説明

表示装置およびテレビジョン

【課題】画面における焼き付きを的確に防止する。
【解決手段】画面における焼き付きを防止可能な表示装置において、連続して入力される異なるフレームの画像情報を用いて画素単位で3次元ノイズ除去を実行可能な3次元ノイズ除去部と、上記画面の画素毎に、上記3次元ノイズ除去部によるノイズ除去の対象となった回数をカウントするカウント部と、上記画面の領域のうち上記カウント部によるカウント結果が所定のしきい値に達した画素を含む領域に対して、所定の画像をOSD機能により重畳して表示するOSD部と、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびテレビジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビジョンにおいて静止画が表示され続けることによる画面の焼き付きを防止するための技術が知られている(特許文献1〜5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004‐228843号公報
【特許文献2】特開2006‐53523号公報
【特許文献3】特許第4092590号公報
【特許文献4】特開平7‐225571号公報
【特許文献5】特開2006‐18130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
焼き付きの原因となる静止画等は、画面内の一部分に表示される。従って、画面内において焼き付きの原因となる部分的な領域を効率的に検出し、かかる領域における焼き付きを的確に防止することが望まれていた。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、画面における焼き付きを的確に防止することが可能な表示装置およびテレビジョンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の一つは、画面における焼き付きを防止可能な表示装置において、連続して入力される異なるフレームの画像情報を用いて画素単位で3次元ノイズ除去を実行可能な3次元ノイズ除去部と、上記画面の画素毎に、上記3次元ノイズ除去部によるノイズ除去の対象となった回数をカウントするカウント部と、上記画面の領域のうち上記カウント部によるカウント結果が所定のしきい値に達した画素を含む領域に対して、所定の画像をOSD機能により重畳して表示するOSD部と、を備える構成としてある。
【0007】
当該構成によれば、画素毎の3次元ノイズ除去部によるノイズ除去の対象となった回数(カウント結果)に基づいて、画面内において画像の変化が乏しい領域を特定することができる。そのため、かかる領域に対して所定の画像をOSD機能により重畳して表示することにより、画像の変化が乏しい領域、すなわち画面への焼き付きが生じやすい領域において焼き付きを適切に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】画面に表示されるフレームを例示する図である。
【図3】OSD表示処理を示すフローチャートである。
【図4】画面にOSD表示される様子を例示する図である。
【図5】画面にOSD表示される様子を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態として、上記所定の画像は、複数の色を含む画像であるとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、上記OSD部は、上記画面の領域のうち上記カウント結果が所定のしきい値に達した画素のみからなる領域に対して、上記所定の画像を表示するとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、テレビ画面における焼き付きを防止可能なテレビジョンにおいて、映像信号としてのフレームを一時保存するための第一フレームメモリと、入力されたフレームを上記第一フレームメモリに一時保存し、当該一時保存したフレームと次に入力されたフレームとの画像情報を用いて画素単位で3次元ノイズ除去を実行可能な3次元ノイズ除去回路と、上記3次元ノイズ除去回路によってノイズ除去の対象となった回数を示すカウント値を、上記画面の画素毎に記録する第二フレームメモリと、上記フレームに対応する映像が上記画面に表示される際に、OSD機能により複数の色を含む所定の画像を上記画面の所定の端位置から当該端位置と対角線上に位置する他の端位置までジグザグの経路に沿って移動させながら重畳表示する過程で、上記画面の領域のうち上記第二フレームメモリに記録されたカウント値が所定のしきい値に達した画素のみからなる領域に対して、当該所定の画像を表示させるOSD回路と、を備える構成としてもよい。
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態にかかる表示装置10の概略構成を示している。表示装置10は、例えばテレビジョンである。表示装置10は、制御部としてのマイクロコンピュータ11、チューナ回路12、映像処理回路13、3次元ノイズ除去(3-D noise reduction、以下、3DNR)回路14、第一フレームメモリ15、第二フレームメモリ16、OSD(On Screen Display)回路17、パネル駆動回路18、表示パネル19などを備える。表示パネル19は、例えば液晶パネルである。ただし、表示パネル19としては、プラズマディスプレイパネルや、有機ELパネルなど、種々のパネルを採用可能である。
【0011】
マイクロコンピュータ11は、表示装置10を構成する各部とバスを介して接続しており、CPU11a、RAM11b、ROM11cを備え、CPU11aがRAM11bをワークエリアとしつつROM11cに記憶された所定のプログラムに従った処理を実行し、表示装置10全体を制御する。チューナ回路12は、マイクロコンピュータ11による制御によりアンテナを介して放送信号を受信し、映像処理回路13は、放送信号からの映像の復調、画質調整、スケーリング処理などを行なって表示パネル19の一画面分の映像信号(フレーム)を生成し、3DNR回路14へ出力する。3DNR回路14は、順次入力するフレームを第一フレームメモリ15に一時的に格納しつつ、3DNRを実行し、ノイズ除去を行なったフレームを後段のOSD回路17に出力する。
【0012】
3DNRとは、連続して入力される異なるフレーム(時間差のあるフレーム)の画像情報を用いて画素単位でノイズ除去を行なう処理である。より具体的には、3DNR回路14は、例えば、第一フレームメモリ15に一時保存したフレーム(第一フレーム)と、次に入力したフレーム(第二フレーム)とを比較し、位置が一致する画素間で画素値(RGB信号や輝度値)の平均を算出する。そして、かかる平均値と、現在処理対象としているフレーム(例えば第一フレーム)の画素値とを、画素位置が一致するもの同士で比較し、その差異(絶対値)が所定のしきい値以下である画素、つまり時間軸に沿った変化が少ない(あるいは、本来映像は変化していないが微量のノイズが乗っているために多少変化している)画素について、その画素値を、その画素が対応する位置の上記平均値に置き換える。つまり、フレーム内の映像のうち、もともと時間軸方向における変化の乏しい領域(人物の背景領域や、放送局のロゴマーク、画面の上下あるいは左右に表示される黒帯画像、画面の隅に表示される時刻表示などの静止画部分)に対して、3DNRが有効に働き(3DNRが実行され)時間軸方向に映像が平均化されてノイズが低減される。一方、フレーム内の映像のうち、時間軸方向における変化が大きい領域に対しては3DNRは施されない。
【0013】
OSD回路17は、文字やマークなどの所定の画像(静止画像)を生成し、当該所定の画像を3DNR回路14から出力されたフレームに重畳した上で当該フレームをパネル駆動回路18に出力することにより、当該所定の画像を表示パネル19にOSD表示させることが可能である。パネル駆動回路18は、OSD回路17を経て供給されたフレームに基づいて表示パネル19を駆動させ、フレーム(およびOSDデータとしての上記所定の画像)に基づく映像を表示パネル19に表示させる。表示装置10を構成する上記各部、例えば、3DNR回路14、第一フレームメモリ15、第二フレームメモリ16、OSD回路17などは、一つの集積回路(LSI)として構成されていてもよい。むろん表示装置10は、図1に示す構成以外にも、電源回路や、音声処理回路や、スピーカや、液晶パネルのバックライト等、テレビジョンとして機能するために必要とされる公知の各種構成を備えることが可能である。また本発明にかかる表示装置は、画像表示機能を備えるものであればよく、必ずしもテレビジョンである必要はない。
【0014】
さらに本実施形態では、3DNR回路14は、順次入力される各フレームについて上述したように3DNRを行なうのと並行して、表示パネル19の画素毎に3DNRの実行対象となった回数(カウント値)を第二フレームメモリ16に逐一記録していく。
【0015】
図2は、表示パネル19の画面へ表示される映像を構成する一つのフレーム(映像I)を例示している。映像Iは、画面内中央は動画領域であり動く人物Pを含んでおり、画面内の左右は静止画領域であり一定幅の黒帯画像BBと放送局のロゴマークMとを含んでいる。このような映像Iについては、3DNR回路14は、少なくとも黒帯画像BBやロゴマークMにかかる領域を構成する各画素に対し3DNRを実行することになるため、黒帯画像BBやロゴマークMにかかる領域を構成する画素それぞれについて第二フレームメモリ16に記録されているカウント値を1つ増加させる。すなわち3DNR回路14は、一つのフレームを処理する度に、各画素について3DNRの実行対象としたか否か判定し、3DNRの対象とした画素については、その画素に対応して第二フレームメモリ16に記録してあるカウント値の数値を一つインクリメントする。このようにカウント値を第二フレームメモリに記録する点で、3DNR回路14はカウント部としての機能も果たす。
【0016】
図3は、マイクロコンピュータ11による制御下で実現される焼き付き防止のためのOSD表示処理をフローチャートにより示している。当該処理は、表示装置10の電源がオンである状況下で実行される。ただし表示装置10では、外部(ユーザ)による設定に従って、当該OSD表示処理を有効化するモードと、無効化にするモードとを選択可能とし、マイクロコンピュータ11は、当該有効化するモードが選択された場合に当該OSD表示処理を実現するとしてもよい。
【0017】
ステップS100では、マイクロコンピュータ11は、そのとき第二フレームメモリ16において画素毎に記録されているカウント値を読み出し、所定のしきい値THに達するカウント値が存在するか否か判定する。しきい値THの数値は特に限定されないが、例えば“3600”といった数値を採用できる。3600という数値は、これをフレーム数とすると2分程度の時間を意味する。つまり、しきい値TH=3600とした場合、カウント値がしきい値THに達している画素とは、2分程度映像が変化しなかった(映像の変化が殆ど無かった)画素を意味し、ステップS100ではそのような画素の有無を判定していることになる。
【0018】
ステップS100において、しきい値THに達するカウント値が存在しないと判定した場合には、ステップS100を繰り返し、一方、しきい値THに達するカウント値が存在すると判定した場合には、ステップS110に進む。
ステップS110では、マイクロコンピュータ11は、OSD回路17に指示を送り、表示パネル19の画面の領域のうちカウント値が上記しきい値THに達している画素を少なくとも含む領域を対象として所定の画像PIを重畳してOSD表示するように、OSD回路17を制御する。
【0019】
図4は、ステップS110において上記指示を受けたOSD回路17の機能により表示パネル19の画面に上記画像PIが表示される様子を例示している。画像PIは、フレームに対応する映像(例えば、上記映像I)に重畳されて表示される。OSD回路17は、図4に示すように、画面の所定の端位置(左上位置:スタート地点)から、当該端位置と対角線上に位置する他の端位置(右下位置:ゴール地点)までジグザグの経路に沿って画像PIを移動(走査)させながら、画像PIをフレームの映像上に重ねて表示させる。ただしこの場合、画面内の全領域にわたって画像PIを順次表示するのではなく、あくまで画面の領域のうち、カウント値が上記しきい値THに達している画素のみからなる領域に対し、画像PIを重畳表示する。
【0020】
従って、図5に示すように、画像PIが動きのある映像領域(例えば人物P)に一部重なる位置に移動したときには、動きのある映像領域(カウント値がしきい値THに達していない画素で構成された領域)は除外して画像PI(の一部)が表示される。なお、画像PIのデザイン、形、大きさは種々のものが採用可能であるが、本実施形態では、画面上の焼き付きを防止する観点から、画像PIは複数の色を含む画像としている。OSD回路17は、例えば数十秒かけて画像PIをスタート地点からゴール地点まで移動させ、ゴール地点まで移動させたら画像PIの表示を消す。
【0021】
このようにOSD回路17が画像PIをゴール地点まで移動させ画像PIの表示を終えたら、ステップS120では、マイクロコンピュータ11は、画像PIの表示が終了してから所定時間が経過したか否か判定する。ここで言う所定時間とは、数十分、あるいは数時間といった長さであり、本実施形態では一例として40分程度としている。ステップS120では、所定時間が経過するまで当該判定を繰り返し、所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS130に進む。
【0022】
ステップS130では、マイクロコンピュータ11は、第二フレームメモリ16に記録されている画素毎のカウント値を全て初期化し、全てのカウント値を“0”とし、その上で、ステップS100に戻る。従って、第二フレームメモリ16のカウント値が初期化された後、順次入力される各フレームに対する3DNR回路14による処理の過程で第二フレームメモリ16に画素毎に記録されるカウント値が0から再び増加し、しきい値THに達するカウント値が存在するようになった場合に、再びステップS110以降の処理が行なわれる。
【0023】
このように本実施形態によれば、表示装置10は、3DNR回路14を搭載し、画素毎に、3DNR回路14によるノイズ除去の実行対象となった回数を示すカウント値を第二フレームメモリ16に記録するようにし、第二フレームメモリ16に記録されたある画素のカウント値が所定のしきい値THに達した場合に、カウント値がしきい値THに達した画素領域を対象として焼き付き防止のためのOSD表示を行なうようにした。つまり、第二フレームメモリ16に記録されたカウント値が多い領域があれば、その領域は静止画等の変化に乏しい映像がある程度の期間にわたって表示されており、焼き付きのおそれがあると言えるため、そのような領域に的を絞って上記画像PIをOSD表示させることで、焼き付きの発生を抑制している。このように本実施形態によれば、簡易な回路構成により、画面上に部分的に発生し得る焼き付きを的確に防止することができる。
【符号の説明】
【0024】
10…表示装置、11…マイクロコンピュータ、14…3DNR回路、15…第一フレームメモリ、16…第二フレームメモリ、17…OSD回路、19…表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面における焼き付きを防止可能な表示装置において、
連続して入力される異なるフレームの画像情報を用いて画素単位で3次元ノイズ除去を実行可能な3次元ノイズ除去部と、
上記画面の画素毎に、上記3次元ノイズ除去部によるノイズ除去の対象となった回数をカウントするカウント部と、
上記画面の領域のうち上記カウント部によるカウント結果が所定のしきい値に達した画素を含む領域に対して、所定の画像をOSD機能により重畳して表示するOSD部と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記所定の画像は、複数の色を含む画像であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記OSD部は、上記画面の領域のうち上記カウント結果が所定のしきい値に達した画素のみからなる領域に対して、上記所定の画像を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
テレビ画面における焼き付きを防止可能なテレビジョンにおいて、
映像信号としてのフレームを一時保存するための第一フレームメモリと、
入力されたフレームを上記第一フレームメモリに一時保存し、当該一時保存したフレームと次に入力されたフレームとの画像情報を用いて画素単位で3次元ノイズ除去を実行可能な3次元ノイズ除去回路と、
上記3次元ノイズ除去回路によってノイズ除去の対象となった回数を示すカウント値を、上記画面の画素毎に記録する第二フレームメモリと、
上記フレームに対応する映像が上記画面に表示される際に、OSD機能により複数の色を含む所定の画像を上記画面の所定の端位置から当該端位置と対角線上に位置する他の端位置までジグザグの経路に沿って移動させながら重畳表示する過程で、上記画面の領域のうち上記第二フレームメモリに記録されたカウント値が所定のしきい値に達した画素のみからなる領域に対して、当該所定の画像を表示させるOSD回路と、を備えることを特徴とするテレビジョン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−44472(P2012−44472A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184303(P2010−184303)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】