説明

表示制御装置、表示制御方法、及び、表示制御プログラム

【課題】装置周辺の画像を撮像し、撮像された画像を解析した結果に基づいて表示画面の制御を行う表示制御装置等を提供する。
【解決手段】表示画面270と、表示画面270の前方を撮像するカメラ260とを備え、撮像された画像を解析して表示画面270の表示制御を行う表示制御装置100であって、カメラ260が撮像した画像から所定の面積以上の一の人物の顔を認識する顔認識処理部210と、顔画像から当該顔の特徴を抽出する特徴抽出処理部220と、前記顔の特徴を特徴データとして予め保存する特徴データ保存テーブル250と、抽出された顔の特徴及び特徴データ保存テーブル250が予め保存する特徴データを比較して、一致するかどうかを判定する判定処理部230と、判定処理部230が判定した結果、顔の特徴が一致しない場合に前記表示画面に表示された表示データを非表示に制御する表示制御処理部240とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面を制御する表示制御装置に関し、特に、撮像した画像に基づいて表示制御を行う表示制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面を備えるパソコン等の情報処理装置において、ディスプレイ(ブラウン管:CRT)の焼き付きを防止するための機能として、一定時間入力操作がない場合にスクリーンセーバを起動することが一般的に行われている。しかし、現在はディスプレイが液晶化され、以前のように焼き付きが発生しにくくなったため、スクリーンセーバの機能は画面上の機密事項を保護する方向に変化している。
【0003】
スクリーンセーバを利用してコンピュータの画面に表示された機密を保護する技術として、特許文献1または2に示す技術がある。特許文献1に示す技術は、オペレータの有無の検出およびオペレータの利用可否の識別を表示装置自体で行い、接続して使用する情報処理装置が限定されることを防ぐ技術であり、表示装置は表示部、センサ部、リーダ部、表示制御部を備え、情報処理装置からの表示データを画面表示する。使用中にオペレータが画面から離れると赤外線使用のセンサ部が検出し離席信号を表示制御部に出力し、輝度制御信号により表示部の表示を暗くし判読不能とする。オペレータが戻るとセンサ部が検出信号でリーダ部を活性化し、入力部でカードのバーコードを読み取り、照合部で起動時にカードから読み込み記憶した識別情報と照合して本人確認を行い、許可信号を出力し輝度制御信号を変え表示を明るくする。情報処理装置での対応が不要で本人確認を含むスクリーンセーバ機能を表示装置のみで行えるものである。
【0004】
また、特許文献2に示す技術は、特定の見る権限のある人々のみに表示内容を見せることができ、かつ長時間表示による焼き付きを防止することの可能なディスプレイ装置に関する技術であり、表示を許可するための認証手段を設けるとともに、周囲の物理的条件を判断するセンサを設け、表示が許可され、かつ見せるべき対象者が居ると判断されるときのみ、表示部に所定の入力データの前記文字及び/又は画像を表示させるよう制御するものである。
【特許文献1】特開平10−97233号公報
【特許文献2】特開2004−93885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に示す技術は、操作者が正当な人物であるかを認証する手段として、識別カードやバーコードや認証コードを利用しているため、操作者が認証の手続きを行わなければならず、手間が掛かってしまうという課題を有する。
【0006】
また、操作者が正式な認証の手続きを行ってオペレーションをしている間に、背後から覗き見された場合、操作者が気付かないうちに画面に表示されている機密事項が見られてしまうという課題を有する。
【0007】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、装置周辺の画像を撮像し、撮像された画像を解析した結果に基づいて表示画面の制御を行う表示制御装置、表示制御方法、及び、表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1.操作者の認証)
本表示制御装置は、操作者の顔の特徴を特徴データとして保存する特徴保存手段と、表示データを表示する表示画面を有する表示手段と、当該表示画面の前方を所定の時間間隔で撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像から所定の面積以上の人物の顔を認識する顔認識手段と、前記顔認識手段が認識した顔の顔画像から当該顔の特徴を抽出する特徴抽出手段と、前記特徴抽出手段が抽出した当該顔の特徴と、前記特徴保存手段が予め保存する前記操作者の顔の特徴データを比較して、一致するかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段が判定した結果、顔の特徴が一致しない場合に前記表示画面に表示された表示データを非表示に制御する表示制御手段とを備えるものである。
【0009】
このように、本発明においては、操作者に対して自動で認証を行い、予め登録されていない人間の場合には表示データを非表示に制御するため、登録された人間以外に画面に表示された情報を見られることがなく、機密事項を確実に保護することができるという効果を奏する。
【0010】
また、装置が自動で認証を行うため、操作者は認証のための処理や動作を行う必要がなく手間を省くことができるという効果を奏する。
なお、表示画面を非表示に制御する場合には、スクリーンセーバを起動するようにしてもよいし、画面全体を暗くして表示が見えないようにしてもよいし、画面全体を塗りつぶすような処理を行ってもよい。
【0011】
(2.他人によるのぞき込みの防止)
本表示制御装置は、前記特徴保存手段が複数の操作者の顔の特徴を特徴データとして保存し、前記顔認識手段が所定の面積以上の複数の人物の顔を認識した場合に、前記特徴抽出手段が前記複数の人物の各々の顔画像から当該顔の特徴を抽出し、前記判定手段が当該複数の人物の各々の顔画像について、当該特徴抽出手段が抽出した顔の特徴と当該特徴保存手段が予め保存する当該複数の操作者の顔の特徴データを比較して一致するかどうかを判定し、前記表示手段が当該判定手段にて判定された結果、当該複数の人物のうち一以上の顔の特徴が不一致であった場合に前記表示画面に表示された表示データの表示を非表示に制御するものである。
【0012】
このように、本発明においては、顔認識手段が、所定の面積以上の複数の人物の顔を認識した場合に、特徴保存手段にて予め保存される複数の操作者の顔の特徴データを比較して一以上の顔の特徴が不一致であった場合に、前記表示画面に表示された表示データの表示を非表示に制御するため、登録された人間(操作者)以外の覗き込みを防止することができ、気付かない間に画面に表示された情報を見られることがなく、機密事項を確実に保護することができるという効果を奏する。
【0013】
(3.連続性による判定)
本表示制御装置は、前記撮像手段が撮像した画像において、前記顔認識手段にて認識された人物の顔の顔画像が所定の面積以上である間、及び/または、所定の領域内にある間は当該人物が同一の人物であると判断して、前記表示制御手段が前記表示画面に表示された表示データの表示を維持するように制御することを特徴とするものである。
【0014】
このように、本発明においては、撮像手段が所定の時間間隔で撮像した場合に、当該撮像された画像において顔認識手段が認識した一の人物の顔の顔画像が所定の面積以上である間、及び/または、所定の領域内にある間は当該一の人物が同一の人物であると判断して、表示制御手段が表示画面の制御を行うため、同一人物の判断を正確に行うことができると共に、判断するための処理を削減して処理を効率的に行うことができるという効果を奏する。
また、同一人物が撮像されている間は非表示にする制御が行われないため、操作者にとって利用しやすくなるという効果を奏する。
【0015】
(4.誤差の設定による判定)
本表示制御装置は、前記特徴保存手段が前記操作者の上方向、下方向、右方向、及び、左方向の顔からなる離散した特徴データを保存しており、前記判定手段が、前記離散した特徴データを連続したデータとし、当該連続したデータの範囲内に前記撮像手段が撮像した画像から抽出した顔の特徴が含まれるかどうかで判定処理を行うことを特徴とするものである。
【0016】
このように、本発明においては、特徴保存手段が操作者の上方向、下方向、右方向、及び、左方向の顔の特徴データを保存しており、判定手段が、離散した特徴データを連続したデータとし、当該連続したデータの範囲内に前記撮像手段が撮像した画像から抽出した顔の特徴が含まれるかどうかで判定処理を行うため、操作者が正面以外に上下左右及び斜め方向等様々な方向を向いている場合であっても認証を行うことができ、表示制御を適切に行うことができるという効果を奏する。
【0017】
(5.特徴抽出)
本表示制御装置は、前記特徴データが、目、鼻、口、及び、耳の少なくとも一の大きさの比率であり、前記判定手段が、当該比率に基づいて判定処理を行うものである。
このように、本発明においては、目、鼻、口、及び、耳の少なくとも一の大きさの比率を特徴データとして抽出して認証を行うため、正確な認証を行うことができ、なりすまし等により機密事項が漏れることを防止することができるという効果を奏する。
【0018】
これまで、本発明を装置として示したが、所謂当業者であれば明らかであるように本発明をシステム、方法、及び、プログラムとして捉えることもできる。これら前記の発明の概要は、本発明に必須となる特徴を列挙したものではなく、これら複数の特徴のサブコンビネーションも発明となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は多くの異なる形態で実施可能である。従って、本実施形態の記載内容のみで本発明を解釈すべきではない。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0020】
本実施の形態では、主に装置について説明するが、所謂当業者であれば明らかな通り、本発明はシステム、方法、及び、コンピュータを動作させるためのプログラムとしても実施できる。また、本発明はハードウェア、ソフトウェア、または、ハードウェア及びソフトウェアの実施形態で実施可能である。プログラムは、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、光記憶装置、または、磁気記憶装置等の任意のコンピュータ可読媒体に記録できる。さらに、プログラムはネットワークを介した他のコンピュータに記録することができる。
【0021】
(本発明の第1の実施形態)
(1.構成と機能)
(1−1 ハードウェア構成)
図1は、本実施形態に係る表示制御装置のハードウェアの構成図である。表示制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、フラッシュメモリ(Flash memory)104、外部記憶装置であるHD(Hard disk)105、LAN(Local Area Network)カード106、マウス107、キーボード108、ビデオカード109、このビデオカード109と電気的に接続する表示装置であるディスプレイ109a、サウンドカード110、このサウンドカード110と電気的に接続する音出力装置であるスピーカ110a及びフレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等の記憶媒体を読み書きするドライブ111からなる。
なお、上記ハードウェア構成はあくまで一例を示したものであり、構成要素の変更をすることができるのは当然である。
【0022】
(1−2 モジュール構成と機能)
図2は、本実施形態に係る表示制御装置のモジュール構成図である。表示制御装置100は、顔認識手段としての顔認識処理部210と、特徴抽出手段としての特徴抽出処理部220と、判定手段としての判定処理部230と、表示制御手段としての表示制御処理部240と、特徴保存手段としての特徴データ保存テーブル250と、撮像手段としてのカメラ260と表示画面270とを備える。
【0023】
顔認識処理部210は、カメラ260が撮像した画像から所定値以上の面積となる人間の顔を認識して顔画像として抽出する処理を行う。ここでの面積の値は画面全体に対する顔の面積の比率でもよい。
【0024】
特徴抽出処理部220は、顔認識処理部210が認識した顔画像から顔の特徴を抽出する処理を行う。ここでは、目、鼻、口、及び、耳の少なくとも一の大きさの比率を特徴として抽出する。
判定処理部230は、特徴抽出処理部220が抽出した顔の特徴と特徴データ保存テーブル250に保存された特徴データとを比較して一致するかどうかを判定する処理を行う。
【0025】
表示制御処理部240は、判定処理部230が判定した結果、特徴が一致しない場合に表示画面270に表示されている情報を非表示にする処理を行う。一致する場合には、特に処理を行わない。ここでは、スクリーンセーバを起動することで非表示の処理を行う。
【0026】
特徴データ保存テーブル250は、予め操作者として登録する人物の顔の特徴を特徴データとして保存するテーブルである。ここでは、操作者の目、鼻、口、及び、耳の少なくとも一の大きさの比率を特徴データとして保存する。
【0027】
カメラ260は、少なくとも表示画面の前方を所定の時間間隔で撮像する処理を行う。時間間隔の設定はユーザに任意に行うことができ、例えば、離席直後にスクリーンセーバを起動したいのであれば、時間を短時間(例えば、0.5秒から2秒程度)に設定し、すぐにスクリーンセーバ起動しなくてもよいのであれば、時間を長時間(例えば、3秒〜5秒程度)に設定する。
表示画面270は、表示データを表示する処理を行う。
なお、前記構成において、カメラ260と表示画面260は別装置として備え、表示制御装置を用いた表示制御システムと捉えてもよい。
【0028】
(2.動作)
図3は、本実施形態に係る表示制御装置の処理動作を示すフローチャートである。まず、カメラ260で表示画面270の前方(操作者が操作を行う方向)を撮像し(ステップS301)、撮像した画像を入力する(ステップS302)。入力された画像内の顔を認識し、画像内に顔があった場合に所定の大きさ以上の顔かどうかを判定する(ステップS303)。所定の大きさ以上の顔がない場合は、操作者が表示画面270の前方にいないため時間データをクリアして(ステップS309)、スクリーンセーバを起動する(ステップS310)。スクリーンセーバを起動することで、表示画面270に表示されていた情報を非表示にして機密事項を保護することができる。所定の大きさ以上の顔がある場合は、顔の特徴を抽出する(ステップS304)。登録されている顔の特徴と抽出した顔の特徴が一致するかどうかを判定し(ステップS305)、一致しない場合は操作者以外の人間が表示画面270の前方にいるため時間データをクリアして(ステップS309)、スクリーンセーバを起動する(ステップS310)。一致する場合は、操作者が表示画面270の前方にいるということである。
【0029】
操作者が表示画面270の前方にいると判定された場合は時間の計測を行い(ステップS306)、所定の時間が経過したかどうかを判定する(ステップS307)。ここでの所定の時間は、操作者の認証を行う間隔の時間、つまりカメラ260により画像を撮像する間隔の時間であり、任意に設定することができる。所定の時間が経過していない場合は、ステップS306に戻って、再度時間の計測を行う。所定の時間が経過している場合は、時間データをクリアして(ステップS308)、ステップS301に戻って、再びカメラで画像を撮像する処理を繰り返す。
なお、上記処理において装置が起動している間は常時カメラ260による撮像及び認証が行われている。
【0030】
このように、本実施形態に係る表示制御装置においては、操作者に対して自動で認証を行い、予め登録されていない人間の場合には表示データを非表示に制御するため、登録された人間以外に画面に表示された情報を見られることがなく、機密事項を確実に保護することができる。また、装置が自動で認証を行うため、操作者は認証のための処理や動作を行う必要がなく手間を省くことができる。
【0031】
なお、表示データを非表示にする場合は、スクリーンセーバを起動以外に、画面全体を暗くして表示が見えないようにしてもよいし、画面全体を塗りつぶすような処理を行ってもよい。
【0032】
(本発明の第2の実施形態)
(1.構成と機能)
(1−1 ハードウェア構成)
本実施形態に係る表示制御装置のハードウェア構成は第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0033】
(1−2 モジュール構成と機能)
本実施形態に係る表示制御装置のモジュール構成は第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。顔認識処理部210、特徴抽出処理部220、判定処理部230及び表示制御処理部240は第1の実施形態における機能に追加機能を備える。以下に追加機能について説明する。
【0034】
顔認識処理部210は、第1の実施形態と同様に、カメラ260が撮像した画像から所定値以上の面積となる人間の顔を認識して顔画像として抽出する処理を行うが、ここでは、それ以外の顔についても認識処理を行う。つまり、操作者が登録された正式な人物であると認証され、スクリーンセーバが起動していない時に撮像された画像に、操作者以外の顔が所定の大きさ以上で撮像されると、その顔を認識する処理を行う。
特徴抽出処理部220は、顔認識処理部210が認識した操作者以外の顔についても特徴を抽出する処理を行う。
【0035】
判定処理部230は、顔認識処理部210が認識した操作者以外の顔の特徴についても特徴データ保存テーブル250に保存された特徴データとを比較して一致するかどうかを判定する処理を行う。
【0036】
表示制御処理部240は、登録された操作者が表示画面の前方にいる場合であっても操作者以外の顔の特徴が特徴データ保存テーブル250に保存された特徴データと一致しない場合には表示画面270に表示されている情報を非表示にする処理を行う。
特徴データ保存テーブル250、カメラ260、表示画面270の機能は第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0037】
(2.動作)
図4は、本実施形態に係る表示制御装置の処理動作を示すフローチャートである。まず、第1の実施形態と同様に、カメラ260で表示画面270の前方(操作者が操作を行う方向)を撮像し(ステップS301)、撮像した画像を入力する(ステップS302)。入力された画像内の任意の一の顔を認識し、画像内に顔があった場合に所定の大きさ以上の顔かどうかを判定する(ステップS303)。所定の大きさ以上の一の顔がない場合は、操作者が表示画面270の前方にいないため時間データをクリアして(ステップS309)、スクリーンセーバを起動する(ステップS310)。所定の大きさ以上の一の顔がある場合は、一の顔の特徴を抽出する(ステップS304)。登録されている顔の特徴と抽出した一の顔の特徴が一致するかどうかを判定し(ステップS305)、一致しない場合は操作者以外の人間が表示画面270の前方にいるため時間データをクリアして(ステップS309)、スクリーンセーバを起動する(ステップS310)。一致する場合は、操作者が表示画面270の前方にいるということである。
【0038】
次に、前記一の顔以外の所定の大きさ以上のその他の顔があるかどうかを判定し(ステップS305a)、所定の大きさ以上のその他の顔がある場合は、その他の顔の特徴を抽出する(ステップS305b)。登録されている顔の特徴と抽出したその他の顔の特徴が一致するかどうかを判定し(ステップS305c)、一致しない場合は操作者以外の人間が表示画面270を覗き込んでいるため時間データをクリアして(ステップS309)、スクリーンセーバを起動する(ステップS310)。一致する場合は、表示画面270を見ることを許可されている人間が表示画面270の前方にいるということである。
【0039】
ステップS305cで登録されている顔の特徴と抽出したその他の顔の特徴が一致する場合、及び、ステップS305aで所定の大きさ以上のその他の顔がない場合は、ステップS306以降の処理を行う。ステップS306以降の処理については、第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。
なお、上記処理において装置が起動している間は常時カメラ260による撮像及び認証が行われている。
【0040】
このように、本実施形態に係る表示制御装置においては、顔認識処理部210が、所定の面積以上の複数の人物の顔を認識した場合に、一以上の顔の特徴が、特徴データ保存テーブル250にて予め保存された顔の特徴と不一致であった場合に表示画面に表示された表示データの表示を非表示に制御するため、登録された人間(操作者)以外の覗き込みを防止することができ、気付かない間に画面に表示された情報を見られることがなく、機密事項を確実に保護することができる。
【0041】
(本発明の第3の実施形態)
(1.構成と機能)
(1−1 ハードウェア構成)
本実施形態に係る表示制御装置のハードウェア構成は第1及び第2の実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0042】
(1−2 モジュール構成と機能)
本実施形態に係る表示制御装置のモジュール構成と機能は第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0043】
(2.動作)
図5は、本実施形態に係る表示制御装置の処理動作を示すフローチャートである。第1または第2の実施形態と異なる点は、ステップS307aが追加された点である。ステップS301からステップS307までの処理は、第2の実施形態と同様であるため説明は省略する。ステップS307で所定の時間が経過した場合は、撮像された人物が同一人物かどうかを判定する(ステップS307a)。同一人物だと判定された場合は、改めて顔の認証を行う必要がないため、ステップS305aに戻って、覗き込みの判定処理を行う。同一人物ではないと判定された場合は、時間データをクリアしてステップS301に戻って再び人物の撮像を行う。ここで、同一人物かどうかを判定する処理について詳細に説明する。
【0044】
(2−1 誤差の設定による判定)
以下に、誤差を設定することによる一致の判定方法について説明する。同じ人物であっても、特徴抽出処理部220にて抽出した顔の特徴と予め特徴データ保存テーブル250に登録された特徴データが必ずしも一致するとは限らない。例えば、角度や方向が少しでも変わった場合には、同じ人物であっても異なる特徴として処理される。通常は顔の向きや角度は登録した時点と違っている場合が多く、その場合に一致するかどうかの判定処理には多少の誤差を見込む必要がある。誤差をどこまで見込むかにより判定の精度が異なってくる。本実施形態では、誤差の設定を以下の方法により行う。
【0045】
図6は、誤差の設定による判定方法を示す図である。まず、図6(a)に示すように予め正面向きの顔、上向きの顔、下向きの顔、右向きの顔、及び、左向きの顔の5パターンにおける目、鼻、口、及び、耳の少なくとも一の大きさの比率を特徴データとして特徴データ保存テーブル250に登録しておく。そして、正面向きの顔の比率データから上向きの顔の比率データまでにある比率データや、正面向きの顔の比率データから下向きの顔の比率データまでにある比率データや、下向きの顔の比率データから右向きの顔の比率データまでにある比率データ等、図6(a)における矢印棒線部分に該当する比率データを、登録した特徴データ間の連続した特徴データとして計算により導き出す。
【0046】
次に、矢印棒線部分に該当するデータと正面向きの顔の比率データとの間にある比率データ(図6(b)網掛け部分)を計算により導き出す。判定処理部230が判定処理を行う場合には、特徴抽出処理部220にて抽出した顔の比率データが図6(b)の網掛けの領域に含まれるかどうかを判定する。網掛け領域に含まれている場合は一致していると判定し、網掛け領域に含まれていない場合は一致していないと判定する。
なお、正面向きの顔は登録しても登録しなくてもよい。登録しない場合には、上下左右の4つの比率データから網掛け部分に該当する領域を算出する。
【0047】
(2−2 連続性による判定)
以下に連続性による一致の判定方法について説明する。最初に認証が行われた時点から次の認証が行われるまで、更に次の認証が行われるまでという様に、認証から認証までのそれぞれの特徴データの変化が一定値以下であれば、連続したデータと捉えて同一人物であるとする。ただし、顔の面積が画像内の一定の面積以下または一定の領域内に無い場合は、操作者が表示画面から離れたと判定する。
【0048】
図7は、連続性による判定方法を示す図である。図7(a)は画像内に一定の面積以上の顔がなくなった場合の判定方法を示す。図7(a)において、a−1が最初の認証の際に使用された画像である。ここで、a−1の画像における比率データは特徴データ保存テーブル250に登録されているため、表示データは表示されたままである。a−2、a−3はそれぞれ2回目、3回目の認証の際に使用された画像である。a−1とa−2、a−3の顔の変化が一定以下で且つ顔の面積が一定の面積以上であるため、a−1の認証の時と同じ人物であると判断して認証される。従って、ここでも表示データは表示されたままである。a−4は4回目の認証の際に使用された画像である。a−3とa−4の顔の変化が一定以下であるが、顔の面積が一定の面積以上ないため、操作者が表示画面から離れたと判断して認証される。従って、ここではスクリーンセーバが起動して表示データが非表示になる。
【0049】
図7(b)は一定の領域内に顔がなくなった場合の判定方法を示す。図7(a)において、b−1が最初の認証の際に使用された画像である。ここで、b−1の画像における比率データは特徴データ保存テーブル250に登録されているため、表示データは表示されたままである。b−2、b−3はそれぞれ2回目、3回目の認証の際に使用された画像である。b−1とb−2、b−3の顔の変化が一定以下で且つ一定の領域内(網掛け部分)に顔があるため、b−1の認証の時と同じ人物であると判断して認証される。従って、ここでも表示データは表示されたままである。b−4は4回目の認証の際に使用された画像である。b−3とb−4の顔の変化が一定以下であるが、一定の領域内(網掛け部分)に顔が無いため、操作者が表示画面から離れたと判断して認証される。従って、ここではスクリーンセーバが起動して表示データが非表示になる。
【0050】
このように、本実施形態に係る表示制御装置においては、特徴データ保存テーブル250が操作者の上方向、下方向、右方向、及び、左方向の顔の特徴データを保存しており、判定処理部230が、離散した特徴データを連続したデータとし、当該連続したデータの範囲内に前記撮像手段が撮像した画像から抽出した顔の特徴が含まれるかどうかで判定処理を行うため、操作者が正面以外に上下左右及び斜め方向等様々な方向を向いている場合であっても認証を行うことができ、表示制御を適切に行うことができる。また、カメラ260が所定の時間間隔で撮像した場合に、当該撮像された画像において顔認識処理部210が認識した一の人物の顔の顔画像が所定の面積以上である間、及び/または、所定の領域内にある間は当該一の人物が同一の人物であると判断して、表示制御部240が表示画面の制御を行うため、同一人物の判断を正確に行うことができると共に、判断するための処理を削減して処理を効率的に行うことができる。さらに、同一人物が撮像されている間は非表示にする制御が行われないため、操作者にとって利用しやすくなるという効果を奏する。
【0051】
(その他の実施形態)
(1.眼精疲労の防止)
上記各実施形態に係る表示制御装置においては、予め登録された操作者が表示画面270を見ている間はスクリーンセーバが起動せず、操作者が表示画面270から目を離した場合にスクリーンセーバが起動する構成となっている。つまり、スクリーンセーバが連続して起動していない時間は、操作者が連続して表示画面270を見続けているということになる。パソコン等の表示画面を見続けることにより眼精疲労が発生するため、連続して所定の時間以上スクリーンセーバが起動しない場合は、強制的にスクリーンセーバを起動して休息を促すことで眼精疲労を防止する。
【0052】
図8は、眼精疲労防止機能が付いた表示制御装置の動作を示すフローチャートである。ステップS301からステップS306までの処理は第2の実施形態と同様であるため説明は省略する。なお、ステップS301からステップS306までの処理は第1の実施形態と同様であってもよい。
【0053】
ステップS306で時間の計測を行うと、第1の所定の時間が経過したかどうかが判定される(ステップS307)。第1の所定の時間とは、操作者の認証を行う間隔の時間、つまりカメラ260により画像を撮像する間隔の時間であり、任意に設定することができる時間である。第1の所定の時間が経過していない場合は、ステップS306に戻って、再度時間の計測を行う。第1の所定の時間が経過している場合は、第1の時間データをクリアし(ステップS308)、第2の所定の時間が経過したかどうかが判定される(ステップS308a)。第2の所定の時間とは、連続してスクリーンセーバが起動していない場合に眼精疲労防止のために休息を促す間隔の時間であり、任意に設定することができる時間である。第2の所定の時間が経過していない場合は、ステップS301に戻って、再びカメラで画像を撮像する処理を繰り返す。第2の所定の時間が経過している場合は、時間経過メッセージ(例えば、休息を促すメッセージ等)を表示し(ステップS308b)、第1及び第2の時間データをクリアして(ステップS309)、スクリーンセーバを起動する(ステップS310)。
【0054】
なお、上記処理において装置が起動している間は常時カメラ260による撮像及び認証が行われている。
このように、本実施形態に係る表示制御装置においては、表示制御部240が、表示データを非表示に制御する処理を所定の時間以上行わない場合、つまり、操作者が表示画面を見続けている場合に、強制的に表示データを非表示に制御する処理を行うため、連続してパソコン業務を行うことによる眼精疲労を防止することができる。
【0055】
(2.視線方向による表示画面の制御)
本発明においては、予め登録された操作者の顔の特徴や方向から表示画面を見ているかどうかを判定するが、さらに視線方向から表示画面をみているかどうかを判定する。つまり、顔の方向は表示画面を向いているが視線が表示画面から外れているような場合に、スクリーンセーバを起動するように制御する。
【0056】
まず、カメラ260で撮像された画像から顔認識処理部210が顔の認識を行う。次に、特徴抽出処理部220が認識された顔画像から視線方向の検出を行う。視線方向の検出については様々な技術が知られているため、ここでの詳細な説明は省略する。判定処理部230は、認識された顔の位置と視線方向から操作者が表示画面270を見ているかどうかを判定する。表示画面270を見ていないと判定された場合は、表示制御処理部240がスクリーンセーバを起動する。
【0057】
なお、顔の位置と視線方向との関係は予め特徴データ保存テーブル250に保存しておいてもよい。
このように、本実施形態に係る表示制御装置においては、視線方向により表示画面を制御するため、例えば、顔の方向は表示画面を向いているが視線が表示画面から外れているような場合であっても、正確に表示画面の制御を行うことができる。
【0058】
(3.特徴データの登録)
本発明において、操作者の認証を行うために予め特徴データ保存テーブル250に操作者の顔の特徴を登録する。上記各実施形態においては、顔の正面、上向き、下向き、左向き、及び/または、右向きについて登録を行うが、正面だけを登録するようにしてもよい。つまり、予め正面のみを登録し、同一人物が撮像されている間は様々な方向や表情の画像を取得して登録する。装置の利用時間と共に登録されるデータが増え、認証の精度を上げることができる。また、データの数が増えすぎるのを防ぐため、連続したデータの場合はいくつかのデータをサンプリングして登録するようにしてもよい。例えば、正面から右を向く間に10枚の画像が撮像されたとすると、2枚おきに5枚だけを登録し、その他の5枚は破棄する。
このように、本実施形態に係る表示制御装置においては、認証の基礎となるデータが利用時間に応じて増えるため、認証精度もそれに応じて高くすることができる。
【0059】
(4.音による覗き込みの報知)
上記第2の実施形態において、覗き込みを防止する構成としたが、覗き込みされていると判定された場合に、直ちにスクリーンセーバを起動するのではなく、一旦音を出力する構成としてもよい。例えば、覗き込みしている人間が特長データ保存テーブル250には登録はされていないが、表示画面を見ても問題がない人間である場合には、一旦音で警告し、問題なければ音を無視して作業を継続することができる。もし、悪意を持って表示画面を覗き込んだ人間であれば音で警告することで、その場から離れるように促すことができる。音の出力は表示制御部240が表示画面270を制御する前段階として実行する。
【0060】
以上の前記各実施形態により本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は実施形態に記載の範囲には限定されず、これら各実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能である。そして、かような変更又は改良を加えた実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれる。このことは、特許請求の範囲及び課題を解決する手段からも明らかなことである。
【0061】
なお、前記各実施形態に係る表示制御装置は、表示画面を有する装置であれば何でも適用することができる。例えば、パソコン、携帯電話、PDA、銀行のATM等に適用可能である。
また、特徴データとして顔以外に社員の制服や名札等の外見的な特徴を特徴データとして利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施形態に係る表示制御装置のハードウェアの構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示制御装置のモジュール構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係る表示制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】第3の実施形態に係る表示制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】誤差の設定による判定方法を示す図である。
【図7】連続性による判定方法を示す図である。
【図8】眼精疲労防止機能が付いた表示制御装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
100 表示制御装置
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 フラッシュメモリ
105 HD
106 LANカード
107 マウス
108 キーボード
109 ビデオカード
109a ディスプレイ
110 サウンドカード
110a スピーカ
111 ドライブ
210 顔認識処理部
220 特徴抽出処理部
230 判定処理部
240 表示制御処理部
250 特徴データ保存テーブル
260 カメラ
270 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の顔の特徴を特徴データとして保存する特徴保存手段と、
表示データを表示する表示画面を有する表示手段と、
当該表示画面の前方を所定の時間間隔で撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像から所定の面積以上の人物の顔を認識する顔認識手段と、
前記顔認識手段が認識した顔の顔画像から当該顔の特徴を抽出する特徴抽出手段と、
前記特徴抽出手段が抽出した当該顔の特徴と、前記特徴保存手段が予め保存する前記操作者の顔の特徴データを比較して、一致するかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した結果、顔の特徴が一致しない場合に前記表示画面に表示された表示データを非表示に制御する表示制御手段とを備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記特徴保存手段が複数の操作者の顔の特徴を特徴データとして保存し、前記顔認識手段が所定の面積以上の複数の人物の顔を認識した場合に、前記特徴抽出手段が前記複数の人物の各々の顔画像から当該顔の特徴を抽出し、前記判定手段が当該複数の人物の各々の顔画像について、当該特徴抽出手段が抽出した顔の特徴と当該特徴保存手段が予め保存する当該複数の操作者の顔の特徴データを比較して一致するかどうかを判定し、前記表示手段が当該判定手段にて判定された結果、当該複数の人物のうち一以上の顔の特徴が不一致であった場合に前記表示画面に表示された表示データの表示を非表示に制御することを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示制御装置において、
前記撮像手段が撮像した画像において、前記顔認識手段にて認識された人物の顔の顔画像が所定の面積以上である間、及び/または、所定の領域内にある間は当該人物が同一の人物であると判断して、前記表示制御手段が前記表示画面に表示された表示データの表示を維持するように制御することを特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の表示制御装置において、
前記特徴保存手段が前記操作者の上方向、下方向、右方向、及び、左方向の顔からなる離散した特徴データを保存しており、
前記判定手段が、前記離散した特徴データを連続したデータとし、当該連続したデータの範囲内に前記撮像手段が撮像した画像から抽出した顔の特徴が含まれるかどうかで判定処理を行うことを特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の表示制御装置において、
前記特徴データが、目、鼻、口、及び、耳の少なくとも一の大きさの比率であり、
前記判定手段が、当該比率に基づいて判定処理を行うことを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
操作者の顔の特徴を特徴データとして保存する特徴保存手順と、
表示データを表示する表示画面を有する表示手順と、
当該表示画面の前方を所定の時間間隔で撮像する撮像手順と、
前記撮像手順にて撮像された画像から所定の面積以上の人物の顔を認識する顔認識手順と、
前記顔認識手順にて認識された顔の顔画像から当該顔の特徴を抽出する特徴抽出手順と、
前記特徴抽出手順にて抽出された当該顔の特徴と、前記特徴保存手順にて予め保存された前記操作者の顔の特徴データを比較して、一致するかどうかを判定する判定手順と、
前記判定手順にて判定された結果、顔の特徴が一致しない場合に前記表示画面に表示された表示データを非表示に制御する表示制御手順とを含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、
操作者の顔の特徴を特徴データとして保存する特徴保存手順と、
表示データを表示する表示画面を有する表示手順と、
当該表示画面の前方を所定の時間間隔で撮像する撮像手順と、
前記撮像手順にて撮像された画像から所定の面積以上の人物の顔を認識する顔認識手順と、
前記顔認識手順にて認識された顔の顔画像から当該顔の特徴を抽出する特徴抽出手順と、
前記特徴抽出手順にて抽出された当該顔の特徴と、前記特徴保存手順にて予め保存された前記操作者の顔の特徴データを比較して、一致するかどうかを判定する判定手順と、
前記判定手順にて判定された結果、顔の特徴が一致しない場合に前記表示画面に表示された表示データを非表示に制御する表示制御手順とを実行させるための表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−156948(P2009−156948A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332513(P2007−332513)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】