説明

表示タグ及びその成形用型枠

【課題】 表示タグにあって表示部(プレート)と、それを吊持するための取り付けピンが別々に分離されているため、装着作業が煩わしかったという点であり、特に商品が活魚の場合、その対象も動くため容易に装着することができなかったという点、加えて、表示部(プレート)と係止用のT字バーを連続する支持ピンを一体化した場合、それを装着器具を使用するためランナー部材に一体装備したアッセンブリとした時、表示部(プレート)の向きがランナー部材の軸線方向と揃ってしまうと、表示部(プレート)への情報内容のプリントが極めて困難となってしまうという点である。
【解決手段】 商品に係止されるT字バー部と、そのT字バーから一体に延設されている支持ピン部と、その支持ピン部の先端に商品の内容、生態情報やブランドの情報を示す板状の表示プレートが一体に連接されていることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣服類をはじめ多種の商品に付着され、商品内容やブランド等の商品情報を表示するための表示タグ及びその成形用型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に前記したタグは独立した一枚の札状とされ、その一部に穿設された透孔に、商品への係止用T字バー及び抜け止めのパドルを形成したタグ取り付けピンを専用の装着器具で装着し、吊持する構成となっている。
【0003】
しかしながら、上記した従来の構成は、情報内容を表示したタグと、そのタグを吊持するための取り付けピンの二つの分離状態にある要素を必要とし、取り付けピンをタグの透孔に挿通して商品に装着する際には、少なくともタグを位置ずれしないように目的位置に対して、片方の手の指先で押え、次いで専用の装着器具を他方の手で操作する作業が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】出願人は本発明に関し、先行する技術文献を調査したが、格別に本発明と関連し、類似すると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、表示タグにあって表示部(プレート)と、それを吊持するための取り付けピンが別々に分離されているため、装着作業が煩わしかったという点であり、特に商品が活魚の場合、その対象も動くため容易に装着することができなかったという点である。
【0006】
加えて、表示部(プレート)と係止用のT字バーを連続する支持ピンを一体化した場合、それを装着器具を使用するためランナー部材に一体装備したアッセンブリとした時、表示部(プレート)の向きがランナー部材の軸線方向と揃ってしまうと、表示部(プレート)への情報内容のプリントが極めて困難となってしまうという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した問題点を解決するために、本発明に係る表示タグは、商品に係止されるT字バー部と、そのT字バーから一体に延設されている支持ピン部と、その支持ピン部の先端に商品の内容、生態情報やブランドの情報を示す板状の表示プレートが一体に連接されていることを特徴とし、前記表示プレートに示される情報はプリントあるいはシールの部分貼着、もしくはシールの全体被包貼着やインサート成形によってなされていることを特徴とし、前記した表示タグは、初期的にT字バー部が接続部を介して所定のピッチでランナー部材に接続された一連のアッセンブリとされていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る表示タグは、前記した表示プレートの幅は、前記したT字バー部の長さよりも大きいことを特徴とし、前記した表示プレートの面積は150mm2以上であることを特徴とし、前記した表示プレートはT字バー部、支持ピン部を別素材で形成され、上端に舌片を一体に備え、その舌片を支持ピン部の下端に一体に形成された連結部と一体的に連結されていることを特徴とし、前記したアッセンブリの状態で前記連結部は短寸な支持材で点付けされていることを特徴とし、前記したアッセンブリの状態で前記表示プレートはランナー部材の軸線方向に対して略90度の角度で備えられていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る表示タグは、前記したアッセンブリの状態で、前記表示プレートはランナー部材の軸線方向に対して斜交する角度で備えられていることを特徴とし、前記した角度を確保するため、前記した支持ピンと表示プレートとの継なぎ部分には略六角形、略八角形等の多角形あるいは楕円形及び軌跡に部分的な直線部を有する変形楕円形をした角度強制部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明に係る表示タグを成形するための型枠はランナー部材に対して斜交する角度で角度強制部の成形部を設け、その角度強制部の成形部の対角方向あるいは長軸方向に沿って表示プレート成形部を設けてあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る表示タグは上記のように構成されている。そのため、表示プレートと取り付けピンが一体化され、商品への装着作業が片手で実行可能となり、非常に作業性と効率が向上する。また、これをアッセンブリとして専用の装着器具を使用することとなるので、連続した装着作業が可能となる。
【0012】
また、ランナー部材に対して表示プレートを斜交した構成としてあるので、その表示プレートに対し、プリントを行なうことが容易となる。また、この表示プレートの構成はアッセンブリとして角度強制部を設けることで可能となり、請求項11で示した型枠を用いることで成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を実施した表示タグをアッセンブリ状態として示す斜視図である。
【図2】表示タグの単品を示す部分斜視図である。
【図3】表示タグの装着作業を示す図である。
【図4】成形用型枠を部分的に示す平面図である。
【図5】他の表示タグの単品を示す正面図である。
【図6】側面図である。
【図7】他の表示タグの単品を示す部分断面正面図である。
【図8】要部を示す部分側断面図である。
【図9】他の表示タグの単品を示す部分断面正面図である。
【図10】他の表示タグをアッセンブリ状態として示す斜視図である。
【図11】部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。これらの図にあって1はプラスチック製のランナー部材であり、このランナー部材1は断面を略矩形とした直状長尺のものとなっている。このランナー部材1の一側面には所定のピッチをもってランナー部材1と同一材による接続部2、2‥が一体に設けられ、この接続部2、2‥にはやはり同一材による係止部となるT字バー部3、3‥が、その略中心部分を接続され、一体に設けられている。
【0016】
このT字バー部3、3‥からは接続部2、2‥と同芯方向に同一材による支持ピン部4、4‥が一体に設けられている。この支持ピン部4、4‥はその径を略0.4mm〜1.0mm、長さは略15mm前後とし、従来既知の取り付けピンよりも太目に設定している。これは、後述する表示プレートもこの支持ピン部4、4‥に一体に連結するため、千切れを防止するための補強策とされている。
【0017】
この支持ピン部4、4‥の先端部分には、やはり同一材によって成形された表示プレート5、5‥が一体に連結されて設けられている。図1にあって、この表示プレート5、5‥は角丸とした長四角形状とし、その一方の短手方向縁を支持ピン部4、4‥に連結されたものとしている。この表示プレート5、5‥は特に角丸としなくとも、あるいは長四角形でなくともよく、例えば楕円形、円形、正方形等のほか、星形やハート形等の目的に応じた多様な形状をとることが可能である。尚、表示プレート5、5‥は長四角形とした場合、長さを25mm〜45mm程度、幅を12mm〜20mm程度、厚さを約0.2mm〜0.4mm程度に想定している。
【0018】
また、この表示プレート5、5‥と支持ピン部4、4‥との継なぎ部分には角度強制部6、6‥が一体成形されている。本実施例にあって、この角度強制部6はランナー部材1の軸芯方向に対して、略45度程度、表示プレート5、5‥を斜交させるため、一つの対角線を他より長く構成した偏平な六角形状をしており、その長い対角線部分に表示プレート5を位置させることで、前記した斜交状態を構成している。
【0019】
表示プレート5、5‥の表面には、種々の商品内容を示す情報、例えばブランド名や産地名、取り扱い業者名、商品写真が表示される。この表示方法は直にプリントするほか、別途に印刷したシールを貼着したり、あるいはそのシールを大きめに構成して、表示プレート5、5‥全体を被覆し貼着する方法、または、シールを表示プレート5、5‥にインサート成形する方法が用いられる。加えて、食肉用家畜である牛、豚や活魚、果実、野菜等の食品に用いる場合には、DNAその他の生産、飼育、養殖、流通等の情報を入れるため、バーコード、二次元バーコードあるいはICチップを含めたICタグが保有される。
【0020】
その情報内容を表示する際、特に直にプリントする場合、表示プレート5、5‥がランナー部材1の軸芯方向と直交するように並設されていると、各表示プレート5、5‥が重合する構成となって非常に作業が行ないにくくなる。そこで、本願では角度強制部6、6‥の存在によって表示プレート5、5‥をランナー部材1の軸芯方向と斜交、それも略45度の角度をもつように構成し、表面への直にプリントする作業を容易ならしめている。
【0021】
また、この角度強制部6と表示プレート5との成形は図4として示す型枠7が設けられる。この型枠7には角度強制部6を成形するためのやや偏平な六角形パート6aが設けられ、その長い対角線部分に沿って表示プレート5を成形するため目的とする表示プレート5のサイズと適応する有底のスリットパート5aが設けられており、溶解されたプラスチック材料を流入することで一体成形が行なわれる。尚、角度強制部6の表示プレート5と反対側には支持ピン部4が一体成形される。さらに、角度強制部6は偏平な六角形にこだわるものではなく、図4に想像線で示す偏平な八角形パート6b、楕円形パート6cを構成して、それに対応する形状にすることもできる。尚、楕円は数学的に、平面上で、二定点(焦点)への距離の和が一定な点の軌跡をいうが、本願では、この軌跡に一部分、もしくは数箇所部分に直線部分を有する変形された楕円も想定している。
【実施例2】
【0022】
また、本発明に係る表示タグは、図5乃至図9として示すように構成することもできる。まず、図5にあって、表示プレート10はその表示部の面積を150mm2以上の大判のものとし、特に10cm×10cmの1000mm2程度の大きさのものまで想定している。さらに、この表示プレート10の幅はT字バー部3の長さよりも大きな構成となっているもので、表示プレートにおける情報表示を大きく、内容豊富なものとしている。
【0023】
さらに、この表示プレート10はT字バー3や支持ピン部4とは別素材で成形され、その上縁に連結用の舌片11が一体に形成されている。一方、支持ピン部4の下端には下方を開口した中空状の連結部9が一体に形成されており、この連結部9に前記舌片11が嵌入され、熱収縮、熱溶着、インサート等の作用によって支持ピン部4と表示プレート10が一体的に連結された構成となっている。そして、この例の場合、アッセンブリ状態として表示プレート10の面はランナー部材1の長手方向に対して略90度とされている。
【0024】
図7、図8として示す表示タグの例では、表示プレート10に関し、サイズ的なものは図5、図6に示すものと同様であるが、この場合には舌片11に、さらに透孔12を穿設した構成となっている。そのため、支持ピン部4の下端にある連結部9を形成する樹脂が、この透孔12内に浸透して前後で一体につながり、表示プレート10の脱落を確実に阻止することができることとなる。
【0025】
また、図9に示す表示タグの例では、表示プレート10に関し、サイズ的なものは、図5乃至図8に示すものと同様であるが、この場合は舌片11の上端をアンダーカットした山形状(矢印形)の係合部13を一体に形成してある。この係合部13によって、支持ピン部4の下端にある連結部9を形成する樹脂が引っ掛かり、表示プレート10の脱落を確実に阻止することができることとなる。
【0026】
さらに、図5乃至図9及び図10として示す表示タグにあって、そのアッセンブリ状態では、前記した連結部9、9‥の間を短寸な支持材14、14‥で連結している。この支持材14、14‥によって、このアッセンブリを取り付け器具8に装着し、作業をする場合、各表示プレート10、10‥の暴れや絡みを未然に防止することができ、スムーズな装着作業を行なうことができるようになる。
【0027】
本実施例に係る表示タグは上記のように構成されている。この表示タグは一連に50本が設けられたアッセンブリ(図1参照)として構成され、公知の専用取り付け器具8を使用して目的とする商品に装着される。この専用取り付け器具8にはランナー部材1が装填され、順次カッターで接続部2を切断し、表示タグを単品とし、レバーを握ることで、ピストンがスリットを設けた中空ニードルにT字バー部3を押し込み、商品の装着部分の向こう側にそのT字バー部3を送り、係止状態とする。この時に支持ピン部4は中空ニードルのスリットにガイドされる。
【0028】
この表示タグは、衣服類は勿論、生鮮食品、それも料理店の生け簀に入れられる活魚にも使用できる。この活魚の場合には背鰭部分に装着がなされ、高級エビの場合には尾に装着がなされ、高級貝類では殻やヒンジ部に装着がなされる。これは、切り身とされた鮪等の場合には、その頭部に装着して切り身と共に陳列して示すことができ、その他、果実、野菜等にも、硬質な芯がある場合、そこを利用しての装着が可能となる。
【0029】
また、この表示タグの表示プレート5は面積的に大きく構成してあり、そこに表示される情報内容も大きくなるため、視覚的に鮮明に判別することができる。さらに、表示プレート5が支持ピン部4と一体化されているので、片手で、ワンタッチで装着作業ができ、対象が動く活魚でも十分に対応ができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本実施例に係る表示タグ及びその成形型枠は上記のように構成されている。角度強制部6も目的とする表示プレート5のランナー部材1に対する斜交がなされれば六角形状にこだわることなく、他の形態とすることも可能であり、また、商品タグの使用目的も店頭、店内における陳列にこだわらず、広く流通業界において応用使用することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 ランナー部材
2 接続部
3 T字バー部
4 支持ピン部
5 表示プレート
5a スリットパート
6 角度強制部
6a 六角形パート
6b 八角形パート
6c 楕円形パート
7 型枠
8 取り付け器具
9 連結部
10 表示プレート
11 舌片
12 透孔
13 係合部
14 支持材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に係止されるT字バー部と、そのT字バーから一体に延設されている支持ピン部と、その支持ピン部の先端に商品の内容、生態情報やブランドの情報を示す板状の表示プレートが一体に連接されていることを特徴とする表示タグ。
【請求項2】
前記表示プレートに示される情報はプリントあるいはシールの部分貼着、もしくはシールの全体被包貼着やインサート成形によってなされていることを特徴とする請求項1に記載の表示タグ。
【請求項3】
前記した表示タグは、初期的にT字バー部が接続部を介して所定のピッチでランナー部材に接続された一連のアッセンブリとされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示タグ。
【請求項4】
前記した表示プレートの幅は、前記したT字バー部の長さよりも大きいことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の表示タグ。
【請求項5】
前記した表示プレートの面積は150mm2以上であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の表示タグ。
【請求項6】
前記した表示プレートはT字バー部、支持ピン部を別素材で形成され、上端に舌片を一体に備え、その舌片を支持ピン部の下端に一体に形成された連結部と一体的に連結されていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の表示タグ。
【請求項7】
前記したアッセンブリの状態で前記連結部は短寸な支持材で点付けされていることを特徴とする請求項6に記載の表示タグ。
【請求項8】
前記したアッセンブリの状態で前記表示プレートはランナー部材の軸線方向に対して略90度の角度で備えられていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の表示タグ。
【請求項9】
前記したアッセンブリの状態で、前記表示プレートはランナー部材の軸線方向に対して斜交する角度で備えられていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の表示タグ。
【請求項10】
前記した角度を確保するため、前記した支持ピンと表示プレートとの継なぎ部分には略六角形、略八角形等の多角形あるいは楕円形及び軌跡に部分的な直線部を有する変形楕円形をした角度強制部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の表示タグ。
【請求項11】
ランナー部材に対して斜交する角度で角度強制部の成形部を設け、その角度強制部の成形部の対角方向あるいは長軸方向に沿って表示プレート成形部を設けてあることを特徴とする表示タグの成形用型枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−224511(P2010−224511A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144161(P2009−144161)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000134464)株式会社トスカ (23)
【Fターム(参考)】