説明

表示入力装置、及び点灯方法

【課題】スタンバイ状態とバックライト故障状態とを、操作者が容易に判別することが可能な表示入力装置、及び点灯方法を提供する。
【解決手段】本発明の表示入力装置は、表示部、状態表示部、PWM機能部、及び制御信号送信部を備える。また、PWM機能部から状態表示部へPWM信号を送信するための経路上に設けられて、PWM信号の通過/遮断を行う切替部を備える。また、PWM機能部及び制御信号送信部の制御を行う制御部を備える。切替部は、制御信号が入力されていない場合にPWM信号を通過させ、制御信号が入力されている場合にPWM信号を遮断する。制御部は、表示入力装置を所定の動作状態へ移行させるための移行指示を検知した場合に、制御信号の出力を停止するよう制御信号送信部を制御するとともに、デューティ比が時間経過に応じて変化するPWM信号を生成して出力するようPWM機能部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に接続されて制御対象機器に関する操作及び情報表示を行う表示入力装置に関する。また、この表示入力装置で用いられる点灯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場機械等の制御対象機器を制御するための制御装置であるPLC(Programmable Logic Controller)と、PLCに接続されて情報の表示及び入力受け付けを行う表示入力装置、例えばプログラマブル表示器が普及している。表示入力装置は、PLCに接続された制御対象機器の稼働状況を表示したり、制御対象機器への制御指示を与えるための操作入力を受け付けたりする機能を備えている。
【0003】
一般に、表示入力装置は、グラフィック表示機能を備えるので、操作盤、スイッチ、表示灯などを表示することができ、機器監視システムにおける操作端末としての役割を果たす。表示入力装置は表示操作画面で受け付けた操作に基づいて所定のパルス波(例えば方形波)を生成し、パルス信号としてPLCへ出力する。
【0004】
上記に関連して、近年では、ネットワーク技術の発展に伴い、複数の表示入力装置をLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続し、表示入力装置をPC(Personal Computer)等のコンピュータから管理する機器監視システムが実用化されている。
【0005】
これにより、例えば、表示入力装置が操作者より操作を受け付けるために表示入力画面に表示する操作画像の作成/編集を、PCから行うことが可能である。PCには予め、表示入力装置と通信するためのミドルウェアや、操作画像を作成/編集するためのアプリケーション(以下、「エディタ」という)がインストールされている。操作者はエディタで作成した操作画像を表示入力装置に送信すると、表示入力装置は受信した操作画像を用いた操作受け付けを行うことが可能となる。
【0006】
このような表示入力装置は、通常、その前面に、操作者に対して動作状態を通知するためのLEDランプが設けられている。LEDランプは表示入力装置の動作状態に応じて点灯/消灯を行う。例えば、表示入力装置が起動状態やスタンバイ状態であれば点灯し、起動停止状態であれば消灯する。
【0007】
上記に関連して特許文献1には、フェードイン及びフェードアウト動作が可能で、しかも、フェードイン及びフェードアウトの周期時間の設定や点灯パターンの設定が可能なLED表示装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、駆動回路が故障した場合に、LEDを用いて故障を通知することができる保護回路が開示されている。この保護回路は、ヒーター駆動回路が故障した場合、ヒーター駆動回路の出力とヒーター制御回路の出力とが同じ論理となる。つまり、監視回路の二つの入力には同じ論理の信号が入力され、監視回路からハイレベルの信号が出力され、LEDが点灯して故障したことを操作者に知らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−207411号公報
【特許文献2】特開2000−164376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に示されている技術は、LED単体の制御に関する技術であり、表示入力装置の動作、例えばバックライト動作等と連動した制御を行っている訳ではない。また、単色LEDであるため、点灯/消灯を切り替えることしかできず、従って、通知できる状態の種別が少ないという問題があった。
【0011】
このため、例えば、バックライトが故障した場合、画面表示がなされず、且つLEDランプが点灯した状態となる。これは、バックライトを一時的に動作停止させるスタンバイ状態と同じ状態である。従って、上記の状態になった場合に、正常なスタンバイ状態なのか、或いはバックライトが壊れた異常状態であるのかを、操作者が正確に認識できないという問題があった。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために発明されたものであり、その目的は、スタンバイ状態とバックライト故障状態とを、操作者が容易に判別することが可能な表示入力装置を提供することにある。また、この表示入力装置で用いられる点灯方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の表示入力装置は、バックライトを用いて画像の表示を行う表示部と、装置の駆動状態を示すための点灯部材を備えた状態表示部と、前記バックライトまたは前記状態表示部に対してPWM(Pulse Width Modulation)信号を送信するPWM機能部と、前記PWM機能部から前記状態表示部へ前記PWM信号を送信するための経路上に設けられて前記PWM信号の通過/遮断を行う切替部と、前記バックライト、前記状態表示部、または前記切替部に対して制御信号を送信する制御信号送信部と、前記PWM機能部及び前記制御信号送信部の制御を行う制御部とを備えた表示入力装置において、前記切替部は、前記制御信号が入力されていない場合に前記PWM信号を通過させ、前記制御信号が入力されている場合に前記PWM信号を遮断し、前記制御部は、前記表示入力装置を予め定められた動作状態へ移行させるための移行指示を検知した場合に、前記制御信号の出力を停止するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が時間経過に応じて変化する前記PWM信号を生成して出力するよう前記PWM機能部を制御することを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明の表示入力装置が備える前記制御部は、前記移行指示により移行した動作状態の解除指示を検知した場合に、前記制御信号の出力を開始するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が一定である前記PWM信号を出力するよう前記PWM機能部を制御することを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明の表示入力装置が備える前記制御部は、前記バックライトを消灯した状態である待機状態への移行指示を検知した場合に、前記制御信号の出力を停止するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が時間経過に応じて変化する前記PWM信号を出力するよう前記PWM機能部を制御し、前記待機状態の解除指示を検知した場合に、前記制御信号の出力を開始するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が一定である前記PWM信号を出力するよう前記PWM機能部を制御することを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明の点灯方法は、バックライトを用いて画像の表示を行う表示部と、装置の駆動状態を示すための点灯部材を備えた状態表示部と、前記バックライトまたは前記状態表示部に対してPWM信号を送信するPWM機能部と、前記PWM機能部から前記状態表示部へ前記PWM信号を送信するための経路上に設けられて前記PWM信号の通過/遮断を行う切替部と、前記バックライト、前記状態表示部、または前記切替部に対して制御信号を送信する制御信号送信部と、前記PWM機能部及び前記制御信号送信部の制御を行う制御部とを備えた表示入力装置を用いた点灯方法において、前記切替部に対して前記制御信号が入力されていない場合に前記PWM信号を通過させ、前記切替部に対して前記制御信号が入力されている場合に前記PWM信号を遮断する切替ステップと、前記表示入力装置を予め定められた動作状態へ移行させるための移行指示が検知された場合に、前記制御信号の出力を停止するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が時間経過に応じて変化する前記PWM信号を生成して出力するよう前記PWM機能部を制御する制御ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バックライト消灯時の待機状態におけるステータスLED(=状態表示部)の点灯方法について、デューティ比が常に変化するPWM信号を用いた点灯を行う。これにより、バックライト消灯時の待機状態において、明暗の度合いが常に変化する、なめらかな輝度変化の点灯状態とし、通常の点灯状態と異なる状態とする。これにより、バックライトが消灯している場合において、待機状態であるためにバックライトが消灯しているのか、或いは故障のためバックライトが消灯しているのかを、操作者が判別できるようにしている。従って、バックライトの故障を検知するための検知部を設けて故障発生を通知する必要がないため、省サイズ及び省コストという点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の表示入力装置が含まれるシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の表示入力装置の装置構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の表示入力装置の回路構成を示す模式図である。
【図4】本発明の表示入力装置のPWM信号の波形を示す模式図である。
【図5】本発明の表示入力装置の点灯制御処理を示すフロー図である。
【図6】本発明の表示入力装置の点灯制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態に係る表示入力装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.表示入力装置を含むシステムの構成について〉
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示入力装置が含まれるシステムの構成を示している。このシステムは少なくとも、プログラマブル表示器100(=表示入力装置)と、PC200と、PLC300と、制御対象機器400とを含むように構成されている。
【0021】
また、プログラマブル表示器100及びPC200は、LAN500により相互接続されている。なお、図示していないが、LAN500には上記プログラマブル表示器100を複数接続することも可能である。
【0022】
プログラマブル表示器100は、シリアルケーブルを介したPLC300との通信により、PLC300を介して各制御対象機器400の状態を取得する。そして、後述する表示部160に、各制御対象機器400の状態を表示する機能を備えている。
【0023】
また、プログラマブル表示器100は、タッチパネル180を備えている(図2参照)。タッチパネル180は、プログラマブル表示器100の表示器本体の表示面前面に貼付された操作用装置である。プログラマブル表示器100は、タッチパネル180への操作に応じて、各制御対象機器400の状態制御をPLC300に指示する機能を備えている。
【0024】
また、プログラマブル表示器100は、LAN500を介してPC200との間で、各種データを送受信する機能を備えている。例えば、PLC300を介して取得した制御対象機器400の駆動履歴情報や状態情報等を、PC200に送信することが可能である。
【0025】
PC200は、予めインストールされたOS上で各種アプリケーションを実行することにより様々な機能を実現するコンピュータである。PC200には、プログラマブル表示器100と通信を行うと共に送受信データの変換処理等を行うミドルウェアがインストールされている。
【0026】
また、PC200には、プログラマブル表示器100に表示する操作画像及び操作画像に関連する設定情報を編集するためのエディタや、プログラマブル表示器100より取得した情報をデータベース管理するための各種アプリケーションがインストールされている。
【0027】
PLC300は、操作者が作成したシーケンスプログラムに従って、各制御対象機器400に制御指示を与える。例えば、数十msなどの予め定められたスキャンタイム毎に、入力ユニットを介して入力元の制御対象機器400の状態を取り込むとともに、出力先の制御対象機器400に状態を変更するように制御指示を与える。
【0028】
制御対象機器400は、例えばアクチュエータ、リレー、電磁弁等であり、所定の製品を生産するのに用いられる。これらの制御対象機器400は、製造ラインなどの所要各部に配置される。なお制御対象機器400には、故障が発生すると予測される箇所にリミットスイッチやセンサ等の異常検知装置が設けられている。
〈1−2.装置構成について〉
【0029】
次に、本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器100及びPC200の内部構成を、図2を用いて説明する。なお、本発明と直接関わりのない機能部については、図示するのを省略している。
【0030】
プログラマブル表示器100は、制御部110、ROM(Read Only Member)120、RAM(Random Access Memory)130、フラッシュメモリ140、ネットワークI/F部150、表示部160、外部装置I/F部170、及びタッチパネル180を備える。また外部装置I/F部170により接続される装置として、PLC300が存在する。
【0031】
制御部110は、プログラマブル表示器100に含まれる機器を統括制御するための中央処理装置である。制御部110は例えば、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎にPLC300と通信して所定情報を取得し、RAM130に書き込む。また制御部110は、複数のオブジェクトを組みあわせて作成された画面を描画表示する制御を行う。
【0032】
また、制御部110は、制御部110が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される機能部として、表示制御部111、動作制御部112、PWM機能部113、及びI/O機能部114を備えている。
【0033】
表示制御部111は、後述するPC200の制御部210により生成される表示制御プログラムを実行することにより実現される機能部である。表示制御部111は、PLC300を介して制御対象機器400の状態を表示する。例えば、制御対象機器400に設けられたセンサにより制御対象機器400の異常が検知された場合に、異常発生箇所を示す画像を表示部160に表示する。
【0034】
動作制御部112は、後述するPC200の制御部210により生成される動作制御プログラムを実行することにより実現される機能部である。動作制御部112は、PLC300を介して制御対象機器400の動作を制御する。例えば、制御対象機器400に含まれるアクチュエータの操作や、電磁弁の開閉等の制御を行う。
【0035】
PWM(Pulse Width Modulation)機能部113は、PWM制御を行うためのPWM信号を生成して出力する。I/O機能部114(=制御信号送信部)は、後述するバックライト161の調光制御を行うためのバックライトON信号(=制御信号)や、ステータスLED193の点灯制御を行うためのLED信号(=制御信号)を生成して出力する(図3を参照)。なおPWM機能部113及びI/O機能部114の詳細については後述する。
【0036】
ROM120は、プログラムや工場出荷時の各種設定情報等、操作者による書き換えが行われることのない情報を記録する読み取り専用の記録媒体である。ROM120は、例えば、制御部110が実行するファームウェアプログラム、例えば、BIOS121等を記録している。
【0037】
BIOS121は、ファームウェアプログラムの一種であり、制御部110と各機器とが最も低い階層で信号の入出力を行うためのプログラムである。BIOS121が読み出されて実行されることにより、制御部110は、通信バスに接続された機器、例えば、表示部160等の制御を実施することが可能となる。
【0038】
RAM130は、プログラマブル表示器100が保持する各種データを一時的に記録する記録媒体である。RAM130は、制御部110によって各種情報処理が行われる際の処理データや、操作者から受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0039】
フラッシュメモリ140は、EEPROMの一種で、デバイスの利用者が書き込み/消去可能なROMである。フラッシュメモリ140は回路基板に実装したままで書き込み、消去ができるため、利用時に書き換えが必要な用途、例えば、装置の動作設定データや、利用者固有の情報等を保存するのに用いられる。
【0040】
ネットワークI/F部150は、プログラマブル表示器100とLAN500とを接続するためのインタフェースであり、例えば、100Base−TX規格のLANカード等が用いられる。この場合、ネットワークI/F部150にはツイストペアケーブル等の通信ケーブルが接続される。
【0041】
表示部160は、プログラマブル表示器100を薄型に構成するための表示装置である。具体的には、例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、またはプラズマディスプレイのような平板型ディスプレイが用いられる。表示部160は、その内部にバックライト161(図3)を備え、これにより発光を行って操作者が画面を視認できるようにする。
【0042】
外部装置I/F部170は、PLC300等と相互通信を行うための通信制御部である。両装置はシリアルケーブル等で接続される。外部装置I/F部170は、PLC300のメーカや機種に応じた通信プロトコルを用いて通信する。
【0043】
タッチパネル180は、表示部160の表示面前面に貼付配置された操作用装置である。タッチパネル180が貼付された表示領域に操作者がタッチ操作を行うと、操作位置座標に応じた制御指示が生成され、制御部110に与えられる。
【0044】
次に、PC200について説明する。PC200は、制御部210、メモリ220、ネットワークI/F部230、及びHDD(Hard Disk Drive)240を備える。
【0045】
制御部210は、PC200が備える機器を統括制御するための中央処理装置である。制御部210は、ネットワークI/F部230を用いて、プログラマブル表示器100との通信を行う。また、通信により得られた各種処理情報、及びプログラム情報等をメモリ220やHDD240に記録する。
【0046】
また、制御部210は、所定の画像を用いた表示操作画面をプログラマブル表示器100の表示部160に表示するための表示制御プログラムを生成する。また制御部210は、この表示操作画面でタッチパネル180により受け付けた操作に基づいて制御対象機器400の制御を行うための、動作制御プログラムを生成する。
【0047】
例えば、制御部210は、制御対象機器400を操作する操作盤と同等の機能を備える操作盤画面を、表示部160に表示するための表示制御プログラムを生成する。そしてこの操作盤画面で受け付けた操作に応じてPLC300へ制御信号を送るための、動作制御プログラムを生成する。なお、生成された各プログラムは、例えば、LAN500を介してプログラマブル表示器100へ伝送する。
〈3.回路構成について〉
【0048】
ここで、本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器100が、バックライト161の調光、及びステータスLED193の点灯を行うための回路構成について、図3を用いながら説明する。
【0049】
図3に示すように、PWM機能部113より出力されるPWM信号は、バックライト161及びステータスLED193(=点灯部材、状態表示部)へ送られる。また、I/O機能部114より出力されるバックライトON信号は、バックライト161、及びスイッチング回路191(=切替部)へ送られる。また、I/O機能部114より出力されるLED信号は、ステータスLED193へ送られる。
【0050】
なお、PWM機能部113からステータスLED193へPWM信号が送られる経路上には、スイッチング回路191及び論理回路192が設けられている。
【0051】
I/O機能部114は、バックライト161に対するバックライトON信号、及びステータスLED193に対するLED信号を生成して出力する。なお、バックライトON信号は、スイッチング回路191にも入力され、スイッチング回路191の切り替えを行うための制御信号として用いられる。
【0052】
スイッチング回路191は、PWM機能部113から出力されるPWM信号の通過/遮断を選択的に行うための切り替え装置である。I/O機能部114からスイッチング回路191に対して所定の制御信号(図3の例ではバックライトON信号)が入力されている場合、ステータスLED193へのPWM信号を遮断する。逆に、I/O機能部114からスイッチング回路191に対して所定の制御信号が入力されていない場合、ステータスLED193へPWM信号を通過させる。
【0053】
PWM機能部113は、出力チャンネルを一チャンネルのみ備える。このため、バックライト161へ送られるPWM信号とステータスLED193へ送られるPWM信号とは同じものとなる。PWM機能部113は、バックライト点灯時とバックライト消灯時とで、出力信号の波形を変更する。
【0054】
具体的には、ステータスLED193の点灯制御を行うための波形をしたPWM信号と、バックライト161の調光制御を行うための波形をしたPWM信号とを、選択的に切り替えて出力する。
【0055】
PWM機能部113は、バックライト点灯時において、PWM信号の波形を、バックライト161を調光制御するための波形に変更する。またPWM機能部113は、バックライト消灯時において、PWM信号の波形を、ステータスLED193を点灯制御するための波形に変更する。
【0056】
図4は、ステータスLED193の点灯制御を行うための、PWM信号の波形の一例を示している。図4に示すように、周期Tを一周期とし、一周期毎にON時間(図中のt_on)とOFF時間(図中のt_off)の比率(=デューティ比)を変化させる。これにより、点灯時間と消灯時間との長さを常に変化させる。この変化を繰り返して行うことで、操作者の目には、なめらかな輝度変化がステータスLED193に発生しているように見える。
【0057】
なお、図示していないが、バックライト161の調光制御を行うためのPWM信号の波形は、デューティ比が一定であり、時間経過に応じて変化しない波形を用いる。この場合のデューティ比は、例えば、操作者により予め設定されたバックライト161の輝度設定等に基づいて決定する。従って、輝度設定の設定変更が行われれば、用いるデューティ比も変化する。
【0058】
以上の構成により、バックライト点灯時は、I/O機能部114より出力されるLED信号がステータスLED193へ送られるとともに、PWM機能部113より出力される調光制御用のPWM信号が、バックライト161へ送られる。逆にバックライト消灯時は、I/O機能部114より出力されるLED信号が出力停止され、PWM機能部113より出力される点灯制御用のPWM信号が、ステータスLED193へ送られる。
〈4.点灯制御処理について〉
【0059】
ここで、本発明の一実施形態に係るプログラマブル表示器100が実施する点灯制御処理の処理フローを、図5及び図6のフロー図を用いながら説明する。
【0060】
図5に示す処理フローは、プログラマブル表示器100が通電状態にあり、且つバックライト161を一時的に消灯させた状態であるスタンバイ状態(=待機状態)への移行指示を検知した場合に開始される。なおスタンバイ状態への移行指示は、例えばタッチパネル180等による操作が所定時間を超過しても検知されなかった場合等に、制御部110により発行される。
【0061】
本処理の開始後、制御部110はステップS110において、バックライトON信号の出力を停止するよう、I/O機能部114を制御する。これにより、バックライト161の消灯が行われる。また、スイッチング回路191に入力されていたバックライトON信号が消失するため、信号経路の切り替えが行われる。
【0062】
この結果、PWM機能部113からステータスLED193への信号経路が確立される。これにより、PWM信号をバックライト161の調光制御用ではなく、スタンバイ状態を表すためのステータスLED193の点灯制御用として用いることが可能な状態となる。
【0063】
次に、制御部110はステップS120において、LED信号の出力を停止するよう、I/O機能部114を制御する。これにより、ステータスLED193の消灯が行われる。
【0064】
次に、制御部110はステップS130において、PWM信号の信号波形を変更して出力するよう、PWM機能部113を制御する。具体的には、図4に示す、ステータスLED193の点灯制御用の信号波形に変更する。信号波形が変更されたPWM信号は、スイッチング回路191を経由してステータスLED193へ送られる。これにより、ステータスLED193が、明暗の度合いを常に変化させながら点滅を行う状態となる。
【0065】
次に、スタンバイ状態から通常状態への移行時における点灯制御処理について、図6を用いて説明する。図6に示す処理フローは、プログラマブル表示器100が通電状態にあり、且つスタンバイ状態から通常状態への移行指示を検知した場合に開始される。なお、通常状態への移行指示は、例えば、スタンバイ状態においてタッチパネル180等による操作が検知された場合に、制御部110により発行される。
【0066】
本処理の開始後、制御部110はステップS210において、バックライトON信号の出力を開始するよう、I/O機能部114を制御する。これにより、バックライト161の点灯が行われる。また、スイッチング回路191にバックライトON信号が入力されるようになるため、信号経路の切り替えが行われる。
【0067】
この結果、PWM機能部113からステータスLED193への信号経路が遮断される。これにより、PWM信号を、スタンバイ状態を表すためのステータスLED193の点灯制御用ではなく、バックライト161の調光制御用として用いることが可能な状態となる。
【0068】
次に、制御部110はステップS220において、LED信号の出力を開始するよう、I/O機能部114を制御する。これにより、ステータスLED193の点灯が行われる。
【0069】
次に、制御部110はステップS230において、PWM信号の信号波形を変更して出力するよう、PWM機能部113を制御する。具体的には、デューティ比が一定である、バックライト161の調光制御用の信号波形に変更する。信号波形が変更されたPWM信号は、バックライト161へ送られる。これにより、PWM信号を用いたバックライト161の調光が実施される状態となる。
【0070】
以上の処理フローにより、スタンバイ状態と通常状態とでステータスLED193の点灯方法を変更し、操作者がプログラマブル表示器100の状態を容易に判別できるようにしている。
【0071】
以上に説明した本実施形態によれば、通常状態、つまりバックライト点灯時は、ステータスLED193を常時点灯させる。そしてスタンバイ状態、つまりバックライト消灯時は、ステータスLED193を明暗の繰り返しにより点滅させる。この際、単なる点滅ではなく、PWM制御によりON/OFFの時間に変化をもたせ、なめらかな輝度変化が発生するようにしている。
【0072】
これにより操作者は、バックライト161が意図的に消灯されているのか、或いは故障で消灯しているのかを、ステータスLED193により判断可能である。つまり、画面表示がなされず、且つステータスLED193が点灯していれば故障状態であり、逆に画面表示がなされず、且つステータスLED193がなめらかな輝度変化で点滅していればスタンバイ状態であると判断できる。
【0073】
以上の構成によれば、バックライト161の故障を検知するための検知部材や、故障検知を通知するための通知部材を新たに設けることなく、バックライト161の故障を操作者に認識させることができる。
【0074】
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0075】
従って、本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0076】
(A)上記実施形態では、バックライト161及びステータスLED193の制御を行うための機能部、例えば、PWM機能部113が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0077】
(B)また、上記実施形態では、本発明の表示入力装置の一例としてプログラマブル表示器100を例示しているが、これ以外の表示入力装置を用いて本発明を実施する形態でもよい。例えば、携帯用の操作表示端末であるハンディターミナルを用いて、本発明を実施する形態でもよい。
【0078】
(C)また、上記実施形態では、ステータスLED193をPWM制御によるなめらかな輝度変化で点灯させる条件として、スタンバイ状態への移行を例に説明を行ったが、これ以外の状態に遷移した場合に、PWM制御による点灯を行う形態でもよい。
【0079】
(D)また、上記実施形態では、PWM信号の通過/遮断の切り替えにスイッチング回路191を用いているが、この代わりに半導体素子等を用いる形態でもよい。この形態の場合、半導体素子のゲートに印加される電圧の有無により、PWM信号の通過/遮断を切り替える。
【0080】
(E)また、上記実施形態では、PWM信号の出力チャンネルが一チャンネルであるためスイッチング回路191による切り替えを行っているが、PWM機能部113が出力チャンネルを2チャンネル以上備え、一チャンネルをバックライト161の制御用、一チャンネルをステータスLED193の制御用とする形態でもよい。これにより、スイッチング回路191を省略できる。ただしこの形態でも、PWM機能部113は、プログラマブル表示器100の状態遷移に応じて、PWM信号の波形を変更する処理を上記実施形態と同様に行う。
【符号の説明】
【0081】
100 プログラマブル表示器(表示入力装置)
110 制御部
111 表示制御部
112 動作制御部
113 PWM機能部
114 I/O機能部(制御信号送信部)
120 ROM
130 RAM
140 フラッシュメモリ
150 ネットワークI/F部
160 表示部
161 バックライト
170 外部装置I/F部
180 タッチパネル
191 スイッチング回路(切替部)
192 論理回路
193 ステータスLED(点灯部材、状態表示部)
200 PC
300 PLC
400 制御対象機器
500 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトを用いて画像の表示を行う表示部と、
装置の駆動状態を示すための点灯部材を備えた状態表示部と、
前記バックライトまたは前記状態表示部に対してPWM(Pulse Width Modulation)信号を送信するPWM機能部と、
前記PWM機能部から前記状態表示部へ前記PWM信号を送信するための経路上に設けられて前記PWM信号の通過/遮断を行う切替部と、
前記バックライト、前記状態表示部、または前記切替部に対して制御信号を送信する制御信号送信部と、
前記PWM機能部及び前記制御信号送信部の制御を行う制御部とを備えた表示入力装置において、
前記切替部は、前記制御信号が入力されていない場合に前記PWM信号を通過させ、前記制御信号が入力されている場合に前記PWM信号を遮断し、
前記制御部は、前記表示入力装置を予め定められた動作状態へ移行させるための移行指示を検知した場合に、前記制御信号の出力を停止するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が時間経過に応じて変化する前記PWM信号を生成して出力するよう前記PWM機能部を制御すること
を特徴とする表示入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記移行指示により移行した動作状態の解除指示を検知した場合に、前記制御信号の出力を開始するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が一定である前記PWM信号を出力するよう前記PWM機能部を制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の表示入力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記バックライトを消灯した状態である待機状態への移行指示を検知した場合に、前記制御信号の出力を停止するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が時間経過に応じて変化する前記PWM信号を出力するよう前記PWM機能部を制御し、前記待機状態の解除指示を検知した場合に、前記制御信号の出力を開始するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が一定である前記PWM信号を出力するよう前記PWM機能部を制御すること、
を特徴とする請求項2に記載の表示入力装置。
【請求項4】
バックライトを用いて画像の表示を行う表示部と、
装置の駆動状態を示すための点灯部材を備えた状態表示部と、
前記バックライトまたは前記状態表示部に対してPWM信号を送信するPWM機能部と、
前記PWM機能部から前記状態表示部へ前記PWM信号を送信するための経路上に設けられて前記PWM信号の通過/遮断を行う切替部と、
前記バックライト、前記状態表示部、または前記切替部に対して制御信号を送信する制御信号送信部と、
前記PWM機能部及び前記制御信号送信部の制御を行う制御部とを備えた表示入力装置を用いた点灯方法において、
前記切替部に対して前記制御信号が入力されていない場合に前記PWM信号を通過させ、前記切替部に対して前記制御信号が入力されている場合に前記PWM信号を遮断する切替ステップと、
前記表示入力装置を予め定められた動作状態へ移行させるための移行指示が検知された場合に、前記制御信号の出力を停止するよう前記制御信号送信部を制御し、デューティ比が時間経過に応じて変化する前記PWM信号を生成して出力するよう前記PWM機能部を制御する制御ステップとを備えること
を特徴とする点灯方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−173589(P2012−173589A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36684(P2011−36684)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】