説明

表示制御装置

【課題】カラー表示装置に表示された文字や描画線等の描画データが見づらいといった不具合を防止する。
【解決手段】文字や描画線等の描画データをカラー表示装置に表示させる表示制御装置において、描画データのサイズを切り替えて表示するサイズ切替手段と、描画データを表示する領域の背景画像の空間周波数分布を調べ、その背景画像に高い空間周波数成分が多いか否かを判断する背景画像判断手段と、を備え、背景画像判断手段により高い空間周波数成分が多い画像であると判断した場合、サイズ切替手段により描画データのサイズを切り替えて表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字や描画線等の描画データをカラー表示装置に表示させる表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子黒板システムに代表される情報入出力システムにおいては、従来から、カラーパレットを表示装置に表示して、筆記色および背景色を選択できるにようになっている。この場合、例えば描画する線種として3種類の線種を線種選択メニューに登録することができるようなシステムにおいては、その筆記色はユーザが線の色の設定操作を行わない限り、第1の線は背景色に対する補色(色相環の反対側の色であり、混ぜるとグレーになる色)、第2の線は赤色、第3の線は青色である。なお、第1の線は背景色に対する補色を自動的に設定するが、背景色が緑色の場合には、その補色である赤紫色を線の色にすると、この色の組合せがビジネスの場に合わず不快感を与える可能性があることを考慮して、線の色を白色としている。
【0003】
ところで、近年、プレゼンテーション等を行う場合に、プロジェクターや大画面ディスプレイを備えた情報入出力システム等を使用する機会が多くなってきている。このような表示画面が大画面である場合には、文字や線等のグラフィックは、多くの人にとって見易いことが望まれる。
【0004】
ところが、情報入出力システム等で用いるプレゼンテーション用資料を作成するPC等の文書作成装置においては、強調したい文字や線等のグラフィックの色はユーザが判断して設定するようにしているが、このグラフィックの設定色とその表示画面の背景色との組合せによっては、強調したい部分がそれ以外の部分に対して必ずしも強調して見えない場合があった。
【0005】
特に、プロジェクターのように大画面に投影して表示するタイプでは、投影光量が十分でない場合にはこの現象が顕著になる。このように投影して表示するタイプでこの現象が顕著になるのは、例えば、背景が青色で通常の文字色が白色の場合、強調したい文字を赤色にすると、文書作成装置に接続されたディスプレイの表示では強調して見ることができても、これをプロジェクターを介して大画面に投影して表示した場合には、投影光量が十分でない場合には表示される各色の明度が低下し、赤色と青色との色の違いが小さく見える。すなわち、強調する意図で赤色に設定した文字が、プロジェクターを介して投影表示されると逆に見づらくなってしまうという不具合が生じるからである。
【0006】
そこで、このような不具合を解消すべく、特許文献1に記載されているカラー表示装置および電子黒板システムにおいては、文字(フォント)の色および筆記描画色と、それらの背景色とが類似している場合には、文字(フォント)の色および筆記描画色を変化させる方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において開示された技術によれば、文字(フォント)の色および筆記描画色が1色である場合には、背景色に対する補色を設定することで対応できるが、文字(フォント)の色および筆記描画色が複数の場合には対応することができないという問題がある。
【0008】
また、カーソルを表示画面に表示させる際に、その色が背景色やそのカーソルの周りに表示されている文字や筆記描画線の色と類似している場合には、カーソルが目立たずにカーソルを視認しづらいといった問題もある。
【0009】
さらに、特許文献1に記載されているカラー表示装置および電子黒板システムにおける色の選択は、表示装置(大画面ディスプレイ)が設置される背後や周囲、あるいはプロジェクターで投影される領域の周囲の色とは無関係に行われていたため、表示される色と表示装置が設置される背後や周囲、あるいはプロジェクターで投影される領域の周囲の色との組合せによっては、その色合いがよくない場合がある。
【0010】
さらにまた、文字(フォント)や筆記描画線の背景が単色ではなく、複数色から成る絵柄や静止画像、さらに動画像である場合があるが、このような場合には、特許文献1に記載されているカラー表示装置および電子黒板システムでは、背景色の出現頻度の平均に基づいて評価したカラー評価値に対応した筆記描画色を選定する方法を示している。しかしながら、様々な色が混ざり合った静止画像や、各色の出現頻度が時間とともに変化する動画像が背景の場合には、目立つ文字(フォント)の色および筆記描画色を選定することが困難な場合がある。
【0011】
加えてに、文字(フォント)や筆記描画線が細いと、これらの文字や筆記描画線が非常に見づらいといった問題もある。
【0012】
本発明の目的は、カラー表示装置に表示された文字や描画線等の描画データが見づらいといった不具合を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、文字や描画線等の描画データをカラー表示装置に表示させる表示制御装置において、前記描画データのサイズを切り替えて表示するサイズ切替手段と、前記描画データを表示する領域の背景画像の空間周波数分布を調べ、その背景画像に高い空間周波数成分が多いか否かを判断する背景画像判断手段と、を備え、前記背景画像判断手段により高い空間周波数成分が多い画像であると判断した場合、前記サイズ切替手段により前記描画データのサイズを切り替えて表示することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、文字や描画線等の描画データをカラー表示装置に表示させる表示制御装置において、前記描画データのサイズを切り替えて表示するサイズ切替手段を備え、前記描画データを表示する領域の背景画像が静止画像あるいは動画像の場合、前記サイズ切替手段により前記描画データのサイズを切り替えて表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カラー表示装置に表示された文字や描画線等の描画データが見づらくなるのを防止することができるという効果を奏する。
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、カラー表示装置に表示される文字や描画線等の描画データの背景が単色ではなく複数色から成る絵柄や静止画像または動画像であり、かつ、高い空間周波数成分が多い場合には、描画データのサイズを大きなサイズに切り替えて表示することで、描画データが見づらくなるのを防止することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、カラー表示装置に表示される文字や描画線等の描画データに縁が付加されるため、描画データが見づらくなるのを防止することができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、カラー表示装置に表示される文字や描画線等の描画データの背景が静止画像または動画像である場合には、描画データのサイズを大きなサイズに切り替えて表示することで、描画データが見づらくなるのを防止することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明によれば、カラー表示装置に表示される文字や描画線等の描画データに縁が付加されるため、描画データが見づらくなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態の情報入出力システムを概略的に示すシステム構成図である。
【図2】図2は、制御装置に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図3】図3は、表示コントローラに内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図4】図4は、情報入出力装置の各電子カメラの配置状態を示す説明図である。
【図5】図5は、電子カメラの広角レンズおよびCMOSイメージセンサ付近を示す拡大図である。
【図6】図6は、エッジ部の像上の数点の画素位置を示す説明図である。
【図7】図7は、筆記部材の画像および基準線の回転の例を示す説明図である。
【図8】図8は、接触点の結像位置と広角レンズの光軸の結像位置との距離の算出手法を示す説明図である。
【図9】図9は、「描画線」アイコンが選択された場合のプルダウンメニューの一例を示す平面図である。
【図10】図10は、「線の設定」ウィンドウの表示例を示す平面図である。
【図11】図11は、背景色の変更に伴い描画線の表示色を変更する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、視覚的に強調させる「強調」の線がある場合の「描画線」アイコンが選択された場合のプルダウンメニューの一例を示す平面図である。
【図13】図13は、視覚的に強調させる「強調」の線がある場合の「線の設定」ウィンドウの表示例を示す平面図である。
【図14】図14は、線色の組合せを1つの背景色に対して複数用意した場合に「描画線」アイコンが選択された場合のプルダウンメニューの一例を示す平面図である。
【図15】図15は、線色の組合せを1つの背景色に対して複数用意した場合における背景色の変更に伴い描画線の表示色を変更する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】図16は、背景色及び描画線の表示色の変更に伴いカーソルの表示色を変更する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】図17は、環境色の設定に伴い背景色及び描画線の表示色を設定する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図18】図18は、背景色と描画線の色の組合せを選択するための「色設定」ウィンドウの表示例を示す平面図である。
【図19】図19は、環境色の設定に伴い背景色と描画線の色との組合せを選択する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図20】図20は、本発明の第二の実施の形態の情報入出力システムにおいて「文字」アイコンが選択された場合のプルダウンメニューの一例を示す平面図である。
【図21】図21は、「文字の設定」ウィンドウの表示例を示す平面図である。
【図22】図22は、背景色の変更に伴い文字の表示色を変更する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図23】図23は、視覚的に強調させる「強調」の文字色がある場合の「文字の設定」ウィンドウの表示例を示す平面図である。
【図24】図24は、視覚的に強調させる「強調」の文字の表示色を変更する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図25】図25は、背景色と文字の色の組合せを選択するための「文字の設定」ウィンドウの表示例を示す平面図である。
【図26】図26は、「表示色の組合せ」ウィンドウの表示例を示す平面図である。
【図27】図27は、文字色の組合せを1つの背景色に対して複数用意した場合における背景色の変更に伴い文字の表示色を変更する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図28】図28は、背景色及び文字の表示色の変更に伴いカーソルの表示色を変更する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図29】図29は、環境色の設定に伴い背景色及び文字の表示色を設定する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図30】図30は、背景色と文字の色の組合せを選択するための「表示色の組合せ」ウィンドウの表示例を示す平面図である。
【図31】図31は、環境色の設定に伴い背景色と文字の色との組合せを選択する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図32】図32は、本発明の第二の実施の形態の情報入出力システムにおいて制御装置の空間周波数チェック部の動作を示すフローチャートである。
【図33】図33は、画像の特徴色に基づく描画線の色や文字の色を設定する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図34】図34は、描画線や文字の太さを太くする際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図35】図35は、描画線や文字に縁を付加して表示する際の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図19に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、情報入出力システムとして、カラー表示装置として大画面のPDP(Plasma Display Panel)を使用し、そのディスプレイ面の右上部と左上部にそれぞれ電子カメラを取り付けて、各電子カメラから入力された画像情報に基づいてディスプレイ面に接触する物体の接触位置座標を求める電子黒板システムを適用した例である。
【0022】
本実施の形態の情報入出力システム100のシステム構成図を図1に示す。この情報入出力システム100は、情報入出力装置1と表示制御装置(以下、制御装置という)2とから構成されており、情報入出力装置1は2個の電子カメラ10,11とカラー表示装置12、さらに2個のスピーカー13,14を具備している。
【0023】
電子カメラ10および電子カメラ11は、カラー表示装置12に高画素タイプのXGA(1024×768画素)で表示された場合にも、メニュー選択や筆記動作等が支障なく実行される程度に高画素で画像信号の出力フレームレートが大きく、また光電変換された信号を画素単位に独立して出力することができる2次元撮像素子を具備している。この2次元撮像素子としては、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサがある。これらの電子カメラは、撮像素子にて光電変換された電気信号をA/D(Analog/Digital)変換して、デジタル画像データを出力する。また、各電子カメラの光軸はカラー表示装置12の平面と平行となるように取り付けられている。なお、これらの電子カメラのレンズは画角が90度以上の広角レンズであり、カラー表示装置12全体の領域について接触する所定の座標入力物体を撮像できるようになっている。
【0024】
また、前述したように、カラー表示装置12は大画面のPDP(Plasma Display Panel)である。さらに、スピーカー13とスピーカー14は情報入出力装置1に内蔵されており、制御装置2から入力されるオーディオ信号を音として出力する。
【0025】
次に、制御装置2に内蔵される各部の電気的接続を図2に示す。図中、CPU(Central Processing Unit)20、メインメモリ21、クロック22、バスコントローラ23、ROM(Read Only Memory)24、PCI(Peripheral Component Interconnect)ブリッジ25、キャッシュメモリ26、ハードディスク27、HD(Hard Disk)コントローラ28、画像処理回路(1)29、画像処理回路(2)30、表示コントローラ31、MPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ32、LAN(Local Area Network)コントローラ43、LANI/F(Interface)44、FD(Floppy(登録商標)Disk)コントローラ33、FDドライブ34、DVD−RAM(Digital Video Disc Random Access Memory)コントローラ35、DVD−RAMドライブ36、キーボードコントローラ37、マウスI/F38、RTC(Real Time Clock)39、CPUバス40、PCIバス41、Xバス(内部バス)42は、制御装置2に実装されている。
【0026】
ROM24には、電源オン時のシステム立ち上げや各種デバイスの制御を行うためのプログラムが予め書き込まれており、CPU20は、ROM24に記憶された制御処理プログラム、ハードディスク27からメインメモリ21に読み出されたOS(Operating System)や各種のアプリケーションプログラムを実行、処理する。メインメモリ21は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)より構成されており、CPU20のワークエリア等で使用される。クロック22は、水晶発振子と分周回路から構成されており、CPU20やバスコントローラ23の動作タイミングを制御するためのクロックを生成している。バスコントローラ23は、CPUバス40とXバス42でのデータ転送を制御する。
【0027】
PCIブリッジ25は、キャッシュメモリ26を使用して、PCIバス41とCPU20との間のデータ転送を行う。キャッシュメモリ26は、DRAMより構成されており、PCIブリッジ25により使用される。
【0028】
ハードディスク27は、システムソフトウェア、各種のアプリケーションプログラム、多数のユーザデータ等を記憶する。HDコントローラ28は、ハードディスク27とのインタフェースとして例えばIDE(Integrated Device Electronics)インタフェースを持ち、ハードディスク27と高速データ転送を行う。
【0029】
画像処理回路(1)29は、情報入出力装置1の電子カメラ10から出力されたデジタル画像データをRS−422等のデジタルI/F(図示を省略)を介して入力し、その画像データから物体の抽出処理や物体の形状の認識処理等を行う。また、画像処理回路(1)29は、電子カメラ10に与えるクロックや画像転送パルスをRS−422等のデジタルI/F(図示を省略)を介して出力する。画像処理回路(2)30は画像処理回路(1)29と同じハードウェアであり、情報入出力装置1の電子カメラ11から出力されたデジタル画像データを入力し、画像処理回路(1)29と同様な動作を実行する。なお、画像処理回路(1)29と画像処理回路(2)30からそれぞれ電子カメラ10と電子カメラ11へ与えるクロックや画像転送パルスは同期するようになっている。
【0030】
表示コントローラ31は、文字データやグラフィックデータ等をD/A(Digital/Analog)変換するとともに、これらのデータを情報入出力装置1のカラー表示装置12に表示するための制御を行う。この表示コントローラ31の内部構成および動作については、後で詳しく説明する。
【0031】
MPEGデコーダ32は、DVD−RAM(DVD−RAMドライブ36によりデータが読み取られる)やハードディスク27に記憶されたMPEGファイルをデコードして、デコードされたYUV(Y:U:V=4:2:2)ビデオデータを表示コントローラ31へ出力し、またデコードされたオーディオデータはD/A変換してスピーカー13とスピーカー14へ出力する。ここで、Yは輝度成分、UとVは色差(クロマ)成分であり、U=B(青)−Y、V=R(赤)−Yである。
【0032】
LANコントローラ43は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3規格に準拠した通信プロトコルを実行して、LANI/F44を介してイーサネット(登録商標)に接続された他の機器との通信を制御する。
【0033】
FDコントローラ33は、FDドライブ34とデータ転送を行う。DVD−RAMコントローラ35は、DVD−RAMドライブ36とのインタフェースとして例えばSCSI−2(Small Computer System Interface-2)インタフェースを持ち、DVD−RAMドライブ36とデータ転送を行う。
【0034】
キーボードコントローラ37は、キーボード3から入力されたシリアルデータからパラレルデータへの変換を行う。マウスI/F38は、マウス用のポートを持ち、マウスドライバ(制御プログラム)によって制御される。なお、情報入出力装置1が制御装置2の入力装置であるため、保守用の作業時を除き、キーボード3およびマウス4は接続する必要はない。
【0035】
RTC39は、日付時計であり、図示していないバッテリーによりバックアップされている。
【0036】
次に、表示コントローラ31の内部構成および動作について詳細に説明する。表示コントローラ31に内蔵される各部の電気的接続を図3に示す。表示コントローラ31は、グラフィックコントローラ60、グラフィック用ビデオメモリ61、グラフィックデータ変換部62、表示データ生成部63、DAC(Digitalto Analog Converter)64、ビデオデコーダ65、動画/静止画用ビデオメモリ66、ビデオデータ変換部67、ビデオデータ重畳部68、空間周波数チェック部69より構成される。
【0037】
グラフィックコントローラ60は、CPU20からアクセスする描画用プレーン(ユーザプレーン)を複数枚管理しており、例えば背景用の描画データ(第1のプレーン)と文字や描画線等のグラフィックの描画データ(第2のプレーン)を別々のユーザプレーンで管理する。そして、CPU20から受け取った文字(フォント)データやグラフィックデータの描画コマンドに従って表示用の描画データを生成する。また、CPU20から指定領域の塗りつぶしコマンドを受けると、その指定された領域の全ての画素に対して指定された色の描画データを生成する。これらの描画データはR(赤)、G(緑)、B(青)、I(Intensity)のそれぞれ1ビットにより1画素が表現される。また、グラフィックコントローラ60は、描画データの重ね合わせ(ユーザプレーン間の重ね合わせ)、例えば背景と文字や線との重ね合わせ処理も行う。グラフィック用ビデオメモリ61はVRAM(Video Random Access Memory)であり、R、G、B、Iの各ビットプレーンを持っている。
【0038】
グラフィックデータ変換部62は、グラフィック用ビデオメモリ61から8画素ずつ、すなわち32ビットずつデータを読み出して、内蔵されたカラーパレットを使用して1画素あたり8ビットのデータに変換する。表示データ生成部63は、グラフィックデータ変換部62から1画素ずつ、すなわち8ビットずつデータを読み出して、内蔵されたカラールックアップテーブルを使用して1画素あたりR、G、Bそれぞれ6ビットの表示データを生成する。そして、動画や静止画のビデオデータと重ね合わせて表示する場合には、このデータをビデオデータ重畳部68へ出力し、そうでない場合はDAC64へ出力する。DAC64は、R、G、Bの各デジタルデータからアナログ映像信号に変換して情報入出力装置1のカラー表示装置12へ出力する。
【0039】
ビデオデコーダ65は、MPEGデコーダ32から入力されるYUVビデオデータ、あるいはCPU20にてソフトウェアにより伸長された静止画(例えば、JPEG伸長画像)のYUVビデオデータを1画素(16ビット)あたりR、G、Bそれぞれ8ビットのデータに変換する。なお、動画や静止画の空間周波数のチェック処理が実行される場合には、空間周波数チェック部69からYUVビデオデータが入力される。
【0040】
動画/静止画用ビデオメモリ66はVRAMであり、R、G、Bの各ビットプレーンを持っている。ビデオデータ変換部67は、内蔵された変換テーブルを使用してR、G、B各8ビットのデータをそれぞれ6ビットのデータに変換する。ビデオデータ重畳部68は、ビデオデータ変換部67から入力されたR、G、Bの各データに対して表示データ生成部63から入力されたR、G、Bの各データを上書きするか、あるいはこれらのデータをビット毎のORをとって(描画データの透過表示)DAC64へ出力する。空間周波数チェック部69は、MPEGデコーダ32から入力されるYUVビデオデータあるいはCPU20にてソフトウェアにより伸長された静止画のYUVビデオデータの中のY信号から輝度成分の空間周波数の分布を調べたり、また輝度成分の平均値を求める処理を行う。
【0041】
以下に、表示コントローラ31中の動画または静止画の信号の流れを場合に分けて示す。
【0042】
<1.動画>
・空間周波数のチェックあり
MPEGデコーダ32→空間周波数チェック部69→ビデオデコーダ65→動画/静止画用ビデオメモリ66→ビデオデータ変換部67→ビデオデータ重畳部68→DAC64→カラー表示装置12
・空間周波数のチェックなし
MPEGデコーダ32→ビデオデコーダ65→動画/静止画用ビデオメモリ66→ビデオデータ変換部67→ビデオデータ重畳部68→DAC64→カラー表示装置12
以上が動画の場合の信号の流れである。
【0043】
<2.静止画>
・空間周波数のチェックあり
PCIバス41→空間周波数チェック部69→ビデオデコーダ65→動画/静止画用ビデオメモリ66→ビデオデータ変換部67→ビデオデータ重畳部68→DAC64→カラー表示装置12
・空間周波数のチェックなし
PCIバス41→ビデオデコーダ65→動画/静止画用ビデオメモリ66→ビデオデータ変換部67→ビデオデータ重畳部68→DAC64→カラー表示装置12
以上が静止画の場合の信号の流れである。
【0044】
続いて、筆記部材が情報入出力装置1のカラー表示装置12に接触したときの接触位置を幾何学的に求める方法を説明する。図4に示すように、情報入出力装置1の電子カメラ10は広角レンズ50、CMOSイメージセンサ51を具備し、電子カメラ11は広角レンズ52、CMOSイメージセンサ53を具備しており、それぞれの入射光の光軸が情報入出力装置1のカラー表示装置12の平面と平行であり、また、それぞれの電子カメラがカラー表示装置12全体の領域について接触する座標入力物体を撮像できるように配置されている。
【0045】
ここで、広角レンズ50と広角レンズ52との距離をL、カラー表示装置12の平面における指やペン等の筆記部材の接触点をA、点Aの位置座標を(x,y)、広角レンズ50と広角レンズ52とを結ぶ直線をX−Line、広角レンズ50における接触点Aの方向とX−Lineとのなす角度をβ1、広角レンズ52における接触点Aの方向とX−Lineとのなす角度をβ2とする。
【0046】
また、電子カメラ10の広角レンズ50およびCMOSイメージセンサ51付近の拡大図を図5に示す。図5において、fは広角レンズ50とCMOSイメージセンサ51との間の距離、hはCMOSイメージセンサ51における広角レンズ50の光軸の結像位置と接触点Aの結像位置との間の距離(カラー表示装置12の平面に平行な方向における距離)、αは広角レンズ50の光軸とX−Lineとのなす角度、θは接触点Aとその結像点とを結ぶ線と広角レンズ50の光軸とのなす角度である。これらを用いると、
θ=arctan(h/f) ・・・・(1)
β1=α−θ ・・・・(2)
の2式が成り立つ。ここで、角度αは組み付け仕様として予め判っているため、これら2式より角度β1を求めることができる。また、電子カメラ11についても同様にして角度β2を求めることができる。
【0047】
このようにして角度β1と角度β2が求まると、接触点Aの位置座標(x,y)は、三角測量の原理により
x=Ltanβ2/(tanβ1+tanβ2) ・・・・(3)
y=xtanβ1 ・・・・(4)
として算出される。
【0048】
次に、CMOSイメージセンサ51およびCMOSイメージセンサ53上に結像されるカラー表示装置12の平面に該当するエッジ部の像(直線)と各CMOSイメージセンサ51,53の画素配列との関係について説明する。CMOSイメージセンサ51およびCMOSイメージセンサ53は2次元の画素配列を持つが、縦方向と横方向とで画素数が異なる場合、画素数の小さい方向をX軸方向、画素数の大きい方向をY軸方向として、そのY軸方向がカラー表示装置12の平面にできるだけ平行となるように電子カメラ10と電子カメラ11が組み付けられる。縦方向と横方向の画素数が同じ場合は、いずれかの方向をY軸方向とする。
【0049】
ここで、各CMOSイメージセンサ51,53上に結像されるカラー表示装置12の平面に該当するエッジ部の像(直線)が画素配列のY軸方向と一致しない場合は、カラー表示装置12の平面に該当するエッジ部の像(直線)と画素配列のY軸方向との成す角度δを求める。この角度δは、エッジ部の像(直線)上の数点の画素位置を調べることで求めることができる。この説明のための図を図6に示す。図6のエッジ部の像(直線)の端点を基準画素位置として、この直線上の任意の点、A、B、CにおけるX軸方向の画素数xとY軸方向の画素数yを調べる。これらの各点において、
tanδ*=x/y ・・・・(5)
によりδ*が求まるため、これらの平均値を角度δとする。
【0050】
各CMOSイメージセンサ51,53で撮像した画像データからカラー表示装置12の平面と物体(筆記部材)との距離を求める場合、カラー表示装置12の平面に該当するエッジ部の像(直線)をその画像データの座標系のY軸とした方が便利である。そこで、画像データを用いてカラー表示装置12の平面と物体(筆記部材)との距離を求める場合、その画像データの座標値を上記で求めた角度δだけ回転させて処理する。図6に示すように、エッジ部の像(直線)が右に傾いている場合は左方向へ回転させ、逆に左に傾いている場合は右方向へ回転させる。この回転後の座標(x',y')は、回転前の座標を(x,y)として、
x'=x×cosδ−y×sinδ ・・・・(6)
y'=x×sinδ+y×cosδ ・・・・(7)
の2式により求められる。δが正の値の場合は右回り、負の値の場合は左回りに回転する。
【0051】
次に、電子カメラ10と電子カメラ11により撮像された画像データから筆記部材とカラー表示装置12の平面との接触を判断する方法について説明する。情報入出力装置1の電子カメラ10は、CMOSイメージセンサ51の撮像領域の中で、カラー表示装置12の平面と垂直方向については画像信号を出力させる画素を制限する。すなわち、カラー表示装置12の平面から所定の距離までの範囲を撮像している画素のみについて画像信号を出力するように制御する。そして、この画像信号をA/D変換して、このデジタル画像データを制御装置2の画像処理回路(1)29へ出力する。画像処理回路(1)29は、この入力された1フレーム分の画像データから物体の輪郭線を抽出する処理を行う。このような物体の輪郭線の抽出は、例えば、微分により画素間の濃度勾配を求め、その方向と大きさから輪郭線を判定する方法等がある。この方法の1つが、特公平8−16931号公報において開示されている。
【0052】
このようにして輪郭線が抽出されると、その輪郭線の形状よりその物体が筆記部材であるか否かを判断する。この形状判断は、画像認識技術を用いて行う。この形状認識の方法としては、例えば、まず物体の重心を求め、この重心と輪郭線までの距離を重心の回り(360°)について順次求め、この角度と距離の関係から輪郭線の形状を特定する方法がある(特開平8−315152号公報参照)。
【0053】
こうして得られた輪郭線の形状に関するデータは、筆記部材の形状としてROM24またはハードディスク27に予め記憶されたデータと比較することで、その形状の物体が筆記部材であるか否かを判断する。筆記動作時は、筆記部材の筆記面に対する傾きが一定でないため、物体の重心と輪郭線とを結ぶ基準線(0°の位置)をある角度の範囲内で回転させて予め記憶されたデータと比較する。この筆記部材の画像および基準線の回転の例を図7に示す。なお、筆記部材の形状に関するデータを複数種類用意しておき、形状の判断処理時にこれらを全て利用してもよい。
【0054】
次に、上記の判断処理により筆記部材であると判断した場合は、その筆記部材が筆記面に接触したか否かを判断する。ここで、筆記面は図7に示したように撮像領域の1つの辺に相当している。そこで、筆記部材の像がこの筆記面に相当した辺に接触したか否かを判断すればよい。筆記部材が筆記面に接触したと判断した場合、この接触点の結像位置と広角レンズ50の光軸の結像位置との距離hを求める。図8の例では、広角レンズ50の光軸の結像位置をh0、接触点の結像位置をh1としてhは、
h=h0−h1
で求められる。なお、h0とh1は、CMOSイメージセンサ51の縦方向の基準となる辺からの画素数と画素間の距離(画素ピッチ)より求められる。
【0055】
このようにして距離hが求まると、式(1)と式(2)より既知の値を持つfとαを用いて角度β1が求まることになる。
【0056】
画像処理回路(2)30においても上記と同様な処理を行うことにより、角度β2を求めることができる。
【0057】
これらのβ1、β2および既知の値を持つLを用いて式(3)と式(4)より筆記面における接触点の座標(x,y)を求めることができる。
【0058】
次に、本実施の形態の情報入出力システム100において実行される処理の内、従来の情報入出力システムによって行われている処理と同様の処理についてはその説明を省略し、情報入出力システム100が備える特長的な機能を実現する処理について以下に説明する。ここでは、制御装置2のCPU20がプログラムに基づいて実行する特長的な機能について説明する。
【0059】
なお、本実施の形態においては、動画や静止画は使用しないため、表示コントローラ31中の信号の流れは、
PCIバス41→グラフィックコントローラ60→グラフィック用ビデオメモリ61→グラフィックデータ変換部62→表示データ生成部63→DAC64→カラー表示装置12
のみとなる。背景と描画データ、カーソルデータの重ね合わせ処理は、グラフィックコントローラ60にて実行される。
【0060】
図9の表示例に示すように、カラー表示装置12には、描画線(手書き線)の色を設定したり筆記領域(黒板)の背景色を設定するためのアイコンが表示されており、ユーザがこれにタッチするとプルダウンメニューが表示され、このメニュー操作により描画線や背景の色を適宜設定、変更できるようになっている。「描画線」(鉛筆マーク)アイコンが選択されると、2種類の線についての属性を表示する。「線1」の線は、色が黒、太さが1.5pt(ポイント)であり、「線2」の線は、色が赤、太さが2ptである。各線はその色で表示する。また、いずれの線も色の設定が背景色から自動的に決まる自動モードに設定されている。図9の表示例は、背景色が白である場合を示している。背景色と「線1」の線色、「線2」の線色の組合せデータテーブルは予め制御装置2のROM24に記憶されており、設定されている背景色に従って2つの線色が一義的に決まるようになっている。
【0061】
図9に示したプルダウンメニューで「線の設定」が選択されると、「線の設定」を行うウィンドウを表示させる。この「線の設定」ウィンドウの表示例を図10に示す。図10は「線2」の線の属性を表示しており、「自動」のチェックボックスのチェックを解除すると、線の色の自動設定モードが解除される。また、線種は実線の他に点線や一点鎖線等を選択できるようになっている。線の色の自動設定モードが解除されている状態では、線の色は40色のカラーパレットの中から選択できる。また、「線1」を選択すると、「線1」の線の属性が表示される。
【0062】
背景色の設定は、ユーザが「背景色」アイコンを選択して「背景色の設定」ウィンドウを開き、このウィンドウ中にあるカラーパレットを使用して色を設定(変更)することができる。このウィンドウの表示例は省略する。2つの線の色が共に自動設定モードになっているときに背景色が変更されると、ROM24に記憶された背景色と2つの線色の組合せデータテーブルを参照して、「線1」の線色および「線2」の線色をそれぞれ変更する。この変更は、線の属性情報(メインメモリ21またはハードディスク27に記憶)の変更とカラー表示装置12への表示データの変更である。例えば、背景色が白から緑に変更されると、「線1」は白、「線2」は桃色にそれぞれ変更される。なお、背景色の緑と「線2」の線色である桃色とは補色の関係にあり、「線2」の線は目立って見える。背景色が変更されると、CPU20は背景用ユーザプレーン番号と変更後の色情報(緑)を含めた塗りつぶしコマンドと「線1」の線描画用ユーザプレーン番号と変更後のその線の色情報(白)を含めた描画色変更コマンド、「線2」の線描画用ユーザプレーン番号と変更後のその線の色情報(桃色)を含めた描画色変更コマンドをグラフィックコントローラ60へ渡す。そして、それぞれの変更された色に従って、カラー表示装置12の表示画面が更新される。表示色第一設定手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図11に示す。
【0063】
なお、「線1」の線または「線2」の線のいずれか一方のみが自動設定モードになっている場合は、背景色と自動設定モードでない線の色に基づいて対象の線の色を変更するようにしてもよい。この場合、1つの背景色に対する2つの線色の組合せを複数用意しておき(ROM24にテーブルで記憶)、その中から適応的に選択する方法がある。この詳細な説明については省略する。
【0064】
次に、「線1」と「線2」の2種類の線のほかに、さらに視覚的に強調させる「強調」の線がある場合について説明する。前述した「線1」と「線2」の2種類の線のみがある場合と同様に、「描画線」(鉛筆マーク)アイコンが選択されると、3種類の線についての属性が表示される。この表示例を図12に示す。「強調」の線は、色が赤、太さが2ptであり、「線1」の線は、色が黒、太さが1.5pt、「線2」の線は、色が青、太さが1.5ptである。また、いずれの線も色の設定が背景色から自動的に決まる自動モードに設定されている。今、背景色が白である場合を示している。背景色と「強調」の線色、「線1」と「線2」の線色の組合せデータテーブルは予め制御装置2のROM24に記憶されており、設定されている背景色に従って3つの線色が一義的に決まるようになっている。
【0065】
図12に示したプルダウンメニューで「線の設定」が選択されると、「線の設定」を行うウィンドウを表示させる。この「線の設定」ウィンドウの表示例を図13に示す。図13は「強調」の線の属性を表示している。表示されている各メニューの機能は図10と同様である。
【0066】
3つの線の色が全て自動設定モードになっているときに背景色が変更されると、ROM24に記憶された背景色と3つの線色の組合せデータテーブルを参照して、3つの線色をそれぞれ変更する。例えば、背景色が白から緑に変更されると、「強調」の線は桃色、「線1」は白、「線2」は水色にそれぞれ変更される。なお、背景色の緑と「強調」の線色である桃色とは補色の関係にあり、「強調」の線は目立って見える。そして、それぞれ変更された色に従って、カラー表示装置12の表示画面が更新される。
【0067】
なお、「強調」、「線1」、「線2」の全ての線が自動設定モードになっていない場合は、背景色と自動設定モードでない線の色に基づいて対象の線の色を変更するようにしてもよい。この場合、1つの背景色に対する3つの線色の組合せを複数用意しておき(ROM24にテーブルで記憶)、その中から適応的に選択する方法がある。この詳細な説明については省略する。
【0068】
続いて、描画線の色が全て自動設定モードになっているときに背景色が変更されるとその背景色に従って全ての線色が一義的に決まるのではなく、この全ての線色の組合せを1つの背景色に対して複数用意しておき、これらの中からユーザに選択させる場合について説明する。ここでは、描画線の種類として、「強調」、「線1」、「線2」の3種類がある場合について説明する。
【0069】
ユーザにより「描画線」アイコンが選択されると、3種類の線についての属性を表示する。この表示例を図14に示す。ここでは、背景色が緑、「強調」の線が桃色、「線1」が白、「線2」が水色であるとする。
【0070】
図14に示したプルダウンメニューの一番下にある「次」が選択されると、3種類の中の1つ以上の線の色を変更する。例えば、「強調」の線だけを黄色に変更する。この3つの線色の組合せは、1つの背景色に対して複数組が視覚的に好ましい順序にROM24にテーブルで記憶されており、ユーザにより次の組合せが選択されると、このデータテーブルの次の組合せを参照して、線の属性(色)を変更する。前記のプルダウンメニューが表示された状態で「描画線」アイコンが選択されると、そのときに表示していた線の属性を有効なデータとして設定する。表示色選択手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図15に示す。
【0071】
なお、1つの背景色に対するこの線色の組合せの優先順位は、本システムが使用される用途に応じて変わるように動作させることもできる。例えば、ビジネス用途で使用する場合、桃色はビジネスの場にそぐわないため、桃色を使用した線の組合せは優先順位を低く設定する。この使用用途の設定は、例えば装置の設置時に保守モードにて設定できるようにする。そして、この使用用途と各線色の組合せの優先順位はROM24に記憶しておく。
【0072】
ところで、カラー表示装置12には、描画線の色を設定したり筆記領域の背景色を設定するためのアイコンに加えて「カーソル」の色を設定するためのアイコンが表示されており(図9参照)、ユーザがこれにタッチすると「カーソル色の設定」ウィンドウを開き、このウィンドウ中にあるカラーパレットを使用して色を設定(変更)することができる。このウィンドウの表示例は省略する。なお、ここでは、描画線が2種類の場合を例にとって説明する。
【0073】
背景色と「カーソル」の色、「線1」の線色、「線2」の線色の組合せデータテーブルは予め制御装置2のROM24に記憶されており、設定されている背景色に従ってカーソルの色と2つの線色が一義的に決まるようになっている。例えば、背景色が白の場合、「カーソル」は緑、「線1」は黒、「線2」は赤であり、背景色が白から緑に変更されると、「カーソル」は水色、「線1」は白、「線2」は桃色にそれぞれ変更される。カーソル表示色設定手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図16に示す。
【0074】
次に、情報入出力システム100が設置される背後あるいは周囲の色(環境色)に近い色を設定し、この色に基づいて筆記領域の背景色および描画線の色を自動的に設定する場合について説明する。環境色は、保守モードにて設定される。
【0075】
保守モードにて「環境色の設定」が選択されると、図10に示したのと同様なカラーパレットをカラー表示装置12に表示する。環境色と筆記領域の背景色および描画線の色の組合せデータテーブルは予め制御装置2のROM24に記憶されており、ユーザが表示されたカラーパレットの中から情報入出力システム100が設置される背後あるいは周囲の色に近い色を選択すると、その選択された環境色に従って筆記領域の背景色および描画線の色が一義的に決まるようになっている。例えば、描画線が「線1」と「線2」の2種類あり、環境色として薄茶色(ベージュ)が設定されている場合には、背景色を薄い黄色、「線1」を黒、「線2」を赤に設定する。また、環境色として桃色が設定されている場合には、背景色を薄い赤、「線1」を青、「線2」を黄色に設定する。環境色登録手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図17に示す。
【0076】
続いて、背景色と描画線の色の組合せを1つの環境色に対して複数用意しておき、これらの中からユーザに選択させる場合について説明する。
【0077】
保守モードにて「環境色の設定」が選択されると、カラーパレットをカラー表示装置12に表示し、ユーザがその中から情報入出力システム100が設置される背後あるいは周囲の色に近い色を選択すると、背景色と描画線の色の組合せを選択するための「色設定」ウィンドウを表示させる。この「色設定」ウィンドウの表示例を図18に示す。今、環境色として薄茶色が設定されており、背景色が薄い黄色、「線1」が黒、「線2」が赤に表示されている。図18に示すウィンドウ中の「次」ボタンが選択されると、背景色を薄茶色、「線1」を黒、「線2」を青に表示する。ここで、「設定」ボタンが選択されると、背景色および各線の色を現在表示されている色に確定する。組合せ選択手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図19に示す。
【0078】
次に、本発明の第二の実施の形態を図20ないし図31に基づいて説明する。なお、前述した第一の実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。第一の実施の形態においては、情報入出力システム100が備える特長的な機能として描画線や背景の色を適宜設定、変更する機能について説明したが、本実施の形態においては、文字や背景の色を適宜設定、変更する機能について説明について説明するものである。
【0079】
なお、本実施の形態においても、動画や静止画は使用しないため、表示コントローラ31中の信号の流れは、
PCIバス41→グラフィックコントローラ60→グラフィック用ビデオメモリ61→グラフィックデータ変換部62→表示データ生成部63→DAC64→カラー表示装置12
のみとなる。背景と描画データ、カーソルデータの重ね合わせ処理は、グラフィックコントローラ60にて実行される。
【0080】
図20の表示例に示すように、カラー表示装置12には、文字の色を設定したり背景色を設定するためのアイコンが表示されており、これらのアイコンを選択することにより、文字や背景の色を適宜設定、変更できるようになっている。
【0081】
ユーザにより「文字」アイコンが選択されると、「文字の設定」を行うウィンドウを表示させる。この「文字の設定」ウィンドウの表示例を図21に示す。図21中、「フォント」は「明朝」、「ゴシック」等のフォントの種類を、「大きさ」は文字の大きさを、「スタイル」は「太字」、「斜体」等の文字のスタイルを、それぞれ変更できる。文字の色は40色のカラーパレットの中から選択できる。このウィンドウ中の「色の変更」が選択されると、既に表示されている文字の色以外で背景色に対して目立つ色を40色のカラーパレットの中から自動的に選択する。なお、1つの背景色に対して、その上に表示する文字の色を、例えば目立つ色の順にROM24に予めデータテーブルとして記憶しておき、「色の変更」が選択されたときには、このデータテーブルを参照して目立つ色の順に文字の色を選択するとよい。例えば、背景色が白で現在の文字の色が黒のみの場合に「色の変更」が選択されると、それ以降にキーボード3から入力される文字の色を赤で表示する。既に表示されている文字の色を変更する場合は、色を変更したい文字列を指定してから「文字」アイコンを選択して「文字の設定」ウィンドウを開いて色の変更操作を行うことで指定した文字列の色を変更することができる。
【0082】
また、図20に示した「背景色」アイコンが選択されると、「背景色の設定」を行うウィンドウを表示させる。このウィンドウには図21(「文字の設定」ウィンドウ)に示したのと同じ40色のカラーパレットを表示する。そして、このカラーパレットを使用して背景色を設定(変更)することができる。なお、このウィンドウの表示例は省略する。
【0083】
次に、背景色を変更したときに、文字の表示色を変更する場合について説明する。背景色が白で文字の色が黒と赤である場合に背景色が緑に変更されると、黒の文字色は白に、赤の文字色は桃色にそれぞれ変更される。なお、背景色の緑と文字色である桃色とは補色の関係にあり、この色の文字は目立って見える。背景色が変更されると、CPU20は背景用ユーザプレーン番号と変更後の色情報(緑)を含めた塗りつぶしコマンド、および文字表示用ユーザプレーン番号と黒の文字色は白に、赤の文字色は桃色にそれぞれ変更する表示色変更コマンドをグラフィックコントローラ60へ渡す。そして、それぞれの変更された色に従って、カラー表示装置12の表示画面が更新される。なお、背景色とそれに対応した各文字色との組合せデータテーブルは予めROM24に記憶されており、設定されている背景色に従って2つ、あるいはそれ以上の文字色が一義的に決まるようになっている。表示色第一設定手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図22に示す。
【0084】
なお、上記は文字の色を変更する場合について説明したが、閉領域内(図形内)の塗りつぶし等のグラフィックについても、背景色に対して目立つ色を自動的に選択させることができる。この詳細な説明については省略する。
【0085】
次に、2つの文字色のほかに、さらに視覚的に強調させる「強調」の文字色がある場合について説明する。前述した2つの文字色がある場合と同様に、「文字」アイコンが選択されると、「文字の設定」ウィンドウを表示させる。この表示例を図23に示す。図23は図21に対して「強調色」のメニューが追加されている。ここで「強調色」が選択されると、それ以降にキーボード3から入力される文字の色を背景色に対して最も目立つ色で表示する。この最も目立つ色として、背景色に対する補色を選択するとよい。強調色に変更したい文字列が指定されている状態で「強調色」が選択されると、その指定された文字列を背景色に対して最も目立つ色で表示する。なお、「強調色」の選択操作が行われたときに強調色と同じ色の文字が既に存在している場合には、その既存の文字の色を他の色に変更する。背景色とそれに対応した強調色および各文字色との組合せデータテーブルは予めROM24に記憶されており、設定されている背景色に従ってこれらの文字色が一義的に決まるようになっている。例えば、背景色が緑で白と桃色の文字が表示されている状態で「強調色」が選択されると、既存の桃色の文字を水色に変更し、それ以降にキーボード3から入力される文字の色を桃色で表示する。上記の制御装置2の動作フローを図24に示す。
【0086】
なお、上記は文字の色を変更する場合について説明したが、閉領域内(図形内)の塗りつぶし等のグラフィックについても、背景色に対して最も目立つ色を自動的に選択させることができる。この詳細な説明については省略する。
【0087】
続いて、背景色が変更されるとその背景色に従って複数の文字色が一義的に決まるのではなく、この文字色の組合せを1つの背景色に対して複数用意しておき、これらの中からユーザに選択させる場合について説明する。ここでは、文字色の種類として、「強調色」、「文字色1」、「文字色2」の3種類がある場合について説明する。
【0088】
ユーザにより「文字」アイコンが選択されると、「文字の設定」ウィンドウを表示させる。この表示例を図25に示す。図25は図23の「強調色」のメニューが「色の組合せ」のメニューに変更されたものである。
【0089】
ここで「色の組合せ」が選択されると、「表示色の組合せ」ウィンドウを表示させる。この表示例を図26に示す。図26で、表示文字色の数は可変に設定できるようになっており、現在は3が設定されている。この表示文字色の数に対応して3種類の色が実際に表示されている(「強調色」は桃色、「文字色1」は白、「文字色2」は水色)。ここで、1番目の色は強調色である。表示文字色の数に4以上が設定されると、「表示色の組合せ」ウィンドウ中の右の空白領域に「文字色3」、「文字色4」・・・・と文字色が追加して表示される。この「表示色の組合せ」ウィンドウ中の「次」メニューが選択されると、3種類の中の1つ以上の文字色を変更する。例えば、「強調色」だけを黄色に変更する。この3つの文字色の組合せは、1つの背景色に対して複数組が視覚的に好ましい順序にROM24にテーブルで記憶されており、ユーザにより次の組合せが選択されると、このデータテーブルの次の組合せを参照して、表示色を変更する。組合せ選択手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図27に示す。
【0090】
なお、1つの背景色に対するこの文字色の組合せの優先順位は、本システムが使用される用途に応じて変わるように動作させることもできる。例えば、ビジネス用途で使用する場合、桃色はビジネスの場にそぐわないため、桃色を使用した色の組合せは優先順位を低く設定する。この使用用途の設定は、例えば装置の設置時に保守モードにて設定できるようにする。そして、この使用用途と各文字色の組合せの優先順位はROM24に記憶しておく。
【0091】
ところで、カラー表示装置12には、文字の色を設定したり背景色を設定するためのアイコンに加えて「カーソル」の色を設定するためのアイコンが表示されており(図20参照)、ユーザがこれにタッチすると「カーソル色の設定」ウィンドウを開き、このウィンドウ中にあるカラーパレットを使用して色を設定(変更)することができる。このウィンドウの表示例は省略する。
【0092】
背景色とそれに対応した複数の文字色、および「カーソル」の色の組合せデータテーブルは予め制御装置2のROM24に記憶されており、設定されている背景色に従ってカーソルの色と複数の文字色が一義的に決まるようになっている。例えば、背景色が白の場合、「カーソル」は緑、第1の文字色は黒、第2の文字色は赤であり、背景色が白から緑に変更されると、「カーソル」は水色、第1の文字色は白、第2の文字色は桃色にそれぞれ変更する。カーソル表示色設定手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図28に示す。
【0093】
次に、情報入出力システム100が設置される背後あるいは周囲の色(環境色)に近い色を設定し、この色に基づいて背景色および文字の色を自動的に設定する場合について説明する。環境色は、保守モードにて設定される。
【0094】
保守モードにて「環境色の設定」が選択されると、図21に示したのと同様なカラーパレットをカラー表示装置12に表示する。環境色と背景色および複数の文字の色の組合せデータテーブルは予めROM24に記憶されており、ユーザが表示されたカラーパレットの中から情報入出力システム100が置かれる背後あるいは周囲の色に近い色を選択すると、その選択された環境色に従って背景色および複数の文字の色が一義的に決まるようになっている。例えば、環境色として薄茶色(ベージュ)が設定されている場合には、背景色を薄い黄色、第1の文字色を黒、第2の文字色を赤に設定する。また、環境色として桃色が設定されている場合には、背景色を薄い赤、第1の文字色を青、第2の文字色を黄色に設定する。環境色登録手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図29に示す。
【0095】
続いて、背景色と文字の色の組合せを1つの環境色に対して複数用意しておき、これらの中からユーザに選択させる場合について説明する。
【0096】
保守モードにて「環境色の設定」が選択されると、カラーパレットをカラー表示装置12に表示し、ユーザがその中から情報入出力システム100が設置される背後あるいは周囲の色に近い色を選択すると、背景色と文字の色の組合せを選択するための「表示色の組合せ」ウィンドウを表示させる。この「表示色の組合せ」ウィンドウの表示例を図30に示す。今、環境色として薄茶色が設定されており、背景色が薄い黄色、第1の文字色が黒、第2の文字色が赤に表示されているときに、このウィンドウ中の「次」ボタンが選択されると、背景色を薄茶色、第1の文字色を黒、第2の文字色を青にする。ここで、「設定」ボタンが選択されると、背景色および各文字の色を現在「表示色の組合せ」ウィンドウに表示されている色に変更する。組合せ選択手段を実現する上記の制御装置2の動作フローを図31に示す。
【0097】
次に、本発明の第三の実施の形態を図32ないし図35に基づいて説明する。なお、前述した第一の実施の形態および第二の実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。本実施の形態は、筆記領域の背景が単色である場合を示した前述した第一の実施の形態および第二の実施の形態と異なり、筆記領域の背景として静止画像や動画像が使用されている場合を示したものである。
【0098】
なお、本実施の形態においては、動画や静止画を使用するため、表示コントローラ31中のグラフィックデータの信号の流れは、
PCIバス41→グラフィックコントローラ60→グラフィック用ビデオメモリ61→グラフィックデータ変換部62→表示データ生成部63→ビデオデータ重畳部68→DAC64→カラー表示装置12
となる。
【0099】
YUVビデオ信号は、情報の大部分が輝度(Y)に集中している。そこで、画像の輝度成分について空間周波数分布を調べることで、その画像の特徴を判断することができる。本実施の形態においては、静止画や動画のデータは空間周波数チェック部69を通り、ここで空間周波数分布が調べられる。空間周波数チェック部69は、MPEGデコーダ32から入力されるYUVビデオデータあるいはCPU20にてソフトウェアにより伸長された静止画のYUVビデオデータを8×8画素ずつのブロックに分割して、各ブロック毎に輝度成分(Y)について空間周波数分布を調べる。
【0100】
この方法として、例えば、2次元の離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)を用いる。2次元の離散コサイン変換は次式で示される。
【0101】
【数1】

【0102】
式(8)で、Nはブロックの水平方向および垂直方向の画素数であり、ここではN=8である。f(i,j)は空間周波数チェック部69に入力された各画素の輝度値、F(u,v)は水平方向の空間周波数uと垂直方向の空間周波数vにおけるDCT係数である。この空間周波数u,vとDCT係数F(u,v)との関係から空間周波数分布を判断することができる。すなわち、大きな値のu,vに対してF(u,v)の値が大きければ高い空間周波数成分の多い画像であると判断できる。
【0103】
このようにして、各ブロック毎に高い空間周波数成分の多い画像であるか否かが判断され(背景画像判断手段)、高い空間周波数成分の多い画像と判断されたブロックの数が全てのブロックの数に対して所定の割合以上であった場合に、その画像全体が高い空間周波数成分の多い画像であるとみなす。そして、画像全体が高い空間周波数成分の多い画像であると判断した場合には、全ての画素の輝度成分(Y)の平均を求める。
【0104】
そして、この平均値が所定の値よりも大きい場合には(輝度値判断手段)、空間周波数チェック部69は高い空間周波数成分が多く、また輝度の大きい画像である旨をCPU20へ通知する。CPU20はこの通知を受けると、描画線の色を黒に設定する(表示色第二設定手段)。なお、描画線が複数ある場合には、いずれの線も明度の低い(暗い)色に設定する。加えて、CPU20はこの通知を受けると、全ての文字の色を黒に設定する。なお、文字の色を全て黒にするのではなく、各文字色毎にその明度を低くした(暗くした)色に設定してもよい。
【0105】
一方、画像全体が高い空間周波数成分の多い画像であると判断し、全ての画素の輝度成分(Y)の平均が所定の値よりも小さい場合には、空間周波数チェック部69は高い空間周波数成分が多く、また輝度の小さい画像である旨をCPU20へ通知する。CPU20はこの通知を受けると、描画線の色を白に設定する(表示色第二設定手段)。なお、描画線が複数ある場合には、いずれの線も明度の高い(明るい)色に設定する。加えて、CPU20はこの通知を受けると、全ての文字の色を白に設定する。なお、文字の色を全て白にするのではなく、各文字色毎にその明度を高くした(明るくした)色に設定してもよい。
【0106】
その後、ユーザにより筆記入力があると、それに対応した描画線や文字を設定された色にて静止画または動画に重ねて表示する。
【0107】
なお、動画の場合には、空間周波数チェック部69は所定の時間間隔で、例えば10秒間隔で空間周波数分布のチェックをするようにするとよい。
【0108】
上記の空間周波数チェック部69の動作フローを図32に示す。上記の動作フローでは、筆記領域の背景画像全体について判断処理する場合を示したが、背景画像を複数の領域に分割して、分割された各領域毎に空間周波数の分布をチェックしたり、輝度の判断処理をして、描画線の色や文字の色の設定をより適応的にすることもできる。この詳細な説明は省略する。
【0109】
次に、高い空間周波数成分が少ない静止画や動画が筆記領域の背景画像である場合について説明する。この場合、描画線の色や文字の色を背景画像に対して目立つような色に設定する。
【0110】
空間周波数分布のチェックは、空間周波数チェック部69にて前述したような2次元の離散コサイン変換を用いた方法で行う。そして、画像全体が高い空間周波数成分の少ない画像であると判断した場合には、空間周波数チェック部69から出力されビデオデコーダ65を通って動画/静止画用ビデオメモリ66に入力されたR、G、Bデータより、この画像全体の中で最も多く使用されている色(画像の特徴色)を調べる。この方法として、例えば、1画素ずつその色をいくつかの代表的な色に色の類似度に基づいてグループ化し、最も多い代表色を特定してもよい。そして、描画線の色や文字の色を、この特定された代表色に対して目立つ色、例えば補色の関係にある色に設定する(表示色第三設定手段)。なお、描画線の色や文字の色が複数ある場合には、1つの背景色に対する複数の線色の組合せをROM24にテーブルで用意しておき、特定された代表色を背景色としてこのテーブルを参照し、描画線の色や文字の色を設定する。上記の制御装置2の動作フローを図33に示す。
【0111】
続いて、高い空間周波数成分が多い静止画や動画が筆記領域の背景画像である場合に、描画線や文字が目立つように、描画線や文字の太さを太くする動作について説明する。
【0112】
空間周波数分布のチェックは、空間周波数チェック部69にて前述したような2次元の離散コサイン変換を用いた方法で行う。そして、画像全体が高い空間周波数成分の多い画像であると判断した場合には、この情報をCPU20へ通知する。CPU20はこの通知を受けると、現在の描画線や文字の太さをチェックして、所定の太さよりも細い場合には、その描画線や文字を所定の太さに設定する(サイズ切替手段)。なお、複数の太さの描画線や文字がある場合、各描画線や文字の太さに応じて太さを変更してもよい。例えば、「線1」が1.5pt、「線2」が2ptであった場合、それぞれ3pt、4ptに変更する。上記の制御装置2の動作フローを図34に示す。
【0113】
次に、高い空間周波数成分が多い静止画や動画が筆記領域の背景画像である場合に、描画線や文字が目立つように、描画線や文字に縁を付加して表示する動作について説明する。
【0114】
空間周波数分布のチェックは、空間周波数チェック部69にて前述したような2次元の離散コサイン変換を用いた方法で行う。そして、画像全体が高い空間周波数成分の多い画像であると判断した場合には、この情報をCPU20へ通知する。CPU20はこの通知を受けると、描画線の色に対応した色を含めた縁を付加する描画コマンドや文字の色に対応した色を含めた縁を付加する描画コマンドをグラフィックコントローラ60へ渡す。グラフィックコントローラ60はこの描画コマンドを受けると、現在の描画線よりも太く又は現在の文字よりも大きい、描画コマンドで指定された色の描画線や文字を生成し、この新しく生成した描画線や文字の上に既存の描画線や文字を重ねる。このようにして、新しく生成した描画線や文字の中で既存の描画線や文字が重なっていない部分が線の縁となる。そして、この縁の付いた描画線や文字を静止画あるいは動画に重ね合わせてカラー表示装置12に表示する。なお、描画線や文字の色と、それに付加する縁の色は、ROM24に対応付けて記憶しておき、CPU20はこの情報を参照して付加する縁の色を特定する。上記の制御装置2の動作フローを図35に示す。
【0115】
なお、静止画や動画が筆記領域の背景画像である場合には、描画線や文字が目立つように、上述した方法で線の太さを太くしたり、また/または線に縁を付加して表示するようにしても良い。この動作は、背景画像が静止画や動画であれば実行し、画像の空間周波数のチェックは行う必要がない。
【0116】
なお、各実施の形態においては、カラー表示装置12を含む情報入出力装置1と表示制御装置2とから構成されている情報入出力システム100である電子黒板システムを適用したが、これに限るものはなく、カラー表示装置12と表示制御装置2とで構成されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0117】
1 情報入出力装置
2 表示制御装置
12 カラー表示装置
100 情報入出力システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0118】
【特許文献1】特開平11−327789号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字や描画線等の描画データをカラー表示装置に表示させる表示制御装置において、
前記描画データのサイズを切り替えて表示するサイズ切替手段と、
前記描画データを表示する領域の背景画像の空間周波数分布を調べ、その背景画像に高い空間周波数成分が多いか否かを判断する背景画像判断手段と、を備え、
前記背景画像判断手段により高い空間周波数成分が多い画像であると判断した場合、前記サイズ切替手段により前記描画データのサイズを切り替えて表示することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記描画データを表示する領域の背景画像は高い空間周波数成分が多い画像であると前記背景画像判断手段により判断した場合、前記描画データに縁を付加して表示することを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
文字や描画線等の描画データをカラー表示装置に表示させる表示制御装置において、
前記描画データのサイズを切り替えて表示するサイズ切替手段を備え、
前記描画データを表示する領域の背景画像が静止画像あるいは動画像の場合、前記サイズ切替手段により前記描画データのサイズを切り替えて表示することを特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
前記描画データを表示する領域の背景画像が静止画像あるいは動画像の場合、前記描画データに縁を付加して表示することを特徴とする請求項3記載の表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2010−146026(P2010−146026A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28988(P2010−28988)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【分割の表示】特願2001−75296(P2001−75296)の分割
【原出願日】平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】