説明

衝撃レンチによるねじ締結軸力制御法

【課題】従来からねじの締結軸力制御としてトルク法等の管理方法がある。トルク法は、トルク係数の推定を必要とし、算出された軸力値も推定値となる難点をもつ。衝撃レンチを用い衝撃力が生成する軸力を算出して直接軸力を制御する方法を提供する。
【解決手段】ねじ締結の軸力制御に使用する直交座標軸の原点Oから45度線を設定し、i番目の衝撃が発する衝撃進行点Hiが45度線上に検出され、線分OHiの長さHSiを読み取り、式、Fi=HSi×cos45°を用いてi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃レンチを用いるねじ締結において衝撃時に発生する衝撃情報の利用に重点をおき、ねじ締結体の軸力値を制御する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ねじ締結制御の第一の課題は、締結体設計の設定軸力の下限を下回ることなく、上限を上回ることがない締結体の構成にある。しかし、現状ではそのような技術の存在は公開されていないといえる。
現在、公知のねじ締結の軸力制御方式は、特殊なものを除けばJIS B1083「ねじの締付け通則」にある条件付きトルク法を主流に、ねじ回転角法、トルク勾配法の三つの方法が提起されている。しかし現実に実行が普及しているのはトルク法のみと言える状況である。
ねじ回転角法は、実施方法の標準化が未開発で、また用具の発達も見られない。トルク勾配法は、設備上の難点を持ち、一般的な採用は発展していない。
普及しているトルク法も締め付けトルク値の制御はできても、締結軸力の制御は一部の職場をのぞき信頼性のある制御法に成長していないのが現状である。その理由は、トルクと軸力とは比例関係にあるが、その比例定数であるトルク係数は締結面の摩擦係数を主要素として算出されるからである。現時点では、締結体の締結時点の摩擦係数の真実値を知ることは不可能といえる。
従ってトルク法は締結体のトルク係数を知り、それを管理することの条件下で実施されるべきものとされている。それゆえにトルク法制御の信頼性は、トルク係数の管理体制が完備されたねじ締結職場に制約されているといえる。
結論として、トルク係数の維持管理体制下のトルク法ねじ締結か、超音波ボルト軸力計を併用するねじ締結以外は、信頼できるねじ締結の軸力制御の実行は不可能とされるのが現状といえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機械文明の発達は止まることなく、その安全性の確保は最重要事である。その基盤となる重要な課題のひとつに、信頼性が高くかつ簡単に実行できるねじ締結の軸力制御方法の開発がある。
静力ねじ締結(静的な力によるねじ締結)の軸力制御の進歩は停滞状態にあり、発明者らはメカトロ型衝撃レンチによるねじ締結軸力制御にその可能性を実験検索することにした。
従来、衝撃レンチは制御性に欠けるものと評価され、それが最大の欠点とされてきた。発明者らはメカトロ型衝撃レンチを用いて一連の実験を行い、衝撃力が生成するねじ締結軸力とその衝撃力が発する衝撃情報(軸力制御衝撃情報)を計測し、必要な加工も行い、それらの間の関連を検討した。その結果、衝撃レンチ側のセンサが採取できる衝撃情報と軸力との関連は充分に有意であり正確であることが判明した。
【0004】
衝撃レンチによるねじ締結軸力制御の挙動は、衝撃レンチ側とねじ被締結部材側の瞬間的結合(1000分1秒以内)とエネルギー伝達から成り立ち、第三者が関与することはできないと言える。つまり締め付け挙動に独立性と孤立性がある。これが源となって反力は微小となり、手持ちで大トルクの締め付け作業を可能にする。
また衝撃の瞬間性質がデジタル計測で読み取ることができ、本発明が目指す締結体の現実に即応した正確な軸力値の締め付けを可能にした。
つまり、衝撃現象は求めるデータを同時発生し、既成事実として与えられる。衝撃力の性質は演繹的な理解に馴染まない部分をもち、帰納法的理解を必要とするところである。
【0005】
(衝撃情報の説明)
一連の実験が示すデータは、衝撃によるねじ軸力の発生と、それに伴い同時に発生する次に述べる(1)から(10)までの10個の衝撃情報である。
(1)入力エネルギー(E):衝撃レンチの衝撃作用によりねじ締結体に与える
衝撃エネルギー。衝撃回転体の衝撃前後の角速度と
慣性モーメントとから算出。単位:[J]
(2)動的トルク(T):衝撃レンチの衝撃作用によりねじ締結体に与えるトルク。
衝撃回転体の衝撃角加速度(減速度)と慣性モーメント
とから算出。単位:[N・m]
(3)ねじ回転角(全)(A):ねじ回転角(伸)(a)とねじ回転角(縮)との和。
単位:[度]
ねじ回転角(伸)とは、ねじ系の伸びによって発生する
ねじ系の回転角度。
ねじ回転角(縮)とは、被締結部材の縮みによって発生
するねじ系の回転角度。
但しねじ系とは、ボルトとナットまたはそれに代わるめねじ
との組み合わせのシステムを指す。
(4)交点Pi座標値(pxi,pyi):使用する直交座標系座標平面に設けた45度線
と衝撃線との交点Piの座標値。
(5)計測時間(t) :ねじ締結開始時点からの経過時間。単位:[cs]。
“cs”はセンチセカンド(100分の1秒)を表わす。
(6)正転時間(t’) :計測時間からリバウンド時間を差し引いた時間。
単位:[cs]
(7)正転時間比(r):(正転時間)/(計測時間)
(8)衝撃点(M) :衝撃ごとにX軸上に検出される位置のこと。この衝撃点を
通って縦軸と平行な衝撃線を引くことができる。
(9)リバウンド角度(R):衝撃レンチの衝撃作用の後に回転円筒部材(衝撃回転体)
がリバウンドする角度。単位:[度]
但し回転円筒部材とは、モータによって回転し、被駆動軸(ア
ンビル)側に衝撃力を与える部材。
(10)パルス数 :後述の発明を実施するための最良の形態及び図3に示したパル
ス信号のことである。この検出したパルス信号を基にして入力
エネルギー、ねじ回転角(全)、計測時間、正転時間等を求め
ることができる。
【0006】
各情報の計算式は下記のとおりである。
E=1/2×I×((ωm)2−(ωn)2
T=I×(ωm−ωn)/|tm−tn
A=360×((ねじ系の伸び長さ)+(被締結部材の縮み長さ))/(ねじの
ピッチ)
ここで、I,ωm,ωn,tm,tn は下記の内容を示す。
I:図1に示したインパクトレンチ等の衝撃レンチの回転円筒部材とロータの
慣性モーメントを合計した値。
ωm:図13(a)、(b)に示した回転円筒部材が被駆動軸に衝撃を与える
直前の角速度。
ωn:図13(a)、(b)に示した回転円筒部材が被駆動軸に衝撃を与えた
後の角速度のバレー値。リバウンドが発生する場合はωn=0とする。
m:図13(a)、(b)に示した回転円筒部材の角速度がωmの時の計測時間。
n:図13(a)、(b)に示した回転円筒部材の角速度がωnの時の計測時間。
なお、入力エネルギー(E)、ねじ回転角(全)(A)、計測時間(t)、正転時間( t’)、及び軸力(F)は、ねじ締結開始時点からの累計値を指す。また、動的トルク (T)、交点Pi座標値(pxi,pyi)、リバウンド角度(R)は、1回の衝撃ごとの 値を指す。また、衝撃レンチによるねじ締結においては衝撃は間歇的に発生するため、 リバウンド発生時点からの衝撃順序を添え字iで示す。
【0007】
さらに、請求項7で述べる出力エネルギーE0とは、衝撃レンチの衝撃作用によりねじ締結体が受け入れたエネルギーで、ねじ締結開始時点からの累計値を指す。単位[J]
出力エネルギーの計算式は下記のとおりである。
0=1/2×C×K×a2
ここで、C、K、aは、下記の内容を示す。
C:C=(ねじのピッチ)/360で表わされ、ねじ系の変形量としての
ねじ回転角(伸)(a)に回転角度を使ったことによる換算係数である。
K:“ねじのばね定数”と呼び、K=(軸力)/(ねじ回転角(伸))で
表わされ、ねじ締結体のねじ系に働く軸力[kN]の、
ねじ回転角(伸)[度]に対する比。
【0008】
(1)使用する座標軸について
請求項1乃至7に使用する座標軸は、直交座標系の座標平面の横軸に軸力を示す単位としての(kN)が目盛られ、縦軸に軸力制御衝撃情報を示す単位としての時間(cs)・回転角度(度)・エネルギー(J)・トルク(N・m)が目盛られていて、横軸と縦軸の単位長さが等しく定められたものである。
(2)45度線について
使用する座標軸の原点を通り横軸とのなす偏角が45°である直線を45度線と呼び、軸力と衝撃情報との比を求めるためのものである。横軸と縦軸の単位長さが等しく定められているため、45度線上の点のX座標とY座標の値は等しくなる。
このことは、ねじ締結の原理である下記(4)に示すねじ締結の締め付け三角形線図の働きを衝撃締め付けに応用したもので、ねじ締結体のねじ側と被締結部材とは授受したエネルギーが等しいことを表わすものである。
この45度線によって、使用する座標軸の原点と衝撃点と交点Pとで構成する直角二等辺三角形が形成される。
そしてこの直角二等辺三角形を用いることで、軸力制御を行う上で正常な締め付けの進行か異常締め付け(芯ズレ、ねじ系または被締結部材の変形、異物のかみ混み等)を判別でき、ねじ締結の品質確保と作業の簡便化を実現することが可能となる。なお、45度線については今後業界は研究を進めていく必要がある。
(3)ねじのばね定数偏角線(α線)について
使用する座標軸の原点を通り横軸とのなす偏角がαである直線をねじのばね定数偏角線またはα線と呼ぶ。ただし、α=tan-1((ねじ回転角(伸)/軸力))であり、この偏角αをねじのばね定数偏角と呼ぶ。
(4)ねじ締結の締め付け三角形線図について
ねじ締結の締め付け三角形線図(以下、締め付け三角形という。)は、ねじ締結の力学的構造の基本原理である。その信頼性の基は、締め付け三角形の半身はねじのばね定数であるということである。ねじのばね定数は、ねじ締結から独立した存在で、ボルトなどのねじがもつ定数である。
ねじ締結の軸力制御において軸力値の算出の基本は、この定数とねじ回転角(伸)との積で求める。
(5)衝撃性スナグ点と初期非比例域について
衝撃性スナグ点とは、衝撃締め付けによる軸力制御において、締結体の着座点と認定する点である。被駆動軸を打撃するハンマ部材は、着座した時点からリバウンドを伴い、そして衝撃軸力制御をはじめることができる。
図9、10における打撃番号1の点がこれに該当する。なお、リバウンド開始時点からその次の打撃によるねじの回転終了時点までを1つの打撃としているため、打撃番号1の打撃によって発生するリバウンド角度は打撃番号2の欄に記載してある。また、ねじ締結開始から衝撃性スナグ点までは初期非比例域とよび、この間はねじ締結の安定性が低いため、図9、10においてはデータの記載を省略してある。
(6)衝撃情報と衝撃線について
使用する座標軸においては、その第一象限に各打撃における衝撃情報の全てを検出することも、そのうちのいくつかを検出することも可能である。
そして、そのどちらの場合にも、その衝撃における衝撃情報の各検出点はいずれも衝撃点から縦軸に並行に引かれた衝撃線上に位置する。
【0009】
衝撃レンチの衝撃時間は前述したように微小であり、軸力と10個の衝撃情報は同時発生現象として取り扱うことができる。
これらの情報は、軸力の発生と同時でまた一体として現れる。しかし各々個別の明確な値をもち個性をもつ。正転時間比(r)以外は演繹の関係はない。
図5は、ある衝撃点(M)から引いた衝撃線L上に位置する衝撃情報と、軸力、偏角の関係を極座標的に示したものであり、衝撃ねじ締結基本図と言える。
この図において、衝撃ねじ締結と静力ねじ締結とは、その性格に明確な差をもつことが認められる。
静力ねじ締結は、締め付けデータと軸力との間の関係式に推定的比例係数を必要とする。これに対し衝撃ねじ締結データは、衝撃という自然現象の結果その値が生まれたもので、人為的な関与は受け入れることができない。それゆえに衝撃軸力は自然がもつ正確性をもつ。
【0010】
本発明は衝撃力の特性を用い、何らの推定制御比例係数を用いず、ねじ締結軸力を読み取り、既存の制御法に比べ正確性、能率性、経済性に勝ることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明では、
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oから45度線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃進行点Hiが45度線上に検出される手順と、
線分OHiの長さHSiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいる。
i=HSi×cos45°

請求項2の発明では、
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oから45度線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃進行点Hiが45度線上に検出され、HiのX座標の値hxiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいる。
i=hxi

請求項3の発明では、
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oから45度線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
45度線と衝撃線との交点Piを求め線分OPi の長さPSiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいる。
i=PSi×cos45°
なお、本請求項の範囲外ではあるが、Fiは次式で表わすことも可能である。
i=PSi×sin45°

請求項4の発明では、
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oからねじのばね定数偏角線と45度線とを設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
45度線と衝撃線との交点Piを求めてそのX座標の値pxiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいる。
i=pxi×tan α×K
ただし、
αは、ねじのばね定数偏角線と横軸とのなす偏角、
Kは、(軸力)/(ねじ回転角(伸))で表わされるねじのばね定数
のことである。

請求項5の発明では、
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oからねじのばね定数偏角線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
検出された衝撃情報の内のいずれか1つについての検出点GiのX座標の値gxi、Y座標の値gyiを読み取る手順と、
原点Oと検出点Giとを結ぶ線分が横軸となす偏角θgiは次式で表わすことができ、
θgi=tan-1(gyi/gxi
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいる。
i=gyi/tan θgi
なお、本請求項の範囲外ではあるが、θgiは、45度線と衝撃線との交点PiのX座標の値pxiを読み取って、次式で表わすことも可能であり、
θgi=tan-1(gyi/pxi
そうして求めたθgi を使って前述の式で軸力値Fiを算出することも可能である。

請求項6の発明では、
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oからねじのばね定数偏角線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
検出された衝撃情報の内のいずれか1つについての検出点GiのX座標の値gxiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいる。
i=gxi×tan α×K

請求項7の発明では、
衝撃レンチを用いる弾性ねじ締結制御方法において、
直交座標軸の原点Oからねじのばね定数偏角線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
ねじのばね定数偏角線と衝撃線との交点Biを求めそのY座標の値aiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後にねじ締結体に伝達した出力エネルギーEoiを算出する手順とを含んでいる。
oi=1/2×C×K×(ai2
ただし、
Cは、(ねじのピッチ)/360で表わされる換算係数
のことである。
【0012】
なお、請求項1の発明は、ねじ締結軸力制御方法に用いる軸力値を求めるために、二次元平面上において縦軸と横軸とが直交するいわゆる直交座標系の座標平面を利用して計算を行うものである。
そのために、衝撃レンチによって複数回の衝撃を発生させたとき、各衝撃によって順次発せられる衝撃情報を検出手段で検出し、検出したi番目の衝撃情報を解析して前記座標平面上における位置情報を得て、得られた位置情報に基づいた点を、i番目の衝撃進行点Hiとして前記45度線上に位置決めし、原点Oと衝撃進行点Hiとを結ぶ線分OHiの長さHSiを算出もしくは読み取りして、得られた長さHSiに基づいて、式 Fi=HSi×cos45°によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出し、算出した軸力値Fiと目標とする軸力値とを比較した結果に基づいて衝撃レンチの作動を制御することによって、ねじ締結軸力を制御することを特徴とする衝撃レンチによるねじ締結軸力制御方法である。
そこで、請求項1のねじ締結軸力制御方法は、次のように表現することもできる。
衝撃レンチを用いたねじ締結軸力制御方法において、
軸力値を算出するために横軸と縦軸が直交する直交座標系の座標平面を使用して、
前記座標平面上に、原点Oを通り、傾きが45度の45度線を設定する手順と、
前記衝撃レンチによって複数回の衝撃を発生させたとき、
i番目の衝撃が発する衝撃情報を検出手段で検出して、検出したi番目の衝撃情報に基づいて、i番目の衝撃進行点Hiを前記45度線上に位置決めする手順と、
原点Oと衝撃進行点Hiとを結ぶ線分OHiの長さHSiを算出もしくは読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順と、を含み、
算出した軸力値Fiと目標とする軸力値とを比較した結果に基づいて衝撃レンチの作動を制御することによって、ねじ締結軸力を制御することを特徴とする衝撃レンチによるねじ締結軸力制御方法。
i=HSi×cos45°
【発明の効果】
【0013】
本発明は、発明者らの知る範囲では、世界最初の本格的ねじ締結の軸力制御法である。ねじ締結が抱える各種の難問のソリューションとも言える。
本発明を具体化したレンチおよび制御装置の普及により、ねじ締結の世界は締結技術の改善が進行し、ねじ締結の設計作業・締め付け作業とも、ボルトに許される最大軸力のねじ締結の実現が容易となり、結果として締結体の小型化、軽量化が実現し、世界的に省資源、省エネルギー、省動力が実現する。
また全ての機器類の安全性が高まる。レンチについて言えばレンチの軽量化、省エネルギー化、振動・騒音の低減が実現する。使用レンチと締結作業の最適組み合わせ、専用レンチの実現が可能となる。
既存のねじ締結法、トルク法、回転角法、トルク勾配法、塑性域締め付けに数的目標が実現し、信頼性が向上する。
本発明の効果として工学的見地から打撃力について関心と啓蒙が高まる。従来、打撃力は静力工学の計算式と馴染まず、打撃力は非制御性の粗暴な存在とされてきた。しかし本発明に見られるように、打撃力とデジタル計測は相性がよい面をもち、正確性もあるので機器産業の将来に開発効果をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明にかかる衝撃レンチによる軸力制御法を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に用いる衝撃レンチの一例を図1と、図2(a),(b)に示して説明する。
【0015】
図1は本発明に用いる衝撃レンチの一例としてのインパクトレンチの要部の縦断側面と要部の回路図である。
【0016】
(インパクトレンチの機械的構造)
図中において、
1は本発明に用いるインパクトレンチ、2はこのインパクトレンチ1の内部に設けられたエアモータ、2aはエアモータ2のロータ、3はこのエアモータ2の駆動軸、4はこの駆動軸3の前端に一体に連結された回転円筒部材である。この回転円筒部材4の円板形状の後壁板における中心部は四角の凹凸の嵌め合わせ構造によって前記駆動軸3に一体に連結されている。
【0017】
なお、前記エアモータ2は、公知のように、外部から圧縮空気を供給し、操作レバー20及び切替えレバー21を操作することによって、圧縮空気により右方向又は左方向に高速回転させられる構成となっている。そして、公知のように、エアモータ2の駆動軸3の回転によって一体的に回転する回転円筒部材4の回転力を後述する打撃力伝達機構5を介して、前方に突出させられたアンビルと称される被駆動軸6に伝達することにより、この被駆動軸6の先端に取り付けたソケット体6bに装着したねじを締付けるように構成されている。
【0018】
前記被駆動軸6の後部は大径の胴体部6aに形成され、この胴体部6aは前記回転円筒部材4の中心部に設けられている。回転円筒部材4は前記被駆動軸6の胴体部6aの回りを回転して、上述したように打撃力伝達機構5を介してその回転力を被駆動軸6に伝達するように構成されている。
この打撃力伝達機構5は、図2(a)に示したように、回転円筒部材4の内周面の適所に内方に向かって突出した打撃突起5aと、被駆動軸6の胴体部6a上に形成した半円形状の支持溝6bに左右揺動自在に支持されたアンビル片5bとからなる。そして、このアンビル片5bを左右方向に傾けた状態にしてこのアンビル片5bの上向き一側端面に上記打撃突起5aを衝突させることにより、回転円筒部材4の回転力を被駆動軸6側に伝達するように構成されている。
【0019】
前記アンビル片5bの先端部には図2(b)に示すように、カム板5cが設けられている。そしてそのカム板5cが回転円筒部材4の前端部内周面に設けられている周方向に一定円弧長の凹部5d内に位置する時には、アンビル片5bは打撃突起5aに係合しない中立姿勢を維持し、カム板5cが凹部5dから外れて回転円筒部材4の内周面に接しながら動く時に、アンビル片5bは上記打撃突起5aに衝突するような傾斜姿勢となる。また、アンビル片5bは被駆動軸6の胴体部6a内に設けているアンビル片押圧部材5e、ゴムスプリング5f、スプリング受止部材5gによって、常時、中立姿勢となる方向に力が加えられている。そしてスプリング受止部材5gは回転円筒部材4の内周カム面4bに接している。さらに、回転円筒部材4の内周面において、打撃突起5aの両側には上記アンビル片5bが傾くのを許容する凹部5hが形成されている。なお、このようなインパクトレンチの構造は既知のものであるので、詳しい説明は省略する。
【0020】
(検出回転体と電子制御部品)
図1において、前記回転円筒部材4の後端部外周面には所定数の歯71aが設けられた歯車体からなる検出回転体が一体に固着されている。一方、この検出回転体に対向して非回転側であるハウジング1bの内周面に、周方向に一定の間隔を存して半導体磁気抵抗素子からなる一対の検出センサ81a、81bが取り付けられている。そして、検出回転体の回転を検出センサ81a、81bによって検出し、その出力信号を検出センサ81a、81bに電気的に接続した入力回路10に入力するように構成されている。
【0021】
入力回路10に入力された検出センサ81a、81bからの信号は、さらに、増幅部11、波形整形部12を介して制御部13に入力されている。
制御部13は、CPU131、電磁弁制御部135を含んでおり、電磁弁制御部135からの制御信号は出力回路17を介して圧縮空気供給ホース18中に設けられている電磁弁19に接続されている。
【0022】
(パルス信号)
検出センサ81a、81bは、互いに90度位相の異なるパルス信号を出力するように構成されているので、これらのパルス信号の波形は、図3に示すように、回転円筒部材4に一体に固着された検出回転体がねじの締付け方向(右回転方向)に回転している場合には一方の検出センサ81aからは他方の検出センサ81bより90度位相の進んだ波形のパルス信号が出力される。これとは逆に、打撃突起5aがアンビル片5bに衝突して打撃を行った後、検出回転体が回転円筒部材4と共に左回転方向にリバウンドした時には両検出センサ81a、81bからの信号の位相が反転する。すなわち、他方の検出センサ81bからは一方の検出センサ81aよりも90度位相の進んだ波形のパルス信号が出力される。
【0023】
そして、検出回転体が締付け方向(右回転方向)に回転している場合は、他方の検出センサ81bからの出力波形がアップエッジ(↑)の時に一方の検出センサ81aからの波形がハイレベル(H)となり、リバウンド方向(左回転方向)に回転している場合はローレベル(L)となる。この回転方向を示す検出信号をQ0 とし、その波形(H)または(L)は、回転方向が変化するまでハイレベルまたはローレベルを保持する。一方、信号Q1 は信号Q0 と全く逆の状態を保持する。そして、CPU131は、信号Q0 または信号Q1 によって締付け方向(右回転方向)またはリバウンド方向(左回転方向)を判別しながらそれぞれの方向のパルス信号を検出させるように構成されている。
従って、フリーランニング(1)は正転方向(締付け方向)のパルス信号(右パルス信号)によって検出される。
【0024】
次に、回転円筒部材4がフリーランニング後、打撃突起5aがアンビル片5bに衝突する瞬間に回転円筒部材4の回転速度が最大(2)となり、この状態からねじのこの打撃における締付けが開始される。この締付け時においては、締付け方向に回転する被駆動軸6はねじの締付けにエネルギーを消費する。そのためねじ締め付け時には打撃力伝達機構5を介して被駆動軸6と一体に動く回転円筒部材4は上記最大速度(2)から右下がり線で示すように減速(3)して1回の締付けを行った後、回転円筒部材4は左方向にリバウンド(6)する。
【0025】
上記最大速度(2)から減速(3)が開始される時点の検出方法は、検出センサ81a、81bによって検出回転体の回転状態を検出することによって行われる。即ち、回転円筒部材4がフリーランニング中において、加速されるに従って、検出センサ81a、81bにより検出されるパルス信号の幅が徐々に狭くなり、打撃突起5aがアンビル片5bに衝突する瞬間においては最小幅となる。その後、回転円筒部材4の減速開始から打撃終了(リバウンド開始)まで右方向のパルス信号の幅は徐々に広くなる。この徐々に幅が狭くなるパルスと徐々に幅が広くなるパルスとを検出センサ81a、81bから出力させて上述したようにCPU131において右パルス信号として検出させ、最小パルス幅になった時点をこの打撃におけるねじの締付け開始点(回転円筒部材の減速が開始される時点)と判断する。
そして、図13(a),(b)に示すように、最小パルス幅になった時点を動的トルクを算出するときの計測時間tmとすることができる。また、この時点の回転円筒部材の回転速度(角速度)をωmとすることができる。
【0026】
このようにして、回転円筒部材4の減速開始時点を検出した後、その減速(3)中、換言すれば、減速開始から打撃終了までの間の検出回転体の回転角度を検出センサ81a、81bによって検出させることができる。
次いで、上述したように回転円筒部材4が左回転方向にリバウンド(6)する。
このリバウンドを開始する時点においては、回転円筒部材4の回転方向が右回転から左回転に変化する。
【0027】
回転円筒部材4のリバウンド(6)の速度は、徐々に小さくなって停止した後、再び、回転円筒部材4はエアモータ2からの回転力によって回転方向が右方向にかわり、加速しながらフリーランニング(1)する。そして、再び、打撃突起5aがアンビル片5bに衝突して、その衝突した瞬間から回転円筒部材4の回転速度が減速(3)され、その減速開始から打撃終了までの間の減速(3)中の回転円筒部材4の回転角度は上述同様にして検出回転体と検出センサ81a、81bとによって検出される。
【0028】
この後も、同様にして回転円筒部材4がフリーランニング(1)した後、打撃により減速(3)する毎に、その減速開始のタイミングと打撃終了のタイミングを検出することができるのである。
このように一対の検出センサ81a、81bを使って検出回転体の歯71aが通過するごとに検出パルス信号を検出し、そのパルス信号を基にして、回転円筒部材4の回転速度の推移を知ることができるのである。
つまり、回転円筒部材4が最初に静止している状態から加速を開始し、フリーランニングに続いて打撃を行い、その後にリバウンドするという一連の動きを検知することができるのである。
なお、衝撃レンチの型式はインパクトレンチ又はオイルパルスレンチであり、動力は電動、空気圧を問わない。ただし衝撃作動が正確であること、メカトロ型にすることは必要である。衝撃情報の内、少なくとも1個の情報の読み取りと、極座標方式の軸力算出機能の必要は指摘できる。
【実施例】
【0029】
次に、実施例に関して述べる。
供試締結体:図8参照。
供試ねじ系:
六角ボルト:M14×55(ピッチ2)部品等級A、強度区分10.9、材料−合金鋼
六角ナット:M14、部品等級A、材料−鋼
ねじのばね定数:K=2.618kN/度(ドイツ技術者協会発行の「VDI2230高強度ねじ
結合の体系的計算法」を用い、Cb=471.2kN/mmを算出した後、
変換して求めた。)
ねじのばね定数偏角α:20.9°
被締結部材:ロードセル型軸力センサのロードセル(厚さ15mm)、鋼板(厚さ16mm)
グリップ長さ:43mm
潤滑:六角ボルトと六角ナットの座面、ねじ面およびワッシャの座面にはエンジンオイル
を薄く塗布。
使用衝撃レンチ:
KW−1600pro((株)空研製)メカトロ型インパクトレンチ、質量1.4kg
アンビル先端形状:スプラインドライブ
衝撃レンチ作動条件:
非駆動時空気圧力:0.6MPa(Pe)
エアホース:φ6.5mm×3m
インパクトレンチ給気制御弁開度:最大
締め付け目標軸力:70kN
【0030】
前述の条件にて実験した実施例の細部を要約して述べる。実験はねじ系(ボルト、ナット)が新品の状態から締め付け・緩めのサイクルを3回行い、第1回目のサイクルのデータを実施例1として数表(図9)とグラフ(図11)で示し、
3回目のデータを実施例2として数表(図10)とグラフ(図12)に示した。
この一連の実験は部品の交換は行っていない。なお、図11、12のグラフでは、衝撃締め付けの進行は段階的に上昇するものであるが、ここでは便宜上折れ線で結んである。
一般にねじ締結体は締め・緩めを体験するごとに、締め付け面の習熟、馴染み、平滑化が進み、その結果として締め付け入力(入力エネルギー)が軸力に変換される率が高まる。それゆえにトルク法や回転角法では軸力を正確に決めることが不可能視されてきた。
本発明は軸力を直接制御するものであり、トルクやねじ回転角度は二次的な情報としている。
実施例に用いたねじ締結体は図8に示すものである。図中において、91は六角ボルト、92は六角ナット、93は鋼板、94はロードセル、95はスイッチ、96は演算部である。前記ロードセル94、スイッチ95、および演算部96でロードセル型軸力センサ90が構成されている。
これらの実施例では、同一の締め付け作業で2種類のデータを同時に読み取っている。一方はロードセル型軸力センサ90で測定した軸力値、他方は軸力制御衝撃情報で得た算出データで、本発明の目指すものである。
この算出データを計算で求める方法は簡単ではあるが、現時点では手計算で求めている。算出データは、実施例1、2においてそれぞれ45度線制御法と入力エネルギー制御法の2例で示し、精度と信頼性を検証した。
【0031】
次の表(表1)に示す実施例1、2の主な数値は、本発明がねじ締結時点での締結面の現実の状況に応じて軸力を算出し、その精度の高いことを示した。
なお、実施例1および2ではそれぞれ18打撃目と8打撃目で目標軸力値に達したため、その時点でねじ締結を終わらせた。この終了時点の計測時間を締め付け完了時間とした。
【0032】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明にかかるねじ締結における軸力制御方法に用いる衝撃レンチの構成図である。
【図2】図1の要部の断面図である。
【図3】検出センサから出力されるパルス信号の波形を示す図である。
【図4】請求項4〜7の共通説明図である。
【図5】衝撃によるねじ締結基本図である。
【図6】衝撃レンチでのねじ締め付け構造図であり、請求項1、2に共通する説明図である。
【図7】衝撃レンチでのねじ締め付け構造図であり、請求項3、4に共通する説明図である。
【図8】供試締結体の説明図である。
【図9】実施例1のボルト、ナットが全くの新品のときの締め付け時のデータ表である。
【図10】実施例2のボルト、ナットの3回目の締め付け時のデータ表である。
【図11】実施例1のボルト、ナットが全くの新品のときの締め付け時の説明図である。
【図12】実施例2のボルト、ナットの3回目の締め付け時の説明図である。
【図13】リバウンドを伴う場合と伴わない場合における計測時間と回転円筒部材の角速度との関係を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oから45度線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃進行点Hiが45度線上に検出される手順と、
線分OHiの長さHSiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいることを特徴とする衝撃レンチによるねじ締結軸力制御方法。
i=HSi×cos45°
【請求項2】
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oから45度線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃進行点Hiが45度線上に検出され、HiのX座標の値hxiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいることを特徴とする衝撃レンチによるねじ締結軸力制御方法。
i=hxi
【請求項3】
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oから45度線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
45度線と衝撃線との交点Piを求め線分OPiの長さPSiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいることを特徴とする衝撃レンチによるねじ締結軸力制御方法。
i=PSi×cos45°
【請求項4】
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oからねじのばね定数偏角線と45度線とを設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
45度線と衝撃線との交点Piを求めてそのX座標の値pxiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいることを特徴とする衝撃レンチによるねじ締結軸力制御方法。
i=pxi×tan α×K
ただし、
αは、ねじのばね定数偏角線と横軸とのなす偏角、
Kは、(軸力)/(ねじ回転角(伸))で表わされるねじのばね定数
のことである。
【請求項5】
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oからねじのばね定数偏角線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
検出された衝撃情報の内のいずれか1つについての検出点GiのX座標の値gxi、Y座標の値gyiを読み取る手順と、
原点Oと検出点Giとを結ぶ線分が横軸となす偏角θgiは次式で表わすことができ、
θgi=tan-1(gyi/gxi
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいることを特徴とする衝撃レンチによるねじ締結軸力制御方法。
i=gyi/tan θgi
【請求項6】
衝撃レンチを用いるねじ締結軸力制御方法において、
軸力値の算出に使用する直交座標軸の原点Oからねじのばね定数偏角線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
検出された衝撃情報の内のいずれか1つについての検出点GiのX座標の値gxiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後の軸力値Fiを算出する手順とを含んでいることを特徴とする衝撃レンチによるねじ締結軸力制御方法。
i=gxi×tan α×K
【請求項7】
衝撃レンチを用いる弾性ねじ締結制御方法において、
直交座標軸の原点Oからねじのばね定数偏角線を設定する手順と、
i番目の衝撃が発する衝撃情報の内の少なくとも1つを用いて衝撃線Liを決定する手順と、
ねじのばね定数偏角線と衝撃線との交点Biを求めそのY座標の値aiを読み取る手順と、
次式によってi番目の衝撃発生後にねじ締結体に伝達した出力エネルギーEoiを算出する手順とを含んでいることを特徴とする衝撃レンチによる弾性ねじ締結制御方法。
oi=1/2×C×K×(ai2
ただし、
Cは、(ねじのピッチ)/360で表わされる換算係数
のことである。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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