説明

表示装置、表示装置の制御方法、及びプログラム

【課題】本発明は、表示方向に応じた表示データを個別に持つことなく、かつ縦方向及び横方向の各表示方向でも、同じ表示データに基づいて画像を表示できる技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る表示装置は、当該表示装置の向きを検知し検知された向きが第1の向きである場合には、第1の画面を表示するための第1の表示データ及び第2の画面を表示するための第2の表示データに基づいて、第1の画面及び第2の画面を重ねることなく並べて表示し、検知された向きが第2の向きである場合には、第1の表示データ及び第2の表示データに基づいて、第1の画面及び第2の画面の少なくとも一部を重ねて表示するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等の本体に着脱可能で、当該本体を制御するための操作画面などを表示する表示装置と、その表示装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置には、画像形成装置本体(以下、本体)を制御するための表示装置を備える操作パネルを本体から着脱可能にし、本体から取り外した操作パネルを見ながら操作できるようにして操作性を高めた装置がある。また表示装置を縦横に回転させた向きに応じて適応的に表示方向を切り替えて表示できる表示装置もある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−30969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置から着脱可能な操作パネルでは、その表示方向が固定であるが、その操作方向に応じた表示ができれば、操作者にとって操作性を更に高めることができる。複写機能やファクシミリ機能等を有する画像形成装置では、各種設定操作を必要とするため、この操作パネルは一般的には大型で長方形のタッチパネルや液晶セルを有している。
【0005】
これに対して特許文献1で開示される着脱可能な表示装置は、縦及び横表示状態で共通に表示できる正方形の共通の第1表示領域と、縦及び横表示状態で表示状態が変化する第2表示領域とを有し、その操作性も縦横方向で共通にしている。しかしながら、第2表示領域では、縦及び横表示状態で各オブジェクトの配置が異なるため、縦及び横表示状態用にそれぞれ表示データを用意する必要がある。また操作パネルを縦表示状態にしたときと横表示状態にした場合とでは、第2表示領域に表示されている事項の配置が異なるため、ユーザにとって操作しにくいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、表示方向に応じた表示データを個別に持つことなく、かつ縦方向及び横方向の各表示方向でも、同じ表示データに基づいて画像を表示できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、画面を表示する表示装置であって、前記表示装置の向きを検知する検知手段と、前記検知手段によって前記表示装置の向きが第1の向きであることが検知された場合には、第1の画面を表示するための第1の表示データ及び第2の画面を表示するための第2の表示データに基づいて、前記第1の画面及び前記第2の画面を重ねることなく並べて表示し、前記検知手段によって前記表示装置の向きが第2の向きであることが検知された場合には、前記第1の表示データ及び前記第2の表示データに基づいて、前記第1の画面及び前記第2の画面の少なくとも一部を重ねて表示するよう制御する表示制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、表示方向に応じた表示データを個別に持つことなく、かつ縦方向及び横方向の各表示方向でも、同じ表示データに基づいて画像を表示できる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の利用環境を示す概略図。
【図2】本体、ホームポジション、操作パネルの構成を説明するブロック図。
【図3】実施形態1の操作パネルによる表示処理を説明するフローチャート。
【図4】ファクシミリ送信機能が選択された場合に表示される画面例を示す図(A)と、ファクシミリ送信時の宛先表の表示例を示す図(B)。
【図5】操作部の基本画面例を示す図。
【図6】図3のS9の入力表示処理を説明するフローチャート。
【図7】操作パネルの表示方向と、共通画面と非共通画面のそれぞれの表示データの起点との関係を説明する図。
【図8】ファクシミリ画面の表示例を示す図で、(A)はキー操作部とファクシミリモード画面の表示例を示し、(B)は宛先表とファクシミリモード画面の表示例を示す。
【図9】縦表示方向でのファクシミリモードの画面の表示例を示す図。
【図10】横表示方向でのファクシミリモード画面とキー操作部、ファクシミリモード画面と宛先表の表示例を示す図。
【図11】横表示方向でのファクシミリモードの画面の表示例を示す図。
【図12】実施形態2に係る画面表示例を示す図。
【図13】実施形態2における縦長の表示データの表示例を説明する図。
【図14】実施形態3に係る操作パネルとホームポジションの構成を示すブロック図。
【図15】傾きセンサと3次元加速度センサを用いた操作パネルの表示方向の検知処理を説明するフローチャート。
【図16】実施形態3の他の例に係る操作パネルとホームポジションの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
本実施形態では、画像形成装置(画像処理装置)を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の利用環境を示す概略図である。
【0013】
本実施形態の画像形成装置(画像処理装置)は、いわゆるプリントオンデマンド(POD)機で、中綴じ製本、裁断、折加工などを行うことができる様々なオプションを組み合わせることで、多彩な印刷や製本要求に応えるものである。
【0014】
図1の画像形成装置(画像処理装置)は、画像形成装置本体(以下、本体)1000に対して、用紙デッキ5000、バインダ6000、フィニッシャ7000を組み合わせた例を示している。本体1000は、LAN8000を介して、パーソナルコンピュータ9000と接続されている。このパーソナルコンピュータ9000では、画像或いは文書データの各ページの作成及び編集から、製本、裁断、折加工などの設定といった、印刷ジョブを生成する。こうして生成された印刷ジョブは、LAN8000を介して本体1000に送られる。
【0015】
また図1では、本実施形態の特徴である着脱可能な操作パネル(画像表示装置)3000が、本体1000に実装されたホームポジション2000に装着されている。この着脱可能な操作パネル3000は、ホームポジション2000に装着されているとき、ホームポジション2000から供給される電力により、内蔵している電池を充電するように構成されている。尚、用紙デッキ5000、バインダ6000、フィニッシャ7000などは、本発明に直接関係がないので詳しい説明を省略する。
【0016】
[実施形態1]
図2は、本実施形態1に係る本体1000、ホームポジション2000、操作パネル3000の構成を説明するブロック図である。以下、本体1000、ホームポジション2000、操作パネル3000のそれぞれを構成するモジュールについて説明する。まず、本体1000について説明する。
【0017】
図2に示すように、本体1000は、コントローラボード1100、プリントエンジン1200、スキャナ1300、ハードディスクドライブ(HDD)1400、電源モジュール1500を有している。そして、これら各部は、電源モジュール1500から供給される電力によって動作する。
【0018】
コントローラボード1100は、CPU1101、フラッシュROM1102、RAM1103、ネットワークインタフェースカード(NIC)1104、メインチャネルコントローラ1105、サブチャネルコントローラ1106を有する。更に、ディスクコントローラ(DKC)1107、スキャナインタフェース(SIF)1108、プリンタインタフェース(PIF)1109を備えている。これらデバイス1101〜1109のそれぞれは、バス1110を介してCPU1101と接続されている。
【0019】
CPU1101は、バス1110に接続される各デバイスを総括的に制御すると共に、フラッシュROM1102及びHDD1400に記憶された制御プログラムを実行するプロセッサである。RAM1103は、CPU1101の主メモリ、ワークエリアとして使用される。またRAM1103は、表示部3200に表示される表示データを記憶する表示用メモリとしても機能している。NIC1104は、LAN8000を介して、パーソナルコンピュータ9000や他の画像形成装置と双方向にデータのやり取りを行う。HDD1400は、DKC1107を介してアクセスされ、制御プログラムを格納するだけでなく、画像の一時記憶場所としても使用される。
【0020】
スキャナ1300は、読み取りセンサや原稿搬送機構等を備える(いずれも不図示)。読み取りセンサや原稿搬送機構等は、コントローラボード1100に実装されたSIF1108及びスキャナ1300に実装されたSIF1301を介して、CPU1101で実行されるソフトウェアに従って制御される。その結果、読み取りセンサによって原稿を読み取り、得られたデータをSIF1301及びSIF1108を介してコントローラボード1100に転送する。
【0021】
またプリントエンジン1200は、電子写真方式の記録部や記録紙カセット、用紙搬送部等を備える(いずれも不図示)。コントローラボード1100からは、印刷ジョブに基づく印刷要求がPIF1109及びプリントエンジン1200に実装されたPIF1201を介して送られる。記録部や用紙搬送部等は、同様にPIF1109及びPIF1201を介して、CPU1101で実行されるプログラムに基づいて制御される。その結果、印刷要求に応じた画像を用紙上に形成する。
【0022】
メインチャネルコントローラ1105及びサブチャネルコントローラ1106は、本体1000と、着脱可能な操作パネル3000とのやり取りを行う際に使用される。詳細は後述する。
【0023】
次に、ホームポジション2000について説明する。
【0024】
図2に示すように、ホームポジション2000は、主にメインボード2100とコネクタ2200とを備えている。メインボード2100は、主にIEEE802.11bモジュール2101、irDAモジュール2102、電源コントローラ2103を備えている。IEEE802.11bモジュール2101は、コントローラボード1100のメインチャネルコントローラ1105と接続され、コントローラボード1100からの要求に基づいて、操作パネル3000との無線通信を仲介する。また、irDAモジュール2102は、コントローラボード1100のサブチャネルコントローラ1106と接続され、コントローラボード1100からの要求に基づいて、操作パネル3000との赤外線通信を仲介する。電源コントローラ2103は、電源モジュール1500と接続されている。IEEE802.11bモジュール2101やirDAモジュール2102は、電源コントローラ2103を経由して電力の供給を受ける。また電源コントローラ2103は、コネクタ2200とも接続され、操作パネル3000のコネクタ3500が接触状態のとき、操作パネル3000にも電力を供給する。加えて、電源コントローラ2103は、電力の供給状態を監視し、ホームポジション2000に操作パネル3000が装着された状態にあるか否かを検出し、その検出結果をコントローラボード1100に伝達する。また、電源コントローラ2103は、コネクタ2200とも接続され、操作パネル3000のコネクタ3500が接触状態のとき、操作パネル3000にも電力を供給する。加えて、電源コントローラ2103は、電力の供給状態を監視し、ホームポジション2000と操作パネル3000とが装着状態にあるか否かを検出して、コントローラボード1100に伝達する。尚、この装着状態にあるか否かの検出手段によって、操作パネル3000が本体に装着されていることが認識されている場合には、後述するセンサ3111〜3113に依らずとも、操作パネル3000の操作方向は横方向であると判断する。
【0025】
次に、操作パネル3000について説明する。
【0026】
着脱可能な操作パネル3000は、主にメインボード3100、表示部(LCD)3200、タッチパネル3300、ボタンデバイス3400、コネクタ3500を具備している。メインボード3100は、CPU3101、IEEE802.11bモジュール3102、irDAモジュール3103、電源コントローラ3104を有している。また更に、ディスプレイコントローラ(DISPC)3105、パネルコントローラ(PANELC)3106、フラッシュROM3107、RAM3108を有している。それぞれのモジュール3101〜3108は、コントローラボード1100と同様に、バス(不図示)によって接続されている。
【0027】
CPU3101は、バスに接続される各デバイスを総括的に制御すると共に、フラッシュROM3107に記憶された、制御プログラムを実行するプロセッサである。RAM3108は、CPU3101の主メモリ、ワークエリア、及びLCD3200に表示するビデオデータの格納エリアとして機能する。操作パネル3000の操作方向(表示方向)を検知するための傾きセンサ3113が設けられている。ここでは傾きセンサ3113は、操作パネル3000が横方向(landscape)(表示部3200が横表示状態)か、或いは縦方向(portrait)(表示部3200が縦表示状態)であるかを検出する。
【0028】
ディスプレイコントローラ(DISPC)3105は、CPU3101の要求に応じて、RAM3108に展開されたビデオイメージをLCD3200へ転送するとともにLCD3200を制御する。その結果、LCD3200にイメージが表示される。パネルコントローラ(PANELC)3106は、CPU3101の要求に応じて、タッチパネル3300及びボタンデバイス3400を制御する。その制御によって、タッチパネル3300上の押下位置や、ボタンデバイス3400上の押下されたキーコードなどが、CPU3101に返送される。電源コントローラ3104はコネクタ3500と接続され、ホームポジション2000のコネクタ2200が接触状態のとき、本体1000の電源モジュール1500から電力の供給を受ける。これによって、電源コントローラ3104に接続された充電池3114を充電しながら、且つ、操作パネル3000全体に電力を供給する。もし、電源モジュール1500から電力が供給されないときは、充電池3114からの電力を操作パネル3000全体に供給する。
【0029】
IEEE802.11bモジュール3102は、CPU3101の制御に基づいて、ホームポジション2000上のIEEE802.11bモジュール2101との無線通信を確立し、本体1000との通信を仲介する。irDAモジュール3103は、CPU3101の制御に基づいて、ホームポジション2000上のirDAモジュール2102との赤外線通信を確立し、本体1000との通信を仲介する。
【0030】
次に、本実施形態1におけるメインチャネルとしての無線通信について説明する。
【0031】
図2の説明で少し触れたように、本実施形態1では、メインチャネルとしての無線通信は公知の技術であるIEEE802.11bの規格に準じて行われる。もう少し詳しく説明すると、本実施形態1のシステムでは、本体1000がアクセスポイント(AP)、操作パネル3000が端末となるインフラストラクチャモードで無線通信が行われる。電波が届く範囲に複数の本体がある場合、既存のパーソナルコンピュータのように、操作パネル3000側に、通信可能な複数の本体のESSIDが表示され、そのうちのひとつを選択できるように構成されている。
【0032】
アソシエーションによって通信相手が確立した後、操作パネル3000は、本体動作を制御するために操作者が操作のためにタッチパネル3300やボタンデバイス3400を使った入力の検出や表示部3200での表示を行うシンクライアントとして動作する。即ち、装置本体の状態管理や記録信号の生成処理等のほとんどは、本体1000のCPU1101で実行される。装置本体の状態は予め定められたプロトコルで、本体1000から操作パネル3000に無線で送られる。
【0033】
一方、操作パネル3000のCPU3101は、操作パネル3000のタッチパネル3300及びボタンデバイス3400に対するユーザの操作に関連する情報に応じて表示部3200の表示制御を行う。操作者の操作に応じた装置本体の必要な情報は、本体1000へ要求すると共に、操作者により設定された条件での本体の動作開始等の指示を、本体1000に無線で送る。従って、本体1000のCPU1101は、送られてきた情報に基づいて個々の動作を制御する。以上のように、本実施形態に係るシステムは、本体1000と操作パネル3000とが無線通信可能なシステムである。
【0034】
図3は、実施形態1の操作パネル3000による表示処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示された処理を実行するプログラムはフラッシュROM3107に記憶されており、CPU3101の制御の下に実行される。
【0035】
まずS1で、操作パネル3000のCPU3101は、メインチャネルの無線通信状態を判定し(通信状態判定処理)、本体1000と無線通信中か否かを判定する。S1で、メインチャネルでの無線通信による通信中でないと判定した場合はS2に進み、本体1000とメインチャネル通信を確立するための要求を本体1000に送信する。尚、メインチャネルの電波が届く範囲に複数の本体がある場合、操作パネル3000側に、通信可能な複数の本体のESSIDが表示され、そのうちの一つをユーザに選択させ、その選択されたESSIDの本体に要求を送信する。そしてS3に進み、CPU3101は、本体1000からの通信を許可する旨の応答を受信したかどうかで本体1000を検出したか否かを判定し、本体1000を検出するまでS2,S3の処理を繰り返す。
【0036】
こうしてS3で、本体1000を検出したと判定した場合はCPU3101は、本体1000とのメインチャネル通信を確立してS4に処理を進める。S4では、CPU3101は、本体1000の装置IDや有効な機能などの装置情報を確認する。詳しくは、CPU3101は、本体1000に装置情報の確認要求(本体1000の装置IDや有効な機能などの装置情報の確認する要求)を送信し、その装置情報を本体1000から受信するとS5に処理を進める。一方、S1で、メインチャネルでの無線通信により本体1000と通信中であると判定した場合は、CPU3101はそのままS5に処理を進める。
【0037】
S5では、CPU3101は、操作パネル3000が本体1000のホームポジション2000に置かれ、操作パネル3000と本体1000とが接続されているか否かを判定する。そして、操作パネル3000と本体1000とが接続されていると判定した場合は、CPU3101はS8へ分岐し、一意に横方向でのパネル表示処理を行う。一方、S5で、操作パネル3000と本体1000とが接続されていないと判定した場合は、CPU3101はS6に処理を進める。尚、S6では、操作者が本体1000から操作パネル3000を着脱し、傾きセンサ3113の出力から、その操作方向が横方向か否かを判断する。傾きセンサ3113の出力に基づいて横方向であると判定するとS8に進み、横方向での入力表示処理を行い、その後、共通入力表示処理(S9)に進む。一方、傾きセンサ3113の出力に基づいて縦方向であると判定するとS7に進み、縦方向での入力表示処理を行って共通入力表示処理(S9)に進む。これらS1からS9で示す処理は、操作パネル3000の電源供給がある限り繰り返される。
【0038】
図4〜図5は、従来、操作パネルに表示されていた内容例を示す図である。なお、図4及び図5に示す画面は、第1の表示データを用いて生成される第1の画面、第2の表示データを用いて生成される第2の画面の一例である。
【0039】
図4(A)は、基本モード画面(不図示)からファクシミリ送信機能が選択された場合に表示部3200に表示される画面例を示す図である。この表示データは、フラッシュROM3107に格納されており、通常は起点90を基にRAM3108に(768×512)画素で展開されて表示される。
【0040】
図4(B)は、ファクシミリ送信時の宛先表の表示例を示す図である。この表示データは、フラッシュROM3107に格納されている。この表示データも、フラッシュROM3107に格納されており、起点90を基にRAM3108に(768×512)画素で展開されて表示される。
【0041】
図5は、操作部としての基本画面で、10キーやスタートキー及びストップキー等が表示されている。そしてユーザのキー操作に応じて、対応するキー情報を入力することにより、通常のキー操作部と同様に機能する。この画像も、起点90からRAM3108に(768×512)画素で展開されて表示されている。
【0042】
ここで図4(A)(B)に示す画面は、従来から本体1000の8インチ程度のサイズの表示部で表示していた表示画面例を示す図である。また図5で示す画面は、従来から本体1000に固定のキー操作部をタッチパネル3300に表示したものである。
【0043】
次に図6を参照して、図3のフローチャートのS9の処理の詳細を説明する。図6のフローチャートで示された処理を実行するプログラムは、図3のフローチャートに示す処理と同様にフラッシュROM3107に記憶されており、CPU3101の制御の下に実行される。
【0044】
図6は、図3のS9の入力表示処理を説明するフローチャートである。
【0045】
まずS11で、操作パネル3000の表示方向に応じた表示データの起点アドレスを読み込む。
【0046】
図7(A)〜(D)は、操作パネルの表示方向と、共通画面と非共通画面のそれぞれの表示データの起点との関係を説明する図である。図7(A)(B)は、縦表示方向(第1の向き)の場合、図7(C)(D)は、横表示方向(第2の向き)の場合を示す。尚、本実施形態で用いた表示部3200の表示領域のサイズは、(1024×768)画素の長方形である。よって、縦表示方向の場合、各起点からそれぞれ(512×768)画素を単位とする異なる2つの表示データを重なることなく表示できる。
【0047】
図7(A)は、操作パネル3000の表示方向が縦方向の場合を示し、共通画面800の起点Pのアドレス(0,0)と、非共通画面801の起点Qのアドレス(511,0)が設定される。これら各画面に表示される2つの表示データは、それぞれフラッシュROM3107に記憶されている。フラッシュROM3107から読み出された表示データは、RAM3108の起点Pと起点Qに対応するアドレスから対角線方向に(768×512)画素分展開される。この場合のアドレス変更処理は、CPU3101の制御により実行される。こうして表示部3200には、操作パネル3000の表示方向に対応する画面が表示される。
【0048】
次にS12に進み、操作パネル3000の表示方向に応じて基本画面(不図示)を表示する。そしてS13で、操作者がファクシミリ送信を選択するとS14に分岐し、基本画面から、図8(A)に示すファクシミリ画面を表示する。尚、S13でファクシミリ送信以外の設定操作の場合はS21に分岐して、指定された処理を実行するが、ここではその説明を省略する。
【0049】
図8(A)は、ファクシミリ画面の表示例を示す図である。
【0050】
図8(A)で、共通画面800には、図4(A)に示すファクシミリモード画面が起点Pから展開されて表示されている。また非共通画面801には、図5に示す基本動作設定画面が起点Qから展開されて表示されている。
【0051】
図8(B)は、図8(A)のファクシミリモード画面の宛先表キー810が押下されたときに表示部3200に表示される画面例を示している。これは図6のS15で、宛先表キー810が押下されたことを検知するとS16に進んで、宛先表の画面表示が実行されることにより表示される。図8(B)では、図4(B)に示す宛先の表示データを起点QからRAM3108に展開している。この図8(B)の宛先表の画面から宛先811が選択され、ファクシミリモード画面の宛先欄812にドラッグした状態を図9(A)に示す。この操作は、図6のS17〜S18の処理に該当している。そしてS19では、図9(B)に示す画面が表示される。
【0052】
図9(B)は、図5の動作設定画面を起点QからRAM3108に展開して非共通画面801に表示した状態を示す。この動作設定画面のスタートキー813が押下されると図6のS19からS20に進み、CPU3101は設定された宛先データと共にファクシミリ送信の指示を本体1000に通知する。本体1000のCPU1101は、ファクシミリ送信の指示を受けると、スキャナ1300によって原稿を読み取らせ、読み取られた原稿の画像を、モデム1120を介して外部にデータを送信する。
【0053】
尚、図9(B)では、図4(A)の動作モード画面と、図5の動作設定画面が同時に表示部3200に表示されているため、ファクシミリ送信の開始や停止を容易に指示することができる。
【0054】
尚、傾きセンサ3113によって図7(B)で示すような縦表示方向が検知された場合、表示データの起点は、それぞれ起点R(1023,767)と起点S(511,767)となる。この場合も先に説明した通り、略図8(A)(B)、図9(A)(B)に従って画面が遷移する。この場合も表示内容は全く同じだが、図7(B)で示す表示方向は、図7(A)で示す表示方向から操作パネル3000を180度回転したものとなる。従って、フラッシュROM3107に記憶している表示データを、各起点に応じてRAM3108へ展開することにより、画面の表示が操作パネル3000の180度の回転に追従して見える。
【0055】
次に傾きセンサ3113によって図7(C)で示す横表示方向が検知された場合について説明する。
【0056】
表示方向が図7(C)の場合、前述した図4(A)のファクシミリモード画面は、起点T(1023,0)から対角点(0,767)方向に展開される。また図5の動作設定画面は、起点U(767,255)から対角点(0,767)方向に表示データをRAM3108に展開して表示される。この例を図10(A)に示す。また図7(D)で示す表示方向は、図7(C)で示す表示方向から操作パネル3000を180度回転したものとなる。従って、フラッシュROM3107に記憶している表示データを、各起点に応じてRAM3108へ展開することにより、画面の表示が操作パネル3000の180度の回転に追従して見える。
【0057】
図6のS14で表示するファクシミリ画面は、図10(A)に示すようになる。ここでは、図4(A)と図5のキー操作部の画面(第1の画面、第2の画面)を表示する表示データを横方向に表示するため、2つの表示データを並べて1つの画面で表示できないため、画面の中央部で一部が重畳することになる。しかしながらフラッシュROM3107に格納する表示データは、縦横の表示方向で共通に使えるため、その容量は個別に専用で保持する場合に対して半分で済むため、システムを安価にできる。特に複合機のように機能が多く、又設定も多い装置の表示画面数は膨大なため、本実施形態のように表示データを共通にする効果は大きくなる。この図10(A)で表示された2つの画面のうち、一部が隠れた状態の画面がユーザによってタッチされると、CPU3101は、タッチされた画面を、他の画面よりも前面に表示するように制御する。それによって、ユーザは、前面に表示された画面を操作しやすくなる。以降に説明する表示例でも、一部が隠れた状態の画面がタッチされることによって、タッチされた画面を、他の画面よりも前面に表示されるものとする。
【0058】
図6のS16で表示する宛先表は、図10(B)に示す様に、ファクシミリモード画面に重ねて表示される。この場合も、図11(A)に示すように、宛先表から所望の宛先をユーザが指でドラッグする動作を受け付けて宛先入力欄812に入力することでファクシミリのデータの送信先を設定できる。尚、図10(B)の状態で宛先表をタッチすると、その宛先表が前面に表示される(図11(A))ので、宛先表が前面に表示された状態で、ユーザは所望の宛先を指で宛先入力欄812にドラッグすればよい。なお、上述したように、データの送信は、本体1000のCPU1101の制御に基づいて、モデム1120を介して行われる。具体的に、宛先が設定された状態で、スタートキーが押されると、CPU1101は、スキャナ1300で読み取った原稿の画像を示すデータをモデム1120を介して、設定された宛先に送信する。なお、データは、ファクシミリに限らず、LAN8000を介して送信されるものであってもよい。その場合、CPU3101は、宛先表からメールアドレスが入力欄812にドラッグされたことを検知し、ドラッグされたメールアドレス宛に、スキャナ1300で読み取った原稿の画像を示すデータをメールで送信する。
【0059】
また図6のS18で図11(B)に示す画面が表示され、動作設定画面からスタートキー813が押下されると、CPU3101は設定された宛先データと共にファクシミリ送信の指示を本体1000に通知する。図11(B)では、図4(A)の動作モード画面と、図5の動作設定画面が同時に表示されているため、容易にファクシミリの送信の開始や停止を指示することができる。なお、スタートキー813が押された後、CPU3101は、データの送信動作中、図5の動作設定画面が常に他の画面より前面に表示されるように制御してもよい。それによって、ユーザは、データの送信を停止するためのキーを見つけやすくなり、データの送信の停止を容易に指示することができるようになる。
【0060】
以上説明したように本実施形態1によれば、操作パネルの表示方向に応じた表示を共通の表示データを用いて行うことができるため、操作パネルをどの表示方向で使用しても、その表示領域内の入力キーの位置や表示画像は全く同じにして操作性が保たれる。
【0061】
[実施形態2]
図12(A)(B)は、実施形態2に係る画面表示例を示す図である。尚、実施形態2おける画像形成装置本体、操作パネルなどの構成は前述の実施形態1と同じであるため、その説明を省略する。
【0062】
図12(A)は、基本モード画面でコピーモードキーが選択され、その後、給紙段を選択する際に用いる設定画面を示す。この表示例では、実際の装置を示すイラスト画像が表示されている。このイラスト画像は、操作パネル3000の表示方向に応じて回転させ、アスペクト比を変更して表示方向に合致する大きさに合わせると実際の装置と類似しなくなる。このため本実施形態2では、操作パネル3000の表示方向に関わらず同じ画像を表示するようにしている。
【0063】
図12(B)は、コピー等で記録紙が紙詰まりを起こした際の画面に対応する表示例を示す。この表示例では、実際に紙が詰まっている箇所を提示しているために、図12(A)と同様に、表示方向に応じてアスペクト比を変えて表示することはできない。尚、本実施形態1に係る図5で表示するスタートキーやストップキーも、業界で既定された形状であるため、アスペクト比を変えることなく表示する必要がある。
【0064】
本実施形態2に係るこれらの画像は、操作パネル3000の縦表示方向でも横表示方向でも同じ表示データを使って表示できるため、同じアスペクト比で表示でき、また表示データを記憶するメモリ領域を小規模にできる。
【0065】
図13(A)〜(B)は、実施形態2における縦長の表示データの表示例を説明する図である。
【0066】
図13(A)は、横表示方向の場合に、縦長の表示データ1及び2をそれぞれ画面の起点A及びBから、それぞれ(512×768)画素分展開して表示する場合を示す。このように表示データが縦長の場合、横表示方向の場合に、表示部3200上で全域に表示できるよう(512×768)画素に設定する。
【0067】
従って、縦表示方向の場合は、1つの画面に2つの表示データを並べて表示できないため、図13(B)に示すように、起点C及び起点Dから縦長の表示データ1及び2をそれぞれ展開する。この場合は、起点D付近で、2つの表示データの画像が重なって表示される。この場合においても、前述の図3及び図6のフローチャートで説明したのと同様に実施できることは言うまでもない。
【0068】
図13(C)〜(D)は、実施形態2における横長の表示データの表示例を説明する図である。図13(C)は、横長で、互いにサイズの異なる3つの表示データ1,2,3を、重畳させることなく縦表示方向で表示する例を示す。この場合、各表示データは、起点E、起点F、そして起点Gから、それぞれ展開されて表示される。図13(D)は、図13(C)で示した横長でサイズの異なる3つの表示データ1,2,3を横表示方向で表示した例を示す。この場合は、1つの画面に3つの表示データを並べて表示できないため、例えば表示データ1は起点Hから、表示データ2は起点Iから、表示データ3は起点Jから、それぞれ展開されて表示される。この場合、表示データ1と表示データ2は起点I付近で重なり、また表示データ2と表示データ3は、表示データ2の下部で重なっている。図13(D)は、3つの画像の重なりが最も少なくなる例を示したもので、このような配置に限定されるものではない。
【0069】
このように実施形態2では、各表示データのサイズやアスペクト比を変更することなく、複数の表示データを1つの画面に表示することができる。また重畳されて画面上で隠れて表示されている表示データであっても、その部分をタッチすることにより画面の前面に表示される。それによって、容易に全ての表示データで表示される内容を確認できる。
【0070】
[実施形態3]
前述の実施形態1,2では、傾きセンサ3113を用いて操作者が操作パネル3000を操作する方向を検知していた。一般に傾きセンサ3113は重力を利用しているため、操作パネル3000が水平面上に置かれた場合、縦表示方向、あるいは横表示方向であるかは傾きセンサ3113では判別できない。
【0071】
図14は、実施形態3に係る操作パネル3000とホームポジション2000の構成を示すブロック図である。ここでは傾きセンサ3113に加えて3次元加速度センサ3111を有する操作パネル3000を示している。図14において、前述の図2と共通する部分は同じ記号で示し、それらの説明を省略する。尚、実施形態2おける画像形成装置本体、操作パネルなどの構成は、図14に示した以外は前述の実施形態1と同じであるため、その説明を省略する。
【0072】
図15は、傾きセンサ3113と3次元加速度センサ3111を用いた操作パネルの表示方向の検知処理を説明するフローチャートである。尚、図15で、前述の図3と共通するステップは同じ記号で示している。
【0073】
操作パネル3000が水平状態で、傾きセンサ3113の出力が小さく安定に検知できない場合は、S32からS33に進み、加速度センサ3111の出力を処理して方向を検出する。S33では、傾きセンサ3113の出力を初期値とし、加速度センサ3111の出力を2回積分して初期値からの3次元各方向での移動距離を算出し、水平面上の方向を判定する。尚、水平状態で、操作パネル3000の電源が投入されたり、或いはCPU3101がリセットされたりした場合で、かつ操作パネル3000の移動も無い場合は、傾きセンサ3113を用いても初期位置が不定となる。従って、S34で、傾きセンサ3113による傾きの検知が可能かどうかを判定し、検知可能でないと判定すると、一意に横表示方向に決定してS8に進む。
【0074】
一方、S34で、加速度センサ3111の出力から傾きが検知できる場合はS35に進んで、縦表示法効果、横表示方向かを判定する。そして、その判定結果に従ってS7(縦表示方向)或いはS8(横表示方向)に進む。
【0075】
図16は、実施形態3の他の例に係る操作パネル3000とホームポジション2000の構成を示すブロック図である。ここでは傾きセンサ3113に代えて3次元ジャイロセンサ3112を有する操作パネル3000を示している。図16において、前述の図2と共通する部分は同じ記号で示し、それらの説明を省略する。
【0076】
3次元ジャイロセンサ3112は、上述した傾きセンサ3113、3次元加速度センサ3111の欠点を補うことができる。操作パネル3000が如何なる状態にあっても、その表示方向を図3で先に説明したフローチャートに従って検知可能である。
【0077】
以上説明したように本実施形態によれば、本体と無線通信可能な操作パネルを、操作者が縦表示方向或いは横表示方向で使用することができる。この際、少なくとも2種類の表示データと表示方向の検知手段を用いて、検知された表示方向に応じて少なくとも2つの表示データを適応的にレイアウトして1つの画面に表示する。これにより、検知された表示方向に応じた操作画面を表示することができ、ユーザはいずれの表示方向でも共通の操作による指示操作が可能になる。
【0078】
<その他の実施例>
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面を表示する表示装置であって、
前記表示装置の向きを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記表示装置の向きが第1の向きであることが検知された場合には、第1の画面を表示するための第1の表示データ及び第2の画面を表示するための第2の表示データに基づいて、前記第1の画面及び前記第2の画面を重ねることなく並べて表示し、
前記検知手段によって前記表示装置の向きが第2の向きであることが検知された場合には、前記第1の表示データ及び前記第2の表示データに基づいて、前記第1の画面及び前記第2の画面の少なくとも一部を重ねて表示するよう制御する表示制御手段とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の画面はデータを送信するための設定を受け付けるための画面を含み、前記第2の画面は前記データの送信先を表示するための画面を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2の画面に表示された前記データの送信先を、前記第1の画面にドラッグする操作が受け付けられると、データの送信先が設定されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の画面はデータを送信するための設定を受け付けるための画面を含み、前記第2の画面は前記データの送信を停止させるための画面を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記データを送信している間、前記データの送信を停止させるための画面を、前記データを送信するための設定を受け付けるための画面より前面に表示し続けるよう制御することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
画面を表示する表示装置の制御方法であって、
前記表示装置の向きを検知する検知工程と、
前記検知工程で表示装置の向きが第1の向きであることが検知された場合には、第1の画面を表示するための第1の表示データ及び第2の画面を表示するための第2の表示データに基づいて、前記第1の画面及び前記第2の画面を重ねることなく並べて表示し、
前記検知工程で前記表示装置の向きが第2の向きであることが検知された場合には、前記第1の表示データ及び前記第2の表示データに基づいて、前記第1の画面及び前記第2の画面の少なくとも一部を重ねて表示するよう制御する表示制御工程とを有することを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載された表示装置の制御方法を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−133758(P2012−133758A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247968(P2011−247968)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】