説明

衛生設備室の収納構造

【課題】
内容物に変化を生じさせることなく容器を室内に安定して収納できて、サウナ入浴時等の容器の室外への出し入れ作業を不要とし得る衛生設備室の収納構造を提供する。
【解決手段】
室内を暖房する暖房手段と、室内に設けられ内容物が収容された容器を収納する収納手段と、暖房手段が作動している時に収納手段に収納されている容器を冷却し得る冷却手段と、を備える。前記冷却手段は、収納手段もしくはその近傍に設けた噴出孔から冷却水もしくは冷気を噴出させて容器を冷却し、前記収納手段は、前面に開口を有する凹部形状、棚板を有する棚形状、開閉可能な蓋体を有するボックス形状等で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムバスルーム等の衛生設備室の収納構造に係わり、特に内容物が収容された容器を室内に安定して収納可能な衛生設備室の収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、システムバスルーム等の浴室においては、洗い場側の壁パネルにミラーが取り付けられると共に、このミラーの近傍等に収納棚が設置されている場合が多い。また、この種の浴室の場合、健康ブームにより、洗い場のカウンター内部や天井裏等に暖房装置を設置し、浴室内を例えば温度が45℃程度のサウナ状態として入浴することが増えている。従来、このような浴室におけるサウナ入浴の場合に、浴室内の収納棚に収納された収納物は、浴室内から脱衣場等に出した状態で行われているのが実情である。なお、浴室の収納棚に関する文献としては、例えば特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2001−204556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような浴室の収納棚においては、サウナ入浴時の浴室内の温度により、収納棚に収納されるシャンプーやスプレー缶等の容器の表面温度が高くなってその内容物に変化が発生する虞があること等から、前述したようにサウナ入浴時に、これらの容器を浴室内から一旦浴室外に出して入浴することが行われており、そのため、この容器の浴室に対する出し入れ作業が面倒となり易い。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、内容物に変化を生じさせることなく容器を室内に安定して収納でき、サウナ入浴時等の容器の室外への出し入れ作業を不要とし得る衛生設備室の収納構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、室内を暖房する暖房手段と、前記室内に設けられ内容物が収容された容器を収納する収納手段と、前記暖房手段が作動している時に前記収納手段に収納されている容器を冷却し得る冷却手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
そして、前記冷却手段は、請求項2に記載の発明のように、収納手段もしくはその近傍に設けた噴出孔から冷却水もしくは冷気を噴出させて容器を冷却することが好ましい。また、前記収納手段は、請求項3に記載の発明のように、前面に開口を有する凹部形状、棚板を有する棚形状、開閉可能な蓋体を有するボックス形状のいずれかであることが好ましく、また、前記冷却手段は、請求項4に記載の発明のように、温度センサにより検出された室内の検出温度が予め設定した基準温度となった際に作動することが好ましい。さらに、請求項5に記載の発明のように、前記衛生設備室が浴室であり、該浴室のカウンターエプロン、バスタブエプロン、壁パネルの少なくとも一つに前記収納手段が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、室内を暖房する暖房手段が作動している時に、室内の収納手段に収納されている容器が冷却手段により冷却されるため、サウナ入浴時等に冷却手段により容器を冷却できて、サウナ入浴時等の容器の室外への出し入れ操作を不要とすることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、冷却手段が収納手段もしくはその近傍に設けた噴出孔から冷却水か冷気を噴出して容器を冷却するため、冷媒としての冷却水や冷気を使用して、収納手段に収納されている容器を簡単かつ効率的に冷却することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、収納手段が凹部形状、棚形状、ボックス形状のいずれかであるため、各種形状の収納手段を室内の適宜位置に設けることができて、各種衛生設備室に簡単に適用可能な収納構造を得ることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、温度センサにより検出された室内の検出温度が予め設定した基準温度となった際に冷却手段が作動するため、温度センサの設置という簡易な構成により、容器内の内容物の温度上昇による変化が始まる前に容器を確実に冷却することができる。
【0011】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4に記載の発明の効果に加え、収納手段が、浴室のカウンターエプロン、バスタブエプロン、壁パネルの少なくとも一つに設けられているため、浴室の洗い場周囲の適宜位置に収納手段を配置できて、該浴室内に容器を収納したままでサウナ入浴等が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明に係わる衛生設備室の収納構造の一実施形態を示し、図1が該収納構造を採用した浴室の斜視図、図2がそのカウンター部分の拡大図、図3が収納部の縦断面図、図4が蒸気発生装置と収納部等の接続状態の説明図、図5が収納部の設置状態の変形例を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、システムバスルーム等の浴室1は、防水パンの外周縁上に載置された4枚の壁パネル2a〜2d(壁パネル2dは図示せず)と、該壁パネル2a〜2d上に載置された例えばドーム形状の天井パネル3等によって略箱状に形成され、前記防水パンの壁パネル2a側にはバスタブ4が設置されると共に、このバスタブ4の側方の防水パン上には洗い場5が設けられている。また、洗い場5の壁パネル2b側にはカウンター6が設置され、このカウンター6上方の壁パネル2bには、水栓8、シャワー9、ミラー10及び複数枚の棚板11aを有する収納棚11等が一体的に組み込まれたミラーパネル7が設置されている。
【0014】
前記カウンター6は、その内部に暖房装置としての蒸気発生装置12が設置されると共に、カウンターエプロン6aの下部には吹出口13が設けられている。また、カウンターエプロン6aの吹出口13の例えば右側方には、本発明に係わる収納手段としての収納部14が配置されている。この収納部14は、図2及び図3に示すように、例えば樹脂成形によって形成された左右の側壁14a、上面壁14b、水勾配を有する底面壁14c及び背面壁14dとで前面側に開口14eを有する凹部形状とされ、内部の高さ方向の略中間位置には金網や板体からなる棚板14fが着脱可能に配置されている。また、収納部14は、その開口14eの全周にフランジ14gが一体形成され、このフランジ14gがカウンターエプロン6aの開口15の外周に浴室1内側から当接しつつシールされて固着されることにより、開口14eが洗い場5に開口した状態、すなわちカウンターエプロン6aに埋設状態で配置されている。
【0015】
そして、この収納部14の側壁14aと上面壁14bの開口14e側には、図4に示すように、正面視で略コ字状に形成された噴出管16が配置され、この噴出管16の各壁14a、14bに対応する部分には収納部14の内側(斜め後方で背面壁14d側)に向けて噴出孔16a(図3参照)が複数個ずつ穿設されている。この噴出孔16aが穿設される噴出管16は、電磁弁17を介して水道配管等の給水源18に接続され、電磁弁17にはコントローラ19が接続されている。
【0016】
また、コントローラ19には、収納部14の内側の適宜位置に配置された熱電対等の温度センサ20が接続されると共に前記蒸気発生装置12の制御部12aが接続されている。この噴出孔16aを有する噴出管16、電磁弁17、コントローラ19及び給水源18等により直接的な本発明の冷却手段が形成されている。なお、この例では、噴出管16をコ字状に形成して収納部14の側壁14aと上面壁14b部分に配置したが、例えば上面壁14b部分にのみ配置しても良いし、ロ字状に形成して収納部14の開口14e全周に配置するようにしても良く、また、噴出管16を各壁14a〜14cに突出状態ではなく埋設状態で配置することもできる。
【0017】
前記蒸気発生装置12は、フィン上部に湯水が放散されることにより蒸気を発生させることが可能な図示しない熱交換器や送風ファンと、これらを制御する制御部12a等を有している。そして、この蒸気発生装置12は、例えばカウンターエプロン6aの吹出口13から湿った温風である蒸気を吹き出すことにより、浴室1内をサウナ状態にしたり、蒸気を発生させずに乾いた温風を吹出口13から炊き出すことにより、浴室1内を乾燥したドライ暖房状態に設定し得るように構成されている。なお、前記コントローラ19は、蒸気発生装置12の前記制御部12aと別体で形成することもできるが、制御部12aに一体的に組み込んで、その構成の簡素化を図ることも勿論可能である。
【0018】
そして、この蒸気発生装置12の作動状態に係わる信号が制御部12aからコントローラ19に入力されることにより、電磁弁17がコントローラ19からの開閉信号により開閉制御され噴出管16を介して冷媒としての冷却水が収納部14内に散水されるようになっている。すなわち、蒸気発生装置12の制御部12aに接続されたリモコン等(図示せず)の操作により浴室1内の運転状態がサウナ状態に設定されると、蒸気発生装置12が作動して吹出口13から蒸気が浴室1内に炊き出されると共に、蒸気発生装置12の作動と同時(もしくは所定時間後)に制御部12aから蒸気発生装置12の作動信号がコントローラ19に出力される。
【0019】
コントローラ19は、制御部12aから蒸気発生装置12の作動信号が入力されると、温度センサ20の検出温度を該コントローラ19に予め設定してある基準温度と比較して、検出温度が基準温度以上になった際に、電磁弁17に開信号を出力して該電磁弁17を開く。なお、コントローラ19に記憶される基準温度は、浴室1内で使用されるシャンプーやスプレー管等の容器21(図2参照)の内容物に熱膨張や性能劣化等の変化が生じない例えば40℃程度が使用される。
【0020】
そして、コントローラ19の開信号により電磁弁17が開くと、給水源18から冷却水(水道水)が噴出管16に供給されて、該噴出管16の噴出孔16aから図2及び図3の矢印イの如く収納部14内に散水(噴出)され、この冷却水の収納部14内への散水により、冷却水が収納部14内に収納されている容器21の外表面に直接浴びせられて冷却される。この時、噴出管16の噴出孔16aが収納部14の各壁14a、14b(もしくは各壁14a〜14c)に対応して複数設けられていることから、冷却水が収納部14内に効果的に散水されて、容器21の外周面全域を良好に冷却することができる。この冷却水による容器21の冷却により、サウナ状態によって浴室1内の温度が45℃程度になった場合でも、収納部14内の温度は40℃程度に維持され、容器21内の内容物の温度上昇による前述した変化が防止されることになる。
【0021】
つまり、浴室1内に配置される凹部形状の収納部14内の温度が基準温度以上となった際に、噴出孔16aを有する噴出管16、電磁弁17、コントローラ19等からなる直接冷却手段が作動することにより、収納部14内に冷却水が散水されて容器21に直接浴びせられて該容器21が冷却され、容器21の内容物の変化等が防止されることになる。なお、直接冷却手段は、サウナ状態時の作動に限らず、蒸気発生装置12が作動して浴室1内が乾いた温風で暖房されるドライ暖房状態の時にも作動して収納部14内に散水されるようになっている。
【0022】
ところで、以上の説明においては、噴出管16が設けられた収納部14をカウンターエプロン6aの右側部に配置する例について説明したが、この収納部14を例えばカウンターエプロン6aの左側部に配置したり、あるいは図5に示すようにバスタブエプロン4aに配置することもできる。このバスタブエプロン4aに配置する場合は、バスタブエプロン4aのカウンター6側に前記開口15と同様の開口を設け、この開口裏側の空間を利用しつつ収納部14の前記フランジ14gをバスタブエプロン4aの表面に当接してシールしつつ固定することにより、開口14eが洗い場5側に開口した状態で収納部14が配置される。この例の収納部14も、カウンターエプロン6aに配置した収納部14と同様に動作して、内部に収納されている容器21が散水される冷却水で直接冷却されることになる。
【0023】
このように、上記実施形態の収納構造にあっては、浴室1内をサウナ状態やドライ暖房状態とし得る蒸気発生装置12が作動している時に、直接冷却手段が作動して噴出管16の噴出孔16aから冷却水が収納部14内に散水されるため、収納部14に収納されている容器21を冷却水により直接冷却することができて、内容物に温度上昇による変化を生じさせることなく容器21を浴室1内の収納部14に安定収納した状態で、サウナ入浴や暖房入浴を行うことができ、これらの入浴の際に従来のように容器21を一々浴室1外に取り出す必要がなくなる。
【0024】
また、蒸気発生装置12が作動した状態で、かつ収納部14の温度が基準温度以上となった際に、収納部14内に散水する電磁弁17や噴出管16、コントローラ19等からなる直接冷却手段が作動するため、所定温度以上の収納部14内に直接冷却手段により冷却水を確実に散水することができる。これらのことから、浴室1内での容器21の温度上昇による内容物の溢れ等の変化を防止することができると共に、入浴者がサウナ入浴中等に内容物の変化等に気を配る煩わしさがなくなり、サウナ入浴等を快適に行うこと等が可能となる。
【0025】
また、収納部14の各壁14a、14b等に噴出孔16aを有する噴出管16を配置して、この噴出管16を電磁弁17を介して浴室1に引き込まれる水道配管等の配管(給水源18)に接続するだけで直接冷却手段を浴室1内に配置できて、直接冷却手段の構成を簡略化することができると共に、冷媒としての冷却水を収納部14内に効果的に散水させることができる。特に、収納部14を前面のみが開口する凹部形状に形成して、噴出管16の噴出孔16aを収納部14の各壁14a、14b等の開口14eに斜め後方(背面壁14d側)に向けて設けていることから、この噴出孔16aから散水される冷却水を容器21の外面全域に効率的に直接浴びせて容器21を効果的に冷却することができる。
【0026】
さらに、噴出管16の噴出孔16aが収納部14の後方側(背面壁14d側)に向けて設けられると共に、この噴出孔16aから散水された冷却水が水勾配を有する底面壁14cから洗い場5上に自然に排水されるため、収納部14内に散水されて容器21の冷却に使用される冷却水を、収納部14の各側壁14a〜14dや容器21の外周面の洗浄水としても使用でき、直接冷却手段の作動により収納部14自体や容器21自体を洗浄できて、これらに洗い場5で使用した石けん泡等の付着のない常に清潔な状態を維持することが可能となる。
【0027】
また、収納部14がカウターエプロン6aやバスタブエプロン4aに配置されているため、洗い場5に座っている入浴者が収納部14内の容器21を簡単に出し入れできて、該容器21の使い勝手の向上を図ることができると共に、容器21内の内容物の変化が防止されることにより、内容物の温度上昇による特性(性能)劣化等を防止した状態で容器21を所定期間浴室1内に安定収納できて、内容物を最後まで使用することが可能となる。
【0028】
図6〜図12は、本発明に係わる収納構造の他の実施形態を示している。以下、上記実施形態と同一部位には、同一符号を付して説明する。先ず、図6に示す収納構造の特徴は、収納手段として例えばミラーパネル7に設けた収納棚23を使用し、この収納棚23に直接冷却手段を配置した点にある。すなわち、ミラーパネル7の例えばミラー10の右側方下部に棚面23aが平面視半円弧形状の収納棚23を設け、この収納棚23の棚面23a外周縁部に、内部に冷却水流路が形成された容器落下防止堰24を設けると共に、この容器落下防止堰24に噴出孔24aを穿設する。また、容器落下防止堰24の冷却水流路に電磁弁17を接続すると共に、棚面23a後方側に温度センサ20を配置する。
【0029】
そして、この収納棚23によれば、蒸気発生装置12が作動した状態で、温度センサ20が基準温度以上になると、コントローラ19の開信号により電磁弁17が開いて、噴出孔24aから棚面23a上に冷却水が矢印イの如く散水されて、棚面23a上に収納されている容器21に直接浴びせられて該容器21が冷却される。これにより、容器21の内容物の変化等が防止され、上記実施形態の収納部14と同様の作用効果を得ることできる他に、収納棚23の容器落下防止堰24を前記噴出管16代わりに使用できて、該防止堰24の有効利用が図れることになる。なお、この例の場合、容器落下防止堰24の例えば後端部には、図示しない排水部が設けられており、この排水部から散水された冷却水が下方のカウンター6上に流下するように構成されている。
【0030】
また、図7に示す収納構造の特徴は、収納手段としてミラーパネル7に設けられ左右一対の支持部材25で支持された前記収納棚11のうちの所定の棚板11aを使用し、この棚板11aの上部のミラーパネル7(もしくは壁パネル2b)に、多数の噴出孔26aを有するシャワーノズル26を配置した点にある。すなわち、ミラーパネル7にシャワーノズル26を取り付け、このシャワーノズル26に電磁弁17を介して給水源18を接続すると共に、棚板11aの後方のミラーパネル7に温度センサ20を配置する。
【0031】
そして、温度センサ20による検出温度が基準温度以上の場合に、コントローラ19の開信号により電磁弁17が開いて、給水源18からシャワーノズル26に冷却水が供給され、この冷却水がシャワーノズル26から矢印イの如く散水されて、冷却水が棚板11a上に収納されている容器21に直接浴びせられて該容器21が冷却される。これにより、容器21の内容物の変化等が防止されて、上記実施形態の収納部14と同様の作用効果を得ることができる他に、既存の棚板11a等であっても簡単に適用できることになる。なお、この例の棚板11a上に散水された冷却水は、棚板11aの前端両側に形成された切欠き27部分から下方のカウンター6上等に流下するようになっている。
【0032】
さらに、図8及び図9に示す収納構造の特徴は、収納手段を収納ボックス28で形成し、この収納ボックス28をカウンター6上方の壁パネル2bの前面に突出状態で配置した点にある。すなわち、収納ボックス28は、図9に示すように、上面に開口28bを有する本体部28aと、この本体部28aの開口28bを閉塞する蓋体28c等で形成すると共に、本体部28aや蓋体28cに断熱効果を持たせることでクーラボックスのように形成し、この収納ボックス28を壁パネル2b前面の適宜位置に固着手段で固定して浴室1内に配置する。そして、本体部28aの側壁に設けた孔に、電子弁17が接続された噴出管29を嵌挿させその先端の噴出孔29aを本体部28a内に開口させると共に、本体部28a内に温度センサ20を配置し、また、本体部28aの側壁(もしくは底壁)に排水口30を形成する。
【0033】
この収納ボックス28によれば、温度センサ20による検出温度が基準温度以上となった際に、コントローラ19の開信号により電磁弁17が開いて、噴出管29から収納ボックス28の本体部28内に冷却水が矢印イの如く放水(散水)され、この冷却水が本体部28a内に収納されている容器21に直接浴びせられて該容器21が冷却される。これにより、容器21の内容物の変化等が防止されて、上記実施形態の収納部14と同様の作用効果を得ることができる他に、収納ボックス28自体が断熱効果を有することから、蓋体28cを閉じた容器21の収納状態において浴室1内の温度の影響を受けることが少なくなって、本体部28a内の温度上昇が抑制され、容器21を所定温度以下に安定して収納できると共に、電磁弁17の開動作回数(放水回数)を少なくできることになる。
【0034】
なお、この収納ボックス28を使用した場合、本体部28aを壁パネル2bの表面に突出状態で配置する例に限らず、例えば壁パネル2bにミラーパネル7を有する場合は、このミラーパネル7にその裏面側の空間を利用して完全(もしくは略半分)埋め込み状態で配置したり、あるいは図8の二点鎖線で示すように、カウンターエプロン6aやバスタブエプロン4aのその裏面側に所定の空間が存在する適宜位置に完全埋め込み状態で配置することもできる。この埋め込み(埋設)状態で配置する場合には、開口28bが浴室1内に向きかつ蓋体28cが浴室1方向に開放できる構成に設定される。
【0035】
また、この収納ボックス28においては、本体部28a内に冷却水を放水したが、例えば図10に示すように、噴出管29が接続される電磁弁17に冷風ファン31を接続し、この冷風ファン31の作動を温度センサ20と蒸気発生装置12の作動状態によってコントローラ19で制御するようにしても良い。このように構成すれば、冷媒として冷気(冷風)を収納ボックス28内に噴出させて容器21に直接浴びせて該容器21を冷却することができる。この場合、送風ファン31としては例えば浴室1外に配置した換気ファン等を兼用でき、この例においても、収納ボックス28内の容器21を冷気で冷却できて、図9に示す例と同様の作用効果が得られる他に、収納ボックス28からの排水等に気を配る必要がなくなる。
【0036】
さらにまた、図11及び図12に示す収納構造の特徴は、収納手段として壁パネル2b(あるいはミラーパネル7)に設けた棚板32aとカバー32bを有する収納棚32を使用し、この収納棚32の棚板32aとカバー32b内に間接冷却手段を構成する冷却水流路33a、33bをそれぞれ形成した点にある。すなわち、壁パネル2bの所定位置に棚面が半円弧形状の棚板32aを配置すると共に、この棚板32aの外周鍔部上に透明なアクリル板等からなるカバー32bを着脱可能に配置する。
【0037】
この時、棚板32aの内部には冷却水流路33aが形成されて、その一端が電磁弁17に接続されその他端がカバー32bの冷却水流路33bの一端に接続されると共に、カバー32bに設けた冷却水流路33bの他端が例えば棚板32aの後部下面に設けた排水口34に接続されている。これにより、棚板32aの冷却水流路33aとカバー32bの冷却水流路33bが直列状態で接続され、電磁弁17が開いて給水源18から供給される冷却水が、棚板32aの冷却水流路33aとカバー32bの冷却水流路33bを流れて排水口34からカウンター6上(もしくはカウンター6下方の防水パン上)に排水されるようになっている。
【0038】
この例の収納棚32によれば、収納空間35となるカバー32b内の空気(容器21の周囲空気)の温度が基準温度以上となった場合に、コントローラ19の開信号により電磁弁17が開いて、前述したように棚板32aやカバー32bの各冷却水流路33a、33b内に冷却水が流通して、棚板32aとカバー32bの内側の略密閉された収納空間35の空気が冷やされる。この収納空間35の空気が冷やされることにより、棚板32a上に収納されている容器21が間接的に冷却されて内容物の変化等が防止されることになり、上記実施形態の収納部14と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
なお、本発明は、上記した各例のそれぞれに限定されるものではなく、例えば図7の収納棚に図6に示す構造を適用して、二点鎖線で示すように、収納棚11の支持部材25内に冷却水を流してその噴出孔から棚板11a上に冷却水を散水しても良いし、図11の収納棚32において図10に示す構造を適用して、棚板32aやカバー32b内に冷気を流通させたり、あるいは棚板32aとカバー32bで形成される略密閉した収納空間35に冷気を直接供給する等、各例の全部もしくは一部を適宜に組みあわせることができる。また、本発明に係わる冷媒としては、冷却水や冷気の他に冷蔵庫に使用される冷却ガス等の適宜の冷媒を使用することができるし、冷却水や冷気等の噴出方向も、噴出管16に設けられる噴出孔16a等の噴出方向を適宜に設定することで、所望方向に設定することができる。
【0040】
また、上記実施形態においては、収納手段をミラーパネル7あるいはカウンター6上方の壁パネル2bに配置する場合について説明したが、例えば洗い場5周囲の適宜の壁パネル2c、2dに適宜の収納手段を配置することができる。さらに、上記実施形態においては、蒸気発生装置12をカウンター6内部に設置する場合について説明したが、例えば図1の二点鎖線で示すように、蒸気発生装置12を天井パネル3に設置する浴室1にも適用できるし、浴室1の形態や収納手段の形状及び配置位置、浴室1内を暖房する暖房手段等の構成も一例であって、例えば暖房手段として蒸気を発生させない暖房器を使用する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、衛生設備室としてのシステムバスルーム等の浴室に限らず、洗面室ユニットやトイレユニット、シャワーユニット等の各種衛生設備室にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係わる収納構造を適用した浴室の斜視図
【図2】同そのカウンター部分の斜視図
【図3】同その収納部の縦断面図
【図4】同蒸気発生装置と収納部等の接続状態の説明図
【図5】同その変形例を示すバスタブエプロン部分の斜視図
【図6】本発明に係わる収納構造の他の実施形態を示す斜視図
【図7】本発明に係わる収納構造のさらに他の実施形態を示す斜視図
【図8】本発明に係わる収納構造のさらに他の実施形態を示す斜視図
【図9】同その収納部の斜視図
【図10】同収納部の変形例を示す斜視図
【図11】本発明に係わる収納構造のさらに他の実施形態を示す斜視図
【図12】同その縦断面図
【符号の説明】
【0043】
1・・・浴室、2a〜2d・・・壁パネル、4・・・バスタブ、4a・・・バスタブエプロン、6・・・カウンター、6a・・・カウンターエプロン、7・・・ミラーパネル、11・・・収納棚、11a・・・棚板、12・・・蒸気発生装置、12a・・・制御部、13・・・吹出口、14・・・収納部、14e・・・開口、16・・・噴出管、16a・・・噴出孔、17・・・電磁弁、18・・・給水源、19・・・コントローラ、20・・・温度センサ、21・・・容器、23・・・収納棚、24・・・容器落下防止堰、24a・・・噴出孔、25・・・支持部材、26・・・シャワーノズル、26a・・・噴出孔、28・・・収納ボックス、29・・・噴出管、29a・・・噴出孔、31・・・冷風ファン、32・・・収納棚、32a・・・棚板、32b・・・カバー、33a、33b・・・冷却水流路、35・・・収納空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を暖房する暖房手段と、前記室内に設けられ内容物が収容された容器を収納する収納手段と、前記暖房手段が作動している時に前記収納手段に収納されている容器を冷却し得る冷却手段と、を備えることを特徴とする衛生設備室の収納構造。
【請求項2】
前記冷却手段は、収納手段もしくはその近傍に設けた噴出孔から冷却水もしくは冷気を噴出させて容器を冷却することを特徴とする請求項1に記載の衛生設備室の収納構造。
【請求項3】
前記収納手段は、前面に開口を有する凹部形状、棚板を有する棚形状、開閉可能な蓋体を有するボックス形状のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の衛生設備室の収納構造。
【請求項4】
前記冷却手段は、温度センサにより検出された室内の検出温度が予め設定した基準温度となった際に作動することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の衛生設備室の収納構造。
【請求項5】
前記衛生設備室が浴室であり、該浴室のカウンターエプロン、バスタブエプロン、壁パネルの少なくとも一つに前記収納手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の衛生設備室の収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−325896(P2006−325896A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153235(P2005−153235)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】