説明

表示制御装置およびこの装置を備える印刷装置

【課題】簡易な構成でありながら画像データに対する画像処理の開始から画像処理後の画像データが表示手段に表示されるまでの時間を短縮できる技術を提供する。
【解決手段】画面表示のためにVRAMから周期的に読出された画像データが表示部に出力されると共に画像処理部に出力される(ステップS2)。したがって、画面表示のためのVRAMからの画像データの読出しとは異なるタイミングでの画像処理のためのVRAMからの画像データの読出しを行わなくともよく、従来のように画像処理部を並列処理可能に構成しなくとも、画像処理のためのVRAMからの画像データの読出しの処理時間を短縮することができるため、簡易な構成でありながら画像データに対する画像処理の開始から画像処理後の画像データが表示部に表示されるまでの時間を短縮することができる(ステップS5〜S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像メモリから読出した画像データを表示手段に表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像メモリから読出した画像データに対して所定の画像処理を施してLCDなどの表示手段に表示する表示制御装置が知られている。このような表示制御装置では、表示手段に表示するために画像メモリから画像データが読出されて当該画像データに基づく画像が表示手段に表示される一方で、所定の画像処理を施すために表示手段に表示されている画像データと同一の画像データが表示手段への表示のための画像データの読出しとは異なるタイミングで画像メモリから読出される。そして、画像処理のために読出された画像データに対する所定の画像処理が完了すれば、画像処理が施される前の画像データに基づく画像に換えて、画像処理が施された画像データに基づく画像が表示手段に表示される。このとき、例えば特許文献1に記載された技術により画像処理を高速化することで、画像データに対する画像処理の開始から画像処理後の画像データが表示手段に表示されるまでの時間を短縮することが試みられている。特許文献1に記載の技術では、画像データを複数に分割し、分割した画像データのそれぞれを並列処理することにより画像処理の高速化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−331576号公報(段落0005、図12など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像データを複数に分割し、分割した画像データのそれぞれを並列処理することにより画像処理の高速化を図るには、複数の画像データを並列に処理するために画像処理手段を複数設ける必要があり、装置構成の複雑化を招いていた。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、簡易な構成でありながら画像データに対する画像処理の開始から画像処理後の画像データが表示手段に表示されるまでの時間を短縮できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる表示制御装置は、上記目的を達成するため、画像メモリから読出した画像データに基づく画像を表示手段に表示する表示制御装置において、前記画像メモリへの画像データの書込みと、前記画像メモリからの画像データの読出しとを制御するメモリ制御手段と、前記メモリ制御手段により前記画像メモリから読出された画像データを前記表示手段に出力する画像データ出力手段と、前記メモリ制御手段により前記画像メモリから読出された画像データに所定の画像処理を施す画像処理手段とを備え、前記メモリ制御手段は、前記画像データ出力手段からの前記表示手段の画面表示に同期した画像データ読出要求に応じて前記画像メモリから画像データを周期的に読出して前記画像データ出力手段に出力すると共に前記画像処理手段に出力し、前記画像処理手段は、前記画像データ読出し要求に応じて前記メモリ制御手段により出力された画像データに前記所定の画像処理を施すことを特徴としている。
【0007】
通常、画像データに対して画像処理が行われるときは、画像処理が施される前の画像データに基づく画像が表示手段に表示されており、この表示された画像を見たユーザーの指示により、表示されている画像の画像データに対する画像処理が行われる。ところが、従来では、表示手段に表示するために画像メモリから画像データが読出されている一方で、表示手段に表示されている画像の画像データと同一の画像データが、所定の画像処理を施すために表示手段への表示のための画像データの読出しとは異なるタイミングで画像メモリから読出されている。
【0008】
上記したように構成された発明では、メモリ制御手段により、画像データ出力手段からの表示手段の画面表示に同期した画像データ読出要求に応じて画像メモリから画像データが周期的に読出されて画像データ出力手段に出力されると共に画像処理手段に出力される。そして、画像データ読出し要求に応じてメモリ制御手段により出力された画像データに所定の画像処理が画像処理手段により施される。したがって、表示手段への表示のために画像メモリから読出された画像データに画像処理手段による画像処理が施されるため、表示のための画像メモリからの画像データの読出しとは異なるタイミングでの画像処理のための画像メモリからの画像データの読出しを行わなくともよく、画像処理における画像メモリからの画像データの読出しの処理時間を短縮することができる。また、従来の並列処理のように画像処理手段を複数設けなくとも、画像処理のための画像メモリからの画像データの読出しの処理時間を短縮することにより、簡易な構成でありながら画像データに対する画像処理の開始から画像処理後の画像データに基づく画像が表示手段に表示されるまでの時間を短縮することができる。
【0009】
また、前記メモリ制御手段は、前記画像処理手段により前記所定の画像処理が施された画像データの前記画像メモリへの書込みを制御するようにしてもよい。
【0010】
このような構成とすれば、画像処理手段により所定の画像処理が施された画像データをメモリ制御手段により画像メモリへ書込むことができるため実用的である。
【0011】
また、この発明にかかる印刷装置は、上記目的を達成するため、請求項1または2に記載の表示制御装置と、前記表示制御装置により表示が制御される表示手段とを備えることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の印刷装置の一実施形態であるフォトプリンターを示す斜視図。
【図2】フォトプリンターの要部拡大図。
【図3】コントローラーの構成の一例を示すブロック図。
【図4】画面表示処理の一例を示すフローチャート。
【図5】画像処理タイミングの一例を示す図。
【図6】画像処理タイミングの他の例を示す図。
【図7】画像処理タイミングの他の例を示す図。
【図8】画像処理タイミングの他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の印刷装置の一実施形態であるフォトプリンター10を示す斜視図である。また、図2はフォトプリンター10の内部構成の概略を示す図である。このフォトプリンター10では、プリンター本体12の内部にはプリント機構50(図2参照)が内蔵されており、フォトプリンター10の全体の制御を司るコントローラー70(図2参照)からの動作指令に応じて用紙Pへの印刷を実行する。そして、こうして印刷された用紙がプリンター本体12の前面に排紙される。
【0014】
このプリンター本体12の前面には、図1に示すように、前面扉14が開閉自在に取り付けられている。この前面扉14はプリンター本体12の前面を開閉するための蓋である。そして、開状態のときには、プリント機構50から排紙される用紙Pを受けるための排紙トレイとして機能する。また、プリンター本体12の前面に設けられた各種のメモリーカードスロット16をユーザーが利用可能な状態となる。つまり、この状態でユーザーは印刷対象となる画像ファイルを記憶したメモリーカードMをメモリーカードスロット16に差し込むことができる。画像ファイルデータを記憶する外部記憶媒体としてはメモリーカードに限定されず、USBメモリーやディスク媒体など他のものであってもよい。また、画像を記憶したデジタルカメラや携帯電話などの電子機器を本フォトプリンター10にケーブルや赤外線を利用した通信によって接続し外部記憶媒体として機能させてもよい。
【0015】
また、メモリーカードスロット16の側方には、赤外線リモコン18から送信される操作信号としての赤外線を受光して、受光した赤外線を操作信号として後述するリモコン信号受信部771に出力する受光センサー17が設けられている(図3参照)。なお、受光センサー17の近傍には、上記したように、デジタルカメラや携帯電話などの電子機器との赤外線を利用した通信を可能とする、例えばIrDA規格の受光センサーが設けられている。
【0016】
また、プリンター本体12の上面には操作パネル20が設けられる一方、プリンター本体12の上面の奥の一辺に対してカバー30が開閉自在に取り付けられている。このカバー30は、プリンター本体12の上面を覆うことのできる大きさに成形された樹脂板であり、開状態では操作パネル20の表面を外部に露出する(図1参照)。一方、カバー30が閉状態に閉じられると、操作パネル20全体を覆う。
【0017】
この操作パネル20には、文字や図形、記号などを表示する例えばLCDディスプレイにより構成された表示部(本発明の「表示手段」に相当)22と、この表示部22の周囲に配置されたボタン群24とを備えている。ボタン群24は、図2に示すように、電源のオンオフを行うための電源ボタン24a、メインメニュー画面を呼び出すためのメニューボタン24b、操作を途中でキャンセルしたり用紙Pへの印刷を途中で中断したりするためのキャンセルボタン24c、用紙Pへの印刷実行を指示するための印刷ボタン24d、メモリーカードスロット16に挿入されたメモリーカードMに編集画像などを保存するための保存ボタン24e、表示部22に表示された複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択したりカーソルを移動したりするときに操作される上下左右の各矢印ボタン24f〜24i、この上下左右の各矢印ボタン24f〜24iの中央に配置され各矢印ボタン24f〜24iによって選択されている選択肢に決定したことを指示するためのOKボタン24j、表示部22での画面表示を切り替えるための表示切替ボタン24k、表示部22に表示される左ガイドを選択する左ガイド選択ボタン24l、表示部22に表示される右ガイドを選択する右ガイド選択ボタン24m、排紙トレイとしての機能を備えた前面扉14を開く排紙トレイオープンボタン24nなどで構成されている。
【0018】
また、表示部22の表示内容を確認するために、カバー30には表示部22と同じ大きさの窓32が設けられている。つまり、カバー30が閉状態にあるときにはユーザーはこの窓32を介して表示部22の表示内容を確認することができる。一方、カバー30は開状態のときには、表示部22を図1に示すように好みの角度に調整することが可能となっている。
【0019】
このようにカバー30を開状態としたときには、操作パネル20に対して斜め後方に傾斜した状態でカバー30は保持され、用紙Pをプリント機構50へ供給するためのトレイとして利用可能となっている。また、操作パネル20の奥には、プリント機構50の給紙口58が設けられるとともに、ガイド幅が用紙の幅に合うように左右方向にスライド操作される一対の用紙ガイド59が設けられている。
【0020】
そして、給紙口58を介して用紙Pがプリント機構50に送り込まれて印刷が実行される。このプリント機構50には、図2に示すように、キャリッジ53が左右方向にループ状に架け渡されたタイミングベルト51により駆動されガイド52に沿って左右に往復動する。このキャリッジ53には、紙端検出センサー57が設けられ、用紙Pの左右端や上下端を検出する。つまり、紙端検出センサー57は、給紙口58にセットされた用紙に対して印刷前にキャリッジ53が左右方向に走査したときにその用紙の左右端を検出して用紙幅の認識を可能にしたり、印刷途中で用紙の後端を検出して用紙長さの認識を可能にしたりする。
【0021】
また、このキャリッジ53には、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックなどの各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ54が搭載されている。これらのインクカートリッジ54はそれぞれ印刷ヘッド55に接続されている。そして、印刷ヘッド55はインクカートリッジ54からのインクに圧力をかけてノズル(図示省略)から用紙Pに向かってインクを吐出する。この実施形態では、印刷ヘッド55は圧電素子に電圧をかけることにより該圧電素子を変形させてインクを加圧する方式を採用しているが、発熱抵抗体(例えばヒーターなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。こうして印刷された用紙Pは搬送ローラー56によって開状態の前面扉(排紙トレイ)14へ送り出される。
【0022】
また、図示を省略しているものの、プリンター本体12の背面にはバッテリーパックを装着可能となっており、商用電源に接続しなくとも本プリンター10をバッテリーにより動作させることが可能となっている。この点および本プリンター10がホストコンピューターに接続しなくても使用することができるスタンドアロンプリンターとなっている点により、本プリンター10は持ち運び容易でどこでも使用できるようになっている。
【0023】
図3はコントローラー70の構成の一例を示すブロック図である。コントローラー70は、図3に示すように、CPU71を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種プログラムや各種テーブルなどを記憶したROM72、一時的にデータを記憶するRAM73、プリント機構50やメモリーカードスロット16などとの通信を可能とするインターフェース(I/F)74、後述するLCDコントローラー76を介して表示部22に表示される画像の画像データを格納する書換自在のVRAM(本発明の「画像メモリ」に相当)766などを備えている。また、コントローラー70は、メモリーカードMに編集画像などを保存するほか、プリント機構50の印刷ヘッド55への制御信号や操作パネルの表示部22への制御信号を出力する。
【0024】
また、コントローラー70には、インターフェース74を通してメモリーカードMなどの外部記憶媒体から与えられる画像データに基づく画像を表示部22に表示するために、画像データに対し必要な画像処理を行うための画像処理モジュール75が設けられている。画像処理モジュール75はまた、表示部22に表示させるためのメニュー画面などのプリンター固有の画像に対応する画像データや、アイコンなど、表示部22に表示されるベース画像の一部と置換されて挿入される部分画像に対応する部分書込データを生成する機能を有している。
【0025】
画像処理モジュール75から出力されるRGB画像データは、表示部22を表示制御するためのLCDコントローラー76に与えられる。なお、以下では、LCDディスプレイにより構成される表示部22の画素数はWVGA(Wide Video Graphics Array)形式の800ドット×480ドットであり、800ドット分の画素データにより画像データの1ラインが構成されており、480ラインのラインデータにより一の画像が構成される。したがって、画像処理モジュール75から、800ドット×480ドットの大きさの表示部22の一画面に相当する画像のRGB画像データなどがLCDコントローラー76に入力されることとなる。なお、各画素の画像データの色解像度は、各色8ビット、合計24ビット(3バイト)のデータサイズで、フルカラー表示可能に構成される。
【0026】
LCDコントローラー(本発明の「表示制御装置」に相当)76は、VRAM766から読出した画像データに基づく画像を表示部22に表示するものであり、同期信号発生部769を備え、表示部22への画像の表示タイミングを制御するための水平・垂直同期信号など、種々の同期信号を発生可能に構成されている。また、画像処理モジュール75から入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換して画像データを入力する入力データ変換部761と、入力データ変換部761によりパラレルデータに変換された画像データの1ライン分のデータを一時的に保持可能なバッファ762とを備えている。そして、入力データ変換部761により入力されてバッファ762に一時的に保持された画像データがVRAM766に書込まれる。
【0027】
また、LCDコントローラー76は、表示部22への画面表示の水平・垂直同期信号に同期してVRAM766から周期的に読出された画像データを表示部22へ出力するためのデータ変換を行い、表示部22に出力する出力データ変換部(本発明の「画像データ出力手段」に相当)768を備えている。したがって、VRAM766に格納された画像データは出力データ変換部768を介して表示部22に出力されて表示される。なお、後述するように出力データ変換部768からの表示部22の画面表示に同期した画像データ読出要求に応じてRAM制御部765によりVRAM766から周期的に読出された画像データはバッファ767に一時的に保持された後、表示部22へ出力するためのデータ変換が行われた上で、表示部22に出力されるように構成されている。
【0028】
また、VRAM766には、入力データ変換部761により入力された480ライン分(一の画像分)の画像データを、複数個格納可能な領域が設けられている。そして、VRAM766に格納された複数の画像データのうち、必要な画像データがRAM制御部765により選択的に読出される。
【0029】
また、LCDコントローラー76は、入力データ変換部761からの画像データ書込要求信号と、出力データ変換部768からの画像データ読出要求信号とに応じて、VRAM766への画像データの書込みと、VRAM766からの画像データの読出しとを制御するRAM制御部(本発明の「メモリ制御手段」に相当)765を備えている。RAM制御部765は、出力データ変換部768からの表示部22に同期した画像データ読出要求に応じてVRAM766から画像データを周期的に読出して出力データ変換部768に出力すると共に後述する画像処理部772に出力する。
【0030】
また、LCDコントローラー76は、RAM制御部765によりVRAM766から読出された画像データに所定の画像処理を施す画像処理部(本発明の「画像処理手段」に相当)772を備えている。画像処理部772は、所定の画像処理として、
a)一の画像データと他の画像データとを入換える処理、
b)一の画像データを全面黒色の画像データとする処理、
c)全面黒色の画像データを一の画像データとする処理、
d)一の画像データと他の画像データとを合成する処理、
などを実行する。本実施形態では、画像処理部772は、出力データ変換部768からの画像データ読出し要求に応じてRAM制御部765により出力された画像データに所定の画像処理を実行する。また、画像処理部772により所定の画像処理が施された画像データは、RAM制御部765によりVRAM766に書込まれる。
【0031】
なお、これらの画像処理は、後述する切換部773からの切換信号により選択的に実行される。また、画像処理部772が実行する画像処理としては上記した例に限られず、LCDコントローラー76が搭載される装置の使用目的などに応じて種々の画像処理を実行するように画像処理部772を構成すればよい。
【0032】
また、LCDコントローラー76は、ユーザーによるボタン群24の操作に基づいてCPU71から出力される制御信号および後述する通信部770から出力される制御信号(操作信号)に基づいて、画像処理部772で実行される画像処理の種類を切換えるように画像処理部772を制御したり、画像処理部772で画像処理が施された画像データをVRAM766の所定の格納領域に書込むようにRAM制御部765を制御したりする切換信号を出力する切換部773を備えている。
【0033】
また、LCDコントローラー76は、赤外線リモコン18から赤外線により送信されて、受光センサー17により受光されて操作信号として出力される操作信号を受信するリモコン信号受信部771と、リモコン信号受信部771により受信された操作信号をCPU71および切換部773に対して出力する通信部770とを備えている。リモコン信号受信部771は操作信号を受信すれば、受信した操作信号をデコードすることにより、受信した操作信号が適正な操作信号であるかどうかを判定する。そして、リモコン信号受信部771は、受信した操作信号が適正なものであれば、受信した操作信号を通信部770に出力する。通信部770は、リモコン信号受信部771から入力された操作信号を、操作信号が含むフォトプリンター10に対する制御指令に応じてCPU71または切換部773に出力する。CPU71は、通信部770から出力された操作信号に基づいてフォトプリンター10の各部の制御を行う。また、切換部773は、通信部770から出力された操作信号に応じて、画像データに対して所定の画像処理を施して表示部22に表示するように、RAM制御部765および画像処理部772を制御するための切換信号を出力する。なお、通信部770は、後述するようにCPU71が休止状態のときにリモコン信号受信部771から操作信号が入力されれば、入力された操作信号に応じて休止状態のCPU71を起動する起動信号を出力する。
【0034】
また、CPU71は、予め定められた所定の休止条件が成立、例えば所定時間、ユーザーによるフォトプリンター10のボタン群24の入力操作やフォトプリンター10の印刷動作などが行われなければ休止状態に移行するように構成されている。そして、CPU71は、通信部770による起動信号により休止状態から起動し起動状態になれば、リモコン信号受信部771により受信されて通信部770を介して入力された操作信号に基づく処理を実行する。なお、上記した休止条件としての所定時間は、例えば5分間に設定することができ、このように設定すれば、5分間、フォトプリンター10において何らかの処理が行われなければCPU71は休止状態に移行する。また所定時間としては5分間に限られるものではなく、装置構成やフォトプリンター10の使用目的に応じて任意に設定することができる。
【0035】
また、LCDコントローラー76は、CPU71が休止状態のときはVRAM766に格納された画像データに基づく画像を表示部22に表示する。そして、LCDコントローラー76は、CPU71が起動状態のときは、リモコン信号受信部771により受信された操作信号に応じた処理を行うCPU71を介して画像処理モジュール75から画像データが入力されれば、入力された画像データに基づく画像を表示部22に表示するように構成されている。
【0036】
また、LCDコントローラー76は、CPU71が休止状態のときに、ユーザーにより赤外線リモコン18が操作されることにより、表示部22に表示されている画像に対して画像処理を行う、すなわち、VRAM766に格納された画像データに対して画像処理を行うことを指示する操作信号をリモコン信号受信部771が受信すれば、通信部770および切換部773を介してRAM制御部765および画像処理部772を制御することにより、CPU71を起動せずとも、表示部22に表示されている画像データに対して所定の画像処理を行うことができるように構成されている。
【0037】
なお、LCDコントローラー76は集積回路(ASIC)として、リモコン信号受信部771、通信部770、画像処理部772、切換部773と共に一体的に構成されている。また、LCDコントローラー76は、それぞれメモリーなどにより構成された、書込ラインカウンタ(図示省略)と、読出ラインカウンタ(図示省略)と、書込画素カウンタ(図示省略)と、読出画素カウンタ(図示省略)とを備えている。この読出画素カウンタの値は、VRAM766からの1画素分の画像データの読出しタイミングを規定するために同期信号発生部769が発生するクロックに基づいて加算される。また、書込画素カウンタの値は、VRAM766からの1画素分の画像データの書込みタイミングを規定するために同期信号発生部769が発生するクロックに基づいて加算される。また、読出画素カウンタは水平同期信号の出力時に”0”にリセットされ、同期信号発生部769が発生する1画素分の画像データの読出しタイミングを規定するクロックの度に加算されるように構成されている。したがって、水平同期信号が出力されるともに読出画素カウンタの”0”からの加算が開始される。次に、リモコン信号待受処理の一例について説明する。
【0038】
CPU71は、上記したように、予め定められた所定の休止条件が成立すれば休止状態に移行し、フォトプリンター10は、ユーザーの赤外線リモコン18の操作により出力される操作信号(リモコン信号)の待受状態となる。そして、赤外線リモコン18から出力された操作信号が受光センサー17を介してリモコン信号受信部771により受信されるまで待機する。
【0039】
続いて、リモコン信号受信部771により操作信号が受信されれば、リモコン信号受信部771により受信された操作信号がデコードされる。そして、リモコン信号受信部771においてデコードされた操作信号が、適正な操作信号であるかどうかが判定されて、デコードされた操作信号が適正な操作信号であれば、リモコン信号受信部771は受信した操作信号を通信部770に出力する。そして、通信部770は、リモコン信号受信部771から入力された操作信号に応じてCPU71を起動する起動信号をCPU71に出力するか、または、切換部773に操作信号を出力して処理を終了する。次に、図4および図5を参照して、画面表示処理の一例について説明する。
【0040】
図4は画面表示処理の一例を示すフローチャートである。また、図5は画像処理が行われるときの、VRAM766から画像データが読出されるタイミングおよびVRAM766へ画像処理された画像データが書込まれるタイミングの一例を示す図である。図4に示す画面表示処理は、同期信号発生部769により、例えば1/60秒ごとに垂直同期信号が出力される度に実行される処理である。図4に示すように、ユーザーにより表示部22に表示されている画像データに対する画像処理が指示され、通信部770を介してCPU71またはリモコン信号受信部771から切換部773に画像処理を指示する制御信号(操作信号)が出力されて、切換部773から画像処理を指示する切換信号がRAM制御部765および画像処理部772に出力されているかどうかが判定される(ステップS1)。ステップS1においてNOと判定されれば、VRAM766から周期的に画像データが読出されて、読出された画像データに基づく画像が表示部22に表示されて処理を終了する(ステップS3,S4)。
【0041】
一方、ステップS1においてYESと判定されれば、RAM制御部765によりVRAM766から画像データが読出されて(ステップS2)、読出された画像データが表示部22に出力されて表示されると共に(ステップS5)、これに並行して画像処理部772に出力されて画像処理が施される(ステップS6)。そして、ステップS6において画像処理が施された画像データがRAM制御部765によりVRAM766に書込まれて処理を終了する(ステップS7)。
【0042】
このとき、図5に示すように、VRAM766からの1画素分の画像データの読出しタイミングを規定するために同期信号発生部769により生成されるクロック(図5の上向細矢印参照)ごとに、画素データがVRAM766からRAM制御部765により読出されて、読出された画素データが画像処理部772により画像処理を施される。画像処理が施された画素データは、次のクロックが同期信号発生部769により生成される前に、VRAM766の格納領域のうち、表示のための画像データが格納されている領域、すなわち、読出された画素データが格納されている領域とは異なる領域にRAM制御部765により格納される(図5の太矢印参照)。そして、画像データに対する画像処理が完了すれば、RAM制御部765が、VRAM766からの画像データの読出しを、画像処理を施す前の画像データの読出しから画像処理が施された画像データの読出しに切換えることにより、画像処理が施された画像データに基づく画像が表示部22に表示される。なお、同図中の大文字の”R”はVRAM766から読出される画素データを示し、同図中の大文字の”W”はVRAM766へ書込まれる画素データを示している。次に画像処理タイミングの他の例について図6ないし図8を参照して説明する。
【0043】
図6は画像処理が行われるときの、VRAM766から画像データが読出されるタイミングおよびVRAM766へ画像処理された画像データが書込まれるタイミングの他の例を示す図である。図6に示す画像データの読出しおよび書込みのタイミングが図5に示すタイミングと異なる点は、画像データのVRAM766への書込み速度が速い点であり、その他の構成および動作は図5に示すものと同一であるため、その構成および動作の説明は省略する。
【0044】
図7は画像処理が行われるときの、VRAM766から画像データが読出されるタイミングおよびVRAM766へ画像処理された画像データが書込まれるタイミングの他の例を示す図である。図7に示す画像データの読出しおよび書込みのタイミングが図5に示すタイミングと異なる点は、VRAM766から、表示部22に表示される画像データ(大文字の”R”参照)および表示用の画像データに合成される画像データ(小文字の”r”参照)の2つの画像データが読出されて合成されて、合成された画像データがVRAM766に書込まれている点である。その他の構成および動作は図5に示すものと同一であるため、その構成および動作の説明は省略する。
【0045】
図8は画像処理が行われるときの、VRAM766から画像データが読出されるタイミングおよびVRAM766へ画像処理された画像データが書込まれるタイミングの他の例を示す図である。図8に示す画像データの読出しおよび書込みのタイミングが図5に示すタイミングと異なる点は、VRAM766から、表示部22に表示される画像データ(大文字の”R”参照)および表示用の画像データに合成される画像データ(小文字の”r”参照)の2つの画像データが読出されて合成されて、合成された画像データがVRAM766に書込まれている点である。また、図8に示す画像データの読出しおよび書込みのタイミングが図7に示すタイミングと異なる点は、同期信号発生部769により垂直同期信号が出力されることによる1回目の画像データの読出しのときに奇数番目の画素データの合成が行われ(図8(a)参照)、2回目の画像データの読出しのときに偶数番目の画素データの合成が行われる点である(図8(b)参照)。その他の構成および動作は図5に示すものと同一であるため、その構成および動作の説明は省略する。なお、図5ないし図8を参照して、VRAM766から画像データが読出されるタイミングおよびVRAM766へ画像処理された画像データが書込まれるタイミングの例について説明したが、画像データの読出しおよび書込みのタイミングについてはこれらの例に限られず、装置構成に応じて適宜変更することができる。
【0046】
以上のように、この実施形態では、RAM制御部765により、出力データ変換部768からの表示部22の画面表示に同期した画像データ読出要求に応じてVRAM766から画像データが周期的に読出されて出力データ変換部768に出力されると共に画像処理部772に出力される。そして、画像データ読出し要求に応じてRAM制御部765により出力された画像データに所定の画像処理が画像処理部772により施される。したがって、表示部22への表示のためにVRAM766から読出された画像データに画像処理部772による画像処理が施されるため、表示のためのVRAM766からの画像データの読出しとは異なるタイミングでの画像処理のためのVRAM766からの画像データの読出しを行わなくともよく、画像処理におけるVRAM766からの画像データの読出しの処理時間を短縮することができる。また、従来のように画像処理部772を並列処理可能に構成しなくとも、画像処理のためのVRAM766からの画像データの読出しの処理時間を短縮することにより、簡易な構成でありながら画像データに対する画像処理の開始から画像処理後の画像データが表示部22に表示されるまでの時間を短縮することができる。
【0047】
また、画像処理部772により所定の画像処理が施された画像データをRAM制御部765によりVRAM766へ書込むことができるため実用的である。
【0048】
また、予め定められた所定の休止条件が成立、例えば所定時間、ユーザーによるフォトプリンター10のボタン群24に対する入力操作やフォトプリンター10の印刷動作などが行われなければCPU71は休止状態に移行する。そして、赤外線リモコン18から送信される操作信号がリモコン信号受信部771により受信されれば、通信部770により起動信号が出力されて休止状態のCPU71が起動され、リモコン信号受信部771により受信された操作信号に基づく処理がCPU71により実行される。したがって、予め定められた所定の休止条件が成立した後、ユーザーのリモコン操作による操作信号がリモコン信号受信部771により受信されるまで、すなわち、ユーザーによるリモコン操作を待受けるときは、CPU71が休止状態となることによりCPU71で消費される電力が抑制されるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0049】
また、CPU71が休止状態のときはVRAM766に格納された画像データに基づく画像がLCDコントローラー76により表示部22に表示されるため、例えば、ユーザーによるリモコン操作を待受けるときに、CPU71は休止状態として消費電力を抑制しつつ、リモコン操作の待受け画像を表示部22に表示できるため実用的である。そして、CPU71が起動状態のときは、赤外線リモコン18の操作信号に応じた処理を行うCPU71を介して画像データがLCDコントローラー76に入力されれば、入力された当該画像データに基づく画像をLCDコントローラー76により表示部22に表示することができる。
【0050】
また、リモコン信号受信部771、通信部770、画像処理部772、切換部773がLCDコントローラー76と一体的に集積回路(ASIC)として形成されているため、この一体的に形成された集積回路のみに通電可能な回路を形成することで、CPU71のみを休止状態とする回路を容易に実現できる。また、リモコン信号受信部771、通信部770、画像処理部772、切換部773を、LCDコントローラー76と一体的に集積回路(ASIC)として形成することで、コントローラー70を構成する回路の配線の簡易化を図ることができる。
【0051】
また、CPU71が休止状態のときに、VRAM766に格納された画像データに基づく画像処理を行えるように構成されているため、CPU71は休止状態として消費電力を抑制しつつ、表示部22に表示される画像データに画像処理を施すことができるためより一層の省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、VRAM766をLCDコントローラー76と一体的に構成してもよい。また、赤外線リモコン18を例に挙げて説明したが、リモコンとしてはこれに限られず、無線方式のリモコンなど、種々のリモコンを採用することができる。このような構成としても、上記した効果と同様の効果を奏することができる。また、CPU71を休止状態とするための休止条件としては上記した条件に限られず、印刷装置の使用態様に応じて、種々の休止条件を設定することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、インクカートリッジ方式のフォトプリンター10を例として説明したが、その他のインクジェット式プリンター、レーザープリンターなどの印刷装置にも本発明を適用してもよい。すなわち、画像メモリから読出した画像データに基づく画像を表示手段に表示する表示制御装置を備える印刷装置において本発明を適用することができる。また、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイといった画面表示装置に画像を表示する技術に本発明を広く適用できる。また、フォトビューワー、デジタルスチルカメラ、プロジェクター、携帯電話の写真表示、パーソナルコンピューターなどの画像を表示可能な装置に本発明を広く適用できる。
【符号の説明】
【0054】
10…フォトプリンター(印刷装置)、22…表示部(表示手段)、76…LCDコントローラー(表示制御装置)、765…RAM制御部(メモリ制御手段)、766…VRAM(画像メモリ)、768…出力データ変換部(画像データ出力手段)、772…画像処理部(画像処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像メモリから読出した画像データに基づく画像を表示手段に表示する表示制御装置において、
前記画像メモリへの画像データの書込みと、前記画像メモリからの画像データの読出しとを制御するメモリ制御手段と、
前記メモリ制御手段により前記画像メモリから読出された画像データを前記表示手段に出力する画像データ出力手段と、
前記メモリ制御手段により前記画像メモリから読出された画像データに所定の画像処理を施す画像処理手段とを備え、
前記メモリ制御手段は、
前記画像データ出力手段からの前記表示手段の画面表示に同期した画像データ読出要求に応じて前記画像メモリから画像データを周期的に読出して前記画像データ出力手段に出力すると共に前記画像処理手段に出力し、
前記画像処理手段は、
前記画像データ読出し要求に応じて前記メモリ制御手段により出力された画像データに前記所定の画像処理を施す
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記メモリ制御手段は、前記画像処理手段により前記所定の画像処理が施された画像データの前記画像メモリへの書込みを制御する請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示制御装置と、
前記表示制御装置により表示が制御される表示手段と
を備える印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−226381(P2010−226381A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70842(P2009−70842)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】