説明

表示札

【課題】エレベータシステムが定期点検中であることをより好適に乗客等に対して報知できる表示札を提供することである。
【解決手段】エレベータシステム10が定期点検中であること文字によって示す表示札33aであって、貼り付け部334が乗場三方枠32の横枠32cに貼り付けられていないときはオフし、貼り付け部334が乗場三方枠32の横枠32cに貼り付けられるときにオンするスイッチ回路331と、スイッチ回路331がオンするときに、上記文字以外の方法によってエレベータシステム10が定期点検中であることを報知する発光ダイオード337と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示札に係り、特に、エレベータシステムが定期点検中であること文字によって示す表示札に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、商業施設等の様々な場所において、エレベータシステムが設置されている。そして、エレベータシステムを長期間利用するために、定期的に保守点検作業が行われるが、このとき、エレベータシステムが定期点検中であることを乗客等にお知らせする必要がある。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、エレベータ作業札監視システムとして、エレベータシステムが保守作業中であることを示す作業札の設置を検出する設置状態検出手段と、エレベータの乗場扉の開閉を検出する扉状態検出手段と、扉状態検出手段の検出結果と設置状態検出手段の検出結果とに基づき、乗場扉が開いた状態で作業札が設置された後に乗場扉が閉じられた状態で作業札が外されたことを異常状態と判断する判断手段と、異常状態を出力する出力手段と、を備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−42908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように、エレベータシステムが定期点検中であることを乗客等にお知らせする手段として、例えば、乗場三方枠から吊り下げる形の表示札に「定期点検中」といった文字を表示することで乗客等にお知らせすることができるが、単に文字で表示するだけでは、乗客等の注意を引きにくいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、エレベータシステムが定期点検中であることをより好適に乗客等に対して報知できる表示札を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示札は、エレベータシステムが定期点検中であること文字によって示す表示札であって、貼り付け部が貼り付け対象部に貼り付けられていないときはオフし、前記貼り付け部が前記貼り付け対象部に貼り付けられるときにオンするスイッチ回路と、前記スイッチ回路がオンするときに、前記文字以外の方法によって前記エレベータシステムが前記定期点検中であることを報知する報知部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る表示札において、前記報知部は、発光体を含むことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る表示札において、前記発光体は、発光ダイオードを含むことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る表示札において、前記報知部は、音発生装置を含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る表示札において、前記貼り付け部は、前記貼り付け対象部と磁気的に結合する磁気結合部材を含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る表示札において、前記貼り付け対象部は、前記エレベータシステムに含まれる乗場三方枠であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記構成によれば、表示札の貼り付け部を貼り付け対象部に貼り付けるだけで、エレベータシステムが定期点検中であることを文字以外の方法によっても報知される。これにより、エレベータシステムが定期点検中であることをより好適に乗客等に対して報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る実施の形態において、エレベータシステムを示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、各階の乗場扉の周囲の様子を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、表示札の拡大図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、表示札の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。また、以下では、エレベータシステムが定期点検中であることを乗客等にお知らせるための文字として、「定期点検中」の文字を用いるものとして説明するが、もちろんその他の文字を用いてもよい。例えば、「点検中」、「作業中」、「保守作業中」といった文字を表示して乗客等にお知らせしてもよい。
【0016】
また、以下では、全ての図面において、同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0017】
図1は、エレベータシステム10を示す図である。エレベータシステム10は、主ロープ12と、釣合錘14と、巻上機16と、制御盤18と、乗りかご20と、乗場扉28a,28bと、昇降路30とを備える。また、エレベータシステム10は、乗りかご20について、各階の乗場27の間を昇降させることで乗客を移動させる。
【0018】
主ロープ12は、乗りかご20を吊るすためのロープであり、巻上機16に巻き掛けられている。そして、主ロープ12の一方端は乗りかご20に接続され、他方端は釣合錘14が接続されている。
【0019】
釣合錘14は、主ロープ12の他方端に接続され、主ロープ12の一方端に接続される乗りかご20との間でバランスを取るために必要な重量が設定される。
【0020】
巻上機16は、制御盤18の制御によって、巻き掛けられた主ロープ12を駆動させることで乗りかご20を昇降させるための装置である。また、巻上機16は、機械室8に配置されている。
【0021】
乗りかご20は、制御盤18の制御によって、巻上機16が作動すると昇降路30内を昇降し、乗客を乗せるための構造物である。乗りかご20は、かご操作盤24と、乗りかご扉26とを含む。
【0022】
かご操作盤24は、乗りかご20内に乗り込んだ乗客が行先階を選択したり、乗りかご扉26を開閉したりするための押釦が配置されている。また、かご操作盤24には、上記押釦の他に、乗りかご20が位置している階やその他の情報を表示する表示画面242が取り付けられている。
【0023】
乗りかご扉26は、乗りかご20に設けられる扉であり、乗りかご20が各階の乗場27に着床した際に、当該乗場27の乗場扉28a,28bとともに開く。これにより、乗客が乗りかご20に対して乗り降りすることができる。
【0024】
乗場扉28a,28bは、各乗場27に設けられる扉であり、乗りかご20が着床した際に、乗りかご扉26とともに開く。これにより、乗客が乗りかご20に対して乗り降りすることができる。
【0025】
制御盤18は、乗りかご扉26、乗場扉28a,28bの自動開閉制御や乗りかご20の昇降動作制御等といったエレベータシステム10全体を制御する機能を有する。
【0026】
図2は、各階の乗場27の乗場扉28a,28bの周囲の様子を示す図である。各階の乗場27には、縦枠32a,32bと横枠32cとから構成される乗場三方枠32と、表示札33aと、乗場ボタン34と、乗場表示器36と、乗場扉28a,28bとが設けられている。
【0027】
乗場ボタン34は、乗場三方枠32の縦枠32aの左側に位置する乗場壁35aに取り付けられ、乗りかご20の呼び登録を行うための押しボタンである。
【0028】
乗場表示器36は、乗場三方枠32の横枠32cの上側に位置する乗場壁35cに取り付けられ、乗りかご20の階床位置を表示するための表示器である。
【0029】
乗場扉28a,28bは、乗場三方枠32の縦枠32a,32bと横枠32cとによって区画された開口領域37を開閉可能な片開き式の扉である。もちろん、乗場扉28a,28bは両開き式扉であってもよい。
【0030】
乗場三方枠32の縦枠32a,32bと横枠32cとは、乗客が乗りかご20に対して乗り降りするための出入り口となる開口領域37を区画するために、各階の乗場27に設けられる部材である。縦枠32a,32bと横枠32cとは、適当な強度を有し、かつ、強磁性を有する部材で構成される。例えば、鉄を用いて構成することができる。
【0031】
図3は、表示札33aの拡大図である。表示札33aは、吊り下げ部338と、貼り付け部334と、吊り下げ部338と貼り付け部334とを連結する蝶番335とを有する作業札である。
【0032】
吊り下げ部338は、矩形形状を有する平板部材である。吊り下げ部338の一例をあげると、例えば、横が7cmで縦が20cmの大きさで、5mmの厚みを有し、例えば、プラスチックを用いて構成される。吊り下げ部338の表面側には、エレベータシステム10が定期点検中であることを示す「定期点検中」の文字が表示されている。また、吊り下げ部338の表面側の上部には、発光ダイオード337が取り付けられている。
【0033】
発光ダイオード337は、順方向に電圧が与えられたときに、赤色に発光する発光体である。また、発光ダイオード337は、電力線部336bによってスイッチ回路331に接続される。なお、発光ダイオード337は、赤色に発光する発光ダイオードであるものとして説明したが、もちろん、その他の色に発光するものであってもよい。例えば、黄色、青色等のように、乗客等にとって注意を引きやすい色であることが好ましい。
【0034】
貼り付け部334は、矩形形状を有する平板部材である。貼り付け部334の一例をあげると、例えば、横が7cmで縦が5cmの大きさで5mmの厚みを有し、例えば、プラスチックを用いて構成される。貼り付け部334の上面には、平板形状のマグネット333が取り付けられている。さらに、マグネット333の上面には、スイッチ回路331が取り付けられている。また、貼り付け部334の底面には、電源部332が取り付けられている。なお、電源部332がスイッチ回路331と同等あるいはスイッチ回路331よりも薄い場合には、貼り付け部334の底面以外に配置してもよい。例えば、マグネット333の上面に取り付けてもよく、貼り付け部334の上面とマグネット333の底面との間に取り付けてもよい。
【0035】
スイッチ回路331は、加えられた圧力に応じて、その圧力を電圧に変換する薄膜圧電素子(ピエゾ素子)を含む圧電式スイッチである。また、スイッチ回路331は、一方側が電力線部336aによって電源部332と接続され、他方側が電力線部336bによって発光ダイオード337と接続される。そして、スイッチ回路331は、電源部332から出力される電力を発光ダイオード337に対して供給するための電力供給経路を遮断/接続する機能を有する。ここで、スイッチ回路331は、貼り付け部334が乗場三方枠32の横枠32cに貼り付けられて当該薄膜圧電素子に圧力が加えられたときにオンすることで上記電力供給経路を接続する。そして、スイッチ回路331は、貼り付け部334が乗場三方枠32の横枠32cから取り外されて当該薄膜圧電素子に圧力が加えられなくなるときにオフすることで上記電力供給経路を遮断する。
【0036】
電源部332は、蓄電可能な薄膜リチウムイオン二次電池を含んだ電源回路である。また、電源部332は、電力線部336aによってスイッチ回路331に接続される。
【0037】
2つの蝶番335は、それぞれ、吊り下げ部338と貼り付け部334とに跨って設けられるヒンジである。
【0038】
続いて、上記構成のエレベータシステム10の表示札33aの作用について説明する。エレベータシステム10を長期間利用するためには、定期的に保守点検作業を行う必要がある。当該保守点検作業を行う際に、保守作業員は、エレベータシステム10が定期点検中であることを乗客等にお知らせするために、表示札33aの貼り付け部334を乗場三方枠32の横枠32cの底面に貼り付ける。具体的には、鉄を用いて構成される横枠32cと、貼り付け部334の上面に設けられるマグネット333とを磁気結合する。
【0039】
このとき、横枠32cとマグネット333との間に挟まれるスイッチ回路331に含まれる圧電素子が押圧されることでスイッチ回路331がオンする。すなわち、電源部332から発光ダイオード337への電力供給経路が接続される。これにより、発光ダイオード337に対して順方向の電圧がかかるため、発光ダイオード337は点灯する。これにより、乗場27にいる乗客等は、当該点灯している部分に注目するため、表示札33aの表面側の「定期点検中」の文字だけで報知する場合に比べて、より好適にエレベータシステム10が定期点検中であることをお知らせすることができる。なお、保守作業が終わって、表示札33aの貼り付け部334が乗場三方枠32の横枠32cの底面から取り外されたときはスイッチ回路331がオフするため、電源部332から発光ダイオード337への電力供給経路が遮断される。これにより、保守点検作業中等の必要なときにのみ電力供給経路が接続されるため、電源部332の電力を有効に活用することができる。
【0040】
次に、エレベータシステム10の表示札33aの変形例である表示札33bについて説明する。図4は、表示札33bの拡大図である。表示札33bと表示札33aの相違は、発光ダイオード337の代わりに音発生装置339が設けられている点であるため、その相違点を中心に説明する。
【0041】
音発生装置339は、電力線部336bによってスイッチ回路331に接続される。音発生装置339は、電源部332から電力が供給されたときに、所定のタイミングで「現在、定期点検中です」といった音声案内を流すことによって、乗客等に対して、エレベータシステム10が定期点検中であることを報知する。
【0042】
続いて、上記構成のエレベータシステム10の表示札33bの作用について説明する。上述したように、エレベータシステム10の定期点検を行うときに、保守作業員は、表示札33bの貼り付け部334を乗場三方枠32の横枠32cの底面に貼り付ける。このとき、スイッチ回路331に含まれる圧電素子が押圧されることでスイッチ回路331がオンする。すなわち、電源部332から音発生装置339への電力供給経路が接続される。これにより、音発生装置339に電力が供給されて、音発生装置339からは「現在、定期点検中です」との内容の音声案内が流れる。したがって、乗場27にいる乗客等は、聴覚を介して報知されるとともに、その音源にも注目するため、表示札33bの表面側の「定期点検中」の文字だけで報知する場合に比べて、より好適にエレベータシステム10が定期点検中であることをお知らせすることができる。なお、保守作業が終わって、表示札33bの貼り付け部334が乗場三方枠32の横枠32cの底面から取り外されたときはスイッチ回路331がオフするため、電源部332から音発生装置339への電力供給経路が遮断される。これにより、保守点検作業中等の必要なときにのみ電力供給経路が接続されるため、電源部332の電力を有効に活用することができる。
【0043】
上記では、スイッチ回路331は、薄膜圧電素子を含む圧電式スイッチであるとして説明したが、もちろんその他のスイッチ回路であってもよい。例えば、上面に向かって2つの突出部が設けられ、表示札33a,33bが乗場三方枠32の横枠32cに貼り付けられたときに横枠32cによって当該2つの突出部が電気的に接続されることでオンするスイッチ回路を用いてもよい。
【0044】
また、上記では、電源部332は、リチウムイオン二次電池を含むものであるとして説明したが、もちろんその他の電池であってもよい。例えば、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池を用いてもよい。
【符号の説明】
【0045】
8 機械室、10 エレベータシステム、12 主ロープ、14 釣合錘、16 巻上機、18 制御盤、20 乗りかご、24 かご操作盤、26 乗りかご扉、27 乗場、28a,28b 乗場扉、30 昇降路、32 乗場三方枠、32a,32b 縦枠、32c 横枠、33a,33b 表示札、34 乗場ボタン、35a,35b,35c 乗場壁、36 乗場表示器、37 開口領域、242 表示画面、331 スイッチ回路、332 電源部、333 マグネット、334 貼り付け部、335 蝶番、336a,336b 電力線部、337 発光ダイオード、338 吊り下げ部、339 音発生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータシステムが定期点検中であること文字によって示す表示札であって、
貼り付け部が貼り付け対象部に貼り付けられていないときはオフし、前記貼り付け部が前記貼り付け対象部に貼り付けられるときにオンするスイッチ回路と、
前記スイッチ回路がオンするときに、前記文字以外の方法によって前記エレベータシステムが前記定期点検中であることを報知する報知部と、
を備えることを特徴とする表示札。
【請求項2】
請求項1に記載の表示札において、
前記報知部は、発光体を含むことを特徴とする表示札。
【請求項3】
請求項2に記載の表示札において、
前記発光体は、発光ダイオードを含むことを特徴とする表示札。
【請求項4】
請求項1に記載の表示札において、
前記報知部は、音発生装置を含むことを特徴とする表示札。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載の表示札において、
前記貼り付け部は、前記貼り付け対象部と磁気的に結合する磁気結合部材を含むことを特徴とする表示札。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1に記載の表示札において、
前記貼り付け対象部は、前記エレベータシステムに含まれる乗場三方枠であることを特徴とする表示札。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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