説明

表示パネルの製造方法及び表示パネルの検査装置

【課題】表示欠損不良の低減された表示パネルを容易且つ安価に製造する方法を実現する。
【解決手段】本発明に係る製造方法は、液晶表示パネル20の表示欠損不良の有無を検査する検査工程を含む。検査工程は、輝度測定装置10を用いて、液晶表示パネル20の輝度相対データを測定する測定工程S5と、予め求められた、基準サンプルの実際の輝度と、輝度測定装置10により基準サンプルの輝度を測定した際に得られる相対的な輝度相対データとの相関関係に基づいて、輝度相対データからパネル輝度を算出する算出工程S7と、パネル輝度と所定閾値とを比較することにより、表示欠損の有無を判断する判断工程S8とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示パネルの製造方法及び表示パネルの検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より高品位な画像表示が可能な表示パネルが強く要望されている。しかしながら、現在の表示パネルの製造技術では表示欠損不良の発生を防止することは困難である。このため、表示欠損不良の低減された高品位の表示パネルを提供するために、製造工程において、表示欠損検査(画質検査)工程が行われている。
【0003】
輝点(異常点灯)不良、黒点(不点灯)不良といった表示パネルの表示欠損不良の有無の検査工程は検査員の目視により行われるのが一般的である。検査員による目視検査工程は、良品として扱うことができる最低品位のサンプルである限界サンプルを用いて行われる。詳細には、表示パネルと限界サンプルとを検査員が見比べることにより、合否(表示欠損不良の有無)の判定が行われる。しかし、目視検査工程では、各検査員の間で合否判定結果がばらつくという問題、同一検査員による検査であっても日時、検査環境によって合否判定結果がばらつくという問題、さらにマンパワーを必要とするため、表示パネルの製造コスト上昇を招来するという問題がある。
【0004】
このような問題に鑑み、表示パネルの表示欠損不良の自動検査方法が種々提案されている(例えば、特許文献1、2)。以下、一般的な自動検査方法について図面を参照しながら説明する。
【0005】
図6は従来の自動検査装置100の構成を示す概念図である。
【0006】
自動検査装置100は、検査対象となる透過型液晶表示パネル101を設置するための検査用テーブル102と、検査用テーブル102の背面に設けられたバックライト103と、液晶表示パネル101を撮影するためのCCDカメラ104と、CCDカメラ104に接続された画像処理装置105とを有する。画像処理装置105はA/Dコンバータ106と、画像メモリ107と、演算回路108とを含む。
【0007】
図7は従来の、自動検査装置100を用いた自動検査工程のフローチャートである。
【0008】
まず、自動検査装置100の検査用テーブル102に検査対象となる液晶表示パネル101を設置する(ステップ110、図面には「S110」と省略して記載する。)。液晶表示パネル101の上方に設けられたCCDカメラ104を用いて液晶表示パネル101を撮影することにより画像データを得る(ステップ111)。得られた画像データは画像処理装置105に取り込まれる。画像処理装置105に取り込まれた画像データはA/Dコンバータ106によりデジタル化され、輝度相対データとして画像メモリ107に記憶させる(ステップ112)。画像メモリ107には閾値(基準データ)が予め記憶されており、演算回路108において、記憶された輝度相対データと閾値とが比較され、表示欠損不良の有無が判断される(ステップ113)。
【0009】
自動検査工程を行う際には、事前に画像メモリ107に表示欠損不良の有無の判定基準となる閾値を入力しなければならない。以下、フローチャートを参照しながら閾値の入力工程について説明する。
【0010】
図8は従来の自動検査装置100への閾値設定工程を表すフローチャートである。
【0011】
まず、良品として扱うことのできる最低品位のサンプルである限界サンプルを作成する(ステップ114)。尚、限界サンプルの輝度は要求される製品性能から算出・決定される。ステップ114で作成した限界サンプルを用いて、複数の液晶表示パネルの基準サンプル(以下、「パネルサンプル」とすることがある。)の目視検査を行う(ステップ115)。自動検査装置100に仮の閾値を入力する(ステップ116)。尚、仮の閾値は経験から適当であると推測される値であり、最終的に設定される閾値と必ずしも一致するとは限らない。
【0012】
仮の閾値が入力された自動検査装置100を用いて、目視検査を行った複数の液晶表示パネルのサンプルについて予備自動検査を行う(ステップ117)。そして、目視検査により得られた結果と予備自動検査により得られた結果とを比較し、両結果の一致不一致を判断する(ステップ118)。その結果、目視検査により良品と判断されたパネルサンプルと、予備自動検査によって良品と判断されたパネルサンプルとが一致し、且つ、目視検査により不良品と判断されたパネルサンプルと予備自動検査によって不良品と判断されたパネルサンプルが一致していれば、閾値の設定工程は終了する(ステップ120)。
【0013】
一方、目視検査の結果と予備自動検査の結果とが一致しなかった場合には、自動検査装置100に入力した閾値を変更し、新たな仮閾値を自動検査装置100に再入力する(ステップ119)。再入力後、目視検査を行った表示パネルサンプルについて予備自動検査を再度行い(ステップ117)、得られた予備自動検査の結果と目視検査の結果とを比較し、一致不一致を判断する(ステップ118)。以下、図8に示すステップ117〜ステップ119を目視検査の結果と予備自動検査の結果とが一致するまで繰り返し行うことにより、閾値が最終的に設定される。
【特許文献1】特開平4−44493号公報
【特許文献2】特開平7−72037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の自動検査工程では、上述のように、閾値を入力するために、限界サンプルを作成し(ステップ114)、限界サンプルを用いた目視検査工程(ステップ115)を行う必要がある。しかし、所望の輝度を有する限界サンプルを意図的、計画的に作成することは非常に困難である。また、従来の自動検査工程では、表示パネルの自動検査を行うに先立って、多数の表示パネルサンプルの目視検査及び予備自動検査を繰り返し行う必要があるため(ステップ115〜ステップ120)、多大な工数と時間を要する。さらに、閾値は検査対象となる表示パネルの種類ごとに異なるため、検査対象となる表示パネルの種類が変化するたびに、作成が非常に困難である限界サンプルを作成する工程と、多大な工数と時間を要する閾値設定工程とを繰り返し行わなければならない。
【0015】
このように、従来の自動検査工程は、検査装置の立ち上げに多大な工数と時間を要するので、表示欠損不良の低減された表示パネルの製造には、多大な工数、時間を要するという問題がある。
【0016】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示欠損不良の低減された表示パネルを容易且つ安価に製造する方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る表示パネルの製造方法は表示パネルの表示欠損不良の有無を検査する検査工程を含む。前記検査工程は、輝度測定装置を用いて、前記表示パネルの輝度相対データを測定する測定工程と、予め求められた、基準サンプルの実際の輝度と、前記輝度測定装置により前記基準サンプルの輝度を測定した際に得られる相対的な輝度相対データとの相関関係に基づいて、前記輝度相対データからパネル輝度を算出する算出工程と、前記パネル輝度と所定の閾値とを比較することにより表示欠損不良の有無を判断する判断工程とを含む。
【0018】
本発明に係る表示パネルの検査装置は、表示パネルの表示欠損不良の有無を検査するための検査装置である。本発明に係る表示パネルの検査装置は、前記表示パネルからの光を受光し、前記光の強度を測定する受光素子と、基準サンプルの実際の輝度と、前記基準サンプルから出射される光の強度を前記受光素子により測定したときに得られる輝度相対データとの相関関係を記憶するメモリと、前記メモリに記憶された前記相関関係に基づいて、前記受光素子により測定された前記光の強度から前記表示パネルのパネル輝度を算出し、前記パネル輝度と所定の閾値とを比較することにより表示欠損不良の有無を判断する演算回路とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表示欠損不良の低減された表示パネルを容易且つ安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施形態に係る液晶表示パネルの製造方法は自動検査装置10を用いた表示欠損不良の有無を検査する検査工程を含む。以下、表示欠損不良の有無を検査する検査工程について詳細に説明する。尚、本明細書において、「自動検査」とは、検査員の目視検査によらず、検査装置を用いて行う検査のことである。
【0021】
図1は液晶表示パネルの表示欠損不良の有無を検査するための自動検査装置(輝度測定装置)10の構成を示す概念図である。
【0022】
自動検査装置10は、検査対象となる液晶表示パネル20を設置する検査用テーブル12と、検査用テーブル12の背面に設けられたバックライト11と、検査用テーブル12の上方に設けられたカメラ14と、カメラ14と検査用テーブル12との間に設けられたレンズ群13と、カメラ14に接続された画像処理装置15とを含む。画像処理装置15は、カメラ14に接続されたA/Dコンバータ16と、A/Dコンバータ16に接続されたメモリ17と、メモリ17に接続された演算回路18とを含む。
【0023】
検査用テーブル12の背面に設けられたバックライト11は検査対象である液晶表示パネル20に適宜光を供給する。バックライト11から供給され、液晶表示パネル20を透過した光は、レンズ群13によりカメラ14に集光される。
【0024】
カメラ14には複数のCCD(charge−coupled device;電荷結合素子)が設けられている。カメラ14は、液晶表示パネル20の各画素に対応する単数又は複数のCCDを有し、各画素からの光は、レンズ群13により、それぞれ対応する単数又は複数のCCDに集光される。CCDに光が入射すると、入射した光の量に応じてCCDに電荷が蓄積される。カメラ14に設けられた複数のCCDのそれぞれに蓄積された電荷の量が、画像データとして画像処理装置15に入力される。
【0025】
尚、検査する液晶表示パネル20の1画素に1つのCCDが対応していてもよく、1画素に2以上のCCDが対応していてもよい。各画素に対応するCCDの数を増やすことによって、各画素の輝度をより正確に測定することができる。また、各画素に対応するCCDを複数にすることで、カメラ14と液晶表示パネル20との相対位置がずれた場合にも、比較的正確な輝度を測定することができる。換言すれば、各画素に対応するCCDの数を複数にすることによって、輝度の測定ムラを低減することができる。各画素に対するCCDの数は3個以上10個以下であることが好ましい。
【0026】
CCDに蓄積された電荷の量はA/Dコンバータ16によってデジタル化されることにより輝度相対データが算出される。変換された輝度相対データはメモリ17に記憶される。尚、輝度相対データとは輝度の階調データに相当する。
【0027】
また、メモリ17には基準サンプルの実際の輝度と、前記基準サンプルから透過もしくは反射される光の強度を自動検査装置10により測定したときに得られる輝度相対データとの相関関係(以下、「実際輝度−輝度相対データ相関関係」とすることがある。)が記憶されている。演算回路18は、メモリ17に記憶された、液晶表示パネル20の輝度相対データと、実際輝度−輝度相対データ相関関係とを読み出し、実際輝度−輝度相対データ相関関係に基づいて、輝度相対データから、例えば、光量単位(カンデラ:cd)で表されるパネル輝度(実際輝度)を算出する。演算回路18は算出したパネル輝度を基に表示欠損不良の有無を判断する。
【0028】
以下、フローチャートを参照しながら、実施形態における表示欠損検査工程についてさらに詳細に説明する。まず、実際の液晶表示パネル20の表示欠損検査を行う前に、自動検査装置10に含まれるメモリ17に実際輝度−輝度相対データ相関関係を記憶させる必要がある。
【0029】
図2は自動検査装置10に実際輝度−輝度相対データ相関関係を入力する工程を示したフローチャートである。
【0030】
まず、基準サンプルの実際の輝度と輝度相対データとの相関関係(実際輝度−輝度相対データ相関関係)を求める(ステップ1)。尚、基準サンプルの実際の輝度(以下、「実際輝度」とすることがある。)とは、基準サンプルを、分光光度計(輝度測定器)で測定したときに得られる基準サンプルの輝度のことをいう。
【0031】
具体的には、輝度が異なる複数種類の液晶表示パネルを用意し、その液晶表示パネルを分光光度計(輝度測定器)と自動検査装置10との双方で測定し、分光光度計(輝度測定器)から得られた実際輝度と自動検査装置10から得られた輝度相対データとを対比させることにより、実際輝度−輝度相対データ相関関係を求める。求められた実際輝度−輝度相対データ相関関係と、閾値(実際輝度)をメモリ17に入力する(ステップ2)。
【0032】
図3はメモリ17に入力される実際輝度−輝度相対データ相関関係を例示するグラフである。
【0033】
実際輝度と輝度相対データとは比例関係(一次的相関関係)を示すこともあるが、実際輝度と輝度相対データとは比例関係を示さず、例えば、図3に示すような非線形相関関係をとることもある。これは、カメラ14に設けられたCCDの感度が輝度範囲によって変化することに起因する。
【0034】
上述した従来の自動検査では、自動検査の前準備として、作成が困難な限界サンプルを作成しなければならず(図8に記載されたステップ114)、また、複数回にわたる目視検査及び予備自動検査をしなければならない(図8に記載されたステップ117〜ステップ120)。しかし、本実施形態における自動検査では、ステップ1及びステップ2のみで自動検査をするための前準備が終了する。このため、本実施形態では、自動検査の前準備のために、作成が困難な限界サンプルを作成する必要がない。また、本実施形態では、自動検査の前準備で多大な工数と時間を要する目視検査工程を必要としない。このため、液晶表示パネル20の表示欠損の有無を検査する検査工程を容易且つ安価に行うことができる。従って、本実施形態に係る液晶表示パネルの製造方法によれば、表示欠損不良の低減された液晶表示パネル20を容易且つ安価に製造することができる。
【0035】
図4は本実施形態における自動検査工程のフローチャートである。
【0036】
本実施形態における自動検査工程では、まず、液晶表示パネル20を検査用テーブル12に設置する(ステップ3)。適宜にバックライト11を点灯させながら、カメラ14により液晶表示パネル20の画像データを撮影し、画像データを得る(ステップ4)。本実施形態においては、撮影とは、カメラ14に設けられた複数のCCDが液晶表示パネル20の光を受光することにより、複数のCCDのそれぞれに電荷を蓄積させることをいう。また、本実施形態においては、画像データとは、各CCDが蓄積した電荷量のデータのことをいう。
【0037】
撮影により得られた画像データはA/Dコンバータ16に取り込まれ、A/Dコンバータ16によりデジタル化されることにより輝度相対データ(階調データ)が算出される(ステップ5)。輝度相対データを測定する工程はステップ4及びステップ5を含む。算出された輝度相対データはメモリ17に記憶される(ステップ6)。演算回路18は、メモリ17に記憶された輝度相対データを読み出し、メモリ17に記憶された実際輝度−輝度相対データ相関関係に基づいて輝度相対データから実際輝度(パネル輝度)を算出する(算出工程;ステップ7)。本実施形態において、実際輝度(パネル輝度)とは、例えば、光量単位(カンデラ:cd)で表される値のことである。そして、演算回路18により算出された実際輝度(パネル輝度)と、図2に示すステップ2によりメモリ17に記憶された閾値とが比較され、表示欠損不良の有無が判断される(判断工程;ステップ8)。
【0038】
本実施形態では、各液晶表示パネル20について、少なくとも上記ステップ4〜ステップ8を、液晶表示パネル20に黒画面電圧を印加した状態と、液晶表示パネル20に白画面電圧を印加した状態との両方で、繰り返し行うことが好ましい。以下、フローチャートを参照しながら、画素電極と対向電極に相対的に電位差の少ない状態で白を表示させるノーマリーホワイトの液晶表示パネル20を例として、黒画面状態と白画面状態との双方について表示欠損検査を行う場合の工程を説明する。
【0039】
図5はノーマリーホワイトの液晶表示パネル20の黒画面状態と白画面状態との双方について表示欠損不良の有無を検査する工程を示すフローチャートである。
【0040】
まず、液晶表示パネル20を検査テーブル12の上に設置する(ステップ3−1)。液晶表示パネル20の液晶層に黒画面電圧を印加した状態で、カメラ14を用いて液晶表示パネル20を撮影し、画像データを得る(ステップ4−1)。A/Dコンバータ16により、撮影により得られた画像データがデジタル化されることにより輝度相対データが算出される(ステップ5−1)。算出された輝度相対データはメモリ17に一旦記憶される(ステップ6−1)。演算回路18は、メモリ17に記憶された輝度相対データ及び実際輝度−輝度相対データ相関関係を読み出し、実際輝度−輝度相対データ相関関係に基づいて、輝度相対データから液晶表示パネル20の実際輝度(パネル輝度)を算出する(ステップ7−1)。
【0041】
表示欠損のないノーマリーホワイトの液晶表示パネル20は、黒画面電圧印加状態において、全面に黒を表示させる。このため、ステップ(7−1)により算出された各画素の実際輝度は、論理的に極めて小さくなる。しかしながら、ショート等に起因して、欠陥画素等が存在する場合、光を透過させる画素を検査するCCDの画素で光が検出される。演算回路18により、検出された光の実際輝度と輝点検査用の閾値とが比較され、実際輝度(パネル輝度)が輝点検査用の閾値よりも大きい場合には、自動検査装置10により輝点不良と判断される(判断工程;ステップ8−1)。検出された光の実際輝度が輝点検査用の閾値よりも小さい場合には、続いて黒点不良を検査するための工程(ステップ4−2〜8−2)が行われる。
【0042】
上記ステップ(3−1)〜ステップ(8−1)では、黒点不良を検査することができない。上記ステップに続いて、ステップ(4−2)〜ステップ(8−2)を行うことにより黒点不良を検査することができる。
【0043】
続いて白画面電圧印加状態で、カメラ14を用いて液晶表示パネルを撮影し、画像データを得る(ステップ4−2)。A/Dコンバータ16により、撮影により得られた画像データがデジタル化されることにより輝度相対データが算出される(ステップ5−2)。算出された輝度相対データはメモリ17に一旦記憶される(ステップ6−2)。演算回路18は、メモリ17に記憶された輝度相対データ及び実際輝度−輝度相対データ相関関係を読み出し、実際輝度−輝度相対データ相関関係に基づいて、液晶表示パネル20の実際輝度(パネル輝度)を算出する(ステップ7−2)。
【0044】
表示欠損のないノーマリーホワイトの液晶表示パネル20は、白画面電圧印加状態において、全面に白が表示される。しかしながら、ショート等に起因して、黒点欠陥画素が存在する場合、その画素に対応するCCDで検出される光の量は、白を表示している画素から検出される光の量よりも小さくなる。演算回路18により、検出された光の実際輝度と黒点検査用の閾値とが比較され、実際輝度(パネル輝度)が黒点検査用の閾値よりも小さい場合には、自動検査装置10は黒点不良と判断される(判断工程;ステップ8−2)。検出された光の実際輝度が黒点検査用の閾値よりも大きい場合には、良品として判断される。
【0045】
より詳細に液晶表示パネル20の表示欠損不良を検査するためには、例えば中間色表示状態等、さらに複数の状態で検査することが好ましい。
【0046】
上述のように、本実施形態における表示欠損検査工程は、算出されたパネル輝度と閾値(所定のパネル輝度)とを比較することにより行われる。このため、液晶表示パネル20の種類が変化して閾値が変わった場合であっても、閾値となるパネル輝度を再入力するだけで、すぐに自動検査を開始することができる。本実施形態における表示欠損検査工程では、従来の自動検査工程のように、目視検査等を伴う閾値入力工程(図8に記載されたステップ114〜ステップ120)を行う必要がない。従って、本実施形態では、多種にわたる液晶表示パネル20の表示欠損の有無を検査する検査工程を効率よく行うことができるので、表示欠損不良の低減された液晶表示パネル20を効率よく製造することができる。
【0047】
尚、本実施形態では、液晶表示パネル、特に透過型の液晶表示パネル20に限定して説明したが、本発明は透過型の液晶表示パネル20に限定されるものではない。本発明は、反射型の液晶表示パネル、エレクトロルミネッセンス表示パネル、プラズマ表示パネル、フィールドエミッション表示パネル等にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明に係る表示パネルの製造方法によれば、液晶表示パネル、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、フィールドエミッション表示装置等の表示パネルを好適に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】表示パネルの表示欠損不良の有無を検査するための自動検査装置(輝度測定装置)10の構成を示す概念図である。
【図2】自動検査装置10に実際輝度−輝度相対データ相関関係を入力する工程を示したフローチャートである。
【図3】メモリ17に入力される実際輝度−輝度相対データ相関関係を例示するグラフである。
【図4】本実施形態における自動検査工程のフローチャートである。
【図5】ノーマリーホワイトの液晶表示パネル20の黒画面電圧印加状態と白画面電圧印加状態との双方について表示欠損不良の有無を検査する工程を示すフローチャートである。
【図6】従来の自動検査装置100の構成を示す概念図である。
【図7】従来の、自動検査装置100を用いた自動検査工程のフローチャートである。
【図8】従来の自動検査装置100への閾値設定工程を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
10、100 自動検査装置
11、103 バックライト
12、102 検査用テーブル
13 レンズ群
14 カメラ
15、105 画像処理装置
16、106 A/Dコンバータ
17 メモリ
18、108 演算回路
20 液晶表示パネル
100 自動検査装置
101 液晶表示パネル
104 CCDカメラ
107 画像メモリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの表示欠損不良の有無を検査する検査工程を含む前記表示パネルの製造方法であって、
前記検査工程は、輝度測定装置を用いて、前記表示パネルの輝度相対データを測定する測定工程と、
予め求められた、基準サンプルの実際の輝度と、前記輝度測定装置により前記基準サンプルの輝度を測定した際に得られる相対的な輝度相対データとの相関関係に基づいて、前記輝度相対データからパネル輝度を算出する算出工程と、
前記パネル輝度と所定の閾値とを比較することにより表示欠損不良の有無を判断する判断工程と、
を含む表示パネルの製造方法。
【請求項2】
表示パネルの表示欠損不良の有無を検査するための検査装置であって、
前記表示パネルからの光を受光し、前記光の強度を測定する受光素子と、
基準サンプルの実際の輝度と、前記基準サンプルから出射される光の強度を前記受光素子により測定したときに得られる輝度相対データとの相関関係を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記相関関係に基づいて、前記受光素子により測定された前記光の強度から前記表示パネルのパネル輝度を算出し、前記パネル輝度と所定の閾値とを比較することにより表示欠損不良の有無を判断する演算回路と、
を有する検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−170841(P2006−170841A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364620(P2004−364620)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】