説明

衝撃吸収装置

【課題】スラブ、ビレット及びブルームのいずれか1からなる重量物の搬送ラインの端部のストッパーの手前側に設けられ重量物がストッパーに衝突した際にストッパーの浮き上がりを防止することが可能な衝撃吸収装置を提供する。
【解決手段】スラブ、ビレット及びブルームのいずれか1からなる重量物の搬送ライン14の端部のストッパー15の手前側に設けられる衝撃吸収装置10であって、搬送ライン14の搬送方向に直交し、隙間を有して配置された少なくとも2枚の垂直板16〜20と、各垂直板16〜20の間に搬送ライン14の搬送方向に直交する方向に並べて配置され、かつその軸心が垂直板16〜20に平行となる状態で両側の垂直板16〜20に当接又は密接して配置された複数の金属製の短管21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブ、ビレット及びブルームのいずれか1からなる重量物の搬送ラインの端部のストッパーの手前側に設けられる衝撃吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のスラブ連鋳ライン上を搬送されるスラブを、順次スラブ供給ライン(搬送ライン)を経由して加熱炉に装入する場合、各スラブ連鋳ラインとスラブ供給ラインの間にスラブ搬送装置を設けて、受け入れるスラブを選択してスラブ供給ラインに送り出している。このとき、スラブ搬送装置の下流側には、スラブ搬送装置がスラブを受け入れるときにスラブ搬送装置の搬送路上から突出し、スラブ搬送装置がスラブを受け入れないときに搬送路上から退避するストッパーを設けて、スラブ搬送装置内に受け入れたスラブが搬送路外にオーバーランするのを防止している(例えば、特許文献1参照)。また、スラブ搬送ラインの終端部には、搬送ライン外にスラブがオーバーランするのを防止するスラブストッパーが設置されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−197101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載されたストッパーや、搬送ラインの終端部に設けたスラブストッパーは、いずれも常設を前提として設置されたもので、スラブのオーバーランを確実に防止することができるが、設置位置を自由に変更できないという問題がある。このため、図7(A)に示すように、搬送ラインの一例であるローラコンベア100でスラブ101の搬送を行いながら、例えば、ローラコンベア100の終端部に新たなローラコンベアを増設する場合、既設のローラコンベア100の終端部の近傍に着脱可能に仮設ストッパー102を配置して(例えば、ローラコンベア100のローラ103の間に仮設ストッパー102の脚部104を入れることによりローラコンベア100に装着して)、増設工事中のローラコンベア内にスラブ101がオーバーランして進入しないようにしている。
しかしながら、仮設ストッパー102では、ローラコンベア100に対して取付け取り外しが容易になるような装着方法となっているため、図7(B)に示すように、仮設ストッパー102にスラブ101が衝突した場合、仮設ストッパー102に加わる衝撃力によりローラコンベア100にも過大な衝撃力が加わるという問題が生じる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、スラブ、ビレット及びブルームのいずれか1からなる重量物の搬送ラインの端部のストッパーの手前側に設けられ重量物がストッパーに衝突した際に搬送ラインに対して過大な衝撃力が掛かるのを防止することが可能な衝撃吸収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る衝撃吸収装置は、スラブ、ビレット及びブルームのいずれか1からなる重量物の搬送ラインの端部のストッパーの手前側に設けられる衝撃吸収装置であって、
前記搬送ラインの搬送方向に直交し、隙間を有して配置された少なくとも2枚の垂直板と、
前記各垂直板の間に前記搬送ラインの搬送方向に直交する方向に並べて配置され、かつその軸心が前記垂直板に平行となる状態で前記両側の垂直板に当接又は密接して配置された複数の金属製の短管とを備える。
【0007】
本発明に係る衝撃吸収装置において、前記垂直板は3枚以上あって、それぞれ前記垂直板間に並べて配置されている前記各短管は、前記重量物の搬送方向に一致して配置されていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る衝撃吸収装置において、前記垂直板は3枚以上あって、最前部の垂直板は、他の垂直板より幅狭となって前記最前部とその直後部の垂直板の間に配置される前記短管の数が、その後部に配置される垂直板の間に配置される短管の数より少なく、しかも、前記最前部の垂直板は、前記搬送ラインの中央に設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明に係る衝撃吸収装置において、前記搬送ラインはローラコンベアであって、前記ストッパーは前記ローラコンベアの端部に設けられたローラの間にその脚部を入れて前記ローラコンベアに装着することができる。
【0010】
本発明に係る衝撃吸収装置において、該衝撃吸収装置は、前記ストッパーに連結金物を介して取付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜5記載の衝撃吸収装置においては、重量物が衝突した際の衝撃力を垂直板で受けることができ、衝撃力を分散させて各短管に伝達することが可能になる。そして、短管は各垂直板の間に搬送ラインの搬送方向に直交する方向に並べて配置され、かつその軸心が垂直板に平行となる状態で両側の垂直板に当接又は密接して配置されているので、短管は径方向に容易に塑性変形する(潰れる)ことができ、衝撃エネルギーを効率的に吸収することが可能になる。その結果、ストッパーに伝達される衝撃力を小さくすることが可能になり、搬送ラインに対して過大な衝撃力が掛かるのを防止することが可能になる。ここで、重量物の重量及び搬送速度に応じて短管の径、肉厚、及び使用本数を選択することにより、吸収できる衝撃エネルギー量を調整できる。
【0012】
特に、請求項2記載の衝撃力吸収装置においては、前側の短管を垂直板を介して後段側の短管でそれぞれ支持することができ、短管全体で均等に衝撃エネルギーを吸収させることができる。
【0013】
請求項3記載の衝撃吸収装置においては、最前部の短管で衝撃エネルギーを効率的に吸収することができ、後段側の短管に加わる衝撃力を緩和することができる。これによって、後段側の短管が大きく変形するのが防止でき、衝撃吸収装置の交換が容易になる。
【0014】
請求項4記載の衝撃吸収装置においては、ストッパーのローラコンベアへの着脱を容易に行うことが可能になる。
【0015】
請求項5記載の衝撃吸収装置においては、ストッパーに対して使用状況に応じた最適な構成の衝撃吸収装置を容易に取付けることが可能になると共に、使用済みの衝撃吸収装置を新品の衝撃吸収装置に容易に交換することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1及び第2の実施の形態に係る衝撃吸収装置が配置される搬送ラインの説明図、図2は本発明の第1の実施の形態に係る衝撃吸収装置をストッパーに取付けた際の側面図、図3(A)、(B)はそれぞれ同衝撃吸収装置をストッパーに取付けた際の正面図、平面図、図4(A)〜(D)はそれぞれ同衝撃吸収装置の正面図、平面図、側面図、背面図、図5は本発明の第2の実施の形態に係る衝撃吸収装置をストッパーに取付けた際の側面図、図6(A)〜(D)はそれぞれ同衝撃吸収装置の正面図、平面図、側面図、背面図である。
【0017】
図1〜図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る衝撃吸収装置10は、重量物の一例であるスラブ11を、スラブ11の処理設備の一例である複数の加熱炉12内でスラブ11を移動させるスラブ移動機構13の入口側に交差して設けられ、スラブ11を各スラブ移動機構13の入口まで搬送する搬送ラインの一例であるローラコンベア14の終端部に配置されたストッパー15の手前側に設けられている。以下、詳細に説明する。
【0018】
図2〜図4に示すように、衝撃吸収装置10は、ローラコンベア14の搬送方向に直交し、隙間を有して配置された垂直板の一例である第1〜第5の垂直鋼板16〜20と、第1〜第5の垂直鋼板16〜20の間にそれぞれローラコンベア14の搬送方向に直交する方向に隙間を有して複数並べて配置され、かつその軸心が第1〜第5の垂直鋼板16〜20に平行となる状態で両側の垂直鋼板に当接(又は密接)して並べて配置された金属製の短管の一例である鋼管21とを備えている。ここで、第1〜第4の垂直鋼板16〜19の高さは実質的に同一に、第5の垂直鋼板20の高さは第1〜第4の垂直鋼板16〜19の高さより大きく形成され、第1〜第5の垂直鋼板16〜20の下端位置は実質的に同一高さ位置になるように配置されている。
【0019】
最前部、すなわち第1の垂直鋼板16は、第2〜第5の垂直鋼板17〜20より幅狭でローラコンベア14の幅方向中央に設けられ、第1の垂直鋼板16とその直後部の第2の垂直鋼板17との間には、ローラコンベア14の搬送方向から正面視して、第1の垂直鋼板16の水平方向に直交する中心軸に対して左右対称になるように両側にそれぞれ1本ずつ軸心方向を上下に向けて鋼管21が配置されている。ここでの鋼管21の数は、その後部の第2〜第5の垂直鋼板17〜20の間にそれぞれ配置される鋼管21の数より少なくなっている。そして、第1の垂直鋼板16の後側に並べて配置される第2〜第5の垂直鋼板17〜20の間には、それぞれローラコンベア14の搬送方向から正面視して、第2〜第5の垂直鋼板17〜20の水平方向に直交する中心軸に対して左右対称になるように両側にそれぞれ2本ずつ軸心方向を上下に向けて鋼管21が配置されている。そして、第1の垂直鋼板16と第2の垂直鋼板17との間に並べて配置された2本の短管21と、第2〜第5の垂直鋼板17〜20のそれぞれの間の中央側に2本ずつ配置された短管21は、スラブ11の搬送方向(ローラコンベア14の搬送方向)に一致して配置されている。更に、第4の垂直鋼板19の上部の両側には、衝撃吸収装置10を吊り下げるための孔付き掛止具22が設けられ、第5の垂直鋼板20の上部の両側及び下部の両側には、それぞれ第5の垂直鋼板20をストッパー15に取付けるためのねじが挿通する挿通孔23が形成されている。
【0020】
図2、図3に示すように、ストッパー15は、ローラコンベア14の終端部に設けられた各ローラ24〜27の隙間に脚部28〜30をそれぞれ入れてローラコンベア14上に載置されている。また、ストッパー15には、ストッパー15の前端面(ローラコンベア14の上流側に向く端面)及び上部にそれぞれ当接して、衝撃吸収装置10が連結される連結金物31が取付けられている。なお、ストッパー15の脚部28、29の下端面にはブラケット32が取付けられ、ブラケット32には基端に掛止突起33が形成された連結ピン34が挿通され、連結ピン34の先部には掛止ピン35が取付けられており、ストッパー15の後端部にはローラ27に当設してストッパー15の水平状態を保持する複数(本実施の形態では3)のガイド材36が設けられている。
これによって、ストッパー15をローラコンベア14の終端部に安定して取付けることができると共に、ストッパー15が各ローラ24〜27に対して浮き上がっても、連結ピン34がローラ25に当接して、脚部28〜30がローラ24〜27の隙間から抜け出すのを防止できる。
【0021】
また、連結金具物31は、例えば、いずれも型鋼(本実施の形態ではH型鋼)を主体に形成される、ストッパー15の前端面でローラ24の最上部位置よりも上部側の部分に当接して図示しないねじによりストッパー15の前端面に固定される第1の連結材37と、ストッパー15の上面に当接してストッパー15の前後方向に軸心を合わせて並べて配置され先端部が第1の連結材37のストッパー15との当接面の上部の中央側に固定される2本の長梁38、39及び当接面の上部の両側にそれぞれ固定される短梁40、41を備えた第2の連結材42とを有している。なお、長梁38、39の上面の中央部及び後端部はそれぞれ補強梁43、44で接続され、長梁38、39の下面の中央側にはそれぞれ突起45、46が設けられ、ストッパー15の上部に形成された溝部47にそれぞれ装入可能となっており、第1の連結材37の前面側には第5の垂直鋼板20の各挿通孔23と一致する図示しないねじ孔が形成されている。
これによって、連結金物31をストッパー15に取付け、連結金物31の第1の連結材37の前面に衝撃吸収装置10の第5の垂直鋼板20を当接させ挿通孔23に挿通させたねじを第1の連結材37のねじ孔にねじ込むことにより、衝撃吸収装置10とストッパー15を連結することができる。
【0022】
図1に示すように、ローラコンベア14の終端部に設置したストッパー15に衝撃吸収装置10を設けることにより、例えば、ローラコンベア14を用いてスラブ11を加熱炉12に装入しながら、新設の加熱炉63のスラブ移動機構64の入口にローラコンベア14を経由してスラブを搬送するローラコンベア65の増設工事を行っていても、ローラコンベア14を移動するスラブ11が工事中のローラコンベア65内にオーバーランしてくるのを防止できる。なお、符号66は、ローラコンベア65の終端部に設けられてローラコンベア65外にスラブがオーバーランするのを防止するスラブストッパーである。
【0023】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る衝撃吸収装置10の作用について説明する。
ローラコンベア14を走行するスラブ11が、加熱炉12のスラブ移動機構13の入口位置をオーバーランしてローラコンベア14の終端に向けて走行すると、スラブ11はローラコンベア14の終端部に設けられたストッパー15に取付けられた衝撃吸収装置10に衝突する。なお、スラブ11とストッパー15との衝突では、スラブ11が衝撃吸収装置10に接触を開始してから停止するまで(衝突時間にわたって)、スラブ11によりストッパー15に加わる衝撃力は徐々に減少していき、スラブ11が停止する際にストッパー15に加わる衝撃力は最小となる。そして、スラブ11と直接衝突する衝撃吸収装置10では、第1の垂直鋼板16に加わる衝撃力が鋼管21を介して第2〜第5の垂直鋼板17〜20を順次通過してストッパー15に伝達されるため、第1〜第5の垂直鋼板16〜20には同一の衝撃力が加わる。
【0024】
ここで、第1の垂直鋼板16は2本の鋼管21で支持され、第2〜第4の垂直鋼板17〜19はそれぞれ4本の鋼管21で支持されているので、第1の垂直鋼板16の各鋼管21に加わる衝撃力は、第2〜第4の垂直鋼板17〜19の各鋼管21に加わる衝撃力より大きくなる。このため、第1の垂直鋼板16の各鋼管21に加わる衝撃力は鋼管21の圧壊荷重を超えて、第1の垂直鋼板16の各鋼管21の圧壊変形が大きく生じる。
【0025】
また、第2〜第4の垂直鋼板17〜19の各鋼管21では、各鋼管21に加わる衝撃力が鋼管21の圧壊荷重を超える場合は、第2〜第4の垂直鋼板17〜19の各鋼管21でも圧壊変形が開始する。そして、第1〜第4の垂直鋼板16〜19の各鋼管21で圧壊変形が生じると、第1〜第4の垂直鋼板16〜19に加わる衝撃荷重は、圧壊変形が開始されたときの衝撃力を超えず、圧壊変形により衝撃エネルギーは徐々に吸収されるため、圧壊変形の進行と共に衝撃力は徐々に減少する。
【0026】
以上のように、スラブ11が衝撃吸収装置10と衝突して停止するまでの時間の間に、短管21の圧壊変形の進行と共に衝撃エネルギーが徐々に吸収されるため衝撃力は徐々に減少する。このため、スラブ11が衝撃吸収装置10と衝突して停止する際のストッパー15に加わる衝撃力を小さくして、ローラコンベア14の終端部に設けられたローラ25、26に加わる衝撃力を小さくすることができる。
【0027】
そして、ストッパー15に加わる衝撃力が小さいと、ストッパー15に発生する浮き上がり力(ストッパー15に加わる衝撃力に比例する)も小さくなり、浮き上がり力が、ストッパー15、連結金物31、及び衝撃吸収装置10の総重量より小さい場合は、ストッパー15の浮き上がりを防止することができる。また、浮き上がり力がストッパー15、連結金物31、及び衝撃吸収装置10の総重量を上回る場合は、ストッパー15は浮き上がるが、連結ピン34がローラ25に当接して、脚部28〜30がローラ24〜27の隙間から抜け出すのが防止される。
【0028】
更に、第1〜第5の垂直鋼板16〜20の間に配置された各鋼管21は、第1〜第5の垂直鋼板16〜20の水平方向に直交する中心軸に対して左右対称になるように配置され、しかも、第1〜第5の垂直鋼板16〜20の間に並べて配置されている各短管21の軸心位置はスラブの搬送方向(ローラコンベア14の搬送方向)に一致して配置されている。このため、第1〜第5の垂直鋼板16〜20間にそれぞれ配置された鋼管21には同じ大きさの衝撃力が作用し、実質的に同一の圧壊変形を行うことができる。その結果、ストッパー15に偏った衝撃力が加わるのを防止することができ、ストッパー15がローラ24〜27上でずれるのが防止できる。
【0029】
図1、図5に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る衝撃吸収装置48は、複数の加熱炉12内でそれぞれスラブ11を移動させるスラブ移動機構13の出口側に交差して設けられ加熱炉12から出口に排出されたスラブ11を取り出して下工程に搬送する搬送ラインの一例であるローラコンベア49先端部に配置されたストッパー50の手前側に設けられている。
ここで、ローラコンベア49の先端部に設けられた各ローラ51〜54間の領域に配置されるストッパー50は、第1の実施の形態のストッパー15と実質的に同一の構成とすることができ、衝撃吸収装置48をストッパー50に取付ける連結金物50aは第1の実施の形態の連結金物31と実質的に同一の構成とすることができるので、同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、ストッパー50の脚部28はローラ54、53の隙間、脚部29はローラ53、52の隙間、脚部30はローラ52、51の隙間にそれぞれ装入されている。
【0030】
図5、図6に示すように、衝撃吸収装置48は、ローラコンベア49の搬送方向に直交し、隙間を有して配置された垂直板の一例である第1〜第3の垂直鋼板55〜57と、第1〜第3の垂直鋼板55〜57の間にそれぞれローラコンベア49の搬送方向に直交する方向に隙間を有して複数配置され、かつその軸心が第1〜第3の垂直鋼板55〜57に平行となる状態で両側の垂直鋼板に当接(又は密接)して配置された金属製の短管の一例である鋼管58とを備えている。ここで、第1、第2の垂直鋼板55、56の高さは実質的に同一に、第3の垂直鋼板57の高さは第1、第2の垂直鋼板55、56の高さより大きく形成されている。そして、第1、第2の垂直鋼板55、56は上、下端位置を実質的に同一高さ位置になるようにして、第3の垂直鋼板57の高さ方向の中間位置に配置されている。
【0031】
最前部、すなわち第1の垂直鋼板55とその直後部の第2の垂直鋼板56との間には、第1の垂直鋼板55の水平方向に直交する中心軸に対して左右対称になるように両側にそれぞれ2本ずつ軸心方向を上下に向けて鋼管58が配置されている。また、第2の垂直鋼板56とその直後部に配置される第3の垂直鋼板57との間には、第2の垂直鋼板56の水平方向に直交する中心軸に対して左右対称になるように両側にそれぞれ2本ずつ軸心方向を上下に向けて鋼管58が配置されている。そして、第1、第2の垂直鋼板55、56の間と、第2、第3の垂直鋼板56、57の間にそれぞれ並べて配置されている各短管58の軸心位置はスラブの搬送方向(ローラコンベア14の搬送方向)に一致して配置されている。更に、第2の垂直鋼板56の上部の両側には、衝撃吸収装置48を吊り下げるための孔付き掛止具59が設けられ、第3の垂直鋼板57の上部の両側及び下部の両側には、それぞれ第3の垂直鋼板57をストッパー50に取付けるためのねじが挿通する挿通孔60が形成されている。
【0032】
ローラコンベア49の先端部に配置したストッパー50に衝撃吸収装置48を設けることにより、例えば、ローラコンベア49を用いて処理済のスラブ11を下工程に送り出しながら、新設の加熱炉63のスラブ移動機構64の出口とローラコンベア49とを接続するローラコンベア61の増設工事を行っていても、ローラコンベア49で取り出したスラブ11を再加熱処理するために加熱炉12に戻し搬送する際に、ローラコンベア49上を移動するスラブ11が工事中のローラコンベア61内にオーバーランしてくるのを防止できる。なお、符号62は、ローラコンベア61の先端部に設けらローラコンベア61外にスラブがオーバーランするのを防止するスラブストッパーである。
また、本発明の第2の実施の形態に係る衝撃吸収装置48の作用は、第1の実施の形態に係る衝撃吸収装置10の作用と実質的に同一であるので説明は省略する。
【0033】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の衝撃吸収装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、第1の実施の形態では、垂直板として5枚の垂直鋼板を配置したが、垂直鋼板の厚み、鋼管の外径及び肉厚を変えることで、垂直鋼板を2〜4枚又は6枚以上とすることも、鋼管の本数を変えることもできる。また、第2の実施の形態においても、垂直板として3枚の垂直鋼板を配置したが、垂直鋼板の厚み、鋼管の外径及び肉厚を変えることで、垂直鋼板を2枚又は4枚以上とすることも、鋼管の本数を変えることもできる。
更に、第1及び第2の実施の形態では、鋼管の軸心を上下に向けて垂直鋼板の水平方向に直交する中心軸に関して左右対称に配置したが、鋼管の軸心を水平に向けて垂直鋼板の上下方向に直交する中心軸に関して上下対称になるように配置してもよい。また、重量物をビレット又はブルームとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態に係る衝撃吸収装置が配置される搬送ラインの説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る撃吸収装置をストッパーに取付けた際の側面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ同衝撃吸収装置をストッパーに取付けた際の正面図、平面図である。
【図4】(A)〜(D)はそれぞれ同衝撃吸収装置の正面図、平面図、側面図、背面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る衝撃吸収装置をストッパーに取付けた際の側面図である。
【図6】(A)〜(D)はそれぞれ同衝撃吸収装置の正面図、平面図、側面図、背面図である。
【図7】(A)、(B)は従来例に係る仮設ストッパーの説明図である。
【符号の説明】
【0035】
10:衝撃吸収装置、11:スラブ、12:加熱炉、13:スラブ移動機構、14:ローラコンベア、15:ストッパー、16:第1の垂直鋼板、17:第2の垂直鋼板、18:第3の垂直鋼板、19:第4の垂直鋼板、20:第5の垂直鋼板、21:鋼管、22:孔付き掛止具、23:挿通孔、24〜27:ローラ、28〜30:脚部、31:連結金物、32:ブラケット、33:掛止突起、34:連結ピン、35:掛止ピン、36:ガイド材、37:第1の連結材、38、39:長梁、40、41:短梁、42:第2の連結材、43、44:補強梁、45、46:突起、47:溝部、48:衝撃吸収装置、49:ローラコンベア、50:ストッパー、50a:連結金物、51〜54:ローラ、55:第1の垂直鋼板、56:第2の垂直鋼板、57:第3の垂直鋼板、58:鋼管、59:孔付き掛止具、60:挿通孔、61:ローラコンベア、62:スラブストッパー、63:新設の加熱炉、64:スラブ移動機構、65:ローラコンベア、66:スラブストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブ、ビレット及びブルームのいずれか1からなる重量物の搬送ラインの端部のストッパーの手前側に設けられる衝撃吸収装置であって、
前記搬送ラインの搬送方向に直交し、隙間を有して配置された少なくとも2枚の垂直板と、
前記各垂直板の間に前記搬送ラインの搬送方向に直交する方向に並べて配置され、かつその軸心が前記垂直板に平行となる状態で前記両側の垂直板に当接又は密接して配置された複数の金属製の短管とを備えることを特徴とする衝撃吸収装置。
【請求項2】
請求項1記載の衝撃吸収装置において、前記垂直板は3枚以上あって、それぞれ前記垂直板間に並べて配置されている前記各短管は、前記重量物の搬送方向に一致して配置されていることを特徴とする衝撃吸収装置。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の衝撃吸収装置において、前記垂直板は3枚以上あって、最前部の垂直板は、他の垂直板より幅狭となって前記最前部とその直後部の垂直板の間に配置される前記短管の数が、その後部に配置される垂直板の間に配置される短管の数より少なく、しかも、前記最前部の垂直板は、前記搬送ラインの中央に設けられていることを特徴とする衝撃吸収装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃吸収装置において、前記搬送ラインはローラコンベアであって、前記ストッパーは前記ローラコンベアの端部に設けられたローラの間にその脚部を入れて前記ローラコンベアに装着されていることを特徴とする衝撃吸収装置。
【請求項5】
請求項4記載の衝撃吸収装置において、該衝撃吸収装置は、前記ストッパーに連結金物を介して取付けられていることを特徴とする衝撃吸収装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−297142(P2007−297142A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123903(P2006−123903)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000178011)山九株式会社 (48)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】