説明

表示制御装置及びその制御方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】オブジェクトを再表示する際に、当該オブジェクトの表示範囲を状況に応じて好適に制御する。
【解決手段】表示領域よりも大きなオブジェクトの当該表示領域への表示開始の指示を受け付けたことに応じて、当該オブジェクトのうちの一部の範囲を表示範囲として表示領域に表示するように制御する。この時、直前にオブジェクトの表示を終了してからの経過時間が所定時間に満たないうちに表示開始指示を受け付けた場合、表示を終了した際に表示領域に表示されていた表示範囲に基づいた範囲を初期表示範囲として決定する。また経過時間が所定時間以上となってから表示開始指示を受け付けた場合には、表示を終了した際に表示領域に表示されていた表示範囲には関わらず、予め定められた基準によって定まる表示範囲を初期表示範囲として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面に表示させるオブジェクトの表示範囲を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラや携帯電話等の携帯電子機器の中には、ユーザが取扱説明書を携帯していない場合であっても機器が備えている機能の使用方法を知ることができるように、当該使用方法を説明するためのデータを備え、ヘルプ画面として提示可能なものがある。近年では、機能の複雑化や表示文字の拡大機能等により、機器の備える表示装置の表示範囲にヘルプ画面の内容が収まりきらない場合もある。この場合、表示範囲に含まれていないヘルプ画面の内容を閲覧するためには、ユーザはヘルプ画面のスクロール操作やページ送り操作を行うことにより、当該ヘルプ画面の表示範囲を変更する必要がある。
【0003】
しかしながら、ヘルプ画面の内容が表示範囲に収まらない場合、次のような問題がある。例えば、ヘルプ画面で操作方法を閲覧しつつ、実際に機器の操作を行う場合、ヘルプ画面の表示を一時的に終了するたびに、スクロール操作やページ送り操作が行われた後もヘルプ画面の初期表示画面が表示されてしまうため、ユーザは再び操作を行う必要がある。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、閲覧していた電子データの表示位置の情報をしおりデータとして格納することにより、再度閲覧を行う際に、前回表示されていた表示範囲と同一の範囲を表示可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−65580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、電子データについてしおりデータが格納されている場合は、前回表示されていた表示範囲と同一の範囲が表示されてしまうため、ユーザが所望する範囲を閲覧するためには操作を必要とすることがあった。
【0007】
また、例えば上述したようなヘルプ画面の閲覧については、繰り返し同一の機能についてのヘルプの閲覧を行う場合や、選択項目に応じてヘルプ画面の表示位置が切り替わる場合等、状況によって好ましい表示範囲が異なることがある。しかしながら、特許文献1の技術は、このような状況に応じて表示範囲を異ならせることはできなかった。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、オブジェクトを再表示する際に、当該オブジェクトの表示範囲を状況に応じて好適に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するために、本発明の表示制御装置は、以下の構成を備える。
表示領域に、当該表示領域よりも大きなオブジェクトを表示するための制御を行う表示制御装置であって、オブジェクトの表示開始の指示を受け付ける指示手段と、指示手段が指示を受け付けたことに応じて、オブジェクトのうちの一部の範囲を表示範囲として表示領域に表示するように制御する表示制御手段と、オブジェクトの表示開始後に該オブジェクトの表示範囲を変更する変更手段と、指示を受け付けたことに応じて表示制御手段が表示する、オブジェクトの初期表示範囲を、直前にオブジェクトの表示を終了してからの経過時間が所定時間に満たないうちに指示手段が指示を受け付けた場合には、表示を終了した際に表示領域に表示されていた終了時の表示範囲に基づいた範囲に決定し、経過時間が所定時間以上となってから指示を受け付けた場合には、終了時の表示範囲には基づかずに決定する決定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような構成により本発明によれば、オブジェクトを再表示する際に、当該オブジェクトの表示範囲を状況に応じて好適に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの機能構成を示したブロック図
【図2】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの表示装置を備える面の外観図
【図3】本発明の実施形態に係るヘルプ表示処理のフローチャート
【図4】本発明の実施形態に係る設定画面の表示例
【図5】本発明の実施形態に係るヘルプ画面の表示例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、表示制御装置の一例としての、表示対象のオブジェクトのうちの表示装置に表示させる範囲を制御可能なデジタルカメラに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、表示対象のオブジェクトのうちの表示装置に表示させる範囲を制御することが可能な任意の機器に適用可能である。また、本明細書において、「表示範囲」とは、表示装置の表示領域に表示させる、表示対象のオブジェクトのうちの一部の範囲あるいは領域を示すものとして説明する。
【0013】
(デジタルカメラ100の構成)
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ100の機能構成を示すブロック図である。
【0014】
制御部101は、例えばCPUであり、デジタルカメラ100が備える各ブロックの動作を制御する。具体的には制御部101は、例えばROM102に記憶されているヘルプ表示制御処理のプログラムを読み出して、RAM103に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。
【0015】
ROM102は、例えばEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリであり、ヘルプ表示制御処理のプログラムに加え、デジタルカメラ100が備える各ブロックの動作に必要なパラメータやデジタルカメラ100の撮影設定等が記憶される。また本実施形態では、ROM102には後述する表示部107に表示させる、各種GUIデータ及びヘルプ画面に表示されるヘルプ文書データが記憶される。
【0016】
RAM103は、揮発性メモリであり、ヘルプ表示制御処理のプログラムの展開領域としてだけでなく、デジタルカメラ100が備える各ブロックの動作において出力された中間データ等を一時的に格納する領域としても用いられる。
【0017】
なお、本実施形態ではハードウェアとしてデジタルカメラ100が備える各ブロックにおいて処理が実現されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限らず、各ブロックの処理は当該各ブロックと同様の処理を行うプログラムで実現されてもよい。
【0018】
撮像部105は、例えばCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、光学系104により結像された光学像を光電変換することにより、アナログ画像信号を出力する。撮像部105により出力されたアナログ画像信号は、後述する画像処理部106あるいは表示部107に出力される。なお、撮像部105の撮像により出力されたアナログ画像信号を、表示部107に順次出力して表示(スルー表示)させることにより、表示部107を電子ビューファインダとして機能させることができる。
【0019】
画像処理部106は、撮像部105から出力されたアナログ画像信号、あるいは後述する記録媒体111から読み出されて入力された画像データに対して所定の画像処理を適用するブロックである。画像処理部106において適用される画像処理は、例えばA/D変換処理、D/A変換処理、符号化処理、復号処理、リサイズ処理、ノイズ低減処理、または色変換処理等が含まれる。
【0020】
表示部107は、例えば小型LCD等の表示装置であり、入力された画像データに係るアナログ信号や、ROM102に記憶されているGUIデータあるいはヘルプ文書データ等を表示する。
【0021】
システムタイマ108は、デジタルカメラ100が有する内蔵タイマであり、処理に係る時間計測や現在時刻の保持等に用いられる。本実施形態では、当該システムタイマ108を用いることにより、ヘルプ画面の表示が終了してから再度表示されるまでに係る時間を計測するものとして以下に説明するが、時間計測を行える機能を有する他のハードウェアを用いてもよいことは容易に理解されよう。
【0022】
記録媒体I/F110は、接続された記録媒体111に対するデータの書き込み及び読み出しを制御するインタフェースであり、制御部101の指示を受けて動作する。また記録媒体111は、例えば内蔵メモリ等のデジタルカメラ100に内蔵される記録領域や、メモリカードやHDD等のデジタルカメラ100に着脱可能に接続される記録装置であってよい。例えば撮影指示があった場合、記録媒体111には撮像部105で撮像されて画像処理部106において各種画像処理が適用されて出力された画像データが、記録媒体I/F110を介して記録される。
【0023】
操作入力部109は、例えば電源スイッチやモードダイヤル等の、デジタルカメラ100が備えるユーザインタフェースであり、ユーザによりなされた操作入力を受け付けて、対応する制御信号を制御部101に出力するブロックである。
【0024】
(デジタルカメラ100のユーザインタフェース)
ここで、デジタルカメラ100が備えるユーザインタフェースについて、図2を用いて説明する。なお、図2はデジタルカメラ100の、表示部107を備える面の外観図を示している。
【0025】
シャッタボタン201は、撮影指示を受け付けるための操作部材であり、当該部材の押し込まれたストローク量に従って、SW1及びSW2信号を制御部101に伝送する。INFOボタン202は、表示部107の情報表示を切り替えるための指示を受け付けるための操作部材である。本実施形態ではINFOボタン202は、ヘルプ画面の表示指示の入力にも用いられる。ダイヤル203は、例えば設定画面の候補選択やヘルプ画面のスクロール操作の指示を受け付けるための操作部材である。SETボタン204は、設定画面に含まれる項目のうち、ダイヤル203による指示によって選択された候補について決定指示を行うため操作部材である。電源スイッチ205は、デジタルカメラ100の電源投入に使用される操作部材であり、電源ON状態と電源OFF状態とを切り替える。モードダイヤル206は、静止画撮影モード、シーン撮影モード、動画撮影モード等のデジタルカメラ100のモードを切り替えるための操作部材である。MENUボタン207は、撮影モード及び閲覧モードのそれぞれにおいてメニュー画面の表示指示の入力に用いられる操作部材である。MENUボタン207により表示されたメニュー画面には複数の設定項目が含まれ、当該設定項目のうちの1つを選択決定することにより、表示部107の表示は後述する設定画面に遷移する。
【0026】
(GUI遷移例)
本実施形態では、ユーザの操作により表示部107に設定画面が表示されている際に、INFOボタン202が押下されている期間、選択されている設定項目あるいは設定項目内のパラメータ候補についてのヘルプ画面を表示する。
【0027】
例えば図4のように、設定項目である「セイフティシフト」についての設定画面400が表示されている場合、当該画面には「しない」(設定なし)、「Tv値/Av値」、「ISO感度」の3つのパラメータ候補401乃至403が表示されている。図4の例ではパラメータ候補401である「しない」が選択されており、当該候補を識別可能とするために選択枠404が表示されている。なお、当該設定画面400が表示部107に表示されている状態において、ユーザはダイヤル203を操作することにより選択枠404を移動し、他のパラメータ候補を選択することが可能である。また設定画面400の下部領域には、INFOボタン202を操作することによりヘルプ画面の表示が可能であることを通知するための表示405がなされている。
【0028】
このときユーザによりINFOボタン202が押下された状態にされると、表示部107の表示は図5のようなヘルプ画面に遷移する。本実施形態では、設定画面400の表示からヘルプ画面500に遷移する場合、説明表示領域501には通常は図5(a)のように、「セイフティシフト」についてのヘルプ文書データの先頭から当該領域501に収まる範囲のデータが表示されるものとする。また説明表示領域501に表示されているヘルプ文書データの表示範囲は、当該範囲がヘルプ文書データの全体に対する位置関係を示す、インジケータ502により示される。
【0029】
説明表示領域501に表示されるヘルプ文書データの表示範囲は、ユーザがINFOボタン202を押下しつつダイヤル203を回転操作することにより初期表示範囲以外の範囲に移動可能であり、インジケータ502の表示は当該操作に応じて遷移する。例えばダイヤル203への操作入力により、図5(a)の説明表示領域501に表示されていたヘルプ文書データの表示範囲に続く範囲が新たな表示範囲とされた場合、表示部107に表示されるヘルプ画面500は図5(b)のようになる。またヘルプ文書データの表示範囲が後端に至った場合、ヘルプ画面500は図5(c)のようになる。なお、本実施形態では、ヘルプ文書データは全範囲の情報を説明表示領域501に表示させるために、少なくともダイヤル203によるページ送り操作あるいはスクロール操作が必要であるものとする。
【0030】
一般的に、ヘルプ画面500の表示終了後に短い間隔で再表示指示がなされた場合、ユーザが前回と同じ説明を閲覧することを所望しているとみなすことができる。一方で、ヘルプ画面500の表示終了後に別の操作がなされる等して時間が経過するほど、ユーザが前回と同じ説明を閲覧することを所望している可能性は低くなると思われる。本実施形態では、ヘルプ画面500の表示が終了した後に再びヘルプ画面500の表示指示がなされた場合、表示終了後から再表示の指示がなされるまでに経過した時間により、説明表示領域501に表示されるヘルプ文書データの初期表示範囲を制御する。即ち、ヘルプ画面500の再表示時に前回と同じ表示範囲を表示するか否かを判断する所定時間を設けて表示制御を行うことにより、ユーザが所望する可能性が高いヘルプ画面を提示することができる。
【0031】
なお、以下の説明では表示部107の表示が設定画面400からヘルプ画面500に遷移する場合、所定時間の経過後はヘルプ文書データの先頭から規定された表示範囲が説明表示領域501に表示されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限らない。例えばヘルプ文書データ内に、複数のパラメータ候補についての説明が含まれる場合、ヘルプ画面500に遷移する際に設定画面400において選択されていたパラメータ候補に応じた説明箇所の部分が含まれる範囲が表示範囲として選択されてもよい。即ち、所定時間の経過後に表示されるヘルプ文書データの表示範囲は、「前回の表示範囲」として規定される範囲とは異なる、予め設定された基準により規定される範囲であればよい。
【0032】
また、本実施形態ではユーザが意図せずにヘルプ画面の表示を終了してしまい、再表示を所望する状況を説明する例として、INFOボタン202の押下が継続している期間だけヘルプ画面を表示する仕様のデジタルカメラ100について説明する。しかしながら、本発明の実施はこの仕様に限らず、例えばINFOボタン202の押下によりヘルプ画面の表示有無が切り替わる構成や、時間経過により自動的に表示を終了する構成等であってもよいことは容易に想像されよう。
【0033】
(ヘルプ表示制御処理)
このような構成をもつ本実施形態のデジタルカメラ100のヘルプ表示制御処理について、図3のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。当該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えばROM102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、RAM103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本ヘルプ表示制御処理は、例えばユーザがメニュー画面において特定の設定項目を選択した際、即ち図4のような設定画面の表示を行う際に開始されるものとして説明する。
【0034】
S301で、制御部101は、ヘルプ画面の表示指示がなされたか否かを判断する。具体的には制御部101は、操作入力部109からユーザがINFOボタン202を操作することによりなされた入力に対応する制御信号を受信したか否かにより、ヘルプ画面の表示指示の有無を判断する。制御部101は、ヘルプ画面の表示指示がなされたと判断した場合は処理をS302に移し、なされていないと判断した場合は処理をS311に移す。
【0035】
S302で、制御部101は、現在表示されている設定画面に対応する設定項目についてのヘルプ画面が前回表示終了されてから所定時間以上経過しているか否かを判断する。具体的には制御部101は、現在の設定項目についてのヘルプ画面が前回表示終了された際に開始させたシステムタイマ108のカウントが、所定時間以上の値であるか否かを判断する。即ち、本ステップにおいて制御部101は当該設定項目についてのヘルプ画面を表示する際に表示するヘルプ文書データの表示範囲を、前回の表示終了時に表示されていた表示範囲に設定するか、あるいは先頭からの表示範囲に設定するかを判断する。
【0036】
なお、所定時間はヘルプ文書データの表示範囲を制御する閾値として設定される時間であり、予め工場出荷時にROM102に記憶されていてもよいし、ユーザにより設定可能であってもよい。また、ヘルプ画面が前回表示終了されてから経過した時間は、システムタイマ108にカウントさせる構成に限らない。例えば複数の設定項目についてヘルプ画面の表示終了されてからの経過時間を計測可能なように、表示終了時のシステムタイマ108のカウントをRAM103に記憶し、本ステップでシステムタイマ108のカウントから減算により算出してもよい。また、表示終了後に所定時間以上経過した場合、システムタイマ108に開始させたカウントを停止してもよいし、あるいは所定時間以上前に記憶されたカウントのデータを削除してもよい。
【0037】
制御部101は、現在の設定項目のヘルプ画面が前回表示終了されてからの経過時間が所定時間以上ではないと判断した場合は処理をS303に移し、経過していると判断した場合は処理をS304に移す。
【0038】
S303で、制御部101は、ヘルプ画面の説明表示領域に初期表示する、現在の設定項目のヘルプ文書データの表示範囲を、現在の設定項目に関連付けられてROM102に記憶されている、前回表示終了時に当該領域に表示されていた範囲に設定する。
【0039】
また現在の設定項目のヘルプ画面が前回表示終了されてから所定時間以上経過している場合は、S304で制御部101は、ヘルプ画面の説明表示領域に初期表示する、現在の設定項目のヘルプ文書データの表示範囲を、先頭からの範囲に設定する。
【0040】
制御部101は、ヘルプ画面の表示指示がなされている状態であるか否かを判断し、S305乃至S308のループ処理を実行する。具体的には制御部101は、ユーザがINFOボタン202を押下した状態であり、操作入力部109からINFOボタン202が操作されている状態である制御信号を受信し続けている状態であるか否かを判断する。そして制御部101は、ヘルプ画面の表示指示がなされている状態であると判断した場合はS305乃至S308のループ処理を実行し、なされていないと判断した場合はループ処理を抜け、ヘルプ画面の表示を完了して処理をS309に移す。
【0041】
S306で、制御部101は、現在の設定項目のヘルプ文書データについて設定された表示範囲を、説明表示領域に描画した、ヘルプ画面のデータを画像処理部106に生成させ、表示部107の表示領域に表示させる。
【0042】
S307で、制御部101は、ヘルプ画面の説明表示領域に現在表示させているヘルプ文書データの表示範囲を変更する操作入力がなされたか否かを判断する。具体的には制御部101は、操作入力部109からユーザがダイヤル203を操作することによりなされた入力に対応する制御信号を受信したか否かにより、表示範囲の変更の有無を判断する。制御部101は、ヘルプ文書データの表示範囲を変更する操作入力がなされたと判断した場合は処理をS308に移し、なされていないと判断した場合は処理をS309に移す。
【0043】
S308で、制御部101は、S307で検出された操作入力に応じて、ヘルプ文書データの表示範囲を変更する。具体的には制御部101は、操作入力部109から入力されたダイヤル203の回転方向及び回転量の情報に従って、表示範囲の移動方向及び移動量を算出し、新たな表示範囲を決定する。
【0044】
ヘルプ画面の表示指示がなされていないと判断されてS305乃至S308のループ処理を抜けた場合、S309で制御部101は、現在表示されているヘルプ文書データの表示範囲の情報を取得し、現在の設定項目に関連付けてRAM103に記憶する。さらに制御部101は、S310においてシステムタイマ108に時間計測を開始させる。
【0045】
S311で、制御部101は、設定画面のパラメータ候補の選択を変更する入力がなされたか否かを判断する。具体的には制御部101は、操作入力部109からユーザがダイヤル203を操作することによりなされた入力に対応する制御信号を受信したか否かにより、候補選択の変更の有無を判断する。制御部101は、設定画面の候補の選択を変更する入力がなされたと判断した場合は処理をS312に移し、なされていないと判断した場合は処理をS313に移す。
【0046】
S312で、制御部101は、S311で検出された操作入力に応じて、設定画面において選択するパラメータ候補を変更する。具体的には制御部101は、操作入力部109から入力されたダイヤル203の回転方向及び回転量の情報に従って、選択するパラメータ候補を変更し、変更したパラメータ候補の情報を例えばRAM103に格納する。
【0047】
S313で、制御部101は、選択されているパラメータ候補に選択枠を重畳表示した設定画面を設定画面のデータを画像処理部106に生成させ、表示部107に表示させる。
【0048】
S314で、制御部101は、設定画面の表示を終了するか否かを判断する。具体的には制御部101は、ユーザにより設定画面を終了するための操作入力に対応する制御信号を操作入力部109より受信したか否かにより、設定画面を終了するか否かを判断する。制御部101は、設定画面の表示を終了すると判断した場合は本ヘルプ表示制御処理を完了し、終了しないと判断した場合は処理をS301に戻す。
【0049】
なお、設定画面を終了するための操作入力は、ユーザがMENUボタン207を操作することによる設定画面の表示終了指示に限らず、例えばSETボタン204の操作による選択枠が重畳表示されているパラメータ候補についての選択決定指示でもよい。また、例えばユーザがシャッタボタン201を操作することによる撮影指示がなされた場合は、ユーザが再び同一のヘルプ文書データの表示範囲の閲覧を所望する可能性が低いため経過時間の計測をリセットし、当該操作を設定画面終了の操作とみなしてもよい。これにより、撮影処理が行われた後の、次回のヘルプ画面表示時には、ヘルプ画面の前回の表示終了時の表示範囲に関わらず、先頭からの範囲が初期表示範囲となる。また、例えばユーザがモードダイヤル206を操作することにより撮影モードが変更された場合に、ユーザは設定パラメータを現在の設定パラメータと異ならせる可能性が高いため経過時間の計測をリセットし、当該操作を設定画面終了の操作とみなしてもよい。なお、撮影モードを変更する処理であった場合は、変更後の撮影モードについて設定を変更可能なように、ヘルプ表示制御処理を完了せずに処理をS301に戻してもよい。また、撮影モードの変更に限らず、他の撮影に関する設定の変更があった場合にも、経過時間の計測をリセットして、次回のヘルプ画面表示時には、ヘルプ画面の前回の表示終了時の表示範囲に関わらず、先頭からの範囲が初期表示範囲となるようにしてもよい。
【0050】
なお、本実施形態ではヘルプ画面の説明表示領域に表示されるヘルプ文書データ(ヘルプ情報)の表示範囲を制御する例について説明したが、本発明の実施はこれに限らない。即ち、本発明は、特定の表示領域への表示において、全範囲を表示するために表示範囲を異ならせる処理を必要とするオブジェクトの表示制御について適用可能であり、当該表示データが画像データ等、文書データに限らないことは容易に理解されよう。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の表示制御装置は、オブジェクトを再表示する際に、当該オブジェクトの表示範囲を状況に応じて好適に制御することができる。具体的には表示制御装置は、表示領域よりも大きなオブジェクトの当該表示領域への表示開始の指示を受け付けたことに応じて、当該オブジェクトのうちの一部の範囲を表示範囲として表示領域に表示するように制御する。この時、直前にオブジェクトの表示を終了してからの経過時間が所定時間に満たないうちに表示開始指示を受け付けた場合、表示を終了した際に表示領域に表示されていた表示範囲に基づいた範囲を初期表示範囲として決定する。また経過時間が所定時間以上となってから表示開始指示を受け付けた場合には、表示を終了した際に表示領域に表示されていた表示範囲には関わらず、予め定められた基準によって定まる表示範囲を初期表示範囲として決定する。
【0052】
このようにすることで、ユーザが誤ってオブジェクトの表示を中断してしまった場合やオブジェクトの閲覧と他の操作を繰り返し行う場合等に、オブジェクト内の所望の表示範囲を容易に提示することができる。さらに、オブジェクトの再表示時に前回の表示範囲を表示する必要がないと判断される条件を満たした場合には、前回の表示範囲とは別の基準で選択された表示範囲が表示されるようにすることができる。即ち、前回の表示範囲が表示されることにより、操作が煩雑となる、あるいは不要な操作が必要となることを回避できる。
【0053】
なお、制御部101の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0054】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0055】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、設定途中の設定項目に関する情報を表示可能な表示制御装置であれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。
【0056】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域に、当該表示領域よりも大きなオブジェクトを表示するための制御を行う表示制御装置であって、
前記オブジェクトの表示開始の指示を受け付ける指示手段と、
前記指示手段が前記指示を受け付けたことに応じて、前記オブジェクトのうちの一部の範囲を表示範囲として前記表示領域に表示するように制御する表示制御手段と、
前記オブジェクトの表示開始後に該オブジェクトの表示範囲を変更する変更手段と、
前記指示を受け付けたことに応じて前記表示制御手段が表示する、前記オブジェクトの初期表示範囲を、直前に前記オブジェクトの表示を終了してからの経過時間が所定時間に満たないうちに前記指示手段が前記指示を受け付けた場合には、前記表示を終了した際に前記表示領域に表示されていた終了時の表示範囲に基づいた範囲に決定し、前記経過時間が前記所定時間以上となってから前記指示を受け付けた場合には、前記終了時の表示範囲には基づかずに決定する決定手段と、
を有することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記指示手段が前記指示を受け付けたことに応じて前記オブジェクトの表示を開始した後、前記指示手段が当該指示を継続して受け付けている間、前記表示領域に前記オブジェクトを表示し、当該指示が無くなると前記オブジェクトの表示を終了するように制御することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示領域に表示された項目が選択された状態で前記指示手段が前記指示を受け付け、かつ前記経過時間が前記所定時間以上となっていた場合、
前記決定手段は、前記オブジェクトのうち、前記選択されていた項目に関連付けられた部分が含まれるように前記初期表示範囲を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記終了時の表示範囲を記憶する記憶手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記オブジェクトは、前記表示制御装置の設定の操作に関するヘルプ情報であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御装置は撮像手段を有する撮像装置であって、
前記決定手段は、直前に前記オブジェクトの表示を終了してから撮影に関する設定の変更があった場合には、前記経過時間が前記所定時間に満たないうちに前記指示を受け付けた場合であっても、前記初期表示範囲を前記終了時の表示範囲には基づかずに決定することを特徴とする請求項5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記撮影に関する設定の変更は、複数の撮影モードのうちの設定される撮影モードの変更であることを特徴とする請求項6に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記表示制御装置は撮像手段を有する撮像装置であって、
前記決定手段は、直前に前記オブジェクトの表示を終了してから撮影処理があった場合には、前記経過時間が前記所定時間に満たないうちに前記指示を受け付けた場合であっても、前記初期表示範囲を前記終了時の表示範囲には基づかずに決定することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項9】
表示領域に、当該表示領域よりも大きなオブジェクトを表示するための制御を行う表示制御装置の制御方法であって、
前記オブジェクトの表示開始の指示を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記指示を受け付けたことに応じて、前記オブジェクトのうちの一部の範囲を表示範囲として前記表示領域に表示するように制御する表示制御工程と、
前記オブジェクトの表示開始後に該オブジェクトの表示範囲を変更する変更工程と、
前記指示を受け付けたことに応じて前記表示制御工程で表示する、前記オブジェクトの初期表示範囲を、直前に前記オブジェクトの表示を終了してからの経過時間が所定時間に満たないうちに前記受付工程で前記指示を受け付けた場合には、前記表示を終了した際に前記表示領域に表示されていた終了時の表示範囲に基づいた範囲に決定し、前記経過時間が前記所定時間以上となってから前記指示を受け付けた場合には、前記終了時の表示範囲には基づかずに決定する決定工程と
を有することを特徴とする表示制御装置の制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示制御装置の各手段として機能させるためのプログラムが記録された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−234353(P2012−234353A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102346(P2011−102346)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】