説明

表示装置、および、表示装置における表示方法

【課題】情報を手軽に、かつ、見やすく表示できる表示装置、及び、表示装置における表
示方法を提供する。
【解決手段】表示パネル42を備えた携帯型の本体2を有する表示装置としての携帯電話
機1は、その表示機能に基づいて表示パネル42に情報を表示させるとともに、表示パネ
ル42の一部が異物により隠されたことを検出した場合に、隠された領域を特定する機能
を備え、隠された領域として特定した領域を避けるように、情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面に情報を表示する表示装置、および、表示装置における表示方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
従来、説明、講義、プレゼンテーション等(以下、プレゼンテーション等という)を行
う場合、話者は事前に準備した原稿や資料を見ながら、時間等の制約を受ける状況で話を
しなければならず、非常に難しく負担が大きい役割を果たさなくてはならない。このよう
な話者の負担を軽減するため、プレゼンテーションの際に、プレゼンター(話者)が読み
上げる原稿を表示する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には
、プレゼンテーションで用いる画像を液晶プロジェクタに出力するノート型コンピュータ
が、出力中の画像を表示するメイン液晶ディスプレイとは別に、サブ液晶ディスプレイを
備えた構成として、このサブ液晶ディスプレイに原稿を表示するシステムが開示されてい
る。
【特許文献1】特開2004−198835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したプレゼンテーション等を行っている間、話者は、投影または表示さ
れる画像を見たり、聴衆の側を向いたりして、原稿や資料を見ることだけに集中できると
は限らない。このため、手軽に、かつ見やすく、情報を表示することが望まれていた。
そこで本発明は、情報を手軽に、かつ、見やすく表示できる表示装置、及び、表示装置
における表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、表示画面を備えた携帯型の本体と、前記表示画面
に情報を表示させる表示制御手段と、前記表示画面の一部が異物により隠された場合に、
隠された領域を特定する異物検出手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記表示画面に
おいて前記異物検出手段により特定された領域を避けて情報を表示させること、を特徴と
する表示装置を提供する。
この構成によれば、携帯型の本体を備えた表示装置が表示画面に情報を表示するととも
に、この表示画面の一部が異物により隠された場合には、この隠された領域を避けて情報
が表示される。このため、表示画面が隠された状態であっても、情報を隠れないように表
示でき、例えば話者が本体を手に持った状態で、手指が表示画面に被さっていても情報が
隠れないように表示されるので、本体を持ち変える等の動作が不要である。従って、この
表示装置は、片手で持って使用可能で、さらに、本体の保持方法に拘わらず、表示画面に
全ての情報を良く見えるように表示可能であるため、所定の位置を保持する等の配慮を強
いることがなく、持ち方に関する制限が殆ど無いので、手軽に扱うことができる。
【0005】
上記構成において、前記異物検出手段は、前記表示画面の表面における接触を検出する
センサと、前記センサの検出状態に基づいて隠された領域を特定する領域特定手段とを備
え、前記表示制御手段は、前記表示画面において前記領域特定手段により特定された領域
を避けて情報を表示させるものとしてもよい。
この場合、異物が接触した領域を避けるように情報を表示するので、表示画面において
異物により隠された領域を確実に特定し、この領域を避けて、全ての情報を見えるように
表示できる。
【0006】
また、上記構成において、前記表示制御手段は、前記表示画面において表示領域を設定
し、この表示領域に納まるように情報を表示させるものであり、前記異物検出手段のセン
サにより接触が検出された場合には、前記表示画面において前記領域特定手段により特定
された領域を避けるように新たな表示領域を設定し、前記表示画面における表示領域を新
たな表示領域に切り替える処理を行い、この新たな表示領域に表示可能な情報量が切り替
え前の表示領域よりも少ない場合には、切り替え前の表示領域に表示されていた情報から
切り替え後の表示領域に納まる分の情報を抽出し、抽出した情報を表示させるものとして
もよい。
この場合、異物により隠された領域を避けるように新たに表示領域を切り替えて表示を
行う場合に、新たな表示領域に表示可能な情報量が切り替え前の表示領域よりも少なけれ
ば、切り替え前の表示領域に表示されていた情報を抽出して、切り替え後の表示領域に表
示する。これにより、隠された領域を避けるために表示可能な情報量が減少する際に、既
に表示中の情報の一部を抽出することで、表示領域の切り替え時に一部の情報が欠落する
事態を回避し、情報を継続して表示したまま、隠された領域を避けて情報を表示できる。
【0007】
さらに、上記構成において、前記異物検出手段が備える前記センサは入力操作を行うた
めに使用可能であり、さらに、前記センサとは別体に構成されたスイッチを前記本体に備
える構成としてもよい。
この場合、表示画面に対する接触により表示装置への入力操作が可能であり、さらに、
表示画面における接触を検出するセンサとは別に、スイッチを備えているので、情報を表
示していない間は表示画面への接触により、入力操作を簡単に行うことができる。また、
情報を表示している間は、センサとは別体に構成されたスイッチを操作することで、表示
画面に表示中の情報の表示状態を変更させることなく、容易に操作可能である。
【0008】
また、本発明は、表示画面を備えた携帯型の本体を有する表示装置において、前記表示
画面に情報を表示させるとともに、前記表示画面の一部が異物により隠された場合には、
隠された領域を特定し、特定した領域を避けるように前記情報を表示させること、を特徴
とする表示装置における表示方法を提供する。
この構成によれば、表示装置の表示画面に情報を表示するとともに、この表示画面の一
部が異物により隠された場合には、この隠された領域を避けて情報が表示される。このた
め、表示画面が隠された状態であっても、情報を隠れないように表示でき、例えば、表示
装置の本体を手に持った状態で、手指により表示画面が隠されていても、情報が隠れない
ように表示されるので、本体を持ち変える等の動作が不要である。従って、片手で持って
使用可能な表示装置において、表示装置の本体の保持方法に拘わらず、表示画面に全ての
情報を良く見えるように表示可能であるため、所定の位置を保持する等の配慮を強いるこ
とがなく、持ち方に関する制限が殆ど無いので、手軽に扱うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯型の本体を有する表示装置の表示画面が隠された場合であっても
情報を隠れないように表示でき、手軽に手に持って使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係る表示装置としての携帯電話機1の使用例を示
す図である。
この図1において、50はプロジェクタ、53はスクリーンである。プロジェクタ50
には、映像ソースとしてのコンピュータ55が接続され、コンピュータ55が出力する映
像信号に基づいて、プロジェクタ50がスクリーン53上に画像54を投影する。
携帯電話機1は、これらプロジェクタ50、スクリーン53及びコンピュータ55を用
いて説明、講義、プレゼンテーション等(以下、本実施形態ではプレゼンテーションとい
う)を行う場合に、話者(プレゼンター)が話す原稿を表示する原稿表示機能を備えてい
る。この携帯電話機1の原稿表示機能を用いれば、話者は、紙の原稿を持たずに原稿を読
み上げることができる。以下、本実施形態では、プレゼンテーション等を行う話者(ユー
ザ)が、原稿を表示させる目的で、表示装置としての携帯電話機1を使用する場合を例に
挙げて説明する。
携帯電話機1は、携帯可能な小型の本体2を備え、この本体2に、上記の原稿等の各種
情報を表示する表示パネル42を備えている。また、本体2には、表示パネル42とは別
に、数字キーや文字キーを備えたキー入力部22が配設されている。
【0011】
図2は、携帯電話機1の機能的構成を示すブロック図である。
携帯電話機1は、各部を制御する制御部10、制御部10により処理される各種データ
等を記憶する記憶部11、携帯電話機1の外部の外部記憶媒体15に対してデータの読み
取り及び書き込みを行う外部インタフェース部12を備えており、制御部10は、記憶部
11に記憶されたデータに加え、外部インタフェース部12を介して外部記憶媒体15か
ら読み取ったデータを、上記の原稿表示機能の実行時に利用可能である。
ここで、外部記憶媒体15は、例えば半導体記憶素子を用いたカード型のデバイスであ
り、外部インタフェース部12は、例えば、カード型のデバイスを挿入可能なスロットを
備えている。また、外部記憶媒体15として、他の電子機器を用いてもよく、この場合、
外部インタフェース部12は、上記電子機器との間でデータを送受信するための通信イン
タフェースとして、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、赤外線通信
インタフェース等を備えて構成される。
【0012】
また、携帯電話機1は、話者による操作を検出する操作部20、及び、原稿等の各種情
報を表示する表示部40を備えている。
表示部40は、液晶表示パネルや有機ELパネル等からなる表示パネル42と、表示パ
ネル42を構成する表示素子を駆動して表示パネル42に画像を表示させる表示ドライバ
41とを備えている。また、本実施形態では、表示パネル42が液晶表示パネルであるも
のとして、この表示パネル42を背面側から照明するバックライト43を備えた構成とす
る。表示パネル42が有機ELパネルで構成される場合にはバックライト43は不要であ
る。
操作部20は、表示パネル42に重ねて配設されるタッチセンサ21(センサ)、キー
入力部22、及び、タッチセンサ21及びキー入力部22における操作を検出する操作検
出部23を備えている。操作検出部23は、キー入力部22における操作を検出して、操
作されたキーに対応する操作信号を生成して制御部10に出力する。また、操作検出部2
3は、タッチセンサ21に対する接触操作を検出すると、タッチセンサ21における操作
位置(接触位置)を示す操作信号を生成して制御部10に出力する。タッチセンサ21は
、表示パネル42における表示可能な領域のほぼ全面における接触を検出できるように配
設される。
キー入力部22は、表示パネル42とは別体に配設されたハードウェアスイッチを有し
ており、これらのスイッチは、数字キーや文字キー等に割り当てられている。
【0013】
携帯電話機1は、周囲の明るさを検出する照度センサ24を備えている。照度センサ2
4は、フォトダイオードまたはフォトトランジスタを用いた検出部を備え、この検出部は
携帯電話機1本体の表面に露出するように配設される。照度センサ24は、携帯電話機1
の周囲の明るさに応じた検出値を制御部10に出力し、制御部10は、照度センサ24か
ら入力される検出値に基づいて周囲の明るさを判別する。なお、照度センサ24がアナロ
グ電気信号を出力するものである場合に、このアナログ電気信号を増幅してデジタルデー
タに変換して制御部10に出力するA/D変換回路を設けてもよい。
【0014】
また、携帯電話機1は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子
とレンズとを備えた撮影部25と、制御部10の制御に従って撮影部25の撮像素子を制
御して撮影を行う撮影制御部26とを備え、これら撮影部25及び撮影制御部26により
カメラ撮影機能を提供する。撮影制御部26は、撮影部25の撮像素子が出力するデータ
をデジタル画像データの形式に変換して、制御部10に出力する。なお、撮影部25がレ
ンズを移動させて撮影倍率を変化させるズーム機能を備えた構成としてもよく、この場合
、撮影制御部26は、撮影部25を駆動制御して所定の撮影倍率を実現する。
【0015】
さらに、携帯電話機1は、アンテナ28を介して、基地局(図示略)との間で無線信号
を送受信する通信部27を備えている。通信部27は、制御部10から入力される送信用
のデジタルデータに基づいて、内蔵するベースバンド部(図示略)によりベースバンド信
号を生成し、このベースバンド信号を変調及び増幅して、アンテナ28から送信する。ま
た、通信部27は、アンテナ28により受信した無線信号を増幅及び復調してデジタルデ
ータを生成し、制御部10に出力する。通信部27が無線信号を送受信する基地局(図示
略)は、携帯電話網を提供する通信事業者が設置した無線通信局であり、当該通信事業者
のバックボーン回線に接続され、この基地局(図示略)を介して、携帯電話機1に対して
通信サービスが提供される。携帯電話機1は、携帯電話機としての音声通話時、及び、デ
ータ通信時に、通信部27及びアンテナ28を用いて上記基地局との間で通信を実行する

【0016】
携帯電話機1は、さらに、マイク31によって音声を集音するとともに、スピーカ32
から音声を出力する音声処理部30を備える。音声処理部30は、マイク31が音声を集
音して出力するアナログ電気信号をデジタルデータに変換して制御部10に出力する。ま
た、音声処理部30は、制御部10から入力されるデジタルデータに基づいて音響信号を
生成し、この音響信号を増幅してスピーカ32に出力することで、スピーカ32から音声
を出力させる。
また、携帯電話機1は、内蔵する半導体レーザ発振器により赤色や緑色のレーザ光を生
成し、所定方向に出射するレーザ発光部35を備えている。制御部10は、操作部20に
より検出した操作に応じて、レーザ発光部35に対する駆動電流のON/OFFを制御す
る。レーザ発光部35は、スクリーン53(図1)に投影された画像54を指し示すレー
ザポインタとして利用される。このレーザ発光部35を簡単に操作できるように、キー入
力部22に、発光指示用の独立したスイッチを設け、このスイッチの押下中にのみレーザ
発光部35が発光する構成としてもよい。
【0017】
このように構成される携帯電話機1は、携帯電話機として機能する場合、音声通話およ
びデータ通信を実行可能である。音声通話の実行時、携帯電話機1は、通信部27によっ
て基地局(図示略)との間で通話開始に係る制御信号を送受信し、発呼または着呼の動作
を行って、音声通話を開始する。音声通話中、制御部10は音声処理部30を制御して、
マイク31により話者の音声を取得して通信部27により音声データを送信するとともに
、通信部27により受信した音声データに基づいてスピーカ32から音声を出力させる。
また、携帯電話機1は、電子メールの送受信やブラウザ機能によるウェブページの閲覧等
を実行する場合、通信部27によって基地局(図示略)との間でデータ通信開始に係る制
御信号を送受信し、上記通信事業者が提供するゲートウェイサーバとの間でデータを送受
信する。
【0018】
また、携帯電話機1は、図1に示したようにプレゼンテーションを実行する際に、プレ
ゼンテーションで話者が読み上げるべき原稿を表示パネル42に表示する原稿表示機能を
有する。この原稿表示機能の実行時、制御部10は、表示制御手段及び領域特定手段とし
て機能するとともに、タッチセンサ21と協働して異物検出手段として機能する。
原稿表示機能の実行時に、制御部10は、記憶部11に記憶した原稿のテキストデータ
を取得して、このテキストデータを表示するための表示情報を生成し、表示部40に出力
する。ここで、原稿のテキストデータが外部記憶媒体15に記憶されている場合は、この
テキストデータを外部インタフェース部12により読み取って、記憶部11に記憶した状
態で、原稿表示機能を実行する。
記憶部11に記憶された原稿のテキストデータは、1回分のプレゼンテーションに対応
する連続したテキストデータ、或いは、1回分のプレゼンテーションに対応するテキスト
データを複数に分割したデータである。この比較的長文のテキストデータには、複数のイ
ンデックスが付されており、このインデックスを指標として、テキストデータ中の任意の
位置を指定できるようになっている。
また、制御部10は、原稿表示機能の実行時に、照度センサ24により検出した周囲の
照度に基づいて、バックライト43の輝度を変化させる制御を行う。これにより、例えば
プレゼンテーション中に周囲が暗くなっても、原稿を見やすく表示できる。
さらに、制御部10は、原稿表示機能の実行時、表示パネル42が異物によって隠され
た場合に、この異物を避けるようにテキストデータを表示させる。
【0019】
図3は、表示パネル42に設定される表示領域を模式的に示す図である。
原稿表示機能の開始時、図3Aに示すように、制御部10は、表示パネル42において
予め設定された表示領域42aに収まる文字数及び行数で、記憶部11から読み出したテ
キストデータの文字を配列して、表示させる。
このテキストデータの表示中に、タッチセンサ21によって表示パネル42への接触を
検出した場合、制御部10は、操作検出部23により検出した接触位置に基づいて、図3
Bに示すように、接触された異物接触領域42bを特定し、この異物接触領域42bを避
ける異物回避表示領域42cを新たに設定する。そして、制御部10は、新たに設定した
異物回避表示領域42cに収まるように、テキストデータを表示させる。
【0020】
図4は、表示パネル42における表示状態の変化を示す図である。
図4Aに示すように、原稿表示機能を実行して表示パネル42にテキストデータを表示
する際には、表示パネル42の表示可能領域のほぼ全体に設定された表示領域42aに、
テキストデータが表示される。
ここで、図4Bに示すように、話者の手指等が表示パネル42に接触して、表示領域4
2aに表示中の文字が隠されると、制御部10は、手指等が触れている異物接触領域42
bを特定して、この異物接触領域42bを避けるように、図4Cの異物回避表示領域42
cを設定する。
異物回避表示領域42cは、異物接触領域42bを避けるように変形した領域となって
おり、この異形の異物回避表示領域42cにおいて文字が水平方向に並べて配置される。
このため、異物回避表示領域42cに表示可能な文字数は、表示領域42aに表示可能な
文字数に比べて少ない。制御部10は、異物回避表示領域42cを設定した後に、表示領
域42aに表示中であったテキストデータから、異物回避表示領域42cに表示可能な文
字数に基づいて表示すべきテキストデータを抽出して、異物回避表示領域42cに表示す
る処理を行う。この処理により、表示領域42aから異物回避表示領域42cに表示領域
を切り替える際に、テキストデータを欠落させることなく継続して表示できる。
【0021】
図5は、原稿表示機能に係る携帯電話機1の動作を示すフローチャートである。
制御部10は、まず、記憶部11に記憶している原稿のテキストデータを読み出し(ス
テップS11)、操作部20の操作により表示開始の指示がなされるまで待機する(ステ
ップS12)。
ここで、話者が表示パネル42に接触する操作やキー入力部22のキーを押下する等の
操作を行い、表示開始が指示された場合(ステップS12;Yes)、制御部10は、記
憶部11から読み出した原稿のテキストデータから、予め設定された表示領域42aに表
示する分のテキストを抽出して、表示対象テキストとする(ステップS13)。続いて、
制御部10は、表示対象テキストの表示パネル42の表示領域42aへの表示を開始する
(ステップS14)。
【0022】
表示開始後、制御部10は、操作検出部23から入力される操作信号を監視し、タッチ
センサ21によって表示パネル42への接触を検出したか否かを判別する(ステップS1
5)。ここで、接触が検出されていない場合(ステップS15;No)、制御部10は後
述するステップS17に移行する。
また、表示パネル42への接触が検出された場合(ステップS15;Yes)、制御部
10は、接触された領域、すなわち、表示パネル42に接触した異物によって表示パネル
42が隠された領域を特定する(ステップS16)。この隠された領域は、例えば、操作
検出部23から制御部10に入力される操作信号から接触位置(操作位置)の座標を取得
することにより、この接触位置の座標から特定できる。隠された領域を特定した制御部1
0は、ステップS17に移行する。
【0023】
ステップS17において、制御部10は、表示パネル42において隠された領域の状態
が、前回の処理から変化しているか否かを判別する。
表示パネル42の一部が隠されたことを検出して、これに対応する処理を既に行ってい
る場合、或いは、表示パネル42が全く隠されていない状態が続いている場合には、表示
状態を変更する必要がない。このため、制御部10は、表示パネル42が隠されているか
否か、及び、隠された領域が拡大・縮小或いは移動しているか否かに基づき、表示パネル
42の表示の見え方が変化しているか否かを判別する。
ここで、表示パネル42の見え方に変化がない場合(ステップS17;No)、制御部
10は後述するステップS23に移行する。
【0024】
一方、表示パネル42の見え方(隠れた状態)に変化があった場合(ステップS17;
Yes)、制御部10は、ステップS16で特定した領域、すなわち異物接触領域42b
を避けるように、新たに異物回避表示領域42cを設定し(ステップS18)、この新た
な異物回避表示領域42cにおける1行あたりの表示可能文字数および表示可能行数を、
例えば異物回避表示領域42cのサイズ、文字サイズ及びフォント等をもとに算出する(
ステップS19)。
そして、制御部10は、現在、設定されている表示領域42aまたは異物回避表示領域
42cに表示中の表示対象テキストの全部を、新たに設定した異物回避表示領域42cに
表示できるか否かを判別する(ステップS20)。
ここで、表示中の表示対象テキストの全部を、新たに設定した異物回避表示領域42c
に表示できない場合、制御部10は、表示中の表示対象テキストから、新たに表示対象テ
キストとする部分を抽出する(ステップS21)。この抽出は、表示中の表示対象テキス
トのうち、先頭から、新たに設定した異物回避表示領域42cに表示可能な文字数分だけ
を取り出す処理である。
【0025】
その後、制御部10は、表示パネル42の表示を更新する(ステップS22)。このス
テップS22では、制御部10の制御により、表示パネル42における表示領域が、新た
に設定した異物回避表示領域42cに切り替えられ、抽出により新たに設定された表示対
象テキストが、切り替え後の異物回避表示領域42cに表示される。
また、制御部10は、新たに設定した異物回避表示領域42cに、表示中の表示対象テ
キストの全部を表示できる場合(ステップS20;Yes)、ステップS22に移行して
表示パネル42の表示を更新し、表示パネル42の表示領域を新たに設定した異物回避表
示領域42cに切り替えて、切り替え後の異物回避表示領域42cに、先に表示中であっ
た表示対象テキストを表示する。
【0026】
その後、制御部10は、キー入力部22に対する操作によって画面の表示スクロールが
指示されたか否かを判別する(ステップS23)。ここで表示スクロールが指示された場
合、記憶部11から読み出した原稿のテキストデータのうち、表示対象テキストに続く部
分のテキストデータを取得して、このテキストデータを新たな表示対象テキストにする処
理を行い(ステップS24)、表示パネル42における表示を更新して新たな表示対象テ
キストを表示させる(ステップS25)。
そして、制御部10は、キー入力部22への操作によって表示終了が指示されたか否か
を判別し(ステップS26)、表示終了の指示が無ければステップS15に戻る。また、
表示終了が指示された場合には、表示パネル42における異物回避表示領域42cの設定
及び表示対象テキストの設定を解除し、表示パネル42への表示対象テキストの表示を終
了する。
また、画面の表示スクロールが指示されなかった場合(ステップS23;No)、制御
部10は、そのままステップS26に移行して表示終了の指示の有無を判別する。
【0027】
以上のように、本発明を適用した実施形態に係る携帯電話機1は、表示パネル42を備
えた携帯型の本体2を備え、制御部10の制御により表示パネル42に情報を表示させ、
表示パネル42の一部が異物により隠された場合に、隠された領域を特定し、表示パネル
42において異物検出手段により特定された領域を避けて情報を表示させるので、表示パ
ネル42が隠された状態であっても、情報を隠れないように表示できる。例えば、携帯電
話機1の本体2を手に持った状態で、話者の手指が表示パネル42に被さっていても、こ
の手指を避けるように情報が表示されるので、本体2を持ち変える等の操作が不要である
。従って、この携帯電話機1は、片手で持って使用可能で、さらに、本体2の保持方法に
拘わらず、表示パネル42に全ての情報を良く見えるように表示可能であり、持ち方に関
する制限が殆ど無く、手軽に扱うことができる。
【0028】
また、表示パネル42の表面における接触を検出するタッチセンサ21を備え、このタ
ッチセンサ21の検出状態に基づいて、表示パネル42において異物で隠された領域を確
実に特定し、この領域を避けて、全ての情報を見えるように表示できる。
また、制御部10は、予め表示パネル42に合わせて設定された表示領域42a内に納
まるように情報を表示させるものである。タッチセンサ21により接触が検出された場合
には、異物接触領域42bを避けるように新たに異物回避表示領域42cを設定し、表示
パネル42における表示領域を、新たに設定した異物回避表示領域42cに切り替えて表
示対象テキストを表示する。ここで、切り替え後の異物回避表示領域42cに表示可能な
情報量が、切り替え前の表示領域42aまたは異物回避表示領域42cより少ない場合、
制御部10は、切り替え前に表示されていた表示対象テキストから、新たな異物回避表示
領域42cに表示可能な文字数に基づいて、新たな表示対象テキストを抽出して、異物回
避表示領域42cに表示する。このため、隠された領域を避けるために表示可能な情報量
が減少する場合も、表示領域の切り替え時に一部の情報が欠落する事態を回避して、原稿
のテキストデータを欠くことなく継続して表示したまま、異物接触領域42bを避けるよ
うにテキストデータを表示できる。
【0029】
さらに、携帯電話機1は、タッチセンサ21とは別体に構成されたキー入力部22を本
体2に備えるので、情報を表示していない間は表示パネル42への接触により、入力操作
を簡単に行うことができ、情報を表示している間は、キー入力部22を操作することで、
表示パネル42に表示中の情報の表示状態を変更させることなく、容易に操作可能である
。例えば、図5のステップS23におけるスクロールの指示や、ステップS26における
表示終了の指示を、キー入力部22によって入力可能とすることで、表示パネル42にお
ける表示更新の処理等を行わせることなく、速やかに、キー入力部22の操作に応じた処
理を実行させることが可能となる。これにより、不要な処理を省いて、入力に速やかに応
答する携帯電話機1を実現できる。
【0030】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の
範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記の実施形態においては、話者(プレゼンター、ユーザ)がプレゼンテーシ
ョン中に読み上げる原稿のテキストデータを記憶部11に記憶し、このテキストデータを
制御部10が読み出して表示パネル42に表示する構成としたが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。例えば、原稿のデータはテキストデータに限らず、制御部10の制御
により文字列を表示パネル42に表示可能なデータであれば、ファイルフォーマット等は
任意であり、記憶部11における記憶容量を節約するために圧縮されていてもよく、セキ
ュリティ面の配慮から暗号化されて記憶部11に記憶されていてもよい。また、表示パネ
ル42に原稿を表示した状態で、表示中の原稿の部分に対応するスライドの番号や、当該
スライドの縮小画像を並べて表示してもよい。また、プロジェクタ50に対して画像54
を投影するための画像データを送出する機器はコンピュータ55に限定されず、PDAや
他の電子機器であってもよい。タッチセンサ21の検出方式は圧力検出式あるいは静電容
量検出式のいずれであってもよく、他の方式を用いることも可能である。そして、携帯電
話機1は、プレゼンテーション等に限らず、様々な情報を表示する表示装置として任意の
用途で使用可能であるし、その他、携帯電話機1の具体的な細部構成等ついても任意に変
更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態に係る携帯電話機の使用状態を示す概略図である。
【図2】携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図3】表示パネルに設定される表示領域を模式的に示す図である。
【図4】表示パネルにおける表示状態の変化を模式的に示す図である。
【図5】携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1…携帯電話機(表示装置)、2…本体、10…制御部(表示制御手段、領域特定手段
)、11…記憶部(記憶手段)、12…外部インタフェース部、20…操作部、21…タ
ッチセンサ(センサ)、22…キー入力部(スイッチ)、23…操作検出部、27…通信
部、28…アンテナ、40…表示部、41…表示ドライバ、42…表示パネル(表示画面
)、42a…表示領域、42b…異物接触領域、42c…異物回避表示領域、50…プロ
ジェクタ、53…スクリーン、54…画像、55…コンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を備えた携帯型の本体と、
前記表示画面に情報を表示させる表示制御手段と、
前記表示画面の一部が異物により隠された場合に、隠された領域を特定する異物検出手
段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記表示画面において前記異物検出手段により特定された領域を
避けて情報を表示させること、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記異物検出手段は、前記表示画面の表面における接触を検出するセンサと、前記セン
サの検出状態に基づいて隠された領域を特定する領域特定手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記表示画面において前記領域特定手段により特定された領域を
避けて情報を表示させること、
を特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記表示画面において表示領域を設定し、この表示領域に納まる
ように情報を表示させるものであり、
前記異物検出手段のセンサにより接触が検出された場合には、前記表示画面において前
記領域特定手段により特定された領域を避けるように新たな表示領域を設定し、前記表示
画面における表示領域を新たな表示領域に切り替える処理を行い、この新たな表示領域に
表示可能な情報量が切り替え前の表示領域よりも少ない場合には、切り替え前の表示領域
に表示されていた情報から切り替え後の表示領域に納まる分の情報を抽出し、抽出した情
報を表示させること、
を特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記異物検出手段が備える前記センサは入力操作を行うために使用可能であり、さらに
、前記センサとは別体に構成されたスイッチを前記本体に備えること、
を特徴とする請求項2または3記載の表示装置。
【請求項5】
表示画面を備えた携帯型の本体を有する表示装置において、
前記表示画面に情報を表示させるとともに、
前記表示画面の一部が異物により隠された場合には、隠された領域を特定し、特定した
領域を避けるように前記情報を表示させること、
を特徴とする表示装置における表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−271689(P2009−271689A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120952(P2008−120952)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】