23時点でノズルカバー28の開口部29と第2の洗浄水噴出口23が一致していた場合は、アーム73が反対側のストッパb72に当たり、ノズルカバー28はノズル20との相対角度が変わり、空気噴出口21とノズルカバー28の開口部29が一致するまで角度が変わる。
【0108】
このように、ノズルカバー28の開口部29に対してノズルがどの方向を向いていても、上記動作によって開口部29と空気噴出口21とが一致する。
【0109】
そして、T24で左右駆動モータ54を再び反転させて、空気噴出口21およびノズルカバー28の開口部29が上方を向くように回転させる(約+90°)。
【0110】
T25で、前後駆動モータ53を運転してノズルを収納位置(約10mm後方)まで移動する。そしてT26で動作を完了する。
【0111】
以上のT21からT26までの動作によって、ノズルカバー28の開口部29に空気噴出口21の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【0112】
次に、おしり洗浄から乾燥運転の制御動作について説明する。
【0113】
図10に示す「乾燥」の運転モードは、図2の乾燥モードスイッチ320aが選択された状態の「急速乾燥運転」であり、温風温度調整スイッチ340は「中」設定とした状態のタイムチャートである。この「急速乾燥運転」は、乾燥機能における温風を加圧空気により誘引しながら被乾燥面に噴出する第1の乾燥運転で行う。
【0114】
図10に示すように、まだ操作がされていない状態のT0の時点では、ノズル20前後方向は後端の収納位置に配置されている。ノズル20の左右方向は、揺動手段70に設けた中心部位置を検出する位置センサ(図示せず)の検出位置に角度設定されている。
【0115】
使用者が、遠隔操作装置300のおしりスイッチ312を押下操作するT1において、図9で説明したように、ノズルカバー28の開口部29におしり洗浄用の第1の洗浄水噴出口22の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作について省略する。そして同時に、開閉弁34が開き、水道水が温水加熱手段31に流れ込む、内蔵の流量センサ(図示せず)が水流を検出すると、温水加熱手段31への通電が開始され、加熱された温水が供給し始める。この時ノズル20は収納位置にあるので、第1の洗浄水噴出口21から噴出され、充分に温まっていない温水はガイド部57の内面に当たり便器600内に排出される。
【0116】
温水加熱手段31からの出湯温度が所定の温度(例えば36℃)に達した時点T2において、温水加熱手段31および開閉弁34を停止し、前後駆動モータ53を運転させてノズル20を中心部位置(例えば前方100mm)まで前進させる。そして、T3において温水加熱手段31および開閉弁34の運転を再開して、使用者の被洗浄面に洗浄水を噴出する。温水加熱手段31への電力制御は、出湯温度を検出する温度センサ(図示せず)の検出温度が設定温度(例えば40℃)になるように公知PIDやFF制御を用いて行う。
【0117】
また、洗浄水の流量は切換弁32の弁開度を調整することにより使用者の好みの量に設定されている。このおしり洗浄における被洗浄面の濡れ状態は図11(a)に示すように洗浄水が直接当たる中心部だけでなく、水滴が流れて周辺部を濡らしてしまう。
【0118】
おしり洗浄が終了し、使用者が遠隔操作装置300の停止スイッチ311を押下操作する図6のT4において、温水加熱手段31および開閉弁34を停止し、切換弁32を第1の洗浄水噴出口21方向からノズル洗浄手段35方向へ切換え、ノズル20からの洗浄水噴出を停止すると同時に、前後駆動モータ53を逆転させてノズル20を収納位置まで後退させて、洗浄動作を終了する。
【0119】
なお本実施の形態では、おしり洗浄における動作を説明したが、遠隔操作装置300のビデスイッチ313押下操作するビデ洗浄を押下操作する場合においても、基本となるシーケンスは同様である。ただ、ビデ洗浄の場合は、ビデに対応するノズル位置と流量設定に変更される。
【0120】
次に、T4から所定時間後のT5aにおいて、開閉弁34を開き図6のノズル洗浄手段35における、入水口36より洗浄水を供給して洗浄水拡散部38を介してノズル20に洗浄水を噴き付け、ノズル洗浄を行なう。そして、図10のT5bで開閉弁34を停止してノズル洗浄を終了する。この動作は「乾燥」運転が選択されると仮定して、事前にノズルを洗浄する。
【0121】
次に、T6において使用者が遠隔操作装置300の乾燥スイッチ314を押下操作すると、図9で説明したように、ノズルカバー28の開口部29に空気噴出口21の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作について省略する。そして、ヒータ43が通電されヒータ自身の温度上昇が開始される。このように、エアファン41運転する前にヒータ43に通電することにより、放熱が少ない状態でヒータが加熱されるので、高速にヒータ温度を上昇させることができる。
【0122】
このとき同時にエアポンプ51が短時間(たとえば1秒間)だけ運転され、加圧空気がノズル20の空気噴出口21より一瞬噴出される。この動作は、洗浄室37内にノズル20先端が収納状態で、空気噴射口21より加圧空気を噴出させることにより、洗浄室37内を加圧空気がノズル20に沿って高速に流れるので、ノズル20表面に付着した水滴が吹き飛ばされる。したがって、使用者に対して水滴の再付着を防止する。
【0123】
T7でエアファン41の運転を開始して、温風噴出口42から温風を吹出す。吹出される温風温度は加熱されたヒータ43を通過するため、始めから高温の温風温度となる。そして、前述のヒータ加熱量に制御されて、高温(例えば60℃)の温風が吹き出されるように設定される。そして、温風噴出口42から使用者の洗浄面である被乾燥面の略全面に対して送風される。
【0124】
その後、前後駆動モータ53を運転させてノズル20を最前進位置(例えば前方150mm)まで前進させながら、左右駆動モータ54を運転させてノズル20の左右角度を右端角度(例えば+50°)まで角度変更する。
【0125】
T8において、エアポンプ51の運転を開始して、被乾燥面に対して空気噴出口21から加圧空気の噴出を開始する。
【0126】
そして、T8からT9の第1のステップにおいて、駆動手段52の左右駆動モータ54と前後駆動モータ53の運転方向および運転速度を制御して、ノズル20の前後駆動を所定範囲(例えば前方50mmから150mm)で高速に往復運転し、同時にノズル20の左右角度を右端角度から右側所定角度(例えば+50°から+20°)まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。この第1のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の右側所定位置から前後方向に高速に移動しながら徐々に中心部に接近してくる。
【0127】
したがって、図12の動作パターンP1に示すように、空気噴流当接範囲Eは、被乾燥面Fの右端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Gに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、図11(b)に示すように、洗浄水の噴出範囲よりも充分に外側から加圧空気の噴出を開始するので、被乾燥面の右側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【0128】
図10のT9では一旦エアポンプ51を停止して、ノズル20の左右角度を左端角度(例えば−50°)まで角度変更する。そしてT10において、エアポンプ51の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【0129】
そして、T10からT11の第2のステップにおいて、ノズル20の前後駆動を第1のステップと同様に所定範囲(例えば前方50mmから150mm)で高速に往復運転し、同時にノズル20の左右角度を左端角度から左側所定角度(例えば−50°から−20°)まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。この第2のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の左側所定距離から前後方向に高速に移動する周期移動しながら徐々に中心部に漸進移動して接近してくる。
【0130】
したがって、図12の動作パターンP2に示すように、空気噴流の当接範囲Eは被乾燥面Fの左端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Gに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、図11(C)に示すように、被乾燥面の左側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【0131】
以上の第1のステップと第2のステップによって、被洗浄面に付着して残る水滴は中心部を中心に前後残るのみとなる。
【0132】
人体の臀部は、肛門や陰茎の洗浄中心部に対して左右両サイドに凸部が形成されているため、便座に座った場合に洗浄中心部より左右両サイドが低くなる。したがって、洗浄水
が左右に濡れ広がりやすく、乾燥時に最初に中心部に空気噴流を当ててしまうと、付着した水滴が左右に大きく広がり、濡れ面積が拡大してしまう。上述のように、第1のステップと第2のステップによって被洗浄面の水滴が左右に広がるのを防止しながら吹き飛ばすので、効率の良い乾燥ができる。
【0133】
第2のステップの終了時点T11では、ノズル20を最前進位置まで前進させる。そして、T11からT12の第3のステップにおいて、ノズル20の前後駆動を最先進位置から中心部方向にゆっくり後退させながら、同時にノズル20の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。この第3のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動に移動しながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に中心部に接近してくる。
【0134】
したがって、図13の動作パターンP3に示すように、空気噴流の当接範囲Eは被乾燥面Fの先端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら、中心部Gに向けて徐々に斬新移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Gより前方に残る水滴を、中心部G方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【0135】
T12では一旦エアポンプ51を停止して、ノズル20の前後方向位置を後部所定位置(例えば前方50mm)まで移動させる。そしてT13において、エアポンプ51の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【0136】
そしてT13からT14の第4のステップにおいて、ノズル20の前後駆動を後部所定位置から中心部方向にゆっくり前進させながら、同時にノズル20の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。この第4のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動しながら、後方の所定距離から前方に向かって徐々に中心部に接近してくる。
【0137】
したがって、図13の動作パターンP4に示すように、空気噴流の当接範囲Eは被乾燥面Fの後端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら、中心部Gに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Gより後方に残る水滴を、中心部G方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【0138】
以上の第1から第4のステップによって被乾燥面に付着して残る水滴は中心部のみとなる。
【0139】
前記の第1から第4のステップでの被乾燥面に付着する水滴への作用を説明する。各ステップの動作中の被乾燥面への空気噴流の駆動方向が、中心部に向けて移動する速度より、中心部に対して略接線方向の移動速度の方を充分に速くしているので、被乾燥面に衝突して広がる空気流れ方向が、前記の略接線方向に対して垂直方向の流れ成分が多くなる。
【0140】
したがって、この略接線方向に駆動する空気噴流と中心部の間に付着する水滴は、略接線方向に対して垂直方向の空気流に押されて中心部方向に移動するように作用する。そして徐々に空気噴流を中心部に接近させるので、中心部方向に集まってくる。この動きを第1から第4のステップにおいて右、左、前、後の4方向から行うことによって、水滴は中心部に集まる。このように第1から第4のステップが被乾燥面に付着する水滴を被乾燥面の中心部に集める工程となる。
【0141】
T14では、再びエアポンプ51を停止して、ノズル20の前後方向位置を前方の所定位置(例えば前方130mm)まで移動させる。そしてT15において、エアポンプ51の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【0142】
そして、T15からT16の第5のステップにおいて、ノズル20の前後駆動を前方の所定位置から後退を開始し、中心部を通過して、中心部より後方の所定距離(例えば前方50mm)までをゆっくりと後退する。同時にノズル20の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。この第5のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動する周期移動をしながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に漸進移動をして中心部に接近し、さらに中心部を通過して後方の所定位置まで漸進移動する。
【0143】
したがって、被乾燥面に対して空気噴流の当たる位置が前方から中心部を通って後方に徐々に移動するので、被乾燥面の中央部に残る水滴を、完全に吹き飛ばすことができる。すなわち、この第5のステップが集めた水滴を吹き飛ばす工程となる。
【0144】
T16で、エアポンプ51を停止して、ノズル20の前後方向は最前進位置(例えば前方150mm)まで移動させる。ノズル20の左右方向は、中心角度に戻す。
【0145】
T17aからT17bで、ノズル20の前後方向を収納位置に向けて移動させながら、開閉弁34を開きノズル洗浄を行なう。この間でノズル20全体に洗浄水が噴き付けられノズル全体の洗浄ができる。そしてT17bでは、開閉弁34を停止して、ノズル洗浄を終了する。
乾燥が終了し、使用者が遠隔操作装置300の停止スイッチ311を押下操作するT18でヒータ43の運転を停止する。
【0146】
そして、T19でエアファン41を停止することによって、ヒータ43の余熱を減少させて乾燥運転が終了する。
【0147】
以上のように、おしり洗浄とビデと乾燥を1本のノズルで構成し、駆動手段も共用したので、ノズルの設置面積を小さくでき、さらに部品点数が少なくできるため、省スペース化や低コスト化が実現できる。
【0148】
さらに、乾燥のための加圧空気を単一のノズル孔から噴出するように構成しているので、低流量でも空気噴流の流速が大きくでき、小容量のエアポンプでも高い乾燥性能が得られる。すなわち、噴流の流速が大きいので、被乾燥面に付着した水滴に噴流が当たる際の水滴を引き剥がすエネルギーが大きくなるため、水滴を効率よく吹き飛ばすことができる。
【0149】
本実施の形態において、図5および図7(c)に示したようにノズル20の空気噴出口21が上方に向いている姿勢のとき、チューブ39(39a、39b、39c、39d)にねじれがほとんどない状態で、チューブ39(39a、39b、39c、39d)を空気流入口45aや洗浄水流入口45bなどに挿入組み立てしたことにより、図9に示したT0、T11、T21の各時点、すなわち、ノズル20および衛生洗浄装置を使用終了した不使用時は、チューブ39(39a、39b、39c、39d)に不要なねじれや応力がほとんどない平常状態にすることができる。
【0150】
これにより、上記の不使用時にチューブ39(39a、39b、39c、39d)のねじれ癖や、応力による破損等を防止でき、長期の安定寿命を得ることができる。
【0151】
さらに、図9のT21〜T26における乾燥時において、左右駆動モータ54でノズル20を図5(b)の矢印CおよびDの右左方向に揺動する際、チューブ39(39a、39b、39c、39d)は、ねじれや応力がほとんどない状態を中心にCおよびDの各方
向に20度〜30度回転するねじりが作用するだけである。それは、ねじれや応力がほとんどない状態を中心に左右両方向に二分され少ないねじれ作用ですむだけでなく、左右駆動モータ54にかかる負荷は、矢印CおよびDの右左方向とも同様の負荷とバランスよくできるので、ノズル20を矢印CおよびDの右左方向に揺動運転する動作速度も小型のモータでも安定して得ることができる。
【0152】
また、図7(c)に示したようにノズル20は、空気噴出口21を中心として左右回転角度90度以内の位置に、第1の洗浄水噴出口22(おしり)および第2の洗浄水噴出口23(ビデ)をそれぞれ配置して設けた構成により、ノズル20の必要回転角度は、左右それぞれ90度以内でよい。すなわち、チューブ39(39a、39b、39c、39d)のねじり角度は最大で片側90度以内にできる。
【0153】
なお、本実施の形態の図7(c)において、第1の洗浄水噴出口22(おしり)および第2の洗浄水噴出口23(ビデ)は、空気噴出口21を中心として左右回転角度90度の位置に配置したが、たとえば左右回転角度60度や45度の位置にすることによって、チューブ39(39a、39b、39c、39d)のねじり角度をより少なくすることができる。要するに、空気噴出口21を中心として、その左右両側に第1の洗浄水噴出口22(おしり)および第2の洗浄水噴出口23(ビデ)を配置することが、チューブ39(39a、39b、39c、39d)のねじり角度をより少なくできる条件である。
【0154】
なお、本実施の形態においては、操作手段の前後左右の操作スイッチによる洗浄水の噴出位置を調節する構成を説明したが、加圧空気の噴出時に同様の位置調節をすれば加圧空気の位置調整をすることもできる。
【0155】
また、本実施の形態では、洗浄と乾燥を一本の円筒で構成して駆動手段を共用したが、これをそれぞれ独立したノズルと駆動手段で構成してもよい。
【0156】
さらに、本実施の形態においては、加圧空気の流速を秒速20〜50mとしたが、水滴を吹き飛ばす効果を得るためには秒速10m以上が最低必要であり、噴流の当接範囲の大きさの設定要素であるノズル孔の大きさやノズル孔の数は、エアポンプの能力と加圧空気の流速を考慮して選択する必要がある。
【0157】
また、本実施の形態では、第1のステップから第5のステップを順次実行したが、各ステップは繰り返し実行してもよいし、各ステップの順番を入れ替えてもよい。また、第1と第2のステップを省略しても良いし、第3と第4のステップを省略しても良い。
【0158】
また、本実施の形態では、乾燥運転開始時にエアファンを運転する前にヒータを通電してヒータ温度上昇を高速化したが、エアファンとヒータを同時に起動して、そのときエアファンの起動時に送風量を徐々に上げるソフトスタート機能を持たせることにより、ヒータ温度上昇の高速化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上のように、本発明に係る空気噴出手段およびそれを備えた衛生洗浄装置は、少ない空気量でも効率良く水滴を吹き飛ばし、乾燥するので、衛生洗浄装置だけでなく、シャワーや手洗い等で濡れた身体の乾燥にも応用できる。また、食器洗浄機や洗車機、部品洗浄機などの洗浄機における水滴除去や乾燥の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0160】
20 ノズル
21 空気噴出口
22 洗浄水噴出口
39 チューブ
45a 空気流入口
45b 洗浄水流入口
52 駆動手段
58 ノズルホルダ
100 衛生洗浄装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部方向に加圧空気を噴出する空気噴出口と、前記空気噴出口と連通する空気流入口を備える棒状のノズルと、
前記ノズルを軸方向に進退駆動するとともに、前記ノズルの軸を中心に左右方向に回動駆動する駆動手段と、
前記ノズルの空気流入口に流体を搬送する可撓性のチューブとを備え、
前記空気流入口は、前記ノズルの後端の軸心近傍に設け、前記チューブとの接続方向を前記ノズルの軸と略平行とした衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズルの後端部にノズルを回動自在に支持するノズルホルダを備え、
前記空気流入口は、少なくとも一部が前記ノズルホルダ内に配置される請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記チューブは、前記空気流入口との接続部から所定長さの位置に固定部を備え、
前記接続部と前記固定部の間でU字状に屈曲して配置する請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記チューブと前記空気流入口とは、前記ノズルの回動範囲の中で、加圧空気噴出角度が略人体局部方向において前記チューブのねじり作用が小さくなるように接続する請求項1から3のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記ノズルは、人体局部に洗浄水を噴出するための洗浄水噴出口と、
前記洗浄水噴出口に連通する洗浄水流入口と、
前記洗浄水流入口に接続するチューブとを更に備え、
前記空気流入口と前記洗浄水流入口は前記ノズル後端の軸心近傍に配置する請求項1から4のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記洗浄水噴出口と、前記空気噴出口とを前記ノズルの先端部外周面に異なる角度に配置し、
前記噴出口を切換える際は前記駆動手段により使用する噴出口を所定位置の噴出方向にノズル角度を変更する請求項5に記載の衛生洗浄装置。
【請求項1】
人体局部方向に加圧空気を噴出する空気噴出口と、前記空気噴出口と連通する空気流入口を備える棒状のノズルと、
前記ノズルを軸方向に進退駆動するとともに、前記ノズルの軸を中心に左右方向に回動駆動する駆動手段と、
前記ノズルの空気流入口に流体を搬送する可撓性のチューブとを備え、
前記空気流入口は、前記ノズルの後端の軸心近傍に設け、前記チューブとの接続方向を前記ノズルの軸と略平行とした衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズルの後端部にノズルを回動自在に支持するノズルホルダを備え、
前記空気流入口は、少なくとも一部が前記ノズルホルダ内に配置される請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記チューブは、前記空気流入口との接続部から所定長さの位置に固定部を備え、
前記接続部と前記固定部の間でU字状に屈曲して配置する請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記チューブと前記空気流入口とは、前記ノズルの回動範囲の中で、加圧空気噴出角度が略人体局部方向において前記チューブのねじり作用が小さくなるように接続する請求項1から3のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記ノズルは、人体局部に洗浄水を噴出するための洗浄水噴出口と、
前記洗浄水噴出口に連通する洗浄水流入口と、
前記洗浄水流入口に接続するチューブとを更に備え、
前記空気流入口と前記洗浄水流入口は前記ノズル後端の軸心近傍に配置する請求項1から4のいずれか1項記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記洗浄水噴出口と、前記空気噴出口とを前記ノズルの先端部外周面に異なる角度に配置し、
前記噴出口を切換える際は前記駆動手段により使用する噴出口を所定位置の噴出方向にノズル角度を変更する請求項5に記載の衛生洗浄装置。
【図3】
【図4】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図1】
【図2】
【図5】
【図7】
【図8】
【図4】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図1】
【図2】
【図5】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−261203(P2010−261203A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112453(P2009−112453)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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