表示制御装置および表示制御方法
【課題】偏光板方式により立体映像を表示する場合に、高画質化回路により立体映像に高画質化処理を施しても垂直方向のライン間での画質の低下を防ぐことができることを目的とする。
【解決手段】対象ソフトSW10から通知される情報に3Dフラグがある場合には、高画質化回路11に設けられた複数の回路のうち垂直方向の補正処理を行うエッジ強調処理およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を停止することを示す垂直方向補正停止フラグを設定して当該処理を無効に設定する。高画質化回路11は、内部に設けられたエッジ強調回路およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を停止する。
【解決手段】対象ソフトSW10から通知される情報に3Dフラグがある場合には、高画質化回路11に設けられた複数の回路のうち垂直方向の補正処理を行うエッジ強調処理およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を停止することを示す垂直方向補正停止フラグを設定して当該処理を無効に設定する。高画質化回路11は、内部に設けられたエッジ強調回路およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高画質化処理を行って立体映像を表示可能な表示制御装置および表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モニタの高解像度化が進み、低画質の画像の画素数を増やして高画質化してモニタに表示する技術が必要とされている。
このような高画質化処理の1つとして、特許文献1に記載の画像処理装置が報告されている。
詳しくは、引用文献1には、画像フレームを異なる信号成分の複数のプレーンに分離し、分離されたそれぞれのプレーンを、偶数ラインプレーンと奇数ラインプレーンとに分離し、偶数ラインプレーンと奇数ラインプレーンのそれぞれのプレーンをライン補間し、ライン補間された偶数ラインプレーンと奇数ラインプレーンのそれぞれのエッジを検出し、該エッジ部に所定の係数を乗ずるエッジ補正を行い、エッジ補正された偶数ラインプレーンと奇数ラインプレーンを合成するという技術が開示されている。
【0003】
一方、近年の技術動向として、立体映像の表示に対応可能な内蔵モニタを搭載した、テレビ機能付きのパーソナルコンピュータが開発されている。このようなパーソナルコンピュータを用いて立体映像の放送や立体映像のDVD等の立体映像コンテンツを視聴する場合、モニタの表示方式として偏光板方式を採用しており、ユーザが偏光メガネを掛けて立体映像を視聴することが可能となる。
しかしながら、偏光板方式により立体映像を表示する場合、ライン毎に右目用画像と左目用画像とを交互に振り分ける必要があるので、高画質化処理としてライン間補正を行うエッジ強調処理やディザ処理などを画像に施すと、垂直方向のライン間で画質の著しい低下が発生するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−115519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、偏光板方式により立体映像を表示する場合に、高画質化回路により立体映像に高画質化処理を施しても垂直方向のライン間での画質の低下を防ぐことが可能な技術が切望されている。
本発明は、偏光板方式により立体映像を表示する場合に、高画質化回路により立体映像に高画質化処理を施しても垂直方向のライン間での画質の低下を防ぐことができる表示制御装置および表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するたに、請求項1記載の発明は、映像に対して高画質化処理を施して表示するための高画質化回路を備え、偏光板方式により立体映像を表示する表示制御装置であって、アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示領域に表示する場合に、前記表示領域域内では前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項5記載の発明は、映像に対して高画質化処理を施して表示するための高画質化回路を備え、偏光板方式により立体映像を表示する表示制御方法であって、アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示領域に表示する場合に、前記表示領域域内では前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する表示制御ステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、偏光板方式により立体映像を表示する場合に、高画質化回路により立体映像に高画質化処理を施しても垂直方向のライン間での画質の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る表示制御装置の構成について説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表示制御装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る表示制御装置の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る表示制御装置の特徴的な構成を示しており、パーソナルコンピュータ上に設けられたハードウエア資源やソフトウエア資源のうち特徴的な構成を示すものである。図1においては、対象アプリケーションソフトウエア(以下、対象ソフトという)SW10に記録されている映像情報(動画像データ)とグラフィックス情報(静止画像データ)とを高画質化回路11を介して適切にディスプレイ12の画面に表示させるためのインタフェースの例を示す図であり、この表示制御装置は図示しないCPUやメモリを備えた制御部、グラフィックスコントローラやVRAMなどを有している。
【0012】
対象ソフトSW10は、制御部により実行されるOSにより管理されており、OSはデスクトップ画面のサイズ(LCDの画面サイズに相当)などを必要に応じて対象ソフトSW10へ通知することができる。対象ソフトSW10は、映像信号および3D再生情報を出力する動画再生部SW10c、3Dフラグや使用開始指示や終了指示などの制御情報を画質調整ソフトSW20へ送り画質調整ソフトを制御する画質調整ソフト制御部SW10a、ウィンドウタイトルやウィンドウクラスなどの識別情報を含むウィンドウ情報SW10b、映像信号をグラフィクドライバ10へ出力する映像出力部SW10dを有している。
【0013】
画質調整ソフトSW20は、前もってHDにインストールしてあり、制御部により実行されるOSにより管理されており、対象ソフトSW10が例えばユーザの操作により起動されると必要に応じて画質調整ソフトSW20が起動され、OSはデスクトップ画面のサイズ(LCDの画面サイズに相当)などを必要に応じて画質調整ソフトSW20へ通知することができる。
画質調整ソフトSW20は、画質設定情報保存部SW20a、対象ソフト一覧SW20eを有しており、アクティブウィンドウ判別部SW20b、画質設定選択部SW20c、高画質化回路制御部SW20dなどが制御部により実行される。
【0014】
詳しくは、画質設定情報保存部SW20aは、明度、彩度、色相、コントラスト値、ガンマ補正値などの対象ソフト用画質設定情報を記憶しており、これらの情報が画質設定選択部SW20cに出力される。アクティブウィンドウ判別部SW20bは、対象ソフトSW10からウィンドウタイトルやウィンドウクラスなどのウィンドウ識別情報を含むウィンドウ情報SW10bを受け取り、現在のディスプレイ12上のアクティブウィンドウを判別する。
画質設定選択部SW20cは、アクティブなソフトの情報に基づいて、複数の対象ソフト用画質設定情報から適切な情報を選択し、対象ソフト用画質設定情報を高画質化回路制御部SW20dに出力する。高画質化回路制御部SW20dは、対象ソフト用画質設定情報、垂直方向の補正処理の制御命令などの情報を高画質化回路11に送信する。
【0015】
グラフィックドライバ10は、対象ソフトSW10の映像出力部SW10dから出力される映像を高画質化回路11に出力するためのドライバソフトウエアである。
【0016】
高画質化回路11は、高画質化機能を果たすためのディザ回路、エッジ強調回路などの高画質化回路を備え、高画質化回路制御部SW20dから出力される対象ソフト用画質設定情報、垂直方向の補正処理の制御命令などの情報を受信して設定する。
【0017】
詳しくは、上記ディザ回路は、フレーム画像における所定の映像領域について、フレーム画像上の水平方向および垂直方向の複数の画素群の各々の各画素位置に対応させてディザ係数を発生し、画素の各々に対応した映像の画素データにディザ係数を加算したものをディザ処理画素データとして出力する。ディザ回路は、垂直方向補正有効フラグが設定されている場合には垂直方向のディザ処理画素データを出力し、かつ、水平方向のディザ処理画素データを出力し、他方、垂直方向補正停止フラグが設定されている場合には垂直方向のディザ処理を停止しておき、水平方向のディザ処理画素データを出力する。
【0018】
上記エッジ強調回路は、フレーム画像における所定の映像領域について、水平方向および垂直方向の周辺画素に対する中心画素の相互間の画素値の比較処理を行い、その比較結果に基づいて中心画素の強調処理を行うべきか否かの強調判定処理と、中心画素の画素値の決定処理とを行う。エッジ強調回路は、垂直方向補正有効フラグが設定されている場合には垂直方向のエッジを強調し、かつ、水平方向のエッジを強調し、他方、垂直方向補正停止フラグが設定されている場合には垂直方向のエッジ強調を停止しておき、水平方向のエッジを強調する。
【0019】
ディスプレイ12は、例えばLCDからなり、画面(パネル)は例えば1024×768の解像度を有しているものとする。
【0020】
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係る表示制御装置の基本的な動作について説明する。なお、図2に示すステップS10〜S80は、画質調整ソフトSW10の特徴的な処理を示しており、OSの管理下で制御部により実行される。
上述したように、画質調整ソフトSW10は、前もってHDにインストールしてあり、制御部により実行されるOSにより管理されており、対象ソフトSW10が例えばユーザの操作により起動されると必要に応じて起動される。
【0021】
まず、ステップS10では、制御部はアクティブウィンドウの情報を取得する。すなわち、ディスプレイ12に表示中の複数のアプリケーションのうち一番手前のアクティブウィンドウのウィンドウタイトルとウィンドウクラスを含む識別情報を取得する。
【0022】
次いで、ステップS20では、制御部はディスプレイ12の一番手前に表示されているアクティブウィンドウが対象ソフトであるか否かを判断する。すなわち、ステップS10で取得したアクティブウィンドウのウィンドウタイトルが、対象ソフトSW10から取得した識別情報にあるウィンドウタイトルと一致すれば対象ソフトであるので、ステップS30に進む。対象ソフトではない場合には、ステップS10に戻る。
【0023】
ところで、ユーザがマウス(図示しない)を用いてアクティブウィンドウを対象ソフトのウィンドウから別のウィンドウに変更するような場合も想定し得る。
そこで、ステップS30では、制御部はアクティブウィンドウが変化したか否かを判断する。すなわち、アクティブウィンドウのウィンドウタイトルが前回のウィンドウのウィンドウタイトルから別のウィンドウのウィンドウタイトルに変化した場合には、ステップS40に進む。他方、アクティブウィンドウに変化がない場合には、ステップS70に進む。
【0024】
次いで、ステップS40では、制御部は3Dフラグがあるか否かを判断する。すなわち、対象ソフトSW10から通知される1つの情報として対象ソフトが3D映像であることを示す3Dフラグがあるか否かを判断する。3Dフラグがある場合には、ステップS50に進む。他方、3Dフラグがある場合には、ステップS60に進む。
【0025】
次いで、ステップS50では、制御部は高画質化回路11の垂直方向の補正処理を無効にしてアクティブなソフト向けの画質設定を有効に設定する。すなわち、高画質化回路11の高画質化回路11aに含まれる複数の回路のうち垂直方向の補正処理を行うエッジ強調処理およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を停止することを示す垂直方向補正停止フラグを設定して当該処理を無効にし、アクティブウィンドウに表示されている対象ソフトの画質設定を有効に設定する。垂直方向補正停止フラグおよび対象ソフト用画質設定情報が高画質化回路制御部SW20dにより高画質化回路11に送信される。
【0026】
この垂直方向補正停止フラグおよび対象ソフト用画質設定情報を受け付けた高画質化回路11は、内部に設けられたエッジ強調回路およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を停止する。同様に、対象ソフト用画質設定情報を用いて画質を設定する。
この処理の結果、アクティブウィンドウに表示されている対象ソフトの立体映像において、アクティブウィンドウ内ではエッジ強調処理およびディザ処理による垂直方向のライン間補正が停止された立体映像がディスプレイ12から表示される。
これにより、偏光板方式により立体映像を表示する場合に、高画質化回路11により立体映像に高画質化処理を施しても垂直方向のライン間において画質の低下を防ぐことができる。
【0027】
次いで、ステップS60では、制御部はアクティブなソフト向けの画質設定を有効に設定する。すなわち、アクティブウィンドウに表示されている対象ソフトの画質設定を有効に設定する。対象ソフト用画質設定情報が画質設定選択部SW20cにより選択され、この情報が高画質化回路制御部SW20dにより高画質化回路11に送信される。
この対象ソフト用画質設定情報を受け付けた高画質化回路11は、対象ソフト用画質設定情報を用いて画質を設定する。
【0028】
次いで、ステップS70では、制御部は3Dフラグに変化があるか否かを判断する。すなわち、前回の処理において対象ソフトSW10から通知されていた3Dフラグが有効から無効、または無効から有効に変化したか否かを判断する。3Dフラグが変化した場合には、ステップS80に進む。他方、3Dフラグが変化していない場合には、ステップS10に進む。
【0029】
次いで、ステップS80では、制御部は垂直方向の補正処理のON/OFF状態を変更する。すなわち、対象ソフトSW10から通知されていた3Dフラグが変化したので、高画質化回路11の垂直方向の補正処理を有効または無効に再設定する。
ここで、3Dフラグが有効から無効に変化した場合には、当該ウィンドウでは3D表示を行わないので、高画質化回路11に含まれる複数の回路のうち垂直方向の補正処理を行うエッジ強調処理およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を有効にすることを示す垂直方向補正有効フラグを設定して当該処理を有効にする。垂直方向補正有効フラグが高画質化回路制御部SW20dにより高画質化回路11に送信される。
【0030】
この垂直方向補正有効フラグを含む画質設定情報SW20aを受け付けた高画質化回路11は、高画質化回路11に含まれるエッジ強調回路およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を有効に設定する。
このように、対象ソフトから取得した3Dフラグが無効を示す場合には、対象ソフトから読み出した2次元映像を表示する表示領域に対して、高画質化回路11による垂直方向のライン間補正を行うように制御する。この結果、エッジ強調回路およびディザ回路においてライン間補正が行えるので、ユーザは高画質の映像を楽しむことができる。
【0031】
他方、3Dフラグが無効から有効に変化した場合には、当該ウィンドウでは3D表示を行うので、高画質化回路11に含まれる複数の回路のうち垂直方向の補正処理を行うエッジ強調処理およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を無効にすることを示す垂直方向補正停止フラグを設定して当該処理を無効にする。垂直方向補正停止フラグおよび対象ソフト用画質設定情報が高画質化回路制御部SW20dにより高画質化回路11に送信される。
【0032】
この垂直方向補正停止フラグおよび対象ソフト用画質設定情報を受け付けた高画質化回路11は、内部に設けられたエッジ強調回路およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を無効に設定する。そして、この対象ソフト用画質設定情報を受け付けた高画質化回路11は、対象ソフト用画質設定情報を用いて画質を設定する。
このように、対象ソフトから取得した3Dフラグが有効を示す場合には、対象ソフトから読み出した3D映像を表示する表示領域に対して、高画質化回路11による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する。この結果、エッジ強調回路およびディザ回路においてライン間補正が停止するので、垂直方向のライン間で画質の著しい低下が発生することなく、エッジ強調回路およびディザ回路による高画質の映像を出力することができるため、ユーザは高画質の映像を楽しむことができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、高画質化処理を行って立体映像を表示可能なパーソナルコンピュータに利用できる。
【符号の説明】
【0034】
10 グラフィックドライバ
11 高画質化回路
12 ディスプレイ
SW10 対象アプリケーション
SW10a 画質調整ソフト制御部
SW10b ウィンドウ情報
SW10c 動画再生部
SW10d 映像出力部
SW20 画質調整ソフト
SW20a 画質設定情報保存部
SW20b アクティブウィンドウ判別部
SW20c 画質設定選択部
SW20d 高画質化回路制御部
SW20e 対象ソフト一覧
【技術分野】
【0001】
本発明は、高画質化処理を行って立体映像を表示可能な表示制御装置および表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モニタの高解像度化が進み、低画質の画像の画素数を増やして高画質化してモニタに表示する技術が必要とされている。
このような高画質化処理の1つとして、特許文献1に記載の画像処理装置が報告されている。
詳しくは、引用文献1には、画像フレームを異なる信号成分の複数のプレーンに分離し、分離されたそれぞれのプレーンを、偶数ラインプレーンと奇数ラインプレーンとに分離し、偶数ラインプレーンと奇数ラインプレーンのそれぞれのプレーンをライン補間し、ライン補間された偶数ラインプレーンと奇数ラインプレーンのそれぞれのエッジを検出し、該エッジ部に所定の係数を乗ずるエッジ補正を行い、エッジ補正された偶数ラインプレーンと奇数ラインプレーンを合成するという技術が開示されている。
【0003】
一方、近年の技術動向として、立体映像の表示に対応可能な内蔵モニタを搭載した、テレビ機能付きのパーソナルコンピュータが開発されている。このようなパーソナルコンピュータを用いて立体映像の放送や立体映像のDVD等の立体映像コンテンツを視聴する場合、モニタの表示方式として偏光板方式を採用しており、ユーザが偏光メガネを掛けて立体映像を視聴することが可能となる。
しかしながら、偏光板方式により立体映像を表示する場合、ライン毎に右目用画像と左目用画像とを交互に振り分ける必要があるので、高画質化処理としてライン間補正を行うエッジ強調処理やディザ処理などを画像に施すと、垂直方向のライン間で画質の著しい低下が発生するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−115519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、偏光板方式により立体映像を表示する場合に、高画質化回路により立体映像に高画質化処理を施しても垂直方向のライン間での画質の低下を防ぐことが可能な技術が切望されている。
本発明は、偏光板方式により立体映像を表示する場合に、高画質化回路により立体映像に高画質化処理を施しても垂直方向のライン間での画質の低下を防ぐことができる表示制御装置および表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するたに、請求項1記載の発明は、映像に対して高画質化処理を施して表示するための高画質化回路を備え、偏光板方式により立体映像を表示する表示制御装置であって、アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示領域に表示する場合に、前記表示領域域内では前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項5記載の発明は、映像に対して高画質化処理を施して表示するための高画質化回路を備え、偏光板方式により立体映像を表示する表示制御方法であって、アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示領域に表示する場合に、前記表示領域域内では前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する表示制御ステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、偏光板方式により立体映像を表示する場合に、高画質化回路により立体映像に高画質化処理を施しても垂直方向のライン間での画質の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る表示制御装置の構成について説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表示制御装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る表示制御装置の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る表示制御装置の特徴的な構成を示しており、パーソナルコンピュータ上に設けられたハードウエア資源やソフトウエア資源のうち特徴的な構成を示すものである。図1においては、対象アプリケーションソフトウエア(以下、対象ソフトという)SW10に記録されている映像情報(動画像データ)とグラフィックス情報(静止画像データ)とを高画質化回路11を介して適切にディスプレイ12の画面に表示させるためのインタフェースの例を示す図であり、この表示制御装置は図示しないCPUやメモリを備えた制御部、グラフィックスコントローラやVRAMなどを有している。
【0012】
対象ソフトSW10は、制御部により実行されるOSにより管理されており、OSはデスクトップ画面のサイズ(LCDの画面サイズに相当)などを必要に応じて対象ソフトSW10へ通知することができる。対象ソフトSW10は、映像信号および3D再生情報を出力する動画再生部SW10c、3Dフラグや使用開始指示や終了指示などの制御情報を画質調整ソフトSW20へ送り画質調整ソフトを制御する画質調整ソフト制御部SW10a、ウィンドウタイトルやウィンドウクラスなどの識別情報を含むウィンドウ情報SW10b、映像信号をグラフィクドライバ10へ出力する映像出力部SW10dを有している。
【0013】
画質調整ソフトSW20は、前もってHDにインストールしてあり、制御部により実行されるOSにより管理されており、対象ソフトSW10が例えばユーザの操作により起動されると必要に応じて画質調整ソフトSW20が起動され、OSはデスクトップ画面のサイズ(LCDの画面サイズに相当)などを必要に応じて画質調整ソフトSW20へ通知することができる。
画質調整ソフトSW20は、画質設定情報保存部SW20a、対象ソフト一覧SW20eを有しており、アクティブウィンドウ判別部SW20b、画質設定選択部SW20c、高画質化回路制御部SW20dなどが制御部により実行される。
【0014】
詳しくは、画質設定情報保存部SW20aは、明度、彩度、色相、コントラスト値、ガンマ補正値などの対象ソフト用画質設定情報を記憶しており、これらの情報が画質設定選択部SW20cに出力される。アクティブウィンドウ判別部SW20bは、対象ソフトSW10からウィンドウタイトルやウィンドウクラスなどのウィンドウ識別情報を含むウィンドウ情報SW10bを受け取り、現在のディスプレイ12上のアクティブウィンドウを判別する。
画質設定選択部SW20cは、アクティブなソフトの情報に基づいて、複数の対象ソフト用画質設定情報から適切な情報を選択し、対象ソフト用画質設定情報を高画質化回路制御部SW20dに出力する。高画質化回路制御部SW20dは、対象ソフト用画質設定情報、垂直方向の補正処理の制御命令などの情報を高画質化回路11に送信する。
【0015】
グラフィックドライバ10は、対象ソフトSW10の映像出力部SW10dから出力される映像を高画質化回路11に出力するためのドライバソフトウエアである。
【0016】
高画質化回路11は、高画質化機能を果たすためのディザ回路、エッジ強調回路などの高画質化回路を備え、高画質化回路制御部SW20dから出力される対象ソフト用画質設定情報、垂直方向の補正処理の制御命令などの情報を受信して設定する。
【0017】
詳しくは、上記ディザ回路は、フレーム画像における所定の映像領域について、フレーム画像上の水平方向および垂直方向の複数の画素群の各々の各画素位置に対応させてディザ係数を発生し、画素の各々に対応した映像の画素データにディザ係数を加算したものをディザ処理画素データとして出力する。ディザ回路は、垂直方向補正有効フラグが設定されている場合には垂直方向のディザ処理画素データを出力し、かつ、水平方向のディザ処理画素データを出力し、他方、垂直方向補正停止フラグが設定されている場合には垂直方向のディザ処理を停止しておき、水平方向のディザ処理画素データを出力する。
【0018】
上記エッジ強調回路は、フレーム画像における所定の映像領域について、水平方向および垂直方向の周辺画素に対する中心画素の相互間の画素値の比較処理を行い、その比較結果に基づいて中心画素の強調処理を行うべきか否かの強調判定処理と、中心画素の画素値の決定処理とを行う。エッジ強調回路は、垂直方向補正有効フラグが設定されている場合には垂直方向のエッジを強調し、かつ、水平方向のエッジを強調し、他方、垂直方向補正停止フラグが設定されている場合には垂直方向のエッジ強調を停止しておき、水平方向のエッジを強調する。
【0019】
ディスプレイ12は、例えばLCDからなり、画面(パネル)は例えば1024×768の解像度を有しているものとする。
【0020】
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係る表示制御装置の基本的な動作について説明する。なお、図2に示すステップS10〜S80は、画質調整ソフトSW10の特徴的な処理を示しており、OSの管理下で制御部により実行される。
上述したように、画質調整ソフトSW10は、前もってHDにインストールしてあり、制御部により実行されるOSにより管理されており、対象ソフトSW10が例えばユーザの操作により起動されると必要に応じて起動される。
【0021】
まず、ステップS10では、制御部はアクティブウィンドウの情報を取得する。すなわち、ディスプレイ12に表示中の複数のアプリケーションのうち一番手前のアクティブウィンドウのウィンドウタイトルとウィンドウクラスを含む識別情報を取得する。
【0022】
次いで、ステップS20では、制御部はディスプレイ12の一番手前に表示されているアクティブウィンドウが対象ソフトであるか否かを判断する。すなわち、ステップS10で取得したアクティブウィンドウのウィンドウタイトルが、対象ソフトSW10から取得した識別情報にあるウィンドウタイトルと一致すれば対象ソフトであるので、ステップS30に進む。対象ソフトではない場合には、ステップS10に戻る。
【0023】
ところで、ユーザがマウス(図示しない)を用いてアクティブウィンドウを対象ソフトのウィンドウから別のウィンドウに変更するような場合も想定し得る。
そこで、ステップS30では、制御部はアクティブウィンドウが変化したか否かを判断する。すなわち、アクティブウィンドウのウィンドウタイトルが前回のウィンドウのウィンドウタイトルから別のウィンドウのウィンドウタイトルに変化した場合には、ステップS40に進む。他方、アクティブウィンドウに変化がない場合には、ステップS70に進む。
【0024】
次いで、ステップS40では、制御部は3Dフラグがあるか否かを判断する。すなわち、対象ソフトSW10から通知される1つの情報として対象ソフトが3D映像であることを示す3Dフラグがあるか否かを判断する。3Dフラグがある場合には、ステップS50に進む。他方、3Dフラグがある場合には、ステップS60に進む。
【0025】
次いで、ステップS50では、制御部は高画質化回路11の垂直方向の補正処理を無効にしてアクティブなソフト向けの画質設定を有効に設定する。すなわち、高画質化回路11の高画質化回路11aに含まれる複数の回路のうち垂直方向の補正処理を行うエッジ強調処理およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を停止することを示す垂直方向補正停止フラグを設定して当該処理を無効にし、アクティブウィンドウに表示されている対象ソフトの画質設定を有効に設定する。垂直方向補正停止フラグおよび対象ソフト用画質設定情報が高画質化回路制御部SW20dにより高画質化回路11に送信される。
【0026】
この垂直方向補正停止フラグおよび対象ソフト用画質設定情報を受け付けた高画質化回路11は、内部に設けられたエッジ強調回路およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を停止する。同様に、対象ソフト用画質設定情報を用いて画質を設定する。
この処理の結果、アクティブウィンドウに表示されている対象ソフトの立体映像において、アクティブウィンドウ内ではエッジ強調処理およびディザ処理による垂直方向のライン間補正が停止された立体映像がディスプレイ12から表示される。
これにより、偏光板方式により立体映像を表示する場合に、高画質化回路11により立体映像に高画質化処理を施しても垂直方向のライン間において画質の低下を防ぐことができる。
【0027】
次いで、ステップS60では、制御部はアクティブなソフト向けの画質設定を有効に設定する。すなわち、アクティブウィンドウに表示されている対象ソフトの画質設定を有効に設定する。対象ソフト用画質設定情報が画質設定選択部SW20cにより選択され、この情報が高画質化回路制御部SW20dにより高画質化回路11に送信される。
この対象ソフト用画質設定情報を受け付けた高画質化回路11は、対象ソフト用画質設定情報を用いて画質を設定する。
【0028】
次いで、ステップS70では、制御部は3Dフラグに変化があるか否かを判断する。すなわち、前回の処理において対象ソフトSW10から通知されていた3Dフラグが有効から無効、または無効から有効に変化したか否かを判断する。3Dフラグが変化した場合には、ステップS80に進む。他方、3Dフラグが変化していない場合には、ステップS10に進む。
【0029】
次いで、ステップS80では、制御部は垂直方向の補正処理のON/OFF状態を変更する。すなわち、対象ソフトSW10から通知されていた3Dフラグが変化したので、高画質化回路11の垂直方向の補正処理を有効または無効に再設定する。
ここで、3Dフラグが有効から無効に変化した場合には、当該ウィンドウでは3D表示を行わないので、高画質化回路11に含まれる複数の回路のうち垂直方向の補正処理を行うエッジ強調処理およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を有効にすることを示す垂直方向補正有効フラグを設定して当該処理を有効にする。垂直方向補正有効フラグが高画質化回路制御部SW20dにより高画質化回路11に送信される。
【0030】
この垂直方向補正有効フラグを含む画質設定情報SW20aを受け付けた高画質化回路11は、高画質化回路11に含まれるエッジ強調回路およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を有効に設定する。
このように、対象ソフトから取得した3Dフラグが無効を示す場合には、対象ソフトから読み出した2次元映像を表示する表示領域に対して、高画質化回路11による垂直方向のライン間補正を行うように制御する。この結果、エッジ強調回路およびディザ回路においてライン間補正が行えるので、ユーザは高画質の映像を楽しむことができる。
【0031】
他方、3Dフラグが無効から有効に変化した場合には、当該ウィンドウでは3D表示を行うので、高画質化回路11に含まれる複数の回路のうち垂直方向の補正処理を行うエッジ強調処理およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を無効にすることを示す垂直方向補正停止フラグを設定して当該処理を無効にする。垂直方向補正停止フラグおよび対象ソフト用画質設定情報が高画質化回路制御部SW20dにより高画質化回路11に送信される。
【0032】
この垂直方向補正停止フラグおよび対象ソフト用画質設定情報を受け付けた高画質化回路11は、内部に設けられたエッジ強調回路およびディザ回路に対して、垂直方向の補正処理を無効に設定する。そして、この対象ソフト用画質設定情報を受け付けた高画質化回路11は、対象ソフト用画質設定情報を用いて画質を設定する。
このように、対象ソフトから取得した3Dフラグが有効を示す場合には、対象ソフトから読み出した3D映像を表示する表示領域に対して、高画質化回路11による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する。この結果、エッジ強調回路およびディザ回路においてライン間補正が停止するので、垂直方向のライン間で画質の著しい低下が発生することなく、エッジ強調回路およびディザ回路による高画質の映像を出力することができるため、ユーザは高画質の映像を楽しむことができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、高画質化処理を行って立体映像を表示可能なパーソナルコンピュータに利用できる。
【符号の説明】
【0034】
10 グラフィックドライバ
11 高画質化回路
12 ディスプレイ
SW10 対象アプリケーション
SW10a 画質調整ソフト制御部
SW10b ウィンドウ情報
SW10c 動画再生部
SW10d 映像出力部
SW20 画質調整ソフト
SW20a 画質設定情報保存部
SW20b アクティブウィンドウ判別部
SW20c 画質設定選択部
SW20d 高画質化回路制御部
SW20e 対象ソフト一覧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像に対して高画質化処理を施して表示するための高画質化回路を備え、偏光板方式により立体映像を表示する表示制御装置であって、
アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示領域に表示する場合に、前記表示領域域内では前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する表示制御手段を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記高画質化回路に備えられた、ディザ回路、エッジ強調回路を当該制御の対象とする、ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
アプリケーションソフトウエアから通知される立体フラグを取得する取得手段を備え、
前記表示制御手段は、前記取得した立体フラグが有効を示す場合には、前記アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示する表示領域に対して、前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する、ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記取得手段で取得した立体フラグが無効を示す場合には、前記アプリケーションソフトウエアから読み出した2次元映像を表示する表示領域に対して、前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を行うように制御する、ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項5】
映像に対して高画質化処理を施して表示するための高画質化回路を備え、偏光板方式により立体映像を表示する表示制御方法であって、
アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示領域に表示する場合に、前記表示領域域内では前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する表示制御ステップを有することを特徴とする表示制御方法。
【請求項1】
映像に対して高画質化処理を施して表示するための高画質化回路を備え、偏光板方式により立体映像を表示する表示制御装置であって、
アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示領域に表示する場合に、前記表示領域域内では前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する表示制御手段を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記高画質化回路に備えられた、ディザ回路、エッジ強調回路を当該制御の対象とする、ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
アプリケーションソフトウエアから通知される立体フラグを取得する取得手段を備え、
前記表示制御手段は、前記取得した立体フラグが有効を示す場合には、前記アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示する表示領域に対して、前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する、ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記取得手段で取得した立体フラグが無効を示す場合には、前記アプリケーションソフトウエアから読み出した2次元映像を表示する表示領域に対して、前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を行うように制御する、ことを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項5】
映像に対して高画質化処理を施して表示するための高画質化回路を備え、偏光板方式により立体映像を表示する表示制御方法であって、
アプリケーションソフトウエアから読み出した立体映像を表示領域に表示する場合に、前記表示領域域内では前記高画質化回路による垂直方向のライン間補正を停止するように制御する表示制御ステップを有することを特徴とする表示制御方法。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2012−80267(P2012−80267A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222712(P2010−222712)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(311012169)NECパーソナルコンピュータ株式会社 (116)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(311012169)NECパーソナルコンピュータ株式会社 (116)
【Fターム(参考)】
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