表示灯
【課題】光源の温度特性にあった光出力を得ることができ、かつ、組立加工性に優れ、安価な方法で、表示面の明るさを調整できる表示灯を提供する。
【解決手段】表示灯10は、前側に開口部12を備えた箱状の本体11と、本体11の開口部12のうち、上部に着脱自在に取り付けられたランプホルダ14と、ランプホルダ14に設けられたランプ25を複数種類の発光出力で点灯させる点灯装置15と、ランプ25からの光を出力・表示させる表示ユニット20とを備える。この表示灯10は、ランプ25の最冷点を保温する保温部材40が取り外し可能に設けられている。
【解決手段】表示灯10は、前側に開口部12を備えた箱状の本体11と、本体11の開口部12のうち、上部に着脱自在に取り付けられたランプホルダ14と、ランプホルダ14に設けられたランプ25を複数種類の発光出力で点灯させる点灯装置15と、ランプ25からの光を出力・表示させる表示ユニット20とを備える。この表示灯10は、ランプ25の最冷点を保温する保温部材40が取り外し可能に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を出力・表示させる表示ユニットとを備えた表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば従来のエッジライト方式を用いた表示灯は、導光版の入射端面より光源からの光を入射させ、導光版の裏面のドット印刷やV型の溝に当たって進行方向を変えた光により前面を照射するという原理を利用している(特許文献1参照)。
この方式を用いる場合、発光量を最大に得るためには、光源の温度特性に適合した温度管理をおこなうことが重要である。
【0003】
例えば、発光量を最大に得る手段として、光源と反射板との距離を変更して空気層の厚さを調整することによりランプ表面温度を調整したり、ヒートパイプや冷却ファンによりランプ表面温度を調整する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、その他の手段として、ランプと反射板との間に熱伝導率が高い、もしくは、熱伝導率が低い気体や液体を封入してランプ表面温度を調整する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−25313号公報
【特許文献2】特開平11−154406号公報
【特許文献3】特開平11−86621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に示す、光源と反射板との距離を変更して空気層の厚さを調整することによりランプ表面温度を調整する方法は、ランプ管径が小さく反射板との距離が非常に近い場合、ランプ表面温度を調整することは難しい。
【0006】
また、特許文献2に示す、ヒートパイプや冷却ファンによりランプ表面温度を調整する方法は、ヒートパイプや冷却ファンなどを備えるためにコストがかかり、かつ、ヒートパイプや冷却ファンなどを設置するスペースを必要とする。
【0007】
さらに、特許文献3に示す、ランプと反射板との間に気体や液体を封入してランプ表面温度を調整する方法は、ランプと反射板との間に気体や液体を封入する必要があり、気体や液体を封入する加工が難しく、また、異なる温度でランプの光量を調整したい場合、気体や液体を入れ替えなければならない。
【0008】
特に、導光式表示灯の一つである導光式誘導灯の場合、表示面の輝度が明確に規定されている。導光式誘導灯の場合、表示面の輝度によりA級、B級、C級とに分類されている。
ここで、B級の導光式誘導灯のなかには、明るさにより、BH型(高輝度型)の表示灯とBL型(低輝度型)の表示灯の二種類ある。
BH型やBL型の表示灯は、点灯ブロックの出力と表示ユニットが異なるだけで、その他(本体、ランプおよびランプホルダ)は共通部材が用いられている。
【0009】
BH型の表示ユニットは、透明樹脂のパネルと、光を集光させるためのレンズシートと、パネルの透明部分を白く見せるための拡散シートとにより構成されている。
一方、BL型の表示ユニットは、乳白樹脂のパネルと、光を集光させるためのレンズシートとにより構成されている。
【0010】
ところで、B級の導光式誘導灯は、図14に示すように、ランプ保管温度が非常時の輝度が常時に比べて低く設定されている。
BH型の導光式誘導灯は、BL型の導光式誘導灯と比較してランプ電流値が高いので、ランプ保管温度が相対的に高くなる。
【0011】
図14のグラフから、BL型の導光式誘導灯およびBH型の導光式誘導灯は、非常時において、ランプ温度を上昇させれば両方の輝度が上昇することがわかる。
しかし、常時の場合、BL型の導光式誘導灯は、ランプ温度を上昇させると輝度が上昇するが、BH型の導光式誘導灯は、ランプ温度を上昇させると輝度が下降してしまう。
【0012】
特許文献2、3の表示灯で、この問題を解決するためには、BL型やBH型の導光式誘導灯に対応させて二種類のランプホルダが必要となり、加えて、二種類のランプホルダの加工も必要になる。
このため、特許文献2、3の表示灯ではコストを抑えることが難しいとされていた。
【0013】
本発明は、前述した要望を満たすためになされたもので、その目的は、光源の温度特性にあった光出力を得ることができ、かつ、組立加工性に優れ、安価な方法で、表示面の明るさを調整できる表示灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の表示灯は、光源と、前記光源を複数種類の発光出力で点灯させる点灯装置と、前記光源からの光を出力・表示させる表示ユニットとを備える表示灯において、前記光源の最令点を保温する保温部材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
光源の最令点を保温する保温部材を設けることにより、光源の温度を上昇させることが可能になる。
これにより、光源の温度特性にあった光出力を得ることができ、光源の輝度を上昇させることができる。
【0016】
また、本発明の表示灯は、前記保温部材が前記表示ユニットに対して取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
保温部材を取り外し可能に取り付けることにより、部品点数を増やすことなく、安価で、加工性、組立性に優れた表示灯を提供できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の表示灯によれば、光源の最冷点を保温する保温部材が設けられることで、光源の温度特性にあった光出力を得ることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る表示灯について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、表示灯10は、前側に開口部12を備えた箱状の本体11と、本体11の開口部12のうち、上部に着脱自在に取り付けられたランプホルダ14と、ランプホルダ14に設けられたランプ(光源)25を複数種類の発光出力で点灯させる点灯装置15と、本体11内に収容され、ランプ(光源)25に接続可能なソケット18と、本体11の開口部12に着脱自在に取り付けられ、ランプ25からの光を出力・表示させる表示ユニット20とを備える。
【0020】
本体11は、矩形状の背面壁22の周囲に枠体(周壁)23が設けられることで、前側に開口部12を有する箱状に収容ケースである。
本体11の内部にランプホルダ14、ソケット18や点灯ブロック16が収容され、前側の開口部12に表示ユニット20が着脱自在に設けられている。
【0021】
図2に示すように、ランプホルダ14は、光源となるランプ25と、ランプ25から照射された光を反射する反射板26と、ランプ25の端子に接続された接続端子27(図1参照)と、ランプ25、反射板26および接続端子27を保持するホルダ本体28とを有する。
【0022】
ホルダ本体28は、図1に示す本体11の開口部12のうち、上部に着脱可能に構成されている。
ホルダ本体28が、本体11の開口部12のうち、上部に取り付けられた状態において接続端子27がソケット18(図1参照)に接続される。
【0023】
図1に示すソケット18は、本体11の左右の壁部23A,23Bに設けられ、商用電源(図示せず)に接続されるとともに、点灯ブロック16に接続された端子を有する。
【0024】
図1に示す点灯装置15は、通常時には、ソケット18に取り付けられたランプ25に商用電源から給電してランプ25を点灯させ、商用電源の停止時には点灯ブロック16の蓄電池29から給電してランプ25を点灯するものである。
点灯ブロック16は、本体11内に収容され、商用電源の停電時にランプ25に給電するための非常用電源たる蓄電池29を有している。
【0025】
図3に示すように、表示ユニット20は、避難口へ誘導するためのシンボルが表記され投光性を有する表示パネル31と、表示パネル31の裏面に配設されたレンズシート32と、レンズシート32の裏面に配設されてランプ25の光をレンズシート32へ導光する導光板33と、導光板33の裏面に配設された反射シート34と、表示パネル31、レンズシート32、導光板33および反射シート34を保持するパネルケース36とからなる。
【0026】
導光板33は、上方のランプ25より入射された光をレンズシート32に導くことで、表示パネル31の表面31Aを均一に光らせるものである。
【0027】
パネルケース36は、上端部36Aに保温部材40が取り外し可能に取り付けられている。
図2に示すように、保温部材40は、パネルケース36の上端部36Aからホルダ本体28の天井部28Aに向けて湾曲状に張り出され、反射板26を包み込むような湾曲の突起形状に形成されている。
よって、ホルダ本体28のランプ25を収容する空間42が保温部材40で閉塞された状態になる。
【0028】
これにより、ランプ25の最冷点を保温して、ランプ25の管壁25Aの温度(以下、「管壁温度」という)を上昇させることができる。
これにより、ランプ25の温度特性にあった光出力を得ることができ、ランプ25の輝度を上昇させることができる。
【0029】
この保温部材40は、図4に示すように、パネルケース36に連結された付け根部(基部)40Aに複数の開口孔43が形成されている。
これにより、保温部材40を付け根部(基部)40Aで簡単に折って、パネルケース36から取り外す(切除する)ことができる。
【0030】
これにより、例えば、表示灯10がBL型の場合、保温部材40をパネルケース36に取り付けた状態で表示ユニット20を構成する。
一方、表示灯10がBH型の場合、保温部材40をパネルケース36から取り外した状態で表示ユニット20を構成する。
【0031】
BL型の表示灯10は、保温部材40を設けることで、ランプ25が保温され輝度が上昇する。
一方、BH型の表示灯10は、保温部材40を取り外すことで、ランプ25の熱を放熱するため常時の輝度を保つことができる。
したがって、BL型およびBH型の両方の表示灯10が最適な温度を確保することができる。
【0032】
また、BH型の表示灯10とBL型の表示灯10は、本体11、ランプ25、ランプホルダ14は共通で、出力の違う点灯ブロック16と表示ユニット20の構成が異なるだけである。
このため、本発明に係る表示灯10によれば、本体11、ランプ25、ランプホルダ14は共通のままでよく、加えて、表示パネル31はBH型とBL型との二種類を兼ねているの。
【0033】
したがって、本発明に係る表示灯10によれば、部品点数も増やさずにすみ、また、器具組立時も、本体11、ランプ25、ランプホルダ14は共通のままでよいので組立違いを起こす虞がない。
【0034】
さらに、表示ユニット20の構成部材であるパネルケース36の金型を同一とすることができ、表示ユニット20の組立時に保温部材40を取り外すだけで、パネルケース36をBH型とBL型とに区別することができる。
【0035】
以上説明したように、表示灯10は、保温部材40が表示ユニット20に対して取り外し可能に取り付けられている。
このように、保温部材40を取り外し可能に取り付けることにより、部品点数を増やすことなく、安価で、加工性、組立性に優れた表示灯を提供できる。
【0036】
なお、保温部材40は、図2に示すように、パネルケース36の上端部36Aからホルダ本体28の天井部28Aに向けて湾曲状に張り出させることが好ましいが、温度条件により適宜変更が可能である。
【0037】
例えば、第1実施形態の保温部材40に代えて、図5(A)に示す変形例1の保温部材45を用いた場合にも同様の効果が得られる。
変形例1の保温部材45は、内面45Aが保温部材40と同様に湾曲状に形成され、外面45Bが鉛直状に形成されている。
保温部材45によれば、第1実施形態の保温部材40と比較して肉厚寸法が増すので、ランプ25を収容する空間42の保温性をさらに高めることが可能である。
【0038】
あるいは、第1実施形態の保温部材40に代えて、図5(B)に示す変形例2の保温部材46を用いた場合にも同様の効果が得られる。
変形例2の保温部材46は、保温部材46の上部46Aが反射板26を包み込むように形成されている。
【0039】
保温部材46によれば、第1実施形態の保温部材40と比較して保温部材46の上部46Aで反射板26を包み込むことで、ランプ25を収容する空間42の保温性をさらに高めることが可能である。
【0040】
以下、第2〜第5実施形態を図6〜図13に基づいて説明する。なお、第2〜第5実施形態において、第1実施形態の表示灯10と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0041】
(第2実施形態)
図6〜図7に示す第2実施形態の表示灯50は、第1実施形態の保温部材40に代えて保温部材51を設けたもので、その他の構成は第1実施形態の表示灯10と同様である。
【0042】
保温部材51は、第1実施形態の保温部材40と比較して幅Wが狭く形成され、パネルケース36の上端部36Aのうち中央部36Aに配置されている。
これにより、保温部材51は、ランプ25の両端部を覆わないで、中央部および中央部近傍のみを覆うように形成されている。
【0043】
ランプ25の中央部および中央部近傍のみを覆う理由は次の通りである。
すなわち、ランプ25の特性として、ランプ25の中央部は管壁温度が低く、ランプ25の両端部に近づくにしたがってランプ25の管壁温度が高くなる。
そこで、ランプ25の中央部および中央部近傍のみに保温部材51を配置して管壁温度の保温効果を得ることが可能になる。
【0044】
これにより、ランプ25の温度特性にあった光出力を得ることができ、ランプ25の輝度を上昇させることができる。
すなわち、第2実施形態の表示灯50によれば、第1実施形態の表示灯10と同様の効果が得られる。
【0045】
(第3実施形態)
図8〜図9に示す第2実施形態の表示灯60は、第1実施形態の保温部材40に代えて保温部材61を設け、保温部材61に吸熱シート62を貼り付けたもので、その他の構成は第1実施形態の表示灯10と同様である。
【0046】
保温部材61は、第1実施形態の保温部材40と比較して、保温部材61の上部61Aが反射板26を十分に包み込むように形成され、その他の形状は第1実施形態の保温部材40と同じである。
吸熱シート62は、保温部材61の上部61Aの内面に貼り付けられ、反射板26に接触されている。
吸熱シート62を反射板26に接触させることにより、ランプ25の熱を吸収し、ランプ25の熱を下げることができる。
【0047】
これにより、ランプ25の温度特性にあった光出力を得ることができ、ランプ25の輝度を上昇させることができる。
すなわち、第3実施形態の表示灯60によれば、第1実施形態の表示灯10と同様の効果が得られる。
【0048】
(第4実施形態)
図10〜図11に示す第4実施形態の表示灯70は、第1実施形態の保温部材40に代えて保温部材71を設けたもので、その他の構成は第1実施形態の表示灯10と同様である。
【0049】
保温部材71は、本体11の上壁部23Cに設けられている。
保温部材71は、上壁部23Cに連結された付け根部(基部)71Aに複数の開口孔72が形成されている。
これにより、保温部材71を付け根部(基部)71Aで簡単に折って、本体11の上壁部23Cから取り外すことができる。
【0050】
第4実施形態の保温部材71によれば、第1実施形態の保温部材40と同様に、光の出力に合わせて本体11から保温部材71を取り外すことが可能である。
ところで、光の出力の違いにより二種類の本体11が必要となるため、第1〜第3の実施形態と比べて部品点数が増え、組立の際に組立間違えに対する注意が必要になる。
【0051】
(第5実施形態)
図12〜図13に示す第5実施形態の表示灯80は、第1実施形態の保温部材40に代えて保温部材81を設けたもので、その他の構成は第1実施形態の表示灯10と同様である。
【0052】
保温部材81は、ホルダ本体28の天井部28Aに設けられている。
保温部材81は、天井部28Aに連結された付け根部(基部)81Aに複数の開口孔82が形成されている。
これにより、保温部材81を付け根部(基部)81Aで簡単に折って、ホルダ本体28の天井部28Aから取り外すことができる。
【0053】
第5実施形態の保温部材81によれば、第1実施形態の保温部材40と同様に、光の出力に合わせてホルダ本体28から保温部材81を取り外すことが可能である。
ところで、光の出力の違いにより二種類のホルダ本体28が必要となるため、第1〜第3の実施形態と比べて部品点数が増え、組立の際に組立間違えに対する注意が必要になる。
【0054】
なお、前記実施形態で例示した保温部材40,45,46,51,61,71,81などの形状や寸法は適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、光源からの光を出力・表示させる表示ユニットとを備えた表示灯への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る第1実施形態の表示灯を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図3】第1実施形態の表示灯の表示ユニットを示す分解斜視図である。
【図4】第1実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図5】図5(A)は第1実施形態の変形例1を示す断面図、図5(B)は第1実施形態の変形例2を示す断面図である。
【図6】第2実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図7】第2実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図8】第3実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図9】第3実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図10】第4実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図11】第4実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図12】第5実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図13】第5実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図14】従来の表示灯のランプ管壁温度とランプ輝度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
10,50,60,70,80 表示灯
15 点灯装置
20 表示ユニット
25 ランプ(光源)
40,45,46,51,61,71,81 保温部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を出力・表示させる表示ユニットとを備えた表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば従来のエッジライト方式を用いた表示灯は、導光版の入射端面より光源からの光を入射させ、導光版の裏面のドット印刷やV型の溝に当たって進行方向を変えた光により前面を照射するという原理を利用している(特許文献1参照)。
この方式を用いる場合、発光量を最大に得るためには、光源の温度特性に適合した温度管理をおこなうことが重要である。
【0003】
例えば、発光量を最大に得る手段として、光源と反射板との距離を変更して空気層の厚さを調整することによりランプ表面温度を調整したり、ヒートパイプや冷却ファンによりランプ表面温度を調整する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、その他の手段として、ランプと反射板との間に熱伝導率が高い、もしくは、熱伝導率が低い気体や液体を封入してランプ表面温度を調整する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−25313号公報
【特許文献2】特開平11−154406号公報
【特許文献3】特開平11−86621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に示す、光源と反射板との距離を変更して空気層の厚さを調整することによりランプ表面温度を調整する方法は、ランプ管径が小さく反射板との距離が非常に近い場合、ランプ表面温度を調整することは難しい。
【0006】
また、特許文献2に示す、ヒートパイプや冷却ファンによりランプ表面温度を調整する方法は、ヒートパイプや冷却ファンなどを備えるためにコストがかかり、かつ、ヒートパイプや冷却ファンなどを設置するスペースを必要とする。
【0007】
さらに、特許文献3に示す、ランプと反射板との間に気体や液体を封入してランプ表面温度を調整する方法は、ランプと反射板との間に気体や液体を封入する必要があり、気体や液体を封入する加工が難しく、また、異なる温度でランプの光量を調整したい場合、気体や液体を入れ替えなければならない。
【0008】
特に、導光式表示灯の一つである導光式誘導灯の場合、表示面の輝度が明確に規定されている。導光式誘導灯の場合、表示面の輝度によりA級、B級、C級とに分類されている。
ここで、B級の導光式誘導灯のなかには、明るさにより、BH型(高輝度型)の表示灯とBL型(低輝度型)の表示灯の二種類ある。
BH型やBL型の表示灯は、点灯ブロックの出力と表示ユニットが異なるだけで、その他(本体、ランプおよびランプホルダ)は共通部材が用いられている。
【0009】
BH型の表示ユニットは、透明樹脂のパネルと、光を集光させるためのレンズシートと、パネルの透明部分を白く見せるための拡散シートとにより構成されている。
一方、BL型の表示ユニットは、乳白樹脂のパネルと、光を集光させるためのレンズシートとにより構成されている。
【0010】
ところで、B級の導光式誘導灯は、図14に示すように、ランプ保管温度が非常時の輝度が常時に比べて低く設定されている。
BH型の導光式誘導灯は、BL型の導光式誘導灯と比較してランプ電流値が高いので、ランプ保管温度が相対的に高くなる。
【0011】
図14のグラフから、BL型の導光式誘導灯およびBH型の導光式誘導灯は、非常時において、ランプ温度を上昇させれば両方の輝度が上昇することがわかる。
しかし、常時の場合、BL型の導光式誘導灯は、ランプ温度を上昇させると輝度が上昇するが、BH型の導光式誘導灯は、ランプ温度を上昇させると輝度が下降してしまう。
【0012】
特許文献2、3の表示灯で、この問題を解決するためには、BL型やBH型の導光式誘導灯に対応させて二種類のランプホルダが必要となり、加えて、二種類のランプホルダの加工も必要になる。
このため、特許文献2、3の表示灯ではコストを抑えることが難しいとされていた。
【0013】
本発明は、前述した要望を満たすためになされたもので、その目的は、光源の温度特性にあった光出力を得ることができ、かつ、組立加工性に優れ、安価な方法で、表示面の明るさを調整できる表示灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の表示灯は、光源と、前記光源を複数種類の発光出力で点灯させる点灯装置と、前記光源からの光を出力・表示させる表示ユニットとを備える表示灯において、前記光源の最令点を保温する保温部材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
光源の最令点を保温する保温部材を設けることにより、光源の温度を上昇させることが可能になる。
これにより、光源の温度特性にあった光出力を得ることができ、光源の輝度を上昇させることができる。
【0016】
また、本発明の表示灯は、前記保温部材が前記表示ユニットに対して取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
保温部材を取り外し可能に取り付けることにより、部品点数を増やすことなく、安価で、加工性、組立性に優れた表示灯を提供できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の表示灯によれば、光源の最冷点を保温する保温部材が設けられることで、光源の温度特性にあった光出力を得ることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る表示灯について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、表示灯10は、前側に開口部12を備えた箱状の本体11と、本体11の開口部12のうち、上部に着脱自在に取り付けられたランプホルダ14と、ランプホルダ14に設けられたランプ(光源)25を複数種類の発光出力で点灯させる点灯装置15と、本体11内に収容され、ランプ(光源)25に接続可能なソケット18と、本体11の開口部12に着脱自在に取り付けられ、ランプ25からの光を出力・表示させる表示ユニット20とを備える。
【0020】
本体11は、矩形状の背面壁22の周囲に枠体(周壁)23が設けられることで、前側に開口部12を有する箱状に収容ケースである。
本体11の内部にランプホルダ14、ソケット18や点灯ブロック16が収容され、前側の開口部12に表示ユニット20が着脱自在に設けられている。
【0021】
図2に示すように、ランプホルダ14は、光源となるランプ25と、ランプ25から照射された光を反射する反射板26と、ランプ25の端子に接続された接続端子27(図1参照)と、ランプ25、反射板26および接続端子27を保持するホルダ本体28とを有する。
【0022】
ホルダ本体28は、図1に示す本体11の開口部12のうち、上部に着脱可能に構成されている。
ホルダ本体28が、本体11の開口部12のうち、上部に取り付けられた状態において接続端子27がソケット18(図1参照)に接続される。
【0023】
図1に示すソケット18は、本体11の左右の壁部23A,23Bに設けられ、商用電源(図示せず)に接続されるとともに、点灯ブロック16に接続された端子を有する。
【0024】
図1に示す点灯装置15は、通常時には、ソケット18に取り付けられたランプ25に商用電源から給電してランプ25を点灯させ、商用電源の停止時には点灯ブロック16の蓄電池29から給電してランプ25を点灯するものである。
点灯ブロック16は、本体11内に収容され、商用電源の停電時にランプ25に給電するための非常用電源たる蓄電池29を有している。
【0025】
図3に示すように、表示ユニット20は、避難口へ誘導するためのシンボルが表記され投光性を有する表示パネル31と、表示パネル31の裏面に配設されたレンズシート32と、レンズシート32の裏面に配設されてランプ25の光をレンズシート32へ導光する導光板33と、導光板33の裏面に配設された反射シート34と、表示パネル31、レンズシート32、導光板33および反射シート34を保持するパネルケース36とからなる。
【0026】
導光板33は、上方のランプ25より入射された光をレンズシート32に導くことで、表示パネル31の表面31Aを均一に光らせるものである。
【0027】
パネルケース36は、上端部36Aに保温部材40が取り外し可能に取り付けられている。
図2に示すように、保温部材40は、パネルケース36の上端部36Aからホルダ本体28の天井部28Aに向けて湾曲状に張り出され、反射板26を包み込むような湾曲の突起形状に形成されている。
よって、ホルダ本体28のランプ25を収容する空間42が保温部材40で閉塞された状態になる。
【0028】
これにより、ランプ25の最冷点を保温して、ランプ25の管壁25Aの温度(以下、「管壁温度」という)を上昇させることができる。
これにより、ランプ25の温度特性にあった光出力を得ることができ、ランプ25の輝度を上昇させることができる。
【0029】
この保温部材40は、図4に示すように、パネルケース36に連結された付け根部(基部)40Aに複数の開口孔43が形成されている。
これにより、保温部材40を付け根部(基部)40Aで簡単に折って、パネルケース36から取り外す(切除する)ことができる。
【0030】
これにより、例えば、表示灯10がBL型の場合、保温部材40をパネルケース36に取り付けた状態で表示ユニット20を構成する。
一方、表示灯10がBH型の場合、保温部材40をパネルケース36から取り外した状態で表示ユニット20を構成する。
【0031】
BL型の表示灯10は、保温部材40を設けることで、ランプ25が保温され輝度が上昇する。
一方、BH型の表示灯10は、保温部材40を取り外すことで、ランプ25の熱を放熱するため常時の輝度を保つことができる。
したがって、BL型およびBH型の両方の表示灯10が最適な温度を確保することができる。
【0032】
また、BH型の表示灯10とBL型の表示灯10は、本体11、ランプ25、ランプホルダ14は共通で、出力の違う点灯ブロック16と表示ユニット20の構成が異なるだけである。
このため、本発明に係る表示灯10によれば、本体11、ランプ25、ランプホルダ14は共通のままでよく、加えて、表示パネル31はBH型とBL型との二種類を兼ねているの。
【0033】
したがって、本発明に係る表示灯10によれば、部品点数も増やさずにすみ、また、器具組立時も、本体11、ランプ25、ランプホルダ14は共通のままでよいので組立違いを起こす虞がない。
【0034】
さらに、表示ユニット20の構成部材であるパネルケース36の金型を同一とすることができ、表示ユニット20の組立時に保温部材40を取り外すだけで、パネルケース36をBH型とBL型とに区別することができる。
【0035】
以上説明したように、表示灯10は、保温部材40が表示ユニット20に対して取り外し可能に取り付けられている。
このように、保温部材40を取り外し可能に取り付けることにより、部品点数を増やすことなく、安価で、加工性、組立性に優れた表示灯を提供できる。
【0036】
なお、保温部材40は、図2に示すように、パネルケース36の上端部36Aからホルダ本体28の天井部28Aに向けて湾曲状に張り出させることが好ましいが、温度条件により適宜変更が可能である。
【0037】
例えば、第1実施形態の保温部材40に代えて、図5(A)に示す変形例1の保温部材45を用いた場合にも同様の効果が得られる。
変形例1の保温部材45は、内面45Aが保温部材40と同様に湾曲状に形成され、外面45Bが鉛直状に形成されている。
保温部材45によれば、第1実施形態の保温部材40と比較して肉厚寸法が増すので、ランプ25を収容する空間42の保温性をさらに高めることが可能である。
【0038】
あるいは、第1実施形態の保温部材40に代えて、図5(B)に示す変形例2の保温部材46を用いた場合にも同様の効果が得られる。
変形例2の保温部材46は、保温部材46の上部46Aが反射板26を包み込むように形成されている。
【0039】
保温部材46によれば、第1実施形態の保温部材40と比較して保温部材46の上部46Aで反射板26を包み込むことで、ランプ25を収容する空間42の保温性をさらに高めることが可能である。
【0040】
以下、第2〜第5実施形態を図6〜図13に基づいて説明する。なお、第2〜第5実施形態において、第1実施形態の表示灯10と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0041】
(第2実施形態)
図6〜図7に示す第2実施形態の表示灯50は、第1実施形態の保温部材40に代えて保温部材51を設けたもので、その他の構成は第1実施形態の表示灯10と同様である。
【0042】
保温部材51は、第1実施形態の保温部材40と比較して幅Wが狭く形成され、パネルケース36の上端部36Aのうち中央部36Aに配置されている。
これにより、保温部材51は、ランプ25の両端部を覆わないで、中央部および中央部近傍のみを覆うように形成されている。
【0043】
ランプ25の中央部および中央部近傍のみを覆う理由は次の通りである。
すなわち、ランプ25の特性として、ランプ25の中央部は管壁温度が低く、ランプ25の両端部に近づくにしたがってランプ25の管壁温度が高くなる。
そこで、ランプ25の中央部および中央部近傍のみに保温部材51を配置して管壁温度の保温効果を得ることが可能になる。
【0044】
これにより、ランプ25の温度特性にあった光出力を得ることができ、ランプ25の輝度を上昇させることができる。
すなわち、第2実施形態の表示灯50によれば、第1実施形態の表示灯10と同様の効果が得られる。
【0045】
(第3実施形態)
図8〜図9に示す第2実施形態の表示灯60は、第1実施形態の保温部材40に代えて保温部材61を設け、保温部材61に吸熱シート62を貼り付けたもので、その他の構成は第1実施形態の表示灯10と同様である。
【0046】
保温部材61は、第1実施形態の保温部材40と比較して、保温部材61の上部61Aが反射板26を十分に包み込むように形成され、その他の形状は第1実施形態の保温部材40と同じである。
吸熱シート62は、保温部材61の上部61Aの内面に貼り付けられ、反射板26に接触されている。
吸熱シート62を反射板26に接触させることにより、ランプ25の熱を吸収し、ランプ25の熱を下げることができる。
【0047】
これにより、ランプ25の温度特性にあった光出力を得ることができ、ランプ25の輝度を上昇させることができる。
すなわち、第3実施形態の表示灯60によれば、第1実施形態の表示灯10と同様の効果が得られる。
【0048】
(第4実施形態)
図10〜図11に示す第4実施形態の表示灯70は、第1実施形態の保温部材40に代えて保温部材71を設けたもので、その他の構成は第1実施形態の表示灯10と同様である。
【0049】
保温部材71は、本体11の上壁部23Cに設けられている。
保温部材71は、上壁部23Cに連結された付け根部(基部)71Aに複数の開口孔72が形成されている。
これにより、保温部材71を付け根部(基部)71Aで簡単に折って、本体11の上壁部23Cから取り外すことができる。
【0050】
第4実施形態の保温部材71によれば、第1実施形態の保温部材40と同様に、光の出力に合わせて本体11から保温部材71を取り外すことが可能である。
ところで、光の出力の違いにより二種類の本体11が必要となるため、第1〜第3の実施形態と比べて部品点数が増え、組立の際に組立間違えに対する注意が必要になる。
【0051】
(第5実施形態)
図12〜図13に示す第5実施形態の表示灯80は、第1実施形態の保温部材40に代えて保温部材81を設けたもので、その他の構成は第1実施形態の表示灯10と同様である。
【0052】
保温部材81は、ホルダ本体28の天井部28Aに設けられている。
保温部材81は、天井部28Aに連結された付け根部(基部)81Aに複数の開口孔82が形成されている。
これにより、保温部材81を付け根部(基部)81Aで簡単に折って、ホルダ本体28の天井部28Aから取り外すことができる。
【0053】
第5実施形態の保温部材81によれば、第1実施形態の保温部材40と同様に、光の出力に合わせてホルダ本体28から保温部材81を取り外すことが可能である。
ところで、光の出力の違いにより二種類のホルダ本体28が必要となるため、第1〜第3の実施形態と比べて部品点数が増え、組立の際に組立間違えに対する注意が必要になる。
【0054】
なお、前記実施形態で例示した保温部材40,45,46,51,61,71,81などの形状や寸法は適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、光源からの光を出力・表示させる表示ユニットとを備えた表示灯への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る第1実施形態の表示灯を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図3】第1実施形態の表示灯の表示ユニットを示す分解斜視図である。
【図4】第1実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図5】図5(A)は第1実施形態の変形例1を示す断面図、図5(B)は第1実施形態の変形例2を示す断面図である。
【図6】第2実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図7】第2実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図8】第3実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図9】第3実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図10】第4実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図11】第4実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図12】第5実施形態の表示灯を示す断面図である。
【図13】第5実施形態の表示灯の保温部材を示す斜視図である。
【図14】従来の表示灯のランプ管壁温度とランプ輝度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
10,50,60,70,80 表示灯
15 点灯装置
20 表示ユニット
25 ランプ(光源)
40,45,46,51,61,71,81 保温部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を複数種類の発光出力で点灯させる点灯装置と、
前記光源からの光を出力・表示させる表示ユニットとを備える表示灯において、
前記光源の最冷点を保温する保温部材が設けられていることを特徴とする表示灯。
【請求項2】
前記保温部材が前記表示ユニットに対して取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示灯。
【請求項1】
光源と、
前記光源を複数種類の発光出力で点灯させる点灯装置と、
前記光源からの光を出力・表示させる表示ユニットとを備える表示灯において、
前記光源の最冷点を保温する保温部材が設けられていることを特徴とする表示灯。
【請求項2】
前記保温部材が前記表示ユニットに対して取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−3339(P2009−3339A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166178(P2007−166178)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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