説明

表示装置および方法、並びにプログラム

【課題】より簡単な構成で、ユーザに対してより現実に近い操作感を与える。
【解決手段】表示部122は、所定のオブジェクトを表示し、入力部121は、ユーザに接触される平面を有し、ユーザによる操作を受け付け、押圧検出部151は、移動検出部152は、入力部121に対するユーザによる操作のうち、ユーザの体の一部の、平面上における移動を検出し、入力部121に対するユーザによる操作のうち、ユーザの体の一部による、平面に対する押圧を検出し、押圧検出部151によって検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、移動検出部152によって検出された移動に対応した方向へオブジェクトを移動するよう、表示部122の表示を制御する。本発明は、例えば、タッチパネルを有する電子機器に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、ユーザに、現実に近い操作感を与えるようにする表示装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ等においては、入力装置としてのマウスを用いて、ディスプレイに表示されるカーソル(ポインタ)やアイコン等を移動させることが一般的であった。しかしながら、薄型の、ノート型のパーソナルコンピュータ等の普及に伴い、入力装置として、タッチパッドが用いられるようになった。
【0003】
タッチパッドにおいては、その平面上のどの位置にユーザの指が接触しているかが検出され、その平面上での指の移動量に応じて、ディスプレイに表示されるカーソルやアイコン等の移動量が決定される。
【0004】
また、他の入力装置として、表示装置とタッチパッドを組み合わせたタッチパネルがある。タッチパネルにおいては、画像が表示された画面にユーザの指が接触することで、ユーザの操作が入力される。
【0005】
例えば、タッチパネルに表示された紙の画像の上で、ユーザの指が所定の速さよりゆっくりずらされたときに、ユーザの指に追随して紙がめくれていく画像を表示するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−70416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成において、紙がめくれていく画像は、ユーザの指の移動の速さには依存するが、ユーザの指によって画面(タッチパネル)を押圧する力には依存しない。したがって、ユーザは、その操作において、力の調節をする必要がなく、重さを感じる様な、現実に近い操作感を受けることはできない。
【0008】
また、静電気による吸着力を利用して摩擦抵抗感を変化させる技術や、表面弾性波または超音波振動子によって指との摩擦抵抗を変化させる技術を、タッチパッドの操作面に適用することで、ユーザに対して現実に近い操作感を与えるようにすることができるが、タッチパッドの操作面に複雑な機構を設ける必要がある。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特に、より簡単な構成で、ユーザに対してより現実に近い操作感を与えるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面の表示装置は、所定のオブジェクトを表示する表示手段と、ユーザに接触される平面を有し、前記ユーザによる操作を受け付ける入力手段と、前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部による、前記平面に対する押圧を検出する押圧検出手段と、前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部の、前記平面上における移動を検出する移動検出手段と、前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、前記移動検出手段によって検出された移動に対応した方向へ前記オブジェクトを移動するよう、前記表示手段の表示を制御する表示制御手段とを備える。
【0011】
前記入力手段は、前記表示手段と一体のタッチパネルとして構成され、前記押圧検出手段には、前記ユーザの体の一部による、前記タッチパネルに表示された前記オブジェクトに対する押圧を検出させ、前記移動検出手段には、前記ユーザの体の一部の、前記タッチパネルに表示された前記オブジェクト上における移動を検出させ、前記表示制御手段には、前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力が、所定の閾値より大きい場合、前記移動検出手段によって検出された移動に対応した方向への前記オブジェクトの移動を開始するよう、前記表示手段の表示を制御させることができる。
【0012】
前記表示制御手段には、前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力が、前記所定の閾値より大きい他の閾値を超えた場合、前記ユーザの体の一部の、前記タッチパネルに表示された前記オブジェクト上における移動に追従して、前記オブジェクトを移動するよう、前記表示手段の表示を制御させることができる。
【0013】
前記表示装置には、前記オブジェクトを判別するオブジェクト判別手段をさらに設け、前記所定の閾値は、前記オブジェクト判別手段によって判別された前記オブジェクト毎に設定されているようにできる。
【0014】
前記移動ゲインは、前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力に比例させるようにできる。
【0015】
前記表示手段には、前記所定のオブジェクトを指示するカーソルを表示させ、前記表示制御手段には、前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、前記移動検出手段によって検出された移動に対応した方向へ前記カーソルを移動するよう、前記表示手段の表示を制御させることができる。
【0016】
本発明の一側面の表示方法は、所定のオブジェクトを表示する表示手段と、ユーザに接触される平面を有し、前記ユーザによる操作を受け付ける入力手段とを備える表示装置の表示方法であって、前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部による、前記平面に対する押圧を検出する押圧検出ステップと、前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部の、前記平面上における移動を検出する移動検出ステップと、前記押圧検出ステップの処理によって検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、前記移動検出ステップによって検出された移動に対応した方向へ前記オブジェクトを移動するよう、前記表示手段の表示を制御する表示制御ステップとを含む。
【0017】
本発明の一側面のプログラムは、所定のオブジェクトを表示する表示手段と、ユーザに接触される平面を有し、前記ユーザによる操作を受け付ける入力手段とを備える表示装置の表示処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部による、前記平面に対する押圧を検出する押圧検出ステップと、前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部の、前記平面上における移動を検出する移動検出ステップと、前記押圧検出ステップの処理によって検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、前記移動検出ステップによって検出された移動に対応した方向へ前記オブジェクトを移動するよう、前記表示手段の表示を制御する表示制御ステップとを含む処理をコンピュータに実行させる。
【0018】
本発明の一側面においては、入力手段に対するユーザによる操作のうち、ユーザの体の一部による、平面に対する押圧が検出され、入力手段に対するユーザによる操作のうち、ユーザの体の一部の、平面上における移動が検出され、検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、検出された移動に対応した方向へオブジェクトを移動するよう、表示手段の表示が制御される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一側面によれば、より簡単な構成で、ユーザに対してより現実に近い操作感を与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した表示装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】入力部の構造の詳細について説明する図である。
【図3】図1の表示装置の機能的構成例を示すブロック図である。
【図4】図1の表示装置によるカーソル移動処理について説明するフローチャートである。
【図5】入力部への指による圧力と移動ゲインとの関係について説明する図である。
【図6】入力部への指による圧力と移動ゲインとの関係について説明する図である。
【図7】本発明を適用した表示装置の他の実施の形態の構成例を示す図である。
【図8】図7の表示装置の機能的構成例を示すブロック図である。
【図9】図7の表示装置によるオブジェクト移動処理について説明するフローチャートである。
【図10】入力部への指による圧力と移動ゲインとの関係について説明する図である。
【図11】入力部への指による圧力と移動ゲインとの関係について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[表示装置の外観構成例]
図1は、本発明を適用した表示装置の一実施の形態の外観構成例を示している。図1の表示装置11は、ノート型のパーソナルコンピュータとして構成される。表示装置11は、図1の左側に拡大されて示されているタッチパッドとして構成される入力部21、および、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro Luminescence)などの表示デバイスからなる表示部22を備えている。
【0023】
入力部21の構造の詳細については、図2を参照して後述するが、入力部21は、図1に示されるように、ユーザの体の一部としての指23に接触される平面を有し、ユーザによる操作を受け付ける。すなわち、入力部21は、その平面上に定義されたX-Y座標における指23の移動に対応した移動量を入力する。表示装置11は、入力された移動量に基づいて、表示部22における図示せぬアイコン等のオブジェクトや、そのオブジェクトを指示するカーソルKを移動させる。
【0024】
より具体的には、タッチパッドとしての入力部21は、その内部に構成される平板状のセンサと指23とからなるコンデンサが、センサ表面のどの位置に存在するかを微弱な静電容量の変化として検知することで、センサの表面をなぞった指23の軌跡が、表示部22上のカーソルKの動作に関連付けられる。
【0025】
[入力部の構造の詳細]
次に、図2を参照して、入力部21の構造の詳細について説明する。
【0026】
図2の入力部21は、圧力センサ上側電極31および圧力センサ下側電極32(以下、単に、上側電極31および下側電極32という)から構成される圧力センサを備えている。入力部21は、その表面が指23によってZ方向(X-Y座標平面の鉛直方向)へ押圧される力(圧力)を、上側電極31と下側電極32との間の静電容量の変化として検知する。なお、上側電極31または下側電極32は、それと指23とからなる上述したコンデンサのセンサとして機能するようにしてもよい。すなわち、入力部21は、その表面(X-Y座標平面)における指23の移動と、その表面の鉛直方向(Z方向)への指23による押圧とを、入力として受け付ける。
【0027】
なお、以上において、圧力センサは静電容量の変化を圧力として検知するものとしたが、これに限らず、例えば、上側電極31と下側電極32との間の抵抗値の変化を検知するもの等としてもよい。
【0028】
また、入力部21は、上述した構成に限らず、その表面における指23等のユーザの体の一部の移動と、その表面の鉛直方向へのユーザの体の一部による押圧とを、入力として受け付けられる構成であればよい。
【0029】
[表示装置の機能的構成例]
次に、図3を参照して、図1の表示装置11の機能的構成例について説明する。
【0030】
図3の表示装置11は、入力部21、表示部22、および制御部41から構成される。なお、入力部21および表示部22は、図1または図2を参照して説明した入力部21および表示部22と同一のものであるので、その説明は省略する。
【0031】
制御部41は、表示装置11の各部を制御する他、入力部21からの入力に応じて、表示部22の表示を制御する。制御部41は、押圧検出部51、移動検出部52、および表示制御部53を備えている。
【0032】
押圧検出部51は、入力部21が受け付けたユーザによる操作のうち、指23による入力部21の表面の鉛直方向(Z方向)に対する押圧を検出し、押圧された力(圧力)を表す情報(以下、単に、圧力という)を表示制御部53に供給する。
【0033】
移動検出部52は、入力部21が受け付けたユーザによる操作のうち、指23の入力部21の表面(X-Y座標平面)における移動を検出し、その移動量および方向を表す情報(以下、単に、移動量および方向という)を表示制御部53に供給する。
【0034】
表示制御部53は、押圧検出部51からの圧力と、移動検出部52からの移動量とに基づいて、表示部22におけるカーソルK(図1)の表示(動き)を制御する。
【0035】
[表示装置によるカーソル移動処理]
次に、図4を参照して、図1の表示装置11によるカーソル移動処理について説明する。なお、表示部22には、図1で説明したカーソルKが表示されているものとする。
【0036】
ステップS11において、押圧検出部51は、指23による入力部21の表面の鉛直方向(Z方向)に対する押圧を検出したか否かを判定する。
【0037】
ステップS11において、押圧を検出していないと判定された場合、すなわち、指23がタッチパッドとしての入力部21の表面に接触していない場合、押圧が検出されるまでステップS11の処理は繰り返される。
【0038】
一方、ステップS11において、押圧を検出したと判定された場合、すなわち、指23が入力部21の表面に接触し、その表面をある力で押圧している場合、押圧検出部51は、押圧された圧力を表示制御部53に供給し、処理はステップS12に進む。
【0039】
ステップS12において、移動検出部52は、入力部21が受け付けたユーザによる操作のうち、指23の入力部21の表面(X-Y座標平面)における移動を検出したか否かを判定する。
【0040】
ステップS12において、移動を検出していないと判定された場合、すなわち、指23が入力部21の表面の1点を押圧しているだけの場合、処理はステップS11に戻り、ステップS11,S12の処理が繰り返される。
【0041】
一方、ステップS12において、移動を検出したと判定された場合、すなわち、指23が入力部21の表面を押圧しながら移動した場合、移動検出部52は、指23が入力部21の表面上を移動した移動量および方向を表示制御部53に供給し、処理はステップS13に進む。
【0042】
ステップS13において、表示制御部53は、押圧検出部51からの圧力に応じた移動ゲインで、移動検出部52からの移動の方向に対応した方向にカーソルKを移動するよう、表示部22の表示を制御する。
【0043】
ここで、移動ゲインとは、入力部21の表面上での指23の移動量を入力とし、表示部22におけるカーソルKの移動量を出力としたときの、入力に対する出力の比を表している。また、移動ゲインは、入力部21の表面への指23による押圧の圧力の関数とされる。すなわち、入力部21への指23によるZ方向への押圧の圧力をPzとした場合、移動ゲインは、圧力Pzの関数G(Pz)で表わされる。
【0044】
そして、入力部21のX-Y座標平面での、指23のX方向の移動量をΔx、Y方向の移動量をΔyとした場合、それぞれに対応する、表示部22でのカーソルKのX方向の移動量mx、Y方向の移動量myは、以下の式(1)で表わされる。
【0045】
mx=G(Pz)・Δx
my=G(Pz)・Δy
・・・(1)
【0046】
ここで、図5を参照して、入力部21への指23によるZ方向への圧力Pzと移動ゲインG(Pz)(以下、単に、移動ゲインGとも表す)との関係について説明する。
【0047】
図5に示されるように、圧力Pzと移動ゲインGとは比例関係にあり、圧力Pzが大きいほど、移動ゲインGは大きくなる。したがって、図5で示した関係と式(1)によれば、圧力Pzが大きいほど、入力部21での指23の移動量に対して、表示部22におけるカーソルKの移動量が大きくなる。例えば、ユーザが、入力部21の表面上に指23で触れた状態から所定の距離だけ指23を移動させる場合、入力部21の表面を強い力で押圧しながら移動させると、表示部22におけるカーソルKの移動量は大きくなり、弱い力で押圧しながら移動させると、カーソルKの移動量は小さくなる。
【0048】
以上の処理によれば、タッチパッドとしての入力部21に対するユーザの指23による押圧の力に応じて、タッチパッド上での指23の移動量に対する表示部22のカーソルKの移動量が変化するので、ユーザに、力の入れ具合に応じて様々な操作感を与えることができる。
【0049】
以上においては、入力部21に対する操作に応じて、表示部22においてカーソルKを移動させる処理について説明してきたが、表示部22に表示される所定のオブジェクト(例えば、所定のアイコン)をカーソルKで指示して(カーソルKをオブジェクトに重ねて)、移動させる(ドラッグする)場合に、上述した処理を適用するようにしてもよい。
【0050】
すなわち、入力部21に対するユーザによる操作によって、表示部22に表示される所定のオブジェクトをドラッグする場合、ユーザが、入力部21の表面を強い力で押圧しながら指23を移動させると、表示部22におけるオブジェクトの移動量は大きくなり、弱い力で押圧しながら移動させると、オブジェクトの移動量は小さくなる。
【0051】
また、ドラッグされるオブジェクトに応じて、図5で示された圧力Pzと移動ゲインGとの関係を変化させるようにしてもよい。例えば、図6に示されるように、所定の3つのオブジェクトa,b,c毎に、圧力Pzに対する移動ゲインGを予め設定する。図6で示される関係によれば、オブジェクトaについての移動ゲインを基準とすると、同じ圧力Pzでも、オブジェクトbの移動ゲインは、オブジェクトaの移動ゲインより大きく、オブジェクトcの移動ゲインは、オブジェクトaの移動ゲインより小さくなる。
【0052】
すなわち、表示部22においてオブジェクトa,b,cそれぞれをドラッグする場合、ユーザが、入力部21の表面上に指23で触れた状態から、同一の力で、同一距離だけ指23を移動させると、オブジェクトbの移動量はオブジェクトaの移動量より大きくなり、オブジェクトcの移動量はオブジェクトaの移動量より小さくなる。
【0053】
逆に、オブジェクトa,b,cそれぞれを表示部22において同一距離移動させる(ドラッグする)場合、オブジェクトaをドラッグするときの押圧の力を基準とすると、ユーザは、オブジェクトcをドラッグするときには、入力部21の表面をより強い力で押圧しながら指23を移動させ、オブジェクトbをドラッグするときには、入力部21の表面をより弱い力で押圧しながら指23を移動させればよい。
【0054】
ここで、仮想的に、オブジェクトbに質量の小さい物体、オブジェクトcに質量の大きい物体を割り当てることで、ユーザは、質量の小さいオブジェクトbを移動させるためには弱い力で、質量の大きいオブジェクトcを移動させるためには強い力で押圧しながら指23を移動させるので、ユーザに対して、現実により近い操作感を与えることができる。また、タッチパッドとしての入力部21の表面に複雑な機構を設ける必要がないので、より簡単な構成で、上述した操作感を実現することができる。
【0055】
なお、上述した説明においては、表示部22においてドラッグされるオブジェクト毎に移動ゲイン(の傾き)が設定されるようにしたが、単にカーソルKを移動させる場合であっても、カーソルKを移動させる画像の背景に応じて、移動ゲイン(の傾き)が設定されるようにしてもよい。例えば、表示部22に表示されている壁紙が空の画像である場合は、弱い力でカーソルKが移動するように移動ゲイン(の傾き)を大きくし、表示部22に表示されている壁紙が水中の画像である場合は、強い力でカーソルKが移動するように移動ゲイン(の傾き)を小さくすることで、ユーザに対して、現実により近い操作感を与えることができる。
【0056】
また、移動ゲイン(の傾き)は予め設定されるものとしたが、ユーザによって任意に変化させるようにしてもよい。
【0057】
以上においては、タッチパッドとしての入力部21を備える表示装置11に、本発明を適用した例について説明してきたが、以下においては、タッチパネルとしての入力部を備える表示装置に、本発明を適用した例について説明する。
【0058】
<2.第2の実施の形態>
図7は、本発明を適用した表示装置の他の実施の形態の外観構成例を示している。図7の表示装置111は、例えば、タブレット型コンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)等の、いわゆるタッチパネルを有する電子機器として構成される。表示装置111は、ユーザによる操作を受け付ける入力部121、および、ユーザの操作に応じた表示を行う表示部122を備えている。
【0059】
入力部121の構造については、図2を参照して説明したタッチパッドとしての入力部21と基本的に同様であるが、図7における入力部121は、表示部122と一体のタッチパネルとして構成されている。すなわち、入力部121は、図2の入力部21のX-Y座標平面に相当するその表面における指23の移動に対応した移動量を入力する。表示装置111は、入力された移動量に基づいて、表示部122に表示されている図示せぬオブジェクトを移動させる。
【0060】
また、図7の入力部121は、図2を参照して説明した入力部21と同様の圧力センサを備えており、指23によってZ方向(図2)へ押圧される力(圧力)を検知する。すなわち、入力部121は、入力部21と同様、その表面における指23の移動と、その表面の鉛直方向への指23による押圧とを、入力として受け付ける。
【0061】
なお、入力部121は、ユーザの体の一部としての指23によって操作されるものとしたが、ユーザが扱うスタイラスペン等によって操作されてもよいし、表示装置111がユーザの体に対して十分大きく構成されている場合は、例えば、ユーザの手のひらによって操作されてもよい。
【0062】
[表示装置の機能的構成例]
次に、図8を参照して、表示装置111の機能的構成例について説明する。
【0063】
図8の表示装置111は、入力部121、表示部122、および制御部141から構成される。なお、入力部121および表示部122は、図7を参照して説明した入力部121および表示部122と同一のものであるので、その説明は省略する。
【0064】
制御部141は、表示装置111の各部を制御する他、入力部121からの入力に応じて、表示部122の表示を制御する。制御部141は、押圧検出部151、移動検出部152、オブジェクト判別部153、および表示制御部154を備えている。なお、押圧検出部151および移動検出部152は、図3を参照して説明した押圧検出部51および移動検出部52のそれぞれと基本的に同様の機能を有するので、その説明は省略する。
【0065】
なお、図8の押圧検出部151は、タッチパネルとしての入力部121において押圧(圧力)を検出した位置を表す位置情報をオブジェクト判別部153に供給する。
【0066】
オブジェクト判別部153は、押圧検出部151からの位置情報で表わされる入力部121上の位置に対応する、表示部122上の位置におけるオブジェクトの表示の有無を判別する。オブジェクト判別部153は、表示部122上のその位置にオブジェクトが表示されている場合、そのオブジェクトを表すオブジェクト情報を表示制御部154に供給する。
【0067】
表示制御部154は、押圧検出部151からの圧力、移動検出部152からの移動量、およびオブジェクト判別部153からのオブジェクト情報に基づいて、表示部122におけるオブジェクトの表示(動き)を制御する。
【0068】
[表示装置によるオブジェクト移動処理]
次に、図9を参照して、表示装置111によるオブジェクト移動処理について説明する。なお、表示部122には、複数のオブジェクトが表示されているものとする。
【0069】
ステップS111において、押圧検出部151は、指23による入力部121の表面の鉛直方向(Z方向)に対する押圧を検出したか否かを判定する。
【0070】
ステップS111において、押圧を検出していないと判定された場合、すなわち、指23がタッチパネルとしての入力部121の表面に接触していない場合、押圧が検出されるまでステップS111の処理は繰り返される。
【0071】
一方、ステップS111において、押圧を検出したと判定された場合、すなわち、指23が入力部121の表面に接触し、その表面をある力で押圧している場合、押圧検出部151は、押圧された圧力を表示制御部154に供給するとともに、押圧を検出した位置を表す位置情報をオブジェクト判別部153に供給し、処理はステップS112に進む。
【0072】
ステップS112において、オブジェクト判別部153は、押圧検出部151からの位置情報で表わされる入力部121上の位置に対応する表示部122上の位置(押圧を検出した位置)にオブジェクトが存在するか否かを判別する。
【0073】
ステップS112において、オブジェクト判別部153が押圧を検出した位置にオブジェクトが存在しないと判別した場合、処理はステップS111に戻り、これ以降の処理が繰り返される。
【0074】
一方、ステップS112において、オブジェクト判別部153が押圧を検出した位置にオブジェクトが存在すると判別した場合、オブジェクト判別部153は、その位置に存在する(表示されている)オブジェクトを表すオブジェクト情報を表示制御部154に供給する。
【0075】
ステップS113において、移動検出部152は、入力部121が受け付けたユーザによる操作のうち、入力部121の表面(X-Y座標平面)における、オブジェクトの存在する位置からの指23の移動を検出したか否かを判定する。
【0076】
ステップS113において、移動を検出していないと判定された場合、すなわち、指23が入力部121の表面の1点(表示部122に表示されているオブジェクトの所定の部分)を押圧しているだけの場合、処理はステップS111に戻り、これ以降の処理が繰り返される。
【0077】
一方、ステップS113において、移動を検出したと判定された場合、すなわち、指23が入力部21の表面(表示部122に表示されているオブジェクトの所定の部分)を押圧しながら移動した場合、移動検出部152は、指23が入力部121の表面上を移動した移動量および方向を表示制御部154に供給し、処理はステップS114に進む。
【0078】
ステップS114において、表示制御部154は、押圧検出部151からの圧力、すなわち、指23によって入力部121が押圧された圧力の圧力値が、所定の閾値より大きいか否かを判定する。
【0079】
ここで、所定の閾値は、表示部122に表示されている複数のオブジェクト毎に設定されている値である。したがって、表示制御部154は、押圧検出部151からの圧力の圧力値が、オブジェクト判別部153からのオブジェクト情報で表わされるオブジェクトについて設定されている閾値より大きいか否かを判定する。
【0080】
ステップS114において、入力部121が押圧された圧力の圧力値が、所定の閾値より大きくないと判定された場合、処理はステップS111に戻り、これ以降の処理が繰り返される。
【0081】
一方、ステップS114において、入力部121が押圧された圧力の圧力値が、所定の閾値より大きいと判定された場合、処理はステップS115に進み、表示制御部154は、移動検出部52からの移動の方向に対応した方向へのオブジェクトの移動を開始するよう、表示部122の表示を制御する。
【0082】
なお、ステップS114,S115において、表示制御部154は、予め設定された、圧力Pzと移動ゲインGとの関係に基づいて処理を行う。
【0083】
ここで、図10を参照して、入力部121への指23によるZ方向への圧力Pzと移動ゲインGとの関係について説明する。
【0084】
図10に示されるように、移動ゲインGは、圧力Pzが圧力(閾値)Pthより小さいときは0となり、圧力Pzが圧力(他の閾値)Pth'より大きいときはある一定の値となる。なお、圧力Pzが圧力Pth乃至Pth'の間である場合、移動ゲインGは、圧力Pzの増加に伴い、0から1までその値が比例的に増加する。
【0085】
したがって、式(1)におけるカーソルの移動量をオブジェクトの移動量とすると、図10で示した関係と式(1)とによれば、圧力Pzが圧力Pthより小さい場合(ステップS114におけるNOの場合)、入力部121での指23の移動量に対して、表示部122におけるオブジェクトの移動量は0となる。また、圧力Pzが圧力Pthを超え(ステップS114におけるYESの場合)、圧力Pth'になるまでの間は、圧力Pzが大きいほど、入力部121での指23の移動量に対して、表示部122におけるオブジェクトの移動量が大きくなる。そして、圧力Pzが圧力Pth'より大きい場合、入力部121での指23の移動量に対して、表示部122におけるオブジェクトの移動量は一定となる。
【0086】
すなわち、ユーザが、所定のオブジェクトが表示されているタッチパネルとしての入力部121の表面上に指23で触れた状態から所定の距離だけ指23を移動させる場合、ある力より弱い力で押圧しながら移動させても、表示部122におけるオブジェクトは移動しないが、ある力より強い力で押圧しながら移動させると、表示部122におけるオブジェクトは移動し始める。
【0087】
これは、例えば、机の上に置かれたノートの上側の面を指で押さえて、そのノートを移動させようとした場合、ノートの表面に触れた程度では、指を動かしても、指はノートの表面をすべり、ノートは移動しないが、ノートの表面を指で強く押さえて指を動かせば、ノートは移動する、という現象に対応する。
【0088】
以上の処理によれば、入力部121と表示部122が一体となっているタッチパネルにおいて、表示されている所定のオブジェクトをユーザの指23によって移動させる場合、指23によってある力より弱い力で押圧しながら移動させてもオブジェクトは移動せず、ある力より強い力で押圧しながら移動させるとオブジェクトは移動し始めるので、あたかも、表示されているオブジェクトに静止摩擦力が働いており、最大静止摩擦力を超えたときにオブジェクトが動きだすという、現実の物理現象を再現することができ、ユーザに対して、現実により近い操作感を与えることができる。また、タッチパネルとしての入力部121の表面に複雑な機構を設ける必要がないので、より簡単な構成で、上述した操作感を実現することができる。
【0089】
また、上述したように、オブジェクトが移動を開始するときの圧力(閾値)Pthは、オブジェクト毎について設定される値であるので、例えば、オブジェクトa,b,c毎の圧力Pzと移動ゲインGとの関係において、図11に示されるように、閾値Ptha,Pthb,Pthc,が設定される。
【0090】
ここで、図6で説明した場合と同様に、仮想的に、オブジェクトbに、オブジェクトaと比較して質量の小さい物体、オブジェクトcに、オブジェクトaと比較して質量の大きい物体を割り当てることで、ユーザは、質量の小さいオブジェクトbを動かし始めるためには弱い力で、質量の大きいオブジェクトcを動かし始めるためには強い力で押圧しながら指23を移動させるので、ユーザに対して、現実にさらに近い操作感を与えることができる。
【0091】
なお、図10で示されるように、圧力Pzが圧力Pthを超え、圧力Pth'になるまでの間は、圧力Pzが大きいほど、入力部121での指23の移動量に対して、表示部122におけるオブジェクトの移動量が大きくなるようにしたが、移動ゲインGが、図5のように、圧力Pzの増加に伴い際限なく増加してしまうと、タッチパネル上で指23が移動する方向の先に、オブジェクトの表示が移動してしまい、ユーザは、指23でオブジェクトを移動させているという感覚を得られない。したがって、圧力Pth乃至Pth'の間の移動ゲインGは1以下(0乃至1の間)の値に設定される。また、圧力Pzが圧力Pth'を超えた後の移動ゲインGは1となり、圧力Pzの大きさに関わらず、入力部121での指23の移動量に対する表示部122におけるオブジェクトの移動量は一定となるので、指23の移動に追従して、オブジェクトが移動するようになる。
【0092】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0093】
なお、本明細書において、プログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0094】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
11 表示装置, 21 入力部, 22 表示部, 23 指, 41 制御部, 51 押圧検出部, 52 移動検出部, 53 表示制御部, 111 表示装置, 121 入力部, 122 表示部, 141 制御部, 151 押圧検出部, 152 移動検出部, 153 オブジェクト判別部, 154 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のオブジェクトを表示する表示手段と、
ユーザに接触される平面を有し、前記ユーザによる操作を受け付ける入力手段と、
前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部による、前記平面に対する押圧を検出する押圧検出手段と、
前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部の、前記平面上における移動を検出する移動検出手段と、
前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、前記移動検出手段によって検出された移動に対応した方向へ前記オブジェクトを移動するよう、前記表示手段の表示を制御する表示制御手段と
を備える表示装置。
【請求項2】
前記入力手段は、前記表示手段と一体のタッチパネルとして構成され、
前記押圧検出手段は、前記ユーザの体の一部による、前記タッチパネルに表示された前記オブジェクトに対する押圧を検出し、
前記移動検出手段は、前記ユーザの体の一部の、前記タッチパネルに表示された前記オブジェクト上における移動を検出し、
前記表示制御手段は、前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力が、所定の閾値より大きい場合、前記移動検出手段によって検出された移動に対応した方向への前記オブジェクトの移動を開始するよう、前記表示手段の表示を制御する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力が、前記所定の閾値より大きい他の閾値を超えた場合、前記ユーザの体の一部の、前記タッチパネルに表示された前記オブジェクト上における移動に追従して、前記オブジェクトを移動するよう、前記表示手段の表示を制御する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記オブジェクトを判別するオブジェクト判別手段をさらに備え、
前記所定の閾値は、前記オブジェクト判別手段によって判別された前記オブジェクト毎に設定されている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記移動ゲインは、前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力に比例する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記所定のオブジェクトを指示するカーソルを表示し、
前記表示制御手段は、前記押圧検出手段によって検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、前記移動検出手段によって検出された移動に対応した方向へ前記カーソルを移動するよう、前記表示手段の表示を制御する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
所定のオブジェクトを表示する表示手段と、ユーザに接触される平面を有し、前記ユーザによる操作を受け付ける入力手段とを備える表示装置の表示方法において、
前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部による、前記平面に対する押圧を検出する押圧検出ステップと、
前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部の、前記平面上における移動を検出する移動検出ステップと、
前記押圧検出ステップの処理によって検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、前記移動検出ステップによって検出された移動に対応した方向へ前記オブジェクトを移動するよう、前記表示手段の表示を制御する表示制御ステップと
を含む表示方法。
【請求項8】
所定のオブジェクトを表示する表示手段と、ユーザに接触される平面を有し、前記ユーザによる操作を受け付ける入力手段とを備える表示装置の表示処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部による、前記平面に対する押圧を検出する押圧検出ステップと、
前記入力手段に対する前記ユーザによる操作のうち、前記ユーザの体の一部の、前記平面上における移動を検出する移動検出ステップと、
前記押圧検出ステップの処理によって検出された押圧の圧力に応じた移動ゲインで、前記移動検出ステップによって検出された移動に対応した方向へ前記オブジェクトを移動するよう、前記表示手段の表示を制御する表示制御ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−100385(P2011−100385A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255927(P2009−255927)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】