説明

表示ユニットの駆動装置

【課題】映像表示に応じて、信号ライン駆動部の出力電流値を変化させる場合、電流値の変化に伴い、必要電圧が下がった場合、信号ライン駆動部に過剰な電圧を供給することになり、信号ライン駆動部内で電力ロスが生じる。
【解決手段】表示ユニット1の走査ラインを駆動する走査ライン駆動部6と、表示ユニットの信号ラインを駆動する信号ライン駆動部5と、信号ライン駆動部から出力する電流を表示ユニットに表示する映像により変化させる駆動電流制御部8と、信号ライン駆動部に入力する電圧を制御する電圧制御部10を備え、表示する映像により信号ライン駆動部5から出力する電流を駆動電流制御部8により変化させた場合に、電圧制御部10は信号ライン駆動部5に入力する電圧を変化させて、消費電力を少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有機ELやLED等の発光素子がマトリクス状に並んだ表示ユニットの駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、一般に発光素子が並んだ表示パネルで構成された表示ユニットと、発光素子を駆動する駆動装置で構成されている。図11に示すように、表示ユニット1は複数の信号ライン2と複数の走査ライン3とを有し、そのラインの交点にマトリックス状に並んだ発光素子4の画素が配置された構成になっている。駆動装置は、表示ユニット1の信号ライン2に接続された信号ライン駆動部5と、表示ユニット1の走査ライン3に接続された走査ライン駆動部6と、入力される映像データに応じて信号ライン駆動部5と走査ライン駆動部6を制御するコントローラ7により構成されている。
【0003】
外部から入力される映像データはコントローラ7が受け取り、コントローラ7は映像データに応じて信号ライン駆動部5と走査ライン駆動部6にそれぞれ制御信号を送信する。表示ユニット1は、コントローラ7から信号ライン駆動部5と走査ライン駆動部6に出力された制御信号に従って駆動され、表示ユニット1に画像表示する。
【0004】
このような表示装置において、表示ユニット(ディスプレイ)の駆動ライン上に現れる特定の位置の駆動電圧を測定する駆動電圧センサを備え、駆動電圧センサが測定した駆動電圧に応じて、電圧コントローラが駆動ラインに一定の電流を供給する定電流源を有した信号ライン駆動部の電源の電圧を制御し、消費電力を少なくするようにした発明が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4064400号(図5及びその説明)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の表示装置の駆動は、基本的には定電流駆動を行い、時間幅で階調制御を行っているが、コントローラ7に入力される映像データに応じて信号ライン駆動部5から出力する電流値を変化させる場合がある。このとき信号ライン駆動部5の出力電圧は、その電流値により変化する。出力電流値が小さくなると、発光素子4を駆動するための必要な電圧が小さくなり、信号ライン駆動部5の出力電圧も小さくなる。一方、信号ライン駆動部5に入力する電圧は、信号ライン駆動部5から出力するパルスの最大電流に合わせて設定されるため、信号ライン駆動部5から出力する電流が小さくなると、信号ライン駆動部5の入力電圧と出力電圧の差が大きくなり、電力ロスが生じる。その結果、表示装置の消費電力の悪化を招くことになる。
【0007】
また、特許文献1の表示装置においては、電流を出力した際の特定の位置の電圧を測定後、入力電圧にフィィードバックするようにしているため、特定位置の電圧を測定してから実際に入力電圧が変化するまで、遅延時間が発生する。発光素子の劣化や素子温度上昇に起因する入力電圧の増加など、入力電圧の最適値の変化の時間軸が長い場合には問題とはならないが、映像表示状態によって電流値を変化させる場合など、短い期間で入力電圧の最適値が変化する場合、電圧ロスや電流不足が発生する。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、表示する映像に応じて発光素子の駆動電流を変化させた場合に、信号ライン駆動部の入力電圧も変化させることにより、消費電力の改善を図るようにした表示ユニットの駆動装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の表示ユニットの駆動装置は、複数の走査ラインと複数の信号ラインを有し、そのラインの交点に発光素子の画素が配置された表示ユニットの駆動装置において、走査ラインを駆動する走査ライン駆動部と、信号ラインを駆動する信号ライン駆動部と、信号ライン駆動部から出力する電流を表示ユニットに表示する映像により変化させる駆動電流制御部と、信号ライン駆動部に入力する電圧を制御する電圧制御部と、走査ライン駆動部と信号ライン駆動部および駆動電流制御部と電圧制御部の制御を行うコントロ−ラを備え、表示する映像により信号ライン駆動部から出力する電流を駆動電流制御部により変化させた場合に、電圧制御部は信号ライン駆動部に入力する電圧を変化させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、例えば信号ライン駆動部から出力する電流を小さくしたときに、信号ライン駆動部に入力する電圧も小さく、また信号ライン駆動部から出力する電流を大きくしたときに、信号ライン駆動部に入力する電圧も大きくするよう、信号ライン駆動部から出力する電流の変化に対応して信号ライン駆動部に入力する電圧を変化させるようにしたから、電力のロスを最小にし、消費電力の悪化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1における表示ユニットの駆動装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における駆動装置の電圧降下の説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1における駆動装置の電圧制御の説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2における表示ユニットの駆動装置を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態3における表示ユニットの駆動装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態4における表示ユニットの駆動装置を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態5の駆動装置を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態5における駆動装置の電圧制御の説明図である。
【図9】この発明の実施の形態6における表示ユニットの駆動装置を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態6における駆動装置の電圧制御の説明図である。
【図11】従来の表示ユニットの駆動装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1における表示ユニットの駆動装置を図1〜図3に基づいて説明する。図1はこの発明の駆動装置の一例を示す構成図、図2および図3は駆動装置の電圧降下および電圧制御の説明図である。
図1において、表示ユニット1は、複数の信号ライン2と複数の走査ライン3と、ラインの交点にマトリクス状に並んだ発光素子4から構成されている。信号ライン2が信号ライン駆動部5に、走査ライン3が走査ライン駆動部6に接続され、信号ライン駆動部5と走査ライン駆動部6はコントローラ7により制御されるようになっている。このような構
成は従来の図11と同じである。
【0013】
コントローラ7は、外部からきたビデオやPCなどからの映像データを制御回路71に入力し、制御回路71は映像データから電流データ、画像データ、走査データに分類する。制御回路71で分類された電流データは、駆動電流制御部8と電流―電圧変換部9に出力される。一方、制御回路71で分類された画像データは信号ライン駆動部5に出力され、制御回路71で分類された走査データは走査ライン駆動部6に出力される。
【0014】
駆動電流制御部8は、電流データをもとに電流値の変更を行い、信号ライン駆動部5に出力する。信号ライン駆動部5は基本的には定電流駆動の電流ソースを有し、定電流駆動を行って、PWM(パルス幅変調)の時間幅で表示する画面の明るさを制御する階調制御を行っている。しかし、表示する映像に応じて、電流値を変化させることで階調制御を行うことがある。
【0015】
例えば、発光素子4は、輝度を低くする場合に、時間幅を下げるよりも、電流を下げた方が効率良く駆動ができるという特性がある。そのため、暗い映像を表示する場合は、時間幅よりも電流を下げる方が良い。図1に示す通り、電流変化機能を有する駆動電流制御部8が1つに対して複数の信号ライン2が接続されているため、電流を下げると、駆動電流制御部8に接続した複数の信号ライン2すべての輝度が下がる。そこで、駆動方法の一例として、通常の映像表示を行うための輝度の変化は時間幅の変化で行い、画面の明るさ設定の変化など、画面全体の明るさを変化させる場合、電流変化を行う、という方法がある。発光素子4の発光輝度は電流にほぼ比例するため、明るさを数%落とす場合、駆動電流を一律数%落としてやればよい、となる。
【0016】
電流―電圧変換部9は、電流−電圧相関メモリ91と電流データ−電圧データ変換部92を有し、電流−電圧相関メモリ91の情報をもとに、電流データ−電圧データ変換部92がコントローラ7から出力された電流データを電圧データに変換する。電流データ−電圧データ変換部92からの電圧データは電圧制御部10に出力され、電圧制御部10の電圧コントロール部101において、この電圧データをもとに電源電圧の変更を行い、電圧出力部102から電圧を出力する。電圧出力部102から出力した電圧は信号ライン駆動部5に入力される。即ち、電圧制御部10は信号ライン駆動部5から出力される電流変化に対応して信号ライン駆動部5に入力される電圧を変化させるようにしている。
なお、この図1では電流―電圧変換部9は、コントローラ7とは別の構成で記載しているが、コントローラ7の内部に含まれていてもよい。
【0017】
このように、コントローラ7は、映像データに応じて信号ライン駆動部5、走査ライン駆動部6および駆動電流制御部8に制御信号を送信し、信号ライン駆動部5は画像データに応じた電流で信号ライン2を駆動し、また、走査ライン駆動部6は走査データに応じて走査ライン3を駆動する。これと同時に、電圧制御部10は信号ライン駆動部5から出力する電流値に応じて、信号ライン駆動部5の入力電圧が最適になるように制御する。これらの動作によって表示ユニット1中の発光素子4は駆動され、画像表示を行う。
【0018】
この時の発光素子4の駆動に要する電圧を図2に基づいて説明する。信号ライン駆動部5がコントローラ7から送信される画像データに基づいて、電流Iを出力する時、電流Iは発光素子4を通って走査ライン駆動部6に流れる。
ここで、走査ライン駆動部6−発光素子4間の抵抗成分をR、発光素子4−信号ライン駆動部5間の抵抗をRとし、R部の電圧降下をV、R部の電圧降下をV、発光素子4部の電圧降下をV、信号ライン駆動部5の電圧降下をVとすると、電流Iを出力するために必要な電源ラインの電圧VはV+V+V+Vとなる。
【0019】
画像データに応じて電流Iが小さくなる場合、V、V、V、Vは電流の下げ幅に応じて小さくなり、その結果、電流Iを出力するために必要な電源ラインの電圧Vも小さくなる。仮に電流Iが小さくなっても電圧Vを変化させなかった場合、必要電圧以上の電圧が信号ライン駆動部5に入力されることになり、信号ライン駆動部5の電圧降下Vが必要以上に大きくなり、電力ロスとなる。そこで、表示する映像に応じて電流Iを変化させる際には、電源ラインの電圧も変化させるようコントローラ7により電圧制御部10に対して制御を行う。
【0020】
図3は、この発明の駆動方法を用いた場合の信号ライン駆動部5の入力電圧と出力電流値の関係を表す。信号ライン駆動部5から出力する電流値がIからIに低下すると、それに合わせて電圧制御部10は電源電圧を制御し、信号ライン駆動部5に入力される入力電圧もVからVに低下させる。逆に、信号ライン駆動部5から出力する電流値がIからIに高くすると、それに合わせて電圧制御部10は電源電圧を制御し、信号ライン駆動部5に入力される入力電圧もVからVに高くする。こうして信号ライン駆動部5から出力する電流値に応じて信号ライン駆動部5の入力電圧が最適になるように制御され、電力ロスを最小にすることができる。
【0021】
以上のように実施の形態1の発明は、駆動電流や駆動時間を変調して映像を表示する表示装置において、映像する表示に応じて信号ライン駆動部5から出力する電流を駆動電流制御部8の制御により小さくしたときに、電圧制御部10が信号ライン駆動部5に入力する電圧も小さくし、信号ライン駆動部5から出力する電流を大きくしたときに、電圧制御部10が信号ライン駆動部5に入力する電圧も大きくするよう制御を行うことで、信号ライン駆動部5における電力のロスを最小にし、消費電力の削減を実現することができる。
【0022】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2における表示ユニットの駆動装置を図4に基づいて説明する。
この実施の形態2の発明は、実施の形態1の駆動装置において、信号ライン駆動部5から出力する電流と信号ライン駆動部5に入力する電圧を、RGB信号の各色個別に制御するようにしたものである。
【0023】
図4において、信号ライン駆動部5は、表示ユニット1の信号ライン2に、R(赤)信号ライン駆動部5R、G(緑)信号ライン駆動部5G、B(青)信号ライン駆動部5Bの3個が接続されて構成されている。R信号ライン駆動部5Rとコントローラ7との間にはR用電圧制御部10RとR用駆動電流制御部8Rが接続されている。同様に、G信号ライン駆動部5Gとコントローラ7との間にはG用電圧制御部10GとG用駆動電流制御部8Gが接続されている。B信号ライン駆動部5Bとコントローラ7との間にはB用電圧制御部10BとB用駆動電流制御部8Bが接続されている。
なお、この図4においては、電流―電圧変換部9はコントローラ7の中に内蔵されている。また走査ライン駆動部6は省略している。
【0024】
この実施の形態2の発明においても、映像する表示に応じて、RGB信号の各色個別の信号ライン駆動部5R、5G、5Bから出力する電流を小さくしたときに、電圧制御部10R、10G、10Bは信号ライン駆動部5R、5G、5Bに入力する電圧も小さくするよう制御を行うことで、電力のロスを最小にし、消費電力の削減を実現することができる。
【0025】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3における表示ユニットの駆動装置を図5に基づいて説明
する。
この実施の形態3の発明は、複数個の表示ユニットで1つの表示装置が構成され、各表示ユニット毎に信号ライン駆動部が設けられ、電圧制御部から出力される電圧が、複数の信号ライン駆動部に入力されており、電圧制御部から出力する電源ラインの電圧を、複数の信号ライン駆動部から出力する電流値に応じて最適になるよう制御するようにしたものである。
【0026】
図5において、表示ユニット1は、複数の表示ユニット1a、1b、・・1nが互いに隣接して配置され、1つの表示装置が構成されるようになっている。各表示ユニット1a、1b、・・1nの信号ライン2には、それぞれ信号ライン駆動部5a、5b・・5nが接続されている。各信号ライン駆動部5a、5b・・5nには、1つの駆動電流制御部8からの信号および1つの電圧制御部10からの電圧がそれぞれ入力されるようになっている。電流―電圧変換部9を内蔵したコントローラ7は各信号ライン駆動部5a、5b・・5n、駆動電流制御部8および電圧制御部10に制御信号を送るようになっている。なおこの図5では走査ライン駆動部6を省略している。
【0027】
このような構成で、表示する映像により信号ライン駆動部5a、5b・・5nから出力される電流を駆動電流制御部8により変化させた場合、電圧制御部10は電流の変化に対応して信号ライン駆動部5a、5b・・5nに入力する電圧を変化させる。こうして、電圧制御部10から出力する電源ラインの電圧を、複数の信号ライン駆動部5a、5b・・5nから出力する電流値に応じて最適になるよう制御することにより、電力ロスを最小にし、消費電力の削減を実現することができる。
【0028】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4における表示ユニットの駆動装置を図6に基づいて説明する。
この実施の形態4の発明は、複数個の表示ユニットで1つの表示装置が構成され、各表示ユニット毎に信号ライン駆動部が設けられ、電圧制御部も各信号ライン駆動部に対応して複数設けられたものである。
【0029】
図6において、表示ユニット1は、複数の表示ユニット1a1〜1am、1b1〜1bm、・・・1n1〜1nmが互いに隣接して縦横に配置され、1つの表示装置が構成されるようになっている。各表示ユニット1a1〜1am、1b1〜1bm、・・・1n1〜1nmの信号ラインには、それぞれ図示省略の信号ライン駆動部5が接続されている。表示ユニット1a1〜1amに対応する各信号ライン駆動部5には、電圧制御部10aが接続され、表示ユニット1b1〜1bmに対応する各信号ライン駆動部5には、電圧制御部10bが接続され、表示ユニット1n1〜1nmに対応する各信号ライン駆動部5には、電圧制御部10nが接続されている。
【0030】
各信号ライン駆動部5には複数の電圧制御部10a、10b・・・10nからの電圧が入力されるようになっている。電流―電圧変換部を内蔵したコントローラ7は各電圧制御部10a、10b・・・10nに制御信号を送るようになっている。なおこの図6では信号ライン駆動部5、走査ライン駆動部6および駆動電流制御部8を省略している。
【0031】
この実施の形態4の構成の場合、表示ユニット1a1〜1am、1b1〜1bm、・・・1n1〜1nmの配置位置によって、電圧制御部10a、10b・・・10nと信号ライン駆動部5の距離が長くなり、電圧降下が発生する場合がある。その場合、電圧制御部10a、10b・・・10nと信号ライン駆動部5の距離が長い場合は短い場合と比べて、電圧制御部10a、10b・・・10nから出力する電圧を大きくする必要がある。そのため、表示ユニット1の配置位置により、電圧制御部10a、10b・・・10nと信号ライン駆動部5の距離が長くなった場合、電圧を高くするよう制御する。
【0032】
このように表示ユニットを複数組み合わせて1つの画面にしたときに、表示ユニットに表示する映像と表示ユニットの配置位置により、電圧制御部10は表示ユニット毎に信号ライン駆動部5に入力する電圧を個別に制御するようにして、電力ロスを最小にし、消費電力の削減を実現する。
【0033】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5における表示ユニットの駆動装置を図7、図8に基づいて説明する。
この実施の形態5の発明は、表示ユニット中の複数の走査ラインのうち、駆動する走査ラインの位置に応じて、その走査ラインを駆動する期間、信号ライン駆動部に入力する電圧を調整するようにしたものである。
【0034】
図7に示すように、信号ライン駆動部5と走査ライン駆動部6の間には複数の有機EL素子からなる表示素子4、4、・・・4が接続されており、表示素子4間の抵抗をそれぞれR31、R32、・・・、R3nと置くと、表示素子41と表示素子4nをIの電流で駆動するために必要な電圧には電圧差が発生し、その差ΔVsはI×(R32+R33+・・・+R3n)で表される。即ち、走査ラインが信号ライン駆動部5から遠くなる程、電圧降下が大きくなるので、走査ライン間で電圧差が発生する。この電圧差が生じると、画面の位置に応じて明るさに差が生じて、色むらなどが生じる。
【0035】
この発明は、駆動する走査ライン間で発生する電圧差をなくすため、駆動する走査ラインに応じて信号ライン駆動部5に入力する電圧を電圧制御部10で変化させ、走査ライン間で電圧差が生じないようにする。信号ライン駆動部5から電流Iを出力するときの駆動時の入力電圧の波形を図8に示す。
表示素子4が接続された走査ライン3、表示素子4が接続された走査ライン3、・・・表示素子4が接続された走査ライン3を駆動する時の信号ライン駆動部5の入力電圧はそれぞれV91、V92、・・・・、V9nとなるよう、走査ライン3が信号ライン駆動部5から遠くになるにつれて次第に高くする。ここで、V9k+1=V9k+1+I×R(1≦K≦n−1)が成り立つ。
【0036】
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6における表示ユニットの駆動装置を図9に基づいて説明する。
実施の形態1〜5において、信号ライン駆動部5から出力する電流値に応じてその入力電圧を変化させる駆動方法を述べたが、コントローラ7から送信した信号によって、信号ライン駆動部5から電流が出力されるまでの時間と、電源ラインの電圧が変化するまでの時間は必ずしも一致していない。実施の形態6の発明は信号ライン駆動部5から出力される電流と信号ライン駆動部5に入力される電圧の同期をとるために、コントローラ7と各駆動部および制御部の間に遅延回路を設けるようにしたものである。
【0037】
図9において、コントローラ7と信号ライン駆動部5との間に第1の遅延回路11が、コントローラ7と走査ライン駆動部6との間に第2の遅延回路12が、コントローラ7と駆動電流制御部8との間に第3の遅延回路13がそれぞれ設けられている。
この構成により、信号ライン駆動部5から出力される電流と、信号ライン駆動部5に入力される電圧が同期するようにしている。その他の構成は実施の形態1の図1と同じにつき、説明を省略する。
【0038】
まず、制御上、駆動電流制御部8への信号と、信号ライン駆動部5への信号と、走査ラ
イン駆動部6への信号は、同じタイミングで送る必要がある。コントローラ7に入力する映像データに基づいて、コントローラ7はその画像を表示するタイミングに合わせて信号ラインの選択、走査ラインの選択、電流値の設定を行い、映像を表示するためである。
ここで、電流値の設定と同時に、電圧制御部10で電圧の変更を行った場合、電圧の変更はすぐには反映されないため、図10に示すように、電圧の変化に遅延がかかり、電力ロスや、電圧不足による電流不足期間が発生する。これを防ぐために、事前に電圧を変化させることが必要になり、これは、駆動電流制御部8、信号ライン駆動部5、走査ライン駆動部6への信号を遅延回路11、12、13で遅延させることで解決できる。
【0039】
この構成を必要とする前提として、電圧変更に時間がかかり、電流変更は時間がかからないことが条件であるが、一般的に、電流変更は、信号ライン駆動部5である駆動IC内に電流変更の機能を備えているため、ダイナミックな電流の変更が可能である。それに対して、電圧制御部10は電圧制御部内に電圧変更の機能を備え、変化させた電圧を信号ライン駆動部5に入力する。通常、一つの電圧制御部10に複数の信号ライン駆動部5が接続されており、電流制御とは信号系統が異なるため、最終的な電圧の変化は、電流の変化に比べて時間がかかる場合が多い。
したがって遅延回路11、12、13を設けて、信号ライン駆動部5から出力される電流と信号ライン駆動部5に入力される電圧が一致するようにする。これにより、より効率的な駆動が可能になる。
【0040】
なお、以上の実施の形態において、信号ライン駆動部5は駆動ドライブ部に電流が流れ込む電流シンクの構成で説明したが、電流シンクに代えて、駆動ドライブ部から電流を出力する電流ソースで構成してもよい。
この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【0041】
以上のようにこの発明は、表示ユニットにマトリックス状に画素が配置され、表示ユニット毎に複数の走査線と複数の信号ラインがあり、信号ラインを駆動する1つまたは複数の信号ライン駆動部と、信号ライン駆動部から出力する電流を変化させる駆動電流制御部と、1つまたは複数の信号ライン駆動部に入力する電圧を制御する電圧制御部と、それらの制御を行うコントロ−ラを備えた表示装置において、表示する映像により、1つまたは複数の信号ライン駆動部から出力する電流を変化させるとともに、信号ライン駆動部に入力する電圧を変化させることで、電力のロスを最小にし、消費電力の削減を実現することができる。
【符号の説明】
【0042】
1:表示ユニット、 2:信号ライン、
3:走査ライン、 4:発光素子、
5:信号ライン駆動部、 6:走査ライン駆動部、
7:コントローラ、 8:駆動電流制御部、
9:電流―電圧変換部、 10:電圧制御部、
11、12、13:遅延回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査ラインと複数の信号ラインを有し、そのラインの交点に発光素子の画素が配置された表示ユニットの駆動装置において、前記走査ラインを駆動する走査ライン駆動部と、前記信号ラインを駆動する信号ライン駆動部と、前記信号ライン駆動部から出力する電流を前記表示ユニットに表示する映像により変化させる駆動電流制御部と、前記信号ライン駆動部に入力する電圧を制御する電圧制御部と、前記走査ライン駆動部と前記信号ライン駆動部および前記駆動電流制御部と前記電圧制御部の制御を行うコントロ−ラを備え、表示する映像により前記信号ライン駆動部から出力する電流を前記駆動電流制御部により変化させた場合に、前記電圧制御部は前記信号ライン駆動部に入力する電圧を変化させるようにしたことを特徴とする表示ユニットの駆動装置。
【請求項2】
前記電圧制御部は、前記信号ライン駆動部から出力する電流を小さくしたときに前記信号ライン駆動部に入力する電圧も小さく、前記信号ライン駆動部から出力する電流を大きくしたときに前記信号ライン駆動部に入力する電圧も大きくするように制御した請求項1に記載の表示ユニットの駆動装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記信号ライン駆動部から出力する電流と前記信号ライン駆動部に入力する電圧を、RGB各色個別に制御するようにした請求項1または請求項2に記載の表示ユニットの駆動装置。
【請求項4】
前記電圧制御部は、前記表示ユニット中の複数の走査ラインのうち、駆動する走査ラインの位置に応じて、その走査ラインを駆動する期間、前記信号ライン駆動部に入力する電圧を調整するようにした請求項1に記載の表示ユニットの駆動装置。
【請求項5】
前記表示ユニットを複数組み合わせて1つの画面にしたときに、前記表示ユニットに表示する映像と前記表示ユニットの配置位置により、前記電圧制御部は前記表示ユニット毎に信号ライン駆動部に入力する電圧を個別に制御するようにした請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表示ユニットの駆動装置。
【請求項6】
前記コントローラと前記走査ライン駆動部および前記信号ライン駆動部との間、および前記コントローラと前記駆動電流制御部との間に遅延回路を設け、前記信号ライン駆動部から出力される電流と、前記信号ライン駆動部に入力される電圧が同期するようにした請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の表示ユニットの駆動装置。
【請求項7】
前記信号ライン駆動部は、少なくとも1つの電流ソースを含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の表示ユニットの駆動装置。
【請求項8】
前記信号ライン駆動部は、少なくとも1つの電流シンクを含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の表示ユニットの駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−97169(P2013−97169A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239914(P2011−239914)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】