説明

衝突緩和装置を備えた軌条車両

【課題】衝突直後のエネルギー吸収部材が圧縮荷重を受けて弾性変形をしているうちにエネルギー吸収部材の圧壊を開始・促進することにより、衝突の際のピーク荷重を下げて、乗客や搭乗員に及ぶ衝撃力(加速度)を低減する衝突緩和装置を提供する。
【解決手段】軌条車両は、台枠6の端部に、衝突時に圧壊することにより衝突エネルギーを吸収するエネルギー吸収体100を有する衝突緩和装置を備えている。衝突直後のエネルギー吸収体100が圧縮荷重を受けて弾性変形をしているうちに、エネルギー吸収体100の圧壊を開始・促進するトリガ機構として、エネルギー吸収体100の先端部102に設けられる突起103と、トリガ部材としての筒体110が設けられている。トリガ機構の作用がきっかけになり、エネルギー吸収体100は弾性変形の間に圧壊を開始し、弾性変形が更に進んで衝突の際のピーク荷重が大きくなるのを回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道車両や路面電車、モノレール車両、新都市交通のような軌条車両に適用されるエネルギー吸収材を有する衝突緩和装置を備えた軌条車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両で代表される軌条車両では、運行中に予期しない物体との衝突が生じる可能性がある。鉄道車両を例として過去の衝突事例を挙げると、衝突物体としては、道路車両、樹木や他の鉄道車両などの大型のものから、石、雪塊や対向車両の部品といった小型のものまでその種類はさまざまである。
【0003】
ここで、鉄道車両が大きな物体と衝突した場合を考える。大きな物体と衝突した場合、この物体との衝突により鉄道車両には大きな衝撃が作用することになる。この衝撃から、鉄道車両に搭乗している乗員・乗客を保護するために、車両構造物の一部を積極的に変形させることにより衝突のエネルギーを吸収する概念が存在する。即ち、輸送機器の構造物に、乗員・乗客が搭乗しており物体との衝突時に輸送機器の構造物が潰れないことを目的とした空間(以後、「サバイバルゾーン」と呼ぶ)と、物体との衝突時に輸送機器の構造物を積極的に変形させて衝突のエネルギーを吸収する空間(以後、「クラッシャブルゾーン」と呼ぶ)とを分離して設けるという概念である。
【0004】
先頭車両や最後尾車両のように、車体の長手方向の端部である運端台の先端部に飛来物防御板を設け、当該飛来物防御板に開けた窓にエネルギー吸収部材を貫通させて、エネルギー吸収部材を運転台内から飛来物防御板の先まで延びる形態に配置した軌条車両における衝突緩和装置が提案されている(特許文献1参照)。高吸収容量のエネルギー吸収部材を、車体に設けられる運転台のスペースを利用して効率良く配置することを図っている。衝突緩和装置の圧壊方向は車体の長手方向に揃えられており、エネルギー吸収部材が小刻みな座屈を繰り返して圧壊することで、衝突時のエネルギーを吸収することを可能にしている。また、飛来物防御板を含むクラッシャブルゾーンの梁部材を強固に設置し、サバイバルゾーンに連結させることができる。
【特許文献1】特開2007−302081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衝突緩和装置は、鉄やアルミニウム等の金属材料、或いはそれらをハイブリッドとして組み合わせた材料からなる筒状体で構成されたエネルギー吸収構造を備えており、エネルギー吸収構造は筒状体の軸線を車両の長手方向に揃えて配置されている。ところで、これらの金属材料には、歪が速度に依存するという特性が存在する。即ち、図4(a)に示すように、降伏応力σyの値は、歪速度dε/dtの大きさによって大きく変化することが判っている。この歪速度依存特性は歪速度が大きいほど降伏応力の値も大きくなるという性質を示すものであり、歪速度が大きいときには、材料は恰も剛性が高くなったものとしての振舞いをする。
【0006】
衝突緩和装置は、この特性により、低速で衝突するときには歪速度が小さいので降伏応力が小さく、圧壊に伴うピーク荷重も小さい。即ち、衝突緩和装置は小さい変位で圧壊が始まり、そのときの最大荷重(ピーク荷重;乗客や搭乗員にとっては最大加速度)も小さくなる(図4(b)のB点参照)。しかしながら、高速で衝突するときには変形も急激になることから、歪速度が大きく降伏応力は高い値を示す。このときには、変位が大きくなっても応力が大きな降伏応力に達するまで圧壊が始まらず、圧壊に伴って生じるピーク荷重も大きなものとなり、大きな衝撃力(加速度)が搭乗員や乗客に作用する(図4(b)のA点参照)。なお、図4(b)で、圧壊が生じるまで材料は弾性変形を生じ、圧壊の開始後は荷重は変動しながら変位が増加し、ピーク荷重もそうした変位の増加の中で生じる様子が示されている。
【0007】
そこで、衝突緩和装置において、衝突した直後のエネルギー吸収部材の変形が弾性変形域内にあるうちに、エネルギー吸収体に圧壊のきっかけ(トリガ)を与えて圧壊を促進し、衝突の際のピーク荷重を下げる点で解決すべき課題がある。
【0008】
この発明の目的は、衝突した直後のエネルギー吸収部材が圧縮荷重を受けて弾性変形をしているうちにエネルギー吸収部材の圧壊を開始・促進することで、衝突の際のピーク荷重を下げて、乗客や搭乗員に及ぶ衝撃力(加速度)を低減することができる衝突緩和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、この発明は、衝突時に圧壊することにより衝突エネルギーを吸収するエネルギー吸収体を有する衝突緩和装置を備えた軌条車両であって、衝突直後の前記エネルギー吸収体が圧縮荷重を受けて弾性変形をしているうちに前記エネルギー吸収体の圧壊を開始・促進するトリガ機構を備えたこと、を特徴としている。
【0010】
この衝突緩和装置を備えた軌条車両によれば、衝突時に衝突緩和装置を構成するエネルギー吸収体が圧縮荷重を受けて弾性変形をしているうちに、トリガ機構が作用してエネルギー吸収体の圧壊を開始・促進する。このトリガ機構の作用がきっかけになり、エネルギー吸収体が圧壊を開始するので、弾性変形が更に進んで衝突の際のピーク荷重が大きくなるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明である衝突緩和装置を備えた軌条車両は、上記のように構成されているので、衝突時に衝突緩和装置を構成するエネルギー吸収体が弾性変形をしているうちにトリガ機構が作用して、それをきっかけとしてエネルギー吸収材が圧壊を開始する。したがって、エネルギー吸収材の圧壊が、荷重の低い状態で開始・促進され、衝突の際に生じるピーク荷重が大きくならず、その分、乗客や搭乗員に及ぶ衝撃を緩和させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による衝突緩和装置を備えた軌条車両の実施例を説明する。まず、図3を参照して鉄道車両構体の構造を説明する。図3は鉄道車両の一例を模式的に示す斜視図である。鉄道車両構体1は、屋根を形成する屋根構体2、車体長手方向に対して両端を閉鎖する面を形成する妻構体3、車体長手方向に対して左右の面を形成する側構体4、及び床面を形成する台枠5から構成されている。台枠5は長手方向の圧縮荷重に対して剛性が大きい。側構体4には窓や出入口の開口が形成されている。このような基本構造を持つ鉄道車両構体1は、衝突時に乗員・乗客の生命を保護するサバイバルゾーン10と、衝突時に生じるエネルギーを吸収するクラッシャブルゾーン11(11a,11b)とによって構成されている。サバイバルゾーン10のクラッシャブルゾーン11寄りの端部には、屋根構体2、側構体4及び台枠5の各端部で囲まれる開口部20が形成されている。また、クラッシャブルゾーン11には、列車を運転するために運転士等の乗務員が搭乗する運転台25が配置されている。
【0013】
クラッシャブルゾーン11は、車両の長手方向の両端部に設置され、サバイバルゾーン10を車両の長手方向に挟み込むように配置されている。本図では運転台25を有する車両を用いて構造を説明したが、運転台25を有さない車両でも、クラッシャブルゾーン11とサバイバルゾーン10の相対的な配置は変わらない。
【0014】
クラッシャブルゾーン11aには、運転台25の進行方向端部に、面内の向きを進行方向直角方向とした平板状の飛来物防御板50が配置されている。クラッシャブルゾーン11aには、また、2つのエネルギー吸収部材100,100が飛来物防御板50を貫通して且つ車幅方向に隔置して配置されている。
【0015】
図1はこの発明による衝突緩和装置を備えた軌条車両の要部を模式的に示す図である。図1(a)は衝突前の状態を示す図、図1(b)は衝突後の一瞬間を示す図、図1(c)は衝突後の圧壊した状態を示す図である。
【0016】
図1に示す衝突緩和装置を構成するエネルギー吸収部材100は、軌条車両の端部に設けられる装置であり、図3に示したように、先頭車両や最後尾車両の先端端部のみならず、列車編成の中間車両においても、それらの端部に適用可能である。編成車両は前後の先頭車と所要数の中間車とからなる。例えば、先頭車両(最後尾車両の場合も含む)が障害物や他の車両等と衝突した時には、先頭車両と隣接する中間車両との間のみならず、隣り合う中間車両の端部間同士で次々に衝突が生じる。衝突エネルギー吸収装置を、先頭車両の端部及び中間車両の各端部に適用しておくことで、列車編成のどこで衝突が生じてもその時の衝撃、或いは中間車両間で副次的に生じ得る衝突を本衝突エネルギー吸収装置によってそれぞれ吸収することができる。
【0017】
エネルギー吸収部材100は、図示のように細長い筒状の構造を有しており、好ましくは各車両の台枠5(図1参照)の端部6に対してその長手方向を車両の長手方向に揃え且つその基部を固定することで、車体に片持ち状に支持されている。図示されている衝突緩和装置は、1本のエネルギー吸収部材100から構成されているが、図3に示すように車両の幅方向に複数本、並べて配置し、広い範囲で且つ吸収エネルギー量を多くして衝突を緩和することが好ましい。
【0018】
図1(a)に示すように、エネルギー吸収部材100は、中空構造を内部に有する筒状体(詳細は後述する)であって、基部101が車両の台枠5の端部6に取り付けられることで、台枠5に対して片持ち状、即ち、横置きされた状態で固定されている。また、エネルギー吸収部材100に関連して、トリガ部材として、エネルギー吸収部材100の周囲を取り囲む筒体110が設けられている。筒体110は、基端部111において台枠5の端部6に対して片持ち状に固定されており、エネルギー吸収部材100よりも短い長さを有している。それゆえ、エネルギー吸収部材100の先端部102は、衝突前の状態では、筒体104の先端部112よりも前側に突出した位置を占めている。
【0019】
エネルギー吸収部材100には、先端部102において、径方向に突出した突起103が設けられている。突起103は、エネルギー吸収部材100の柱を取り巻く環状突部であっても、エネルギー吸収部材100の周囲の所定の範囲に渡って延びる扇形突部であっても、或いは、エネルギー吸収部材100の周囲に所定個数突出形成された小突起であってもよい。衝突前の状態で、突起103と筒体110の先端部112との間には、隙間δが形成されている。
【0020】
図1(b)に示すように、車両が衝突物と衝突したとき(中間車両においては、隣の車両と衝突するとき)、エネルギー吸収部材100の先端部102に衝撃力が作用する。隙間δは、衝突速度が速く、エネルギー吸収部材100が当該衝突に起因して弾性変形をするうちに、突起103が筒体110の先端部112に衝突する広さに設定されている。突起103が筒体110に衝突することにより、エネルギー吸収部材100に圧壊のトリガが与えられる。圧壊トリガを与えられたエネルギー吸収部材100は、塑性変形領域に移行して圧壊を開始し、そうした圧壊の中で生じるピーク荷重は歪速度のみに依存した圧壊の場合に生じる高いピーク荷重よりも低い荷重となる。エネルギー吸収部材100が圧壊をしつつある状態が図1(c)に示されている。この状態では、筒体110も塑性変形をしてエネルギー吸収の作用を奏するが、衝突のエネルギーは主としてエネルギー吸収部材100が圧壊をすることで吸収される。
【0021】
図2にこの発明による衝突緩和装置による、衝突時のピーク荷重の低減効果の一例が示されている。図2は、横軸をエネルギー吸収材100の変位量(先端部102の変位量;単位mm)とし、縦軸をエネルギー吸収材100に作用する荷重(kgN)としたグラフであって、エネルギー吸収材の変位−荷重特性の一例を示している。突起103と筒体110の先端部112との間の隙間δについては、1.0mmの場合(実線で表示される「あ」)と、0.25mmの場合(点線で表示される「い」)とが示されている。
【0022】
この例では、隙間δが吸収されて圧壊トリガが作用し、圧壊に伴う変形が進行するなかで、変形量が2.5mm程度のところでピーク荷重が生じている。ピーク荷重は、隙間δが0.25mmの場合の方が、1.0mmの場合よりもΔPだけ軽減されている。即ち、衝突緩和装置は、早期に圧壊を開始するものほど、その後の圧壊に伴って生じるピーク荷重を低減させることができることが解る。衝突の激しさが変われば、より変量の大きいところでより大きなピーク荷重が発生する。その場合も、エネルギー吸収部材100に圧壊トリガを与えることによって、ピーク荷重の低減を図ることができる。
【0023】
突起103の材質としては、エネルギー吸収部材100と同様にアルミニウム材とすることができる。
【0024】
図5〜図7に示される実施形態は、先頭車両の中間車両寄りの車端部構造体203a及び中間車両同士の車端部構造体203bに適用されている衝突エネルギー吸収装置201を示している。車端部構造体(特に、203b)には、編成上、車体間での乗り移り用の貫通路203gの両脇側に設けられたスペース203cに運転席203dを備える場合がある。運転者用のスペース203cを形成するため、スペース203cを取り囲むように周囲にはフレーム203fが配置されており、前面には乗務員等を小石等の飛来物から保護するために飛来物遮蔽板203e(ハッチングを付した部分)が配置されている。遮蔽板203eは左右の主板部分を下辺部分で接続して構成されており、下辺部分にはエネルギー吸収部材211,211,212,212が貫通する孔203i,203i,203j,203jが形成されている。車端部構造体203a,203bは、妻構体とほぼ同様な機能を有する。車端部構造体203a,203bは、溶接等の適宜の固定手段によって車体本体の妻部分に取り付けられている。車端部構造体203aを車内側から見た場合、その床面203hは、台枠5上の床面204bと実質的にフラットであって連続した構造となっている。
【0025】
この例では、衝突エネルギー吸収装置は、車体の台枠5の端板204aにおいて車体幅方向の外側に各一つずつ取り付けられた大型のエネルギー吸収体211,211と、車体幅方向の中央寄りに各一つずつが車体幅方向に隔置して取り付けられた小型のエネルギー吸収体212,212を備えている。各エネルギー吸収体211,212は、その長手方向を車体長手方向に沿って延びる態様で配置されている。各エネルギー吸収体211,212の先端部側は、車体全体の長手方向の最も車端側に配置されている。各エネルギー吸収体211,212の基端部側とは、その車体長手方向の中央寄りの位置を指している。更に、エネルギー吸収体211とエネルギー吸収体212とは、車体長手方向に対して交差する方向に並べて配置されている。即ち、エネルギー吸収体211とエネルギー吸収体212とは、車体幅方向に並べて互いにほぼ平行に配置されている。各エネルギー吸収体211,212は、具体的には、各吸収体の中心を各車体間において同じ高さ位置に合わせて、且つ車体幅方向に関して左右対称な位置に配置されている。各エネルギー吸収体211,212は、先端側が端板211a,212aで覆われているとともに、それらの基端部側に備わる端板211b,212cをボルト・ナット等の固着具213によって台枠5の端板204aに固定することによって車体(台枠4)に取り付けられている。固着具213は、他の形式の締め付け手段でもよく、また溶接で行ってもよい。エネルギー吸収体211,212は、大型のものと小型のものを示したが、これに限らずすべて同型のものでもよく、或いは大型のものと小型のもので車体幅方向の内外で逆に配置してもよく、更には、より多くの異なる型のものを組み合わせてもよいことは明らかである。
【0026】
図7に示す実施形態において、大型のエネルギー吸収体211は小型のエネルギー吸収体212よりも直径及び長さにおいて大きな寸法を有している。小型のエネルギー吸収体212は、台枠5の端板204aに取り付けたときに、エネルギー吸収体212の先端部が車体の端部(飛来物遮蔽板203eの端面)と略同じ位置を占めるような長さを有している。一方、大型のエネルギー吸収体211は、小型のエネルギー吸収体212よりも長さΔLだけ長い構造となっている。これらエネルギー吸収体211,212は、台枠5の端板204aに取り付けた状態で、図6にそれぞれが重なって示され、また、図7に並べて示すように配置されている。大型のエネルギー吸収体211は、車体の端部から僅か(例えば、100mm程度)に突出している。衝突により、台枠5に大きな衝撃力がかかっても、前記したように台枠5は強固であるので、その荷重に耐えることができる。このように、複数のエネルギー吸収体の圧壊方向先端部は、すべての先端部の位置が異なる必要はないが、軌条車両の長手方向に分散した位置に置かれている。
【0027】
したがって、衝突時にはその衝撃が車体間に及んで隣り合う車両の車端部構造体203a,203bのそれぞれに対向して衝突エネルギー吸収装置が設けられている場合には、それら衝突エネルギー吸収装置が作動する。各車体に設置されたエネルギー吸収体211,212のそれぞれの先端位置のずれ(ΔL)によって、隣り合う車両間において、大型のエネルギー吸収体211,211同士が先に衝突して圧壊し始める。その後、僅かな時間差を置いて小型のエネルギー吸収体212,212同士が衝突して、遅れて圧壊が始まる。エネルギー吸収体211,212の圧壊について説明する。例えば、図7に示すエネルギー吸収体211の具体的な圧壊の例が図12(後述する座屈防止材を内蔵した例であるが、圧壊の例として参照)に示されている。衝突発生時の車両の姿勢は軌条が直線状であるか曲線状等であるかによって厳密には同じではないが、隣り合う車両が衝突する場合は車両の長手方向にほぼ沿った方向に衝突すると考えてよい。そうした場合、エネルギー吸収体211,212は、各吸収体211,212を構成する筒状体が軸方向に微小な座屈を繰り返して、軸線を維持しながらほぼ真っ直ぐに潰れる形態で破壊していく。圧壊した後の形態は、例えば、縮んだ蛇腹構造の形態となっている。即ち、エネルギー吸収体211,212は、長さ方向の全体が二つに折れ曲がって、くの字状に座屈する変形、即ち、全体座屈ではなく、蛇腹構造を呈した変形をすることから、衝突エネルギーを十分吸収することができる。
【0028】
両タイプのエネルギー吸収体211,212の僅かな圧壊開始時期のずれによって、ピーク荷重が分散されるので、衝突エネルギー吸収装置の圧壊ピーク荷重が低減され、車体本体や乗客等への負担を軽減することができる。ピーク荷重の分散の様子が図13に一例としてグラフに示されている。図13に示されているように、従来のエネルギー吸収体の配置では、エネルギー吸収体が複数あっても、先端が揃っているために潰れ開始が同時であり、その結果、圧壊開始当初に非常に高いピーク荷重が発生する(グラフb参照)。これに対して、本実施形態のように、両エネルギー吸収体211,212の長さの違いに起因した先端部の位置の差ΔLに応じた圧壊開始時期のずれによって、ピーク荷重が生じる時期にずれが生じる。その結果、先に作動したエネルギー吸収体211による荷重がピークを付けた後に一端荷重が低下し、その後、後に作動するエネルギー吸収体212による荷重がピークを付ける。一度に両方のエネルギー吸収体211,212が作動するときと比べて、本実施形態では、全体としてのピーク荷重の高さを抑えることができる(グラフa参照)。
【0029】
図示の例では、エネルギー吸収体211,212は、断面のサイズが異なるが、内部の構造は互いに相似形である。図11を参照して、一つの種類の衝突エネルギー吸収装置を構成するエネルギー吸収体211(212)について説明する。各エネルギー吸収体211(212)は、断面が八角形の中空構造270を有しており、例えばアルミニウム合金の押出し形材で製造されている。即ち、その断面は、八角形の外側壁部271と、外側壁部271と相似形を呈する八角形の内側壁部272と、両壁部271,272の八角形の壁部の頂点部分を連結する複数の径方向壁部273とを有している。内側壁部272内には、断面八角形の内部空間が形成され、外側壁部271と内側壁部272との間には、径方向壁部273で仕切られた断面台形の内部空間が環状に並んで形成されている。各エネルギー吸収体211(212)の八角形の内部空間は空間214(215)となっており、座屈防止材216(217)を挿入可能な収容空間となっている。なお、図11に示す例ではエネルギー吸収体211(212)は断面八角形の中空構造270としたが、断面形状についてはこれに限らず、断面四角筒、円筒等の適宜の中空断面形状とすることができ、内外の筒壁間を複数のリブによって、例えばトラス構造のように、連結して構成することができる。エネルギー吸収体211(212)の外径寸法D1は180〜210mmであり、内側壁部272の内径寸法D2は120mm程度である。
【0030】
図7に示すように、各エネルギー吸収体211,212の八角形の内側の空間214,215にはそれぞれ座屈防止材216,217が挿入されている。(ここで、座屈防止材は、エネルギー吸収体の全体座屈を防止する部材であって、全体座屈防止材との意味で用いているが、便宜上、以下、単に「座屈防止材」と記載する。)座屈防止材216,217は、エネルギー吸収体211,212の変形が軸方向に蛇腹状に圧壊していく変形となるように規制する。即ち、座屈防止材216,217をエネルギー吸収体211,212の中に挿入することによって、エネルギー吸収体211,212が変形し始めるときに、中間部分が大きく折れるような変形、即ち、前記全体座屈を生じてエネルギー吸収体としての機能が早期に損なわれるのを防止している。
【0031】
座屈防止材216,217は、アルミ合金製の円柱体とすることができ、その長さは適宜選択することができる。アルミ合金製に代えて、繊維強化プラスチック(FRP)のような材料で製造することができる。即ち、座屈防止材216,217は、エネルギー吸収体211,212よりもある程度高い曲げ剛性を持っているが、鉄等の金属製品ほどの曲げ剛性でなくてもよく、エネルギー吸収体211,212が圧壊するときに蛇腹状に潰れていくように規制できる曲げ剛性であればよい。また、座屈防止材216,217は、必要な剛性が得られれば、中実体であっても、内部が空洞になった筒状体であってもよい。更に、図7に示されるエネルギー吸収体211に設けられる座屈防止材216の長さは、エネルギー吸収体212に設けられる座屈防止材217の長さ(エネルギー吸収体212の長さよりも長い)よりも短く設定されているが、これに限ることなく長さについては適宜選択することができる。
【0032】
図7に示すエネルギー吸収体211において、座屈防止材216は、長さ方向の中間位置に配置されている。エネルギー吸収体211の長さが長くなる場合には、継ぎ板214a,214bを隅肉溶接等の手段によって継ぎ足して(エネルギー吸収体211を継ぎ板214a,214bで多数に仕切る。)設けることができる。エネルギー吸収体211内に設けられる座屈防止材216は端部側の継ぎ板214a、又は、基端部側の継ぎ板214bのいずれか一方に固定されており、継ぎ板214a,214bの他方には座屈防止材216が通ることができるように孔214cが形成されている。座屈防止材216は、内側壁部272及び孔214cとの間で適当な隙間を以って配置されており、エネルギー吸収体211が圧縮されたときには、座屈防止材216がエネルギー吸収体211に対して軸方向に移動し、エネルギー吸収体211を蛇腹状に変形させる。また、座屈防止材216と内側壁部272との隙間は、内側壁部272が内側に蛇腹状に変形する際にその妨げとならない間隔を確保している。即ち、図11に示すように、座屈防止材216(217)と内側壁部272との間には寸法D3で示すように、約15mmの隙間が形成されており、両側で30mmの余裕が設けられている。座屈防止材216の継ぎ板214b側端部は、継ぎ板214bの孔214cに挿入されていても良い。このように座屈防止材216の端部が継ぎ板214bの孔214cに挿入された構造であれば、孔214cが座屈防止材216のガイドとなるため、座屈防止材216がスムーズに車体長手方向に移動することができる。このような構造において、図12に示すように、エネルギー吸収体211に衝突に伴う衝撃が掛かった場合、エネルギー吸収体211が座屈変形を始める。そして、エネルギー吸収体211の長手方向中央部分で、くの字状に変形して全体座屈をしようとしても座屈防止材216がその変形を防止して、エネルギー吸収体211の全体を蛇腹状に変形させることができる。なお、図12は、圧壊の様子を示す目的のものであり、圧壊を促進するトリガ機構については図示を省略している。座屈防止部材16を備える形式の衝突緩和装置であっても、図1に示すような突起と筒体等からなるトリガ機構を備えることができるのは、勿論である。
【0033】
図7において、エネルギー吸収体212の内側の空間215に1本の座屈防止材217が挿入されており、端板212aに溶接によって固定されている。座屈防止材217の後端は台枠の端板204aに設けた孔204cを貫通して配置されている。これによって、エネルギー吸収体212に衝撃が掛って座屈変形する際、座屈防止材217は、エネルギー吸収体212に対して軸方向に移動し、エネルギー吸収体212の全体座屈を防止して、蛇腹状の圧壊変形を行わせる。
【0034】
台枠の端板204aの孔204cは、継ぎ板214bの孔214cと同様に座屈防止材217のガイドとなり、エネルギー吸収体212の蛇腹状の変形を円滑に行わせることができる。また、エネルギー吸収体212の内側壁部272と座屈防止材217との隙間は、内側壁部272の蛇腹状の変形を許容する間隔を確保することが望ましい。以上のように座屈防止材217は、それ自体はエネルギーの吸収には殆ど寄与しないが、エネルギー吸収体212を蛇腹状に変形させる機能を備えている。
【0035】
図7に示す実施例において、飛来物遮蔽板203eには、エネルギー吸収部材211の端板211aに向かってトリガ部材110,110が突出して形成されている。トリガ部材110の形態は、図1について説明した態様と同等である。端板211aの周縁部が突起の役目を果している。トリガ部材110を設けることによって、図7で示す実施例においても、圧壊の開始を早めて、速度依存性に起因した衝撃荷重のピーク値が高くなるのを回避することができる。なお、ΔLを適宜設定することにより、飛来物遮蔽板203eそれ自体が、トリガ部材110の役目を果たすこともできる。
【0036】
次に、図8〜図10に基づいて、第二の実施形態として、この発明による衝突エネルギー吸収装置及びそれが適用された軌条車両としての先頭車両について説明する。
【0037】
先頭車両の先頭部202は前方に凸の曲面状である。先頭車両の後端と中間車両の先端のそれぞれに衝突エネルギー吸収装置が配置されており、先頭部202には障害物等との衝突の際に発生する衝突エネルギーの一部を吸収する衝突エネルギー吸収装置250が配置されている。先頭車両の先頭部202の最先端部分には、連結器210が設けられている。
【0038】
図8〜図10に示すように、衝突エネルギー吸収装置250(250a)は、先頭車両において、車体本体の長さ方向の所定領域としての先頭部202の領域に車体本体の幅方向に隔置して取り付けられている。具体的には、車体の幅方向に左右の両側に同じ構造の衝突エネルギー吸収装置250a,250bが対称的に配置されている。図示の例では片側のみが示されており他方については図示を省略している。各側の衝突エネルギー吸収装置250a,250bは、上下二段に構成されている。上下の各段には、それぞれ、先端側に衝突時に圧壊することにより衝突エネルギーを吸収する第1エネルギー吸収体251,第2エネルギー吸収体252が配置されている。第1エネルギー吸収体251,第2エネルギー吸収体252は、第一の実施形態の場合と同様に、図11に示すような断面が八角形の中空構造を有する筒状の構造体であり、その筒の軸線が車体長手方向(前後方向且つ走行方向)と平行となる方向に配置されている。したがって、両側の衝突エネルギー吸収装置250a,250bは、全体として車体先端側に向かって合計4本の第1エネルギー吸収体251,第2エネルギー吸収体252を備えている。
【0039】
上下二段に構成されている第1エネルギー吸収体251及び第2エネルギー吸収体252は、その圧壊方向の一端側、即ち車体長手方向の中央よりの端部において、共通の支持板258に取り付けられている。両エネルギー吸収体251,252は、支持板258の後方端部(車体長手方向中央寄りの端部)では、1本の共通する第3エネルギー吸収体253に接続されている。第3エネルギー吸収体253は、後方部(車体長手方向中央寄りの端部)で車体本体の構造フレーム254を介して台枠5に連結されている。第1〜第3のエネルギー吸収体251〜253は、後方(車体長手方向の中央側)に配置される吸収体ほど、その断面が大きく構成されている。
【0040】
共通の支持板258は、周囲端縁が全体として略四角筒状になった案内筒259に固定されている。案内筒259の外周面259aは、車両本体に取り付けられたガイド筒板260の内面側260aに摺動可能に嵌合されている。したがって、衝突時には、まず、第1及び第2エネルギー吸収体251,252が変形して圧壊によって所定のエネルギーを吸収した後に、第3エネルギー吸収体253が変形を開始して、共通の支持板258と共に案内筒259がガイド筒板260に案内されつつ車体後方に向かって移動する。なお、第1及び第2エネルギー吸収体251,252の圧壊によって、衝突によるエネルギーを吸収しきった場合には、第3エネルギー吸収体253は変形しない。第1エネルギー吸収体251,第2エネルギー吸収体252は、ガイド筒板260の内面側260aによって案内されるので、中間部分(ガイド筒板260の箇所)で座屈することなく、全長に渡って衝突エネルギー吸収作用を発揮させることができる。案内筒259、ガイド筒板260は、この発明におけるスライドガイドを構成している。ガイド筒板260は台枠5の前端において設置されている。ガイド筒板260よりも後方は、運転席である。運転席の前端は飛来物遮蔽板261で覆われている。ガイド筒板260は飛来物防御板261に開いた孔といえる。第1〜第3のエネルギー吸収体251,252,253は、くの字状に全体座屈することなく、衝突エネルギー吸収作用が継続される。
【0041】
図10に示すように、第1エネルギー吸収体251及び第2エネルギー吸収体252の衝突方向先端位置は、車体端部に配置される衝突エネルギー吸収装置の場合と同様に、複数の位置にずらされている。即ち、第1及び第2のエネルギー吸収体251,252は衝突方向の長さが僅かに異なっており、共通の支持板258に支持された状態では第1エネルギー吸収体251の先端位置が第2エネルギー吸収体252の先端位置よりも僅かΔLだけ(例えば、100mm程度)前方に位置している。これらの先端位置のずれ(ΔL)によって、先頭車両の衝突時には、第1エネルギー吸収体251が第2エネルギー吸収体252よりも先に圧壊され始める。この僅かな圧壊開始時期のずれによってピーク荷重が分散されるので、エネルギー吸収材251〜252の圧壊ピーク荷重が低減され、車体本体や乗客等への負担を軽減することができる。なお、エネルギー吸収体251〜254の構造については、図5〜図7に示したエネルギー吸収体の構造に倣って構成してもよいことは明らかである。
【0042】
図10に示す実施例においては、車両が衝突物と衝突したとき、各エネルギー吸収体251〜253に衝撃力が作用する。各エネルギー吸収体251〜253には横方向に突出する突起103が設けられ、突起103と仕切り板や支持板258に設けられている筒体110との間には僅かな隙間δが形成されている。当該隙間δは、衝突速度が速く、各エネルギー吸収部材251〜253が当該衝突に起因して弾性変形をするうちに、突起103が隙間分を移動してトリガ部材である筒体110の先端部に衝突する広さに設定されている。突起103が筒体110に衝突することにより、エネルギー吸収部材100に圧壊のトリガが与えられる。圧壊トリガを与えられたエネルギー吸収部材100は、塑性変形領域に移行して圧壊を開始し、そうした圧壊の中で生じるピーク荷重は歪速度のみに依存した圧壊の場合に生じる高いピーク荷重よりも低い荷重となる。なお、ここでは各エネルギー吸収体の全周を取り巻く筒体110として説明したが、周方向に分割されて部分的に配置される構造のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明による衝突緩和装置を備えた軌条車両の要部を模式的に示す図である。
【図2】この発明による衝突緩和装置による、衝突時のピーク荷重の低減効果の一例を示すグラフである。
【図3】図3は鉄道車両の一例を模式的に示す斜視図。
【図4】歪の速度依存特性を説明する図である。
【図5】この発明による、衝突エネルギー吸収装置が車端部構造体に適用されている軌条車両の第一の実施形態を示す正面図である。
【図6】図5に示す車端部構造体の側面図である。
【図7】図5に示す衝突エネルギー吸収装置の一部を示す水平断面図である。
【図8】この発明による軌条車両の第二の実施形態としての先頭車両について、その正面右半分を示す底断面図であり、図9のY−Y断面図である。
【図9】図8に示す先頭車両の一部をZ−Zの断面で示す縦断面図である。
【図10】図8に示す先頭車両の一部をX−Xの断面で示す横断面図である。
【図11】エネルギー吸収体の一例を示す正面図である。
【図12】エネルギー吸収体が圧壊した状態の一例を示す断面図である。
【図13】本発明による衝突エネルギー吸収装置のエネルギー吸収時の変位に応じた荷重の変化の様子の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0044】
1 鉄道車両構体 2 屋根構体
3 妻構体 4 側構体
5 台枠 6 台枠の端部
10 サバイバルゾーン 11a,11b クラッシャブルゾーン
20 開口部 25 運転台
50 飛来物防御板
100 エネルギー吸収部材 101 基部
102 先端部 103 突起
110 筒体 111 基端部
112 先端部 202 先頭部
203a,203b 車端部構造体 203c スペース
203d 運転席 203e 飛来物遮蔽板
203f フレーム 203g 貫通路
203h 床面 203i,203j 孔
204a 端板 204c 孔
210 連結器
211,212 エネルギー吸収部材 211b,212c 端板
213 固着具 214,215 空間
214a,214b 継ぎ板 214c 孔
216,217 座屈防止材
250(250a,250b) 衝突エネルギー吸収装置
251 第1エネルギー吸収体 252 第2エネルギー吸収体
253 第3エネルギー吸収体 258 共通の支持板
259 案内筒 259a 案内筒の外周面
260 ガイド筒板 260a 内面側
261 飛来物遮蔽板 270 中空構造
271 外側壁部 272 内側壁部
273 径方向壁部 δ 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突時に圧壊することにより衝突エネルギーを吸収するエネルギー吸収体を有する衝突緩和装置を備えた軌条車両において、
衝突直後の前記エネルギー吸収体が圧縮荷重を受けて弾性変形をしているうちに前記エネルギー吸収体の圧壊を開始・促進するトリガ機構を備えたこと、
を特徴とする衝突緩和装置を備えた軌条車両。
【請求項2】
請求項1に記載の衝突緩和装置を備えた軌条車両において、
前記トリガ機構は、前記軌条車両の車体側に、前記エネルギー吸収体が前記弾性変形をするうちに前記エネルギー吸収体の前記衝突側先端部と衝突するに至る隙間を置いて配置されたトリガ部材を備えていること、
を特徴とする衝突緩和装置を備えた軌条車両。
【請求項3】
請求項2に記載の衝突緩和装置を備えた軌条車両において、
前記エネルギー吸収体は中空構造を内部に有する筒状体であり、
前記エネルギー吸収体の前記衝突側先端部には前記筒状体の外側に張り出す突起部が設けられており、
前記トリガ部材は、前記筒状体の外側に配置されており、且つ前記突起部に対して先端部が前記隙間を置いて配置された筒体であること、
を特徴とする衝突緩和装置を備えた軌条車両。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝突緩和装置を備えた軌条車両において、
前記エネルギー吸収体を、その圧壊時に生じる圧壊方向への変位を車体に設けられたスライドガイドによって案内したこと、
を特徴とする衝突緩和装置を備えた軌条車両。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝突緩和装置を備えた軌条車両において、
前記エネルギー吸収体は内部に長手方向に延びるスペースが形成された筒状体であり、
前記スペース内に前記エネルギー吸収体の全体座屈を防止する座屈防止材を配置したこと、
を特徴とする衝突緩和装置を備えた軌条車両。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝突緩和装置を備えた軌条車両において、
前記衝突緩和装置は複数のエネルギー吸収体から成っており、
前記複数の各エネルギー吸収体は前記軌条車両の長手方向に対して交差する方向に並べて配置されており、
前記各エネルギー吸収体はその圧壊方向を前記軌条車両の長手方向に揃えて配置されており、
前記複数のエネルギー吸収体の前記圧壊方向先端部は前記軌条車両の長手方向に分散した位置に置かれていること、
を特徴とする衝突緩和装置を備えた軌条車両。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の衝突緩和装置を備えた軌条車両において、
前記衝突緩和装置は、前記軌条車両としての先頭車両又は後尾車両の先頭部又は編成車両の互いに近接する端部領域に、前記筒状体を前記軌条車両の長手方向に軸線を揃えた状態で配置されていること、
を特徴とする衝突緩和装置を備えた軌条車両。
【請求項8】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の衝突緩和装置を備えた軌条車両において、
前記軌条車両の車体は、車体本体と、該車体本体の車端部に設置される車端部構造体とから成っており、
前記車端部構造体は、衝突時に圧壊可能であって、前記車体本体の車端部に取外し可能に付設されており、
前記エネルギー吸収体は前記車端部構造体の床部下方に配置されていること、
を特徴とする衝突緩和装置を備えた軌条車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−83307(P2010−83307A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253946(P2008−253946)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】