衛生用紙収納用カートン
【課題】年配者、子供、女性のような力の弱い者であっても、カートン本体からウインドウフィルムを容易に剥がすことができる衛生用紙収納用のカートンを提供する。
【解決手段】ウインドウフィルムの接着部を、前記取出口を包囲する形で設け、前記取出口を介して相対向して設けられた位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成し、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成することにより達成。
【解決手段】ウインドウフィルムの接着部を、前記取出口を包囲する形で設け、前記取出口を介して相対向して設けられた位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成し、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成することにより達成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衛生用紙収納用カートンに関し、更に詳しくは、ウインドウフィルムを容易に引き剥がすことができる衛生用紙収納用カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭やオフィス等で広く使われているティシュペーパーは、概ね直方体の箱(以下、「カートン」ともいう)の内部空間に収納された形で市販されている。使用者は、ティシュペーパーを使用するに際し、箱の一面(通常は箱の上面)に設けられている所定形状のミシン目(取出口形成用切り込み線)を切り離すことによって、箱に細長い取出口を形成することができる。
【0003】
上記箱に収納されるティシュペーパーは、通常、2枚で1組とされており、各1組が継続して箱の内部から取出せるように、いわゆるポップアップ方式で交互に折り重ねられて収納されている。このように、交互に折り重ねると、ティシュペーパーの1組がスリットから引き出されたときに、次の1組が箱の内部からスリットに保持される位置まで引き出される。引き出されたティシュペーパーは、ウインドウフィルムのスリットとティシュペーパーとの摩擦力によって、ポップアップした所定位置に保持され、箱の内部に落ち込むことが防止される。また、ティシュペーパーは、ウインドウフィルムによって、外部の塵や異物から保護されている。
【0004】
このような箱は、ティシュペーパーに限らず、ティシュペーパーを含む衛生用紙(ペーパータオル(キッチンペーパーなど)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)などの使い捨て紙の総称)の収納用の箱として広く用いられている。
【0005】
ところで、1997年から「容器リサイクル法」が本格施行され、容器包装の廃棄物について、消費者の分別排出、自治体の分別収集、事業者のリサイクル責任が明確にされた。これを契機として、近年、循環型経済社会の構築に向けた動きが加速度的に進行しつつある。ティシュペーパー、キッチンペーパー等の衛生用紙の使用済みカートンについても、消費者に対して、貼着されたウインドウフィルムをカートン本体から引き剥がし、分別して廃棄することが求められている。
【0006】
このような箱としては、例えば、予め、取出口を被覆するポリエチレンフィルム等のウインドウフィルムが箱の内側から貼着され、このウインドウフィルムの中央部に直線状のスリットが形成された箱が提案されている(例えば、特許文献1参照)。使用者は、ウインドウフィルムのスリットを通して、内部空間に収納されたティシュペーパーを外部へ引き出して使用することができる。そして、ウインドウフィルムを箱に貼着する際の接着部は、取出口を包囲する長方形状に配置されることが多い。
【0007】
従来の衛生用紙収納用カートンは、接着部のうち、スリットの形成方向に沿って配置された部分が破断されることなく連続的に形成されることが一般的であった。従って、ウインドウフィルム20(例えば本出願の図11、図12)をその長辺方向に沿って引き剥がす場合に、特に引き剥がし開始時に大きな力を必要とするため、その引き剥がしが困難となる場合があった。そのため、接着部がこのような長方形をとる場合は、その長方形の短辺の一部が破断された形状に構成された衛生用紙収納用カートンが提案されている(例えば、特許文献2・特許文献5参照)。
【0008】
例えば、本出願の図11に示す衛生用紙収納用カートン110は、長方形状の接着部22のうち、スリットの形成方向に沿って配置された部分の少なくとも一部が破断され、不連続に形成された例である。但し、このカートンは、紙製のウインドウフィルムに形成されたスリットがその端部から破断されてしまった場合の不具合を防止することを目的として接着部の一部を不連続に形成したものであり、接着部の接着強度を軽減させることを目的とするものではない。
【0009】
また、ウインドウフィルムを引き剥がす際には、ウインドウフィルムの長手方向(ウインドウフィルムが長方形状に構成されている場合であれば、その長方形の長辺方向)に沿って引き剥がすことが多い。そのため、その引き剥がし方向に沿って接着部を不連続に形成することによって初めて、ウインドウフィルムを容易に引き剥がす効果が発揮される。即ち、本出願の図11に示す衛生用紙収納用カートン110のように、長方形状の接着部22のうち、その長方形の短辺の一部に不連続部24を形成した場合、長方形の接着部の全てを連続的に形成した場合と比べれば、接着強度をある程度低下させることは可能であるものの、必ずしも弱い引張り力でウインドウフィルムを容易に引き剥がすことができるものではなかった。
【0010】
そこで、貼着されたウインドウフィルムをカートン本体から引き剥がし易くし、ウインドウフィルムの分別廃棄を容易にするための様々なアイデアが提案されている。例えば、本発明者の共同研究者は先に、カートン本体にウインドウフィルムの接着部を囲む切込線を形成したカートンを既に提案している(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
更に、接着部についてもさまざまな工夫がなされており、本出願の図12に示す衛生用紙収納用カートン120では、接着部22は、取出口を包囲する長方形状に形成され、長方形の長辺側に形成された接着部の少なくとも一部の幅W1が、長方形の短辺の最大幅W2よりも幅狭に形成された例である。なお、本願出願人は、接着部を一部破断させたり、幅狭の部分を配置したりすることにより引き剥がしをしやすくすることを提案している(特許文献4参照)。
【特許文献1】実公昭41−6464号公報
【特許文献2】特開平9−118377号公報
【特許文献3】特開2005−313909号公報
【特許文献4】特願2006−41217号
【特許文献5】特開2004−217296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特に、特許文献4において本願出願人が提案した図13に示す衛生用紙収納用カートン130は、接着部を一部破断させたり、幅狭部56が形成された例である。使用者は、長方形のフィルムの4つの頂点を始点にいかなる方向からであってもウインドウフィルムを引き剥がすことができる。
【0013】
しかしながら、図13に示すように接着部22の一部に幅狭部56を設けることにより接着強度を軽減することはできるが、高齢者などが弱い力で引き剥がした場合、接着剤として使用したビニールが剥がれずにフィルムが破れてしまったり、延びてしまったりすると言う現象が生じていた。本願におけるように、非接着部を形成することで力の弱い者であっても、確実に容易に引き剥がしができるような構成とはなっていなかった。ウインドウフィルムを更に容易に引き剥がすことができることが切望されていた。
【0014】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、引き剥がす力が年配者、子供、女性のような力の弱い者であっても、カートン本体からウインドウフィルムをより弱い力でもっても容易かつ確実に剥がすことができる衛生用紙収納用のカートンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ウインドウフィルムの接着部を、取出口を包囲する形で設け、前記取出口を介して相対向して設けられて位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成されており、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成することにより、ウインドウフィルムがより容易にかつ確実に剥がし易くなり、好ましくは、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部と、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部とは、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けることにより、更に好ましくは、前記ウインドウフィルムを貼り付けるために前記V字状に形成された一対の接着部に、それぞれの少なくともV字の開放始点において不連続部を設けることで、剥がす際に要する力をより一層軽減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す衛生用紙収納用カートンが提供される。
【0016】
[1] 取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、前記衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように取出口形成用切り込み線が形成されたカートン本体と、前記取出口を前記カートン本体の内側から被覆するように配置され、前記衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたウインドウフィルムと、を備えた衛生用紙収納用カートンであって、前記ウインドウフィルムは、接着部によって前記カートン本体の内側に貼り付けられており、前記接着部は、前記取出口を包囲する形で設けられており、前記取出口を介して相対向して設けられて位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成されており、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成されたものである、衛生用紙収納用カートン。
【0017】
[2] 前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部と、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部とは、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けられたものである、[1]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0018】
[3] 前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部は、カートン本体の短辺側に設けられており、また、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部は、カートン本体の長辺側に設けられたものである、[1]または[2]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0019】
[4] 前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状に形成された一対の接着部は、それぞれの少なくともV字状の形状の開放始点において不連続部が形成されたものである[2]または[3]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0020】
[5] 前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状の形状の開放始点において形成された不連続部の形状が、カートン本体の短辺に対して、平行、或いは、垂直に、又は、所定の角度をもって、当該接着部分を切り取った形状をしたものである[4]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0021】
[6] 前記不連続部の形状が少なくとも、複数の不連続部から形成された物である[5]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0022】
[7] 前記ウインドウフィルムを貼り付けるために前記長辺側に設けられた一対の接着部が、少なくとも一部に不連続部が形成されているか、或いは、一部が他の部分の幅に比較して狭いものである[3]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0023】
[8] 前記ウインドウフィルムが、前記衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたものである、[1]〜[7]のいずれかに記載の衛生用紙収納用カートン。
【発明の効果】
【0024】
本発明の衛生用紙収納用カートンは、年配者、子供、女性のような力の弱い者であっても、カートン本体の内側に貼り付けられたウインドウフィルムを容易に引き剥がすことができる。
【0025】
本願では、図2〜図3に示した態様においては、この部分は接着剤を塗布しない非接着部分23とし、さらに、力を長辺方向に導くように、かつ、接着部22aを末広がり形状に配置することで、極めて容易に引き剥がしができるようにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0027】
[1]衛生用紙収納用カートン:
本発明の衛生用紙収納用カートンは、例えば、図1および図7に示す衛生用紙収納用カートン1のように、上面2、底面4、一対の側面6、及び一対の妻面8を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように取出口形成用切り込み線14が形成されたカートン本体16と、取出口をカートン本体16の内側から被覆するように配置され、衛生用紙を取り出すためのスリット18が形成されたウインドウフィルム20と、を備えたものであり、ウインドウフィルム20は、接着部22によってカートン本体16の内側に貼り付けられており、接着部22は取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部22aおよび取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部22bからなり、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けられている。
【0028】
[1−1]カートン本体:
「カートン本体」とは、取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように取出口形成用切り込み線が形成された箱体である。
【0029】
[1−1A]箱状:
「箱状」とは、取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成される形状である。このような形状としては、例えば、直方体状、立方体状等の六面体状を挙げることができる。これらの形状では、上面と底面、一の側面と他の側面、一の妻面と他の妻面が対向するように平行に配置される。これらの形状の中では、直方体状が好ましい。例えば、図1および図7に示す衛生用紙収納用カートン1は、カートン本体16の側面6側を長辺、妻面8側を短辺とする直方体状にカートン本体16を構成した例である。なお、これらの形状において、二つの面の稜線部分を面取りしたものも、本明細書にいう「箱状」に含まれる。
【0030】
「カートン本体」は、例えば、紙材料等からなるカートンブランクを折り曲げることによって、取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に形成される。図8に示すカートンブランク100は、一枚の紙材料によって、折り曲げ線を介して上面2、底面4、一対の側面6が形成されており、側面6の端縁からは、折り曲げ線を介して内フラップ26が延出されている。
【0031】
また、上面2の端縁からは、折り曲げ線を介して上面外フラップ28が延出されており、これと同様に、底面4の端縁からは、折り曲げ線を介して底面外フラップ30が延出されている。更に、底面4の一の側縁部からは、折り曲げ線を介して、側面接合代32が延出されており、底面外フラップ30の先端には上面外フラップ28との接合代である妻面接合代34が付設されている。このようなカートンブランク100は、各折り曲げ線を折り曲げ、側面接合代32と側面6を接合した後、妻面接合代34と上面外フラップ28を接合することで、一対の妻面8を形成することができる。こうすることにより、カートンブランク100を、図1及び図7に示すような衛生用紙収納用カートン1とすることができる。
【0032】
本発明の衛生用紙収納用カートンは、カートン本体が、底面に形成され、底面と一の側面との稜線(以下、「底面−側面稜線」と記すことにする。)上における二点a,bを繋ぐ第1の押込み用切込線と、底面−側面稜線上及び/又は一の側面に形成され、二点a,bを起点とし、底面−側面稜線の端点又は上面と側面との稜線(以下、「上面−側面稜線」と記すことにする。)に達する第1の解体用切込線と、が形成されたものであることが好ましい。
【0033】
このようなカートンは、使用後の空のカートンを廃棄する際に、側面と底面を切り離すことによって、カートンを容易に解体することが可能である。この「カートンを容易に解体することが可能」という効果と、本発明の衛生用紙収納用カートンの「ウインドウフィルムを引き剥がし易い」という効果とが相俟って、カートンの解体、ウインドウフィルムの引き剥がしという一連の操作が一層容易かつ簡便なものとなる。従って、このようなカートンは、衛生用紙収納用カートンの分別廃棄を促進することに資するものである。
【0034】
例えば、図7に示す衛生用紙収納用カートン1は、カートン本体16を、底面4に形成され、底面−側面稜線36上における二点a,bを繋ぐ第1の押込み用切込線38と、底面−側面稜線36上に形成され、二点a,bを起点とし、底面−側面稜線36の端点40に達する第1の解体用切込線44とが形成されたものとした例である。
【0035】
また、本発明の衛生用紙収納用カートンは、上面の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップと、底面の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップと、を更に備え、上面外フラップと底面外フラップとが接合されて妻面が形成されており、底面外フラップは、その先端に上面外フラップとの接合代が付設され、その接合代と底面外フラップとの間には第2の解体用切込線が形成されており、底面に形成され、底面と一の妻面との稜線上における二点を繋ぐ第2の押込み用切込線と、底面外フラップに形成され、二点を起点とし、第2の解体用切込線に達する第3の解体用切込線とが形成されていることが更に好ましい。
【0036】
このようなカートンは、側面と底面を切り離すのみならず、妻面を形成している上面外フラップと底面外フラップを切り離すことができる。従って、カートンを更に容易に解体して平面状に展開することができ、高齢者や障害者等であっても容易にカートンを解体することが可能となる。即ち、本発明の衛生用紙収納用カートンの接合部の構成と相俟って、ウインドウフィルムの引き剥がしを更に容易なものとし、紙とプラスチックとの分別廃棄を一層簡便に行うことが可能となる。
【0037】
例えば、図1、図7および図8に示す衛生用紙収納用カートン1は、上面2の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップ28と、底面4の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップ30と、を更に備えている。そして、底面外フラップ30は、その先端に上面外フラップ28との接合代である妻面接合代34が付設され、上面外フラップ28と底面外フラップ30とは妻面接合代34を介して接合されて妻面8が形成されており、その妻面接合代34と底面外フラップ30との間には第2の解体用切込線46が形成されている。また、カートン本体16には、底面4に形成され、底面4と一の妻面8との稜線上における二点c,dを繋ぐ第2の押込み用切込線48と、底面外フラップ30に形成され、二点c、dを起点とし、第2の解体用切込線46に達する第3の解体用切込線50とが形成されている例である。
【0038】
図1〜図2に示す衛生用紙収納用カートン1は、図9及び図10に示すような方法により解体することができる。まず、図9に示すように、第2の押込み用切込線48の内側部分を親指で押圧して押し破ると、これに伴って第3の解体用切込線50及び第2の解体用切込線46も破断され、上面外フラップ28と底面外フラップ30とを切断することができる。次いで、第1の押込み用切込線38の内側部分を親指で押圧して押し破ると、これに伴って第1の解体用切込線44も破断され、底面4と側面6とを切断することができる。
【0039】
こうすることにより、上面外フラップ28、底面外フラップ30、側面6及び底面4を外側に向かって切り開くことができ、図10に示すように、衛生用紙収納用カートン1を平面状に展開された状態に解体することができる。この状態であれば、ウインドウフィルム20を極めて容易に引き剥がすことが可能である。
【0040】
本発明の衛生用紙収納用カートンは、取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面によって区画された内部空間が形成される。この内部空間は、衛生用紙を収納するための空間である。この内部空間に収納する衛生用紙の種類について特に制限はなく、例えば、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙(例えば、紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)等を挙げることができる。
【0041】
中でも、一の衛生用紙が折り畳まれ、その折り返し部分に他の衛生用紙が挟み込まれた状態で折り畳まれることによって、複数枚の衛生用紙が連続的に積層された衛生用紙束を前記内部空間に収納することが好ましい。このような積層構造の衛生用紙は、最上層の衛生用紙を取り出すことにより、これに挟み込まれていた次層の衛生用紙の一部が取出口から突出し、衛生用紙の取出しが容易なものとなる利点がある(いわゆるポップアップ方式)。
【0042】
本発明の衛生用紙収納用カートンを構成する材質について特に制限はない。但し、箱体を折り曲げ形成する都合上、厚紙等の紙材料を構成材料とすることが好ましい。一般に、これらの紙材料としては、例えば、木材パルプ、古紙等を原料として製造されたものを好適に用いることができる。
【0043】
[1−1B]取出口形成用切り込み線:
「取出口形成用切り込み線」とは、衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように形成された切り込み線である。使用者は、この切り込み線を破断することによって取出口を形成することができ、その取出口から衛生用紙を取り出すことが可能となる。
【0044】
衛生用紙の取出口の外周形状について特に制限はなく、カートン本体や衛生用紙の形状に応じて適宜選択すればよい。但し、カートン本体として直方体状のものが多く用いられるため、その取出口の形状はカートン本体の長手方向に沿った横長形状とすることが好ましい。従って、取出口の外周形状としては、例えば、略長方形状、略長円形状、長楕円形状、菱形状、又は多角形状等の形状を挙げることができる。例えば、図1に示す衛生用紙収納用カートン1は、略長方形状の取出口形成用切り込み線14が形成されている例である。
【0045】
取出口形成用切り込み線は、通常、図1に示す衛生用紙収納用カートン1のように、カートン本体16の上面2に形成されることが多いが、特にそのような制限があるわけではない。例えば、カートン本体の底面に形成されていてもよいし、他の面に形成されていてもよい。また、取出口形成用切り込み線は一の面のみに形成されていなければならないわけではなく、二以上の面(例えば、上面と底面)に形成されていてもよい。
【0046】
なお、取出口形成用切り込み線によって包囲された部分(切取片となる部分)には、取出口形成用切り込み線の二点を繋ぐように、引剥がし用切り込み線が形成されていてもよい。このような切り込み線を形成することで、切取片の引き剥がしが容易となる利点がある。例えば、図1に示す衛生用紙収納用カートン1は、略長方形状の取出口形成用切り込み線14の端部側に、略U字状の引剥がし用切り込み線52が形成されている例である。
【0047】
上記の取出口用切込線、引剥がし用切込線は、直線状の切れ目(スリット)であってもよいし、部分的につながりを有するミシン目状のものであってもよい。また、包装業界でジッパーと呼称されている切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)や、2重線のミシン目であってもよい。例えば、図1に示す衛生用紙収納用カートン1は、取出口形成用切り込み線14のうち、引剥がし用切り込み線52より内側の部分を、2重線のミシン目とした例である。
【0048】
また、本発明の衛生用紙収納用カートンにおいては、底面に一対の押上片を形成するための押上片形成用切り込み線を形成することも好ましい形態の一つである。カートン本体に収納された衛生用紙の残量が少なくなった際に、底面に形成された押上片形成用切り込み線を押圧して押し破り、カートン本体の内側に折り曲げることによって、一対の押上片を形成する。この押上片によって、カートン本体内部の衛生用紙が上面側に押し上げられので、上面の取出口から衛生用紙の最後の一枚まで、安定してポップアップさせることが可能である。例えば、図7に示す衛生用紙収納用カートン1は、底面4の中央部にU字状の押上片形成用切り込み線54が1対形成された例である。
【0049】
[1−2]ウインドウフィルム:
「ウインドウフィルム」とは、取出口をカートン本体の内側から被覆するように配置され、衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたフィルム材である。取出口の内側からウインドウフィルムを貼り付けると、外部の塵や異物から衛生用紙を保護することができる。また、衛生用紙を外部に取出す際に、ウインドウフィルムに形成されたスリット間の摩擦により、ポップアップした衛生用紙がカートンの内部に落ち込むことが防止され、衛生用紙を取出口から突出させた状態で保持することが可能となる。
【0050】
[1−2A]フィルム:
「フィルム」とは薄膜状の部材である。その構成材料は特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルアルコール等のプラスチック;グラシン紙、クラフト紙、ケント紙、インディア紙等の印刷用紙、書道用紙、包装紙、加工原紙等の紙;等を好適に用いることができる。また、上記プラスチックとしては、生分解性プラスチックを用いてもよい。
【0051】
「生分解性プラスチック」とは、バクテリアをはじめとする微生物、或いは酵素等の作用によって分解されるプラスチックを意味する。具体的には、ポリグリコール酸、ポリ乳酸等のポリ(α−ヒドロキシ酸);ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロキオラクトン)等のポリラクトン類;ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロレート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエート、ポリ−3−ヒドロキシバリレート、ポリ−4−ヒドロキシブチレート等のポリ(α−ヒドキシアルカノエート);ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート等のグリコールとカルボン酸の縮重合体;等を挙げることができる。これらのプラスチックを構成する重合体は単独重合体に限られず共重合体であってもよい。また、生分解性に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合等を有する重合体であってもよい。
【0052】
上記フィルムには、透明フィルム、半透明フィルム、不透明フィルム、着色フィルムのいずれもが含まれる。また、文字や模様等が印刷されたフィルムであってもよい。フィルムの形状は、カートン本体の取出口を被覆することができる限りにおいて、どのような形状のものであってもよい。但し、取出口の形状として横長形状のものが汎用されることから、図1〜図3に示す衛生用紙収納用カートン1のように、長方形状のフィルムを用いることが好ましい。従って、以下の説明においては、頻用度の高い取出口の形状である横長形状に対応した長方形状のフィルムを用いた態様により説明することとする。
【0053】
本発明の衛生用紙収納用カートンにおいては、ウインドウフィルムは、長方形状に構成され、その短辺方向への引っ張り強度に比して、その長辺方向への引っ張り強度が高いものであり、短辺が妻面に沿い、長辺が側面に沿うように、カートン本体の内側に貼り付けられていることが好ましい。
【0054】
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリマーからなるプラスチックを一定方向に延伸した延伸フィルムにおいては、直鎖高分子を延伸方向に分子鎖が配向するため、延伸方向の引っ張り強度が強くなる。このような延伸フィルムをウインドウフィルムに使用した場合等には、図1に示す衛生用紙収納用カートン1のように、ウインドウフィルム20を長方形状に構成し、その短辺が妻面8に沿い、長辺が側面6に沿うように、カートン本体16の内側に貼り付けると、一の妻面8側から他の妻面8側に向かってウインドウフィルム20を引き剥がすことにより、ウインドウフィルム20が途中で破断されることなく、綺麗に剥がすことが可能となる。
【0055】
[1−2B]スリット:
「スリット」とは、ウインドウフィルムを貫通する切れ目である。衛生用紙収納用カートン内に収納されたティシュペーパーをはじめとする衛生用紙は、このスリットを通してカートンの外部へ引き出される。例えば、図1に示す衛生用紙収納用カートン1は、ウインドウフィルム20の中央部に直線状のスリット18を形成した例である。
【0056】
[1−3]接着部:
「接着部」とは、カートン本体とウインドウフィルムとを接着する部分である。即ち、ウインドウフィルムは、接着部によってカートン本体の内側に貼り付けられている。接着部は、ウインドウフィルムをカートン本体に貼り付けることができる限りにおいて、その形成方法は特に限定されるものではない。例えば、接着剤、両面テープ、熱融着等の方法によって、接着部を形成することができる。なお、接着部は着色されたものであってもよい。例えば、着色された接着剤等を用いて接着部を形成することによって、接着部の位置が容易に視認できるようになり、カートンの製造が容易になるという利点がある。
【0057】
本発明の衛生用紙収納用カートンにおいては、接着部は、前記取出口を包囲する形で設けられており、前記取出口を介して相対向して設けられた位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成されており、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成されている。このように構成することにより、引き剥がしの際に必要とする力を大幅に軽減させることができる。
【0058】
また、接着部は、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部と、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部とは、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けられていてもよい。少なくとも、この不連続部を存在させることにより、より引き剥がしが容易となる。
【0059】
接着部の内、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部を、カートン本体の短辺側に設け、また、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部は、カートン本体の長辺側に設けることが、引き剥がし要する力を低減させることができるので好ましい。更に、前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状に形成された一対の接着部は、それぞれの少なくともV字状の形状の開放始点(以下始点と称することもある。)において不連続部が形成されたものが好ましい。例えば、図2〜図3に示す衛生用紙収納用カートン1は、接着部22の具体的な配置例である。なお、この図面に示す態様において形成する、不連続部24の大きさは、衛生紙取り出し時にウインドウフィルムにかかる力に充分対抗でき、かつ、所望とする引き剥がし時の力で、容易に剥がれる範囲で選択すればよい。
【0060】
V字状に形成される接着部の広がり角度は、衛生紙の取り出し圧に十分に対抗でき、かつ、円滑な引き剥しができるような角度を設定すればよい。勿論、長辺側に形成される接着部の、長さとのバンランスに考慮する必要があることは言うまでない。通常は、全角として表したとき、60°以上〜120°以下の範囲から任意に選択される。なお、このV字状の形状の接着部には、少なくともその始点に、好ましくはその近傍部を含めて非接着部23となる不連続部が設けられていることが好ましい。
【0061】
また、本発明の衛生用紙収納用カートンにおける、V字状の形状の接着部の少なくとも始点及びその近傍に設けられる非接着部23として形成される不連続部の形状の各種態様について、図4A〜図4Cに示す。具体的には、接着部22aは幅Wをもつため、幅Wに対する切り込み形状については、カートン本体、換言すれば、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の短辺との関係において、さまざまな切り込み形状とすることが可能である。具体的には、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の短辺と平行に接着部分を切り取るように形成させたり(図4A)、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の短辺に対して垂直に接着部分を切り取るように形成させたり(図4B)、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の短辺に対して、所定の角度、例えば、30°〜60°の内の任意の角度をもって形成させてもよい(図4C)。なお、バーコード状や点線状に形成された、複数の不連続部から形成してもよい。
【0062】
上記さまざまな形状をとることにより、引き剥がす際の開始時に要求される引き剥がしに要する力を従来のものと比較して低下させることができ、また、引き剥がし方向に沿って、この部分を中央に向かい次第に末広がり状に広がったV字状の形状に接着剤を塗布することで、引き剥がす際の力が、従来のように垂直に接着剤を塗布した場合に発生する引き剥がし抵抗を軽減させ、さらには、引き剥がし開始時点での力を長辺方向への力へ実質的に抵抗なく導くため、ウインドウフィルムのうち、非接着部23に対向する部分を掴み、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の長辺と平行(スリットの形成方向に平行)方向にウインドウフィルムを極めて容易に剥がすことが可能である。なお、図示してはいないが、非接着部23近傍のカートン本体表面部に「ここから引いてください」などの引き剥がしの始点であることを示す文字を印字してもよい。
【0063】
例えば、図2〜図3に示す衛生用紙収納用カートン1は、接着部22は、前記いわゆる”V字状に形成された”接着部の始点において非接着部23が形成されており、この非接着部23の大きさは、ウインドウフィルムが衛生紙の取り出し時に加わる力では剥がれたり、大きく歪んだりすることが無く、かつ、引き剥がしに要する力を出来るだけ押さえることが出来る程度の面積に形成されていればよい。
【0064】
更に、本発明の衛生用紙収納用カートンにおいては、接着部が、ウインドウフィルムのスリットの形成方向に沿って配置された部分22bの少なくとも一部に不連続部24が形成されているものであってもよい。このような構成とすることにより、形成された不連続部の分だけ接着部の接着強度を低下させること、即ち、引き剥がす接着部の面積を小さくすることができるので、スリットの形成方向、例えば、長方形状に構成されたウインドウフィルムの長辺方向に沿ってウインドウフィルムを容易に引き剥がすことが可能となる。従って、年配者、子供、女性のような力の弱い者であっても、弱い力でも十分にカートン本体からウインドウフィルムを確実に容易に剥がすことが可能となる。この不連続部分24の大きさは、衛生紙取り出し時にウインドウフィルムにかかる力に充分対抗でき、かつ、所望とする引き剥がし時の力で、容易に剥がれる範囲で選択すればよい。
【0065】
例えば、図5の衛生用紙収納用カートン140に示すように、スリット18の形成方向に沿って配置された接着部22bの一部が破断され、各3箇所(合計6箇所)の不連続部24が形成されていてもよい。また、接着部22bに、例えば後述する図6に示したような幅狭に形成された幅狭部56を形成することによって、その部分における接着強度を低下させることができるので、一定の幅で接着部22bを形成した場合と比較して、ウインドウフィルム20を容易に引き剥がすことが可能となる。
【0066】
更に、本発明の衛生用紙収納用カートンは、接着部のうち、スリットの形成方向に向かって末広がり形状に配置された部分の少なくとも一部に更に不連続部が形成されていることが好ましい。このような構成は、短辺部分に必要な接着強度を確保しつつ、引き剥がし時における引き剥がし強度を低下させることができるため、スリットの形成方向に沿って配置された部分に不連続部を形成する構成と相俟って、ウインドウフィルムをより容易に引き剥がすことが可能となる。
【0067】
例えば、図6に示す衛生用紙収納用カートン150は、接着部22が取出口を包囲する形に配置されており、スリット18の形成方向に沿って配置された接着部22bの一部が破断され、各3箇所(合計6箇所)の不連続部24が形成されるとともに、不連続部24の間に形成される接着部22bの一部が、他の部分の幅よりも幅狭である幅狭部56が形成された例である。また、この例では、V字状の形状をもつ接着部22aのうち、スリット18の形成方向に沿って配置された22bに接する部分に先細り部25が形成されるとともに、V字状の形状をもつ接着部22aの一部が不連続化されて形成される非接着部を不連続部に含めて数えると、各7箇所(合計14箇所)の不連続部24が形成されている態様を示す。
【0068】
本発明の衛生用紙収納用カートンとしては、接着部のうち、スリットの形成方向に向かってV字状に配置された22aおよびスリットの形成方向と平行に22bのうち、何れか一方が、他方に比較して、幅狭に形成されているものであってもよい。このような形態でも接着部の一部を不連続とする形態と同様に、その部分における接着強度を低下させることができる。従って、一定の幅で接着部を形成した場合と比較して、ウインドウフィルムを極めて容易に引き剥がすことが可能となる。
【0069】
なお、図示してはいないが、接着部のスリット形成方向に沿って配置された部分の一部を破断し不連続部を形成する形態と、接着部の一部を幅狭に形成する形態の双方を組み合わせた形態も好ましい形態の一つである。このような形態では、接着部の一部を不連続とする形態と、接着部の一部を幅狭に形成する形態の双方の効果を享受することができ、ウインドウフィルムの引き剥がし作業をより一層容易にすることが可能となる。
【0070】
また、図示してはいないが、本発明の衛生用紙収納用カートンは、接着部のうち、スリットの形成方向に沿って配置された部分が、少なくとも一方の端部が先細りの形状に形成された先細り部を有していることが好ましい。このような構成とすることにより、先細り部の先端に向かうにつれて接着部が幅狭となるので、その部分の接着強度を低下させることができる。
【0071】
また、本発明の衛生用紙収納用カートンは、接着剤の塗布面積を、衛生紙の取り出し時に加わる力では剥がれること無く、かつ、引き剥がしに要する力を出来るだけ押さえることが出来る程度に、小さくすることができるので、接着剤の乾燥時間を短縮し、接着剤の使用量を減少させることが可能であり、生産効率、生産コスト、省資源の面から好ましい。
【0072】
なお、従来は、接着剤が乾燥して接着力を発揮するまでに時間がかかるため、ウインドウフィルム自体の重量がある程度ないと、接着前にウインドウフィルムが剥がれてしまうという不具合があった。これに対し、本発明の衛生用紙収納用カートンでは、使用する接着剤の量を少なくすることができるので、接着剤の乾燥時間を短縮され、結果として、ウインドウフィルムを必要以上に厚くして重量を重くする必要がないという利点をも有する。
【0073】
[2]製造方法:
本発明の衛生用紙収納用カートンは、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。まず、所望とする接着部の形状と一致する凸面を有する押し型を用意する。次いで、この押し型の凸面に接着剤を付着させた後、カートンブランクの取出口形成用切り込み線を包囲する位置に前記押し型を当接させ、カートンブランクに接着剤を付着させる。更に、接着剤が乾燥する前に前に、予めスリットが形成されたウインドウフィルムを所定の位置に配置して貼り付ける。
【0074】
その後、カートンブランクを折り曲げ線に沿って折り曲げ、側面と底面の側面接合代とが重ね合わせ、その重なり部分を接着剤によって接着することによって妻面側が開放された角筒状とする。次いで、角筒状のカートンブランクの内部空間に衛生用紙が積層された精製用紙束を装填する。更に、一対の内フラップを折り曲げ線に沿って折り曲げた後、上面外フラップと底面外フラップをその一部が互いに重なり合うように折り曲げ、その重なり部分を接着剤等によって接着することによって、一対の妻面を形成する。このようにして、本発明の衛生用紙収納用カートンを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の衛生用紙収納用カートンは、ティシュペーパー、キッチンペーパー等のペーパータオル、シート状のトイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等の衛生用紙を収納するためのカートンとして、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す別の斜視図である。
【図3】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図4A】本発明のV字状形状の接着部側に設けられる非接着部23の取りうる形状の一例を示す図である。
【図4B】本発明のV字状形状の接着部側に設けられる非接着部23の取りうる形状の別の一例を示す図である。
【図4C】本発明のV字状形状の接着部側に設けられる非接着部23の取りうる形状の更に別の一例を示す図である。
【図5】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態の一例を示す一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図6】本発明の衛生用紙収納用カートンの別の一の実施形態の別の一例を示す一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図7】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態におけるカートンの底面から見た斜視図である。
【図8】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態の一例を示す図であり、衛生用紙収納用カートンを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図9】本発明の衛生用紙収納用カートンを解体する工程を示す斜視図である。
【図10】本発明の衛生用紙収納用カートンを解体する工程を示す別の斜視図である。
【図11】従来の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図12】従来の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す別の一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図13】従来の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す更に別の一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1、110、120、130、140、150:衛生用紙収納用カートン、2:上面、4:底面、6:側面、8:妻面、11:カートン本体の長辺部、12:カートン本体の短辺部、14:取出口形成用切り込み線、16:カートン本体、18:スリット、20:ウインドウフィルム、22、22a、22b:接着部、23:非接着部、24:不連続部、25:先細り部、26:内フラップ、28:上面外フラップ、30:底面外フラップ、32:側面接合代、34:妻面接合代、36:底面−側面稜線、38:第1の押込み用切込線、40:端点、44:第1の解体用切込線、46:第2の解体用切込線、48:第2の押込み用切込線、50:第3の解体用切込線、52:引剥がし用切り込み線、54:押上片形成用切り込み線、56:幅狭部、100:カートンブランク
【技術分野】
【0001】
本発明は衛生用紙収納用カートンに関し、更に詳しくは、ウインドウフィルムを容易に引き剥がすことができる衛生用紙収納用カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭やオフィス等で広く使われているティシュペーパーは、概ね直方体の箱(以下、「カートン」ともいう)の内部空間に収納された形で市販されている。使用者は、ティシュペーパーを使用するに際し、箱の一面(通常は箱の上面)に設けられている所定形状のミシン目(取出口形成用切り込み線)を切り離すことによって、箱に細長い取出口を形成することができる。
【0003】
上記箱に収納されるティシュペーパーは、通常、2枚で1組とされており、各1組が継続して箱の内部から取出せるように、いわゆるポップアップ方式で交互に折り重ねられて収納されている。このように、交互に折り重ねると、ティシュペーパーの1組がスリットから引き出されたときに、次の1組が箱の内部からスリットに保持される位置まで引き出される。引き出されたティシュペーパーは、ウインドウフィルムのスリットとティシュペーパーとの摩擦力によって、ポップアップした所定位置に保持され、箱の内部に落ち込むことが防止される。また、ティシュペーパーは、ウインドウフィルムによって、外部の塵や異物から保護されている。
【0004】
このような箱は、ティシュペーパーに限らず、ティシュペーパーを含む衛生用紙(ペーパータオル(キッチンペーパーなど)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)などの使い捨て紙の総称)の収納用の箱として広く用いられている。
【0005】
ところで、1997年から「容器リサイクル法」が本格施行され、容器包装の廃棄物について、消費者の分別排出、自治体の分別収集、事業者のリサイクル責任が明確にされた。これを契機として、近年、循環型経済社会の構築に向けた動きが加速度的に進行しつつある。ティシュペーパー、キッチンペーパー等の衛生用紙の使用済みカートンについても、消費者に対して、貼着されたウインドウフィルムをカートン本体から引き剥がし、分別して廃棄することが求められている。
【0006】
このような箱としては、例えば、予め、取出口を被覆するポリエチレンフィルム等のウインドウフィルムが箱の内側から貼着され、このウインドウフィルムの中央部に直線状のスリットが形成された箱が提案されている(例えば、特許文献1参照)。使用者は、ウインドウフィルムのスリットを通して、内部空間に収納されたティシュペーパーを外部へ引き出して使用することができる。そして、ウインドウフィルムを箱に貼着する際の接着部は、取出口を包囲する長方形状に配置されることが多い。
【0007】
従来の衛生用紙収納用カートンは、接着部のうち、スリットの形成方向に沿って配置された部分が破断されることなく連続的に形成されることが一般的であった。従って、ウインドウフィルム20(例えば本出願の図11、図12)をその長辺方向に沿って引き剥がす場合に、特に引き剥がし開始時に大きな力を必要とするため、その引き剥がしが困難となる場合があった。そのため、接着部がこのような長方形をとる場合は、その長方形の短辺の一部が破断された形状に構成された衛生用紙収納用カートンが提案されている(例えば、特許文献2・特許文献5参照)。
【0008】
例えば、本出願の図11に示す衛生用紙収納用カートン110は、長方形状の接着部22のうち、スリットの形成方向に沿って配置された部分の少なくとも一部が破断され、不連続に形成された例である。但し、このカートンは、紙製のウインドウフィルムに形成されたスリットがその端部から破断されてしまった場合の不具合を防止することを目的として接着部の一部を不連続に形成したものであり、接着部の接着強度を軽減させることを目的とするものではない。
【0009】
また、ウインドウフィルムを引き剥がす際には、ウインドウフィルムの長手方向(ウインドウフィルムが長方形状に構成されている場合であれば、その長方形の長辺方向)に沿って引き剥がすことが多い。そのため、その引き剥がし方向に沿って接着部を不連続に形成することによって初めて、ウインドウフィルムを容易に引き剥がす効果が発揮される。即ち、本出願の図11に示す衛生用紙収納用カートン110のように、長方形状の接着部22のうち、その長方形の短辺の一部に不連続部24を形成した場合、長方形の接着部の全てを連続的に形成した場合と比べれば、接着強度をある程度低下させることは可能であるものの、必ずしも弱い引張り力でウインドウフィルムを容易に引き剥がすことができるものではなかった。
【0010】
そこで、貼着されたウインドウフィルムをカートン本体から引き剥がし易くし、ウインドウフィルムの分別廃棄を容易にするための様々なアイデアが提案されている。例えば、本発明者の共同研究者は先に、カートン本体にウインドウフィルムの接着部を囲む切込線を形成したカートンを既に提案している(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
更に、接着部についてもさまざまな工夫がなされており、本出願の図12に示す衛生用紙収納用カートン120では、接着部22は、取出口を包囲する長方形状に形成され、長方形の長辺側に形成された接着部の少なくとも一部の幅W1が、長方形の短辺の最大幅W2よりも幅狭に形成された例である。なお、本願出願人は、接着部を一部破断させたり、幅狭の部分を配置したりすることにより引き剥がしをしやすくすることを提案している(特許文献4参照)。
【特許文献1】実公昭41−6464号公報
【特許文献2】特開平9−118377号公報
【特許文献3】特開2005−313909号公報
【特許文献4】特願2006−41217号
【特許文献5】特開2004−217296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特に、特許文献4において本願出願人が提案した図13に示す衛生用紙収納用カートン130は、接着部を一部破断させたり、幅狭部56が形成された例である。使用者は、長方形のフィルムの4つの頂点を始点にいかなる方向からであってもウインドウフィルムを引き剥がすことができる。
【0013】
しかしながら、図13に示すように接着部22の一部に幅狭部56を設けることにより接着強度を軽減することはできるが、高齢者などが弱い力で引き剥がした場合、接着剤として使用したビニールが剥がれずにフィルムが破れてしまったり、延びてしまったりすると言う現象が生じていた。本願におけるように、非接着部を形成することで力の弱い者であっても、確実に容易に引き剥がしができるような構成とはなっていなかった。ウインドウフィルムを更に容易に引き剥がすことができることが切望されていた。
【0014】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、引き剥がす力が年配者、子供、女性のような力の弱い者であっても、カートン本体からウインドウフィルムをより弱い力でもっても容易かつ確実に剥がすことができる衛生用紙収納用のカートンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ウインドウフィルムの接着部を、取出口を包囲する形で設け、前記取出口を介して相対向して設けられて位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成されており、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成することにより、ウインドウフィルムがより容易にかつ確実に剥がし易くなり、好ましくは、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部と、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部とは、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けることにより、更に好ましくは、前記ウインドウフィルムを貼り付けるために前記V字状に形成された一対の接着部に、それぞれの少なくともV字の開放始点において不連続部を設けることで、剥がす際に要する力をより一層軽減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す衛生用紙収納用カートンが提供される。
【0016】
[1] 取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、前記衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように取出口形成用切り込み線が形成されたカートン本体と、前記取出口を前記カートン本体の内側から被覆するように配置され、前記衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたウインドウフィルムと、を備えた衛生用紙収納用カートンであって、前記ウインドウフィルムは、接着部によって前記カートン本体の内側に貼り付けられており、前記接着部は、前記取出口を包囲する形で設けられており、前記取出口を介して相対向して設けられて位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成されており、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成されたものである、衛生用紙収納用カートン。
【0017】
[2] 前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部と、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部とは、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けられたものである、[1]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0018】
[3] 前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部は、カートン本体の短辺側に設けられており、また、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部は、カートン本体の長辺側に設けられたものである、[1]または[2]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0019】
[4] 前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状に形成された一対の接着部は、それぞれの少なくともV字状の形状の開放始点において不連続部が形成されたものである[2]または[3]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0020】
[5] 前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状の形状の開放始点において形成された不連続部の形状が、カートン本体の短辺に対して、平行、或いは、垂直に、又は、所定の角度をもって、当該接着部分を切り取った形状をしたものである[4]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0021】
[6] 前記不連続部の形状が少なくとも、複数の不連続部から形成された物である[5]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0022】
[7] 前記ウインドウフィルムを貼り付けるために前記長辺側に設けられた一対の接着部が、少なくとも一部に不連続部が形成されているか、或いは、一部が他の部分の幅に比較して狭いものである[3]に記載の衛生用紙収納用カートン。
【0023】
[8] 前記ウインドウフィルムが、前記衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたものである、[1]〜[7]のいずれかに記載の衛生用紙収納用カートン。
【発明の効果】
【0024】
本発明の衛生用紙収納用カートンは、年配者、子供、女性のような力の弱い者であっても、カートン本体の内側に貼り付けられたウインドウフィルムを容易に引き剥がすことができる。
【0025】
本願では、図2〜図3に示した態様においては、この部分は接着剤を塗布しない非接着部分23とし、さらに、力を長辺方向に導くように、かつ、接着部22aを末広がり形状に配置することで、極めて容易に引き剥がしができるようにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0027】
[1]衛生用紙収納用カートン:
本発明の衛生用紙収納用カートンは、例えば、図1および図7に示す衛生用紙収納用カートン1のように、上面2、底面4、一対の側面6、及び一対の妻面8を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように取出口形成用切り込み線14が形成されたカートン本体16と、取出口をカートン本体16の内側から被覆するように配置され、衛生用紙を取り出すためのスリット18が形成されたウインドウフィルム20と、を備えたものであり、ウインドウフィルム20は、接着部22によってカートン本体16の内側に貼り付けられており、接着部22は取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部22aおよび取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部22bからなり、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けられている。
【0028】
[1−1]カートン本体:
「カートン本体」とは、取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように取出口形成用切り込み線が形成された箱体である。
【0029】
[1−1A]箱状:
「箱状」とは、取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成される形状である。このような形状としては、例えば、直方体状、立方体状等の六面体状を挙げることができる。これらの形状では、上面と底面、一の側面と他の側面、一の妻面と他の妻面が対向するように平行に配置される。これらの形状の中では、直方体状が好ましい。例えば、図1および図7に示す衛生用紙収納用カートン1は、カートン本体16の側面6側を長辺、妻面8側を短辺とする直方体状にカートン本体16を構成した例である。なお、これらの形状において、二つの面の稜線部分を面取りしたものも、本明細書にいう「箱状」に含まれる。
【0030】
「カートン本体」は、例えば、紙材料等からなるカートンブランクを折り曲げることによって、取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に形成される。図8に示すカートンブランク100は、一枚の紙材料によって、折り曲げ線を介して上面2、底面4、一対の側面6が形成されており、側面6の端縁からは、折り曲げ線を介して内フラップ26が延出されている。
【0031】
また、上面2の端縁からは、折り曲げ線を介して上面外フラップ28が延出されており、これと同様に、底面4の端縁からは、折り曲げ線を介して底面外フラップ30が延出されている。更に、底面4の一の側縁部からは、折り曲げ線を介して、側面接合代32が延出されており、底面外フラップ30の先端には上面外フラップ28との接合代である妻面接合代34が付設されている。このようなカートンブランク100は、各折り曲げ線を折り曲げ、側面接合代32と側面6を接合した後、妻面接合代34と上面外フラップ28を接合することで、一対の妻面8を形成することができる。こうすることにより、カートンブランク100を、図1及び図7に示すような衛生用紙収納用カートン1とすることができる。
【0032】
本発明の衛生用紙収納用カートンは、カートン本体が、底面に形成され、底面と一の側面との稜線(以下、「底面−側面稜線」と記すことにする。)上における二点a,bを繋ぐ第1の押込み用切込線と、底面−側面稜線上及び/又は一の側面に形成され、二点a,bを起点とし、底面−側面稜線の端点又は上面と側面との稜線(以下、「上面−側面稜線」と記すことにする。)に達する第1の解体用切込線と、が形成されたものであることが好ましい。
【0033】
このようなカートンは、使用後の空のカートンを廃棄する際に、側面と底面を切り離すことによって、カートンを容易に解体することが可能である。この「カートンを容易に解体することが可能」という効果と、本発明の衛生用紙収納用カートンの「ウインドウフィルムを引き剥がし易い」という効果とが相俟って、カートンの解体、ウインドウフィルムの引き剥がしという一連の操作が一層容易かつ簡便なものとなる。従って、このようなカートンは、衛生用紙収納用カートンの分別廃棄を促進することに資するものである。
【0034】
例えば、図7に示す衛生用紙収納用カートン1は、カートン本体16を、底面4に形成され、底面−側面稜線36上における二点a,bを繋ぐ第1の押込み用切込線38と、底面−側面稜線36上に形成され、二点a,bを起点とし、底面−側面稜線36の端点40に達する第1の解体用切込線44とが形成されたものとした例である。
【0035】
また、本発明の衛生用紙収納用カートンは、上面の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップと、底面の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップと、を更に備え、上面外フラップと底面外フラップとが接合されて妻面が形成されており、底面外フラップは、その先端に上面外フラップとの接合代が付設され、その接合代と底面外フラップとの間には第2の解体用切込線が形成されており、底面に形成され、底面と一の妻面との稜線上における二点を繋ぐ第2の押込み用切込線と、底面外フラップに形成され、二点を起点とし、第2の解体用切込線に達する第3の解体用切込線とが形成されていることが更に好ましい。
【0036】
このようなカートンは、側面と底面を切り離すのみならず、妻面を形成している上面外フラップと底面外フラップを切り離すことができる。従って、カートンを更に容易に解体して平面状に展開することができ、高齢者や障害者等であっても容易にカートンを解体することが可能となる。即ち、本発明の衛生用紙収納用カートンの接合部の構成と相俟って、ウインドウフィルムの引き剥がしを更に容易なものとし、紙とプラスチックとの分別廃棄を一層簡便に行うことが可能となる。
【0037】
例えば、図1、図7および図8に示す衛生用紙収納用カートン1は、上面2の端縁から稜線を介して延出された上面外フラップ28と、底面4の端縁から稜線を介して延出された底面外フラップ30と、を更に備えている。そして、底面外フラップ30は、その先端に上面外フラップ28との接合代である妻面接合代34が付設され、上面外フラップ28と底面外フラップ30とは妻面接合代34を介して接合されて妻面8が形成されており、その妻面接合代34と底面外フラップ30との間には第2の解体用切込線46が形成されている。また、カートン本体16には、底面4に形成され、底面4と一の妻面8との稜線上における二点c,dを繋ぐ第2の押込み用切込線48と、底面外フラップ30に形成され、二点c、dを起点とし、第2の解体用切込線46に達する第3の解体用切込線50とが形成されている例である。
【0038】
図1〜図2に示す衛生用紙収納用カートン1は、図9及び図10に示すような方法により解体することができる。まず、図9に示すように、第2の押込み用切込線48の内側部分を親指で押圧して押し破ると、これに伴って第3の解体用切込線50及び第2の解体用切込線46も破断され、上面外フラップ28と底面外フラップ30とを切断することができる。次いで、第1の押込み用切込線38の内側部分を親指で押圧して押し破ると、これに伴って第1の解体用切込線44も破断され、底面4と側面6とを切断することができる。
【0039】
こうすることにより、上面外フラップ28、底面外フラップ30、側面6及び底面4を外側に向かって切り開くことができ、図10に示すように、衛生用紙収納用カートン1を平面状に展開された状態に解体することができる。この状態であれば、ウインドウフィルム20を極めて容易に引き剥がすことが可能である。
【0040】
本発明の衛生用紙収納用カートンは、取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面によって区画された内部空間が形成される。この内部空間は、衛生用紙を収納するための空間である。この内部空間に収納する衛生用紙の種類について特に制限はなく、例えば、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙(例えば、紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)等を挙げることができる。
【0041】
中でも、一の衛生用紙が折り畳まれ、その折り返し部分に他の衛生用紙が挟み込まれた状態で折り畳まれることによって、複数枚の衛生用紙が連続的に積層された衛生用紙束を前記内部空間に収納することが好ましい。このような積層構造の衛生用紙は、最上層の衛生用紙を取り出すことにより、これに挟み込まれていた次層の衛生用紙の一部が取出口から突出し、衛生用紙の取出しが容易なものとなる利点がある(いわゆるポップアップ方式)。
【0042】
本発明の衛生用紙収納用カートンを構成する材質について特に制限はない。但し、箱体を折り曲げ形成する都合上、厚紙等の紙材料を構成材料とすることが好ましい。一般に、これらの紙材料としては、例えば、木材パルプ、古紙等を原料として製造されたものを好適に用いることができる。
【0043】
[1−1B]取出口形成用切り込み線:
「取出口形成用切り込み線」とは、衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように形成された切り込み線である。使用者は、この切り込み線を破断することによって取出口を形成することができ、その取出口から衛生用紙を取り出すことが可能となる。
【0044】
衛生用紙の取出口の外周形状について特に制限はなく、カートン本体や衛生用紙の形状に応じて適宜選択すればよい。但し、カートン本体として直方体状のものが多く用いられるため、その取出口の形状はカートン本体の長手方向に沿った横長形状とすることが好ましい。従って、取出口の外周形状としては、例えば、略長方形状、略長円形状、長楕円形状、菱形状、又は多角形状等の形状を挙げることができる。例えば、図1に示す衛生用紙収納用カートン1は、略長方形状の取出口形成用切り込み線14が形成されている例である。
【0045】
取出口形成用切り込み線は、通常、図1に示す衛生用紙収納用カートン1のように、カートン本体16の上面2に形成されることが多いが、特にそのような制限があるわけではない。例えば、カートン本体の底面に形成されていてもよいし、他の面に形成されていてもよい。また、取出口形成用切り込み線は一の面のみに形成されていなければならないわけではなく、二以上の面(例えば、上面と底面)に形成されていてもよい。
【0046】
なお、取出口形成用切り込み線によって包囲された部分(切取片となる部分)には、取出口形成用切り込み線の二点を繋ぐように、引剥がし用切り込み線が形成されていてもよい。このような切り込み線を形成することで、切取片の引き剥がしが容易となる利点がある。例えば、図1に示す衛生用紙収納用カートン1は、略長方形状の取出口形成用切り込み線14の端部側に、略U字状の引剥がし用切り込み線52が形成されている例である。
【0047】
上記の取出口用切込線、引剥がし用切込線は、直線状の切れ目(スリット)であってもよいし、部分的につながりを有するミシン目状のものであってもよい。また、包装業界でジッパーと呼称されている切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)や、2重線のミシン目であってもよい。例えば、図1に示す衛生用紙収納用カートン1は、取出口形成用切り込み線14のうち、引剥がし用切り込み線52より内側の部分を、2重線のミシン目とした例である。
【0048】
また、本発明の衛生用紙収納用カートンにおいては、底面に一対の押上片を形成するための押上片形成用切り込み線を形成することも好ましい形態の一つである。カートン本体に収納された衛生用紙の残量が少なくなった際に、底面に形成された押上片形成用切り込み線を押圧して押し破り、カートン本体の内側に折り曲げることによって、一対の押上片を形成する。この押上片によって、カートン本体内部の衛生用紙が上面側に押し上げられので、上面の取出口から衛生用紙の最後の一枚まで、安定してポップアップさせることが可能である。例えば、図7に示す衛生用紙収納用カートン1は、底面4の中央部にU字状の押上片形成用切り込み線54が1対形成された例である。
【0049】
[1−2]ウインドウフィルム:
「ウインドウフィルム」とは、取出口をカートン本体の内側から被覆するように配置され、衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたフィルム材である。取出口の内側からウインドウフィルムを貼り付けると、外部の塵や異物から衛生用紙を保護することができる。また、衛生用紙を外部に取出す際に、ウインドウフィルムに形成されたスリット間の摩擦により、ポップアップした衛生用紙がカートンの内部に落ち込むことが防止され、衛生用紙を取出口から突出させた状態で保持することが可能となる。
【0050】
[1−2A]フィルム:
「フィルム」とは薄膜状の部材である。その構成材料は特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルアルコール等のプラスチック;グラシン紙、クラフト紙、ケント紙、インディア紙等の印刷用紙、書道用紙、包装紙、加工原紙等の紙;等を好適に用いることができる。また、上記プラスチックとしては、生分解性プラスチックを用いてもよい。
【0051】
「生分解性プラスチック」とは、バクテリアをはじめとする微生物、或いは酵素等の作用によって分解されるプラスチックを意味する。具体的には、ポリグリコール酸、ポリ乳酸等のポリ(α−ヒドロキシ酸);ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロキオラクトン)等のポリラクトン類;ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロレート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエート、ポリ−3−ヒドロキシバリレート、ポリ−4−ヒドロキシブチレート等のポリ(α−ヒドキシアルカノエート);ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート等のグリコールとカルボン酸の縮重合体;等を挙げることができる。これらのプラスチックを構成する重合体は単独重合体に限られず共重合体であってもよい。また、生分解性に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合等を有する重合体であってもよい。
【0052】
上記フィルムには、透明フィルム、半透明フィルム、不透明フィルム、着色フィルムのいずれもが含まれる。また、文字や模様等が印刷されたフィルムであってもよい。フィルムの形状は、カートン本体の取出口を被覆することができる限りにおいて、どのような形状のものであってもよい。但し、取出口の形状として横長形状のものが汎用されることから、図1〜図3に示す衛生用紙収納用カートン1のように、長方形状のフィルムを用いることが好ましい。従って、以下の説明においては、頻用度の高い取出口の形状である横長形状に対応した長方形状のフィルムを用いた態様により説明することとする。
【0053】
本発明の衛生用紙収納用カートンにおいては、ウインドウフィルムは、長方形状に構成され、その短辺方向への引っ張り強度に比して、その長辺方向への引っ張り強度が高いものであり、短辺が妻面に沿い、長辺が側面に沿うように、カートン本体の内側に貼り付けられていることが好ましい。
【0054】
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリマーからなるプラスチックを一定方向に延伸した延伸フィルムにおいては、直鎖高分子を延伸方向に分子鎖が配向するため、延伸方向の引っ張り強度が強くなる。このような延伸フィルムをウインドウフィルムに使用した場合等には、図1に示す衛生用紙収納用カートン1のように、ウインドウフィルム20を長方形状に構成し、その短辺が妻面8に沿い、長辺が側面6に沿うように、カートン本体16の内側に貼り付けると、一の妻面8側から他の妻面8側に向かってウインドウフィルム20を引き剥がすことにより、ウインドウフィルム20が途中で破断されることなく、綺麗に剥がすことが可能となる。
【0055】
[1−2B]スリット:
「スリット」とは、ウインドウフィルムを貫通する切れ目である。衛生用紙収納用カートン内に収納されたティシュペーパーをはじめとする衛生用紙は、このスリットを通してカートンの外部へ引き出される。例えば、図1に示す衛生用紙収納用カートン1は、ウインドウフィルム20の中央部に直線状のスリット18を形成した例である。
【0056】
[1−3]接着部:
「接着部」とは、カートン本体とウインドウフィルムとを接着する部分である。即ち、ウインドウフィルムは、接着部によってカートン本体の内側に貼り付けられている。接着部は、ウインドウフィルムをカートン本体に貼り付けることができる限りにおいて、その形成方法は特に限定されるものではない。例えば、接着剤、両面テープ、熱融着等の方法によって、接着部を形成することができる。なお、接着部は着色されたものであってもよい。例えば、着色された接着剤等を用いて接着部を形成することによって、接着部の位置が容易に視認できるようになり、カートンの製造が容易になるという利点がある。
【0057】
本発明の衛生用紙収納用カートンにおいては、接着部は、前記取出口を包囲する形で設けられており、前記取出口を介して相対向して設けられた位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成されており、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成されている。このように構成することにより、引き剥がしの際に必要とする力を大幅に軽減させることができる。
【0058】
また、接着部は、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部と、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部とは、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けられていてもよい。少なくとも、この不連続部を存在させることにより、より引き剥がしが容易となる。
【0059】
接着部の内、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部を、カートン本体の短辺側に設け、また、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部は、カートン本体の長辺側に設けることが、引き剥がし要する力を低減させることができるので好ましい。更に、前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状に形成された一対の接着部は、それぞれの少なくともV字状の形状の開放始点(以下始点と称することもある。)において不連続部が形成されたものが好ましい。例えば、図2〜図3に示す衛生用紙収納用カートン1は、接着部22の具体的な配置例である。なお、この図面に示す態様において形成する、不連続部24の大きさは、衛生紙取り出し時にウインドウフィルムにかかる力に充分対抗でき、かつ、所望とする引き剥がし時の力で、容易に剥がれる範囲で選択すればよい。
【0060】
V字状に形成される接着部の広がり角度は、衛生紙の取り出し圧に十分に対抗でき、かつ、円滑な引き剥しができるような角度を設定すればよい。勿論、長辺側に形成される接着部の、長さとのバンランスに考慮する必要があることは言うまでない。通常は、全角として表したとき、60°以上〜120°以下の範囲から任意に選択される。なお、このV字状の形状の接着部には、少なくともその始点に、好ましくはその近傍部を含めて非接着部23となる不連続部が設けられていることが好ましい。
【0061】
また、本発明の衛生用紙収納用カートンにおける、V字状の形状の接着部の少なくとも始点及びその近傍に設けられる非接着部23として形成される不連続部の形状の各種態様について、図4A〜図4Cに示す。具体的には、接着部22aは幅Wをもつため、幅Wに対する切り込み形状については、カートン本体、換言すれば、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の短辺との関係において、さまざまな切り込み形状とすることが可能である。具体的には、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の短辺と平行に接着部分を切り取るように形成させたり(図4A)、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の短辺に対して垂直に接着部分を切り取るように形成させたり(図4B)、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の短辺に対して、所定の角度、例えば、30°〜60°の内の任意の角度をもって形成させてもよい(図4C)。なお、バーコード状や点線状に形成された、複数の不連続部から形成してもよい。
【0062】
上記さまざまな形状をとることにより、引き剥がす際の開始時に要求される引き剥がしに要する力を従来のものと比較して低下させることができ、また、引き剥がし方向に沿って、この部分を中央に向かい次第に末広がり状に広がったV字状の形状に接着剤を塗布することで、引き剥がす際の力が、従来のように垂直に接着剤を塗布した場合に発生する引き剥がし抵抗を軽減させ、さらには、引き剥がし開始時点での力を長辺方向への力へ実質的に抵抗なく導くため、ウインドウフィルムのうち、非接着部23に対向する部分を掴み、ウインドウフィルムの外形をなす長方形の長辺と平行(スリットの形成方向に平行)方向にウインドウフィルムを極めて容易に剥がすことが可能である。なお、図示してはいないが、非接着部23近傍のカートン本体表面部に「ここから引いてください」などの引き剥がしの始点であることを示す文字を印字してもよい。
【0063】
例えば、図2〜図3に示す衛生用紙収納用カートン1は、接着部22は、前記いわゆる”V字状に形成された”接着部の始点において非接着部23が形成されており、この非接着部23の大きさは、ウインドウフィルムが衛生紙の取り出し時に加わる力では剥がれたり、大きく歪んだりすることが無く、かつ、引き剥がしに要する力を出来るだけ押さえることが出来る程度の面積に形成されていればよい。
【0064】
更に、本発明の衛生用紙収納用カートンにおいては、接着部が、ウインドウフィルムのスリットの形成方向に沿って配置された部分22bの少なくとも一部に不連続部24が形成されているものであってもよい。このような構成とすることにより、形成された不連続部の分だけ接着部の接着強度を低下させること、即ち、引き剥がす接着部の面積を小さくすることができるので、スリットの形成方向、例えば、長方形状に構成されたウインドウフィルムの長辺方向に沿ってウインドウフィルムを容易に引き剥がすことが可能となる。従って、年配者、子供、女性のような力の弱い者であっても、弱い力でも十分にカートン本体からウインドウフィルムを確実に容易に剥がすことが可能となる。この不連続部分24の大きさは、衛生紙取り出し時にウインドウフィルムにかかる力に充分対抗でき、かつ、所望とする引き剥がし時の力で、容易に剥がれる範囲で選択すればよい。
【0065】
例えば、図5の衛生用紙収納用カートン140に示すように、スリット18の形成方向に沿って配置された接着部22bの一部が破断され、各3箇所(合計6箇所)の不連続部24が形成されていてもよい。また、接着部22bに、例えば後述する図6に示したような幅狭に形成された幅狭部56を形成することによって、その部分における接着強度を低下させることができるので、一定の幅で接着部22bを形成した場合と比較して、ウインドウフィルム20を容易に引き剥がすことが可能となる。
【0066】
更に、本発明の衛生用紙収納用カートンは、接着部のうち、スリットの形成方向に向かって末広がり形状に配置された部分の少なくとも一部に更に不連続部が形成されていることが好ましい。このような構成は、短辺部分に必要な接着強度を確保しつつ、引き剥がし時における引き剥がし強度を低下させることができるため、スリットの形成方向に沿って配置された部分に不連続部を形成する構成と相俟って、ウインドウフィルムをより容易に引き剥がすことが可能となる。
【0067】
例えば、図6に示す衛生用紙収納用カートン150は、接着部22が取出口を包囲する形に配置されており、スリット18の形成方向に沿って配置された接着部22bの一部が破断され、各3箇所(合計6箇所)の不連続部24が形成されるとともに、不連続部24の間に形成される接着部22bの一部が、他の部分の幅よりも幅狭である幅狭部56が形成された例である。また、この例では、V字状の形状をもつ接着部22aのうち、スリット18の形成方向に沿って配置された22bに接する部分に先細り部25が形成されるとともに、V字状の形状をもつ接着部22aの一部が不連続化されて形成される非接着部を不連続部に含めて数えると、各7箇所(合計14箇所)の不連続部24が形成されている態様を示す。
【0068】
本発明の衛生用紙収納用カートンとしては、接着部のうち、スリットの形成方向に向かってV字状に配置された22aおよびスリットの形成方向と平行に22bのうち、何れか一方が、他方に比較して、幅狭に形成されているものであってもよい。このような形態でも接着部の一部を不連続とする形態と同様に、その部分における接着強度を低下させることができる。従って、一定の幅で接着部を形成した場合と比較して、ウインドウフィルムを極めて容易に引き剥がすことが可能となる。
【0069】
なお、図示してはいないが、接着部のスリット形成方向に沿って配置された部分の一部を破断し不連続部を形成する形態と、接着部の一部を幅狭に形成する形態の双方を組み合わせた形態も好ましい形態の一つである。このような形態では、接着部の一部を不連続とする形態と、接着部の一部を幅狭に形成する形態の双方の効果を享受することができ、ウインドウフィルムの引き剥がし作業をより一層容易にすることが可能となる。
【0070】
また、図示してはいないが、本発明の衛生用紙収納用カートンは、接着部のうち、スリットの形成方向に沿って配置された部分が、少なくとも一方の端部が先細りの形状に形成された先細り部を有していることが好ましい。このような構成とすることにより、先細り部の先端に向かうにつれて接着部が幅狭となるので、その部分の接着強度を低下させることができる。
【0071】
また、本発明の衛生用紙収納用カートンは、接着剤の塗布面積を、衛生紙の取り出し時に加わる力では剥がれること無く、かつ、引き剥がしに要する力を出来るだけ押さえることが出来る程度に、小さくすることができるので、接着剤の乾燥時間を短縮し、接着剤の使用量を減少させることが可能であり、生産効率、生産コスト、省資源の面から好ましい。
【0072】
なお、従来は、接着剤が乾燥して接着力を発揮するまでに時間がかかるため、ウインドウフィルム自体の重量がある程度ないと、接着前にウインドウフィルムが剥がれてしまうという不具合があった。これに対し、本発明の衛生用紙収納用カートンでは、使用する接着剤の量を少なくすることができるので、接着剤の乾燥時間を短縮され、結果として、ウインドウフィルムを必要以上に厚くして重量を重くする必要がないという利点をも有する。
【0073】
[2]製造方法:
本発明の衛生用紙収納用カートンは、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。まず、所望とする接着部の形状と一致する凸面を有する押し型を用意する。次いで、この押し型の凸面に接着剤を付着させた後、カートンブランクの取出口形成用切り込み線を包囲する位置に前記押し型を当接させ、カートンブランクに接着剤を付着させる。更に、接着剤が乾燥する前に前に、予めスリットが形成されたウインドウフィルムを所定の位置に配置して貼り付ける。
【0074】
その後、カートンブランクを折り曲げ線に沿って折り曲げ、側面と底面の側面接合代とが重ね合わせ、その重なり部分を接着剤によって接着することによって妻面側が開放された角筒状とする。次いで、角筒状のカートンブランクの内部空間に衛生用紙が積層された精製用紙束を装填する。更に、一対の内フラップを折り曲げ線に沿って折り曲げた後、上面外フラップと底面外フラップをその一部が互いに重なり合うように折り曲げ、その重なり部分を接着剤等によって接着することによって、一対の妻面を形成する。このようにして、本発明の衛生用紙収納用カートンを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の衛生用紙収納用カートンは、ティシュペーパー、キッチンペーパー等のペーパータオル、シート状のトイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等の衛生用紙を収納するためのカートンとして、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す別の斜視図である。
【図3】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図4A】本発明のV字状形状の接着部側に設けられる非接着部23の取りうる形状の一例を示す図である。
【図4B】本発明のV字状形状の接着部側に設けられる非接着部23の取りうる形状の別の一例を示す図である。
【図4C】本発明のV字状形状の接着部側に設けられる非接着部23の取りうる形状の更に別の一例を示す図である。
【図5】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態の一例を示す一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図6】本発明の衛生用紙収納用カートンの別の一の実施形態の別の一例を示す一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図7】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態におけるカートンの底面から見た斜視図である。
【図8】本発明の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態の一例を示す図であり、衛生用紙収納用カートンを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図9】本発明の衛生用紙収納用カートンを解体する工程を示す斜視図である。
【図10】本発明の衛生用紙収納用カートンを解体する工程を示す別の斜視図である。
【図11】従来の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図12】従来の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す別の一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【図13】従来の衛生用紙収納用カートンの一の実施形態を示す更に別の一部平面図であり、カートンの上面を裏側から見た状態を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1、110、120、130、140、150:衛生用紙収納用カートン、2:上面、4:底面、6:側面、8:妻面、11:カートン本体の長辺部、12:カートン本体の短辺部、14:取出口形成用切り込み線、16:カートン本体、18:スリット、20:ウインドウフィルム、22、22a、22b:接着部、23:非接着部、24:不連続部、25:先細り部、26:内フラップ、28:上面外フラップ、30:底面外フラップ、32:側面接合代、34:妻面接合代、36:底面−側面稜線、38:第1の押込み用切込線、40:端点、44:第1の解体用切込線、46:第2の解体用切込線、48:第2の押込み用切込線、50:第3の解体用切込線、52:引剥がし用切り込み線、54:押上片形成用切り込み線、56:幅狭部、100:カートンブランク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、前記衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように取出口形成用切り込み線が形成されたカートン本体と、
前記取出口を前記カートン本体の内側から被覆するように配置され、前記衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたウインドウフィルムと、を備えた衛生用紙収納用カートンであって、
前記ウインドウフィルムは、接着部によって前記カートン本体の内側に貼り付けられており、
前記接着部は、前記取出口を包囲する形で設けられており、前記取出口を介して相対向して設けられて位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成されており、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成されたものである、衛生用紙収納用カートン。
【請求項2】
前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部と、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部とは、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けられたものである、請求項1に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項3】
前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部は、カートン本体の短辺側に設けられており、また、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部は、カートン本体の長辺側に設けられたものである、請求項1または2に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項4】
前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状に形成された一対の接着部は、それぞれの少なくともV字状の形状の開放始点において不連続部が形成されたものである請求項2または3に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項5】
前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状の形状の開放始点において形成された不連続部の形状が、カートン本体の外形をなす長方形の短辺に対して、平行、或いは、垂直に、又は、所定の角度をもって、当該接着部分を切り取った形状をしたものである請求項4に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項6】
前記不連続部の形状が少なくとも、複数の不連続部から形成された物である請求項5に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項7】
前記ウインドウフィルムを貼り付けるために前記長辺側に設けられた一対の接着部が、少なくとも一部に不連続部が形成されているか、或いは、一部が他の部分の幅に比較して狭いものである請求項3に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項8】
前記ウインドウフィルムが、前記衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項1】
取出口を有する上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすとともに、前記衛生用紙の取出口の外周形状と一致するように取出口形成用切り込み線が形成されたカートン本体と、
前記取出口を前記カートン本体の内側から被覆するように配置され、前記衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたウインドウフィルムと、を備えた衛生用紙収納用カートンであって、
前記ウインドウフィルムは、接着部によって前記カートン本体の内側に貼り付けられており、
前記接着部は、前記取出口を包囲する形で設けられており、前記取出口を介して相対向して設けられて位置する2対の接着部の内の何れか一対の接着部が、前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成されており、前記取出口を包囲する接着部の全体としての形状が、六角形状に形成されたものである、衛生用紙収納用カートン。
【請求項2】
前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部と、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部とは、それぞれ少なくとも一箇所の不連続部を介してそれぞれ独立して設けられたものである、請求項1に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項3】
前記取出口の中央部方向に向って次第に広がった末広がり状の形状をしたV字状に形成された一対の接着部は、カートン本体の短辺側に設けられており、また、前記取出口の他方の一対の相対向する側部に相対向して設けられた一対の接着部は、カートン本体の長辺側に設けられたものである、請求項1または2に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項4】
前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状に形成された一対の接着部は、それぞれの少なくともV字状の形状の開放始点において不連続部が形成されたものである請求項2または3に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項5】
前記ウインドウフィルムを貼り付けるために形成されたV字状の形状の開放始点において形成された不連続部の形状が、カートン本体の外形をなす長方形の短辺に対して、平行、或いは、垂直に、又は、所定の角度をもって、当該接着部分を切り取った形状をしたものである請求項4に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項6】
前記不連続部の形状が少なくとも、複数の不連続部から形成された物である請求項5に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項7】
前記ウインドウフィルムを貼り付けるために前記長辺側に設けられた一対の接着部が、少なくとも一部に不連続部が形成されているか、或いは、一部が他の部分の幅に比較して狭いものである請求項3に記載の衛生用紙収納用カートン。
【請求項8】
前記ウインドウフィルムが、前記衛生用紙を取り出すためのスリットが形成されたものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の衛生用紙収納用カートン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−247446(P2008−247446A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92993(P2007−92993)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
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