説明

衝撃緩和運搬容器

【課題】パソコンのような薄厚で衝撃に弱い製品の運搬或いは保管に際し、該製品を強固に保持し、更に、その運搬時や落下時の衝撃を緩和し或いは外部からの衝撃が製品に伝わることを防止し、且つ製品の収納作業をすばやく行うこと。
【解決手段】衝撃緩和運搬容器は、紙片を折り曲げて製品を挟持する衝撃緩和運搬容器であって、立ち上がり支持材を兼ねる周辺部の側片、適宜本数の切断部が形成され該側片によって囲まれ該側片との境の折れ曲がり部を基端として可動自在とした製品押圧片及び該側片に貼着され該製品押圧片表面側全面を非貼着状態で被覆した可撓性フィルムより形成した一方の製品保持部材と、該製品保持部材と同様の構成を有する他方の製品保持部材と、を備え、一方の製品保持部材の可撓性フィルムと他方の製品保持部材の可撓性フィルムとを対向させたその間を製品配設部とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等の薄厚で比較的大きな壊れやすい製品を挟持して運ぶための容器で、その運搬時或いは保管時における外部からの各種衝撃或いは該容器を落下させた時の大きな衝撃から該製品が破損することを防止するための衝撃緩和運搬容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりパソコン等の衝撃に弱い製品を容器に梱包して運搬する場合、外部からの各種衝撃や該容器の落下による衝撃から製品を守るためにそれらの衝撃を吸収する緩衝部材を該容器と製品との間に介在させて該製品が破損することを防止している。
【0003】
上記破損防止手段は、容器と製品との間に緩衝部材を配設する作業或いは該緩衝部材となる材料等が容器以外に必要となり高価なものとなっていた。また、容器の落下等の大きな衝撃を受けると緩衝部材そのものの破損や該緩衝部材の緩衝機能の消失等により製品に損傷を与えていた。更に、それらの緩衝部材は使用後に不用なものとして廃棄されることが多く、環境上の観点からも問題が多かった。
【0004】
他方、弾力性を有する可撓性シート間に製品を挟持させ、外部からの衝撃が該製品に直接伝わることを防止する容器が存在する。それらのものは中央の開口部に可撓性シートを被覆し、別途同じような容器を用意し、その可撓性シート間に製品を挟持するものであるが、該可撓性シートを保持するフレームが破れたり折れたりし、或いは可撓性シート間に挟持された製品が該製品の側方からの強い衝撃により該可撓性シートとともに移動して容器の内壁に衝突し、該製品に損傷を与えることが生じており、製品を安全に保持することができなかった。
【0005】
また、製品を保持することのできる強度を得るために、下記する文献のように、容器の側壁を二重にしているが、その側壁を得るのに2枚の紙片を重ね、その重ね状態を保持するためのロック作業等が必要となっており、容器の組み立てに多くの時間を必要としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3306405号公報
【特許文献2】特許第3359001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記欠点を解決したもので、パソコンのような薄厚で衝撃に弱い製品の運搬或いは保管に際し、該製品を強固に保持し、更に、その運搬時や落下時の衝撃を緩和し或いは外部からの衝撃が製品に伝わることを防止し、且つ製品の収納作業をすばやく行うことのできる衝撃緩和運搬容器に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の衝撃緩和運搬容器は、紙片を折り曲げて製品を挟持する衝撃緩和運搬容器であって、立ち上がり支持材を兼ねる周辺部の側片、適宜本数の切断部が形成され該側片によって囲まれ該側片との境の折れ曲がり部を基端として可動自在とした製品押圧片及び該側片に貼着され該製品押圧片表面側全面を非貼着状態で被覆した可撓性フィルムより形成した一方の製品保持部材と、該製品保持部材と同様の構成を有する他方の製品保持部材と、を備え、一方の製品保持部材の可撓性フィルムと他方の製品保持部材の可撓性フィルムとを対向させたその間を製品配設部とした。
【0009】
また、製品押圧片には、その中心部にいずれかの側片と平行な切断部を設け、該切断部より隅部又は/及び側片に向けて適宜本数の切断部を放射状に形成した。
【0010】
また、製品押圧片には、その隅部に側片の折れ曲がり部の交差部を頂点とし、その底辺側を直線状、湾曲状、山形状、波形状、鋸歯状等の形状とした製品の隅部を押圧する製品押圧隅片を形成する切断部を設けた。
【0011】
また、製品押圧片には、側片との境の折れ曲がり部のほぼ中央部に突出形状の縁片を形成する切断部を設けた。
【0012】
また、各々の側片の両端部には隅片を形成し、該隅片はその対角線方向に形成した折り曲げ部により分割された一方を糊代片とし、該糊代片を隣接する側片の裏面側に貼着して立ち上がり支持材としてなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、パソコン等の薄厚で衝撃に弱い製品を十分な弾力性を有する可撓性シート及び弾力性と強度を有する製品押圧片とにより挟持して容器内に保持することができ、運搬時や該容器の落下時等における外部から大きな衝撃が製品に直接伝わることを防止することを可能とした。
【0014】
また、本発明は、製品の側方からの強い衝撃により該製品が容器内で移動し、容器本体を構成する内壁面に該製品が直接当接して損傷することを防止するため、該製品が移動したときは弾力性に富んだ製品押圧隅片や縁片等の表面に当接するように形成し、この弾力を有する保持により製品の損傷を防ぐことが可能となった。
【0015】
更に、紙片を組み立てて立体形にする作業に時間を費やすことなく、いずれかの側片を内側に向けて押すだけの瞬時の作業で立体形となる衝撃緩和運搬容器の組み立てを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の製品保持部材上に製品を載置した状態の斜視図を示す。
【図2】同製品保持部材の組み立て前の展開図を示す。
【図3】(a)−(h)は製品押圧片のいくつかの実施例の展開図を示す。
【図4】(i)−(p)は製品押圧片のいくつかの実施例の展開図を示す。
【図5】(q)−(t)は製品押圧片のいくつかの実施例の展開図を示す。
【図6】同製品保持部材の積層収納や搬送時の状態を示す一部折り曲げた表面側の平面図を示す。
【図7】同製品保持部材の積層収納や搬送時の状態を示す一部折り曲げた裏面側の平面図を示す。
【図8】同製品保持部材を組み立てて製品を載置した状態を示す平面図を示す。
【図9】同製品保持部材間に製品を配設した状態の衝撃緩和運搬容器の中央部の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参考に本発明を実施するための最良の形態についてその実施例を説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明のパソコン等の衝撃に弱い製品Wを運搬するための衝撃緩和運搬容器を構成する片方の製品保持部材1に該製品Wを配設した状態を示す斜視図、図2は、該製品保持部材1を組み立てる前の状態を示す1実施例の展開図である。
【0019】
製品保持部材1は、紙製、特に段ボール紙を所定形状に加工し、その紙片の所定箇所を折り曲げ或いは切断し、一部を糊付けして立体形に組み立て形成できるようにしたものである。
【0020】
紙片をプレス機等により切断及び押圧加工して図2の展開図に示す製品保持部材1を得る。該製品保持部材1は、矩形状の紙片の周辺部を形成する第1〜第4側片2、3、4、5、該第1〜第4側片2〜5の内側に形成される製品押圧片6、該第1〜第4側片2〜5と製品押圧片6との間に形成される第1〜第4縁片7、8、9、10及び該第1〜第4縁片7〜10の隅部に形成される第1〜第4製品押圧隅片11、12、13、14並びに対向する該第1、第4側片或いは第2、第3側片又は該第1〜第4側片2〜5の表面に貼着されて該製品押圧片6を覆う可撓性フィルム15とより形成されている。
【0021】
該第1側片2は、長尺の矩形状とし、必要に応じてその内側一側縁部は第1縁片7が折り曲げ部16を境にして連続形成されている。また、両端部には各々隅片17、18が形成され、該隅片17、18を分割してその一部は重ね片17a、18aとされ、他部は糊代片17b、18bとして形成されている。該隅片17、18の該重ね片17a、18aと糊代片17b、18bとは各々を分割する対角線位置に折り曲げ部17c、18cを形成し、該折り曲げ部17c、18cにより折り曲げ自在として連続形成されている。重ね片17a、18aは、該折り曲げ部17c、18cと第1側片2の両端部の折り曲げ部19、20及び該隅片17、18の外側縁部とによりほぼ三角形状に形成され、該糊代片17b、18bも同様に三角形状に形成され、その裏面側には接着剤が貼着されることになる。
【0022】
該糊代片17b、18bに連続して第2側片3、第3側片4が各々形成され、その境には折り曲げ部21、22が形成されている。第2側片3の長手方向となる内側一側縁部には折り曲げ部23を境にして必要に応じて第2縁片8が連続形成され、同様に、第3側片4には折り曲げ部24を境にして必要に応じて第3縁片9が連続形成されている。
【0023】
また、該第2側片3及び第3側片4の他端部側には各々折り曲げ部25、26を境にして隅片27、28が連続形成され、該隅片27、28は重ね片27a、28a及び糊代片27b、28bとに分割形成されている。該隅片27、28にはその両者を端部として第4側片5が連続形成されている。更に、該第4側片5の長手方向の内側一側縁部に折り曲げ部29を境にして必要に応じて第4縁片10が連続形成されている。更に、第4側片5の両端部には折り曲げ部30、31が各々形成され、上記した隅片27、28の糊代片27b、28bが連続形成されている。上記重ね片27a、28a及び糊代片27b、28bを分割形成するために該隅片27、28の対角線位置に折り曲げ部27c、28cが各々形成されている。
【0024】
上記第1側片2、第2側片3の該折り曲げ部16、23の両端部から所定の間隔を有する内側位置を基端とし、折り曲げ部16、23の交差部を頂点32とするほぼ三角形状の底辺部となる第1切断部33が必要に応じて形成され、他方端部も同様に、折り曲げ部16、24の端部から所定の間隔を有する内側位置を基端として折り曲げ部16、24の交差部を頂点34とするほぼ三角形状の底辺部となる第2切断部35が形成されている。なお、該第1、第2切断部33、35は緩やかな湾曲線とすることにより可撓性フィルム15の破損防止や振動や衝撃によって加わる力を分散させることを可能としている。
【0025】
また、第2側片3及び第3側片4も上記同様、その各々の折り曲げ部23、29及び24、29の端部から所定の間隔を有する内側位置を基端として折り曲げ部23、29の交差部を頂点36とするほぼ三角形状の底辺部となる第3切断部37及び折り曲げ部24、29の交差部を頂点38とするほぼ三角形状の底辺部となる第4切断部39が形成されている。上記第1〜第4切断部33、35、37、39の切断形状は、直線状、湾曲状、山形状、波形状、鋸歯状等の適宜な形状とすることができる。
【0026】
上記により製品押圧片6の各隅部には第1〜第4製品押圧隅片11〜14が各々形成されることになる。
【0027】
上記第1〜第4製品押圧隅片11〜14は、製品押圧片6に作用する押圧力が製品保持部材1の隅部に集中して該製品保持部材1が破損することを防止すると同時に、製品Wの隅部と当接する位置或いは該製品Wの移動等により接する位置に形成されることにより、該第1〜第4製品押圧隅片11〜14の表面により製品Wの隅部を弾力的に押圧支持することが可能となる。また、上記第1〜第4縁片7〜10も製品Wの側部等がそのまま或いは移動によって接することになれば、該製品Wを弾力的に押圧支持することが可能となる。
【0028】
上記製品押圧片6は、可撓性フィルム15の背面側に該可撓性フィルム15とは非貼着状態で位置し、製品を弾力的に且つ強固に支持するためのものであるが、当該弾力性と強度とを兼ね備えるための実施態様には様々なものが考えられる。
【0029】
図3は、該製品押圧片6に対して可動させる手段としてのいくつかの実施態様を示すものである。図3(a)は、製品押圧片6における切断部を中心部より隅部或いは側片に向けて放射状に適宜本数形成したものである。これにより図の表裏方向に製品押圧片6が可動することを可能としている。
【0030】
図3(b)、(c)は、側片2〜5のほぼ中央部より対向する他の側片2〜5のほぼ中央部との間或いはそれに平行して適宜本数の切断部を十字状又は串刺し状に形成したものである。
【0031】
図3(d)は、中央部にいずれかの側片2〜5と平行な切断部を設け、該切断部より隅部又は/及び側片2〜5に向けて放射状に切断部を形成したものである。
【0032】
図3(e)、(f)は、ほぼ対角線方向に沿って適宜本数の切断部を形成したものである。
【0033】
図3(g)は、円形或いは楕円形に沿って適宜本数の断続的な切断部を形成したものである。
【0034】
図3(h)、図4(i)、(j)は、隅部に側片の折れ曲がり部の交差部を頂点とし、その底辺側を直線状、湾曲状、山形状、波形状、鋸歯状等の形状をした製品押圧隅片11〜14を形成し、その各々を上記した図3(a)乃至(g)等の実施例のものに採用した形状のものである。
【0035】
図4(k)は、側片2〜5との境の折れ曲がり部のほぼ中央部にある程度の幅を有した突出形状の縁片7〜10を形成する切断部を設けたものである。縁片7〜10の先端となる該切断部は、可撓性フィルム15に損傷を与えないように湾曲状に形成することが望ましい。
【0036】
図4(l)は、側片2〜5との境の折れ曲がり部とほぼ平行に適宜本数の折り目又は折り目と該折り目とは異なる方向の切断部を形成したものである。
【0037】
図4(m)は、ほぼ対角線方向に適宜本数の折り目又は折り目と該折り目とは異なる方向の切断部を形成したものである。
【0038】
図4(n)は、円形或いは楕円形の適宜本数の折り目又は折り目と該折り目とは異なる方向の切断部を形成したものである。
【0039】
図4(o)は、円形或いは楕円形の折り目に沿って断続的に切断部を形成したものである。折り目は、側片2〜5と平行なもの或いは斜め方向のもの等様々な態様のものが考えられる。
【0040】
図4(p)、図5(q)は、製品押圧片6の適宜箇所に敵数個の貫通孔40を形成したものである。
【0041】
図5(r)、(s)、(t)は、様々な態様の切断部及び/又は折り目に沿って或いは切断部及び/又は折り目間に適数個の貫通孔40を形成したものである。
【0042】
上記貫通孔40を設けることにより、製品押圧片6の弾力性を増加させると同時に、製品を収納した後、当該収納した製品がどのようなものなのかを貫通孔40より可視することが可能となる。
【0043】
上記製品押圧片6の表面側全面には対向する第1、第4側片2、5或いは第2、第3側片3、4を含めその端部側を貼着して可撓性フィルム15を被覆する。該可撓性フィルム15は、伸縮性及び反覆性に優れ、破れや裂けが生じない耐久性に優れたものが使用される。
【0044】
上記状態の紙片を第4図の表面側平面図及び第5図の裏面図で示すように、第2図の展開図のものを第1、第4側片2、5を折り曲げ部16、29を境にして製品押圧片6の裏面側に位置するように180度折り返し、該側片2、5の両端部に形成した隅片17、18、27、28の糊代片17b、18b、27b、28bの裏面側に形成された貼着層を隣接する第2、第3側片3、4の裏面側に貼着する。図6、5の点で示す端部の三角形状部分が第2、第3側片3、4に貼着されることになる。
【0045】
上記のように、製品保持部材1は隅部の一部が貼着され、図6、5に示す第1、第4側片2、5及び隅片17、18、27、28が第2、第3側片3、4及び第1、第4縁片7、10に重なった偏平状の状態で製品Wを収納する位置まで運ばれることになる。偏平状のため効率的に重ねて運搬することが可能となる。
【0046】
製品Wを収納するときは、隅片17、18、27、28の重ね片17a、18a、27a、28aが対角線位置に形成した折り曲げ部17c、18c、27c、28cより折り曲げ自在に形成されているので、図6のA−A方向に側片3、4を押圧すると、側片2、5は折り曲げ部16、29を境にして製品押圧片6より離れる方向に移動し、同時に、折り曲げ部19、20及び30、31も移動し、それにより重ね片17aの表面と糊代片17bの表面とが接する位置まで移動して重なることになる。重ね片18aと糊代片18b、重ね片27aと糊代片27b及び重ね片28aと糊代片28bも同様に重なり、第1〜第4側片2〜5が製品押圧片6に対してほぼ直角方向へ移動し、図1に示す立体形の製品保持部材1が形成されることになる。
【0047】
図1、6に示すように、製品保持部材1を立体形にした状態で可撓性フィルム15上に製品Wを載置することになる。
【0048】
上記によって形成された製品保持部材1と同じものを別途用意し、図9に示すように、製品Wの載置された製品保持部材1の上に別途製品保持部材1´を重ね、可撓性フィルム15、15´及び製品押圧片6、6´により該製品Wを挟持するようにして保持することになる。
【0049】
可撓性フィルム15、15´及び製品押圧片6、6´により保持された製品Wは、その側部側は内側へ突出した対向する突出縁片8、8´、9、9´の元に戻ろうとする力により可撓性フィルム15、15´が押し上げられ、該製品Wを強く挟持することになる。また、製品Wが衝撃等により移動すると縁片8、8´、9、9´の先端側に接し、その面により該製品Wを当接保持することになるので外部から更なる振動や衝撃が加わってもその力を該縁片8、8´、9、9´により受けることができ、且つ力が集中的に作用しないので該製品W並びに可撓性フィルム15、15´及び該縁片8、8´、9、9´の破損を防止することができる。製品Wが突出縁片8、8´、9、9´の先端側に載置されても同様の効果を達成することができる。
【0050】
また、第1〜第4製品押圧隅片11〜14も上記同様、可撓性フィルム15、15´及び製品Wを押圧し、製品Wが移動すると製品Wの隅部が各々該第1〜第4製品押圧隅片11〜14の表面に当接し、押圧した状態になり、更なる製品Wの移動を防止することができる。また、第1〜第4製品押圧隅片11〜14の先端側に製品Wが載置されても同様の効果が得られることは上記と同様である。
【0051】
上記状態で製品Wを挟持した製品保持部材1、1´が収納された別途容器本体が落下した場合、製品Wの表裏面方向での落下の場合は可撓性フィルム15、15´及び製品押圧片6、6´の他に主として第1〜第4側片2〜5が強く働いて製品Wを保護することになり、製品Wの側面方向に落下した場合には、主として第1〜第4縁片7〜10及び第1〜第4製品押圧隅片11〜14が強く保持することになり、更に、隅部方向への落下の場合は、主として該第1〜第4製品押圧隅片11〜14が該製品Wの隅部を強く保持することになり、どのような方向での衝撃や落下に対しても該製品Wを強く保持することが可能となる。
【0052】
上記実施形態によれば、以下の構成とすることもできる。
本実施形態は、紙片を折り曲げて製品を挟持する衝撃緩和運搬容器において、立ち上がり支持材を兼ねる周辺部の側片、該側片によって囲まれ該側片との境の折れ曲がり部を基端として可動自在とした製品押圧片、該側片に貼着され該製品押圧片表面側全面を非貼着状態で被覆した可撓性フィルムとより形成した一方の製品保持部材と、該製品保持部材と同様の構成を有する他方の製品保持部材とよりなり、それら双方の可撓性フィルムを対向させたその間を製品配設部とした衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0053】
また、製品押圧片は、中心部より隅部或いは側片に向けて適宜本数の切断部を放射状に形成した衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0054】
更に、製品押圧片は、側片のほぼ中央部より対向する他の側片のほぼ中央部との間或いはそれらに平行して適宜本数の切断部を十字状或いは串刺し状に形成した衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0055】
また、製品押圧片は、その中心部にいずれかの側片と平行な切断部を設け、該切断部より隅部又は/及び側片に向けて適宜本数の切断部を放射状に形成した衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0056】
更に、製品押圧片は、ほぼ対角線方向に沿って適宜本数の切断部を形成した衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0057】
また、製品押圧片は、円形或いは楕円形に沿って適宜本数の断続的な切断部を形成した衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0058】
更に、製品押圧片は、その隅部に側片の折れ曲がり部の交差部を頂点とし、その底辺側を直線状、湾曲状、山形状、波形状、鋸歯状等の形状とした製品の隅部を押圧する製品押圧隅片を形成する切断部を設けた衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0059】
また、製品押圧片は、側片との境の折れ曲がり部のほぼ中央部にある程度の幅を有した突出形状の縁片を形成する切断部を設けた衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0060】
更に、製品押圧片は、側片との境の折れ曲がり部とほぼ平行に適宜本数の折り目又は折り目と該折り目とは異なる方向の切断部を形成してなる衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0061】
また、製品押圧片は、ほぼ対角線方向に適宜本数の折り目又は折り目と該折り目とは異なる方向の切断部を形成してなる衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0062】
更に、製品押圧片は、円形或いは楕円形の適宜本数の折り目又は折り目と該折り目とは異なる方向の切断部を形成してなる衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0063】
また、製品押圧片は、折り目に沿って断続的に切断部を設けた衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0064】
更に、製品押圧片は、適宜箇所に適数個の貫通孔を形成した衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0065】
また、貫通孔は、切断部及び/又は折り目に沿って或いはその間に形成した衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0066】
更に、製品押圧隅片は、その隣接する製品押圧隅片間の間隔を収納する製品に接するか或いは近接する位置に形成し、少なくとも該製品が移動したときに該製品の隅部が該製品押圧隅片の表面に当接するように構成してなる衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0067】
また、縁片は、対向する縁片間の間隔を収納する製品に接するか或いは近接する位置に形成し、少なくとも該製品が移動したときに該製品が該縁片の表面に当接するように構成してなる衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【0068】
更に、各々の側片の両端部には隅片を形成し、該隅片はその対角線方向に形成した折り曲げ部により分割された一方を糊代片とし、該糊代片を隣接する側片の裏面側に貼着して立ち上がり支持材としてなる衝撃緩和運搬容器を特徴とする。
【符号の説明】
【0069】
1、1’ 製品保持部材
2、3、4、5 第1〜第4側片
6、6’ 製品押圧片
7、8、8’、9、9’、10 第1〜第4縁片
11、12、13、14 第1〜第4製品押圧隅片
15、15’ 可撓性フィルム
16、23、24、29 折り曲げ部
17、18、27、28 隅片
17a、18a、27a、28a 重ね片
17b、18b、27b、28b 糊代片
17c、18c、27c、28c 折り曲げ部
19、20、21、22、25、26、30、31 折り曲げ部
32、33、34、35、36、37、38、39 第1〜第8切断部
40 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙片を折り曲げて製品を挟持する衝撃緩和運搬容器であって、
立ち上がり支持材を兼ねる周辺部の側片、適宜本数の切断部が形成され該側片によって囲まれ該側片との境の折れ曲がり部を基端として可動自在とした製品押圧片及び該側片に貼着され該製品押圧片表面側全面を非貼着状態で被覆した可撓性フィルムより形成した一方の製品保持部材と、
該製品保持部材と同様の構成を有する他方の製品保持部材と、を備え、
一方の製品保持部材の可撓性フィルムと他方の製品保持部材の可撓性フィルムとを対向させたその間を製品配設部とした衝撃緩和運搬容器。
【請求項2】
製品押圧片には、その中心部にいずれかの側片と平行な切断部を設け、該切断部より隅部又は/及び側片に向けて適宜本数の切断部を放射状に形成した請求項1に記載の衝撃緩和運搬容器。
【請求項3】
製品押圧片には、その隅部に側片の折れ曲がり部の交差部を頂点とし、その底辺側を直線状、湾曲状、山形状、波形状、鋸歯状等の形状とした製品の隅部を押圧する製品押圧隅片を形成する切断部を設けた請求項1又は2に記載の衝撃緩和運搬容器。
【請求項4】
製品押圧片には、側片との境の折れ曲がり部のほぼ中央部に突出形状の縁片を形成する切断部を設けた請求項1乃至3のいずれか記載の衝撃緩和運搬容器。
【請求項5】
各々の側片の両端部には隅片を形成し、該隅片はその対角線方向に形成した折り曲げ部により分割された一方を糊代片とし、該糊代片を隣接する側片の裏面側に貼着して立ち上がり支持材としてなる請求項1乃至4のいずれか記載の衝撃緩和運搬容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−184107(P2011−184107A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143086(P2011−143086)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3145636号
【原出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(507265281)ジャパン・プラス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】