説明

表示システム

【課題】複数の表示装置の間で自由に表示物を移動させて表示することのできる表示システムを提供する。
【解決手段】本発明の表示システム1は、タッチパネルを有する複数の表示装置2A、2Bを備えており、表示装置2A、2Bのタッチパネル上に表示される表示物には、他の表示装置へ移動させるときに接触する移動判定領域12が予め設定されており、この移動判定領域への接触操作が検出されると、表示物を他の表示装置へ移動させて表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを有する表示装置を複数備えた表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では車両にカーナビゲーションシステムやオーディオ装置などのさまざまな車載機器が搭載されるようになり、それらの車載機器を操作するために表示装置が搭載されている。車載機器は表示装置のタッチパネルを介して操作されるので、従来では表示画面をユーザーが好みに合わせてカスタマイズすることが提案されており、その一例として特許文献1が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された表示装置では、画面上に表示されている表示物の位置を、ユーザーがタッチパネルで自由に移動させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−274538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された表示装置では、1つの表示装置の表示画面内で表示物を自由に移動させることはできるが、表示装置が複数ある場合には各表示装置を跨って表示物を移動させることはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、複数の表示装置の間で自由に表示物を移動させて表示することのできる表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示システムは、タッチパネルを有する複数の表示装置を備えており、表示装置のタッチパネル上に表示される表示物には、他の表示装置へ移動させるときに接触する移動判定領域が予め設定されており、この移動判定領域への接触操作が検出されると、表示物を他の表示装置に移動させて表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る表示システムによれば、タッチパネル上に表示される表示物に、他の表示装置へ移動させるときに接触する移動判定領域を予め設定しておき、この移動判定領域への接触が検出されると、表示物を他の表示装置へ移動させて表示するので、複数の表示装置の間で自由に表示物を移動させて表示することができる。これにより、ユーザーは簡単に表示画面を自分好みにカスタマイズすることができるので、操作性や視認性の高い表示システムを容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した一実施形態に係る表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した一実施形態に係る表示システムの表示装置の配置を説明するための図である。
【図3】本発明を適用した一実施形態に係る表示システムにおける表示装置の登録画面を示す図である。
【図4】本発明を適用した一実施形態に係る表示システムにおける表示画面の一例を示す図である。
【図5】本発明を適用した一実施形態に係る表示システムにおける表示物の移動処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用した一実施形態に係る表示システムにおける表示画面の一例を示す図である。
【図7】本発明を適用した一実施形態に係る表示システムにおける表示物の移動処理の結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[表示システムの構成]
図1は本実施形態に係る表示システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る表示システム1は、タッチパネルを有する表示装置2A、2Bと、表示装置2A、2Bのタッチパネルから入力される情報に基づいて表示画面上の表示を制御する制御部3と、表示装置2A、2B上での表示を制御するための情報やカーナビゲーションシステムで使用される情報を記憶した記憶部4とを備えている。尚、本実施形態に係る表示システム1は単独のシステムとして構成してもよいが、カーナビゲーションシステムに組み込まれて、カーナビゲーションシステムの表示を制御するためのシステムとして機能させてもよい。
【0013】
ここで、表示装置2A、2Bは、タッチパネルを装備した通常の表示装置であって、タッチパネルへの接触を検出するタッチパネル入力部21A、21Bと、表示画面に画像を表示する画像表示部22A、22Bと、表示画面に画像を表示するための制御を行う画面制御部23A、23Bとを備えている。本実施形態では、図2に示すように表示装置2A、2Bが車室内に上下に配置されている場合を一例として説明するが、配置の仕方は自由に変更することができる。また、表示装置の数は2つである必要はなく、3つ以上であってもよい。図2では、メインで操作される表示装置2Aを、サブで操作される表示装置2Bの上方に配置した場合を示しており、より頻繁に操作される表示装置2Aを、サブで操作される表示装置2Bよりも運転者の手元に近くなるように配置したので、運転者にとって操作し易い配置となっている。
【0014】
制御部3は、マイクロコンピュータ等から構成され、表示装置2A、2Bに対して通常の表示制御を行うとともに、以下で説明する表示物の移動処理を実行する。制御部3は、各表示装置2A、2Bに独立したコンテンツや共通のコンテンツ、関連したコンテンツを表示し、各機能を選択するためのメニューを表示装置2A、2Bに表示する。
【0015】
記憶部4は、表示装置2A、2Bへの表示を制御するための情報を記憶したメモリ41の他にカーナビゲーションシステムにおける表示で使用される地図データベース42、施設データベース43を備えている。
【0016】
[表示システムの設定]
本実施形態に係る表示システム1では、表示装置2A、2Bが配置されている位置を図3に示す登録画面上においてタッチパネルで操作することによって設定することができる。例えば、図3に示すように現在上下に配置されている表示装置2A、2Bを左右に配置変更したい場合には、登録画面上で表示装置2A、2Bをそれぞれ指で押圧して移動させることによって、配置変更後の表示装置2A、2Bの位置を登録画面上で設定することができる。このとき登録画面上に表示されている表示装置2A、2Bの位置は自由に移動させることができるので、上下左右などの決まった配置だけではなく、斜め方向などの自由な配置を設定することができる。こうして登録画面上での設定が完了すると、制御部3は表示装置2A、2Bの配置を正確に認識することができる。
【0017】
次に、表示装置2A、2Bのタッチパネル上に表示される各表示物の設定について説明する。図4は、表示装置2A、2Bに表示される表示画面の一例を示す図である。
【0018】
図4に示すように、表示画面には表示物の一例としてメニュー表示10A〜10Hが表示されている。これらのメニュー表示10A〜10Hは、予め他の表示装置へ移動可能であるか否かが設定されており、移動可能なメニュー表示には移動可能であることを示す移動可能表示11が表示されている。図4では、メニュー表示10C〜10Hが他の表示装置へ移動可能であり、メニュー表示10A、10Bが移動できない表示である。例えば、頻繁に操作する必要のあるメニュー表示はメインの表示装置である表示装置2Aから移動できないように設定されている。
【0019】
図4に示すように、移動可能表示11は他の表示装置が配置されている方向を向いた矢印の表示を含んでいる。図4では、表示装置2Bの表示画面を示しており、表示装置2Aが上方に位置しているので、移動可能表示11の矢印はすべて上を向いている。したがって、表示装置2Aが左側にある場合には矢印も左方向を向くことになる。また、他の表示装置が複数ある場合には矢印の数も他の表示装置の数だけ表示されることになる。この矢印の表示は、上述した図3の登録画面で表示装置2A、2Bの配置が変更されると、それに応じて矢印の向きも変更される。
【0020】
さらに、タッチパネル上に表示される表示物には、他の表示装置へ移動させるときにユーザーが接触するための移動判定領域が予め設定されており、この移動判定領域への接触操作が検出されると、表示物は他の表示装置へ移動される。図4のメニュー表示では、移動可能表示11が表示されている領域と同じ領域に移動判定領域12が設定されているので、移動可能表示11の部分をユーザーが接触操作することによって、メニュー表示を他の表示装置へ移動させることができる。また、他の表示装置へ移動させずに現在表示されている表示画面内でメニュー表示を移動させる場合には、メニュー表示の移動判定領域12以外の部分を指で押圧して移動させれば、メニュー表示を現在の表示画面内で移動させることができる。
【0021】
[表示物の移動処理の手順]
次に、本実施形態に係る表示システム1による表示物の移動処理の手順を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
図5に示すように、まずステップS101において、制御部3は表示装置2A、2Bのタッチパネル上に表示されている表示物の移動判定領域12に対して接触操作が行われたか否かを監視する。このとき表示物に対して行われる接触操作とは、表示物の移動判定領域12を指で押圧してから移動させたい表示装置の方向へ指を移動させる操作である。また、単に移動判定領域12を指で押すだけであってもよい。
【0023】
そして、制御部3は、接触操作が行われない場合には継続して接触操作の有無を監視し、接触操作が行われた場合にはステップS102に移行して接触操作が表示物の移動を指示するものであるか否かを判断する。例えば、接触操作が移動判定領域12を指で押圧したものの表示装置がない方向へ指を移動させる操作であった場合には、表示物の移動を指示するものではないと判断してステップS101へ戻る。一方で、接触操作が移動判定領域12を指で押圧して表示装置の方向へ指を移動させる操作であった場合には、表示物の移動を指示するものであると判断してステップS103へ移行する
ステップS103では表示物の移動指示に応じて、図6に示すように制御部3が指で押圧された表示物、図6ではメニュー表示10Dを、表示装置2Bの表示画面上において表示装置2Aのある上方へ移動させる。そして、表示装置2Bの表示画面上からメニュー表示10Dを消去したら、次にステップS104において制御部3はメニュー表示10Dを表示装置2Aに移動して表示する。
【0024】
このようにしてタッチパネル上に表示されている表示物を他の表示装置へ移動させると、本実施形態に係る表示システム1による表示物の移動処理は終了する。そして、このような移動処理を繰り返し行うことによって、ユーザーは複数の表示装置の表示画面を自分好みにカスタマイズして操作性や視認性の高い表示システムを容易に実現することができる。
【0025】
例えば、図7に示すように表示装置2Bのメニュー画面70に表示されているメニュー表示71を表示装置2Aに移動し、次に表示装置2Bに別のメニュー画面72を表示してメニュー表示73を表示装置2Aに移動する。このような操作を繰り返し行うことによって表示装置2Aにはユーザーが必要としている表示物が表示されることになり、ユーザーにとって操作性や視認性の高い表示システムを容易に実現することができる。
【0026】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る表示システム1によれば、タッチパネル上に表示される表示物に移動判定領域12を予め設定しておき、移動判定領域12への接触操作が検出されると、表示物を他の表示装置へ移動させて表示するので、複数の表示装置の間で自由に表示物を移動させて表示することができる。これにより、ユーザーは簡単に表示画面を自分好みにカスタマイズすることができるので、操作性や視認性の高い表示システムを容易に実現することができる。
【0027】
また、本実施形態に係る表示システム1によれば、表示物が他の表示装置へ移動可能であるか否かが予め設定されており、移動可能である場合には移動可能であることを示す移動可能表示11を表示しているので、ユーザーは移動可能であるか否かを容易に認識することができ、操作性を向上させることができる。
【0028】
さらに、本実施形態に係る表示システム1によれば、複数の表示装置が配置されている位置を、登録画面上においてタッチパネルで操作して設定するので、直感的な操作で容易に表示装置の配置を設定することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る表示システム1によれば、移動可能表示11に他の表示装置が配置されている方向を向いた矢印の表示が含まれているので、ユーザーは表示物が移動する方向を一目で認識することができる。また、登録画面上で他の表示装置の配置が変更された場合には移動可能表示11の矢印の方向も変更されるので、設定変更を容易に表示物に反映させることができる。
【0030】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
1 表示システム
2A、2B 表示装置
3 制御部
4 記憶部
11 移動可能表示
21A、21B タッチパネル入力部
22A、22B 画像表示部
23A、23B 画面制御部
41 メモリ
42 地図データベース
43 施設データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを有する表示装置を複数備えた表示システムであって、
前記表示装置のタッチパネル上に表示される表示物には、他の表示装置へ移動させるときに接触する移動判定領域が予め設定されており、前記移動判定領域への接触操作が検出されると、前記表示物を他の表示装置に移動させて表示することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記表示物は、前記他の表示装置へ移動可能であるか否かが予め設定されており、移動可能である場合には移動可能であることを示す移動可能表示を表示していることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記複数の表示装置が配置されている位置は、前記表示装置に表示される登録画面上においてタッチパネルで操作することによって設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記移動可能表示は、前記他の表示装置が配置されている方向を向いた矢印の表示を含んでおり、前記登録画面上で前記他の表示装置の配置が変更されると、前記矢印の方向も変更されることを特徴とする請求項3に記載の表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−243073(P2012−243073A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112293(P2011−112293)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】