説明

表示装置、アレイ基板、及び表示装置の駆動方法

【課題】画素に映像信号として電流信号を供給する表示装置において、低階調画像を表示した場合に表示ムラが発生するのを防止する。
【解決手段】本発明の表示装置は、各画素PXが、制御端子と電源端子ND1に接続された第1端子とそれらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子DRと、画素電極と電源端子ND2に接続された対向電極とそれらの間に介在した活性層とを含んだ表示素子OLEDと、第2端子と画素電極との間に接続されたスイッチSWaと、制御端子と定電位端子ND1との間に接続されたキャパシタC1と、キャパシタC2と、制御端子と映像信号線DLとの間でキャパシタC2と直列に接続されたスイッチSWc及びSWeと、第2端子とキャパシタC2の映像信号線DL側の電極との間に接続されたスイッチSWbと、第2端子とキャパシタC2の制御端子側の電極との間に接続されたスイッチSWdとを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、アレイ基板、及び表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置のように表示素子の光学特性をそれに流す駆動電流によって制御する表示装置では、駆動電流がばらつくと、輝度むら等の画質不良が生じる。それゆえ、そのような表示装置でアクティブマトリクス駆動方式を採用した場合には、駆動電流の大きさを制御する駆動制御素子の特性が各画素間でほぼ同一であることが要求される。しかしながら、この表示装置では、通常、駆動制御素子をガラス基板などの絶縁体上に形成するため、その特性にばらつきを生じ易い。
【0003】
以下の特許文献1には、カレントコピー型の回路を画素回路に採用した有機EL表示装置が記載されている。
【0004】
このカレントコピー型の画素回路は、駆動制御素子であるnチャネル電界効果トランジスタと、有機EL素子と、キャパシタとを含んでいる。nチャネル電界効果トランジスタのソースは低電位の電源線に接続されており、キャパシタはnチャネル電界効果トランジスタのゲートと先の電源線との間に接続されている。また、有機EL素子の陽極は、より高電位の電源線に接続されている。
【0005】
この画素回路は、以下の方法で駆動する。
まず、nチャネル電界効果トランジスタのドレインとゲートとを接続し、この状態でnチャネル電界効果トランジスタのドレイン−ソース間に映像信号に対応した大きさの電流Isigを流す。この動作により、キャパシタの両電極間の電圧は、nチャネル電界効果トランジスタのチャネルに電流Isigを流すのに必要なゲート−ソース間電圧に設定される。
【0006】
次に、nチャネル電界効果トランジスタのドレインとゲートとの接続を断ち、キャパシタの両電極間の電圧を保持する。続いて、nチャネル電界効果トランジスタのドレインを有機EL素子の陰極に接続する。これにより、有機EL素子には、先の電流Isigとほぼ等しい大きさの駆動電流Idrvが流れる。有機EL素子は、この駆動電流Idrvの大きさに対応した輝度で発光する。
【0007】
このように、上記のカレントコピー型回路を画素回路に採用すると、書込期間において映像信号として供給した電流Isigとほぼ等しい大きさの駆動電流Idrvを、書込期間に続く保持期間においてもnチャネル電界効果トランジスタのドレインとソースとの間に流すことができる。それゆえ、nチャネル電界効果トランジスタの閾値Vthだけでなく移動度や寸法などが駆動電流Idrvに与える影響も排除することができる。
【0008】
しかしながら、上記のカレントコピー型回路を画素回路に採用した表示装置には、小さな駆動電流Idrvに対応した映像信号Isigの書き込みが難しいという問題がある。そのため、この表示装置では、低階調画像を表示した場合に表示ムラが発生し易い。
【特許文献1】米国特許第6373454号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、画素に映像信号として電流信号を供給する表示装置において、低階調画像を表示した場合に表示ムラが発生するのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1側面によると、複数の画素と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素のそれぞれは、制御端子と、第1電源端子に接続された第1端子と、それらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、画素電極と、第2電源端子に接続された対向電極と、それらの間に介在した活性層とを含んだ表示素子と、前記第2端子と前記画素電極との間に接続された出力制御スイッチと、前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、前記制御端子と前記映像信号線との間で前記第2キャパシタと直列に接続された信号供給制御スイッチと、前記第2端子と前記第2キャパシタの前記映像信号線側の電極との間に接続された第1ダイオード接続スイッチと、前記第2端子と前記第2キャパシタの前記制御端子側の電極との間に接続された第2ダイオード接続スイッチとを備えたことを特徴とする表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第2側面によると、複数の画素と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素のそれぞれは、制御端子と、第1電源端子に接続された第1端子と、それらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、画素電極と、第2電源端子に接続された対向電極と、それらの間に介在した活性層とを含んだ表示素子と、前記第2端子と前記画素電極との間に接続された出力制御スイッチと、前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、前記第2端子と前記制御端子と前記映像信号線との接続を、前記第2端子が前記制御端子に接続され且つ前記第2端子が前記映像信号線から切断された第1状態と、前記第2端子が前記第2キャパシタを介して前記制御端子に接続され且つ前記第2端子が前記映像信号線に接続された第2状態と、前記第2端子と前記制御端子と前記映像信号線とが互いから切断された第3状態との間で切り替えるスイッチ群とを備えたことを特徴とする表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第3側面によると、複数の画素回路と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素回路のそれぞれは、制御端子と、第1電源端子に接続された第1端子と、それらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、画素電極と前記第2端子と前記画素電極との間に接続された出力制御スイッチと、前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、前記制御端子と前記映像信号線との間で前記第2キャパシタと直列に接続された信号供給制御スイッチと、前記第2端子と前記第2キャパシタの前記映像信号線側の電極との間に接続された第1ダイオード接続スイッチと、前記第2端子と前記第2キャパシタの前記制御端子側の電極との間に接続された第2ダイオード接続スイッチとを備えたことを特徴とするアレイ基板が提供される。
【0013】
本発明の第4側面によると、複数の画素回路と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素回路のそれぞれは、制御端子と、第1電源端子に接続された第1端子と、それらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、画素電極と、前記第2端子と前記画素電極との間に接続された出力制御スイッチと、前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタと、前記第2端子と前記制御端子と前記映像信号線との接続を、前記第2端子が前記制御端子に接続され且つ前記第2端子が前記映像信号線から切断された第1状態と、前記第2端子が前記第2キャパシタを介して前記制御端子に接続され且つ前記第2端子が前記映像信号線に接続された第2状態と、前記第2端子と前記制御端子と前記映像信号線とが互いから切断された第3状態との間で切り替えるスイッチ群とを備えたことを特徴とするアレイ基板が提供される。
【0014】
本発明の第5側面によると、複数の画素と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素のそれぞれは、制御端子と第1電源端子に接続された第1端子とそれらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、画素電極と第2電源端子に接続された対向電極とそれらの間に介在した活性層とを含んだ表示素子と、前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタとを備えた表示装置の駆動方法であって、前記画素電極を前記第2端子から切断し、前記第2端子を前記制御端子に接続し、その後、前記第2端子を前記制御端子から切断するリセット動作と、前記第2端子を前記映像信号線に接続し、前記第2端子と前記制御端子とを前記第2キャパシタを介して接続し、前記第1電源端子と前記映像信号線との間に映像信号として書込電流を流し、その後、前記制御端子を前記第2端子から切断し、前記第2端子を前記映像信号線から切断する書込動作と、前記第2端子を前記画素電極に接続する表示動作とをこの順に行うことを特徴とする駆動方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、画素に映像信号として電流信号を供給する表示装置において、低階調画像を表示した場合に表示ムラが発生するのを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の第1態様に係る表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1の表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す断面図である。図3は、図1の表示装置が含む画素の等価回路図である。なお、図2では、表示装置を、その表示面,すなわち前面又は光出射面,が下方を向き、背面が上方を向くように描いている。
【0018】
この表示装置は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した下面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置は、例えば、ガラス基板などの絶縁基板SUBを含んでいる。
【0019】
基板SUB上には、図2に示すように、アンダーコート層UCとして、例えば、SiNx層とSiOx層とが順次積層されている。
【0020】
アンダーコート層UC上には、例えばチャネル及びソース・ドレインが形成されたポリシリコン層である半導体層SC、例えばTEOS(TetraEthyl OrthoSilicate)などを用いて形成され得るゲート絶縁膜GI、及び例えばMoWなどからなるゲートGが順次積層されており、それらはトップゲート型の薄膜トランジスタを構成している。この例では、これら薄膜トランジスタは、pチャネル薄膜トランジスタであり、図1及び図3の駆動制御素子DR及びスイッチSWa乃至SWeとして利用している。
【0021】
ゲート絶縁膜GI上には、図1及び図3に示すキャパシタC1及びC2の各々の一方の電極と走査信号線SL1乃至SL4とがさらに配置されている。これらは、ゲートGと同一の工程で形成可能である。
【0022】
走査信号線SL1乃至SL4は、図1に示すように、各々が画素PXの行方向(X方向)に延びており、画素PXの列方向(Y方向)に配列している。これら走査信号線SL1乃至SL4は、走査信号線ドライバYDRに接続されている。
【0023】
ゲート絶縁膜GI、ゲートG、走査信号線SL1乃至SL4、並びにキャパシタC1及びC2の各々の一方の電極は、図2に示す層間絶縁膜IIで被覆されている。層間絶縁膜IIは、例えばプラズマCVD法などにより成膜されたSiOxなどからなる。この層間絶縁膜IIの一部は、キャパシタC1及びC2の誘電体層として利用する。
【0024】
層間絶縁膜II上には、図1及び図3に示すキャパシタC1及びC2の各々の他方の電極、図2に示すソース電極SE及びドレイン電極DE、並びに、図1と図3とに示す映像信号線DL及び電源線PSLが配置されている。これらは、同一工程で形成可能であり、例えば、Mo/Al/Moの三層構造を有している。
【0025】
ソース電極SE及びドレイン電極DEは、層間絶縁膜IIに設けられたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタのソース及びドレインに電気的に接続されている。
【0026】
映像信号線DLは、図1に示すように、各々がY方向に延びており、X方向に配列している。これら映像信号線DLは、映像信号線ドライバXDRに接続されている。
電源線PSLは、この例では、各々がY方向に延びており、X方向に配列している。
【0027】
ソース電極SE、ドレイン電極DE、映像信号線DL、電源線PSL、並びにキャパシタC1及びC2の各々の他方の電極は、図2に示すパッシベーション膜PSで被覆されている。パッシベーション膜PSは、例えばSiNxなどからなる。
【0028】
パッシベーション膜PS上には、図2に示すように、前面電極として、光透過性の第1電極PEが互いから離間して並置されている。各第1電極PEは、画素電極であり、パッシベーション膜PSに設けた貫通孔を介して、スイッチSWaのドレイン電極DEに接続されている。
【0029】
第1電極PEは、この例では陽極である。第1電極PEの材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電性酸化物を使用することができる。
【0030】
パッシベーション膜PS上には、さらに、図2に示す隔壁絶縁層PIが配置されている。隔壁絶縁層PIには、第1電極PEに対応した位置に貫通孔が設けられているか、或いは、第1電極PEが形成する列又は行に対応した位置にスリットが設けられている。ここでは、一例として、隔壁絶縁層PIには、第1電極PEに対応した位置に貫通孔が設けられていることとする。
【0031】
隔壁絶縁層PIは、例えば、有機絶縁層である。隔壁絶縁層PIは、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
【0032】
第1電極PE上には、活性層として、発光層を含んだ有機物層ORGが配置されている。発光層は、例えば、発光色が赤色、緑色、又は青色のルミネセンス性有機化合物を含んだ薄膜である。この有機物層ORGは、発光層に加え、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などもさらに含むことができる。
【0033】
隔壁絶縁層PI及び有機物層ORGは、対向電極である第2電極CEで被覆されている。第2電極CEは、画素PX間で互いに接続された共通電極であり、この例では背面電極として設けられた光反射性の陰極である。第2電極CEは、例えば、パッシベーション膜PSと隔壁絶縁層PIとに設けられたコンタクトホールを介して、映像信号線DLと同一の層上に形成された電極配線(図示せず)に電気的に接続されている。各々の有機EL素子OLEDは、第1電極PE、有機物層ORG及び第2電極CEで構成されている。
【0034】
絶縁基板SUB上では、複数の画素PXがマトリクス状に配列している。これら画素PXは、映像信号線DLと走査信号線SL1との交差部近傍に配置されている。
【0035】
各画素PXは、表示素子である有機EL素子OLEDと、駆動回路と、出力制御スイッチSWaとを含んでいる。この例では、駆動回路は、図1及び図3に示すように、駆動制御素子DRと、信号供給制御スイッチSWc及びSWeと、ダイオード接続スイッチSWb及びSWdと、キャパシタC1及びC2とを含んでいる。上記の通り、この例では、駆動制御素子DR及びスイッチSWa乃至SWeは、pチャネル薄膜トランジスタである。
【0036】
駆動回路と画素電極PEとは、画素回路を構成している。また、スイッチSWb乃至SWeは、駆動制御素子DRのドレインとゲートと映像信号線DLとの接続を、ドレインがゲートに接続され且つドレインが映像信号線DLから切断された第1状態と、ドレインがキャパシタC2を介してゲートに接続され且つドレインが映像信号線DLに接続された第2状態と、ドレインとゲートと映像信号線DLとが互いから切断された第3状態との間で切り替えるスイッチ群を構成している。
【0037】
駆動制御素子DRと出力制御スイッチSWaと有機EL素子OLEDとは、第1電源端子ND1と第2電源端子ND2との間で、この順に直列に接続されている。スイッチSWaのゲートは、走査信号線SL1に接続されている。この例では、第1電源端子ND1は電源線PSLに接続された高電位電源端子であり、第2電源端子ND2は低電位電源端子である。
【0038】
キャパシタC1は、第1定電位端子と駆動制御素子DRのゲートとの間に接続されている。この例では、第1定電位端子は、第1電源端子ND1に接続されている。
【0039】
信号供給制御スイッチSWcとキャパシタC2と信号供給制御スイッチSWeとは、映像信号線DLと駆動制御素子DRのゲートとの間で、この順に直列に接続されている。スイッチSWc及びSWeのゲートは、走査信号線SL3に接続されている。
【0040】
ダイオード接続スイッチSWbは、駆動制御素子DRのドレインとキャパシタC2の映像信号線DL側の電極との間に接続されている。ダイオード接続スイッチSWdは、駆動制御素子DRのドレインとキャパシタC2の他方の電極との間に接続されている。スイッチSWbのゲートは走査信号線SL2に接続されており、スイッチSWdのゲートは走査信号線SL4に接続されている。
【0041】
絶縁基板SUB上には、映像信号線ドライバXDRと走査信号線ドライバYDRとがさらに配置されている。映像信号線ドライバXDRは、映像信号線DLに対応して複数の電流源と定電圧源とを含んでいる。電流源は、映像信号である書込電流を映像信号線DLに出力し、定電圧源はリセット信号である定電圧(リセット電圧又はリセット電位)を映像信号線DLに出力する。
【0042】
なお、この有機EL表示装置から有機物層ORGと第2電極CEとを省略したものや、隔壁絶縁層PIと有機物層ORGと第2電極CEとを省略したものや、さらに映像信号線ドライバXDR及び/又は走査信号線ドライバYDRを省略したものなどがアレイ基板に相当している。
【0043】
この有機EL表示装置は、例えば、以下の方法により駆動する。
図4は、図1に示す表示装置の駆動方法の一例を概略的に示すタイミングチャートである。図中、横軸は時間を示し、縦軸は電位を示している。
【0044】
図4において、「XDR出力」のうち、「Isig(m)」と表記した期間は映像信号線ドライバXDRが映像信号線DLに映像信号Isig(m)を出力する期間を示し、「Vrst1」と表記した期間は映像信号線ドライバXDRが映像信号線DLにリセット信号Vrstを出力する期間を示している。また、図4において、「SL1電位」乃至「SL4電位」で示す波形は、走査信号線SL1乃至SL4の電位をそれぞれ示している。
【0045】
図4の方法では、図1の表示装置を以下の方法により駆動する。
m行目の画素PXで或る階調を表示する場合、m行目の画素PXを選択する期間,すなわち、m行目選択期間,では、まず、出力制御スイッチSWaを開く(非導通状態)。出力制御スイッチSWaを開いている期間内に、以下のリセット動作と書込動作とを順次行う。
【0046】
リセット動作を行うリセット期間では、まず、スイッチSWc乃至SWeを閉じる(導通状態)。これと共に、映像信号線ドライバXDR内で定電圧源と映像信号線DLとを接続し、映像信号線DLの電位をリセット電位Vrstに設定する。このとき、スイッチSWa及びSWbは開いたままにしておく(非導通状態)。また、リセット電位Vrstは、例えば、第1電源端子ND1の電位Vddと駆動制御素子DRの閾値電圧Vthとの和Vdd+Vthとほぼ等しくする。一定時間経過後、スイッチSWdを開く。これにより、リセット期間を終了する。
【0047】
このリセット動作を行うと、駆動制御素子DRのゲート電位は、和Vdd+Vthとほぼ等しくなる。また、リセット動作を行うことにより、映像信号線DLの電位はリセット電位Vrstと等しくなる。
【0048】
リセット期間に続く書込期間では、書込動作を行う。すなわち、スイッチSWbを閉じる。このとき、スイッチSWa及びSWdは開いたままとしておき、スイッチSWc及びSWeは閉じたままとしておく。この状態で、映像信号線ドライバXDR内で電流源と映像信号線DLとを接続し、映像信号線ドライバXDRから映像信号線DLに映像信号を出力する。すなわち、第1電源端子ND1から映像信号線DLへと書込電流Isig(m)を流す。一定時間経過後、スイッチSWb、SWc及びSWeを開く。これにより、書込期間を終了する。
【0049】
この書込動作を行うと、駆動制御素子DRのゲート電位Vgは、駆動制御素子DRが書込電流Isig(m)を流すときのゲート−ソース間電圧Vgsと電源電位Vddとの和Vgs+Vddと等しくなる。
【0050】
以上のリセット動作及び書込動作を行った後、表示動作を開始する。すなわち、スイッチSWaを閉じる。m行目選択期間は、スイッチSWaを閉じることにより終了する。
【0051】
スイッチSWaを閉じている非選択期間或いは有効表示期間では、スイッチSWb乃至SWeは開いたままとしておく。有機EL素子OLEDには、映像信号Isig(m)に対応した大きさの駆動電流Idrv(m)が流れる。有機EL素子OLEDは、駆動電流Idrv(m)の大きさに対応した輝度で発光する。
【0052】
ところで、特許文献1に記載された有機EL表示装置では、例えば、m行目の画素で高階調域内の階調を表示した場合、m+1行目選択期間を開始する時点において、映像信号線の電位は、極めて低い電位に設定されている。そのため、m+1行目の画素で低階調域内の階調を表示するためには、m+1行目選択期間の書込動作により、映像信号線の電位を大幅に高めなければならない。すなわち、書込電流Isig(m+1)が小さいにも拘らず、映像信号線の電位を大幅に変化させなければならない。そのため、m+1行目選択期間の書込動作によって駆動制御素子のゲート電位を書込電流Isig(m+1)に対応した値に正確に設定することが難しい。
【0053】
これに対し、図4を参照しながら説明した駆動方法では、リセット動作によって、映像信号線DLの電位をリセット電位Vrstに設定する。そのため、リセット電位Vrstを十分に低い電位とすれば、m行目の画素PXで表示する階調の高低に拘らず、m+1行目の画素PXで低階調域内の階調を表示するために、m+1行目選択期間の書込動作によって映像信号線DLの電位を大幅に高める必要がない。したがって、この駆動方法によると、低階調域内の各階調が本来の階調よりも高い階調として表示されるのを防止することができる。
【0054】
しかも、リセット動作を終了した時点における駆動制御素子DRのゲート電位は、和Vdd+Vthとほぼ等しい。そのため、例え、書込電流Isigが著しく小さいために書込動作による駆動制御素子DRのゲート電位変化が殆ど生じない場合であっても、閾値電圧Vthが駆動電流Idrvに与える影響を画素PX間でほぼ等しくすることができる。したがって、この駆動方法によると、低階調画像を表示した場合に表示ムラが発生することがない。
【0055】
このように、この駆動方法によると、低階調域内の各階調が本来の階調よりも高い階調として表示されることや、低階調画像を表示した場合に表示ムラが発生することを防止できる。また、この駆動方法は、中階調域及び高階調域内の階調を高い再現性で表示することができる。すなわち、この駆動方法によると、全階調を高い再現性で表示することができる。
【0056】
本態様では、画素PXに図3の構造を採用したが、画素PXには他の構造を採用することも可能である。
【0057】
図5は、一変形例に係る表示装置が含む画素の等価回路図である。図6は、他の変形例に係る表示装置が含む画素の等価回路図である。
【0058】
図5の画素PXは、スイッチSWcを省略していること以外は、図3の画素PXと同様の構造を有している。図6の画素PXは、スイッチSWeを省略していること以外は、図3の画素PXと同様の構造を有している。このように、画素PXには、様々な変形が可能である。
【0059】
次に、本発明の第2態様について説明する。
図7は、本発明の第2態様に係る表示装置を概略的に示す平面図である。図8は、図7の表示装置が含む画素の等価回路図である。
【0060】
この表示装置は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した下面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置は、以下の点を除き、図1の有機EL表示装置と同様の構造を有している。
【0061】
すなわち、この有機EL表示装置では、絶縁基板SUB上に、リセット信号線RSLが配置されている。この例では、リセット信号線RSLは、図7に示すように、各々がY方向に延びており、X方向に配列している。また、この例では、リセット信号線RSLは、映像信号線ドライバXDRに接続されている。
【0062】
各画素PXでは、スイッチSWeを省略すると共に、スイッチSWbのゲートを走査信号線SL2に接続している。また、各画素PX内には、リセットスイッチSWfをさらに配置している。リセットスイッチSWfは、キャパシタC2の映像信号線DL側の電極とリセット信号線RSLとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL3に接続されている。
【0063】
この有機EL表示装置は、例えば、以下の方法により駆動する。
図9は、図7に示す表示装置の駆動方法の一例を概略的に示すタイミングチャートである。図中、横軸は時間を示し、縦軸は電位を示している。
【0064】
図9において、「XDR出力」のうち、「Isig(m)」と表記した期間は、映像信号線ドライバXDRが映像信号線DLに映像信号Isig(m)を出力する期間を示している。また、図9において、「SL1電位」乃至「SL4電位」で示す波形は、走査信号線SL1乃至SL4の電位をそれぞれ示している。
【0065】
図9の方法では、図7の表示装置を以下の方法により駆動する。
m行目の画素PXで或る階調を表示する場合、m行目の画素PXを選択する期間,すなわち、m行目選択期間,では、まず、出力制御スイッチSWaを開く(非導通状態)。出力制御スイッチSWaを開いている期間内に、以下のリセット動作と書込動作とを順次行う。
【0066】
リセット動作を行うリセット期間では、まず、スイッチSWd及びSWfを閉じる(導通状態)。このとき、スイッチSWa乃至SWcは開いたままにしておく(非導通状態)。また、リセット信号線RSLの電位は、例えば、常に上述したリセット電位Vrstに設定しておく。一定時間経過後、スイッチSWd及びSWfを開く。これにより、リセット期間を終了する。このリセット動作を行うと、駆動制御素子DRのゲート電位は、和Vdd+Vthとほぼ等しくなる。
【0067】
リセット期間に続く書込期間では、書込動作を行う。すなわち、スイッチSWb及びSWcを閉じる。このとき、スイッチSWa、SWd及びSWfは開いたままとしておく。この状態で、映像信号線ドライバXDRから映像信号線DLに映像信号を出力する。すなわち、第1電源端子ND1から映像信号線DLへと書込電流Isig(m)を流す。一定時間経過後、スイッチSWb及びSWcを開く。これにより、書込期間を終了する。この書込動作を行うと、駆動制御素子DRのゲート電位Vgは、駆動制御素子DRが書込電流Isig(m)を流すときのゲート−ソース間電圧Vgsと電源電位Vddとの和Vgs+Vddと等しくなる。
【0068】
以上のリセット動作及び書込動作を行った後、表示動作を開始する。すなわち、スイッチSWaを閉じる。m行目選択期間は、スイッチSWaを閉じることにより終了する。
【0069】
スイッチSWaを閉じている非選択期間或いは有効表示期間では、スイッチSWb乃至SWd及びSWfは開いたままとしておく。有機EL素子OLEDには、映像信号Isig(m)に対応した大きさの駆動電流Idrv(m)が流れる。有機EL素子OLEDは、駆動電流Idrv(m)の大きさに対応した輝度で発光する。
【0070】
この駆動方法でも、第1態様と同様、書込電流Isigが著しく小さいために書込動作による駆動制御素子DRのゲート電位変化が殆ど生じない場合であっても、閾値電圧Vthが駆動電流Idrvに与える影響を画素PX間でほぼ等しくすることができる。したがって、この駆動方法によると、低階調画像を表示した場合に表示ムラが発生することがない。
【0071】
また、本態様では、第1態様とは異なり、映像信号線DLとは別に、画素PXにリセット信号を供給するためのリセット配線RSLを設けている。そのため、映像信号線DLの電位を変化させる頻度をより少なくすることができる。
【0072】
本態様では、走査信号線SL3を省略し、スイッチSWfのゲートを走査信号線SL4に接続してもよい。また、リセット信号線RSLは、走査信号線SL1乃至SL4と平行に敷設してもよい。さらに、本態様では、スイッチSWeを省略しているが、画素PXはスイッチSWeを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1態様に係る表示装置を概略的に示す平面図。
【図2】図1の表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す断面図。
【図3】図1の表示装置が含む画素の等価回路図。
【図4】図1に示す表示装置の駆動方法の一例を概略的に示すタイミングチャート。
【図5】一変形例に係る表示装置が含む画素の等価回路図。
【図6】他の変形例に係る表示装置が含む画素の等価回路図。
【図7】本発明の第2態様に係る表示装置を概略的に示す平面図。
【図8】図7の表示装置が含む画素の等価回路図。
【図9】図7に示す表示装置の駆動方法の一例を概略的に示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0074】
C1…キャパシタ、C2…キャパシタ、CE…対向電極、DE…ドレイン電極、DL…映像信号線、DR…駆動制御素子、G…ゲート、GI…ゲート絶縁膜、II…層間絶縁膜、ND1…第1電源端子、ND2…第2電源端子、OLED…有機EL素子、ORG…有機物層、PE…画素電極、PI…隔壁絶縁層、PS…パッシベーション膜、PSL…電源線、PX…画素、SC…半導体層、SE…ソース電極、SL1…走査信号線、SL2…走査信号線、SL3…走査信号線、SL4…走査信号線、SUB…絶縁基板、SWa…出力制御スイッチ、SWb…ダイオード接続スイッチ、SWc…信号供給制御スイッチ、SWd…ダイオード接続スイッチ、SWe…信号供給制御スイッチ、SWf…リセットスイッチ、UC…アンダーコート層、XDR…映像信号線ドライバ、YDR…走査信号線ドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素のそれぞれは、
制御端子と、第1電源端子に接続された第1端子と、それらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、
画素電極と、第2電源端子に接続された対向電極と、それらの間に介在した活性層とを含んだ表示素子と、
前記第2端子と前記画素電極との間に接続された出力制御スイッチと、
前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、
第2キャパシタと、
前記制御端子と前記映像信号線との間で前記第2キャパシタと直列に接続された信号供給制御スイッチと、
前記第2端子と前記第2キャパシタの前記映像信号線側の電極との間に接続された第1ダイオード接続スイッチと、
前記第2端子と前記第2キャパシタの前記制御端子側の電極との間に接続された第2ダイオード接続スイッチとを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
複数の画素と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素のそれぞれは、
制御端子と、第1電源端子に接続された第1端子と、それらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、
画素電極と、第2電源端子に接続された対向電極と、それらの間に介在した活性層とを含んだ表示素子と、
前記第2端子と前記画素電極との間に接続された出力制御スイッチと、
前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、
第2キャパシタと、
前記第2端子と前記制御端子と前記映像信号線との接続を、前記第2端子が前記制御端子に接続され且つ前記第2端子が前記映像信号線から切断された第1状態と、前記第2端子が前記第2キャパシタを介して前記制御端子に接続され且つ前記第2端子が前記映像信号線に接続された第2状態と、前記第2端子と前記制御端子と前記映像信号線とが互いから切断された第3状態との間で切り替えるスイッチ群とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
リセット信号線をさらに具備し、前記複数の画素のそれぞれは、前記第2キャパシタの前記映像信号線側の前記電極と前記リセット信号線との間に接続されたリセットスイッチをさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示素子は有機EL素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の画素回路と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素回路のそれぞれは、
制御端子と、第1電源端子に接続された第1端子と、それらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、
画素電極と
前記第2端子と前記画素電極との間に接続された出力制御スイッチと、
前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、
第2キャパシタと、
前記制御端子と前記映像信号線との間で前記第2キャパシタと直列に接続された信号供給制御スイッチと、
前記第2端子と前記第2キャパシタの前記映像信号線側の電極との間に接続された第1ダイオード接続スイッチと、
前記第2端子と前記第2キャパシタの前記制御端子側の電極との間に接続された第2ダイオード接続スイッチとを備えたことを特徴とするアレイ基板。
【請求項6】
複数の画素回路と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素回路のそれぞれは、
制御端子と、第1電源端子に接続された第1端子と、それらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、
画素電極と、
前記第2端子と前記画素電極との間に接続された出力制御スイッチと、
前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、
第2キャパシタと、
前記第2端子と前記制御端子と前記映像信号線との接続を、前記第2端子が前記制御端子に接続され且つ前記第2端子が前記映像信号線から切断された第1状態と、前記第2端子が前記第2キャパシタを介して前記制御端子に接続され且つ前記第2端子が前記映像信号線に接続された第2状態と、前記第2端子と前記制御端子と前記映像信号線とが互いから切断された第3状態との間で切り替えるスイッチ群とを備えたことを特徴とするアレイ基板。
【請求項7】
リセット信号線をさらに具備し、前記複数の画素回路のそれぞれは、前記第2キャパシタの前記映像信号線側の前記電極と前記リセット信号線との間に接続されたリセットスイッチをさらに備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載のアレイ基板。
【請求項8】
複数の画素と、それらが形成する列に沿って配列した複数の映像信号線とを具備し、前記複数の画素のそれぞれは、制御端子と第1電源端子に接続された第1端子とそれらの間に対応した大きさの電流を出力する第2端子とを含んだ駆動制御素子と、画素電極と第2電源端子に接続された対向電極とそれらの間に介在した活性層とを含んだ表示素子と、前記制御端子と定電位端子との間に接続された第1キャパシタと、第2キャパシタとを備えた表示装置の駆動方法であって、
前記画素電極を前記第2端子から切断し、前記第2端子を前記制御端子に接続し、その後、前記第2端子を前記制御端子から切断するリセット動作と、
前記第2端子を前記映像信号線に接続し、前記第2端子と前記制御端子とを前記第2キャパシタを介して接続し、前記第1電源端子と前記映像信号線との間に映像信号として書込電流を流し、その後、前記制御端子を前記第2端子から切断し、前記第2端子を前記映像信号線から切断する書込動作と、
前記第2端子を前記画素電極に接続する表示動作とをこの順に行うことを特徴とする駆動方法。
【請求項9】
前記リセット動作では、前記第2端子を前記制御端子に接続してから前記第2端子を前記制御端子から切断するまでの間、前記第2キャパシタの一方の電極をリセット電位に設定すると共に前記第2キャパシタの他方の電極を前記制御端子に接続しておくことを特徴とする請求項8に記載の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−284916(P2006−284916A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104649(P2005−104649)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】