説明

表示システムおよび表示プログラム

【課題】タッチ操作と次のタッチ操作との間に長い時間が空いていても不所望の表示設定で図形が描画されないように、ユーザが表示設定を確認することができる表示システムおよび表示プログラムを提供する。
【解決手段】タッチ制御部13は、選択された表示設定情報を格納する表示設定格納部133、格納された表示設定情報に従ってタッチ操作に対応する図形を描画するタッチ操作画像表示制御部131、および複数の設定画像を記憶する設定画像記憶部134を備え、タッチ操作が行われたときに、表示設定情報を表す設定画像をタッチ位置の所定距離範囲内に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備える表示システムおよび表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像を表示するための表示装置を備え、画面に対してタッチ操作を行うことで、そのタッチ操作に応じて点や線などの図形を画面に描画する、電子黒板などの表示システムが普及しつつある。
【0003】
電子黒板などの表示システムでは、タッチ操作に応じて描画される点・線の色や太さなどの表示設定を変更できるように、画面の所定の領域に、各表示設定を表す各設定画像を含むツールバー画像を表示させる。ユーザは、ツールバー画像内のいずれか1つの設定画像に対してタッチ操作を行うことで、その設定画像に対応する表示設定を選択することができ、その後のタッチ操作によって描画される点・線を、選択後の表示設定に基づく点・線にすることができる。
【0004】
たとえば、特許文献1には、複数の設定画像を含むツールバー画像を画面に表示するデジタルカメラが記載されている。このデジタルカメラでは、ユーザがツールバー画像内の設定画像に対してタッチ操作を行って表示設定を選択した後、画面内におけるツールバー画像以外の箇所(編集可能領域)に対してタッチ操作を行うと、画面内からツールバー画像が消去され、画面全体が編集可能領域となる。したがって、ユーザは、より広い範囲で編集作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−191799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような表示システムでは、ツールバー画像が表示されなくなった後、長時間放置してタッチ操作を行わないと、ユーザは、選択中の表示設定を忘れるか、または表示設定の思い違いをしてしまい、不所望の図形を画面内に描画させてしまう場合がある。また、画面の大きな表示システムでは、ツールバー画像の表示中であっても、選択中の表示設定を確認し難く、表示設定の見間違いをしてしまい、不所望の図形を画面内に描画させてしまう場合がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、タッチ操作と次のタッチ操作との間に長い時間が空いていても不所望の表示設定で図形が描画されないように、ユーザが表示設定を確認することができる表示システムおよび表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画面に対するタッチ操作が行われたときに、各タッチ操作に対応する図形を、画像として画面に表示する表示システムにおいて、
画面に画像を表示する表示部と、
前記画面に対するタッチ操作が行われた位置を示す位置情報を取得するタッチパネル部と、
前記表示部および前記タッチパネル部に電気的に接続される制御部であって、
タッチ操作と表示される図形との対応関係を、そのタッチ操作が行われる前に定める情報として、複数の表示設定情報のうちのいずれか1つの表示設定情報を格納する表示設定格納部、
タッチ操作が行われたときに、そのタッチ操作についての位置情報が示す位置に、前記表示設定格納部に格納される表示設定情報に従って、そのタッチ操作に対応する図形を画像として表示させるタッチ操作画像表示制御部、および
前記複数の表示設定情報をそれぞれ表した複数の設定画像を記憶する設定画像記憶部を含む制御部とを備え、
前記タッチ操作画像表示制御部は、タッチ操作が行われたときに、前記表示設定格納部に格納されている表示設定情報を表した設定画像を、そのタッチ操作についての位置情報が示す位置からの距離が予め定める第1特定距離以内となる設定画像表示領域に表示させることを特徴とする表示システムである。
【0009】
また本発明は、前記制御部は、直前のタッチ操作が行われた時点から予め定める第1特定時間が経過したか否かを判断する第1時間経過判断部を含み、
前記タッチ操作画像表示制御部は、前記第1特定時間の経過後に、図形を画像として表示させるための次のタッチ操作が行われたときに、前記次のタッチ操作に対応する図形を画像として表示させる代わりに、前記表示設定格納部に格納されている表示設定情報を表した設定画像を、前記設定画像表示領域に表示させることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記設定画像表示領域は、前記次のタッチ操作の開始時点における位置情報が示す初期位置からの距離が前記第1特定距離以内となる領域であり、この領域に表示する設定画像の位置と前記初期位置との相対的な位置関係は、前記次のタッチ操作についての位置情報によって異なることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、タッチパネル部および表示部を備えるコンピュータを、前記表示システムとして機能させることを特徴とする表示プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タッチ操作画像表示制御部は、タッチ操作が行われたときに、表示設定格納部に格納されている表示設定情報を表した設定画像を、そのタッチ操作についての位置情報が示す位置から第1特定距離以内の設定画像表示領域に表示させる。したがって、ユーザは、設定画像表示領域に表示された設定画像を確認することで、表示設定格納部に格納されている表示設定情報を確認することができる。
【0013】
また本発明によれば、タッチ操作画像表示制御部は、直前のタッチ操作が行われた時点から第1特定時間経過後における、図形を画像として表示させるための次のタッチ操作が行われたときに、該次のタッチ操作に対応する図形を画面内に描画する代わりに、該次のタッチ操作が行われた位置から第1特定距離以内の設定画像表示領域に、表示設定格納部に格納されている表示設定情報を表した設定画像を表示する。したがって、ユーザは、設定画像表示領域に表示された設定画像を確認することで、表示設定格納部に格納されている表示設定情報を確認することができるとともに、画面内に不所望の図形が描画されることを防ぐことができる。
【0014】
また本発明によれば、直前のタッチ操作が行われた時点から第1特定時間経過後における、図形を画像として表示させるための次のタッチ操作が行われた場合において、タッチ操作画像表示制御部は、該次のタッチ操作の開始時点における位置情報が示す初期位置からの距離が第1特定距離以内の領域である設定画像表示領域に表示する設定画像の位置を、該位置情報に応じて異ならせる。したがって、タッチ操作画像表示制御部は、画面内に設定画像全体が入るように、初期位置に対する設定画像表示領域に表示する設定画像の位置を設定して、設定画像を表示させることができる。
【0015】
また本発明によれば、タッチパネル部および表示部を備えるコンピュータを前記表示システムとして機能させる表示プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】表示システム1の外観を示す模式図である。
【図2】表示システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】制御部13の各機能を示すブロック図である。
【図4】ツールバー画像の一例を示す図である。
【図5】第1特定時間の経過後のときの設定画像表示制御部1313の処理結果を示す図である。
【図6】表示部11の画面11aに対してタッチ操作が行われたときの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態の1つである表示システム1について説明する。図1は、表示システム1の外観を示す模式図である。図2は、表示システム1の電気的構成を示すブロック図である。表示システム1は、たとえば、縦100cm、横150cm程度の略矩形状の画面11aを有する電子黒板であり、表示部11と、タッチパネル部12と、制御部13とを備える。なお、画面11aの縦方向を矢符Yで示し、横方向を矢符Xで示す。
【0018】
表示部11は、たとえば、液晶ディスプレイ、EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどであり、画面11aを有し、画面11a内に画像を表示する。なお、本発明の他の実施形態としては、表示部11が、スクリーンを画面として、その画面に画像を投影するプロジェクタであってもよい。
【0019】
タッチパネル部12は、投影型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜方式タッチパネル、赤外線遮断検出方式タッチパネルなどから構成され、表示部11の画面11a内の位置を示す情報である位置情報を取得する。
【0020】
タッチパネル部12は、表示部11の画面11aの周辺に固定される。たとえば、タッチパネル部12が抵抗膜方式タッチパネルである場合、タッチパネル部12は画面11aを被覆するように画面11a上に固定される。この場合、ユーザは、タッチパネル部12の表面を手指やスタイラスなどによって押圧することで、位置情報を入力する。また、たとえば、タッチパネル部12が赤外線遮断検出方式タッチパネルである場合、タッチパネル部12は画面11aの周縁部を取り囲むように固定される。この場合、ユーザは、画面11aに手指やスタイラスなどを近接または当接させて、画面11a上において画面11aに平行にタッチパネル部12から照射される赤外線を、手指やスタイラスなどによって遮断することで、位置情報を入力する。タッチパネル部12において上記のように押圧また遮断される領域は、ユーザの手指やスタイラスなどの大きさの連続する領域となるので、位置情報は、より詳細には、その領域の代表位置、たとえば図心位置を示す情報として取得される。
【0021】
タッチパネル部12に対して、位置情報の入力が開始されてから終了するまでの一連の操作を、タッチ操作と称する。たとえばタッチパネル部12が抵抗膜方式タッチパネルである場合、ユーザが、手指やスタイラスなどでタッチパネル部12を押圧してから、押圧したまま押圧箇所を平行移動させ、手指やスタイラスなどをタッチパネル部12から離間させるまでの一連の操作が、タッチ操作である。したがって、タッチ操作の軌跡が点状である場合には、タッチ操作に対応する位置情報は1つ取得されることになり、タッチ操作の軌跡が線状である場合には、タッチ操作に対応する位置情報は複数取得されることになる。
【0022】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)などの制御演算回路、DDR SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリ、および、フラッシュROM(Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリから構成され、表示部11およびタッチパネル部12に電気的に接続される。制御部13は、表示部11およびタッチパネル部12の動作の制御を行う装置であり、表示部11の一部であってもよいし、表示部11とは別の装置であってもよい。
【0023】
制御部13の不揮発性メモリには、本発明に係る表示プログラムが記憶され、これによって、制御部13は、後述する各部131〜138の機能を発揮する。なお、本発明の他の実施形態としては、制御部13が、後述する各部131〜138の機能をそれぞれ発揮する複数のIC(Integrated Circuit)チップから構成されてもよい。
【0024】
表示システム1は、後述する各部131〜138の機能により、タッチ操作されたときに、そのタッチ操作に対応する図形を、画像として表示部11の画面11a内に表示する。ここで、タッチ操作に対応する図形とは、より詳細には、タッチ操作の軌跡に対応する図形であり、タッチ操作の軌跡に対応する図形とは、たとえば、タッチ操作の軌跡をそのまま表した図形などである。タッチ操作の軌跡が線状である場合、タッチ操作の軌跡をそのまま表した図形は線状となる。なお、後述するように、タッチ操作の軌跡に対応する図形には、タッチ操作の軌跡をそのまま表した図形だけではなく、タッチ操作と長さや半径とが対応する直線や円などの図形も含まれる。
【0025】
上記のようにタッチ操作に対応する図形を画像として表示する公知のシステムとしては、公知のPC(Personal Computer)と、タッチパネル一体型ディスプレイPN−L600B(シャープ株式会社製)などの公知の表示装置とから構成されるシステムを挙げることができる。表示システム1は、このようなシステムに、本発明に係る表示プログラムを記憶させることで構成されてもよい。また、表示システム1は、電子黒板ではなく、タブレットPCやスマートフォンであってもよい。
【0026】
図3は、制御部13の各機能を示すブロック図である。制御部13は、タッチ操作画像表示制御部131、全表示設定記憶部132、表示設定格納部133、設定画像記憶部134、変更部135、第1時間経過判断部136、オブジェクト操作部137、描画開始判断部138、およびタッチ設定格納部139の機能を有する。
【0027】
タッチ設定格納部139は、後述する図形描画部1312が図形を描画可能な領域(以下では、「作業領域」と称する)に対してタッチ操作が行われたときに、制御部13がどのように動作するかを定めるタッチ設定を記憶する。タッチ設定としては、作業領域に図形を描画するための描画モードや、作業領域に表示された、後述するオブジェクトを編集するためのオブジェクト編集モードなどがあり、これらのモードのうちのいずれか1つが、タッチ設定格納部139に記憶される。なお、これらのモード以外にも、作業領域を仮想的なシートとみなし、シートを他のシートに交換するためのシート操作モードなどがある。各モードは、ユーザからの指示により変更可能である。
【0028】
タッチ操作画像表示制御部131は、タッチ操作情報管理部1311と、図形描画部1312と、設定画像表示制御部1313とを含む。設定画像表示制御部1313は、描画モードの場合においてタッチ操作が行われたときに、後述する設定画像を表示する機能を有しており、この機能については後に詳述する。
【0029】
タッチ操作画像表示制御部131は、タッチ操作情報管理部1311と、図形描画部1312とにより、描画モードの場合においてタッチ操作が行われたときに、表示部11の画面11a内において、そのタッチ操作についての位置情報が示す位置に、そのタッチ操作に対応する図形を、画像として表示させる。より詳細には、タッチ操作情報管理部1311は、タッチ操作の軌跡に対応する位置情報と、その位置情報が取得された時刻とを関連付けて記憶する。タッチ操作の軌跡が線状である場合には、複数の位置情報と各位置情報が取得された時刻とをそれぞれ関連付けて記憶する。そして、図形描画部1312は、画面11a内に所定の背景画像を表示させ、さらに、描画モードの場合に、タッチ操作情報管理部1311に記憶される情報に基づいて、取得された時刻が早い順に、背景画像上において位置情報が示す位置に、タッチ操作の軌跡に対応する図形を描画する。
【0030】
なお、タッチ操作に対応する図形の描画は、表示設定格納部133に格納される後述する表示設定情報に従って行われる。また、図形描画部1312は、後述するツールバー画像や設定画像に対してタッチ操作が行われた場合や描画モードではない場合には、タッチ操作の軌跡に対応する図形の描画を行わない。また、上記背景画像は、通常、白色の無地の画像であるけれども、それ以外の画像、たとえばユーザが選択した画像データに基づく画像であってもよい。
【0031】
オブジェクト操作部137は、1または複数のタッチ操作に基づいて図形描画部1312により画面11aに描画された図形を、1つのオブジェクトとして確定する。より具体的には、オブジェクト操作部137は、複数のタッチ操作が行われた場合、タッチ操作情報管理部1311に記憶された時刻の情報に基づいて、各タッチ操作の間隔が所定時間(たとえば1秒間)未満であるとき、各タッチ操作を、1つのオブジェクト作成操作として認識する。たとえば、タッチ操作A,B,C,D,E,Fという6つのタッチ操作が、この順序で行われた場合において、タッチ操作Aとタッチ操作Bとの間の時間間隔が上記所定時間以上であり、タッチ操作Bとタッチ操作Cとの間の時間間隔が上記所定時間未満であり、タッチ操作Cとタッチ操作Dとの間の時間間隔が上記所定時間未満であり、タッチ操作Dとタッチ操作Eとの間の時間間隔が上記所定時間以上であり、タッチ操作Eとタッチ操作Fとの間の時間間隔が上記所定時間未満であるとき、オブジェクト操作部137は、タッチ操作Aのみを含むオブジェクト作成操作α、タッチ操作B〜Dの3つのタッチ操作を含むオブジェクト作成操作β、および、タッチ操作E,Fの2つのタッチ操作を含むオブジェクト作成操作γという、3つのオブジェクト作成操作が行われたと認識する。
【0032】
そして、オブジェクト操作部137は、オブジェクト作成操作に含まれるタッチ操作に基づいて図形描画部1312により画面11aに描画される図形を、1つのオブジェクトとして確定する。たとえば、オブジェクト操作部137は、オブジェクト作成操作αに含まれるタッチ操作Aに基づいて描画される1つの図形を、1つのオブジェクトとして確定する。また、オブジェクト操作部137は、別のオブジェクト作成操作βに含まれるタッチ操作B〜Dに基づいて描画される3つの図形を、別の1つのオブジェクトとして確定する。また、オブジェクト操作部137は、さらに別のオブジェクト作成操作γに含まれるタッチ操作E,Fに基づいて描画される2つの図形を、さらに別の1つのオブジェクトとして確定する。
【0033】
さらに、オブジェクト操作部137は、オブジェクト編集モードの場合に、各オブジェクトに対する編集操作を可能にする。より具体的には、オブジェクト操作部137は、オブジェクト編集モードの場合においてタッチ操作が行われたとき、タッチ操作情報管理部1311に記憶された位置情報および時刻の情報に基づいて、オブジェクトを編集する。たとえば、タッチ操作の開始位置がオブジェクトを表示中の領域であり、終了位置が他の領域である場合、オブジェクト操作部137によって、オブジェクトは当該他の領域へ移動される。また、たとえば、タッチ操作が、オブジェクトを表示中の領域に対する、所定の短い時間における2度のタッチ操作、いわゆるダブルクリックである場合、オブジェクト操作部137によって、オブジェクトは拡大される。
【0034】
全表示設定記憶部132は、複数の表示設定情報を記憶し、表示設定格納部133は、この複数の表示設定情報のうちのいずれか1つを格納する。表示設定格納部133に格納される表示設定情報は、タッチ操作と表示部11の画面11aに表示される図形との対応関係を、そのタッチ操作が行われる前に予め1つに定める情報である。すなわち、描画モードの場合において作業領域に対してタッチ操作が行われたとき、そのタッチ操作について位置情報が取得された時刻において表示設定格納部133に格納される表示設定情報に従って、図形描画部1312は、そのタッチ操作に対応する図形を描画する。
【0035】
表示設定情報としては、たとえば、黒ペン設定情報、赤ペン設定情報、青ペン設定情報、消しゴム設定情報、太ペン設定情報、ブラシ設定情報、エアブラシ設定情報、直線設定情報、矩形設定情報、円形設定情報などが挙げられる。黒ペン設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、所定の太さの黒色の線でタッチ操作の軌跡をそのまま表した図形に設定する情報である。赤ペン設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、所定の太さの赤色の線でタッチ操作の軌跡をそのまま表した図形に設定する情報である。青ペン設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、所定の太さの青色の線でタッチ操作の軌跡をそのまま表した図形に設定する情報である。
【0036】
消しゴム設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、所定の太さの線でタッチ操作の軌跡をそのまま表した図形に設定する情報であって、その線の各箇所の色を、その各箇所における背景画像の色と同じ色に設定する情報である。太ペン設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、黒ペン設定情報における線よりも太い黒色の線でタッチ操作の軌跡をそのまま表した図形に設定する情報である。ブラシ設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、所定の色のブラシでタッチ操作の軌跡を描いたような図形に設定する情報である。エアブラシ設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、所定の色のエアブラシでタッチ操作の軌跡を描いたような図形に設定する情報である。
【0037】
直線設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、タッチ操作の開始位置と終了位置とを結ぶ所定の太さおよび色の線分に設定する情報である。矩形設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、所定の太さおよび色の線分を4辺とする矩形であって、タッチ操作の開始位置と終了位置とを結ぶ線分を対角線とする矩形に設定する情報である。円形設定情報は、図形描画部1312によって描画される図形を、所定の太さおよび色の線を円周とする円形であって、タッチ操作の開始位置を円の中心とし、開始位置と終了位置とを結ぶ線分を円の半径とする円形に設定する情報である。なお、表示設定情報は、上記のものに限られない。
【0038】
表示システム1の初期設定としては、これらの複数の表示設定情報のうち、たとえば、黒ペン設定情報が、表示設定格納部133に格納される。したがって、初期設定のままの状態でタッチ操作が行われた場合、そのタッチ操作の軌跡をそのまま表した図形が、所定の太さの黒色の線で画面に描画される。
【0039】
設定画像記憶部134は、複数の設定画像データを記憶する。設定画像データに基づく画像を、設定画像と称する。各設定画像は、全表示設定記憶部132に記憶される各表示設定情報をそれぞれ表したアイコン画像や各表示設定情報を文字でそれぞれ表した画像などである。
【0040】
図3に示すように、変更部135は、ツールバー画像表示制御部1351と、表示判断部1352と、位置判断部1353と、表示設定変更部1354とを含み、表示設定格納部133に格納される表示設定情報を変更する機能を有する。表示設定格納部133に格納される表示設定情報の変更後にタッチ操作が行われると、変更後の表示設定情報に従って、表示部11の画面11a内に画像が表示される。
【0041】
ツールバー画像表示制御部1351は、設定画像記憶部134に記憶される複数の設定画像データに基づいて、表示部11の画面11a内の所定の領域に、複数の設定画像を含むツールバー画像を表示させる。
【0042】
図4に、ツールバー画像の一例を示す。図4では、画面11aの左端に、黒ペン設定情報を表す黒ペン設定画像100Aと、赤ペン設定情報を表す赤ペン設定画像100Bと、青ペン設定情報を表す青ペン設定画像100Cと、消しゴム設定情報を表す消しゴム設定画像100Dと、太ペン設定情報を表す太ペン設定画像100Eと、ブラシ設定情報を表すブラシ設定画像100Fと、エアブラシ設定情報を表すエアブラシ設定画像100Gと、直線設定情報を表す直線設定画像100Hと、矩形設定情報を表す矩形設定画像100Iと、円形設定情報を表す円形設定画像100Jと、それらを囲む枠線画像100Kと、赤ペン設定画像100Bの外周を取り囲む枠線画像100Lとを含むツールバー画像100が表示されている。
【0043】
各設定画像100A〜100Jは、X方向およびY方向に平行な辺を有し、対角線の長さが、画面11a内で5cm〜15cm(画面11aの画素ピッチを0.5mmとすれば100画素〜300画素)となる矩形状の画像である。矩形状の各設定画像100A〜100Jは、互いに重複しないように、画面11a内で5mm〜20mm(画面11aの画素ピッチを0.5mmとすれば10画素〜40画素)程度の間隔で互いに離間して、X方向およびY方向を行方向および列方向とする2列の行列状に並んで表示される。
【0044】
図4に示すように、ツールバー画像表示制御部1351は、いずれか1つの設定画像の外周を取り囲むように、画面11a内で5mm〜20mm(画面11aの画素ピッチを0.5mmとすれば10画素〜40画素)程度の太さの黒い線からなる矩形枠状の枠線画像100Lを表示させる。枠線画像100Lは、ツールバー画像100中において、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表す設定画像の外周を取り囲むように表示される。したがって、図4の例では、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報は赤ペン設定情報である。
【0045】
ツールバー画像表示制御部1351は、上記のようなツールバー画像を常に表示させる必要は無く、ユーザによるタッチ操作に従って、ツールバー画像の表示と非表示とを切り換えるように構成されてもよい。たとえば、ツールバー画像表示制御部1351は、変更部135による表示設定情報の変更後、所定時間(たとえば、5秒間〜1分間)後に、ツールバー画像を消去するように構成されてもよいし、ツールバー画像が非表示の状態の場合において、表示部11の画面11aの左隅の領域内で同じ位置に対して3回連続でタッチ操作が行われたときに、ツールバー画像を表示するように構成されてもよい。
【0046】
表示判断部1352は、タッチパネル部12による位置情報の取得が行われると、ツールバー画像表示制御部1351によって表示部11の画面11aにツールバー画像が表示されているか否かについて、判断を行う。
【0047】
位置判断部1353は、ツールバー画像の表示中であると表示判断部1352が判断した場合に、タッチパネル部12によって取得された位置情報が示す位置がツールバー画像内であるか、図形描画部1312が図形を描画可能な領域(すなわち作業領域)であるかについて判断を行い、さらに、ツールバー画像内である場合、その位置が表示設定格納部133に格納される表示設定情報を表した設定画像以外の他の設定画像内であるか否かについて、判断を行う。
【0048】
表示設定変更部1354は、設定画像が表示されている領域内であると位置判断部1353が判断した場合、その設定画像によって表される表示設定情報へ、表示設定格納部133に格納される表示設定情報を変更する。
【0049】
したがって、変更部135によれば、たとえば、表示設定格納部133に格納される表示設定情報が黒ペン設定情報である場合において、図4に示すように、表示部11の画面11aに表示中のツールバー画像100内の赤ペン設定画像100Bに対して、スタイラスSによってタッチ操作が行われると、表示設定格納部133に格納される表示設定情報は赤ペン設定情報へ変更される。
【0050】
なお、図4の例では、描画モードのための表示設定情報に対応する設定画像のみが、ツールバー画像内に表示されているけれども、オブジェクト編集モードを表す画像や、シート操作モードを表す画像が表示されるように、ツールバー画像表示制御部1351が構成されてもよい。このような場合、変更部135は、設定画像に対してタッチ操作が行われたときは、タッチ設定格納部139に格納されるモードを描画モードとし、オブジェクト編集モードを表す画像に対してタッチ操作が行われたときは、タッチ設定格納部139に格納されるモードをオブジェクト編集モードとし、シート操作モードを表す画像に対してタッチ操作が行われたときは、タッチ設定格納部139に格納されるモードをシート操作モードとするように構成される。
【0051】
次に、設定画像表示制御部1313と第1時間経過判断部136とについて説明する。第1時間経過判断部136の処理および第1時間経過判断部136の処理に基づく設定画像表示制御部1313の処理は、本発明に係る表示システム1の特徴点の1つである。
【0052】
第1時間経過判断部136は、直前のタッチ操作が行われた時点から予め定める第1特定時間が経過したか否かについて、判断を行う。より詳細には、第1時間経過判断部136は、図形を画像として表示させるためのタッチ操作の終了時点の時刻を記憶して随時更新しており、新たに行われたタッチ操作の開始時点について、最後に記憶した時刻からの経過時間が第1特定時間以上であるか否かを判断する。
【0053】
ここで、図形を画像として表示させるためのタッチ操作とは、描画モードの場合における、表示部11の画面11a内における作業領域に対するタッチ操作であり、以下では、上記第1特定時間経過後において、描画モードの場合における作業領域に対するタッチ操作を、第1タッチ操作と称する。タッチ操作が行われたときに、そのタッチ操作が第1タッチ操作に該当するか否かは、位置判断部1353および第1時間経過判断部136によって判断される。第1タッチ操作の開始時点と第1タッチ操作の直前のタッチ操作の終了時点との間には、上記第1特定時間以上の時間的隔たりがある。
【0054】
設定画像表示制御部1313は、タッチ操作が行われたときに、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像を、表示部11の画面11a内において、そのタッチ操作についての位置情報が示す位置からの距離が予め定める第1特定距離以内の設定画像表示領域に表示させる。
【0055】
本実施形態では、設定画像表示制御部1313は、第1タッチ操作が行われたとき、すなわち、上記第1特定時間の経過後に図形を画像として表示させるための次のタッチ操作が行われたときに、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像を表示させる。より詳細には、設定画像表示制御部1313は、第1タッチ操作が行われると、その第1タッチ操作に対応する図形の描画を禁止するように図形描画部1312を制御し、対応する図形を画像として表示させる代わりに、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像を、上記設定画像表示領域に表示させる。
【0056】
上記第1特定時間は、たとえば、5分間〜30分間である。また、上記設定画像表示領域は、第1タッチ操作の開始時点における位置情報が示す位置(以下では、「初期位置」と称する)からの距離が上記第1特定距離内の円状の領域であり、この第1特定距離は、表示部11の画面11a上で10cm〜50cm(画面11aの画素ピッチを0.5mmとすれば200画素〜1000画素)の距離である。設定画像表示領域に表示される設定画像は、たとえば、ツールバー画像中の設定画像と同一の画像であり、X方向およびY方向に平行な辺を有し、対角線の長さが、画面11a内で5cm〜15cm(画素ピッチを0.5mmとすれば100画素〜300画素)となる矩形状の画像である。たとえば、この矩形状の設定画像は、初期位置に対して、左に0cm〜5cmかつ上に0cm〜5cm離間した位置に、右下の頂点が位置するように表示される。なお、設定画像表示領域に表示される設定画像は、ツールバー画像中の設定画像と同一の画像でなくともよく、たとえば、ツールバー画像中の設定画像を拡大または縮小した画像や、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を文字で表した設定画像などでもよい。
【0057】
上記のような設定画像表示制御部1313および第1時間経過判断部136の構成は、ユーザが、タッチ操作を行った後、長い時間(第1特定時間)経過してから、作業領域に対してタッチ操作(第1タッチ操作)を行う場合を想定したものである。このような場合、一般的な表示システムでは、第1タッチ操作に対応する図形が表示画面内に表示されるけれども、本実施形態では、第1タッチ操作に対応する図形が表示部11の画面11a内に描画される代わりに、その第1タッチ操作の初期位置の近傍の領域である設定画像表示領域に、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像が表示される。
【0058】
なお、設定画像表示制御部1313は、後述するように、第1タッチ操作についての描画開始判断部138の判断に基づいて、表示させた設定画像を消去するように構成されてもよいし、描画開始判断部138の判断とは無関係に、設定画像を表示させた時点から所定時間(たとえば、0.5秒間〜30秒間)経過後に、表示させた設定画像を消去するように構成されてもよいし、第1タッチ操作の後に、再度、作業領域に対するタッチ操作があったときに、表示させた設定画像を消去するように構成されてもよい。また、設定画像表示制御部1313によって表示された設定画像は、消去されるまで画面11a内の同じ位置に表示され続けてもよいし、点滅してもよいし、画面11a内の他の位置に移動してもよい。
【0059】
図5を用いて、第1特定時間の経過後のときの設定画像表示制御部1313の処理結果について例示する。図5において、ユーザによる第1タッチ操作の軌跡は参照符号Pで示し、第1タッチ操作の初期位置は参照符号P1で示し、円状の設定画像表示領域の境界を2点鎖線で描いて参照符号Qで示し、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像は参照符号200で示し、設定画像の右下の頂点は参照符号Rで示している。また、図5における画面11a内には、図4に示すツールバー画像100は表示されていない。
【0060】
図5の例では、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報は赤ペン設定情報であるとして、図4に示す赤ペン設定画像100Bと同一の設定画像200が、画面11a内の設定画像表示領域Qに表示されており、設定画像200の右下の頂点Rは、初期位置P1に対して左上に位置している。また、上述したように、第1特定時間の経過後、作業領域に対するタッチ操作(第1タッチ操作)が行われた場合、第1タッチ操作の軌跡Pに対応する図形は画面11a内に表示されないので、第1タッチ操作の軌跡Pは破線で示している。
【0061】
なお、初期位置P1が画面11aの端付近にある場合、設定画像200の右下の頂点Rが初期位置P1に対して左上に位置するように設定画像200を表示しようとすると、画面11a内に設定画像200が入らなくなるときが起こり得る。したがって、このような場合、設定画像表示制御部1313は、画面11a内に設定画像200全体が入るように、初期位置P1に対する設定画像表示領域Qに表示する設定画像200の位置を、設定画像200を画面11aの中央に表示する場合とは異なる位置に設定する。
【0062】
たとえば、初期位置P1が画面11aの右上端付近にある場合、設定画像表示制御部1313は、設定画像表示領域Qに表示する設定画像200の位置を初期位置P1の左下に設定し、設定画像200の右上の頂点が初期位置P1に対して左下に位置するように設定画像200を表示させる。また、初期位置P1が画面11aの左上端付近にある場合、設定画像表示制御部1313は、設定画像表示領域Qに表示する設定画像200の位置を初期位置P1の右下に設定し、設定画像200の左上の頂点が初期位置P1に対して右下に位置するように設定画像200を表示させる。また、初期位置P1が画面11aの左下端付近にある場合、設定画像表示制御部1313は、設定画像表示領域Qに表示する設定画像200の位置を初期位置P1の右上に設定し、設定画像200の左下の頂点が初期位置P1に対して右上に位置するように設定画像200を表示させる。
【0063】
次に、描画開始判断部138について説明する。描画開始判断部138の処理および描画開始判断部138の処理に基づく設定画像表示制御部1313の処理は、本発明に係る表示システム1の特徴点の1つである。
【0064】
描画開始判断部138は、第1特定時間経過後における、描画モードでの作業領域に対するタッチ操作(第1タッチ操作)を含むオブジェクト作成操作が、予め定める特定条件を満たすか否かについて、判断を行う。より詳細には、描画開始判断部138は、オブジェクト作成操作に含まれる一または複数のタッチ操作のうちの1番目の操作となる第1タッチ操作の開始時点の時刻を記憶しており、第1タッチ操作の開始時点から予め定める第2特定時間、たとえば、1秒間〜2秒間継続して、そのオブジェクト作成操作が行われているか否かを判断する。なお、描画開始判断部138は、このようにオブジェクト作成操作が第2特定時間以上継続して行われているかを判断するとともに、または、代わりに、第1タッチ操作の開始位置から予め定める第2特定距離、たとえば、1cm〜2cm離れた位置まで、そのオブジェクト作成操作が継続して行われているか否かを判断してもよい。
【0065】
本実施形態では、第1タッチ操作を含むオブジェクト作成操作が行われた場合において、そのオブジェクト作成操作が上記特定条件を満たすように継続して行われていないと描画開始判断部138が判断したときには、設定画像表示制御部1313は、オブジェクト作成操作に含まれる各タッチ操作に対応する図形を画像として表示させる代わりに、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像を、設定画像表示領域に表示させる。このとき、設定画像表示制御部1313は、設定画像を、オブジェクト作成操作に含まれる第1タッチ操作の開始時点からオブジェクト作成操作の終了時点まで、すなわち、上記第2特定時間(1秒間〜2秒間)よりも短い時間だけ表示させる。また、オブジェクト作成操作が上記特定条件を満たすように継続して行われていると描画開始判断部138が判断したときには、設定画像表示制御部1313は、図形描画部1312に、オブジェクト作成操作に含まれる各タッチ操作に対応する図形を、この判断の後に画像として表示させる。このとき、設定画像表示制御部1313は、オブジェクト作成操作の際中にオブジェクト作成操作に含まれる各タッチ操作に対応する図形の描画をタッチ操作の順に図形描画部1312に開始させ、設定画像を、オブジェクト作成操作に含まれる第1タッチ操作の開始時点から図形の描画の開始時点まで、すなわち、上記第2特定時間(1秒間〜2秒間)よりもわずかに長い時間だけ表示させる。
【0066】
このように、本実施形態では、第1タッチ操作が行われた直後は、設定画像の表示のみが行われ、その後、第1タッチ操作を含むオブジェクト作成操作が上記特定条件を満たすように継続して行われた場合には、オブジェクト作成操作に含まれる各タッチ操作に対応する図形の描画が開始され、描画の開始に伴って設定画像が消去され、オブジェクト作成操作が継続して行われなかった場合には、オブジェクト作成操作に対応する図形の描画は行われず、オブジェクト作成操作の終了に伴って設定画像が消去される。
【0067】
上記のような設定画像表示制御部1313および描画開始判断部138の構成は、ユーザが、タッチ操作を行った後、長い時間(第1特定時間)経過してから、作業領域に対してタッチ操作(第1タッチ操作)を行い、その第1タッチ操作を含むオブジェクト作成操作が特定の条件を満たすように継続した場合を想定したものである。このような場合、本実施形態では、まず、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像が設定画像表示領域に表示され、その後、オブジェクト作成操作が上記特定条件を満たした後に、オブジェクト作成操作に含まれる各タッチ操作に対応する図形が画面11a内に描画され、設定画像が消去される。なお、この場合における設定画像の表示態様は、上述したとおりである。
【0068】
本実施形態によれば、たとえば、ユーザは、第1タッチ操作によって表示される設定画像により、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を確認することができ、その表示設定情報が所望のものである場合は、オブジェクト作成操作を継続することで、オブジェクト作成操作に対応する図形を描画することができる。
【0069】
図6に、描画モードの場合において、表示部11の画面11aに対してタッチ操作(以下では、「対象タッチ操作」と称する)が行われたときの処理をフローチャートで示す。対象タッチ操作が行われるとタッチパネル部12によって位置情報が取得され、タッチ操作画像表示制御部131のタッチ操作情報管理部1311に位置情報と取得した時刻とが記憶され、その後、ステップS1の判断が行われる。
【0070】
ステップS1では、表示判断部1352が、表示部11の画面11a内にツールバー画像が表示中であるか否かを判断する。判断結果が、ツールバー画像が表示中であるという判断の場合には、ステップS2の判断へ進み、表示中でないという判断の場合には、ステップS5の判断へ進む。
【0071】
ステップS2では、位置判断部1353が、対象タッチ操作が行われた位置がツールバー画像内であるか否かを判断する。判断結果が、ツールバー画像内であるという判断の場合には、ステップS3の判断へ進み、ツールバー画像内でないという判断の場合には、ステップS5の判断へ進む。
【0072】
ステップS3では、位置判断部1353が、対象タッチ操作が行われた位置について、ツールバー画像内に表示されている設定画像のうち、表示設定格納部133に格納中の表示設定情報を表した設定画像以外の他の設定画像内であるか否かを判断する。判断結果が、他の設定画像内であるという判断の場合には、ステップS4の処理へ進み、他の設定画像内でないという判断の場合には、対象タッチ操作に対する処理を終了する。
【0073】
ステップS4では、表示設定変更部1354が、表示設定格納部133に格納中の表示設定情報を、対象タッチ操作が行われた位置に表示されていた他の設定画像によって表される表示設定情報へ変更する。表示設定情報が変更されると、対象タッチ操作に対する処理を終了する。
【0074】
ステップS5では、第1時間経過判断部136が、対象タッチ操作の開始時点の時刻について、対象タッチ操作の直前の、タッチ操作の終了時点から第1特定時間経過後であるか否かを判断する。判断結果が、第1特定時間経過後でないという判断の場合には、ステップS6の処理へ進み、第1特定時間経過後であるという判断の場合には、ステップS7の判断へ進む。
【0075】
ステップS6では、図形描画部1312が、表示設定格納部133に格納中の表示設定情報に従って、対象タッチ操作の軌跡に対応する図形を描画する。
【0076】
ステップS7では、設定画像表示制御部1313が、対象タッチ操作の軌跡に対応する図形を描画する代わりに、表示設定格納部133に格納中の表示設定情報を表した設定画像を、表示部11の画面11a内の設定画像表示領域に表示する。なお、対象タッチ操作に対応する図形の描画の代わりに設定画像が表示されているときに、対象タッチ操作を含むオブジェクト作成操作が上記特定条件を満たすように継続して行われたと描画開始判断部138が判断すると、判断の後、表示部11の画面11a内から設定画像が消去され、代わりに、対象タッチ操作に対応する図形が描画される。
【0077】
以上のように、本発明に係る表示システム1によれば、タッチ操作が行われた時点から第1特定時間経過後における、図形を画像として表示させるための次のタッチ操作(第1タッチ操作)が行われると、設定画像表示制御部1313は、第1タッチ操作に対応する図形を表示部11の画面11a内に描画する代わりに、その第1タッチ操作が行われた位置から第1特定距離以内の設定画像表示領域に、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像を表示する。したがって、表示システム1のユーザは、設定画像表示領域に表示された設定画像を確認することで、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を確認することができるとともに、画面11a内に不所望の図形が描画されることを防ぐことができる。
【0078】
なお、本発明の他の実施形態としては、第1タッチ操作が行われたときに、第1タッチ操作の開始時点から所定時間(たとえば、3秒間〜10秒間)以内に開始されたタッチ操作に対応する図形の描画を禁止するとともに、その所定時間中、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像を上記設定画像表示領域に表示するように、設定画像表示制御部1313が構成されてもよい。
【0079】
また、本発明の他の実施形態としては、第1タッチ操作が行われたときに、第1タッチ操作に対応する図形を表示部11の画面11a内に描画するとともに、表示設定格納部133に格納されている表示設定情報を表した設定画像を上記設定画像表示領域に表示し、第1タッチ操作に対応する図形を描画した時点から所定時間(たとえば、1秒間〜5秒間)経過後に、その図形を消去するように、設定画像表示制御部1313が構成されてもよい。
【0080】
本実施形態では、タッチ操作が行われた時点から第1特定時間経過後における、図形を画像として表示させるための次のタッチ操作(第1タッチ操作)が行われた場合において、設定画像表示制御部1313は、第1タッチ操作の開始時点における位置情報が示す初期位置からの距離が第1特定距離以内の領域である設定画像表示領域を、その第1タッチ操作についての位置情報に応じて異ならせることができる。したがって、設定画像表示制御部1313は、画面11a内に設定画像全体が入るように、初期位置に対する設定画像表示領域の位置を設定して、設定画像を表示させることができる。
【0081】
上記表示システム1の制御部13に記憶される表示プログラムは、タッチパネル部および表示部を備えるコンピュータを表示システム1として機能させるプログラムである。この表示プログラムは、従来公知の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録できる。
【0082】
上記表示プログラムを記録媒体に記録することで、表示プログラムに基づく処理を実行するためのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラムなど)を記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0083】
なお、記録媒体は、マイクロコンピュータが処理を行うためのメモリ、たとえばROM(Read Only Memory)のようなプログラムメディアであってもよいし、または、コンピュータが外部記憶装置として備えるプログラム読取装置に挿入することで読み取られるプログラムメディアであってもよい。
【0084】
記録媒体に格納されているプログラムは、マイクロプロセッサが記録媒体にアクセスして実行する方式であってもよいし、または、マイクロプロセッサが記録媒体からプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードがマイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされることで、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0085】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープ、カセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスク、ハードディスクなどの磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、MO(Magneto Optical disc)、MD(Mini Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であってもよい。
【0086】
また、コンピュータが、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、記録媒体は、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように、流動的にプログラムコードを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、または他の記録媒体からインストールしておく。また、上記表示プログラムは、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【符号の説明】
【0087】
1 表示システム
11 表示部
12 タッチパネル部
13 制御部
131 タッチ操作画像表示制御部
132 全表示設定記憶部
133 表示設定格納部
134 設定画像記憶部
135 変更部
136 第1時間経過判断部
137 オブジェクト操作部
138 描画開始判断部
139 タッチ設定格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に対するタッチ操作が行われたときに、各タッチ操作に対応する図形を、画像として画面に表示する表示システムにおいて、
画面に画像を表示する表示部と、
前記画面に対するタッチ操作が行われた位置を示す位置情報を取得するタッチパネル部と、
前記表示部および前記タッチパネル部に電気的に接続される制御部であって、
タッチ操作と表示される図形との対応関係を、そのタッチ操作が行われる前に定める情報として、複数の表示設定情報のうちのいずれか1つの表示設定情報を格納する表示設定格納部、
タッチ操作が行われたときに、そのタッチ操作についての位置情報が示す位置に、前記表示設定格納部に格納される表示設定情報に従って、そのタッチ操作に対応する図形を画像として表示させるタッチ操作画像表示制御部、および
前記複数の表示設定情報をそれぞれ表した複数の設定画像を記憶する設定画像記憶部を含む制御部とを備え、
前記タッチ操作画像表示制御部は、タッチ操作が行われたときに、前記表示設定格納部に格納されている表示設定情報を表した設定画像を、そのタッチ操作についての位置情報が示す位置からの距離が予め定める第1特定距離以内となる設定画像表示領域に表示させることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記制御部は、直前のタッチ操作が行われた時点から予め定める第1特定時間が経過したか否かを判断する第1時間経過判断部を含み、
前記タッチ操作画像表示制御部は、前記第1特定時間の経過後に、図形を画像として表示させるための次のタッチ操作が行われたときに、前記次のタッチ操作に対応する図形を画像として表示させる代わりに、前記表示設定格納部に格納されている表示設定情報を表した設定画像を、前記設定画像表示領域に表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記設定画像表示領域は、前記次のタッチ操作の開始時点における位置情報が示す初期位置からの距離が前記第1特定距離以内となる領域であり、この領域に表示する設定画像の位置と前記初期位置との相対的な位置関係は、前記次のタッチ操作についての位置情報によって異なることを特徴とする請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
タッチパネル部および表示部を備えるコンピュータを、請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示システムとして機能させることを特徴とする表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−11994(P2013−11994A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143499(P2011−143499)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】