説明

表示装置およびその作製方法

【課題】EL素子等を用いて画素を構成した表示装置において、素子の温度変化、劣化等の特性変化を補正するために設けたモニタ素子からの光漏れを効果的に抑制する。
【解決手段】基板上に、絶縁層が形成され、前記絶縁層上に、第1の電極と第2の電極に挟持された発光層を有する複数の発光素子が形成された構成を有している。さらに、前記複数の発光素子のうちの少なくとも一部において、前記絶縁層に開口が形成された構成を有し、発光層を前記絶縁層の開口領域に落としこんで形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画素部にエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子)を用いたELディスプレイの実用化に向け、開発が進められている。特に、有機EL素子を用いたものにおいては、無機EL素子に比べて駆動電圧が低く、従来フラットパネルディスプレイで主に用いられている液晶素子と同等の駆動電圧での運用が可能である。具体的には液晶ディスプレイに対し、自発光型ゆえにバックライトを必要とせず、色再現性の高さ等から、次世代フラットパネルディスプレイのキーテクノロジーとしての期待は大きい。
【0003】
一方、有機EL素子は、無機EL素子に比べて特性変動が大きいという課題を有している。具体的には、環境温度の変化に対する可逆的な特性変化や、水分等による素子劣化といった不可逆的な特性変化である。広範囲にわたる使用環境、十分な商品のライフサイクルにおいて、一定の輝度特性を確保するためには、このような特性変化に対し何らかの補正手段を必要とする。
【0004】
前述の特性変化に対する補正手段の一例としては、有機EL素子に供給される電流値を一定にするといった手法が挙げられる。これは、有機EL素子においては、素子に印加する電圧と、素子を流れる電流の関係は非線形であるが、素子を流れる電流と、素子が発光する輝度はほぼ線形であり、輝度を一定にするための制御として比較的容易な点が利点である。
【0005】
そういった補正手段の一例としては、画素部として形成された有機EL素子の近傍に、電流値をモニタするための有機EL素子(以下、モニタ素子)を形成し、モニタ素子に流れる電流値が一定となるように、有機EL素子の電流供給線の電源電位を制御する手段が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−330419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、輝度の補正手段としてモニタ素子を含むモニタ素子部を用いる場合の表示装置の構成の一例を図2(A)〜(C)に示す。図2(A)〜(C)に示す表示装置は、基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFT)群を用いてなる周辺回路200と、画素部220、モニタ素子部210を一体形成したものである。
【0007】
図2(A)〜(C)において、点線枠20で示される領域には、TFT201、202等でなる周辺回路が設けられており、点線枠21で示される領域には、TFT211、モニタ素子212等でなるモニタ素子部が設けられており、点線枠22で示される領域には、TFT221、発光素子222等でなる画素部が設けられている。これらは、例えばガラス、プラスチック等の透光性を有する材料でなる基板250上に形成される。なお、基板250上には、下地膜251等が形成されていても良い。
【0008】
また、基板250上に形成された周辺回路200は、フレキシブルプリント基板(FPC)を端子290上に貼付け、FPCを介して外部より入力される制御信号群によって駆動される。
【0009】
モニタ素子212、発光素子222は、EL素子の陽極に該当する画素電極213、223、発光層214、224、EL素子の陰極に該当する対向電極215、225をそれぞれ有する。また、発光層から得られる放射光を、画素電極213、223側に取り出す場合には、画素電極213、223は透光性を有する材料で形成され、対向電極215、225は遮光性を有する材料で形成される。一方、放射光を、対向電極215、225側に取り出す場合には、画素電極213、223は遮光性を有する材料で形成され、対向電極215、225は透光性を有する材料で形成される。ここでは、前者の場合を、基板の下面方向に光を取り出すことから下面放射、後者の場合を、基板の上面方向に光を取り出すことから上面放射と表記する。
【0010】
なお、上記の構成に加え、それぞれ遮光性を有する材料で形成される電極に反射性を持たせることで、発光層からの光取り出し効率を向上させることができ、さらに好適といえる。
【0011】
モニタ素子を設けて輝度の補正を行う場合、モニタ素子には常に、あるいは所望の発光デューティ比をもって電流が供給されるため、画素部の表示に関係なく発光する場合がある。すなわち、モニタ素子の発光は表示に関係ない発光であるから、何らかの遮光手段を必要とする。
【0012】
遮光手段の一例としては、図2(B)に示すとおり、周辺回路を形成する際、TFTのゲート電極の形成に用いられる膜や、ソース配線及びドレイン配線等の形成に用いられる膜を利用して、モニタ素子を形成する領域に遮光層216を設ける構成等が挙げられる。下面放射の場合、基板の下面方向に放射された光は、遮光層216によって遮られ、外側には現れない。このとき、対向電極215は遮光性を有する材料にて形成されており、基板の上面側にも光が漏れることは無い。
【0013】
また、上面放射の場合、図2(C)に示すとおり、対向電極235を透光性のある材料で形成される膜231と、遮光性を有する材料で形成される膜232の積層構造とすることで、モニタ素子が設けられた領域に選択的に遮光層を形成することが出来る。
【0014】
しかし、図2(A)〜(C)に示した構成によると、基板250の上面、下面側に対しては遮光層によって良好な遮光がなされるが、矢印291で示したような経路から光が漏れる。つまり、TFTを形成するSi膜、ゲート電極、配線等の各層間に形成される絶縁層を通り、モニタ素子の周辺に形成された配線や遮光層等に反射して、モニタ素子部分の発光が水平方向に通り抜けてくる場合がある。この光漏れが表示に影響しないようにするには、モニタ素子の周辺に形成された配線や遮光層等に反射しながら絶縁層を水平方向に通り抜けてくる段階で十分に減衰するよう、モニタ素子部と画素部との配置には、水平方向に十分な距離を設け、また、十分に広範囲に遮光層を設ける必要がある。
【0015】
一方で、画素部とモニタ素子部とは、双方の発光層として用いているEL素子の特性変動の振る舞いが極力等しくなるよう、近接して配置される必要がある。画素部とモニタ素子部との間に距離がある場合、発光層の形成工程のばらつき等の影響が大きくなり、正確な輝度の補正が困難になってしまう。さらに、表示装置のサイズ上の問題や、素子のレイアウト上の都合により、画素部とモニタ素子部との間には十分な距離が確保出来ない場合も考えられる。
【0016】
故に、モニタ素子における放射光の遮光が十分でなく、画素部に光漏れを生じてしまうことになり、表示品質の低下を招いてしまう。
【0017】
本発明は、以上の課題に鑑み、画素部とモニタ素子部を近接して配置し、正確な輝度補正と画素部、モニタ素子部、周辺回路の十分な高集積化を実現し、かつ基板の水平方向に対しても良好な遮光特性を確保できる表示装置およびその作製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
基板に対して水平方向に光漏れが発生するのは、モニタ素子周辺の構成において、遮光層として用いている膜と、画素電極との間に、透光性を有する1層以上の絶縁層が形成されており、モニタ素子の発光層から放射された光がこの絶縁層を通って、基板に対して水平方向に漏れ出してくるためである。そこで本発明においては、モニタ素子の発光層と重畳する領域に形成された絶縁層をパターニングによって除去して凹部を形成し、この領域に発光層、画素電極、対向電極を含む発光素子を落とし込み、発光層を遮光層と対向電極で封止する構成とする。モニタ素子部におけるモニタ素子の構成をこのようにすることで、基板に対して上下方向のみならず、水平方向に対しても発光層から放射された光が漏れ出す経路を無くすことが出来るため、モニタ素子部と画素部との間に距離が無い場合であっても、良好な遮光特性を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画素部とモニタ素子部との間に距離を設け、基板に対して水平方向に遮光層を延長することなく、モニタ素子周辺の遮光を良好にすることを可能とする。また、結果として画素部により近い領域にモニタ素子部を配置することが出来るため、画素部およびモニタ素子部におけるEL素子の特性をより近づけ、前述の輝度補正等をより良好に行うことが出来る。以上2点によって、モニタ素子の光漏れの影響を受けない良好な表示と、より正確な輝度補正による良好な表示を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の態様、および実施例につき、図面を参照して説明する。なお、本発明は多くの異なる態様にて実施することが可能であり、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって本発明は、本実施の形態における記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分または同様な機能を有する部分であって、説明上支障が無いと判断される部分については同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
(実施の形態1)
図1(A)は、本発明を実施するための一態様について示した図である。点線枠10で示される領域には、TFT101、発光素子であるモニタ素子102等でなるモニタ素子部が設けられており、点線枠11で示される領域には、TFT111、発光素子112等でなる画素部が設けられている。これらは、例えばガラス、プラスチック等の透光性を有する材料でなる基板150上に形成される。なお、基板150上には、下地膜151、ゲート絶縁膜152等が形成されていても良い。また、従来技術にて示した図2において表記されていた周辺回路200は、図1では特に表記しないが、モニタ素子部、画素部の周辺に設けられていても良い。
【0022】
図1(A)におけるモニタ素子部を更に拡大したものを図1(B)に示す。TFT101の形成と同時に、ゲート電極を形成する膜を用いて遮光層121が形成される。その後、絶縁層として層間膜125を形成し、コンタクトホールを開口して配線127、128が形成される。このとき、コンタクトホール形成と同時に、モニタ素子102が形成されるべき領域、すなわち先に遮光層121が形成された領域に重畳して形成された層間膜125の除去を行う。続いて画素電極122が形成され、発光層を分離するための隔壁126が形成される。隔壁126が開口された領域には、発光層123が形成され、最後に対向電極124が形成される。
【0023】
モニタ素子102が形成される領域は、層間膜125の除去により凹部が形成される。その後、画素電極122、発光層123、対向電極124でなる発光素子が形成されることにより、発光層123と遮光層121との距離が極めて近づいた構成となる。モニタ素子102の形状をこのようにすることで、発光層123から放射される光が、反射または散乱によってモニタ素子の周囲に漏れ出る経路を無くすことが出来る。
【0024】
図1(A)(B)では、下面放射の場合について図示し説明を行ったが、上面放射の場合にも同様の構成とすることで、モニタ素子部におけるモニタ素子からの光漏れを防止することが可能である。図1(C)に上面放射の場合の構成を示すが、対向電極124を、透光性を有する材料で形成される膜124aと、遮光性を有する材料で形成される遮光層124bの積層構造とすることで、モニタ素子が設けられた領域に選択的に遮光層を形成することが出来る。このとき、図1(B)にて、基板150側へ放射される光の遮光に用いていた遮光層121については、上面放射の場合には特に設けなくとも良い。
【0025】
画素部については図1(C)では特に図示していないが、発光素子の対向電極は透光性を有する材料で形成される膜124aのみにて形成し、上面方向に発光層から放射される光を取り出す必要がある。
【0026】
モニタ素子部におけるモニタ素子を図1(B)に示したような構成とすることにより、発光層123と遮光層121間の距離を極めて小さく形成することが出来るため、放射光の反射、散乱によるモニタ素子の周囲への光もれを抑制することが可能となる。
【0027】
また、上面放射の場合に好適な図1(C)に示したような構成とすることにより、発光層123から、基板150に対し水平な方向には、反射性若しくは遮光性を有する材料でなる画素電極122と、遮光層124bを含む対向電極124によって光もれを遮断することが出来るため、より効果的に光もれの抑制が実現する。
【0028】
(実施の形態2)
図3(A)(B)は、図1(B)に示した構成の異なる一態様を示したものである。上面放射方式の場合、反射性若しくは遮光性を有する材料でなる画素電極と、遮光層を含む対向電極によって、発光層が水平方向にも囲まれる形になっている(図1(C)に示したとおり)。下面放射方式の場合、図1(B)に示した構成では、発光層の水平方向には透光性を有する材料でなる画素電極のみとなっており、やや光もれの抑制に対し不十分な可能性がある。
【0029】
その対策としては、水平方向に遮光性を有する材料を用いて構造体を形成する方法が挙げられる。以下に、図3(A)(B)を用いて詳細に説明する。
【0030】
図3(A)は上面よりモニタ素子部を見た場合の構成を示しており、図3(A)中、A−A’で示す線における断面構成を図3(B)に示している。
【0031】
図3(A)(i)に示すとおり、TFT301を形成した後、層間膜312を形成し、所望の領域を開口する。ここでは、TFT301のソース領域及びドレイン領域と接続される箇所および、後にモニタ素子が形成される領域、すなわち遮光層311に重畳する領域を開口する(図3(A)では、遮光層311上の開口部端部を点線枠302で示す)。その後、配線材料にてTFTのソース電極及びドレイン電極を形成するが、同時に、層間膜312の開口部(先に点線枠302で示した部分)を覆うように配線パターン313を形成する。
【0032】
続いて、図3(A)(ii)に示すとおり、遮光層311に重畳し、かつ配線パターン313の内周を覆うように、画素電極314を形成する。
【0033】
その後、画素電極314の端部を覆うように隔壁315を形成し、隔壁315で囲まれ、かつ画素電極314表面が露出している領域に、発光層316を形成する(図3(A)(iii))。最後に、対向電極317を形成し、図3(B)に示す構成となる。
【0034】
この構成によると、発光層316から放射される光は、その大部分が遮光層311と対向電極317によって遮光されるが、水平方向にわずかにもれ出た光は、層間膜312の開口部端部周辺に設けられた配線パターン313によって遮光され、より良好な遮光特性が実現する。
【0035】
以上、実施形態について説明したが、本発明には以下の形態を含むものであることを付記する。
【0036】
一対の電極間に発光層を有する発光素子を複数個備えた表示装置であって、単一層又は複数の層で形成された絶縁層と、絶縁層上に形成された第1の発光素子と、絶縁層の下層側に選択的に形成された遮光層と、単一層又は複数の層で形成された絶縁層の内、少なくとも一つの層によって形成された開口部と重畳して設けられた第2の発光層とを有し、第2の発光素子の一方の電極が前記開口部の底部に配置され、第2の発光素子の他方の電極は、反射性若しくは遮光性を有する。
【0037】
透光性を有する第1の電極と、発光層と、反射性若しくは遮光性を有する第2の電極とが順に積層された発光素子を複数個備えた表示装置であって、単一層又は複数の層で形成された絶縁層と、絶縁層上に形成された第1の発光素子と、絶縁層の下層側に選択的に形成された遮光層と、単一層又は複数の層で形成された絶縁層の内、少なくとも一の層によって形成された開口部と重畳して設けられた第2の発光素子とを有し、第2の発光素子の一方の電極(第1の電極)が前記開口部の底部で遮光層と重なるように配置されている第2の発光素子とを有する。
【0038】
反射性若しくは遮光性を有する第1の電極と、発光層と、透光性を有する第2の電極とが順に積層された発光素子を複数個備えた表示装置であって、単一層又は複数の層で形成された絶縁層と、絶縁層上に形成された第1の発光素子と、単一層又は複数の層で形成された絶縁層の内、少なくとも一の層によって形成された開口部と重畳して設けられた第2の発光素子とを有し、第1の電極が開口部の底部側に配置され、第2の発光素子の第2の電極電極上に遮光層が形成される。
【0039】
上記の表示装置において、絶縁層に形成された開口部の周縁部は、少なくとも可視光に対して反射性若しくは遮光性を有する材料で被覆されている。
【0040】
遮光層を選択的に形成し、遮光層上に単層あるいは複層でなる絶縁層を形成し、前記遮光層に重畳する部分の絶縁層を除去して開口部を形成し、絶縁層上に第1の電極、及び開口部の遮光層と重畳する部分に第2の電極をそれぞれ形成し、第1の電極上に第1の発光層、及び第2の電極上に第2の発光層をそれぞれ形成し、第1の発光層及び第2の発光層上に、反射性若しくは遮光性を有する第3の電極及び第4の電極をそれぞれ形成することを特徴とする。
【0041】
遮光層を選択的に形成し、遮光層上に単層あるいは複層でなる絶縁層を形成し、遮光層に重畳する部分の絶縁層を除去して開口部を形成し、開口部の周縁部を反射性若しくは遮光性を有する膜で被覆し、絶縁層上に第1の電極、及び開口部の遮光層に重畳し、かつ膜の端部を覆うように第2の電極をそれぞれ形成し、第1の電極上に第1の発光層、及び第2の電極上に第2の発光層をそれぞれ形成し、第1の発光層及び第2の発光層上に、反射性若しくは遮光性を有する第3の電極及び第4の電極をそれぞれ形成することを特徴とする。
【0042】
単層あるいは複層でなる絶縁層を形成し、絶縁層を除去して開口部を形成し、絶縁層上及び前記開口部に、反射性若しくは遮光性を有する第1の電極及び第2の電極をそれぞれ形成し、第1の電極上に第1の発光層、及び第2の電極上に第2の発光層をそれぞれ形成し、第1の発光層上に第3の電極、及び第2の発光層上に第4の電極をそれぞれ形成し、第4の電極上に遮光層を形成することを特徴とする。
【実施例1】
【0043】
本発明の構成を具備した表示装置の形成について、図面を参照して説明する。ここでは図4(A)(B)を用いて、各工程に従い、順に説明する。なお、図4(A)(B)にはモニタ素子部のみ断面図を示しているが、周辺回路を構成するTFT群、配線等は、モニタ素子部に含まれるTFT作成工程と同時に形成されれば良く、画素部についても同様であるので、ここでは特に図示しない。
【0044】
図4(A)は、下面放射方式による表示装置の断面図を示しており、図4(B)は上面放射方式の表示装置の断面図を示している。双方で同一の構成をとる場合、図番は同一として表記した。以下、双方の図に従い、説明する。
【0045】
絶縁表面を有する基板401には、ガラス基板、石英基板等を用いることが出来る。作製工程における処理温度に耐え得るのであれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックやアクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板を用いることができる。なお、上面放射方式の表示装置を作製する場合、基板401に透光性は求められないので、ステンレス基板等を用いても良い。
【0046】
まず、基板401上に下地膜402を形成する。下地膜402には、酸化珪素や、窒化珪素、窒化酸化珪素などの絶縁膜を用いることができる。次に、下地膜402上に非晶質半導体膜を形成する。非晶質半導体膜の膜厚は25nm〜100nmとする。また非晶質半導体は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができる。続いて、必要に応じて非晶質半導体膜を結晶化し、結晶性半導体膜を形成する。結晶化する方法は、加熱炉、レーザ照射、若しくはランプから発する光の照射、又はそれらを組み合わせて用いることができる。例えば、非晶質半導体膜に金属元素を添加し、加熱炉を用いた加熱処理を行うことによって結晶性半導体膜を形成する。このように、金属元素を添加することにより、低温で結晶化できるため好適である。
【0047】
なお、結晶性半導体で形成されるTFTは、非晶質半導体で形成されたTFTよりも電界効果移動度が高く、オン電流が大きいため、半導体装置に用いるトランジスタとしてより適している。
【0048】
次に、結晶性半導体膜を所定の形状にパターニングし、TFTの活性層となる島状の半導体膜403を得る。次に、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜404を形成する。絶縁膜404は、半導体膜を覆うように、厚さを10〜150nmとして形成される。例えば、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜等を用いることができ、単層構造または積層構造としてもよい。
【0049】
次に、ゲート絶縁膜上に、ゲート電極として機能する導電膜405を形成する。ゲート電極は、単層であっても積層であってもよい。導電膜405はTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。同時に、下面放射方式の場合、同時にモニタ素子からの光を遮光するための遮光層406を形成する。上面放射方式の場合、特にこの遮光層406は必要無いが、形成しても構わない。ただし、図4(B)では図示していない。
【0050】
次に、ゲート電極をマスクとして不純物元素を添加して、不純物領域を形成し、TFT407とする。このとき、高濃度不純物領域に加えて、低濃度不純物領域を形成してもよい。低濃度不純物領域は、LDD(Lightly Doped Drain)領域と呼ばれる。
【0051】
次に、絶縁膜でなる層間膜408を形成する。層間膜408は、有機材料又は無機材料を用いて形成することが好適である。有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、シロキサンを用いることができる。シロキサンとは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。無機材料としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)(x、yは自然数)等の酸素、又は窒素を有する絶縁膜を用いることができる。なお、有機材料からなる膜は、平坦性が良好な一方で、有機材料により、水分や酸素が吸収されてしまう。これを防止するため、有機材料からなる絶縁膜上に、無機材料を有する絶縁膜を形成するとよい。
【0052】
また、ここで形成される層間膜408は、表面の平坦性を向上させるため、ある程度の膜厚、具体的には500nm〜1μm程度の膜厚をもって形成されることが好ましい。さらに、遮光層406に重畳する領域の層間膜408は後に除去されるが、層間膜408にある程度の膜厚を与えることにより、層間膜408が形成された領域と、層間膜408が除去された領域に適当な段差が生ずる。これにより、図4(A)(B)に示すように、モニタ素子における発光層を、当該箇所に落とし込む構造を好適に形成し、発光素子の遮光性を向上させることが出来る。したがって、前記範囲に加え、発光素子を形成する積層構造、すなわち画素電極、発光層、対向電極の積層膜厚よりも厚いことがより好ましい。ただし、層間膜408によって形成される段差が大きい場合には、後に形成される画素電極の段切れを生ずる原因となるため、このような現象が生じないよう、適宜膜厚を決定して構わない。
【0053】
次に、層間膜408にコンタクトホールを形成する。同時に、遮光層406に重畳する領域の層間膜408を除去する。この領域には後に発光素子が形成される。なお、上面放射方式の場合においても、同様の領域の層間膜408を除去する。その後、TFT407のソース配線及びドレイン配線として機能する導電膜409を形成する。導電膜409は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜を用いることができる。本実施の形態では、チタン膜、窒化チタン膜、チタン−アルミニウム合金膜、チタン膜の積層膜を形成する。
【0054】
次に、画素電極410を形成する。画素電極410は、導電膜409と一部が重畳するように形成し、電気的接続を得る。ここでは図示していないが、導電膜409の形成後、層間膜を形成し、導電膜409と電気的接続を得る箇所にコンタクトホールを開口した後、画素電極410を形成しても良い。画素電極410の材料としては、仕事関数の大きい(仕事関数4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などの導電性材料を用いることが好ましい。導電性材料の具体例としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物(IWO)、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物(IWZO)、酸化チタンを含むインジウム酸化物(ITiO)、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物(ITTiO)などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
【0055】
導電性材料の組成比例は次の通りである。酸化タングステンを含むインジウム酸化物の組成比は、酸化タングステン1wt%、インジウム酸化物99wt%とすればよい。酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物の組成比は、酸化タングステン1wt%、酸化亜鉛0.5wt%、インジウム酸化物98.5wt%とすればよい。酸化チタンを含むインジウム酸化物は、酸化チタン1wt%〜5wt%、インジウム酸化物99wt%〜95.0wt%とすればよい。インジウム錫酸化物(ITO)の組成比は、酸化錫10wt%、インジウム酸化物90wt%とすればよい。インジウム亜鉛酸化物(IZO)の組成比は、酸化亜鉛11wt%、インジウム酸化物89wt%とすればよい。酸化チタンを含むインジウム錫酸化物の組成比は、酸化チタン5wt%、酸化錫10wt%、インジウム酸化物85wt%とすればよい。上記組成比は例であり、適宜その組成比の割合は設定すればよい。
【0056】
なお、ここで画素電極410に好適な材料として挙げた材料はいずれも透光性を有する材料であるが、図4(B)に示す上面放射方式の場合、画素電極410は反射性を有することが好ましい。よって、例えば他の金属膜と前述の仕事関数の大きい材料との積層膜にて形成し、画素電極410の最表面に前述の仕事関数の大きい材料がくるように形成すると好ましい。
【0057】
次に、蒸着法、またはインクジェット法により、発光層411を形成する。発光層411は、有機材料、又は無機材料を有し、電子注入層(EIL)、電子輸送層(ETL)、発光層(EML)、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)等を適宜組み合わせて構成される。なお各層の境目は必ずしも明確である必要はなく、互いの層を構成している材料が一部混合し、界面が不明瞭になっている場合もある。
【0058】
なお、発光層411は、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層など、機能の異なる複数の層を用いて構成することが好ましい。
【0059】
なお、正孔注入輸送層は、ホール輸送性の有機化合物材料と、その有機化合物材料に対して電子受容性を示す無機化合物材料とを含む複合材料で形成することが好ましい。このような構成とすることで、本来内在的なキャリアをほとんど有さない有機化合物に多くのホールキャリアが発生し、極めて優れたホール注入性・輸送性が得られる。この効果により、従来よりも駆動電圧を低くすることができる。また、駆動電圧の上昇を招くことなく正孔注入輸送層を厚くすることができるため、ゴミ等に起因する発光素子の短絡不良も抑制することができる。
【0060】
なお、ホール輸送性の有機化合物材料としては、例えば、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス{N−[4−ジ(m−トリル)アミノ]フェニル−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0061】
なお、電子受容性を示す無機化合物材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化ルテニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。特に酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウムは真空蒸着が可能で扱いやすいため、好適である。
【0062】
なお、電子注入輸送層には、電子輸送性の有機化合物材料を用いて形成する。具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−ビフェニリル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0063】
なお、発光層には、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、クマリン30、クマリン6、クマリン545、クマリン545T、ペリレン、ルブレン、ペリフランテン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、5,12−ジフェニルテトラセン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)等が挙げられる。また、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(ピコリナート)(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(ピコリナート)(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス[2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(thp)2(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(pq)2(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(btp)(acac))などの燐光を放出できる化合物を用いることもできる。
【0064】
また、発光層は、一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
【0065】
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルターを設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルターを設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
【0066】
その他に、発光層の形成に用いることができる高分子系の電界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
【0067】
また、発光層として無機材料を用いても良い。無機材料としては、硫化亜鉛(ZnS)などの化合物半導体にマンガン(Mn)や希土類(Eu、Ceなど)を不純物として添加したものを適用できる。これらの不純物は発光中心イオンと呼ばれ、このイオン内の電子遷移により発光が得られる。また、硫化亜鉛(ZnS)などの化合物半導体に、アクセプタ元素としてCu、Ag、Auなどを、ドナー元素としてF、Cl、Brなどを添加して、アクセプタとドナー間の遷移により発光を得るものを適用することができる。また、より発光効率を向上させるために、GaAsを添加しても良い。発光層は、100〜1000nm(好ましくは、300〜600nm)の厚さで設ければ良い。このような発光層と電極(陽極及び陰極)との間には、発光効率を高めるために誘電体層を設ける。誘電体層としては、チタン酸バリウム(BaTiO)などを適用することができる。誘電体層は50nm〜500nm(好ましくは、100nm〜200nm)の厚さで設ける。
【0068】
いずれにしても、発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の正孔又は電子注入輸送層や発光層を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極層を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、発光素子としての目的を達成し得る範囲において許容されうるものである。
【0069】
また、封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークを鋭くなるように補正できるからである。
【0070】
また、単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルターや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば第2の基板(封止基板)に形成し、基板へ張り合わせればよい。
【0071】
そして、スパッタリング法、又は蒸着法により、対向電極412を形成する。画素電極410と対向電極412は、一方が陽極となり、他方が陰極となる。
【0072】
陰極材料としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちLiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)や化合物(LiF、CsF、CaF)の他、希土類金属を含む遷移金属を用いて形成することができる。上面放射方式の場合、対向電極は透光性を有する必要があるため、対向電極側を陰極として用いる場合には、これら金属、又はこれら金属を含む合金を非常に薄く形成し、ITO等の金属(合金を含む)との積層により形成するのが好適である。
【0073】
また、上面放射の場合、モニタ素子における対向電極412は、遮光層を兼ねる必要があるため、上記構成に加え、遮光性を有する材料でなる導電膜413を積層して形成しても良い。この場合、画素部においては放射光の取り出しの必要があるので、画素部の対向電極上には導電膜413が形成されないよう、導電膜413は所望の領域に選択的に形成される。
【0074】
その後、対向電極412を覆うように、窒化珪素膜やDLC(Diamond Like Carbon)膜からなる保護膜(図4(A)(B)には特に図示せず)を設けてもよい。上記工程を経て、本発明の発光装置が完成する。
【0075】
本実施例は、実施の形態、および他の実施例と自由に組み合わせることが出来る。
【実施例2】
【0076】
本実施例では、電流供給線の電位を補正し、環境温度の変化と経時変化に起因した発光素子の電流値の変動による影響を抑制できる手法について説明する。
【0077】
発光素子は、周囲の温度により、その抵抗値(内部抵抗値)が変化する性質を有する。具体的には、室温を通常の温度としたとき、温度が通常よりも高くなると抵抗値が低下し、温度が通常よりも低くなると抵抗値が上昇する。そのため、発光素子に同じ電圧を印加した場合、温度が高くなると電流値が増加して所望の輝度よりも高い輝度となり、温度が低くなると電流値が低下して所望の輝度よりも低い輝度となる。また、発光素子は、経時的にその電流値が減少する性質を有する。具体的には、発光時間及び非発光時間が累積すると発光素子の劣化に伴い抵抗値が上昇する。そのため、発光時間及び非発光時間が累積すると、発光素子に同じ電圧を印加した場合、電流値が低下して所望の輝度より低い輝度となる。
【0078】
上述した発光素子が有する性質により、環境温度が変化した場合や、経時変化が生じた場合は、輝度にバラツキが生じてしまう。本実施例は、本発明の電流供給線の電位を補正することで、環境温度の変化と経時変化に起因した発光素子の電流値の変動による影響を抑制することができる。
【0079】
図5に、回路の構成を示す。図5において、電流供給線501と対向電極502との間に、駆動用のTFT503と発光素子504とが接続されている。駆動用のTFT503の制御は、周辺回路505からの信号によって行われる。駆動用のTFT503がオンしたとき、電流供給線501から対向電極502の方に電流が流れる。発光素子504の輝度は、そこを流れる電流値に応じて決定する。また、発光素子に流れる電流値は、駆動用のTFT503によって制御される場合と、駆動用のTFT503は単なるスイッチとして用い、電流値は電流供給線501と対向電極502間の電圧によって制御される場合がある。
【0080】
後者のような構成の場合、電流供給線501と対向電極502の電位が固定されていると、前述した発光素子の特性変化によって発光素子の抵抗値が変化したとき、発光素子に流れる電流値が変化する。したがって輝度が変化してしまう。
【0081】
そこで、補正回路を用いて、上述のような特性変動に対する影響を補正する。本実施例では、電流供給線501の電位を調整することにより、発光素子504の劣化や温度による変動を補正する。
【0082】
まず、補正回路の構成について述べる。第1のモニタ電源線506と第2のモニタ電源線507の間には、モニタ用電流源508、モニタ素子部510が接続されている。モニタ素子部510は、駆動用のTFT513と、発光素子であるモニタ素子514を有する。駆動用のTFT513は特に必要ないが、画素部509が有する発光素子504と、モニタ素子514の振る舞いを極力同一にするために配置しており、そのゲート電極には、画素部509の駆動用のTFT503のオン電圧と同じバイアス電圧が印加されている。そして、モニタ素子部510とモニタ用電流源508との接点には、モニタ素子514の陽極の電位を出力するためのサンプリング回路520の入力端子が接続されている。サンプリング回路520の出力端子には、電流供給線501が接続されている。したがって、電流供給線501の電位は、サンプリング回路520の出力によって制御される。なお、点線枠で示した画素部509の構成は、図1で示した点線枠11に該当し、点線枠で示したモニタ素子部510の構成は、図1で示した点線枠10に該当する。
【0083】
次に、補正回路の動作について述べる。まず、モニタ用電流源508は、最も明るい階調数で発光素子504を発光させる場合に、発光素子504に流したい大きさの電流を流す。この時の電流値をIpixとする。このとき、画素部509の対向電極502の電位と、第2のモニタ電源線507の電位は等しくしている。
【0084】
すると、モニタ素子514の両電極の電圧には、Ipixの大きさの電流を流すのに必要な大きさの電圧が自ずと発生する。もし、モニタ素子514の電圧・電流特性が劣化や温度などによって変わったとしても、それに応じて、モニタ素子514の両電極の電圧も変化し、最適な大きさになる。よって、モニタ素子514の特性変化の影響を補正することが出来る。
【0085】
サンプリング回路520の入力端子には、モニタ素子514の両電極に印加される電圧にしたがった電位が入力されている。サンプリング回路520は、出力端子の電位、すなわち電流供給線501の電位を、入力端子に入力された電位に等しくしようとする制御を行う。したがって、サンプリング回路520の出力端子、つまり、電流供給線501の電位は、モニタ素子514によって決定される電位に合わせ、補正回路によって補正されることになり、点線枠で囲まれる画素部509における発光素子504は劣化や温度による変動が補正される。
【0086】
なお、サンプリング回路は、入力電流に応じた電圧を出力する回路であればなんでもよい。例えば電圧フォロア回路も増幅回路の一種であるが、これに限定されない。オペアンプ、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタのいずれか、もしくは複数を組み合わせて、回路を構成すればよい。
【0087】
なお、モニタ素子部510は、点線枠で囲まれる画素部509と同時に、同じ製造方法で、同じ基板上に作成されることが望ましい。なぜなら、モニタ用のものと、画素部に配置されているものとで、特性が異なれば、補正がずれてしまうからである。
【0088】
なお、点線枠で囲まれる画素部509に配置されている発光素子504は、常に電流が流れているわけではなく、表示される画像によって電流が流れる期間と流れない期間が混在する。したがって、モニタ素子514に、常に電流を流し続けていると、モニタ素子部510の有するモニタ素子514の方が早く劣化度合いが進行する。そのため、サンプリング回路520から出力される電位に過度の補正がかかってしまう。そこで、実際の画素での劣化度合いに合わせるようにしてもよい。例えば、平均的に、画面全体の点灯率が30%であれば、30%の輝度に相当するような期間だけ、モニタ素子514に電流を流すようにしてもよい。そのとき、モニタ素子514に電流が流れない期間が生じてしまうため、サンプリング回路520の入力端子の電位が変化してしまうが、サンプリング回路520の出力端子からは、変わりなく電圧が供給されているようにする必要がある。それを実現するためには、サンプリング回路520に保持機構を設け、モニタ素子514に電流を流していた時に取得した電位を保持するようにすればよい。
【0089】
なお、最も明るい階調数のものに合わせてモニタ素子部510を動作させると、補正がやや強くかかったような電位を出力することになるが、それによって、画素での焼き付き(画素ごとの劣化度合いの変動による輝度ムラ)が目立たなくなるため、最も明るい階調数のものに合わせてモニタ素子部510を動作させることが望ましい。
【0090】
本実施例においては、駆動用のTFT503は線形領域で動作させることがさらに好適である。線形領域で動作させることで駆動用のTFT503は、概ねスイッチとして動作する。そのため、駆動用のTFT503の特性バラツキや、温度、劣化等による特性変化が、発光素子に流れる電流値に影響しにくくすることができる。線形領域のみで動作させる場合は、発光素子504に電流が流れるか流れないかをデジタル的に制御することが多い。その場合、多階調化をはかるため、時間階調方式や面積階調方式などを組み合わせることが好適である。
【0091】
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることが出来る。
【実施例3】
【0092】
本発明の表示装置を具備する電子機器として、テレビ受像器、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図6〜図11に示す。
【0093】
図6は表示パネル5001と、回路基板5011を組み合わせたテレビモジュールを示している。回路基板5011には、コントロール回路5012や信号分割回路5013、補正回路等が形成されており、接続配線5014によって表示パネル5001と電気的に接続されている。
【0094】
この表示パネル5001には、複数の画素が設けられた画素部5002と、モニタ素子部5005、走査線駆動回路5003、信号線駆動回路5004を備えている。なお、モジュールを作製する場合は上記実施例を用いて画素部5002の画素を構成する表示装置を作製すればよい。また、走査線駆動回路5003を含む機能回路は、上記実施例により形成されたTFTを用いて作製しても良いし、外部回路として設けても良い。
【0095】
図7は、図6に示したテレビモジュールの主要な構成を示すブロック図である。チューナ5101は映像信号と音声信号を受信する。映像信号は、映像信号増幅回路5102と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路5103と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路5012により処理される。コントロール回路5012は、走査線と信号線を駆動するための周辺回路にそれぞれ信号を出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路5013を設け、入力デジタル信号を複数の信号に分割して供給する構成としても良い。
【0096】
チューナ5101で受信した信号のうち、音声信号は音声信号増幅回路5105に送られ、その出力は音声信号処理回路5106を経てスピーカー5107に供給される。制御回路5108は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部5109から受け、チューナ5101や音声信号処理回路5106に信号を送出する。
【0097】
補正回路5006は、表示パネル5001の画素部近辺に設けたモニタ素子部の特性変化に合わせ、画素部の発光素子を駆動するための電流供給線の電位を制御する。
【0098】
図8(A)に示すように、テレビモジュールを筐体5201に組みこんで、テレビ受像機を完成させることができる。テレビモジュールにより、表示画面5202が形成される。また、スピーカー5203、操作スイッチ5204などが適宜備えられている。
【0099】
また図8(B)に、ワイヤレスでディスプレイのみを持ち運び可能なテレビ受像器を示す。筐体5212にはバッテリー及び信号受信器が内蔵されており、そのバッテリーで表示部5213やスピーカー部5217を駆動させる。バッテリーは充電器5210で繰り返し充電が可能となっている。また、充電器5210は映像信号を送受信することが可能で、その映像信号をディスプレイの信号受信器に送信することができる。筐体5212は操作キー5216によって制御する。また、図8(B)に示す装置は、操作キー5216を操作することによって、筐体5212から充電器5210に信号を送ることも可能であるため映像音声双方向通信装置とも言える。また、操作キー5216を操作することによって、筐体5212から充電器5210に信号を送り、さらに充電器5210が送信できる信号を他の電子機器に受信させることによって、他の電子機器の通信制御も可能であり、汎用遠隔制御装置とも言える。本発明は表示部5213に適用することができる。
【0100】
本発明の表示装置を図6〜図8に示すテレビ受像器に使用することにより、画素部を構成する発光素子に劣化や温度変化による特性変化が生じた場合においても、補正回路によって電流供給線の電位を補正することで、輝度ムラのない良好な表示を実現することが出来る。
【0101】
勿論、本発明はテレビ受像機に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することが出来る。
【0102】
図9(A)は表示パネル5301とプリント配線基板5302を組み合わせたモジュールを示している。表示パネル5301は、複数の画素が設けられた画素部5303と、モニタ素子部5305と、第1の走査線駆動回路5304、信号線駆動回路5306を備えている。
【0103】
プリント配線基板5302には、コントローラ5307、中央処理装置(CPU)5308、メモリ5309、電源回路5310、補正回路5329、音声処理回路5311及び送受信回路5312などが備えられている。プリント配線基板5302と表示パネル5301は、フレキシブル配線基板5313(FPC)により接続されている。プリント配線基板5302には、容量素子、バッファ回路などを設け、電源電圧や信号にノイズがのったり、信号の立ち上がりが鈍ったりすることを防ぐ構成としても良い。また、コントローラ5307、音声処理回路5311、メモリ5309、CPU5308、電源回路5310、補正回路5329などは、COG(Chip On Glass)方式を用いて表示パネル5301に実装することもできる。COG方式により、プリント配線基板5302の規模を縮小することができる。
【0104】
プリント配線基板5302に備えられたインターフェース部5314(I/F)を介して、各種制御信号の入出力が行われる。また、アンテナとの間の信号の送受信を行うためのアンテナ用ポート5315が、プリント配線基板5302に設けられている。
【0105】
図9(B)は、図9(A)に示したモジュールのブロック図を示す。このモジュールは、メモリ5309としてVRAM5316、DRAM5317、フラッシュメモリ5318などが含まれている。VRAM5316にはパネルに表示する画像のデータが、DRAM5317には画像データまたは音声データが、フラッシュメモリには各種プログラムが記憶されている。
【0106】
電源回路5310は、表示パネル5301、コントローラ5307、CPU5308、音声処理回路5311、メモリ5309、送受信回路5312を動作させる電力を供給する。またパネルの仕様によっては、電源回路5310に電流源が備えられている場合もある。
【0107】
CPU5308は、制御信号生成回路5320、デコーダ5321、レジスタ5322、演算回路5323、RAM5324、CPU5308用のインターフェース5319などを有している。インターフェース5319を介してCPU5308に入力された各種信号は、一旦レジスタ5322に保持された後、演算回路5323、デコーダ5321などに入力される。演算回路5323では、入力された信号に基づき演算を行い、各種命令を送る場所を指定する。一方デコーダ5321に入力された信号はデコードされ、制御信号生成回路5320に入力される。制御信号生成回路5320は入力された信号に基づき、各種命令を含む信号を生成し、演算回路5323において指定された場所、具体的にはメモリ5309、送受信回路5312、音声処理回路5311、コントローラ5307などに送る。
【0108】
メモリ5309、送受信回路5312、音声処理回路5311、コントローラ5307は、それぞれ受けた命令に従って動作する。以下その動作について簡単に説明する。
【0109】
入力手段5325から入力された信号は、インターフェース部5314を介してプリント配線基板5302に実装されたCPU5308に送られる。制御信号生成回路5320は、ポインティングデバイスやキーボードなどの入力手段5325から送られてきた信号に従い、VRAM5316に格納してある画像データを所定のフォーマットに変換し、コントローラ5307に送付する。
【0110】
コントローラ5307は、パネルの仕様に合わせてCPU5308から送られてきた画像データを含む信号にデータ処理を施し、表示パネル5301に供給する。またコントローラ5307は、電源回路5310から入力された電源電圧やCPU5308から入力された各種信号をもとに、Hsync信号、Vsync信号、クロック信号CLK、交流電圧(AC Cont)、切り替え信号L/Rを生成し、表示パネル5301に供給する。
【0111】
送受信回路5312では、アンテナ5328において電波として送受信される信号が処理されており、具体的にはアイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路を含んでいる。送受信回路5312において送受信される信号のうち音声情報を含む信号が、CPU5308からの命令に従って、音声処理回路5311に送られる。
【0112】
CPU5308の命令に従って送られてきた音声情報を含む信号は、音声処理回路5311において音声信号に復調され、スピーカー5327に送られる。またマイク5326から送られてきた音声信号は、音声処理回路5311において変調され、CPU5308からの命令に従って、送受信回路5312に送られる。
【0113】
コントローラ5307、CPU5308、電源回路5310、音声処理回路5311、メモリ5309を、本実施例のパッケージとして実装することができる。本実施例は、アイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路以外であれば、どのような回路にも応用することが出来る。
【0114】
図10は、図9に示したモジュールを含む携帯電話機の一態様を示している。表示パネル5301はハウジング5330に脱着自在に組み込まれる。ハウジング5330は表示パネル5301のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。表示パネル5301を固定したハウジング5330はプリント基板5331に嵌着されモジュールとして組み立てられる。
【0115】
表示パネル5301はフレキシブル配線基板5313を介してプリント基板5331に接続される。プリント基板5331には、スピーカー5332、マイクロフォン5333、送受信回路5334、CPU及びコントローラなどを含む信号処理回路5335が形成されている。このようなモジュールと、入力手段5336、バッテリー5337、アンテナ5340を組み合わせ、筐体5339に収納する。表示パネル5301の画素部は筐体5339に形成された開口窓から視認できように配置する。
【0116】
本実施例に係る携帯電話機は、その機能や用途に応じてさまざまな態様に変容し得る。例えば、表示パネルを複数備えたり、筐体を適宜複数に分割して蝶番により開閉式とした構成としてもよい。
【0117】
図10の携帯電話機において、表示パネル5301は実施の形態1で説明したものと同様の半導体装置をマトリクス状に配列して構成されている。当該半導体装置は、画素内において駆動トランジスタのゲート電極に印加されるオンとオフの電位と、データ線の振幅の電位とを別に設定することができる。従って、データ線の振幅は低振幅に設定することが可能となり、消費電力を大幅に抑えた半導体装置を提供することが可能となるという特徴を有している。その半導体装置で構成される表示パネル5301も同様の特徴を有するため、この携帯電話機は大幅な低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話機において、電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体5339の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話機は、低消費電力、小型軽量化が図られているので、それにより携帯性の向上した製品を顧客に提供することができる。
【0118】
図11(A)はテレビ装置であり、筐体6001、支持台6002、表示部6003などによって構成されている。このテレビ装置において、表示部6003は実施の形態1で説明したものと同様の表示装置を用いて構成されている。当該表示装置は、使用環境の違いによる周辺温度の変化、使用時間の経過等に伴う発光素子の特性変化に合わせ、発光素子を駆動する電源の電位に補正を加えることにより、輝度ムラの無い均一な表示を提供出来るという特徴を有している。このような特徴により、テレビ装置においては十分な商品のライフサイクルを実現し、様々な使用環境に適合した製品を顧客に提供することが出来る。
【0119】
図11(B)はコンピュータであり、本体6101、筐体6102、表示部6103、キーボード6104、外部接続ポート6105、ポインティングマウス6106等を含む。このコンピュータにおいて、表示部6103は実施の形態1で説明したものと同様の表示装置を用いて構成されている。当該表示装置は、使用環境の違いによる周辺温度の変化、使用時間の経過等に伴う発光素子の特性変化に合わせ、発光素子を駆動する電源の電位に補正を加えることにより、輝度ムラの無い均一な表示を提供出来るという特徴を有している。このような特徴により、本発明に係るコンピュータにおいては、エンドユーザの要求に耐えうる十分な高画質と、十分な商品のライフサイクルを実現し、様々な使用環境に適合した製品を顧客に提供することが出来る。
【0120】
図11(C)は携帯可能なコンピュータであり、本体6201、表示部6202、スイッチ6203、操作キー6204、赤外線ポート6205等を含む。この携帯可能なコンピュータにおいて、表示部6202は実施の形態1で説明したものと同様の表示装置を用いて構成されている。当該表示装置は、使用環境の違いによる周辺温度の変化、使用時間の経過等に伴う発光素子の特性変化に合わせ、発光素子を駆動する電源の電位に補正を加えることにより、輝度ムラの無い均一な表示を提供出来るという特徴を有している。このような特徴により、携帯可能なコンピュータにおいては十分な商品のライフサイクルを実現し、様々な使用環境に適合した製品を顧客に提供することが出来る。
【0121】
図11(D)は携帯型のゲーム機であり、筐体6301、表示部6302、スピーカー部6303、操作キー6304、記録媒体挿入部6305等を含む。この携帯型のゲーム機において、表示部6302は実施の形態1で説明したものと同様の表示装置を用いて構成されている。当該表示装置は、使用環境の違いによる周辺温度の変化、使用時間の経過等に伴う発光素子の特性変化に合わせ、発光素子を駆動する電源の電位に補正を加えることにより、輝度ムラの無い均一な表示を提供出来るという特徴を有している。このような特徴により、携帯型のゲーム機においては、エンドユーザの要求に耐えうる十分な高画質と、十分な商品のライフサイクルを実現し、様々な使用環境に適合した製品を顧客に提供することが出来る。
【0122】
図11(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体6401、筐体6402、表示部A6403、表示部B6404、記録媒体(DVD等)読込部6405、操作キー6406、スピーカー部6407等を含む。表示部A6403は主として画像情報を表示し、表示部B6404は主として文字情報を表示する。この画像再生装置において、表示部A6403、表示部B6404は実施の形態1で説明したものと同様の表示装置を用いて構成されている。当該表示装置は、使用環境の違いによる周辺温度の変化、使用時間の経過等に伴う発光素子の特性変化に合わせ、発光素子を駆動する電源の電位に補正を加えることにより、輝度ムラの無い均一な表示を提供出来るという特徴を有している。このような特徴により、画像再生装置においては、エンドユーザの要求に耐えうる十分な高画質と、十分な商品のライフサイクルを実現し、様々な使用環境に適合した製品を顧客に提供することが出来る。
【0123】
これらの電子機器に使われる表示装置は、大きさや強度、または使用目的に応じて、ガラス基板だけでなく耐熱性のプラスチック基板を用いることも可能である。それによってよりいっそうの軽量化を図ることができる。
【0124】
なお、本実施例に示した例はごく一例であり、これらの用途に限定するものではないことを付記する。
【0125】
また本実施例は、上記実施の形態及び上記実施例のいかなる記載とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の一実施形態を示す図。
【図2】従来の表示装置の全体および断面を示す図。
【図3】本発明の一実施形態を示す図。
【図4】本発明の実施例(製造工程)を示す図。
【図5】本発明の実施例(モニタ素子を用いた補正手段)を示す図。
【図6】本発明の表示装置が適用可能な電子機器の構成例を示す図。
【図7】本発明の表示装置が適用可能な電子機器の構成例を示す図。
【図8】本発明の表示装置が適用可能な電子機器の構成例を示す図。
【図9】本発明の表示装置が適用可能な電子機器の構成例を示す図。
【図10】本発明の表示装置が適用可能な電子機器の構成例を示す図。
【図11】本発明の表示装置が適用可能な電子機器の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0127】
10 点線枠
11 点線枠
20 点線枠
21 点線枠
22 点線枠
50 点線枠
51 点線枠
101 TFT
102 モニタ素子
111 TFT
112 発光素子
121 遮光層
122 画素電極
123 発光層
124 対向電極
124a 透光性を有する材料で形成される膜
124b 遮光層
125 層間膜
126 隔壁
127 配線
128 配線
150 基板
151 下地膜
152 ゲート絶縁膜
200 周辺回路
201 TFT
202 TFT
210 モニタ素子部
211 TFT
212 モニタ素子
213 画素電極
214 発光層
215 対向電極
216 遮光層
220 画素部
221 TFT
222 発光素子
223 画素電極
224 発光層
225 対向電極
231 透光性のある材料で形成される膜
232 遮光性を有する材料で形成される膜
235 対向電極
250 基板
251 下地膜
290 端子
291 矢印
301 TFT
302 点線枠
311 遮光層
312 層間膜
313 配線パターン
314 画素電極
315 隔壁
316 発光層
317 対向電極
401 基板
402 下地膜
403 島状の半導体膜
404 絶縁膜
405 導電膜
406 遮光層
407 TFT
408 層間膜
409 導電膜
410 画素電極
411 発光層
412 対向電極
413 導電膜
501 電流供給線
502 対向電極
503 駆動用のTFT
504 発光素子
505 周辺回路
506 第1のモニタ電源線
507 第2のモニタ電源線
508 モニタ用電流源
509 画素部
510 モニタ素子部
513 駆動用のTFT
514 モニタ素子
520 サンプリング回路
5001 表示パネル
5002 画素部
5003 走査線駆動回路
5004 信号線駆動回路
5005 モニタ素子部
5006 補正回路
5011 回路基板
5012 コントロール回路
5013 信号分割回路
5014 接続配線
5101 チューナ
5102 映像信号増幅回路
5103 映像信号処理回路
5105 音声信号増幅回路
5106 音声信号処理回路
5107 スピーカー
5108 制御回路
5109 入力部
5201 筐体
5202 表示画面
5203 スピーカー
5204 操作スイッチ
5210 充電器
5212 筐体
5213 表示部
5216 操作キー
5217 スピーカー部
5301 表示パネル
5302 プリント配線基板
5303 画素部
5304 第1の走査線駆動回路
5305 モニタ素子部
5306 信号線駆動回路
5307 コントローラ
5308 CPU
5309 メモリ
5310 電源回路
5311 音声処理回路
5312 送受信回路
5313 フレキシブル配線基板
5314 インターフェース部
5315 アンテナ用ポート
5316 VRAM
5317 DRAM
5318 フラッシュメモリ
5319 インターフェース
5320 制御信号生成回路
5321 デコーダ
5322 レジスタ
5323 演算回路
5324 RAM
5325 入力手段
5326 マイク
5327 スピーカー
5328 アンテナ
5329 補正回路
5330 ハウジング
5331 プリント基板
5332 スピーカー
5333 マイクロフォン
5334 送受信回路
5335 信号処理回路
5336 入力手段
5337 バッテリー
5339 筐体
5340 アンテナ
6001 筐体
6002 支持台
6003 表示部
6101 本体
6102 筐体
6103 表示部
6104 キーボード
6105 外部接続ポート
6106 ポインティングマウス
6201 本体
6202 表示部
6203 スイッチ
6204 操作キー
6205 赤外線ポート
6301 筐体
6302 表示部
6303 スピーカー部
6304 操作キー
6305 記録媒体挿入部
6401 本体
6402 筐体
6403 表示部A
6404 表示部B
6405 記録媒体(DVD等)読込部
6406 操作キー
6407 スピーカー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に発光層を有する発光素子を複数個備えた表示装置であって、
単一層又は複数の層で形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された第1の発光素子と、
前記絶縁層の下層側に選択的に形成された遮光層と、
前記単一層又は複数の層で形成された絶縁層の内、少なくとも一の層を選択的に除去することによって形成された開口部と重畳して設けられた第2の発光素子とを有し、
前記第2の発光素子の一方の電極が前記開口部の底部に配置され、
前記第2の発光素子の他方の電極は、反射性若しくは遮光性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
透光性を有する第1の電極と、発光層と、反射性若しくは遮光性を有する第2の電極とが順に積層された発光素子を複数個備えた表示装置であって、
単一層又は複数の層で形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された第1の発光素子と、
前記絶縁層の下層側に選択的に形成された遮光層と、
前記単一層又は複数の層で形成された絶縁層の内、少なくとも一の層を選択的に除去することによって形成された開口部と重畳して設けられた第2の発光素子とを有し、
前記第2の発光素子の第1の電極は前記開口部の底部で前記遮光層と重なるように配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
反射性若しくは遮光性を有する第1の電極と、発光層と、透光性を有する第2の電極とが順に積層された発光素子を複数個備えた表示装置であって、
単一層又は複数の層で形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された第1の発光素子と、
前記単一層又は複数の層で形成された絶縁層の内、少なくとも一の層を選択的に除去することによって形成された開口部と重畳して設けられた第2の発光素子とを有し、
前記第2の発光素子の第1の電極は前記開口部の底部に配置され、
前記第2の発光素子の第2の電極上に遮光層が形成されることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記絶縁層に形成された開口部の周縁部は、反射性若しくは遮光性を有する膜で被覆されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第2の発光素子は、補正回路と電気的に接続され、
前記補正回路は、前記第1の発光素子と電気的に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
遮光層を選択的に形成し、
前記遮光層上に単層あるいは複層でなる絶縁層を形成し、
前記遮光層に重畳する部分の前記絶縁層を除去して開口部を形成し、
前記絶縁層上に第1の電極、及び前記開口部の前記遮光層と重畳する部分に第2の電極をそれぞれ形成し、
前記第1の電極上に第1の発光層、及び前記第2の電極上に第2の発光層をそれぞれ形成し、
前記第1の発光層及び前記第2の発光層上に、反射性若しくは遮光性を有する第3の電極及び第4の電極をそれぞれ形成することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項7】
遮光層を選択的に形成し、
前記遮光層上に単層あるいは複層でなる絶縁層を形成し、
前記遮光層に重畳する部分の前記絶縁層を除去して開口部を形成し、
前記開口部の周縁部を反射性若しくは遮光性を有する膜で被覆し、
前記絶縁層上に第1の電極、及び前記開口部の前記遮光層に重畳し、かつ前記膜の端部を覆うように第2の電極をそれぞれ形成し、
前記第1の電極上に第1の発光層、及び前記第2の電極上に第2の発光層をそれぞれ形成し、
前記第1の発光層及び前記第2の発光層上に、反射性若しくは遮光性を有する第3の電極及び第4の電極をそれぞれ形成することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項8】
単層あるいは複層でなる絶縁層を形成し、
前記絶縁層を除去して開口部を形成し、
前記絶縁層上及び前記開口部に、反射性若しくは遮光性を有する第1の電極及び第2の電極をそれぞれ形成し、
前記第1の電極上に第1の発光層、及び前記第2の電極上に第2の発光層をそれぞれ形成し、
前記第1の発光層上に第3の電極、及び前記第2の発光層上に第4の電極をそれぞれ形成し、
第4の電極上に遮光層を形成することを特徴とする表示装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−208238(P2007−208238A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340706(P2006−340706)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】