説明

表示システム

【課題】メンテナンス性を向上させつつ表示装置を効率良く冷却することができる表示システムを提供する。
【解決手段】情報を表示する表示装置と、前記表示装置を収納する密閉ケースと、該密閉ケースの外側に設けられ、該密閉ケース内部の熱を外部に放熱させる放熱部材と、該密閉ケースの内部に設けられ、前記放熱部材に空気を導くファンと、を備える表示システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムに関する。特には太陽電池を備えた屋外表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルサイネージと呼ばれる、表示と通信にデジタル技術を活用して平面ディスプレイ等によって映像や情報を表示する広告媒体が登場している。これらのサイネージ端末(広告媒体)は、バス停等の公共交通機関の停留所にも用いられている(特許文献1)。
【0003】
このような広告媒体には、屋外での使用を想定して製造された屋外向けの表示装置が利用される。屋外では、季節等による温度変動や直射日光等の影響が大きく、屋外向けの表示装置は、これらにも耐え得る仕様とすることが重要である。
【0004】
特に真夏の炎天下等における屋外では、屋内では想定されないような高温となることがある。このような高温下では、各部品が誤作動を起こすおそれがある。また、液晶パネルが用いられている場合、液晶の変質が生じてブラックアウトが発生するおそれもある。
【0005】
そのため屋外向けの表示装置は、自機を強力に冷却する手段を備えることが不可欠である。このような手段の一つとして、空気流を発生させる冷却用ファンを設け、吸気口から外気を表示装置内に吸い込み、排気口から外部へ空気を吐き出すことにより外気を循環させて表示装置内を冷却する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−294284号公報(第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のような冷却方法では、ダストが外部より表示装置内へ混入するので、吸気口にフィルタを設ける必要がある。従って、フィルタがダストにより詰まるとフィルタの交換が必要となるが、交換作業は煩雑であり、メンテナンス性が悪化してしまう。
【0008】
上記問題点を鑑み、本発明は、メンテナンス性を向上させつつ表示装置を効率良く冷却することができる表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示システムは、情報を表示する表示装置と、
前記表示装置を収納する密閉ケースと、
該密閉ケースの外側に設けられ、該密閉ケース内部の熱を外部に放熱させる放熱部材と、
該密閉ケースの内部に設けられ、前記放熱部材に空気を導くファンと、を備えることを特徴とする。
【0010】
係る表示システムによれば、表示装置は密閉ケースに収納されるので外部からダストが混入することを抑えることができ、フィルタが不要となる。従って、フィルタ交換が不要となり、メンテナンス性が向上する。また、表示装置により熱せられた空気がファンにより放熱部材に導かれ、放熱部材から放熱されるので、表示装置を効率良く冷却できる。また、表示装置が密閉ケースに収納されるので、防水効果も有している。
【0011】
また、前記放熱部材は、熱伝導性の高い金属で構成されるようにしてもよい。
【0012】
また、前記放熱部材は、放熱フィンを有する構成としてもよい。
【0013】
また、太陽電池と、前記太陽電池により得られた電力を蓄電する蓄電池と、を備え、前記表示装置は、前記太陽電池および前記蓄電池から電力を供給される構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の表示システムによると、メンテナンス性を向上させつつ表示装置を効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る屋外表示システムの外観図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る屋外表示システムのブロック図である。
【図3】表示装置を収納する密閉ケースの一実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す密閉ケースの前面断面図である。
【図5】表示装置を収納する密閉ケースの別の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示す密閉ケースの前面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る屋外表示システム100の外観図を図1に示す。
【0017】
図1に示す屋外表示システム100は、太陽電池10と、設置台20と、表示装置30と、密閉ケース70と、冷却ケース80と、筐体90と、脚部91とを備えている。
【0018】
太陽電池10は、筐体90の上方に設けられる設置台20に設置され、受光した太陽光を光電変換することにより発電を行う。太陽電池10により得られた電力は、コントローラ40を介して蓄電池50に蓄えられる(後述する図2)。蓄電池50は、例えばリチウムイオンバッテリ(バッテリパック)である。
【0019】
筐体90の上方には密閉ケース70と、密閉ケース70に収納される表示装置30とが配される。また、筐体90の下方には冷却ケース80が配される。また、筐体90の下端部には、地面に固定可能である脚部91が設けられており、屋外表示システム100は屋外に固定的に設置することが可能となっている。
【0020】
表示装置30は、液晶パネル(LCD)の表示パネル5を備えたLCDディスプレイである。表示装置30は、外部のコンテンツサーバや放送局などから受信したコンテンツ等を表示する。表示装置30を収納する密閉ケース70の前面は透明となっており、ユーザは表示装置30前面に設けられた表示パネル5を見ることができ、コンテンツ等を見ることができる。密閉ケース70の構成については後に詳述する。
【0021】
屋外表示システム100の構成を示すブロック図を図2に示す。図1とも説明が一部重複するが、屋外表示システム100は、太陽電池10と、表示装置30と、コントローラ40と、蓄電池50と、インバータ60、冷却用ファンFとを備えている。表示装置30は、受信部1と、蓄積部2と、表示制御部3と、バックライト4と、表示パネル5と、電源回路6と、制御部7と、を有している。
【0022】
コントローラ40は、太陽電池10が発電した電力を表示装置30および蓄電池50へ供給する。なお、表示装置30への電力供給はインバータ60を介して行う。原則的に、コントローラ40は、太陽電池10が発電した電力の大部分をそのまま表示装置30へ供給する。そして、余剰電力を蓄電池50へ供給する。また、夜間や雨天時は、コントローラ40は、蓄電池50から表示装置30へ電力供給がなされるように制御する。即ち、蓄電池50に蓄えられた電力は、コントローラ40とインバータ60経由で表示装置30へ伝送される。なお、蓄電池50、コントローラ40並びにインバータ60は、冷却ケース80(図1)に収納されて十分に冷却される。
【0023】
表示装置30の制御部7は、例えばCPUにより構成され、表示装置30の各部に対する制御、各部の状態情報の収集を行う。また、収集した状態情報に応じて各部の制御を行う。また、制御部7は、コントローラ40との通信も行う。
【0024】
表示パネル5は、実際に画像の表示を行う部分であり、本実施形態の表示装置30では液晶表示パネルが用いられている。液晶表示パネルは、表示する画像の内容に応じてパネルの各画素に対応する液晶がオン・オフ(またはその中間状態)駆動される。
【0025】
バックライト4は、表示パネル5に白色光を照射する。バックライト4は、例えば冷陰極管(CCFL)、LED光源が用いられる。低消費電力化のためにはLED光源を用いることが望ましい。
【0026】
受信部1は、外部のコンテンツサーバ(例えば、ASPサーバ、パソコンなど)あるいは放送局から無線通信(例えば、WiMAX、IEEE802.11b/gなどの方式)により送信される信号を受信し、受信した信号に対し復調処理などを行う信号処理部などを備える。例えば、無線信号がOFDM方式により変調されて伝送されたMPEG2−TS形式の信号であれば、受信部1はOFDM復調を行い、MPEG2−TS信号を抽出する。抽出されたMPEG2−TS信号は、蓄積部2へ出力される。
【0027】
蓄積部2は、受信部1により抽出されたコンテンツ等を保存する。コンテンツがリアルタイムコンテンツである場合(受信したコンテンツを即時に表示パネル5で表示するような場合)、蓄積部2はバッファメモリとして機能する。コンテンツがユーザの操作に応じて表示されるコンテンツ、あるいは予め設定されたタイムスケジュールに基づいて表示されるコンテンツである場合、蓄積部2はストレージメディアとして機能する。
【0028】
表示制御部3は、表示パネル5における表示制御を行う。具体的には、表示させるコンテンツの内容に応じて、表示パネル5の各画素に対応する液晶の変調を行う。表示制御部3は高速な処理を必要とするため、CPUにより構成される制御部7とは別に設けられた専用のハードウェア回路により実現される。
【0029】
電源回路6は、表示装置30の各部に対し電源供給を行う。なお、表示パネル5、バックライト4における消費電力が他の部分と比して大きいことに鑑み、図2では、電源回路6は、表示パネル5、バックライト4に対してのみ電源供給を行うがごとく記載している。しかし、実際は、電源回路7は、受信部1、蓄積部2、表示制御部3などにも電力を供給する。
【0030】
図3は、表示装置30を収納する密閉ケース70の一実施形態を示す斜視図である。なお、図3で表示装置30は外部より透視される記載としている。また、図4は、図3に示す密閉ケース70の前面断面図を示す。
【0031】
図3で示す密閉ケース70は、表示装置30を内部に収納する矩形体状の収納部70aと、収納部70aから左右両側に突出する放熱部材70bとを有している。収納部70aは、矩形体の左右側面に孔部70cを有し、収納部70aの前面は表示パネル5が視認可能なように透明となっている。放熱部材70bは、熱伝導性の高い金属(例えばアルミニウム等)で構成された角柱部材である。放熱部材70bの一部は孔部70cに埋め込まれ、残りの部分が外部に突出している。収納部70aと放熱部材70bとによって密閉構造が構成されている。
【0032】
また、表示装置30の左右側面と左右の放熱部材70bとの隙間の部分に冷却用ファンFが設けられている。冷却用ファンFの駆動制御は表示装置30の制御部7により行われる(図2)。冷却用ファンFが駆動されることにより、図4の矢印で示す空気流が発生する。これにより、表示装置30により熱せられた収納部70a内部の空気が放熱部材70bに導かれ、導かれた空気の熱が放熱部材70bに奪われ、空気が冷却される。放熱部材70bに奪われた熱は、放熱部材70bを伝導し外気に放出される。
【0033】
このような構成によれば、密閉ケース70による密閉により外部からダストが混入することがないのでフィルタを設ける必要がない。従って、フィルタ交換が不要となり、メンテナンス性を向上させることができる。また、密閉ケース70による密閉により雨天時等の外部からの浸水を抑制することもできる。
【0034】
図5は、表示装置30を収納する密閉ケース70の別の一実施形態を示す斜視図である。なお、図5で表示装置30は外部より透視される記載としている。また、図6は、図5に示す密閉ケース70の前面断面図を示す。
【0035】
図5で示す実施形態では、放熱部材70dの構造が先に述べた図3の実施形態と異なる点である。放熱部材70dは、矩形体である基台部70fと、基台部70fに複数形成された放熱フィン70eとを有する構造である。放熱部材70dは、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属で構成される。そして、基台部70fが収納部70aの左右側面に形成された孔部70cに埋め込まれ、放熱フィン70eが外部に突出している。
【0036】
冷却用ファンFが駆動されることにより、図6の矢印で示す空気流が発生する。これにより、表示装置30により熱せられた収納部70a内部の空気が放熱部材70dに導かれ、導かれた空気の熱が放熱部材70dに奪われ、空気が冷却される。放熱部材70dに奪われた熱は、基台部70fを伝導し、放熱フィン70eから外気に放出される。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々変更が可能である。
【0038】
例えば、密閉ケース内部には、表示装置に表示するコンテンツを収納するためのハードディスクや表示装置を制御するソフトウェアを搭載したコンピュータ(例:PC)又はこれを設置するための場所が設けられていてもよい。
【0039】
また例えば、表示装置30の表示部として液晶表示パネルを例として説明したが、これに代えて、プラズマパネル、有機EL、電子ペーパー、CRTあるいは広告フィルムなどでもよい。
【0040】
なお、本発明の表示システムには、通常の商用電源で駆動されるデジタルサイネージも含まれるとする。
【符号の説明】
【0041】
10 太陽電池
20 設置台
30 表示装置
40 コントローラ
50 蓄電池
60 インバータ
70 密閉ケース
70a 収納部
70b 放熱部材
70c 孔部
70d 放熱部材
70e 放熱フィン
70f 基台部
80 冷却ケース
90 筐体
91 脚部
100 屋外表示システム
F 冷却用ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示装置と、
前記表示装置を収納する密閉ケースと、
該密閉ケースの外側に設けられ、該密閉ケース内部の熱を外部に放熱させる放熱部材と、
該密閉ケースの内部に設けられ、前記放熱部材に空気を導くファンと、を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記放熱部材は、熱伝導性の高い金属で構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記放熱部材は、放熱フィンを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
太陽電池と、前記太陽電池により得られた電力を蓄電する蓄電池と、を備え、
前記表示装置は、前記太陽電池および前記蓄電池から電力を供給されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−208203(P2012−208203A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72093(P2011−72093)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】