説明

表示制御装置及び表示制御装置の制御方法

【課題】分割画面表示モードにおいて、少ない切り換え回数でCM放送以外の他チャンネルの内容を確認可能な表示制御装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の表示制御装置は、表示モードとして、1つの画面に複数の入力信号を表示する分割画面表示モードと、前記複数の入力信号のいずれか1つを前記画面に表示する1画面表示モードとを選択可能な表示制御装置であって、前記複数の入力信号のそれぞれに対し、CMを表す信号であるか否かを判定する判定手段と、ユーザが表示モードを分割画面表示モードに切り換えた際に、前記判定手段においてCMを表す信号でないと判定された入力信号のうち、いずれか1つを、音声出力を行う主画面として選択する選択手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示モードとして、1つの画面に複数の入力信号を表示する分割画面表示モードと、それら複数の入力信号のいずれか1つを画面に表示する1画面表示モードとを選択可能な表示制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示モードとして、1つの画面に複数の入力信号を表示する分割画面表示モードと、それら複数の入力信号のいずれか1つを画面に表示する1画面表示モードとを選択可能な表示制御装置がある。そのような表示制御装置は、1画面表示モードでは、画面全体に1つの入力信号を表示し、分割画面表示モードでは、画面を複数の分割画面に分割し、分割した各分割画面に入力信号を表示する(複数の入力信号を表示する)。また、そのような表示制御装置において、表示モードを分割画面表示モードに切り換えた場合、当該切り換え直前に表示されていた入力信号が主画面として選択される。
【0003】
主画面とは、分割画面表示モードにおいて、複数の分割画面のうちの1つの分割画面であって、アクティブ状態で表示されている分割画面である。アクティブ状態とは、音声出力がされている状態や、チャンネル操作などのユーザからの指示を受付可能な状態のことを指す。音声が出力されることにより、ユーザはその分割画面でどのような番組が放送されているかを容易に把握(確認)することができる。分割画面表示モードにおいて、主画面以外の分割画面は副画面と呼ばれ、副画面では映像表示だけが行われる。
【0004】
このような分割画面表示モードを利用することにより、ユーザは、副画面の中から視聴するチャンネルを選択することが可能になる。例えば、ユーザは、副画面の中から主画面を選択することにより(主画面を切り換えることにより)、視聴するチャンネルを切り換えることができる。以後、このような分割画面表示モードにおいて、ユーザがリモコン等により主画面を頻繁に切り換える操作をザッピング操作と呼ぶ。
【0005】
ユーザが表示モードを分割画面表示モードに切り換えるという行為は、一般に、他チャンネルの番組を視聴したいが故の行為である。CM(commercial message)放送中に表示モードを分割画面表示モードに切り換えた場合、特にそのような目的である可能性が高い。しかしながら、分割画面表示モードへの切り換えが他チャンネルの番組を視聴するためのものであったとしても、分割画面表示モードでは当該切り換え直前に表示されていた入力信号が主画面として選択される。そのため、分割画面表示モードにおいて他チャンネルの番組を視聴するためには、ユーザは必ずリモコン等を用いて主画面を切り換えなければならない。また、視聴していたチャンネルでCMが放送されるたびに分割画面表示モードで他チャンネルの番組を(音声も含めて)確認する場合、ユーザは表示モードを切り換えるたびに主画面を切り換えなければならない。そのような操作(主画面の切り換え)は、ユーザにとってわずらわしいものである場合が多い。そのため、このような主画面の切り換え回数は少なければ少ないほど望ましい。
【0006】
また、分割画面表示モードにおいて、分割画面の表示サイズは、画面の分割数(分割画面の数)が多いほど小さくなる。そのため、分割画面表示モードにおいて多くの入力信号(例えばすべてのチャンネル)を表示すると、分割画面の表示サイズは非常に小さくなり、ユーザにとって分割画面に表示されているのがCMなのか否か(番組なのか否か)の判断が困難となる。そのため、ユーザにとって所望の番組を探すのが困難となる。
【0007】
従来技術として、CMの時間を利用して他のチャンネルをサーチする技術が特許文献1
に開示されている。具体的には、特許文献1に開示されているテレビジョン受像機は、視聴しているチャンネルがCM放送か否かを判定する。そして、視聴しているチャンネルがCM放送の間、視聴時に使用されていた第1のチューナとは異なる第2のチューナを使用して、当該チャンネル以外のチャンネルを表示する。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、1画面表示モードのときに有効なものである。即ち、このような技術を用いたとしても、表示モードを分割画面表示モードに切り換えた場合、当該切り換え直前の表示モードにおいて主画面とされていた入力信号が主画面とされるため、上記問題を解決することはできない。
【0009】
【特許文献1】特開平10−51706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、分割画面表示モードにおいて、少ない切り換え回数でCM放送以外の他チャンネルの内容を確認可能な表示制御装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の表示制御装置は、
表示モードとして、1つの画面に複数の入力信号を表示する分割画面表示モードと、前記複数の入力信号のいずれか1つを前記画面に表示する1画面表示モードとを選択可能な表示制御装置であって、
前記複数の入力信号のそれぞれに対し、CMを表す信号であるか否かを判定する判定手段と、
ユーザが表示モードを分割画面表示モードに切り換えた際に、前記判定手段においてCMを表す信号でないと判定された入力信号のうち、いずれか1つを、音声出力を行う主画面として選択する選択手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の表示制御装置の制御方法は、
表示モードとして、1つの画面に複数の入力信号を表示する分割画面表示モードと、前記複数の入力信号のいずれか1つを前記画面に表示する1画面表示モードとを選択可能な表示制御装置の制御方法であって、
前記複数の入力信号のそれぞれに対し、CMを表す信号であるか否かを判定するステップと、
ユーザが表示モードを分割画面表示モードに切り換えた際に、CMを表す信号でないと判定された入力信号のうち、いずれか1つを、音声出力を行う主画面として選択するステップと、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分割画面表示モードにおいて、少ない切り換え回数でCM放送以外の他チャンネルの内容を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る表示制御装置の具体的な実施例について、詳しく説明する。本発明は、表示モードとして、1つの画面(表示パネル)に複数の入力信号を表示する分割画面表示モードと、それら複数の入力信号のいずれか1つを画面に表示する1画面表示モードとを選択可能な表示制御装置に好ましく適用することができる。
【0015】
<実施例1>
図1に実施例1に係る表示制御装置の構成の一例を表すブロック図を示す。図1に示すように、本実施例に係る表示制御装置では、分割画面表示モードにおいて、4つのチューナに入力された入力信号が1つの画面(4つの分割画面)に表示される。なお、チューナの数や分割画面表示モードでの分割画面の数は、これに限らない。
【0016】
チューナ1,チューナ2,チューナ3,チューナ4でデコードされた入力信号は画像処理部5、出力音声選択制御部7、主画面選択制御部8に出力される。画像処理部5、出力音声選択制御部7、主画面選択制御部8の機能については後述する。本実施例1ではチューナに入力された入力信号が分割画面に表示される場合について説明するが、分割画面に表示する入力信号は、これに限らない。例えば、HDMI端子やD端子に入力された入力信号、VoIP放送の入力信号などでも良い。分割画面に表示する入力信号は、映像を表す映像信号と、音声を表す音声信号とを含んでいればよい。
【0017】
表示モード制御部9は、ユーザの操作(操作情報)に応じて、表示モードを規定する分割画面表示ON/OFF情報を出力する。例えば、ユーザがリモコン等により表示モードの切り換えを指示すると、表示モード制御部9は、当該指示に応じた情報を出力する。具体的には、ユーザによって1画面表示モードが選択された場合、分割画面表示ON/OFF情報として0を出力し、分割画面表示モードが選択された場合、分割画面表示ON/OFF情報として1を出力する。なお、当該分割画面表示ON/OFF情報は一例であり、1画面表示モードや分割画面表示モードへの切り換えが行われたことを表す情報であればどのようなものであってもよい。分割画面表示ON/OFF情報は画像処理部5、主画面選択制御部8、合成部6に出力される。
【0018】
画像処理部5は、分割画面表示ON/OFF情報に応じて各入力信号の表示サイズを変更する。具体的には、1画面表示モード時には、各入力信号に対して、表示サイズが表示パネル10の表示解像度と同等の大きさとなるよう拡大又は縮小処理(拡大・縮小処理)を施す。分割画面表示モード時には、分割画面数に応じて、各入力信号の表示サイズが適切な大きさになるように、拡大・縮小処理を行う。例えば、分割画面表示モードにおいて4つの入力信号を表示する場合には、各入力信号の表示サイズが表示パネル10の表示解像度の1/4以下となるように拡大・縮小処理を行う。当然、拡大・縮小処理は、アスペクト比を一定として行うことが好ましい。拡大・縮小処理された各入力信号は合成部6に出力される。
【0019】
主画面選択制御部8は、入力信号のそれぞれに対し、CMを表す信号であるか否かを判定する。そして、当該判定結果(どの入力信号がCMを表す信号かを表すもの;CM画面情報)と分割画面表示ON/OFF情報に応じて主画面とする入力信号の選択を行う(主画面とされた入力信号以外の入力信号は、副画面とされる)。当該選択結果(どの入力信号を主画面とするかを表す情報;主画面情報)は合成部6及び出力音声選択制御部7に出力される。なお、副画面では、映像表示のみが行われるものとする。
【0020】
合成部6は、分割画面表示ON/OFF情報に応じて、出力信号(映像信号)を作成する。具体的には、1画面表示モードの場合、選択されているチャンネルの映像信号を出力し、分割画面表示モードの場合、複数の入力信号の合成映像を作成し出力する。また、分割画面表示モードの場合、主画面情報に基づいて、主画面が明示されるように合成映像が作成される。図2は、分割画面表示モード時に合成部6で作成された合成映像の模式図である。図2において、611,613,および614は副画面であり、612は主画面である。主画面612は表示枠(分割画面の縁)が副画面より太くなっており、主画面であることが明確に示されている。図2の例では、表示枠の線の太さにより主画面と副画面の
違いを明示したが、主画面と副画面の違いが明示できればどのように区別してもよい。
【0021】
出力音声選択制御部7は、主画面情報に応じて出力する音声信号を選択する。具体的には、主画面として選択された入力信号の音声信号が、スピーカ11へ送られる。例えばチューナ1に入力された入力信号が主画面とされた場合、当該入力信号の音声信号がスピーカ11へ送られる。これにより、分割画面表示モードにおいて、主画面として選択された入力信号による音声が出力されるため、ユーザは主画面として選択された入力信号の内容を容易且つ正確に把握(確認)することができる。
【0022】
表示パネル10は合成部から出力された映像信号を表示する。表示パネル10としては、電子放出素子を有する表示パネル、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELを用いた表示パネルなど、種々の表示パネルが適用できる。
【0023】
スピーカ11は出力音声選択制御部7から出力された音声信号の音声出力を行う。
【0024】
図3に主画面選択制御部8の内部ブロック図を示す。主画面選択制御部8はCM判定部81、主画面選択部82を有する。
【0025】
CM判定部81は、入力信号のそれぞれに対し、CMを表す信号であるか否かを判定する。CM判定部81は、例えば、音声の再生方式が切り換わった際に、入力信号がCMを表す信号に切り換わったものとすればよい。例えば、モノラルからステレオ、5.1Chサラウンドからステレオなどに切り換わった場合に、入力信号がCMを表す信号に切り換わったものとすればよい。なお、CM判定部81による判定は、音声による判定に限らない。CMを表す信号であるかを判断できればどのような方法であってもよい。CM判定部81での判定結果(CM画面情報)は、主画面選択部82に出力される。
【0026】
主画面選択部82は、CM画面情報、及び、分割画面表示ON/OFF情報に応じて、主画面とする入力信号の選択を行う。具体的には、主画面選択部82は、表示モードが分割画面表示モードに切り換えられた際に、CM判定部81においてCMを表す信号でないと判定された入力信号のうち、いずれか1つを、音声出力を行う主画面として選択する。図4を用いて、主画面選択部82による処理の流れについて説明する。図4は、主画面選択部82による処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、チューナ1に入力された信号を入力信号1、チューナ2に入力された信号を入力信号2、チューナ3に入力された信号を入力信号3、チューナ4に入力された信号を入力信号4とする。
【0027】
まず、表示モードが分割画面表示モードに切り換えられた際に、入力信号1がCMを表す信号か否かを判定する(ステップS101)。当該判定は、CM画面情報を確認することにより行われる。そして、入力信号1がCMを表す信号である場合(ステップS101:YES)、ステップS102へ進む。入力信号1がCMを表す信号でない場合(ステップS101:NO)、主画面とする入力信号として入力信号1を選択する(ステップS103)。
【0028】
ステップS102では、入力信号2がCMを表す信号か否かを判定する。そして、入力信号2がCMを表す信号である場合(ステップS102:YES)、ステップS104へ進む。入力信号2がCMを表す信号でない場合(ステップS102:NO)、主画面とする入力信号として入力信号2を選択する(ステップS105)。
【0029】
ステップS104では、入力信号3がCMを表す信号か否かを判定する。そして、入力信号3がCMを表す信号である場合(ステップS104:YES)、ステップS106へ進む。入力信号3がCMを表す信号でない場合(ステップS104:NO)、主画面とす
る入力信号として入力信号3を選択する(ステップS107)。
【0030】
ステップS106では、入力信号4がCMを表す信号か否かを判定する。そして、入力信号4がCMを表す信号である場合(ステップS106:YES)、ステップS109へ進む。入力信号4がCMを表す信号でない場合(ステップS106:NO)、主画面とする入力信号として入力信号4を選択する(ステップS108)。
【0031】
ステップS109は、すべての入力信号がCMを表す信号であると判定されている場合に行われる処理である。図4の例では、ステップS109で、主画面とする入力信号として入力信号1が選択される。なお、ステップS109では、分割画面表示モードへの切り換え前に主画面として選択されていた入力信号(例えば、1画面表示モードで視聴していたチャンネルに対応する入力信号)を主画面とすることが好ましい。それにより、全ての入力信号がCMを表す信号である場合に、従来と同様の動作がなされるため、ユーザは違和感無く続けて操作することができる。
【0032】
なお、図4のフローチャートでは、入力信号1〜4について、順に主画面とするか否かを判定しているが、判定の順番はどのような順番でもよい。ランダムでもよい。また、分割画面表示モードへの切り換え前に主画面として選択されていた入力信号について最初に判定することが好ましい。それにより、分割画面表示モードへの切り換え前に主画面として選択されていた入力信号がCMを表す信号でない場合に、従来と同様の動作がなされるため、ユーザは違和感無く続けて操作することができる。
【0033】
主画面が選択された後、ユーザは、リモコン等により主画面を切り換えることができる。リモコン等による主画面の切り換えについて図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図5は、ユーザがリモコンの(上下左右に対応する)カーソルボタンを押すことによって主画面を切り換える場合の例であるが、主画面の切り換えは、どのように行われてもよい。
【0034】
カーソルボタンにより“右”が指示された場合(ステップS121:YES)、主画面を副画面とし、その右隣の副画面を主画面とする(ステップS122)。カーソルボタンにより“左”が指示された場合(ステップS123:YES)、主画面を副画面とし、その左隣の副画面を主画面とする(ステップS124)。カーソルボタンにより“上”が指示された場合(ステップS125:YES)、主画面を副画面とし、その直上に位置する副画面を主画面とする(ステップS126)。カーソルボタンにより“下”が指示された場合(ステップS127:YES)、主画面を副画面とし、その直下に位置する副画面を主画面とする(ステップS128)。
【0035】
図6を用いて従来の表示制御装置と本実施例に係る表示制御装置の違いについて説明する。図6は、1画面表示モードでチャンネル3を表示しており、分割画面表示モードに切り換えることにより分割画面1〜4を表示した場合の例である。分割画面1にはチャンネル3、分割画面2にはチャンネル5、分割画面3にはチャンネル7、分割画面4にはチャンネル9が表示されており、チャンネル3,7はCM表示中であり、チャンネル5,9は番組表示中とする。
【0036】
従来の表示制御装置では、表示モードを分割画面表示モードに切り換えた場合に、1画面表示時に視聴していた入力信号(チャンネル3)がCM表示中であるか否かに関わらず、当該入力信号(分割画面1)が主画面とされる。チャンネル3がCM表示中の場合、当該表示モードの切り換えは、他チャンネルの番組を視聴したいが故の行為である可能性が高い。ユーザが番組表示中のチャンネルを視聴するためには、チャンネル5またはチャンネル9(分割画面2または分割画面4)を主画面としなければならない。即ち、ユーザは
主画面を切り換えなければならない。
【0037】
一方、本実施例に係る表示制御装置では、表示モードを分割画面表示モードに切り換えた場合に、入力信号毎にCM表示中かどうかの判定を行い、番組表示中の入力信号が主画面となるように制御される。従って、本実施例に係る表示制御装置では、表示モードを分割画面表示モードに切り換えた場合に、チャンネル5またはチャンネル9(分割画面2または分割画面4)が主画面とされる。それにより、従来の表示制御装置で必要とされた主画面の切り換えを省略することができる。
【0038】
図6の例では、本実施例に係る表示制御装置を用いることによって、従来の表示制御装置に対し1回分(最大2回分)の(主画面の)切り換えしか省略することができないが、省略できる(主画面の)切り換え回数は、分割画面数が多くなるにつれて顕著になる。
【0039】
例えば、分割画面表示モードにおいて5行5列(5×5)の分割画面が表示される場合、省略できる切り換え回数は、最大で8回となる。具体的には、従来の表示制御装置において、5×5の分割画面のうち、左上隅の分割画面が主画面とされ、右下隅の分割画面のみが番組表示中であった場合、当該番組表示中の分割画面を主画面とするためには8回の切り換えが必要となる。また、分割画面表示モードにおいて10行10列(10×10)の分割画面が表示される場合、省略できる切り換え回数は、最大で18回となる。分割画面表示モードにおいてN×Mの分割画面が表示される場合、省略できる切り換え回数は、最大で(N+M−2)回となる。
【0040】
<実施例2>
実施例1では、主画面の切り換えについて、とりわけ制限を設けていなかった。即ち、実施例1では、どのような入力信号についても主画面に切り換えることが可能であった。本実施例2では、主画面の切り換えについて、制限を設ける。
【0041】
具体的には、分割画面表示モードにおいて多くの入力信号を表示すると、分割画面の表示サイズが非常に小さくなるため、(ユーザにとって)分割画面に表示されているのがCMなのか否か(番組なのか否か)の判断が困難となる。その結果、他チャンネルの番組を探すために主画面を切り換える際に、CM表示中の入力信号を主画面として選んでしまうことがある。そのような主画面の切り換えは、ユーザの目的と異なるため、ユーザにとってわずらわしいものとなる。また、分割画面表示モードにおいて、主画面から番組表示中の副画面までの間に、CM表示中の副画面が多数ある場合には、切り換え回数が多くなってしまう。そこで、本実施例では、そのような操作のわずらわしさを解消するために、番組表示中の副画面に対してのみ切り換えを可能とする。以下に、詳しく説明する。
【0042】
図7に本実施例に係る表示制御装置の構成の一例を表すブロック図を示す。本実施例に係る表示制御装置は、実施例1に係る表示制御装置(図1)と、主画面選択制御部8及び合成部6の機能が異なる(実施例1と区別するため、本実施例では12を主画面選択制御部、13を合成部とする)。以下、実施例1と異なる箇所についてのみ説明する。
【0043】
主画面選択制御部12は、入力信号のそれぞれに対し、CMを表す信号であるか否かを判定する。そして、当該判定結果(CM画面情報)と分割画面表示ON/OFF情報に応じて、複数の入力信号から、主画面、副画面、及び、選択不可画面とする入力信号を選択する。当該選択結果(どの入力信号を主画面、副画面、選択不可画面とするかを表す情報;主画面副画面情報)は合成部13及び出力音声選択制御部7に出力される。本実施例では、主画面以外の入力信号のうちCMを表す信号でないと判定された入力信号を副画面、CMを表す信号であると判定された入力信号を選択不可画面とする。副画面及び選択不可画面では共に映像表示のみが行われる。また、本実施例において、ユーザは、副画面に対
してのみ主画面として選択することができ、選択不可画面に対しては主画面として選択できない(主画面として選択不可能)ものとする。
【0044】
合成部13は、分割画面表示ON/OFF情報に応じて、出力信号(映像信号)を作成する。具体的には、1画面表示モードの場合、選択されているチャンネルの映像信号を出力し、分割画面表示モードの場合、複数の入力信号の合成映像を作成し出力する。また、本実施例では、分割画面表示モードの場合、主画面副画面情報に基づいて、主画面、副画面、選択不可画面がそれぞれ明示されるように合成映像が作成される。図8は、分割画面表示モード時に合成部13で作成された合成映像の模式図である。図8において、911,913は選択不可画面、914は副画面、912は主画面である。選択不可画面は表示枠(分割画面の縁)が細く、主画面は表示枠が太く、副画面は、表示枠が太く且つ点線となっており、主画面、副画面、選択不可画面がそれぞれ明確に区別されている。このように区別することにより、分割画面数が多い場合でも、ユーザは各分割画面の種類(主画面、副画面、選択不可画面)を判断することができる。なお、図8の例では、表示枠の線種によって主画面、副画面、選択不可画面をそれぞれ明示したが、主画面、副画面、選択不可画面の違いが明示できればどのように区別してもよい。
【0045】
図9に主画面選択制御部12の内部ブロック図を示す。主画面選択制御部12はCM判定部121、主画面選択部122を有する。
【0046】
主画面選択部122は、CM画面情報、及び、分割画面表示ON/OFF情報に応じて、複数の入力信号から、主画面、副画面、選択不可画面の選択を行う。図10を用いて、主画面選択部122による処理の流れについて説明する。図10は、主画面選択部122による処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、チューナ1に入力された信号を入力信号1、チューナ2に入力された信号を入力信号2、チューナ3に入力された信号を入力信号3、チューナ4に入力された信号を入力信号4とする。
【0047】
まず、表示モードが分割画面表示モードに切り換えられた際に、入力信号1がCMを表す信号か否かを判定する(ステップS201)。そして、入力信号1がCMを表す信号である場合(ステップS201:YES)、入力信号1を選択不可画面とし(ステップS202)、ステップS204へ進む。入力信号1がCMを表す信号でない場合(ステップS201:NO)、入力信号1を主画面とし(ステップS203)、ステップS204へ進む。
【0048】
ステップS204では、入力信号2がCMを表す信号か否かを判定する。そして、入力信号2がCMを表す信号である場合(ステップS204:YES)、入力信号2を選択不可画面とし(ステップS206)、ステップS209へ進む。入力信号2がCMを表す信号でない場合(ステップS204:NO)、主画面としての入力信号が既に選択されているか否か判定する(ステップS205)。主画面としての入力信号が既に選択されている場合(ステップS205:YES)、入力信号2を副画面とし(ステップS208)、ステップS209へ進む。主画面としての入力信号が選択されていない場合(ステップS205:NO)、入力信号2を主画面とし(ステップS207)、ステップS209へ進む。
【0049】
ステップS209では、入力信号3がCMを表す信号か否かを判定する。そして、入力信号3がCMを表す信号である場合(ステップS209:YES)、入力信号3を選択不可画面とし(ステップS211)、ステップS214へ進む。入力信号3がCMを表す信号でない場合(ステップS209:NO)、主画面としての入力信号が既に選択されているか否か判定する(ステップS210)。主画面としての入力信号が既に選択されている場合(ステップS210:YES)、入力信号3を副画面とし(ステップS213)、ス
テップS214へ進む。主画面としての入力信号が選択されていない場合(ステップS210:NO)、入力信号2を主画面とし(ステップS212)、ステップS214へ進む。
【0050】
ステップS214では、入力信号4がCMを表す信号か否かを判定する。そして、入力信号4がCMを表す信号である場合(ステップS214:YES)、入力信号4を選択不可画面とし(ステップS216)、ステップS219へ進む。入力信号4がCMを表す信号でない場合(ステップS214:NO)、主画面としての入力信号が既に選択されているか否か判定する(ステップS215)。主画面としての入力信号が既に選択されている場合(ステップS215:YES)、入力信号4を副画面とし(ステップS218)、ステップS219へ進む。主画面としての入力信号が選択されていない場合(ステップS215:NO)、入力信号4を主画面とし(ステップS217)、ステップS219へ進む。
【0051】
ステップS219では、主画面としての入力信号が選択されているか否かを判定する。主画面としての入力信号が選択されていない場合(ステップS219)には、入力信号1を主画面とする(ステップS220)。これにより、全ての入力信号がCMを表す信号である場合に、主画面が選択されなくなることが回避される。なお、ステップS220では、分割画面表示モードへの切り換え前に主画面として選択されていた入力信号(例えば、1画面表示モードで視聴していたチャンネルに対応する入力信号)を主画面とすることが好ましい。それにより、全ての入力信号がCMを表す信号である場合に、従来と同様の動作がなされるため、ユーザは違和感無く続けて操作することができる。
【0052】
なお、実施例1と同様に、主画面とするか否か判定の順番は、どのような順番でもよい。ランダムでもよい。
【0053】
主画面が選択された後、ユーザは、リモコン等により主画面を切り換えることができる。リモコン等による主画面の切り換えについて図11のフローチャートを用いて説明する。なお、図11は、ユーザがリモコンの(上下左右に対応する)カーソルボタンを押すことによって主画面を切り換える場合の例であるが、主画面の切り換えは、どのように行われてもよい。
【0054】
カーソルボタンにより“右”が指示された場合(ステップS311)、主画面の右方向に副画面があるか否かを判定する(ステップS312)。主画面の右方向に副画面がある場合(ステップS312:YES)、主画面を副画面(CM表示中の場合、選択不可画面)とし、主画面の右方向にある副画面のうちいずれか1つを主画面とする(ステップS313)。例えば、主画面の右方向にある副画面のうち、主画面に最も近い副画面を主画面とする。主画面の右方向に副画面が無い場合(ステップS312:NO)、主画面の切り換えは行われない。
【0055】
カーソルボタンにより“左”が指示された場合(ステップS314)、主画面の左方向に副画面があるか否かを判定する(ステップS315)。主画面の左方向に副画面がある場合(ステップS315:YES)、主画面を副画面(CM表示中の場合、選択不可画面)とし、主画面の左方向にある副画面のうちいずれか1つを主画面とする(ステップS316)。例えば、主画面の左方向にある副画面のうち、主画面に最も近い副画面を主画面とする。主画面の左方向に副画面が無い場合(ステップS315:NO)、主画面の切り換えは行わない。
【0056】
カーソルボタンにより“上”が指示された場合(ステップS317)、主画面の上方向に副画面があるか否かを判定する(ステップS318)。主画面の上方向に副画面がある
場合(ステップS318:YES)、主画面を副画面(CM表示中の場合、選択不可画面)とし、主画面の上方向にある副画面のうちいずれか1つを主画面とする(ステップS319)。例えば、主画面の上方向にある副画面のうち、主画面に最も近い副画面を主画面とする。主画面の上方向に副画面が無い場合(ステップS318:NO)、主画面の切り換えは行わない。
【0057】
カーソルボタンにより“下”が指示された場合(ステップS320)、主画面の下方向に副画面があるか否かを判定する(ステップS321)。主画面の下方向に副画面がある場合(ステップS321:YES)、主画面を副画面(CM表示中の場合、選択不可画面)とし、主画面の下方向にある副画面のうちいずれか1つを主画面とする(ステップS322)。例えば、主画面の下方向にある副画面のうち、主画面に最も近い副画面を主画面とする。主画面の下方向に副画面が無い場合(ステップS321:NO)、主画面の切り換えは行わない。
【0058】
なお、全ての入力信号(または、主画面以外の入力信号)がCMを表す信号である場合には、図5のフローチャートに従うものとする。即ち、全ての入力信号(または、主画面以外の入力信号)がCMを表す信号である場合には、選択不可画面を主画面として選択可能とする。これにより、主画面の切り換えができなくなる場合を回避することができる。
【0059】
このように、実施例2では、番組表示中の入力信号間(分割画面間)でのみ主画面の切り換えを可能とすることにより、分割画面数が多い場合でも、主画面を適確に切り換えることができる。また、CM表示中の入力信号への切り換えが省略されるため、ユーザは少ない切り換え回数でCM放送以外の他チャンネルの内容を確認することができるようになる。
【0060】
以上述べたように、本実施形態に係る表示制御装置によれば、分割画面表示モードへの切り換え時に、CM表示中以外の入力信号のいずれか1つが主画面として選択される。そのため、従来の表示制御装置と比べ、少ない切り換え回数でCM放送以外の他チャンネルの内容を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、実施例1に係る表示制御装置の構成の一例を表すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1に係る表示制御装置の分割画面表示モード時に合成部で作成された合成映像の模式図である。
【図3】図3は、実施例1に係る主画面選択制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施例1に係る主画面選択部による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施例1に係る表示制御装置の分割画面表示モード時におけるリモコン操作による主画面の切り換えについて説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、従来の表示制御装置と実施例1に係る表示制御装置の違いを表す図である。
【図7】図7は、実施例2に係る表示制御装置の構成の一例を表すブロック図である。
【図8】図8は、実施例2に係る表示制御装置の分割画面表示モード時に合成部で作成された合成映像の模式図である。
【図9】図9は、実施例2に係る主画面選択制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、実施例2に係る主画面選択部による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施例2に係る表示制御装置の分割画面表示モード時におけるリモコン操作による主画面の切り換えについて説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
8,12 主画面選択制御部
81,121 判定部
82,122 主画面選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示モードとして、1つの画面に複数の入力信号を表示する分割画面表示モードと、前記複数の入力信号のいずれか1つを前記画面に表示する1画面表示モードとを選択可能な表示制御装置であって、
前記複数の入力信号のそれぞれに対し、CMを表す信号であるか否かを判定する判定手段と、
ユーザが表示モードを分割画面表示モードに切り換えた際に、前記判定手段においてCMを表す信号でないと判定された入力信号のうち、いずれか1つを、音声出力を行う主画面として選択する選択手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記判定手段において、すべての入力信号がCMを表す信号であると判定された場合、前記選択手段は、分割画面表示モードへ切り換える前に表示されていた入力信号を主画面として選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記判定手段の判定結果に応じて、前記複数の入力信号から、主画面、ユーザが主画面として選択可能な副画面、ユーザが主画面として選択不可能な選択不可画面とする入力信号を選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記副画面とする入力信号及び前記選択不可画面とする入力信号は前記主画面とする入力信号以外の入力信号であって、
前記副画面とする入力信号は、前記判定手段においてCMを表す信号でないと判定された入力信号であり、
前記選択不可画面とする入力信号は、前記判定手段においてCMを表す信号であると判定された入力信号である
ことを特徴とする請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記選択手段は、分割画面表示モードへ切り換える前に表示されていた入力信号が、前記判定手段においてCMを表す信号でないと判定された場合、当該入力信号を前記主画面として選択する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
表示モードとして、1つの画面に複数の入力信号を表示する分割画面表示モードと、前記複数の入力信号のいずれか1つを前記画面に表示する1画面表示モードとを選択可能な表示制御装置の制御方法であって、
前記複数の入力信号のそれぞれに対し、CMを表す信号であるか否かを判定するステップと、
ユーザが表示モードを分割画面表示モードに切り換えた際に、CMを表す信号でないと判定された入力信号のうち、いずれか1つを、音声出力を行う主画面として選択するステップと、
を含むことを特徴とする表示制御装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−41372(P2010−41372A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201683(P2008−201683)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】