説明

表示制御装置および表示制御方法

【課題】ユーザーの負担を低減し、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の変化を見つけやすくすることができ、ひいては、ユーザーの利便性を向上することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明の表示制御装置は、撮影位置が互いに異なる複数の断層画像を入力する入力手段と、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分を表す差分画像を取得する取得手段と、断層画像と差分画像を表示部に表示する表示制御手段と、を有し、前記表示制御手段は、第1の断層画像、前記第1の断層画像と前記第1の断層画像の撮影位置に隣接する撮影位置の断像画像である第2の断層画像との間の画素値の差分を表す差分画像、及び、前記第2の断層画像を、その順番で切り替えて前記表示部の画面上の同じ位置に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置および表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医用画像診断モニターの高精細化に伴い、医用画像の読影現場では画像ビューアを用いたモニター診断が主流となりつつある。また、モダリティ(CT、MRI、PET、SPECTなど)の性能向上により、被検体からスライス間隔が0.5mm以下の断層画像群を撮影することが可能となってきた。従来、これらの断層画像群を読影医がモニター診断する際、或る撮影位置の断像画像から他の撮影位置の断層画像まで断層画像を順に表示するページング読影が一般的であった。
また、上述した画像ビューアには読影医の診断を支援する種々の機能が付加されているものがある。特許文献1には、被検体の同一部位を撮影した過去の画像と現在の画像、および過去の画像と現在の画像の間の差分画像を、1つの画面上に並べて表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−155746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のページング読影では、スライス間隔が狭い断層画像群から病変が探される。このとき、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の変化は小さいため、小さな病変を探すことは困難であり、ユーザーの負担が大きくなってしまう。
また、撮影位置が互いに隣接する断層画像と、それらの断層画像間の差分画像とを同一画面上に並べて表示することで診断を支援する場合には、ユーザーの視線の移動量が大きくなってしまい、ユーザーの負担が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、ユーザーの負担を低減し、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の変化を見つけやすくすることができ、ひいては、ユーザーの利便性を向上することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示制御装置は、撮影位置が互いに異なる複数の断層画像を入力する入力手段と、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分を表す差分画像を取得する取得手段と、断層画像と差分画像を表示部に表示する表示制御手段と、を有し、前記表示制御手段は、第1の断層画像、前記第1の断層画像と前記第1の断層画像の撮影位置に隣接する撮影位置の断像画像である第2の断層画像との間の画素値の差分を表す差分画像、及び、前記第2の断層画像を、その順番で切り替えて前記表示部の画面上の同じ位置に表示する。
【0007】
本発明の表示制御方法は、表示制御装置により実行される表示制御方法であって、撮影位置が互いに異なる複数の断層画像を入力する入力ステップと、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分を表す差分画像を取得する取得ステップと、断層画像と差分画像を表示部に表示する表示制御ステップと、を有し、前記表示制御ステップでは、第1の断層画像、前記第1の断層画像と前記第1の断層画像の撮影位置に隣接する撮影位置の断像画像である第2の断層画像との間の画素値の差分を表す差分画像、及び、前記第2の
断層画像を、その順番で切り替えて前記表示部の画面上の同じ位置に表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーの負担を低減し、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の変化を見つけやすくすることができ、ひいては、ユーザーの利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に係る読影端末の構成の一例を示すブロック図。
【図2】実施例1〜6に係るシステムの一例を示す模式図。
【図3】実施例1〜6に係るモダリティの構成の一例を示すブロック図。
【図4】実施例1に係る差分画像の生成方法の一例を示す模式図。
【図5】実施例1に係るページング読影時のモニター表示の一例を示す模式図。
【図6】実施例1に係る読影端末の動作の一例を示すフローチャート。
【図7】実施例2に係る読影端末の構成の一例を示すブロック図。
【図8】実施例2に係るCT値と画素値の対応関係の一例を示す図。
【図9】実施例2に係るDICOM規格の画像データ構成の一例を示す模式図。
【図10】実施例2に係る画素値制限画像が生成される様子の一例を示す模式図。
【図11】実施例2に係る読影端末の動作の一例を示すフローチャート。
【図12】実施例3に係る読影端末の構成の一例を示すブロック図。
【図13】実施例3に係るページング読影時のモニター表示の一例を示す模式図。
【図14】実施例3に係る読影端末の動作の一例を示すフローチャート。
【図15】実施例4に係る読影端末の構成の一例を示すブロック図。
【図16】実施例5に係るページング読影時のモニター表示の一例を示す模式図。
【図17】実施例6に係る読影端末の構成の一例を示すブロック図。
【図18】実施例6に係るページング読影時のモニター表示の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1に係る表示制御装置および該表示制御装置により実行される表示制御方法について、図面を参照して説明する。
実施例1では、読影端末(表示制御装置)が、医用断層画像間の差分画像を取得し、医用断層画像と差分画像を表示部(表示装置)に表示する場合について説明する。
【0011】
図1は実施例1に係る読影端末の構成を示すブロック図である。図1に示すように、読影端末100は、画像受信部102、差分画像生成部103、画像保存部104、表示部105、表示制御部106、ユーザーインタフェース107などを備え、LAN(Local Area Network)101に接続されている。
【0012】
図2は実施例1に係る医用断層画像を機器間伝送するコンピューターネットワークシステムを示す模式図である。図2に示すように、モダリティ200、画像管理サーバー201、読影端末100は、LAN(Local Area Network)101を介して互いに接続されている。モダリティ200は、X線CT、MRI、PET、SPECTなどの医用断層画像を撮影、生成できる装置である。画像管理サーバー201は、画像を記憶(保管)するサーバー(記憶装置)である。
【0013】
図3は実施例1に係るモダリティの構成を示すブロック図である。図3に示すように、モダリティ200は、断層画像撮像部300、断層画像生成部302、画像送信部303などを備え、LAN(Local Area Network)101に接続されている。
【0014】
図2,3を用いて、モダリティ200の各機能について説明する。
断層画像撮像部300は、被検体301の断層画像を撮影する。本実施例では、第1の位置から第2の位置まで撮影位置を変化させながら複数の断層画像が撮影されるものとする。
断層画像生成部302は、断層画像撮像部300で撮影された断層画像のデータフォーマットを医用画像フォーマットに変換する。
画像送信部303は、モダリティ200の操作者の要求により、断層画像生成部302で生成した断層画像(データフォーマットが医用画像フォーマットの断層画像)を、LAN101経由で画像管理サーバー201に送信して保管する。また、画像送信部303は、ユーザー(読影端末100の操作者)からの要求により、断層画像生成部302で生成した断層画像を、LAN101経由で読影端末100に送信する。
【0015】
図1を用いて、読影端末100の各機能について説明する。
画像受信部102は、撮影位置が互いに異なる複数の断層画像を入力する(入力手段)。具体的には、画像受信部102は、ユーザーからの要求により、LAN101を介して、モダリティ200あるいは画像管理サーバー201から複数の断層画像を受信する。入力(受信)する断層画像は、例えば、上述した第1の位置から第2の位置まで撮影位置を変化させながら撮影された複数の断層画像の全部又は一部である。画像受信部102は、受信した複数の断層画像を差分画像生成部103と画像保存部104へ送る。
【0016】
差分画像生成部103は、画像受信部102から受け取った複数の断層画像から、撮影位置が互いに隣接する断層画像間(断層画像n−1と断層画像nの間)の画素値の差分を表す差分画像を生成(取得)し、画像保存部104へ送る(取得手段)。ここで、nは撮影位置を表し、受信した複数の断層画像の撮影位置の一端で1となり、該一端の撮影位置から離れるにつれて1ずつ大きくなるものとする。即ち、nは2以上の自然数であり、断層画像nは断層画像n−1の撮影位置に隣接する撮影位置の断像画像である。差分画像の生成方法としては、例えば、画素毎に、一方の画像の画素値から、他方の画像の同じ画素位置の画素値を減算し、2画像間で画素値に差がある領域を抽出する方法を用いることができる。図4に、差分画像が生成される様子の一例を模式的に示す。
【0017】
画像保存部104は、画像受信部102で受信された断層画像と、差分画像生成部103で生成された差分画像とを受け取って保存(記憶)する。画像保存部104としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどを適用できる。
【0018】
表示制御部106は、断層画像と差分画像を表示部に表示する(表示制御手段)。具体的には、表示制御部106は、図5に示すように、断層画像n−1(第1の断層画像)、断層画像n−1と断層画像n(第2の断層画像)との間の画素値の差分を表す差分画像、及び、断層画像nを、その順番で切り替えて表示部の画面上の同じ位置に表示する。
なお、本実施例では、表示制御部106は、ユーザーがユーザーインタフェース107を用いて画像送り操作を行う度に(ユーザーから指示がある度に)、表示する画像を切り替えるものとする。
【0019】
ユーザーインタフェース107は、マウス、キーボード、タッチパネルなどの入力装置である。
表示部105は、電子放出素子を有する表示装置、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置である。なお、表示部105は読影端末100の一部であってもよいし、読影端末100とは別体の装置であってもよい。
【0020】
図6のフローチャートを用いて読影端末100の動作について説明する。
まず、S601で、読影端末100を操作するユーザーからの要求により、LAN101を介して、モダリティ200あるいは画像管理サーバー201からm枚(mは2以上の自然数)の断層画像が受信される。
【0021】
次に、S602で、画像受信部102が、受信したm枚の断層画像を差分画像生成部103に送り、差分画像生成部103が、受け取ったm枚の断層画像からm−1枚の差分画像を生成する。
そして、S603で、画像保存部104が、画像受信部102が受信したm枚の断層画像と、差分画像生成部103で生成されたm−1枚の差分画像とを保存する。
次に、S604で、表示制御部106が、断層画像n−1を表示部105に表示する。
【0022】
そして、S605で、ユーザーがユーザーインタフェース107を用いて画像送り操作を行うと、S606で、表示制御部106が、表示する画像を、断層画像n−1から、断層画像n−1と断層画像nとの間の差分画像へ切り替える。それにより、差分画像が、S604で表示した断層画像と同じ位置に表示される。
次に、S607で、ユーザーがユーザーインタフェース107を用いて画像送り操作を行うと、S608で、表示制御部106が、表示する画像を、差分画像から、断層画像nへ切り替える。それにより、断層画像nが、S605で表示した差分画像と同じ位置に表示される。
【0023】
そして、S609で、ユーザーがユーザーインタフェース107を用いて画像送り操作を行うと、S610で、表示制御部106が、nがm未満であるかを判定する。nがm未満である場合は、S611で、表示制御部106がnの値に自然数の1を加算し、処理がS606に戻される。S610で、nがmに等しい場合は、本フローチャートの処理は終了される。
なお、図6のフローチャートは、ユーザーがすべての断層画像および差分画像を診断する場合の例であるが、ユーザーは途中で処理を強制終了することもできる。
【0024】
以上述べたように、本実施例によれば、第1の断層画像、第1の断層画像と第2の断層画像との間の画素値の差分を表す差分画像、及び、第2の断層画像が、その順番で切り替えられて表示部に表示される。それにより、第1の断層画像と第2の断層画像の間、即ち撮影位置が互いに隣接する断層画像間の変化を見つけやすくすることができ、ユーザーの負担を低減することができる。また、それらの画像は、表示部の画面上の同じ位置に表示されるため、ユーザーの視線の移動量を低減することができ、ユーザーの負担を低減することができる。ひいては、ユーザーの利便性を向上することができる。
なお、本実施例では、ユーザーから指示がある度に表示する画像を切り替えるものとしたが、そのような構成でなくてもよい。例えば、1度ユーザーから指示があると全て(又は複数枚)の断層画像と差分画像を切り替えて表示する構成であってもよい。
なお、本実施例では、読影端末100が受信したすべての断層画像から直ちに差分画像を生成するものとしたが、ユーザーが画像送り操作を行ったことをトリガとして差分画像を生成してもよい。
なお、本実施例では、読影端末100が差分画像を生成するものとしたが、モダリティ200あるいは画像管理サーバー201が差分画像を生成してもよい。その場合には、読影端末100は、モダリティ200あるいは画像管理サーバー201から差分画像を取得すればよい。
なお、本実施例では、表示する画像を断層画像n−1から断層画像nに切り替えてページング読影する場合の例を示したが、表示する画像を断層画像nから断層画像n−1に切り替える場合にも、同様の制御を行える。
なお、本実施例では、断層画像が医用断層画像である場合について説明したが、断層画像はこれに限らない。断層画像は、物体の断層の画像であればその用途はどのような用途
であってもよい。例えば、断層画像は、製品の不良を検出するために撮影されたものであってもよい。
【0025】
<実施例2>
以下、本発明の実施例2に係る表示制御装置および表示制御方法について、図面を参照して説明する。
実施例2では、実施例1と差分画像の生成に用いる画像が異なる。なお、以下では、実施例1と異なる点についてのみ説明し、実施例1と同じ点については説明を省略する。
【0026】
図7は、実施例2に係る読影端末の構成を示すブロック図である。図7に示すように、読影端末700は、実施例1(図1)の構成に加え、CT値制限部701を更に有する。
【0027】
図2,3を用いて、モダリティ200の各機能について説明する。本実施例では、モダリティ200はX線CTである。
断層画像撮像部300(X線CT画像撮像部)は、被検体301にX線を曝射し、X線の吸収値つまりCT値(HU)を取得する。
断層画像生成部302(X線CT画像生成部)は、X線CT画像撮像部300で取得されたCT値(HU)を画素値(グレースケールの画素値)に変換して断層画像(X線CT画像)を生成する(CT画像化)。図8は、CT値と画素値(色)の対応関係の一例を示す。さらに、断層画像生成部302は、X線CT画像のデータフォーマットを医用画像フォーマットに変換する。医用画像フォーマットのデータの例については、後で詳しく説明する。
画像送信部303は、モダリティ200の操作者の要求により、断層画像生成部302で生成したX線CT画像(データフォーマットが医用画像フォーマットの断層画像)を、LAN101経由で画像管理サーバー201に送信して保管する。また、画像送信部303は、ユーザー(読影端末700の操作者)からの要求により、断層画像生成部302で生成したX線CT画像を、LAN101経由で読影端末700に送信する。
【0028】
医用画像フォーマットのデータの例について説明する。
図9は、医用画像フォーマットとしてDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)規格を適用した場合のデータ構成を示す。図9に示すようにDICOM規格のデータは、Meta File Information、Data Element、及び、画像データから構成される。Meta File Informationはデータファイル全般に関する情報を含む。Data Elementは患者に関する情報や画像データに関する情報を含む。
【0029】
DICOM規格のデータには、画素値とCT値の間の対応関係を表す情報(変換情報)を格納することができる。例えば、図9に示すように、変換情報として、Data Element内にリスケール片辺bとリスケール傾斜aを格納し、それらを用いて、計算式HU=a*SV+bにより画素値をCT値に変換することができる(非特許文献2参照)。ここで、SVは各画素値、HUはCT値を意味する。
【0030】
図7を用いて、読影端末700の各機能について説明する。
画像受信部102は、ユーザーからの要求により、LAN101を介して、モダリティ200あるいは画像管理サーバー201から複数のX線CT画像を受信する。そして、受信した複数のX線CT画像をCT値制限部701と画像保存部104へ送る。
【0031】
CT値制限部701は、画像受信部102から受け取ったX線CT画像から、所定の範囲内の画素値を抽出し、画素値制限画像を生成する。具体的には、CT値制限部701は、X線CT画像の所定の範囲外の画素値を所定値(例えば0)に置き換えて、画素値制限
画像を生成する。CT値制限部701は、生成した複数の画素値制限画像を差分画像生成部103へ送る。
本実施例では、上記所定の範囲は、所定のCT値の範囲(例えば、ユーザーがユーザーインタフェース107を用いて指定したCT値の範囲)に対応する画素値の範囲である。CT値制限部701は、先に説明した変換情報を用いてX線CT画像の各画素のCT値を特定する。そして、X線CT画像から、所定のCT値の範囲に対応する画素値の範囲内の画素値を抽出する。
例えば、ユーザーが腫瘍を探したい場合は、図8に示すようにCT値の範囲として60〜80HUが設定されればよい。CT値の範囲が設定されると、図10の模式図に示すように、設定されたCT値の範囲に対応する画素値の範囲内の画素値が抽出される。
【0032】
差分画像生成部103は、CT値制限部701から受け取った複数の画素値制限画像から、撮影位置が互いに隣接する画素値制限画像間の差分画像を生成し、画像保存部104へ送る。即ち、差分画像として、撮影位置が互いに隣接する断層画像(X線CT画像)間の、所定の範囲内の画素値の差分を表す画像が生成される。差分画像の生成方法は実施例1と同様のため、その説明は省略する。
【0033】
画像保存部104は、画像受信部102で受信されたX線CT画像と、差分画像生成部103で生成された差分画像とを受け取って保存する。
表示制御部106は、X線CT画像n−1、画素値制限画像n−1と画素値制限画像nとの間の画素値の差分を表す差分画像、及び、X線CT画像nを、その順番で切り替えて表示部の画面上の同じ位置に表示する。ここで、画素値制限画像n−1はX線CT画像n−1から生成された画像であり、画素値制限画像nはX線CT画像nから生成された画像である。
ユーザーインタフェース107と表示部105の機能は実施例1と同様のため、それらの説明は省略する。
【0034】
図11のフローチャートを用いて読影端末700の動作について説明する。
まず、S601で、読影端末700を操作するユーザーからの要求により、LAN101を介して、モダリティ200あるいは画像管理サーバー201からm枚の断層画像(X線CT画像)が受信される。
【0035】
次に、S1301で、画像受信部102が、受信したm枚のX線CT画像をCT値制限部701に送り、CT値制限部701が、受け取ったm枚のX線CT画像から、m枚の画素値制限画像を生成する。
そして、S602で、CT値制限部701が、生成したm枚の画素値制限画像を差分画像生成部103に送り、差分画像生成部103が、受け取ったm枚の画素値制限画像からm−1枚の差分画像を生成する。その後、S603へ処理が進められる。
その後、S603以降の処理は実施例1(図6)と同様のため、その説明は省略する。
【0036】
以上述べたように、本実施例によれば、差分画像として、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の、所定の範囲内の画素値の差分を表す画像が用いられる。それにより、撮影位置が互いに隣接する画像間の所定の範囲内の画素値(ユーザーが見たい画素値)の変化を見つけやすくすることができ、ユーザーの負担を低減することができる。ひいては、ユーザーの利便性を向上することができる。
なお、本実施例では、断層画像がX線CT画像である場合について説明したが、断層画像はX線CT画像に限らない。実施例1と同様に、物体の断層の画像であればよい。
なお、本実施例では、読影端末700が画素値制限画像や差分画像を生成するものとしたが、モダリティ200あるいは画像管理サーバー201がそれらを生成してもよい。
【0037】
<実施例3>
以下、本発明の実施例3に係る表示制御装置および表示制御方法について、図面を参照して説明する。
実施例3では、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分値が所定値以下の場合の処理が、実施例1,2と異なる。なお、以下では、実施例1と異なる点についてのみ説明し、実施例1と同じ点については説明を省略する。
【0038】
図12は、実施例3に係る読影端末の構成を示すブロック図である。図12に示すように、読影端末1400は、実施例1(図1)の構成に加え、差分判定部1401を更に有する。
【0039】
モダリティ200の各機能は実施例1と同様のため、その説明は省略する。
【0040】
図12を用いて、読影端末1400の各機能について説明する。
画像受信部102は、ユーザーからの要求により、LAN101を介して、モダリティ200あるいは画像管理サーバー201から複数の断層画像を受信する。そして、受信した複数の断層画像を差分判定部1401と画像保存部104へ送る。
【0041】
差分判定部1401は、画像受信部102から受け取った複数の断層画像から、撮影位置が互いに隣接する断層画像間(断層画像n−1と断層画像nの間)の画素値の差分値が所定値以下か否かを判定する。断層画像間の画素値の差分値が所定値より大きい場合は、差分画像生成部103にそれらの断層画像が送られ、それらの断層画像間の差分画像が生成される。断層画像間の画素値の差分値が所定値以下である場合は、差分画像生成部103にそれらの断層画像は送られず、それらの断層画像間の差分画像は生成されない。
なお、差分値は各断層画像の画素値の代表値(平均値、最大値、最小値、最頻値など)の差分値や、画素毎の画素値の差分値の代表値などである。また、所定値は、0であってもよいし、0でなくてもよい。ユーザーやメーカー等によりあらかじめ設定された値を用いればよい。
【0042】
画像保存部104は、画像受信部102で受信された断層画像と、差分画像生成部103で生成された差分画像とを受け取って保存する。
表示制御部106は、断層画像間に差分画像が生成されている場合には、実施例1と同様の制御を行う。断層画像間に差分画像が生成されていない場合には、図13に示すように、断層画像n−1と断層画像nを、その順番で切り替えて表示部の画面上の同じ位置に表示する。即ち、本実施例では、表示制御部106は、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分値が所定値以下の場合に、差分画像の表示を省略し、断層画像のみを順に表示する。
【0043】
図14のフローチャートを用いて読影端末1400の動作について説明する。
まず、S601で、読影端末1400を操作するユーザーからの要求により、LAN101を介して、モダリティ200あるいは画像管理サーバー201からm枚の断層画像が受信される。
【0044】
次に、S1701で、画像受信部102が、受信したm枚の断層画像を差分判定部1401に送る。そして、差分判定部1401が、受け取ったm枚の断層画像から、撮影位置が互いに隣接する2枚の断層画像毎に、それらの断層画像間の画素値の差分値が所定値以下か否かを判定する。
そして、S602で、差分判定部1401が、差分値が所定値より大きいと判定した断層画像を差分画像生成部103に送り、差分画像生成部103が、受け取った断層画像から差分画像を生成する。即ち、差分画像生成部103が、S1701で差分値が所定値以
上であると判定された断層画像間の差分画像を生成する。
次に、S603で、画像保存部104が、画像受信部102が受信したm枚の断層画像と、差分画像生成部103で生成された差分画像とを保存する。
そして、S604で、表示制御部106が、断層画像n−1を表示部105に表示する。
【0045】
次に、S605で、ユーザーがユーザーインタフェース107を用いて画像送り操作を行うと、S1702で、表示制御部106が、断層画像n−1と断層画像nの間の差分画像が生成されているか否かを判定する。差分画像が生成されている場合には、S606で、表示制御部106が、表示する画像を、断層画像n−1から、断層画像n−1と断層画像nとの間の差分画像へ切り替える。差分画像が生成されていない場合には、S608で、表示制御部106が、表示する画像を、断層画像n−1から断層画像nへ切り替える。
S606〜S611の処理は実施例1(図6)と同様のため、それらの説明は省略する。
【0046】
断層画像間の画素値の差分値が所定値以下の場合には、それらの断層画像間の変化はほぼ無いと考えられる。そのため、それらの断層画像間の差分画像を表示することにあまり意味はない。本実施例では、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分値が所定値以下の場合に、差分画像の表示が省略され、断層画像のみが順に表示される。それにより、不必要な差分画像の表示が省略され、断層画像間に違いがある箇所をより見つけやすくすることができる。また、ユーザーが画像送り操作を行う度に表示する画像を切り替える構成の場合には、画像送り操作の回数を低減できる。そのため、ユーザーの負担を軽減することができる。
なお、本実施例では実施例1の処理に差分判定部1401を用いた処理を追加する構成について説明したが、実施例2の処理に差分判定部1401を用いた処理を追加してもよい。
【0047】
<実施例4>
以下、本発明の実施例4に係る表示制御装置および表示制御方法について、図面を参照して説明する。
実施例4では、ユーザーが画像送り操作を小刻みに行った場合の処理が、実施例1〜3と異なる。なお、本実施例では、ユーザーからの指示(画像送り操作)がある度に表示する画像を切り替えるものとする。
【0048】
小刻みに行われる画像送り操作は、所定の物体(欠陥、病変など)を見つけるため以外を目的とする操作、つまり読影位置の変更や断層画像の連続性を見るための操作であると考えられる。そのため、そのような操作を行う場合には、差分画像を表示する必要はない。差分画像を表示するか否かをユーザーが設定可能とすれば、差分画像の表示を省略することが可能となる。しかしながら、そのような構成では、ユーザーがその都度設定を行わなければならず、効率的ではない(ユーザーの負担を招く)。
そこで、本実施例では、ユーザーからの指示により断層画像が表示されてから所定時間以内に再度ユーザーから指示があった場合に、差分画像の表示を省略して、表示する画像を次の断層画像に切り替える。これにより、ユーザーの負担を招くことなく差分画像を表示するか否かを自動で切り替えることができる。
【0049】
図15は、実施例4に係る読影端末の構成を示すブロック図である。図15に示すように、読影端末1800は、実施例1(図1)の構成に加え、画像送り速度判定部1801を更に有する。
画像送り速度判定部1801は、ユーザーがユーザーインタフェース107を用いて画像送り操作を行ったときに、当該画像送り操作が前回の画像送り操作により断層画像が表
示されてから所定時間以内に行われたか否かを判定する。画像送り操作が前回の画像送り操作により断層画像が表示されてから所定時間以内に行われた場合には、画像送り速度判定部1801は、差分画像の表示を省略して、表示する画像を次の断層画像に切り替えるように、表示制御部106へ指示する。そうでない場合は、画像送り速度判定部1801は、現在の断層画像と次の断層画像との間の差分画像に表示を切り替えるように、表示制御部106へ指示する。
表示制御部106は、画像送り速度判定部1801からの指示応じて表示する画像を切り替える。
【0050】
以上述べたように、本実施例によれば、ユーザーからの指示により断層画像が表示されてから所定時間以内に再度ユーザーから指示があった場合に、差分画像の表示が省略され、表示する画像が次の断層画像に切り替えられる。これにより、ユーザーの負担を招くことなく差分画像を表示するか否かを自動で切り替えることができる。
なお、本実施例では実施例1の処理に画像送り速度判定部1801を用いた処理を追加する構成について説明したが、実施例2,3の処理に画像送り速度判定部1801を用いた処理を追加してもよい。
【0051】
<実施例5>
以下、本発明の実施例5に係る表示制御装置および表示制御方法について図面を参照して説明する。
実施例5では、差分画像の表示方法が実施例1〜4と異なる。
【0052】
実施例1〜4では、画像送り操作が行われる度に、表示する画像を切り替える構成について説明したが、ユーザーがページング読影時に精査する画像は断層画像であり、支援用の差分画像は長時間に渡って表示する必要はない。
そこで、本実施例では、画像送り操作が行われる度に、表示する画像を現在表示されている断層画像から該断層画像の撮影位置に隣接する撮影位置の断層画像へ切り替える。そして、本実施例では、画像送り操作が行われた場合に、表示する画像を現在の断層画像から差分画像に切り替え、該差分画像を所定時間だけ表示した後に、表示する画像を次の断層画像へ切り替える。これによりを、ユーザーが画像送り操作を行う回数を低減でき、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0053】
図16は、本実施例に係るページング読影時のモニター表示(表示部に表示される画像)を示す模式図である。
ユーザーがユーザーインタフェース107を用いて画像送り操作を行うと、表示制御部106は、画像保存部104に保存された差分画像を、表示する画像を現在の断層画像から差分画像に切り替え、該差分画像を所定時間だけ表示する。そして、所定時間経過後、表示する画像を次の断層画像へ切り替える。
【0054】
以上述べたように、本実施例によれば、ユーザーから指示があった場合に、表示する画像が差分画像に切り替えられ、該差分画像を所定時間だけ表示した後に、表示する画像が次の断層画像へ切り替えられる。それによりを、ユーザーが画像送り操作を行う回数を低減でき、ユーザーの負担を軽減することができる。
なお、本実施例の構成は、上述した実施例1〜4のいずれの構成にも適用することができる。
【0055】
<実施例6>
以下、本発明の実施例6に係る表示制御装置および表示制御方法について、図面を参照して説明する。
本実施例では、断層画像のスライス間隔(撮影位置の間隔)が小さい場合の処理が実施
例1〜5と異なる。
【0056】
断層画像のスライス間隔が小さい場合、ユーザーがページング読影によって探す物体(欠陥、病変など)の大きさがスライス間隔より大きく、該物体が複数枚の断層画像に写ることがある。そのような場合、冗長な断層画像から上記物体を探すこととなり、該物体の発見が困難となってしまう(ユーザーの負担を招く)虞がある。
そこで、本実施例では、撮影位置の間隔が所定間隔以上となるように断層画像を間引いて差分画像の生成(取得)、及び、表示する画像の切り替えを行う。つまり、所定間隔の間にx枚(xは1以上の自然数)の断層画像が存在する場合は、断層画像n−(x+1)と断層画像nとの間の差分画像を生成する。そして、図18に示すように、断層画像n−(x+1)、断層画像n−(x+1)と断層画像nとの間の画素値の差分を表す差分画像、及び、断層画像nを、その順番で切り替えて表示部の画面上の同じ位置に表示する。これにより、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の撮影位置の間隔が大きくされ、該断層画像間の変化を見つけやすくすることができ、上記物体を発見しやすくすることができる。ひいては、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0057】
図17は、実施例6に係る読影端末の構成を示すブロック図である。図17に示すように、読影端末2000は、実施例1(図1)の構成に加え、画像間隔制限部2001を更に有する。
画像間隔制限部2001は、撮影位置の間隔が所定間隔以上となるように断層画像を間引く。具体的には、ユーザーがユーザーインタフェース107を用いて画像送り操作を行ったときに、受信した断層画像のうち、所定間隔の間に存在するx枚の断層画像を削除して、残りの断層画像を差分画像生成部103と画像保存部104へ送る。
それ以外の動作は、実施例1と同じである。
そのため、差分画像生成部103により、画像間隔制限部2001によって断層画像が間引かれた残りの断層画像のうち、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分を表す差分画像が生成(取得)される。具体的には、断層画像n−(x+1)と断層画像nとの間の差分画像が生成される。
そして、表示制御部106により、画像間隔制限部2001によって断層画像が間引かれた残りの断層画像と差分画像が表示部に表示され。具体的には、断層画像n−(x+1)、断層画像n−(x+1)と断層画像nとの間の差分画像、断層画像nが、その順番で切り替えられて表示部の画面上の同じ位置に表示される。
【0058】
以上述べたように、本実施例によれば、撮影位置の間隔が所定間隔以上となるように断層画像を間引いて差分画像の取得、及び、表示する画像の切り替えが行われる。それにより、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の撮影位置の間隔が大きくされ、該断層画像間の変化を見つけやすくすることができ、目的とする物体を発見しやすくすることができる。ひいては、ユーザーの負担を軽減することができる。
なお、本実施例では実施例1の処理に画像間隔制限部2001を用いた処理を追加する構成について説明したが、実施例2〜5の処理に画像間隔制限部2001を用いた処理を追加してもよい。
【符号の説明】
【0059】
100 読影端末
102 画像受信部
103 差分画像生成部
106 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影位置が互いに異なる複数の断層画像を入力する入力手段と、
撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分を表す差分画像を取得する取得手段と、
断層画像と差分画像を表示部に表示する表示制御手段と、
を有し、
前記表示制御手段は、第1の断層画像、前記第1の断層画像と前記第1の断層画像の撮影位置に隣接する撮影位置の断像画像である第2の断層画像との間の画素値の差分を表す差分画像、及び、前記第2の断層画像を、その順番で切り替えて前記表示部の画面上の同じ位置に表示する
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記差分画像は、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の、所定の範囲内の画素値の差分を表す画像である
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記断層画像は、X線CT画像であり、
前記所定の範囲は、所定のCT値の範囲に対応する画素値の範囲である
ことを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分値が所定値以下の場合には、差分画像の表示を省略し、断層画像のみを順に表示する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
ユーザーから指示がある度に表示する画像を切り替えるものであり、
ユーザーからの指示により断層画像が表示されてから所定時間以内に再度ユーザーから指示があった場合には、差分画像の表示を省略し、表示する画像を次の断層画像へ切り替える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
ユーザーから指示がある度に表示する画像を現在表示されている断層画像から該断層画像の撮影位置に隣接する撮影位置の断層画像へ切り替えるものであり、
ユーザーから指示があった場合に、表示する画像を前記差分画像に切り替え、該差分画像を所定時間だけ表示した後に、表示する画像を次の断層画像へ切り替える
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
撮影位置の間隔が所定間隔以上となるように前記断層画像を間引く間隔制限手段を更に有し、
前記取得手段は、前記間隔制限手段によって断層画像が間引かれた残りの断層画像のうち、撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分を表す差分画像を取得し、
前記表示制御手段は、前記間隔制限手段によって断層画像が間引かれた残りの断層画像と差分画像を表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
表示制御装置により実行される表示制御方法であって、
撮影位置が互いに異なる複数の断層画像を入力する入力ステップと、
撮影位置が互いに隣接する断層画像間の画素値の差分を表す差分画像を取得する取得ス
テップと、
断層画像と差分画像を表示部に表示する表示制御ステップと、
を有し、
前記表示制御ステップでは、第1の断層画像、前記第1の断層画像と前記第1の断層画像の撮影位置に隣接する撮影位置の断像画像である第2の断層画像との間の画素値の差分を表す差分画像、及び、前記第2の断層画像を、その順番で切り替えて前記表示部の画面上の同じ位置に表示する
ことを特徴とする表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−176107(P2012−176107A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40539(P2011−40539)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】