説明

表示具

【課題】簡易な構造で安価に、多様な表示を容易に実現することができる。
【解決手段】一平面内に等間隔で平行に立設された複数の棒状体2と、棒状体2の少なくとも一つにこれに沿って移動可能に装着された少なくとも一つの表示片3とを備え、各表示片3を棒状体2に沿って長手方向の適当位置へ移動させることによって、移動方向に交差する方向から見た際に所望の図形が表示されるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示具に関し、特に、複数の表示片を組み合わせて自在な表示を可能とした、玩具やパーティション等への広い用途を有する表示具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の表示片(ブロック部材)を使用して自在な表示を行なう玩具として例えば特許文献1に示すようなものが知られている。上記玩具は、同形のブロック部材をアーム用ジョイント部材や枢軸用ジョイント部材で連結して、多様な表示や立体構造体を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−204799
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の玩具では、ブロック部材やジョイント部材を適宜組み合わせることによって自在な表示が可能になるが、これらブロック部材等の構造が比較的複雑でコスト高となるとともに、所望の表示を得るためにはブロック部材とジョイント部材の組み合わせに習熟する必要があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、簡易な構造で安価に、多様な表示を容易に実現することができる表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、間隔をおいて並設されて一方向へ延びる複数の案内部材(2)と、案内部材(2)の少なくとも一つにこれに沿って移動可能に装着された少なくとも一つの表示片(3)とを備え、各表示片(3)を案内部材(2)に沿って長手方向の適当位置へ移動させることによって、移動方向に交差する方向から見た際に所望の図形が表示されるようにしたものである。
【0007】
本第1発明においては、各案内部材に沿って表示片を適当位置へ移動させるだけで、表示片の位置によって種々の表示を行なうことができる。したがって、従来のように構造が複雑なブロック部材やジョイント部材を組み合わせて表示する必要が無いから、簡易かつ安価に多様な表示を実現することができる。
【0008】
本第2発明では、上記案内部材(2)は一平面内に等間隔で設けられている。本第2発明においては、平面的な図形を容易に表示することができる。
【0009】
本第3発明では、上記案内部材は棒状体(2)であり、上記表示片(3)は案内部材(2)の外周に摺動可能に装着されている。本第3発明によれば、表示片の移動案内機構を簡易に実現することができる。
【0010】
本第4発明では、上記表示片(3)は正方形の板体で、当該板体の対角線方向へ移動するように案内部材(2)に装着されている。本第4発明においては、表示片の斜面同士や角部同士を当接させて位置させることによって多様な連続模様を含んだ図形を容易に表示することができる。
【0011】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の表示器によれば、多様な表示を容易に且つ簡易な構造で安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示す、表示具の全体正面図である。
【図2】表示片の正面図である。
【図3】表示片を対角線方向から見た側面図で、図2のA矢視図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示す、表示具の全体正面図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す、表示具の全体正面図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す、表示具の全体正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す、表示具の部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には本発明の表示具を適用した玩具の一例を示す。図1は玩具の正面図であり、玩具は厚肉角材で構成された略U字形の枠体1を備えている。枠体1の下辺11にはこれに沿って長手方向へ等間隔で、枠幅方向の中央に案内部材としての棒状体2が複数立設されている。これら棒状体2は本実施形態では丸棒である。棒状体2は左右の側辺12,13に平行でかつ互いに平行に同一平面上を同一高さ位置まで上方へ延びている。そして、これら棒状体2に沿った適当位置に複数の表示片3が位置して、玩具を正面から見た際に所望の図形が表示されるようになっている。
【0015】
図2、図3には表示片3の一例を示す。表示片3は正方形の板体で、その表面3aは表示面となっている。本実施形態では表示片3はその表示面3aが全面一色で、異なる色に着色された表示片3が複数種類、それぞれ適当数準備されている。なお、表示面3aは二色以上に着色されたり、あるいは適正に配置された際に所望の絵の一部を構成するような模様等が付されていても良い。
【0016】
表示片3の裏面3bには中心に、その一方の対角線X方向へ開口するガイド穴311を形成したガイド部31が設けられている。そして、ガイド穴311は棒状体2の断面形状にほぼ等しい形状の丸穴となっている。また、各表示片3は、その対角方向の長さL1が棒状体2の設置間隔L2の2倍にほぼ等しくなるような大きさとしてある。
【0017】
このような構造の玩具において、図1に示すような倒立した四角形を図形表示する場合には、最初に、左右方向の中央に位置する棒状体2Aに表示片3Aのガイド穴311を通してこれを装着し、棒状体2Aに沿って最下位置まで移動させる。続いて、上記棒状体2Aの左右に位置する棒状体2Bに新たな表示片3Bのガイド穴311を通して装着し、棒状体2Bに沿ってこれらを下方へ移動させると、左右の表示片3Bはその下側斜面が中央の表示片3Aの左右の上側斜面に当接して位置決めされる。そして、棒状体2A、および棒状体2Bの外側の棒状体3Cに新たな表示片3Cのガイド穴311を通して、これら棒状体2A,2Cに沿ってこれらを下方へ移動させ、これら表示片3Cの下側斜面をその下方の表示片3Bの上側斜面に当接させて位置決めする。このようにして、順次、適当な棒状体2に新たな表示片3のガイド穴311を通して、棒状体2に沿ってこれらを下方へ移動させて、下方の表示片3に当接させることによって、図1に示すような図形が表示される。
【0018】
各棒状体2への表示片3の装着順序を変更すると、例えば図4に示すような図形が表示できる。
【0019】
さらに、棒状体2に装着された下方の表示片3の上方角部に、同じ棒状体2に装着された上方の表示片3の下方角部を当接させて位置決めするようにすれば、例えば図5に示すような図形が表示できる。さらに表示片3の角部同士の当接と斜面同士の当接を適宜混在させることによって例えば図6に示すような図形が表示できる。なお、ガイド穴311と棒状体2の間に一定の摺動抵抗を持たせるようにすれば、表示片3同士を当接させることなくこれらを棒状体2の任意位置で位置決めすることができる。
【0020】
棒状体2は起立姿勢とする必要は無く、例えば図7に示すように水平姿勢としても良い。この場合には、表示片3は自重によって移動することが全くなく、これらを互いに当接させて位置決めする必要は無いから、棒状体2に沿う任意位置へ表示片3を移動させて、所望の図形を表示することができる。
【0021】
上記実施形態においては表示片の裏面にガイド部を設けたが、裏面も表示面として使用し、ガイド部を表示片の厚み方向の中央に設けるようにしても良い。また、表示片は上記実施形態の正方形に限られず、多様な形状のものが使用できる。上記実施形態では、案内部材を棒状体として、これに表示片のガイド穴を挿通して棒状体に沿って移動可能としたが、移動案内機構の構造はこれに限られるものではない。また、この場合の案内部材は必ずしも同一面内に等間隔で設けられている必要は無い。本発明の表示具の適用範囲は玩具には限られず、インテリア用品や壁面表示、パーティション等広い範囲への利用が可能である。
【符号の説明】
【0022】
1…枠体、2,2A,2B,2C…棒状体(案内部材),3,3A,3B,3C…表示片、31…ガイド部、311…ガイド穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて並設されて一方向へ延びる複数の案内部材と、案内部材の少なくとも一つにこれに沿って移動可能に装着された少なくとも一つの表示片とを備え、各表示片を案内部材に沿って長手方向の適当位置へ移動させることによって、移動方向に交差する方向から見た際に所望の図形が表示されるようにしたことを特徴とする表示具。
【請求項2】
前記案内部材は一平面内に等間隔で設けられている請求項1に記載の表示具。
【請求項3】
前記案内部材は棒状体であり、前記表示片は前記案内部材の外周に摺動可能に装着されている請求項2に記載の表示具。
【請求項4】
前記表示片は正方形の板体で、当該板体の対角線方向へ移動するように前記案内部材に装着されている請求項2又は3に記載の表示具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−154273(P2011−154273A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16736(P2010−16736)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【特許番号】特許第4570688号(P4570688)
【特許公報発行日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(510026585)株式会社タイタン・アート (1)
【Fターム(参考)】