説明

表示プログラム、表示装置、及び顕微鏡システム

【課題】本発明は、顕微鏡観察像を観察する上で最適な色設定を行うとともに、表示する色設定の煩わしさを低減する。
【解決手段】顕微鏡により取得された画像を表示させるための表示プログラムは、表示装置が、光学系から受光部に出射される光束の波長を制限する波長制限情報を記憶する記憶部に記憶された波長制限情報に基づいて、受光部に出射される光束の波長範囲を算出し、算出された光束の波長範囲に基づいて、受光部に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定する代表波長設定ステップと、表示装置が、波長代表値に基づいて、画像を表示する色情報に変換する色変換ステップと、表示装置が、色情報に基づいて画像を表示する表示ステップとを表示装置としてのコンピュータに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示プログラム、表示装置、及び顕微鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡観察像をコンピュータ上で表示する場合には、例えば、モノクロ表示、擬似カラー表示、レインボー表示(暗い部分を紫とし、明るくなるにつれてそれぞれ藍青緑黄橙赤と割り当てる)などが行われていた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−21784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される擬似カラー表示では、画像に色を割り当てる際に、使用者が手動によって色を設定するか、コンピュータが自動的に設定する。この際に設定される色は、三原色(赤、青、緑)や三原色の補色(シアン、マゼンタ、黄色)に設定する場合が多く、顕微鏡観察像を観察する上で、必ずしも最適な色設定ではない場合がある。ここで、最適な色設定とは、例えば、顕微鏡によって観察する試料から出射されている光束の波長に近い色設定である。
顕微鏡観察像を最適な色設定によって観察するためには、使用者が手動によって最適な色を設定する必要がある。そこで、使用者が手動によって最適な色を設定する場合には、使用者が実験を行った際に顕微鏡で使用している蛍光色素の特性、励起フィルタ、ダイクロイックミラー、又は蛍光フィルタの特性などを使用者が確認し、これらの特性に応じて、最適な色を使用者が設定する。この場合には、いちいち蛍光色素の特性、励起フィルタ、ダイクロイックミラー、又は蛍光フィルタの特性を使用者が認識して、使用者自身によってどの色が良いかを判断して設定する必要がある。そのため、使用者が手動によって最適な色を設定する場合には、表示する色を設定する煩わしさがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、顕微鏡観察像を観察する上で最適な色設定を行うとともに、表示する色設定の煩わしさを低減することができる表示プログラム、表示装置、及び顕微鏡システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、光学系を介して、試料から出射される光束を受光してデジタルデータに変換する受光部を備える顕微鏡により取得された前記デジタルデータを画像として、表示装置としてのコンピュータに表示させるための表示プログラムであって、前記表示装置が、前記光学系から前記受光部に出射される光束の波長を制限する波長制限情報を記憶する記憶部に記憶された前記波長制限情報に基づいて、前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出し、算出された前記受光部に出射される光束の波長範囲に基づいて、前記受光部に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定する代表波長設定ステップと、前記表示装置が、前記波長代表値に基づいて、前記画像を表示する色情報に変換する色変換ステップと、前記表示装置が、前記色情報に基づいて前記画像を表示する表示ステップとを前記コンピュータに実行させるための表示プログラムである。
【0007】
また、本発明は、光学系を介して、試料から出射される光束を受光してデジタルデータに変換する受光部を備える顕微鏡により取得された前記デジタルデータを画像として表示する表示装置であって、前記光学系から前記受光部に出射される光束の波長を制限する波長制限情報を記憶する記憶部と、前記波長制限情報に基づいて、前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出し、算出された前記受光部に出射される光束の波長範囲に基づいて、前記受光部に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定する代表波長設定処理と、前記波長代表値に基づいて、前記画像を表示する色情報に変換する色変換処理と、前記色情報に基づいて前記画像を表示させる表示処理とを実行する制御部とを備えることを特徴とする表示装置である。
【0008】
また、本発明は、光学系を介して、試料から出射される光束を受光してデジタルデータに変換する受光部を備える顕微鏡により取得された前記デジタルデータを画像として表示する表示装置であって、前記画像を表示する色情報を予め記憶する記憶部であって、前記光学系から受光部に出射される光束の波長を制限する波長制限情報に基づいて、前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出し、算出された前記受光部に出射される光束の波長範囲に基づいて、前記受光部に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定し、前記波長代表値に基づいて変換される前記色情報を記憶する記憶部と、前記色情報に基づいて前記画像を表示させる制御部とを備えることを特徴とする表示装置である。
【0009】
また、本発明は、光学系を介して、試料から出射される光束を受光してデジタルデータに変換する受光部を備える顕微鏡と、上記に記載の表示装置とを有することを特徴とする顕微鏡システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顕微鏡観察像を観察する上で最適な色設定を行うとともに、表示する色設定の煩わしさを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態による顕微鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態におけるフィルタ特性情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図4】同実施形態におけるフィルタ選択画面の一例を示す図である。
【図5】同実施形態におけるフィルタ全体リスト表示画面の一例を示す図である。
【図6】同実施形態におけるフィルタ追加画面の一例を示す図である。
【図7】同実施形態におけるダイクロイックミラー部の透過率の一例を示すグラフである。
【図8】同実施形態における蛍光フィルタ部の透過率の一例を示すグラフである。
【図9】同実施形態における光学系から受光部に出射される光束の波長範囲の一例を示すグラフである。
【図10】同実施形態における画像に色を割り当てる処理を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
【図12】同実施形態における蛍光色素の特性情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図13】同実施形態における蛍光色素の波長特性の一例を示すグラフである。
【図14】同実施形態における受光部によって受光可能な光束の波長範囲の一例を示すグラフである。
【図15】同実施形態における画像を表示する処理を示すフローチャートである。
【図16】第3の実施形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
【図17】同実施形態における表示色情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図18】第4の実施形態における顕微鏡システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態による顕微鏡システムについて図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における顕微鏡システム100の構成を示すブロック図である。
図1において、顕微鏡システム100は、表示装置10及び顕微鏡20を備える。
顕微鏡20は、光源部1、コンデンサレンズ部2、励起フィルタ部3(第2のフィルタ部)、ダイクロイックミラー部4、対物レンズ部5、蛍光フィルタ部7(第1のフィルタ部)、集光レンズ部8、及び受光部9を備える。顕微鏡20は、例えば、蛍光顕微鏡である。
ここで、光源部1、コンデンサレンズ部2、励起フィルタ部3、ダイクロイックミラー部4、対物レンズ部5、蛍光フィルタ部7、及び集光レンズ部8の全体を示す場合には、光学系30と称して説明する。また、試料6は、顕微鏡20によって観察される物体を示す。
【0013】
光源部1は、例えば、励起ランプであり、試料6に照射する照明光束を出射する光源である。光源部1は、照明光束を出射する。光源部1から出射された光束は、コンデンサレンズ部2に出射される。
コンデンサレンズ部2は、光源部1と励起フィルタ部3との間に配置され、光源部1から出射された光束を平行光に変換して、変換された光束を励起フィルタ部3に出射する。
励起フィルタ部3は、コンデンサレンズ部2とダイクロイックミラー部4との間に配置される。励起フィルタ部3は、光源部1からコンデンサレンズ部2を介して励起フィルタ部3に出射された光束のうち、予め定められた一部分の波長範囲の光を透過し、それ以外の波長の光を吸収する。励起フィルタ部3を透過した光束は、ダイクロイックミラー部4に出射される。
【0014】
ダイクロイックミラー部4は、励起フィルタ部3と対物レンズ部5との間、及び対物レンズ部5と蛍光フィルタ部7との間に配置される。ダイクロイックミラー部4は、励起フィルタ部3から出射される照明光束のうち、予め定められた閾値以下の波長の光を対物レンズ部5を介して試料6に対して反射する。また、ダイクロイックミラー部4は、試料6から出射される光束のうち、上述した予め定められた閾値をこえる波長の光を透過する。ダイクロイックミラー部4を透過した光束は、蛍光フィルタ部7に出射される。
【0015】
対物レンズ部5は、顕微鏡20により観察される試料6とダイクロイックミラー部4との間に配置される。対物レンズ部5は、ダイクロイックミラー部4によって反射された照明光束を試料6に集光する。
試料6には、例えば、蛍光を発する物質(以下、蛍光色素という)が予め注入されており、照明光束を照射することにより蛍光を出力する。
【0016】
蛍光フィルタ部7は、ダイクロイックミラー部4と集光レンズ部8との間に配置される。蛍光フィルタ部7は、ダイクロイックミラー部4を透過した光束のうち、予め定められた波長範囲の光束を透過し、この波長範囲外の光束を吸収する。
集光レンズ部8は、蛍光フィルタ部7と受光部9との間に配置される。集光レンズ部8は、蛍光フィルタ部7を透過した光束を集光して、受光部9に出射する。
受光部9は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの格子状に配置されている複数のイメージセンサ(不図示)を含み、それぞれのイメージセンサは、集光レンズ部8から出射された光束を電圧値に変換するアナログ−デジタル変換処理を行う。また、受光部9は、集光レンズ部8から出射された光束を変換したデジタルデータを表示装置10に供給する。
【0017】
なお、顕微鏡20は、励起フィルタ部3、ダイクロイックミラー部4、及び蛍光フィルタ部7を選択できる。つまり、顕微鏡20は、使用する蛍光色素に応じて、透過特性の異なる励起フィルタ部3、透過特性の異なるダイクロイックミラー部4、又は透過特性の異なる蛍光フィルタ部7に変更することができる。
【0018】
表示装置10は、顕微鏡20と制御信号線によって接続される。表示装置10は、例えば、コンピュータである。表示装置10は、顕微鏡20の受光部9から供給されたデジタルデータを画像として変換し、変換した画像を表示する。すなわち、表示装置10は、顕微鏡20によって取得されたデジタルデータを画像として表示する。
【0019】
図2は、本実施形態における表示装置10の構成を示すブロック図である。
この図において、表示装置10は、記憶部11、制御部12、入力部13、及び画像表示部14を備える。
【0020】
記憶部11は、制御部12と制御信号線によって接続される。記憶部11は、制御部12から制御信号線を介して供給された情報を記憶する。また、記憶部11が記憶する情報は、制御部12によって読み出される。また、記憶部11は、フィルタ特性記憶部111、色変換情報記憶部112、及び画像情報記憶部113を含む。
【0021】
フィルタ特性記憶部111は、励起フィルタ部3の特性情報、ダイクロイックミラー部4の特性情報、及び蛍光フィルタ部7の特性情報を記憶する。ここで、励起フィルタ部3の特性情報は、励起フィルタ部3に対応づけられた、励起フィルタ部3によって透過される波長範囲を示す情報を含む。また、ダイクロイックミラー部4の特性情報は、ダイクロイックミラー部4に対応づけられた、ダイクロイックミラー部4によって透過される予め定められた閾値をこえる波長範囲を示す情報を含む。また、蛍光フィルタ部7の特性情報は、蛍光フィルタ部7に対応づけられた、蛍光フィルタ部7によって透過される波長範囲を示す情報を含む。すなわち、励起フィルタ部3の特性情報、ダイクロイックミラー部4の特性情報、及び蛍光フィルタ部7の特性情報は、それぞれが、光学系30から受光部9に出射される光束の波長を制限する波長制限情報である。また、励起フィルタ部3の特性情報、ダイクロイックミラー部4の特性情報、及び蛍光フィルタ部7の特性情報をフィルタ特性情報という。
【0022】
色変換情報記憶部112は、光の波長と、光の波長に対応する色情報とを関連付けて記憶する。つまり、色変換情報記憶部112は、光の波長を色情報に変換するための変換テーブルを記憶する。
画像情報記憶部113は、顕微鏡20によって取得された画像情報を記憶する。ここで、画像情報は、顕微鏡20の受光部9によって受光された光束を電圧値に変換したデジタルデータを画像として変換した情報である。
【0023】
入力部13は、制御部12と制御信号線によって接続される。入力部13は、例えば、キーボードやマウスなどである。入力部13は、表示装置10を制御する制御情報の入力に使用される。入力部13は、顕微鏡システム100を使用する使用者によって入力された制御情報を、制御信号線を介して制御部12に供給する。
画像表示部14は、制御部12と制御信号線によって接続される。画像表示部14は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示モニタである。画像表示部14は、制御部12から制御信号線を介して供給された画像情報に基づいて、顕微鏡20によって取得された画像を表示する。
【0024】
制御部12は、入力部13から供給される制御情報に基づいて、表示装置10の各種制御を行う。また、制御部12は、顕微鏡20から供給されるデジタルデータを画像情報に変換し、画像情報を記憶部11に記憶させる。制御部12は、記憶部11に記憶される波長制限情報に基づいて、画像を表示する色情報を設定する色設定を行う。制御部12は、記憶部11に記憶される画像情報を読み出し、設定された色情報に基づいて画像を画像表示部14に表示させる。
【0025】
また、上記に説明した制御部12は、代表波長設定部121、色変換処理部122、及び画像表示処理部123を備える。
代表波長設定部121は、フィルタ特性記憶部111に記憶される波長制限情報を読み出し、読み出した波長制限情報に基づいて、受光部9に出射される光束の波長範囲を算出する。また、代表波長設定部121は、算出された受光部9に出射される光束の波長範囲に基づいて、受光部9に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定する。これらの代表波長設定部121による一連の処理を代表波長設定処理という。
色変換処理部122は、代表波長設定部121によって設定された波長代表値に基づいて、画像を表示する色情報に変換する色変換処理を行う。この色変換処理において、色変換処理部122は、色変換情報記憶部112に記憶された情報を読み出して、波長代表値に対応する色情報によって画像を表示する色情報を設定する。
画像表示処理部123は、顕微鏡20から供給されるデジタルデータを画像情報に変換し、画像情報を画像情報記憶部113に記憶させる。また、画像表示処理部123は、画像情報記憶部113に記憶された画像情報を読み出し、色変換処理部122によって設定された色情報に基づいて画像を画像表示部14に表示させる表示処理を行う。
【0026】
図3は、本実施形態におけるフィルタ特性情報のデータ構成の一例を示す図である。
図3(a)は、フィルタ特性記憶部111に記憶されるダイクロイックミラー部4の特性情報におけるデータ構成を示す。この図において、ダイクロイックミラー部4の特性情報は、ダイクロイックミラー名、波長最小値、及び波長最大値を示す情報がダイクロイックミラー部4毎に関連付けられている。なお、フィルタ特性記憶部111は、様々な透過特性を持つ複数のダイクロイックミラー部4の特性情報を記憶する。そのため、顕微鏡20は、複数のダイクロイックミラー部4の中から1つを選択して使用することができる。
【0027】
ダイクロイックミラー名は、ダイクロイックミラー部4を識別する識別情報である。また、波長最小値は、ダイクロイックミラー部4が透過する光束の波長範囲における最小値を示す情報である。また、波長最大値は、ダイクロイックミラー部4が透過する光束の波長範囲における最大値を示す情報である。
例えば、ダイクロイックミラー名“AAA”が付与されたダイクロイックミラー部4では、520nm(ナノメートル)から705nmまでの波長範囲の光束が透過される。また、ダイクロイックミラー名“BBB”が付与されたダイクロイックミラー部4では、380nmから600nmまでの波長範囲の光束が透過される。
【0028】
図3(b)は、フィルタ特性記憶部111に記憶される蛍光フィルタ部7の特性情報におけるデータ構成を示す。この図において、蛍光フィルタ部7の特性情報は、蛍光フィルタ名、波長最小値、及び波長最大値を示す情報が蛍光フィルタ部7毎に関連付けられている。なお、フィルタ特性記憶部111は、様々な透過特性を持つ複数の蛍光フィルタ部7の特性情報を記憶する。そのため、顕微鏡20は、複数の蛍光フィルタ部7の中から1つを選択して使用することができる。
【0029】
蛍光フィルタ名は、蛍光フィルタ部7を識別する識別情報である。また、波長最小値は、蛍光フィルタ部7が透過する光束の波長範囲における最小値を示す情報である。また、波長最大値は、蛍光フィルタ部7が透過する光束の波長範囲における最大値を示す情報である。
例えば、蛍光フィルタ名“CCC”が付与された蛍光フィルタ部7では、505nmから540nmまでの波長範囲の光束を透過する。蛍光フィルタ名“BBB”が付与された蛍光フィルタ部7では、390nmから430nmまでの波長範囲の光束が透過される。
【0030】
図示は省略するが、励起フィルタ部3の特性情報おけるデータ構成は、励起フィルタ名、波長最小値、及び波長最大値を含み、蛍光フィルタ部7の特性情報におけるデータ構成と同様である。
【0031】
次に、本実施形態の動作について説明する。
まず、図1に示される顕微鏡20の動作について説明する。
図1において、光源部1から出射された光束は、コンデンサレンズ部2を通り、励起フィルタ部3に出射される。励起フィルタ部3は、光源部1からコンデンサレンズ部2を介して励起フィルタ部3に出射された光束のうち、予め定められた一部分の波長範囲の光束を透過する。励起フィルタ部3を透過した光束は、ダイクロイックミラー部4に出射される。
【0032】
ダイクロイックミラー部4は、励起フィルタ部3を透過してきた光束(照明光束)のうち、予め定められた閾値以下の波長の光束を対物レンズ部5に反射する。ここで、ダイクロイックミラー部4は、励起フィルタ部3により透過してきた光束の波長範囲を反射する。
ダイクロイックミラー部4によって反射された光束は、対物レンズ部5を通り、試料6に出射される。
【0033】
試料6には、蛍光色素が予め注入されている。このため、ダイクロイックミラー部4によって反射された光束を、対物レンズ部5を介して試料6に照射することによって、試料6は、蛍光を出力する。試料6から出力された蛍光は、再び対物レンズ部5を通り、ダイクロイックミラー部4に出射される。なお、試料6から出力される蛍光の波長値は、試料6に照射される照明光束の波長値より大きい値を含む。ここでは、試料6から出力される蛍光の波長値は、ダイクロイックミラー部4の予め定められた閾値をこえる値となる。そのため、試料6から出力される蛍光は、ダイクロイックミラー部4を透過して、蛍光フィルタ部7に出射される。
【0034】
蛍光フィルタ部7は、ダイクロイックミラー部4を透過した光束(蛍光)のうち、予め定められた波長範囲の光束を透過し、透過した光束を集光レンズ部8に出射する。蛍光フィルタ部7から出射された光束は、集光レンズ部8を通り、受光部9に出射される。
【0035】
受光部9は、集光レンズ部8から出射された光束を電圧値に変換するアナログ−デジタル変換処理を行う。また、受光部9は、集光レンズ部8から出射された光束を電圧値に変換したデジタルデータを表示装置10に供給する。
なお、集光レンズ部8から受光部9に出射される光束は、光学系30から受光部9に出射される光束である。
【0036】
表示装置10のフィルタ特性記憶部111は、複数のフィルタ特性情報を記憶する。つまり、フィルタ特性記憶部111には、複数の励起フィルタ部3の特性情報、複数のダイクロイックミラー部4の特性情報及び複数の蛍光フィルタ部7の特性情報がそれぞれ記憶される。そのため、表示装置10では、使用者が、顕微鏡観察に使用するフィルタ特性情報(励起フィルタ部3、ダイクロイックミラー部4又は蛍光フィルタ部7)を選択することができる。表示装置10では、使用者がフィルタ特性情報を選択すると、制御部12がそれぞれに対応するフィルタ特性情報をフィルタ特性記憶部111から読み出して、選択されたフィルタ特性情報を画像表示部14に表示することができる。
なお、ここでいう「フィルタ」とは、上述の通り、励起フィルタ部3、ダイクロイックミラー部4、及び蛍光フィルタ部7である。
【0037】
次に、図2に示される表示装置10の動作について説明する。
まず、表示装置10において、フィルタ特性情報を選択する動作について説明する。
図4は、本実施形態において、フィルタ特性情報を選択する場合のフィルタ選択画面の一例を示す図である。
この図において、使用者は、複数ある励起フィルタ選択ボタン21によって、顕微鏡観察に使用する励起フィルタ部3を選択する。ここで、顕微鏡20では、使用者は、使用者が所有している複数の励起フィルタ部3を手動で入れ替えて使用する。図4に示されるように、励起フィルタ選択ボタン21が複数ある理由は、顕微鏡観察実験に使用する励起フィルタ部3を簡便に選択できるようにするためである。
ダイクロイックミラー部4を選択する場合には、使用者は、ダイクロイックミラー部4をダイクロイックミラー選択ボタン22によって、励起フィルタ部3を選択する場合と同様に選択する。また、蛍光フィルタ部7を選択する場合には、使用者は、蛍光フィルタ部7を蛍光フィルタ選択ボタン23によって、励起フィルタ部3を選択する場合と同様に選択する。
【0038】
図5は、本実施形態におけて、フィルタ特性情報を選択する場合にフィルタ全体リストを表示する表示画面の一例を示す図である。
この図に示される表示画面25は、表示装置10のフィルタ特性記憶部111に記憶される蛍光フィルタ部7のリストを表示するリスト画面の例である。使用者は、このリストの中から、使用者が所有している蛍光フィルタ部7を選択し、図4に示される複数ある蛍光フィルタ選択ボタン23に割り付ける。これにより、使用者は、大量にあるフィルタ特性情報全体のリストから、使用者が所有している蛍光フィルタ部7をいちいち探す必要がなくなる。
【0039】
なお、図5では、蛍光フィルタ部7におけるリスト画面の例を示したが、励起フィルタ部3と励起フィルタ選択ボタン21とにおいて、及びダイクロイックミラー部4とダイクロイックミラー選択ボタン22とにおいても同様の画面を使用することで設定が可能である。
【0040】
なお、フィルタ特性情報には、新しいフィルタの特性情報を追加して登録することも可能である。
図6は、本実施形態におけるフィルタ追加画面の一例を示す図である。
この図に示される表示画面26は、新しい蛍光フィルタ部7のフィルタ特性情報を表示装置10に登録する画面の一例である。新しい蛍光フィルタ部7のフィルタ特性情報を表示装置10に登録する場合、使用者は、新しい蛍光フィルタ部7によって透過することができる波長範囲を表示画面16において入力部13から入力する。
ここでは、使用者は、例えば、新しい蛍光フィルタ部7によって透過することができる波長範囲における最小値と最大値とを入力する。入力部13から入力された最小値及び最大値は、制御部12に供給される。制御部12は、供給された最小値及び最大値を蛍光フィルタ部7の識別情報である蛍光フィルタ名と関連づけて、新しい蛍光フィルタ部7のフィルタ特性情報としてフィルタ特性記憶部111に記憶させる。これにより、フィルタ特性記憶部111に記憶されていない(登録されていない)新しい蛍光フィルタ部7を使用したい場合に対応することが可能になる。
【0041】
なお、図6では、蛍光フィルタ部7における追加画面の一例を示したが、励起フィルタ部3とダイクロイックミラー部4とにおいても、同様の画面を用意することで、新規に登録することが可能になる。
【0042】
次に、本実施形態において、観察画像を表示する際に、ダイクロイックミラー部4の特性情報と蛍光フィルタ部7の特性情報とを使用して、色を割り当てる場合の動作について説明する。
図7は、本実施形態の動作におけるダイクロイックミラー部4の透過率の一例を示すグラフである。
この図において、グラフは、ダイクロイックミラー部4に入射される光束の波長とダイクロイックミラー部4を透過する光束の透過率との関係を示す。また、グラフにおいて、横軸は、光の波長(単位は[nm])を示し、縦軸は、光の透過率(単位は[%])を示す。波形31は、ダイクロイックミラー部4の透過特性を示す。波形31において、ダイクロイックミラー部4は、約505nmより長い波長の光束を透過する。
【0043】
図8は、本実施形態の動作における蛍光フィルタ部7の透過率の一例を示すグラフである。
この図において、グラフは、蛍光フィルタ部7に入射される光束の波長と蛍光フィルタ部7を透過する光束の透過率との関係を示す。また、グラフにおいて、横軸は、光の波長(単位は[nm])を示し、縦軸は、光の透過率(単位は[%])を示す。波形32は、蛍光フィルタ部7の透過特性を示す。波形32において、蛍光フィルタ部7は、約495nmから約550nmまでの波長範囲の光束を透過する。
【0044】
図9は、本実施形態の動作における光学系から受光部に出射される光束の波長範囲の一例を示すグラフである。
この図において、グラフは、光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲を示す。このグラフにおいて、横軸は、光の波長(単位は[nm])を示し、縦軸は、光の透過率(単位は[%])を示す。ここで、光学系30とは、例えば、ダイクロイックミラー部4と蛍光フィルタ部7とを含む。波形33は、ダイクロイックミラー部4の透過特性を示す波形31(図7)と蛍光フィルタ部7の透過特性を示す波形32(図8)とに基づいて算出された、光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲を示す。波形33において、光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲は、約505nmから約550nmまでの範囲である。
【0045】
本実施形態において、表示装置10は、波形33に示される光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲に基づいて、受光部9に出射される光束の代表値を算出し、波長代表値として設定する。受光部9に出射される光束の代表値は、例えば、受光部9に出射される光束の波長範囲における真ん中の波長値(中央値)である。すなわち、波長代表値は、受光部9に出射される光束の波長範囲(波形33)における波長の最大値と波長の最小値との平均値である。
【0046】
波長代表値が可視光領域であれば、波長代表値を波長とする光は、人間の目には色として認識される。表示装置10は、波長代表値に基づいて、顕微鏡20によって取得された画像を表示する色情報に変換する。表示装置10は、この色情報に基づいて顕微鏡20によって取得された画像を表示する。これにより、表示装置10は、観察実験に使用したフィルタの特性を示す色によって顕微鏡20によって取得された画像を表示することができる。
【0047】
なお、説明上グラフとして例示したが、本実施形態において、光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲は、演算により算出することができる。例えば、ダイクロイックミラー部4の透過率が80%以上になる波長の最小値及び最大値と、蛍光フィルタ部7の透過率が80%以上になる波長最小値及び最大値とに基づいて、重なっている波長の範囲を数値的に計算する。ダイクロイックミラー部4の波長の最小値及び最大値と、蛍光フィルタ部7の波長の最小値及び最大値とは、フィルタ特性記憶部111にフィルタ特性情報(波長制限情報)として記憶される。
また、ダイクロイックミラー部4と蛍光フィルタ部7とは、上述の重なっている波長の範囲として光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲が存在する組合せが選択される。
図9に示される波長C1から波長C2までの範囲は、上述の演算によって算出された光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲である。また、図9に示される波長代表値は、波長C1から波長C2までの波長範囲における真ん中の波長値(中央値)34である。
【0048】
次に、本実施形態の表示装置10において、顕微鏡20によって取得された画像に色を割り当てる処理ついて、フローチャートを参照して詳細に説明する。
図10は、本実施形態の表示装置10において、本実施形態における顕微鏡20によって取得した画像に色を割り当てる処理を示すフローチャートである。
【0049】
顕微鏡20によって取得された画像に色を割り当てる処理が開始されると、まず、使用者が使用しているダイクロイックミラー部4を選択する(ステップS101)。ステップS101において、使用者は、表示装置10の入力部13を使用して、例えば、図4に示される設定画面によって、複数あるダイクロイックミラー部4の内の1つを選択する。入力部13は、選択されたダイクロイックミラー部4の情報(例えば、名前)を制御部12に供給する。
【0050】
次に、表示装置10の制御部12が、ダイクロイックミラー部4の特性情報をフィルタ特性記憶部111から取り出す(ステップS102)。ステップS102において、制御部12の代表波長設定部121は、記憶部11のフィルタ特性記憶部111に記憶されるフィルタ特性情報(波長制限情報)の中から、選択されたダイクロイックミラー部4の名前などをキーに検索する。代表波長設定部121は、選択されたダイクロイックミラー部4に対応するフィルタ特性情報(波長制限情報)を読み出す。
【0051】
次に、使用者が使用している蛍光フィルタ部7を選択する(ステップS103)。ステップS103において、使用者は、表示装置10の入力部13を使用して、例えば、図4に示される設定画面によって、複数ある蛍光フィルタ部7の内の1つを選択する。入力部13は、選択された蛍光フィルタ部7の情報(例えば、名前)を制御部12に供給する。
【0052】
次に、表示装置10の制御部12が、蛍光フィルタ部7の特性情報をフィルタ特性記憶部111から取り出す(ステップS104)。ステップS104において、制御部12の代表波長設定部121は、記憶部11のフィルタ特性記憶部111に記憶されるフィルタ特性情報(波長制限情報)の中から、選択された蛍光フィルタ部7の名前などをキーに検索する。代表波長設定部121は、選択された蛍光フィルタ部7に対応するフィルタ特性情報(波長制限情報)を読み出す。
【0053】
次に、表示装置10の制御部12が、取り出したフィルタ特性情報から入射される波長範囲を計算する(ステップS105)。ステップS105において、代表波長設定部121は、フィルタ特性記憶部111から読み出した、ダイクロイックミラー部4のフィルタ特性情報と蛍光フィルタ部7のフィルタ特性情報とに基づいて、受光部9に出射される光束の波長範囲を算出する。
【0054】
次に、表示装置10の制御部12が、波長の中央値を計算する(ステップS106)。ステップS106において、代表波長設定部121は、算出された受光部9に出射される光束の波長範囲の真ん中の値(中央値)を代表値として計算して、波長代表値に設定する。すなわち、代表波長設定部121は、算出された受光部9に出射される光束の波長範囲に基づいて、受光部9に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定する。
【0055】
次に、表示装置10の制御部12が、計算した波長の値を色に変換する(ステップS107)。ステップS107において、制御部12の色変換処理部122は、色変換情報記憶部112に記憶される変換テーブルを用いて波長代表値に設定された波長の値を色情報に変換する。
【0056】
次に、表示装置10は、変換した色を用いて画像を表示する(ステップS108)。ステップS108において、制御部12の画像表示処理部123は、画像情報記憶部113に記憶された画像情報を読み出し、色変換処理部122によって変換された色情報に基づいて画像を画像表示部14に表示させる。
以上の処理を行うことで、表示装置10は、フィルタ特性情報を用いて自動で色を割り当て、顕微鏡20によって取得された画像を表示することができるようになる。
【0057】
以上のように、本実施形態では、制御部12の代表波長設定部121が、フィルタ特性記憶部111から読み出した、ダイクロイックミラー部4のフィルタ特性情報と蛍光フィルタ部7のフィルタ特性情報とに基づいて、受光部9に出射される光束の波長範囲を算出する。つまり、代表波長設定部121は、ダイクロイックミラー部4によって透過される予め定められた閾値をこえる波長範囲と、蛍光フィルタ部7によって透過される波長範囲とが重なる波長範囲に基づいて受光部9に出射される光束の波長範囲を算出する。また、代表波長設定部121は、算出された受光部9に出射される光束の波長範囲の真ん中の値(中央値)を代表値として計算して、波長代表値に設定する。
また、制御部12の色変換処理部122は、色変換情報記憶部112に記憶される変換テーブルを用いて波長代表値に設定された波長の値を色情報に変換する。制御部12の画像表示処理部123は、画像情報記憶部113に記憶された画像情報を読み出し、色変換処理部122によって変換された色情報に基づいて画像を画像表示部14に表示させる。
【0058】
つまり、表示装置10は、受光部9に出射される光束の波長範囲の中央値の波長を色情報に変換し、表示装置10の記憶部11に記憶されたデジタル画像の色として自動的に適用する。これにより、表示装置10は、観察実験に使用したフィルタの特性を示す最適な色設定によって顕微鏡20によって取得された画面を表示することができる。ここで、最適な色設定とは、例えば、顕微鏡20によって観察される試料6から出射されている光束の波長に近い色設定である。
結果として、本実施形態における表示装置10、及び顕微鏡システム100は、顕微鏡観察像を観察する上で最適な色設定を行うとともに、表示する色設定の煩わしさを低減することができる。
【0059】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態による顕微鏡システムについて図面を読み出して説明する。
本実施形態において、顕微鏡20の構成は、図1に示される第1の実施形態と同じである。
図11は、第2の実施形態における表示装置10の構成を示すブロック図である。
この図において、図2と同じ構成には同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態との相違点のみについて説明する。表示装置10の記憶部11は、フィルタ特性記憶部111、色変換情報記憶部112、画像情報記憶部113、及び蛍光色素特性記憶部114を含む。
【0060】
蛍光色素特性記憶部114は、蛍光色素の特性情報を記憶する。ここで、蛍光色素の特性情報とは、試料6に注入されて蛍光を発する蛍光色素に対応づけられた、蛍光色素によって発せられる蛍光波長の範囲を示す情報である。すなわち、蛍光色素の特性情報は、光学系30から受光部9に出射される光束の波長を制限する波長制限情報である。
【0061】
図12は、本実施形態における蛍光色素の特性情報のデータ構成の一例を示す図である。
図12は、蛍光色素特性記憶部114に記憶される蛍光色素の特性情報におけるデータ構成を示す。この図において、蛍光色素の特性情報は、蛍光色素名、及び波長特性情報を含む。蛍光色素名は、蛍光色素を識別する識別情報である。また、波長特性情報は、波長と発せられる蛍光強度とが関連づけられた情報を複数含む。
なお、顕微鏡20は、複数の蛍光色素の中から1つを選択して使用することができる。そのため、蛍光色素特性記憶部114は、様々な波長特性を持つ複数の蛍光色素の特性情報を記憶する。
【0062】
次に、本実施形態の動作について説明する。
ここでは、本実施形態において、観察画像を表示する際に、ダイクロイックミラー部4の特性情報、蛍光フィルタ部7の特性情報、及び蛍光色素の特性情報を使用して、色を割り当てる場合の動作について説明する。
なお、本実施形態において、ダイクロイックミラー部4の特性情報は、図7に示される第1の実施形態と同様である。また、蛍光フィルタ部7の特性情報は、図8に示される第1の実施形態と同様である。
【0063】
図13は、本実施形態の動作における蛍光色素の波長特性の一例を示すグラフである。
この図において、グラフは、蛍光色素の波長と蛍光強度との関係を示す。また、グラフにおいて、横軸は、光の波長(単位は[nm])を示し、縦軸は、蛍光強度を示す。波形35は、蛍光素子の波長特性を示す蛍光スペクトルである。波形35において、蛍光素子は、約520nm付近の波長にピークを持つ蛍光を発することを示す。
【0064】
図14は、本実施形態の動作における光学系から受光部に出射される光束の波長範囲の一例を示すグラフである。
この図において、グラフは、光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲を示す。このグラフにおいて、横軸は、光の波長(単位は[nm])を示し、縦軸は、光の透過率(単位は[%])を示す。ここで、光学系30とは、例えば、ダイクロイックミラー部4と蛍光フィルタ部7とを含む。波形36は、光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲を示す。この波長範囲は、ダイクロイックミラー部4の透過特性を示す波形31(図7)、蛍光フィルタ部7の透過特性を示す波形32(図8)及び蛍光色素の波長特性を示す波形35(図8)に基づいて算出される。波形36において、光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲は、約510nmから約545nmまでの範囲である。
【0065】
本実施形態において、表示装置10は、波形36に示される光束の波長範囲であって、光学系30から受光部9に出射される光束の波長範囲に基づいて、受光部9に出射される光束の代表値を算出し、波長代表値として設定する。受光部9に出射される光束の代表値は、例えば、受光部9に出射される光束の波長範囲におけるピーク値37である。
【0066】
次に、本実施形態の表示装置10において、顕微鏡20によって取得された画像に色を割り当てる処理ついて、フローチャートを参照して詳細に説明する。
図15は、本実施形態の表示装置10において、本実施形態における顕微鏡20によって取得した画像に色を割り当てる処理を示すフローチャートである。
【0067】
図15において、ステップS101からステップS104における処理は、図10に示される第1の実施形態のステップS101からステップS104における処理と同様である。この図では、ステップS104の処理が実行されるとステップS109の処理に進む。
ステップS109において、使用者が使用している蛍光素子を選択する。使用者は、表示装置10の入力部13を使用して、複数ある蛍光素子の内の1つを選択する。例えば、使用者は、図4に示される設定画面と同様な方法によって、複数ある蛍光素子の内の1つを選択しても良い。入力部13は、選択された蛍光素子の情報(例えば、名前)を制御部12に供給する。
【0068】
次に、表示装置10の制御部12が、蛍光素子の特性情報を蛍光色素特性記憶部114から取り出す(ステップS110)。ステップS110において、制御部12の代表波長設定部121は、記憶部11の蛍光色素特性記憶部114に記憶される蛍光素子の特性情報(波長制限情報)の中から、選択された蛍光素子の名前などをキーに検索する。代表波長設定部121は、選択された蛍光素子に対応する蛍光素子の特性情報(波長制限情報)を読み出す。
【0069】
次に、表示装置10の制御部12が、取り出したフィルタ特性情報及び蛍光素子の特性情報から入射される波長範囲を計算する(ステップS105a)。ステップS105aにおいて、代表波長設定部121は、ダイクロイックミラー部4のフィルタ特性情報、蛍光フィルタ部7のフィルタ特性情報、及び蛍光素子の特性情報に基づいて、受光部9に出射される光束の波長範囲を算出する。
【0070】
次に、表示装置10の制御部12が、波長の中央値を計算する(ステップS106a)。ステップS106aにおいて、代表波長設定部121は、算出された受光部9に出射される光束の波長範囲において透過率が最大となる波長の値(ピーク値)を代表値として計算して、波長代表値に設定する。すなわち、代表波長設定部121は、算出された受光部9に出射される光束の波長範囲に基づいて、受光部9に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定する。
【0071】
ステップS106aの処理以降のステップS107からステップS108における処理は、図10に示される第1の実施形態のステップS107からステップS108における処理と同様である。
【0072】
以上のように、本実施形態では、制御部12の代表波長設定部121が、ダイクロイックミラー部4のフィルタ特性情報、蛍光フィルタ部7のフィルタ特性情報、及び、蛍光素子の特性情報に基づいて、受光部9に出射される光束の波長範囲を算出する。ダイクロイックミラー部4のフィルタ特性情報、蛍光フィルタ部7のフィルタ特性情報、及び、蛍光素子の特性情報は、記憶部11から読み出される。また、代表波長設定部121は、算出された受光部9に出射される光束の波長範囲において透過率が最大となる波長の値(ピーク値)を代表値として計算して、波長代表値に設定する。つまり、波長代表値は、受光部9に出射される光束の波長範囲における透過率の最大値に対応する波長値である。
また、制御部12の色変換処理部122は、色変換情報記憶部112に記憶される変換テーブルを用いて波長代表値に設定された波長の値を色情報に変換する。制御部12の画像表示処理部123は、画像情報記憶部113に記憶された画像情報を読み出し、色変換処理部122によって変換された色情報に基づいて画像を画像表示部14に表示させる。
【0073】
つまり、表示装置10は、受光部9に出射される光束の波長範囲において透過率が最大となる波長の値(ピーク値)を色情報に変換し、表示装置10の記憶部11に記憶されたデジタル画像の色として自動的に適用する。これにより、表示装置10は、観察実験に使用したフィルタの特性を示す最適な色設定によって顕微鏡20によって取得された画面を表示することができる。
結果として、本実施形態における表示装置10、及び顕微鏡システム100は、顕微鏡観察像を観察する上で最適な色設定を行うとともに、表示する色設定の煩わしさを低減することができる。
なお、本実施形態において、代表波長設定部121によって算出される受光部9に出射される光束の波長範囲は、第1の実施形態において算出された光束の波長範囲に、更に蛍光素子の特性情報を考慮して算出する。このため、本実施形態では、第1の実施形態の色設定に比べて、試料6から出射されている光束の波長に、より近い色設定を行うことができる。
【0074】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態による顕微鏡システムについて図面を参照して説明する。
本実施形態において、顕微鏡20の構成は、図1に示される第1の実施形態と同じである。
図16は、第3の実施形態における表示装置10の構成を示すブロック図である。
この図において、図11と同じ構成には同一の符号を付してその説明を省略し、第2の実施形態との相違点のみについて説明する。表示装置10の記憶部11は、フィルタ特性記憶部111、色変換情報記憶部112、画像情報記憶部113、蛍光色素特性記憶部114、及び表示色情報記憶部115を含む。
【0075】
表示色情報記憶部115は、ダイクロイックミラー部4、蛍光フィルタ部7及び蛍光素子において、使用される各組合せに対応する表示色情報を記憶する。ここで、表示色情報とは、図15に示されるステップS101からステップS107の処理によって変換された色情報である。表示色情報記憶部115は、波長代表値から変換された色情報を、ダイクロイックミラー部4、蛍光フィルタ部7及び蛍光素子の各識別情報と対応づけて記憶する。
【0076】
図17は、本実施形態における表示色情報のデータ構成の一例を示す図である。
この図において、表示色情報記憶部115に記憶される表示色情報は、蛍光色素名、ダイクロイックミラー名、蛍光フィルタ名、及び色情報を含む。蛍光色素名は、蛍光色素を識別する識別情報である。ダイクロイックミラー名は、ダイクロイックミラー部4を識別する識別情報である。蛍光フィルタ名は、蛍光フィルタ部7を識別する識別情報である。色情報は、例えば、画像を表示するための色を示す色コードである。例えば、蛍光色素名“蛍光色素A”、ダイクロイックミラー名“AAA”、及び蛍光フィルタ名“CCC”の組合せの場合、表示色情報は、緑色を示す“008000”となる。
【0077】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図示は省略するが、本実施形態の動作では、以下の点を除き、図15に示される第2の実施形態の動作と同様である。
本実施形態では、図15に示されるステップS107において、色変換処理部122が、波長代表値から変換された色情報を、ダイクロイックミラー部4、蛍光フィルタ部7及び蛍光素子の各識別情報と対応づけて表示色情報記憶部115に記憶させる。
また、図15に示されるステップS108において、画像表示処理部123は、画像情報記憶部113に記憶された画像情報を読み出し、表示色情報記憶部115に記憶された色情報に基づいて画像を画像表示部14に表示させる。
なお、本実施形態では、図15に示されるステップS101からステップS107までの処理は、毎回行う必要はない。ダイクロイックミラー部4、蛍光フィルタ部7及び蛍光素子において新しい組合せが発生した場合に、図15に示されるステップS101からステップS107までの処理が行われる。
【0078】
以上のように、本実施形態では、図15に示される第2の実施形態と同様の処理によって、画像に色を割り当てる。このため、本実施形態における表示装置10は、観察実験に使用したフィルタの特性を示す最適な色設定によって顕微鏡20によって取得された画面を表示することができる。結果として、本実施形態では、第2の実施形態と同等の効果が期待できる。
また、本実施形態では、色変換処理部122が、波長代表値から変換された色情報を、ダイクロイックミラー部4、蛍光フィルタ部7及び蛍光素子の各識別情報と対応づけて表示色情報記憶部115に記憶させる。また、画像表示処理部123は、表示色情報記憶部115に記憶された色情報に基づいて画像を画像表示部14に表示させる。このため、本実施形態では、色情報を毎回生成する必要がない。
【0079】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態による顕微鏡システムについて図面を参照して説明する。
本実施形態は、本発明を電動のフィルタを切り替える機能を有している蛍光顕微鏡20aに適用した場合の一例である。
図18は、第4の実施形態における顕微鏡システム100aの構成を示すブロック図である。
この図において、顕微鏡システム100aは、表示装置10及び顕微鏡20aを備える。この図において、図1と同じ構成には同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態との相違点のみについて説明する。
顕微鏡20aは、光源部1、コンデンサレンズ部2、フィルタ切り替え部40、対物レンズ部5、集光レンズ部8、及び受光部9を備える。顕微鏡20aは、例えば、蛍光顕微鏡である。ここで、光源部1、コンデンサレンズ部2、フィルタ切り替え部4、対物レンズ部5、及び集光レンズ部8の全体を示す場合には、光学系30aとする。
【0080】
フィルタ切り替え部40は、励起フィルタ部(3a、3b及び3c)、ダイクロイックミラー部(4a、4b及び4c)、及び蛍光フィルタ部(7a、7b及び7c)を備える。
励起フィルタ部(3a、3b及び3c)、ダイクロイックミラー部(4a、4b及び4c)、及び蛍光フィルタ部(7a、7b及び7c)は、それぞれ波長の透過特性が異なる。また、励起フィルタ部3aとダイクロイックミラー部4aと蛍光フィルタ部7aは、連動して切り替わるように一体化され、これをフィルタセット40aとする。また、励起フィルタ部3bとダイクロイックミラー部4bと蛍光フィルタ部7bは、連動して切り替わるように一体化され、これをフィルタセット40bとする。また、励起フィルタ部3cとダイクロイックミラー部4cと蛍光フィルタ部7cは、連動して切り替わるように一体化され、これをフィルタセット40cとする。
【0081】
また、フィルタ切り替え部40において、フィルタセット40aがポジション#1の位置に、フィルタセット40bがポジション#2の位置に、フィルタセット40cがポジション#3の位置に、それぞれ配置される。フィルタ切り替え部40は、上述の波長の透過特性の異なる3種類のフィルタセット(40a、40b、40c)を電動により切り替える。
【0082】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図18に示される顕微鏡20aの動作は、フィルタ切り替え部40によって3つのフィルタセット(40a、40b、40c)を切り替えられる動作を除いて、図1に示される顕微鏡20の動作と同様である。
【0083】
フィルタ切り替え部40は、使用者がポジション番号を選択すると、ポジション番号に対応するフィルタセットに切り替える。例えば、顕微鏡20aでは、図2に示されるような選択ボタン(21、22、又は23)の番号と、フィルタセットの特性情報、及びフィルタ切り替え部40のポジション番号を一致させて設定される。これにより、使用者は、フィルタ切り替え部40のポジション番号を画面上で選択することで、フィルタセットが切り替わり、フィルタセットの特性情報を取り出すことが出来るようになる。
ここで、フィルタセットの特性情報は、励起フィルタ部(3a、3b又は3c)のフィルタ特性情報、ダイクロイックミラー部(4a、4b又は4c)のフィルタ特性情報、及び蛍光フィルタ部(7a、7b及び7c)のフィルタ特性情報である。
【0084】
フィルタセットを選択した後に、表示装置10が顕微鏡20aによって取得した画像に色を割り当てる処理は、図示は省略するが、図10に示されるステップS105からステップS108までの処理と同様である。使用者がフィルタセットのポジション番号を選択することにより、表示装置10は、選択されたフィルタセットの特性情報に基づいて割り当てられた色によって、画像を表示することができる。
【0085】
また、本実施形態において、フィルタ切り替え部40によってフィルタセットを切り替えることにより、表示装置10は、複数の波長の特性を持つ画像データを一度に表示することも可能である。
複数の波長の特性を持つ画像データを一度に表示する場合には、使用者は、まず、ポジション#1を選択して、励起フィルタ部3a、ダイクロイックミラー部4aと蛍光フィルタ部7aとに切り替えて、画像の取得を行う。その際には、表示装置10は、ダイクロイックミラー部4aのフィルタ特性情報と蛍光フィルタ部7aのフィルタ特性情報とに基づいて割り当てられた色によって、画像を表示する。
【0086】
次に、使用者は、ポジション#2を選択し、励起フィルタ部3b、ダイクロイックミラー部4bと蛍光フィルタ部7bとに切り替えて、ポジション#1を選択した場合と同様の処理を行う。
最後に、使用者は、ポジション#3を選択し、励起フィルタ部3c、ダイクロイックミラー部4cと蛍光フィルタ部7cとに切り替えて、ポジション#1を選択した場合と同様の処理を行う。
これにより、表示装置10は、3種類のそれぞれ異なるフィルタの特性に基づいて、別々の色を持つ画像データを一度に表示することができる。
【0087】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。光学部材(光学系30又は30a)の波長特性により、ある波長の範囲の光束が受光部9に入射されて画像化され、またその光学部材の特性がデータとしてコンピュータ(表示装置10)上に記憶されていて、その代表値を計算することができ、その代表値を用いて画像に色を割り当てることができる形態であれば、他の形態でも良い。
図4、図5、及び図6に示される画面においても、この画面に限定されるものではない。使用者が表示装置10上で、現在使用している励起フィルタ部3、ダイクロイックミラー部4、蛍光フィルタ部7の各々ないしは全てを選択することが可能であれば、他の形態の画面でも良い。
【0088】
また、第1及び第4の実施形態において、ダイクロイックミラー部4のフィルタ特性情報と蛍光フィルタ部7のフィルタ特性情報とに基づいて、受光部9に出射される光束の波長範囲を算出する形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、受光部9に出射される光束の波長範囲の算出に、励起フィルタ部3のフィルタ特性情報を用いる形態でも良い。また、励起フィルタ部3のフィルタ特性情報、ダイクロイックミラー部4のフィルタ特性情報及び蛍光フィルタ部7の全てを用いる形態でも良いし、このうちのいずれか1つ又は2つを用いる形態でも良い。
【0089】
また、第2及び第3の実施形態において、受光部9に出射される光束の波長範囲におけるピーク値37を波長代表値として設定する形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図9において、波形36を積分した面積の重心の位置38となる波長を波長代表値として設定する形態でも良い。すなわち、受光部9に出射される光束の波長範囲における透過率曲線に基づく領域の重心に対応する波長値を波長代表値として設定する形態でも良い。これにより、顕微鏡20において、肉眼で観察した色により近い色(より最適な色)として表示装置10上の画面に表示することが可能となる。
また、上記の各実施形態において、蛍光顕微鏡20(又は20a)を用いる形態を説明したが、蛍光顕微鏡20(又は20a)に限定するものではなく、反射型の顕微鏡や透過型の顕微鏡を用いる形態でも良い。例えば、反射型の顕微鏡において、励起フィルタ部の波長特性を用いて反射した光束の波長を代表値として色を割り当てる形態でも良い。また、透過の場合においても反射型の顕微鏡と同様のことを行っても良い。
【0090】
さらに、上記の各実施形態において、励起ランプ及び励起フィルタ部3によって励起波長を選択できる形態を説明したが、これらの変わりに、レーザーなどの波長特性を持つ光源を用いて、その光源の波長に基づいて波長代表値として色を割り当てる形態でも良い。
【0091】
また、上記の各実施形態において、観察画像を取得する際に色割り当てを行う形態を説明したが、観察画像を取得する際に、励起フィルタ部3、ダイクロイックミラー部4及び蛍光フィルタ部7などの使用したフィルタ情報を画像データと共に記憶部11に記憶させる。後に取得した観察画像を表示する場合には、記憶部11に記憶させたフィルタ情報と特性データとを用いて、表示する色を計算して割り当てる形態でも良い。
また、上記の各実施形態において、波長代表値から色を変換する際に、色変換情報記憶部112に記憶される変換テーブルを用いて変換する形態を説明したが、赤、青、緑や、シアン、マゼンタ、黄色などの三原色や三原色の補色の中で近い色に変換する形態でも良い。また、受光部9に出射される光束の波長範囲に最も近い三原色又は三原色の補色のいずれか1つに対応する波長値を波長代表値して設定し、色変換情報記憶部112に記憶される変換テーブルを用いて変換する形態でも良い。
【0092】
また、上記の各実施形態において、表示装置10は、画像表示部14を備える形態を説明したが、画像表示部14を備えずに、表示装置10の外部に設けられたモニタなどに出力する形態でも良い。更には、ネットワークに接続されたモニタに出力する形態でも良い。
【0093】
なお、上述の表示装置10は制御部12の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した制御部12による処理を行っても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。コンピュータシステムを有している。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体、USB(Universal Serial Bus) I/F(インタフェース)を介して接続されるUSBメモリー、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0094】
3、3a、3b、3c…励起フィルタ部、4、4a、4b、4c…ダイクロイックミラー部、6…試料、7、7a、7b、7c…蛍光フィルタ部、9…受光部、10…表示装置(コンピュータ)、11…記憶部、12…制御部、20、20a…顕微鏡、30…光学系、100、100a…顕微鏡システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を介して、試料から出射される光束を受光してデジタルデータに変換する受光部を備える顕微鏡により取得された前記デジタルデータを画像として、表示装置としてのコンピュータに表示させるための表示プログラムであって、
前記表示装置が、前記光学系から前記受光部に出射される光束の波長を制限する波長制限情報を記憶する記憶部に記憶された前記波長制限情報に基づいて、前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出し、算出された前記受光部に出射される光束の波長範囲に基づいて、前記受光部に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定する代表波長設定ステップと、
前記表示装置が、前記波長代表値に基づいて、前記画像を表示する色情報に変換する色変換ステップと、
前記表示装置が、前記色情報に基づいて前記画像を表示する表示ステップと
を前記コンピュータに実行させるための表示プログラム。
【請求項2】
前記光学系は、
前記試料から出射される光束のうち、予め定められた閾値をこえる波長を透過するダイクロイックミラー部と、
前記ダイクロイックミラー部を透過した光束のうち、予め定められた波長範囲の光束を透過する第1のフィルタ部と
を備え、
前記波長制限情報は、
前記ダイクロイックミラー部に対応づけられた前記ダイクロイックミラー部によって透過される前記閾値をこえる波長範囲を示す情報と、
前記第1のフィルタ部に対応づけられた前記第1のフィルタ部によって透過される波長範囲を示す情報と
を含み、
前記表示装置は、前記代表波長設定ステップにおいて、前記光束の波長範囲を算出する場合に、
前記閾値をこえる波長範囲と、前記第1のフィルタ部によって透過される波長範囲とが重なる波長範囲に基づいて前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示プログラム。
【請求項3】
前記光学系は、
前記試料を照明する照明光束のうち、予め定められた波長範囲の光束を透過する第2のフィルタ部
を備え、
前記波長制限情報は、
前記第2のフィルタ部に対応づけられた前記第2のフィルタ部によって透過される波長範囲を示す情報
を含み、
前記表示装置は、前記代表波長設定ステップにおいて、前記光束の波長範囲を算出する場合に、
前記第2のフィルタ部によって透過される波長範囲に基づいて前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示プログラム。
【請求項4】
前記波長制限情報は、
前記試料に注入されて蛍光を発する蛍光色素に対応づけられた前記蛍光色素によって発せられる蛍光波長の範囲を示す情報
を含み、
前記表示装置は、前記代表波長設定ステップにおいて、前記光束の波長範囲を算出する場合に、
前記蛍光波長の範囲に基づいて前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示プログラム。
【請求項5】
前記波長代表値は、
前記受光部に出射される光束の波長範囲における波長の最大値と波長の最小値との平均値である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示プログラム。
【請求項6】
前記波長代表値は、
前記受光部に出射される光束の波長範囲における透過率の最大値に対応する波長値である
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示プログラム。
【請求項7】
前記波長代表値は、
前記受光部に出射される光束の波長範囲における透過率曲線に基づく領域の重心に対応する波長値である
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示プログラム。
【請求項8】
前記波長代表値は、
前記受光部に出射される光束の波長範囲に最も近い三原色又は前記三原色の補色のいずれか1つに対応する波長値である
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに前記代表波長設定ステップを実行させる以前に、前記記憶部に記憶されている複数の前記波長制限情報を記憶し、
複数の前記波長制限情報の中から、少なくとも1つの前記波長制限情報を選択する波長制限情報選択ステップを前記コンピュータに実行させ、
前記表示装置は、前記代表波長設定ステップにおいて、前記光束の波長範囲を算出する場合に、
波長制限情報選択ステップによって選択された前記波長制限情報に基づいて、前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示プログラム。
【請求項10】
光学系を介して、試料から出射される光束を受光してデジタルデータに変換する受光部を備える顕微鏡により取得された前記デジタルデータを画像として表示する表示装置であって、
前記光学系から前記受光部に出射される光束の波長を制限する波長制限情報を記憶する記憶部と、
前記波長制限情報に基づいて、前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出し、算出された前記受光部に出射される光束の波長範囲に基づいて、前記受光部に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定する代表波長設定処理と、前記波長代表値に基づいて、前記画像を表示する色情報に変換する色変換処理と、前記色情報に基づいて前記画像を表示させる表示処理とを実行する制御部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
光学系を介して、試料から出射される光束を受光してデジタルデータに変換する受光部を備える顕微鏡により取得された前記デジタルデータを画像として表示する表示装置であって、
前記画像を表示する色情報を予め記憶する記憶部であって、前記光学系から受光部に出射される光束の波長を制限する波長制限情報に基づいて、前記受光部に出射される光束の波長範囲を算出し、算出された前記受光部に出射される光束の波長範囲に基づいて、前記受光部に出射される光束の代表値を示す波長代表値を設定し、前記波長代表値に基づいて変換される前記色情報を記憶する記憶部と、
前記色情報に基づいて前記画像を表示させる制御部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
光学系を介して、試料から出射される光束を受光してデジタルデータに変換する受光部を備える顕微鏡と、
請求項10又は請求項11に記載の表示装置と
を有することを特徴とする顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−252951(P2011−252951A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124776(P2010−124776)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】