説明

表示端末、表示端末管理装置、表示制御方法及び表示制御プログラム

【課題】表示端末が付された商品が問題のない環境下におかれていたか否かを容易に判断できるようにすること。
【解決手段】表示端末であって、表示を行う表示部と、商品の環境に関する所定の環境値を測定するセンサと、センサの測定結果が所定の条件を満たした場合に、表示部に特定の態様で表示をさせる表示制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示端末、表示端末管理装置、表示制御方法及び表示制御プログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表示端末の小型化技術の発展に伴い、様々な場面で小型の表示端末が活用されている。例えば表示端末を用いて構成される電子棚札は、デパートやコンビニエンスストア等の店舗において、商品の品名や値段などを表示するために活用されている。また、電子棚札は、商品の温度管理を行う用途にも活用されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術では、近傍の温度を検出する温度センサを備えた棚札によって、商品の24時間温度管理が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−111137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、温度センサによって取得したデータの解析を行うことは容易ではなく、管理対象の商品が問題のない環境下におかれていたか否かを容易に判断することはできなかった。また、このような問題は温度センサに限った問題ではなく、他のセンサにも共通する問題であった。
上記事情に鑑み、本発明は、表示端末が付された商品が問題のない環境下におかれていたか否かを容易に判断できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、表示端末であって、表示を行う表示部と、商品の環境に関する所定の環境値を測定するセンサと、前記センサの測定結果が所定の条件を満たした場合に、前記表示部に特定の態様で表示をさせる表示制御部と、を備える。
【0006】
本発明の一態様は、上記表示端末であって、前記表示部は、電源の供給が切れた場合にその直前の表示を維持するように構成され、前記表示制御部は、前記表示部に前記特定の態様で表示をさせた後に、前記表示部への電源の供給を遮断する。
【0007】
本発明の一態様は、上記表示端末であって、前記表示制御部は、前記特定の態様での表示を、特定の解除信号の入力のみによって解除可能に制御する。
【0008】
本発明の一態様は、上記表示端末であって、前記センサの測定結果を記憶する記憶部と、表示端末を管理する表示端末管理装置に対し、前記記憶部に記憶された前記測定結果を送信する無線通信部と、をさらに備える。
【0009】
本発明の一態様は、上記表示端末であって、前記無線通信部が前記表示端末管理装置と無線通信可能か否か判定し、無線通信不可能と判定した時点から、次に無線通信可能と判定する時点までの間の前記センサの測定結果を前記記憶部に記憶させる制御部をさらに備える。
【0010】
本発明の一態様は、上記表示端末であって、前記無線通信部は、前記センサの測定結果が所定の条件を満たした場合に、前記所定の条件が満たされたことを表すエラー情報を、前記所定の条件が満たされたことを前記表示端末管理装置が報知するように、前記表示端末管理装置に対して送信する。
【0011】
本発明の一態様は、表示端末管理装置であって、上記表示端末から前記エラー情報を受信する通信部と、前記通信部によって前記エラー情報が受信された場合に、前記所定の条件が満たされたことを報知する制御部と、を備える。
【0012】
本発明の一態様は、表示を行う表示部を備えた表示端末が行う表示制御方法であって、商品の環境に関する所定の環境値を測定するステップと、測定結果が所定の条件を満たした場合に、前記表示部に特定の態様で表示をさせるステップと、を有する。
【0013】
本発明の一態様は、表示を行う表示部を備えたコンピュータに対し、商品の環境に関する所定の環境値を測定するステップと、測定結果が所定の条件を満たした場合に、前記表示部に特定の態様で表示をさせるステップと、を実行させるための表示制御プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、表示端末が付された商品が問題のない環境下におかれていたか否かを容易に判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】表示システムのシステム構成を表すシステム構成図である。
【図2】表示端末の外観を表す図である。
【図3】表示端末の構成を表す機能ブロック図である。
【図4】記憶部が記憶するデータの内容を表す概略図である。
【図5】閾値テーブルに記憶される各値の概略を表す図である。
【図6】メモリ性表示部及び表示制御部の具体的な構成例を表す図である。
【図7】表示端末管理装置の構成を表す機能ブロック図である。
【図8】アイテムマスタテーブルの具体例を表す図である。
【図9】出荷管理テーブルの具体例を表す図である。
【図10】アイテムマスタレコード及び出荷管理レコードに基づいて生成された表示データの具体例を表す図である。
【図11】表示端末管理装置の動作の一例を表すフローチャートである。
【図12】表示端末の動作の一例を表すフローチャートである。
【図13】表示端末の動作の一例を表すフローチャートである。
【図14】表示端末の動作の一例を表すフローチャートである。
【図15】表示端末の動作の一例を表すフローチャートである。
【図16】表示端末によるエラー処理の流れを表すフローチャートである。
【図17】表示端末と表示端末管理装置との間で行われる通信を表すシーケンス図である。
【図18】表示端末から表示端末管理装置に対してログデータが送信される際の送信データのフォーマットを表す図である。
【図19】表示端末管理装置の動作の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、表示システム1のシステム構成を表すシステム構成図である。まず、表示システム1の特徴について説明する。表示システム1では、温度センサを備えた表示端末50が設置され、表示端末50によって温度が測定される。温度の測定結果が所定の条件を満たすと、表示端末50は、所定の条件が満たされたことを表す特定の態様で表示を行う。所定の条件とは、予め管理者などによって設定された条件であり、商品の品質に問題を生じさせる可能性のある環境を表す。管理者とは、表示システム1の管理者であり、管理者権限を有する者である。管理者は、例えば表示端末管理装置10に登録されているデータを変更することができる。所定の条件が満たされたということは、商品が問題のある環境下におかれていたことに相当する。このような構成により、表示システム1では、表示端末50が付されていた商品が問題のない環境下におかれていたか否かを、表示端末50の表示を視認することによって容易に判断することが可能となる。
【0017】
次に、表示システム1のシステム構成の概略について説明する。表示システム1は、複数の表示端末通信システム100(100a、100b)、表示端末50を備える。各表示端末通信システム100は、それぞれ表示端末管理装置10、複数台の中継機20、複数台の表示端末50を備える。表示端末管理装置10と各中継機20とは、LAN(Local Area Network)等の有線ネットワークで接続されている。各中継機20の通信範囲には1台以上の表示端末50が設置され、各中継機20は表示端末50と無線で通信する。
【0018】
表示端末管理装置10は、中継機20を介して表示端末50と通信を行い、各表示端末50の表示内容を制御する。中継機20は、表示端末管理装置10と表示端末50との通信を中継する。
表示端末50は、画像又は文字を表示する装置である。表示端末50は、既存の電子棚札装置としての機能を有しても良い。すなわち、表示端末50は、商品などが陳列された棚に設置され、表示端末管理装置10による制御にしたがって、陳列されている商品などの名称や価格などを表示しても良い。また、表示端末50は、車両や航空機や船舶などの移動体によって運搬されている商品や、倉庫などに保管されている商品などに設置されても良い。図1の場合は、表示端末50は、運搬される梱包済商品60に設置されている。表示装置50は、運搬されることによって、表示端末通信システム100aの無線通信圏内から圏外へ出て、その後再び表示端末通信システム100aの無線通信圏内に戻ってくることもある。この場合は、表示端末50は運搬中の温度の測定結果を記録し、表示端末通信システム100aの表示端末管理装置10に送信する。また、表示端末50は、運搬されることによって、表示端末通信システム100aの無線通信圏内から圏外へ出て、表示端末通信システム100bの無線通信圏内に入ることもある。この場合は、表示端末50は運搬中の温度の測定結果を記録し、表示端末通信システム100bの表示端末管理装置10に送信する。
【0019】
図2は、表示端末50の外観を表す図である。表示端末50は、その表面に操作部501、メモリ性表示部508、バーコード表示部530を備える。操作部501は、作業者が、温度測定の開始や終了などの指示を表示端末50に対して指示する際に使用される。作業者とは、表示端末通信システム100において作業を行う者であり、管理者権限は有していない者である。メモリ性表示部508には、表示端末管理装置10から送信される表示データが表示される。表示データには、出荷梱包コード、名称、数量、行き先、出発日、到着予定日等の情報が含まれる。また、温度の測定結果が所定の条件を満たした場合には、メモリ性表示部508には特定の態様の表示データ(以下、「エラー表示データ」という。)が表示される。メモリ性表示部508の表示領域の一部に、処理表示領域531が設けられても良い。処理表示領域531には、表示端末50がログデータの記録を開始して終了するまでの間、ログデータの記録を行っていることを表す表示が行われる。バーコード表示部530には、表示端末50に重複せずに割り振られた識別情報(表示端末ID)を表すバーコードが表示される。
【0020】
次に、表示端末50について詳細に説明する。図3は、表示端末50の構成を表す機能ブロック図である。表示端末50は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、表示端末プログラムを実行する。表示端末50は、操作部501、無線通信部502、計時部503、センサ部504、記憶部505、制御部506、表示回路電源507、メモリ性表示部508、表示回路電源制御部509を備える装置として機能する。なお、表示端末50の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。表示端末プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。
【0021】
操作部501は上述した通りでありここでの説明を省略する。
無線通信部502は、無線通信を行う装置であり、中継機20を介して表示端末管理装置10との間で通信を行う。無線通信部502は、制御部506から入力された信号に対して符号化処理及び変調処理を行い、中継機20を介して表示端末管理装置10へ信号を送信する。無線通信部502が送信する信号の具体例としてはログデータがある。また、無線通信部502は、中継機20を介して表示端末管理装置10から信号を受信すると、受信した信号に対し復調処理及び復号化処理を行い、復号化された信号を制御部506へ出力する。無線通信部502が受信する信号の具体例としては表示データがある。
【0022】
計時部503は、定期的にクロック信号を制御部506へ出力する。
センサ部504は、温度を測定し、測定結果を制御部506へ出力する温度センサである。センサ部504が測定する温度は、表示端末50が関連づけられた商品の環境に関する温度である。具体例としては、表示端末50の周囲の空気の温度や、表示端末50が取り付けられた商品の表面の温度などがある。
【0023】
記憶部505は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成され、閾値テーブルやログデータ等を記憶する。
制御部506は、表示端末50の動作を制御する。例えば、無線通信部502が表示端末管理装置10から表示データを受信した場合は、制御部506は受信された表示データをメモリ性表示部508に表示させる。また、制御部506は、センサ部504の測定結果を、記憶部505にログデータとして記録する。
【0024】
表示回路電源507は、メモリ性表示部508に対し電力を供給する。
メモリ性表示部508は上述した通りでありここでの説明を省略する。
表示回路電源制御部509は、センサ部504の測定結果が所定の条件を満たした場合に、メモリ性表示部508にエラー表示データを表示させる。また、表示回路電源制御部509は、エラー表示データの表示を、特定の解除信号の入力のみによって解除可能に制御しても良い。
【0025】
図4は、記憶部505が記憶するデータの内容を表す概略図である。記憶部505は、閾値テーブル521、ログデータ522、その他データ523を記憶する。閾値テーブル521は、センサ部504の測定結果に関する所定の条件を表す。すなわち、表示回路電源制御部509は、閾値テーブル521が有する値に基づいて、センサ部504の測定結果が所定の条件を満たしたか否か判定する。閾値テーブル521は、第一上限値H1、第一下限値L1、第二上限値H2、第二下限値L2、上限限界時間TH、下限限界時間TLを持つ。
【0026】
ログデータ522は、制御部506によって記録される値であり、センサ部504の測定結果を表す。ログデータ522は例えば以下のような制御部506の処理によって生成される。制御部506は、計時部503から出力されるクロック信号に基づいて所定の時間の経過を判定する。そして、制御部506は、所定の時間が経過する度に、その時点のセンサ部504の測定結果の値を時刻とともにログデータ522として記録する。
その他データ523は、例えば表示端末50に割り振られた表示端末IDや、エラー表示データや、表示端末50に関連づけられた商品の商品情報(商品名、値段など)である。
【0027】
図5は、閾値テーブルに記憶される各値の概略を表す図である。第一上限値H1は、温度を表す値である。表示回路電源制御部509は、センサ部504の測定結果が第一上限値H1を上回った時点で、所定の条件が満たされたと判定する。第一下限値L1は、温度を表す値である。表示回路電源制御部509は、センサ部504の測定結果が第一下限値L1を下回った時点で、所定の条件が満たされたと判定する。
【0028】
第二上限値H2は、温度を表す値である。上限限界時間THは、時間の長さを表す値である。表示回路電源制御部509は、センサ部504の測定結果が第二上限値H2を上回ったとしても、所定の条件が満たされたと即座には判定しない。表示回路電源制御部509は、センサ部504の測定結果が第二上限値H2を上回っていたのべ時間が上限限界時間THを越えた時点で、所定の条件が満たされたと判定する。例えば図5の場合では、表示回路電源制御部509は、時間t1及び時間t2を加算した時間と上限限界時間THとを比較し、所定の条件が満たされたか否か判定する。第二下限値L2は、温度を表す値である。下限限界時間TLは、時間の長さを表す値である。表示回路電源制御部509は、センサ部504の測定結果が第二下限値L2を下回ったとしても、所定の条件が満たされたと即座には判定しない。表示回路電源制御部509は、センサ部504の測定結果が第二下限値L2を下回っていたのべ時間が下限限界時間TLを越えた時点で、所定の条件が満たされたと判定する。
【0029】
図6は、メモリ性表示部508及び表示回路電源制御部509の具体的な構成例を表す図である。以下、図6に示される構成例について説明する。メモリ性表示部508は、電源の供給が切れた場合にその直前の表示を維持するように構成される。例えば、メモリ性表示部508はマイクロカプセル方式、電子粉流体方式、ネマティック液晶、コレステリック液晶、スメクティック液晶などの技術を用いて構成されても良い。
【0030】
メモリ性表示部508は、表示回路電源507からスイッチ512を介して電力の供給を受ける。図6では、表示回路電源制御部509は、CPU510がプログラムを実行することによって実現されている。表示回路電源制御部509は、I/Oポート511を介してスイッチ512を制御する。具体的には、センサ部504の測定結果が所定の条件を満たしていない場合には、表示回路電源制御部509は、スイッチ512を接続状態に保つ。この場合、表示回路電源507からメモリ性表示部508の電源入力に対して電力が供給される。一方、センサ部504の測定結果が所定の条件を満たした場合には、表示回路電源制御部509は、エラー表示データをメモリ性表示部508に表示させた後にスイッチ512を切断する。この場合、表示回路電源507からメモリ性表示部508の電源入力に対して電力が供給されない。そのため、メモリ性表示部508は、直前の表示、すなわちエラー表示データの表示を維持する。
【0031】
次に、表示端末管理装置10について詳細に説明する。図7は、表示端末管理装置10の構成を表す機能ブロック図である。表示端末管理装置10は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、表示管理プログラムを実行する。表示端末管理装置10は、通信部101、記憶部102、操作部103、表示部104、制御部105を備える装置として機能する。なお、表示端末管理装置10の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。表示管理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。
【0032】
通信部101は、通信を行う装置であり、中継機20を介して表示端末50との間で通信を行う。通信部101は、制御部105から入力された信号に対して符号化処理及び変調処理を行い、中継機20を介して表示端末50へ信号を送信する。通信部101が送信する信号の具体例としては表示データがある。また、通信部101は、中継機20を介して表示端末50から信号を受信すると、受信した信号に対し復調処理及び復号化処理を行い、復号化された信号を制御部105へ出力する。通信部101が受信する信号の具体例としては、ログデータがある。
【0033】
記憶部102は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成され、アイテムマスタテーブル、出荷管理テーブル、ログデータ等を記憶する。
操作部103は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。操作部103は、表示端末管理装置10を操作するための指示や値を入力する際に管理者や作業者によって操作される。
【0034】
表示部104は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置を用いて構成される。表示部104は、表示端末管理装置10の操作画面などを表示する。
制御部105は、表示端末管理装置10の動作を制御する。例えば、制御部105は、記憶部102のアイテムマスタテーブル及び出荷管理テーブルに基づいて表示データを生成し、中継機20を介して表示端末50へ送信する。例えば、制御部105は、表示端末50に表示される表示データを生成し、中継機20を介して表示端末50へ送信する。例えば、制御部105は、中継機20を介して表示端末50から受信されたログデータを記憶部102に書き込む。
【0035】
図8は、アイテムマスタテーブルの具体例を表す図である。アイテムマスタテーブルは、表示システム1において取り扱われる商品に関する情報を持つ。アイテムマスタテーブルは、商品に割り当てられている識別情報(アイテムコード)、商品の名称、商品に関する説明、商品の保管条件の各項目の値をアイテムマスタレコード110毎に持つ。アイテムコードは、商品を一意に表す識別情報であればどのような識別情報であっても良い。アイテムコードは、例えばJAN(Japanese Article Number)コードあっても良い。商品の名称は、商品に予め付与された名称である。商品に関する説明は、例えば商品の取り扱い時に留意すべき事項や、商品の性質などを表す。保管条件は、商品を適切に保管するために要求される環境値を表す値であり、表示端末50の閾値テーブル521に記憶される値である。本実施形態では、環境値の具体例として温度が示されている。
【0036】
図9は、出荷管理テーブルの具体例を表す図である。出荷管理テーブルは、商品の出荷に関する情報を持つ。出荷管理テーブルは、出荷梱包コード、表示端末ID、アイテムコード、数量、行き先、出発日、到着予定日、その他、の各項目の値を出荷管理レコード111毎に持つ。出荷梱包コードは、一つの表示端末50によって管理される梱包済商品毎に割り振られる識別情報である。表示端末IDは、出荷梱包コードが割り振られた梱包済商品に対して設置された表示端末50の表示端末IDである。アイテムコードは、梱包された商品のアイテムコードである。数量は、梱包された商品の数量である。行き先は、梱包された商品の搬送先である。出発日は、梱包された商品の搬送が開始される日である。到着予定日は、梱包された商品の搬送が完了する予定の日である。その他は、梱包された商品やその搬送に関する情報であり、例えば搬送を行う者(搬送時の車両の運転手)などを表す。
【0037】
図10は、アイテムマスタレコード110及び出荷管理レコード111に基づいて生成された表示データの具体例を表す図である。図10の表示端末50は、梱包コード“A11”が付与された梱包済商品60に設置されている。梱包済商品60には、この梱包済商品60に付与された梱包コード“A11”を表すバーコード61が添付されている。図10に表される表示端末50の表示データは、出荷梱包コード“A11”に対応する表示データである。出荷梱包コード“A11”に対応する表示データは、図8に示されたアイテムマスタレコード110と、図9に示された出荷管理レコード111とに基づいて、制御部105によって生成される。
【0038】
図11は、表示端末管理装置10の動作の一例を表すフローチャートである。図11は特に、搬送される商品に対応付けて設置される表示端末50を管理するための処理に関するフローチャートである。搬送される商品に関するアイテムマスタレコード110は予め登録されている。また、搬送される商品に関する出荷管理レコード111も、表示端末IDの値を除いて予め登録されている。これらの情報の登録は管理者や作業者によって行われる。まず、表示端末管理装置10は、搬送される商品に付与された出荷梱包コードの入力を受け付ける(ステップS101)。出荷梱包コードの入力は、例えば表示端末通信システム100における作業者が端末装置を操作して、搬送される商品に添付されたバーコード61を読み取ることによって行われても良い。また、出荷梱包コードの入力は、例えば作業者が表示端末管理装置10の操作部103を操作することによって行われても良い。
【0039】
次に、表示端末管理装置10は、搬送される商品に設置される表示端末50の表示端末IDの入力を受け付ける(ステップS102)。表示端末IDの入力は、例えば作業者が端末装置を操作して、表示端末50のバーコード表示部530に表示されているバーコードを読み取ることによって行われても良い。また、表示端末IDの入力は、例えば作業者が表示端末管理装置10の操作部103を操作することによって行われても良い。
【0040】
表示端末管理装置10の制御部105は、S101の処理で受け付けた出荷梱包コードに対応する出荷管理レコード111を検索する。そして、制御部105は、検索された出荷管理レコード111の表示端末IDの値に、S102の処理で受け付けた表示端末IDの値を登録する(ステップS103)。次に、制御部105は、検索された出荷管理レコード111のアイテムコードを読み出す(ステップS104)。そして、制御部105は、読み出されたアイテムコードに対応するアイテムマスタレコード110の各値を検索し読み出す(ステップS105)。制御部105は、検索した各値に基づいて表示データを生成し、ステップS102の処理で受け付けた表示端末IDの表示端末50に対して送信する(ステップS106)。このとき生成される表示データは、搬送される梱包済商品に関する情報を表す表示データであり、例えば出荷梱包コード、名称、数量、行き先、出発日、到着予定日、説明、その他の情報などが表示される。また、制御部105は、検索したアイテムマスタレコード110の保管条件の値を、ステップS102の処理で受け付けた表示端末IDの表示端末50に対して送信する(ステップS107)。
【0041】
図12は、表示端末50の動作の一例を表すフローチャートである。図12は特に、商品が搬送される前に行われる処理に関するフローチャートである。まず、表示端末50の制御部506は、初期設定を行う(ステップS201)。初期設定とは、例えばハードウェアの初期化処理や、ソフトウェアの初期化処理である。次に、制御部506は、表示データを受信するまで待機する(ステップS202−NO)。表示端末管理装置10から表示データを受信すると(ステップS202−YES)、制御部506は、受信した表示データをメモリ性表示部508に表示させる(ステップS203)。このとき受信する表示データは、図11のS106の処理で送信される表示データであり、例えば図10に例示されるような表示データである。次に、制御部506は、保管条件を受信するまで待機する(ステップS204−NO)。表示端末管理装置10から保管条件を受信すると(ステップS204−YES)、制御部506は、受信した保管条件を閾値テーブル521に登録する(ステップS205)。
【0042】
図13は、表示端末50の動作の一例を表すフローチャートである。図13は特に、商品が搬送される直前から商品の搬送が完了するまでに行われる処理に関するフローチャートである。図13のフローチャートの処理が開始する時点で、図11及び図12に示されるフローチャートの処理は完了している。まず、表示端末50の制御部506は、操作部501が操作されてログデータの記録処理(以下、「データロギング」という。)の開始が指示されるまで待機する(ステップS301−NO)。この指示は、例えば操作部501のボタンを押下することによって行われても良い。操作部501が操作されてデータロギングの開始が指示されると(ステップS301−YES)、制御部506は、処理表示領域531に、データロギングを実行中であることを表示する。この表示は、例えば「データロギング中」という文字列を処理表示領域531に表示させても良い。また、「データロギング中」という文字列は、背景色と文字色とを反転させて表示されても良い。
【0043】
その後、制御部506は、データロギングの終了が指示されるまで、データロギングの処理S303を継続する(ステップS304−NO)。データロギングの終了の指示は、例えば操作部501のボタンを押下することによって行われても良い。操作部501が操作されてデータロギングの終了が指示されると(ステップS304−YES)、制御部506は、処理表示領域531におけるデータロギング実行中の表示を解除する(ステップS305)。そして、制御部506は、表示端末管理装置10と通信可能になった場合に、データロギングにおいて記録したログデータを、表示端末管理装置10にアップロードする(ステップS306)。
【0044】
図14は、表示端末50の動作の一例を表すフローチャートである。図14は特に、商品が搬送される直前から商品の搬送が完了するまでに行われる処理に関するフローチャートであり、図13に示される処理の変形例である。図14のフローチャートの処理が開始する時点で、図11及び図12に示されるフローチャートの処理は完了している。まず、表示端末50の制御部506は、表示端末管理装置10と通信が不可能になるまで待機する(ステップS401−YES)。この判定は、例えば中継機20の無線通信圏内であるか否かに応じて行われても良い。通信が不可能になると(ステップS401−NO)、制御部506は、処理表示領域531に、データロギングを実行中であることを表示する。この表示は、上述したように行われる。
【0045】
その後、制御部506は、表示端末管理装置10と通信が可能になるまで、データロギングの処理S403を継続する(ステップS404−NO)。表示端末管理装置10との通信が可能になると(ステップS404−YES)、制御部506は、処理表示領域531におけるデータロギング実行中の表示を解除する(ステップS405)。そして、制御部506は、データロギングにおいて記録したログデータを、表示端末管理装置10にアップロードする(ステップS406)。
【0046】
図15は、表示端末50の動作の一例を表すフローチャートである。図15は特に、データロギングの処理に関するフローチャートである。この処理は、図13のS303の処理や、図14のS403の処理に相当する。
【0047】
データロギングが開始すると、制御部506は、変数t1及び変数t2に“0”を代入して初期化する(ステップS501)。次に、制御部506は、測定間隔タイマを起動させる(ステップS502)。測定間隔タイマは、計時部503から出力されるクロック信号に基づいて、予め設定された所定の時間間隔Tを測定する。測定間隔タイマの起動から所定の時間Tが経過するまでは(ステップS503−NO)、制御部506は、ロギング終了条件を満たしたか否かを判定する(ステップS504)。ロギング終了条件とは、データロギングが終了される所定の条件であり、例えば操作部501によるデータロギングの終了指示(図13のS304)であっても良いし、表示端末管理装置10との通信が可能になること(図14のS404)であっても良いし、その他の条件であっても良い。データロギングが終了される所定の条件が満たされると(ステップS504−YES)、制御部506はデータロギングを終了する。一方、データロギングが終了される所定の条件が満たされていないと(ステップS504−NO)、ステップS503の処理に戻る。
【0048】
測定間隔タイマの起動から所定の時間Tが経過すると(ステップS503−YES)、制御部506は、その時点のセンサ部504の測定値を変数aに代入し表示回路電源制御部509へ通知する(ステップS505)。以下、理解の容易のために、測定値が代入された変数aの値を「測定値a」という。そして、制御部506は、測定値をログデータとして記憶部505に記録する(ステップS506)。制御部506は、時間Tが経過した時点でセンサ部504から出力されていた温度を測定値として用いても良いし、測定間隔タイマが起動してから所定の時間Tが経過するまでに出力されていた温度の統計値(例えば平均値や最大値など)を測定値として用いても良い。
【0049】
表示回路電源制御部509は、測定値aと第一上限値H1とを比較する。測定値aが第一上限値H1よりも大きい場合(ステップS507−YES)、表示回路電源制御部509はエラー処理を行う。エラー処理とは、メモリ性表示部508にエラー表示データを表示させる処理である。エラー処理の詳細については後述する。測定値aが第一上限値H1以下の場合(ステップS507−NO)、表示回路電源制御部509は、測定値aと第一下限値L1とを比較する。測定値aが第一下限値L1よりも小さい場合(ステップS508−YES)、表示回路電源制御部509はエラー処理を行う。
【0050】
測定値aが第一上限値H1以下であり且つ第一下限値L1以上である場合(ステップS508−NO)、表示回路電源制御部509は、測定値aと第二上限値H2とを比較する。測定値aが第二上限値H2よりも大きい場合(ステップS509−YES)、表示回路電源制御部509は変数t1に対しTを加算する(ステップS510)。Tは、測定間隔タイマによって計測される所定の時間の長さを表す。次に、表示回路電源制御部509は、変数t1と上限限界時間THとを比較する。変数t1が上限限界時間THよりも大きい場合(ステップS511−YES)、表示回路電源制御部509はエラー処理を行う。一方、変数t1が上限限界時間TH以下である場合(ステップS511−NO)、ステップS502の処理に戻る。
【0051】
測定値aが第一上限値H1以下であり且つ第一下限値L1以上であり且つ第二上限値H2以下である場合(ステップS509−NO)、表示回路電源制御部509は、測定値aと第二下限値L2とを比較する。測定値aが第二下限値以上である場合(ステップS512−NO)、ステップS502の処理に戻る。測定値aが第二下限値L2よりも小さい場合(ステップS512−YES)、表示回路電源制御部509は変数t2に対しTを加算する(ステップS513)。次に、表示回路電源制御部509は、変数t2と下限限界時間TLとを比較する。変数t2が下限限界時間TLよりも大きい場合(ステップS514−YES)、表示回路電源制御部509はエラー処理を行う。一方、変数t2が下限限界時間TL以下である場合(ステップS514−NO)、ステップS502の処理に戻る。
【0052】
図16は、表示端末50によるエラー処理の流れを表すフローチャートである。エラー処理が開始すると、表示回路電源制御部509は、予め表示端末50に設定されているエラー表示データを記憶部505から読み出し、メモリ性表示部508に表示させる(ステップS601)。次に、表示回路電源制御部509は、メモリ性表示部508に対する電力の供給を遮断する(ステップS602)。例えば、表示回路電源制御部509は、図6に示されるスイッチ512を切断することによって、メモリ性表示部508に対する電力の供給を遮断する(ステップS602)。次に、表示回路電源制御部509は、制御部506に対してデータロギングの継続を指示する。
【0053】
制御部506は、測定間隔タイマを起動する(ステップS603)。次に、制御部506は、測定間隔タイマの起動から所定の時間Tが経過するまで(ステップS604−NO)、ロギング終了条件を満たしたか否かを判定する(ステップS605)。データロギングが終了される所定の条件が満たされると(ステップS605−YES)、制御部506はデータロギングを終了する。一方、データロギングが終了される所定の条件が満たされていないと(ステップS605−NO)、ステップS604の処理に戻る。測定間隔タイマの起動から所定の時間が経過すると(ステップS604−YES)、制御部506は、その時点のセンサ部504の測定値をログデータとして記憶部505に記録し(ステップS606)、ステップS603の処理に戻る。
【0054】
図17は、表示端末50と表示端末管理装置10との間で行われる通信を表すシーケンス図である。図17は、特に表示端末50が表示端末管理装置10に対してログデータをアップロードする際の通信を表す。図17の通信は、図13のS306の処理及び図14のS406の処理に相当する。表示端末50の制御部506は、表示端末管理装置10に対して端末参加要求を送信する(ステップS701)。端末参加要求には、表示端末50の表示端末IDが含まれる。端末参加要求の送信は、表示端末50と表示端末管理装置10とが通信可能になった後に行われても良いし、通信可能か否かに係わらず定期的に行われても良い。
【0055】
表示端末管理装置10は、端末参加要求を受信すると、これに応じて端末参加許可を表示端末50に送信する(ステップS702)。表示端末50は、端末参加許可を受信すると、これに応じてログデータを表示端末管理装置10に送信する(ステップS703)。表示端末管理装置10は、ログデータの受信を終えるとログデータを記憶部102に書き込み、ログデータ消去許可を表示端末50に送信する(ステップS704)。表示端末50は、ログデータ消去許可を受信すると、これに応じて記憶部505のログデータを消去する(ステップS705)。
【0056】
図18は、表示端末50から表示端末管理装置10に対してログデータが送信される際の送信データのフォーマットを表す図である。この送信データは、表示端末IDとエラーフラグとログデータとを含む。表示端末IDは、送信元の表示端末の表示端末IDである。エラーフラグは、表示回路電源制御部509によってエラー処理が行われたか否かを表す情報である。ログデータは、記憶部505に記憶されているログデータである。送信されるログデータは、例えば記録された全てのログデータであっても良いし、予め定められた一定量のログデータであっても良い。
【0057】
図19は、表示端末管理装置10の動作の一例を表すフローチャートである。図19は特に、表示端末50から表示端末管理装置10に対してログデータが送信される際の処理のフローチャートである。表示端末管理装置10の制御部105は、表示端末50から端末参加要求を受信するまで待機する(ステップS801−NO)。なお、制御部105が待機するのは図19に示された処理であり、制御部105は図19に示される処理以外の処理については通常通り実行している。制御部105は、端末参加要求を受信すると(ステップS801−YES)、端末参加要求に含まれている表示端末IDの表示端末50に対し、端末参加許可を送信する(ステップS802)。
【0058】
次に、制御部105は、ログデータを受信するまで待機する(ステップS803−NO)。この場合も、制御部105が待機するのは図19に示されたS803以降の処理であり、制御部105は図19に示される処理以外の処理については通常通り実行している。制御部105は、ログデータを受信すると(ステップS803−YES)、受信したログデータを記憶部102に保存する(ステップS804)。次に、制御部105は、ログデータとともに送信されてきた表示端末IDの表示端末50に対し、ログデータ消去許可を送信する(ステップS805)。
【0059】
次に、制御部105は、ログデータとともに送信されてきたエラーフラグが、エラー処理が行われたことを示すか否か判定する(ステップS806)。エラーが発生していた場合、すなわちエラー処理が行われていた場合(ステップS806−YES)、制御部105はアラーム処理を実行する(ステップS807)。アラーム処理とは、問題が生じている可能性のある商品への対応として予め設定されている処理である。例えば、制御部105は、管理者や作業者に対してエラー処理が行われたことを通知するための画像や文字を表示部104に表示することによって、アラーム処理を実行しても良い。また、制御部105は、管理者や作業者に対してエラー処理が行われたことを通知するための音声をスピーカーから出力することによってアラーム処理を実行しても良い。また、制御部105は、作業者や管理者が携帯する端末装置に対してアラーム処理の実行を通知し、端末装置が作業者や管理者に対して上記の通知を行っても良い。この場合、端末装置は、バイブレータを震動させても良いし、表示装置に表示を行っても良いし、音声を出力しても良い。また、制御部105は、予め設置されているランプを点灯させることによってアラーム処理を実行しても良い。また、制御部105は、処理対象となっている表示端末50に対応する梱包済商品60がベルトコンベアによって搬送される先を、所定の行き先に変更することによってアラーム処理を行っても良い。
【0060】
エラー処理が行われていなかった場合(ステップS806−NO)、又はアラーム処理(ステップS807)を行った後、制御部105は、保存されたログデータの解析を行う。ログデータの解析とは、例えば、同一車両によって搬送された複数の梱包済商品60に対するログデータを集め、その搬送時の品質を評価する処理であっても良い。また、運転手毎の搬送時の品質や、商品毎の搬送時の品質を評価する処理であっても良い。制御部105は、ログデータの解析の後、解析結果をレポートとして出力する。この出力は、例えば表示端末管理装置10に接続されたプリンタによって紙面に印刷されることによって行われても良いし、表示部104に表示することによって行われても良いし、他の態様で行われても良い。
【0061】
以上のように構成された表示端末50では、商品のおかれた環境が、商品の品質に問題を生じさせる可能性のある環境になった場合、メモリ性表示部508にエラー表示データが表示される。そのため、表示端末50が付された商品が、問題のない環境下におかれていたか否かを容易に判断することが可能となる。
また、電源の供給が切れた場合にその直前の表示を維持するようにメモリ性表示部508が構成され、表示回路電源制御部509がエラー表示データを表示させた後にメモリ性表示部508への電力供給を遮断するように構成された場合、表示端末50の表示回路電源507の電力が切れた後にも、エラー表示データの表示が維持される。そのため、表示端末50が付された商品が、問題のない環境下におかれていたか否かを容易に判断することが可能となる。またこの場合、一度エラー表示データが表示されてしまった後は、メモリ性表示部508の表示を変えることは容易ではない。そのため、エラー表示データがリセットされることを防止し、表示端末50の表示の信頼性を向上させることが可能となる。言い換えれば、商品の品質に問題を生じさせる可能性のある環境になったことを、搬送を行った運転手や、保管を行った保管責任者などによってごまかされることを防止できる。
【0062】
また、作業者又は管理者は、表示端末管理装置10や端末装置などを操作することによって、表示端末50に対してエラー表示データの表示の解除信号を送信できるように構成されても良い。この場合、表示回路電源制御部509は、解除信号の受信に応じて、エラー表示データの表示を取りやめる。例えば、表示回路電源制御部509は、スイッチ512を導通させて制御部506によるメモリ性表示部508の制御を可能にする。スイッチ512が導通することによって、制御部506はメモリ性表示部508に対して表示データを表示させることが可能となる。このような解除信号の送信は、搬送を行った運転手や、保管を行った保管責任者などが行うことができないように構成される。そのため、運転手や保管責任者などはエラー表示データが表示された表示端末50の解除を行うことができず、搬送時や保管時などの環境をごまかされることを防止できる。
【0063】
また、表示端末管理装置10のアラーム処理によって、表示端末50が付された商品が問題のない環境下におかれていたか否かを容易に判断することや、問題が生じている可能性のある商品を容易に排除することが可能となる。
【0064】
<変形例>
表示端末50は単体でも技術的な効果を奏するため、表示端末50以外の装置は必須の構成ではない。また、表示端末50と表示端末管理装置10とを含むシステムに関しては、表示端末管理装置10は複数備えられる必要はなく一台であっても良い。また、中継機20も複数台備えられる必要はなく一台であっても良い。表示端末通信システム100内に設置される表示端末は、上述した表示端末50に限られる必要は無く、既存の電子棚札装置であっても良い。
【0065】
上述した説明では、表示端末50が備えるセンサ部504は温度センサであった。しかし、表示端末50が備えるセンサは、商品の環境に関する所定の環境値を測定できるセンサであれば、温度センサに限らずどのようなセンサであっても良い。例えば、湿度センサ、臭いセンサ、照度センサ、衝撃センサなどであっても良い。また、表示端末50が備えるセンサの数は、1つや1種類に限る必要は無く、複数や複数種であっても良い。
閾値テーブル521に記憶される値、すなわち保管条件は、上述した説明のものに限定されない。また、メモリ性表示部508及び表示回路電源制御部509の構成は図6に示された構成に限定されない。
【0066】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10…表示端末管理装置, 101…通信部, 102…記憶部, 103…操作部, 104…表示部, 105…制御部, 20…中継機, 50…表示端末, 501…操作部, 502…無線通信部, 503…計時部, 504…センサ部(センサ), 505…記憶部, 506…制御部, 507…表示回路電源, 508…メモリ性表示部, 509…表示回路電源制御部(表示制御部), 530…バーコード表示部, 531…処理表示領域, 510…CPU, 511…I/Oポート, 512…スイッチ, 110…アイテムマスタレコード110, 111…出荷管理レコード, 60…梱包済商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示を行う表示部と、
商品の環境に関する所定の環境値を測定するセンサと、
前記センサの測定結果が所定の条件を満たした場合に、前記表示部に特定の態様で表示をさせる表示制御部と、
を備える表示端末。
【請求項2】
前記表示部は、電源の供給が切れた場合にその直前の表示を維持するように構成され、
前記表示制御部は、前記表示部に前記特定の態様で表示をさせた後に、前記表示部への電源の供給を遮断する、請求項1に記載の表示端末。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記特定の態様での表示を、特定の解除信号の入力のみによって解除可能に制御する、請求項1に記載の表示端末。
【請求項4】
前記センサの測定結果を記憶する記憶部と、
表示端末を管理する表示端末管理装置に対し、前記記憶部に記憶された前記測定結果を送信する無線通信部と、をさらに備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示端末。
【請求項5】
前記無線通信部が前記表示端末管理装置と無線通信可能か否か判定し、無線通信不可能と判定した時点から、次に無線通信可能と判定する時点までの間の前記センサの測定結果を前記記憶部に記憶させる制御部をさらに備える請求項4に記載の表示端末。
【請求項6】
前記無線通信部は、前記センサの測定結果が所定の条件を満たした場合に、前記所定の条件が満たされたことを表すエラー情報を、前記所定の条件が満たされたことを前記表示端末管理装置が報知するように、前記表示端末管理装置に対して送信する請求項4又は5に記載の表示端末。
【請求項7】
請求項6に記載の表示端末から前記エラー情報を受信する通信部と、
前記通信部によって前記エラー情報が受信された場合に、前記所定の条件が満たされたことを報知する制御部と、
を備える表示端末管理装置。
【請求項8】
表示を行う表示部を備えた表示端末が行う表示制御方法であって、
商品の環境に関する所定の環境値を測定するステップと、
測定結果が所定の条件を満たした場合に、前記表示部に特定の態様で表示をさせるステップと、
を有する表示制御方法。
【請求項9】
表示を行う表示部を備えたコンピュータに対し、
商品の環境に関する所定の環境値を測定するステップと、
測定結果が所定の条件を満たした場合に、前記表示部に特定の態様で表示をさせるステップと、
を実行させるための表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−170551(P2012−170551A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33601(P2011−33601)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】