説明

衝撃波処理のための食品用包装構造

【課題】衝撃波を与えて食品を処理する際、衝撃波により包装材にピンホールが発生することのない衝撃波処理のための食品用包装構造を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の袋1もしくはカップの中に果物2と水などの液体を入れ、袋1もしくはカップ内に空気が存在しない状態で袋1もしくはカップを密閉状態とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば果物などの食品を衝撃波処理する際に食品を包装する衝撃波処理のための食品用包装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から衝撃波処理により食品を軟化させる方法として、特許文献1に開示されているように、食品に1MPa以上500MPa以下の圧力を伴なう衝撃波を与え、食品を軟化させる方法が知られている。特許文献1に開示されている食品の処理方法で、衝撃波により食品の処理を行なう際、保護材で食品を真空状態で包装しておく方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2006/098453国際公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている食品の処理方法で、りんごなどの果物を真空状態で包装して果物に衝撃波を与えて軟化させるような処理をする場合、りんごなどの果物には上端および下端に窪みがあるため、その部分で保護材の内側に空気溜まりが生じることになる。
【0005】
このように保護材の内側で空気の溜まりが存在すると、保護材の外から果物に対して衝撃波を与えた場合、保護材の内側に溜まっている空気が圧縮されて発熱し、その熱で保護材(フィルム)が溶けてピンホールが発生するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、衝撃波を与えて食品を処理する際、衝撃波により包装材にピンホールが発生することのない衝撃波処理のための食品用包装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の衝撃波処理のための食品用包装構造は、合成樹脂製の袋もしくはカップの中に食品と水などの液体を入れ、袋もしくはカップ内に空気が存在しない状態で袋もしくはカップを密閉状態としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の衝撃波処理のための食品用包装構造は、合成樹脂製の袋もしくはカップの中に食品と水などの液体を入れ、袋もしくはカップ内に空気が存在しない状態で袋もしくはカップを密閉状態とすることにより、衝撃波処理の際に空気が圧縮されて発熱することによる袋もしくはカップの材料にピンホールが発生するという問題がない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態における衝撃波処理のための食品用包装に使用される袋の斜視図である。
【図2】同果物と水が入れられて密閉状態にされた袋の斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における衝撃波処理のための食品用包装に使用されるカップの斜視図である。
【図4】同果物と水が入れられて密閉状態にされたカップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
先ず、図1〜図2に示す第1の実施の形態について説明すると、1は底部が広がるように作られたスタンディングパウチ形態の合成樹脂製袋で、この袋1の中にりんごなどの果物2を入れ、かかる状態で袋1の中に水を入れることにより、袋1の中の空気を抜くようにして袋1の上端をヒートシールにより閉じる。このように果物2が入れられた袋1の中には空気が存在しない。
【0011】
かかる包装状態で袋1の外から果物2に例えば1MPa以上500MPa以下の圧力を伴なう衝撃波を与えて果物2の細胞の細胞壁を破壊して軟化させるような処理をするのであるが、そのとき袋1の中には空気が存在しないので、衝撃波により袋1の材料が溶けてピンホールが発生するという問題を解決できる。
【0012】
上記のように衝撃波処理された果物2は袋1の中に水とともに密閉状態で入れられて店で販売に供され、購入した消費者は袋1の上端を開口して内部の水を取り出し、果物2にストローを突き刺すなどしてジュースを飲むことができるものである。
【0013】
次に、図3〜図4に示す第2の実施の形態について説明すると、この実施の形態では合成樹脂製のシートからなるカップ3の中にりんごなどの果物2を入れ、かかる状態でカップ3の中に水を入れるとともにカップ3内に空気が存在しない状態でカップ3の上端に合成樹脂製のシートからなる蓋4をヒートシールにより接合させて閉じる。
【0014】
かかる包装状態でカップ3の外から果物2に例えば1MPa以上500MPa以下の圧力を伴なう衝撃波を与えて果物2の細胞の細胞壁を破壊して軟化させるような処理をするのであるが、そのときカップ3の中には空気が存在しないので、衝撃波によりカップ3の材料が溶けてピンホールが発生するという問題を解決できる。
【0015】
そして、この第2の実施の形態の場合、衝撃波処理された果物2はカップ3の中に水とともに密閉状態で入れられて店で販売に供され、購入した消費者はカップ3の上端の蓋4を剥して内部の水を取り出し、果物2にストローを突き刺すなどしてジュースを飲むことができるものである。
【0016】
なお、上記した食品用包装構造の対象となる食品は、上記したりんごなどの果物の他、食肉などであっても良い。また、袋1やカップ3の中に入れられる水の代わりに、食品が食肉の場合は調味液を入れるようにすれば、固い筋が切られた食肉に調味液をしみ込ませることができる。
【0017】
さらに、袋1やカップ3の形は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば袋1の場合は、三方袋など、スタンディングパウチ形態以外のものでも実施できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の食品用包装構造は、合成樹脂製の袋もしくはカップの中に食品と水などの液体を入れ、袋もしくはカップ内に空気が存在しない状態で袋もしくはカップを密閉状態とすることにより、衝撃波処理の際に空気が圧縮されて発熱することによる袋もしくはカップのピンホールの発生を防止する衝撃波処理のための食品用包装構造である。
【符号の説明】
【0019】
1 袋
2 果物
3 カップ
4 蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の袋もしくはカップの中に食品と水などの液体を入れ、袋もしくはカップ内に空気が存在しない状態で袋もしくはカップを密閉状態としたことを特徴とする衝撃波処理のための食品用包装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−265000(P2010−265000A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117100(P2009−117100)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000208226)大和グラビヤ株式会社 (48)
【Fターム(参考)】