説明

表示装置および表示装置の輝度ムラ補正方法

【課題】表示装置の輝度ムラを簡単な回路で適切に補正する。
【解決手段】輝度ムラ補正処理を施し、処理後の表示用画像データに基づいて各画素の表示状態を制御する駆動制御部と,補正領域に含まれる画素の階調値を補正するための圧縮データを記憶する不揮発性の補正データ生成用データ記憶部と、上記圧縮データを復号する復号部と、上記圧縮データの復号により再現された補正データ生成用データに基づき上記補正領域に含まれる画素のうちの少なくとも一部の画素の階調値を変化させる補正データ作成部と、上記補正データにおける各画素の階調補正値を、当該各画素に対応する画像データの画素の輝度値に加算または減算する加減算部とを備え、上記補正データ作成部は、階調値の補正量を当該補正領域に含まれる調整補正画素以外の画素に対する階調値の補正量と異ならせ、かつ、上記補正領域内において時間的または空間的に分散するように各調整補正画素を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示画面における輝度ムラを補正するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の画像表示装置では、その製造工程上のさまざまな理由により、画面上の表示輝度が局所的に所望の輝度よりも暗くなったり明るくなったりする輝度ムラが発生することがある。
【0003】
輝度ムラは、その形状に応じていくつかの種類に分類されるが、代表的なものに表示画面にスジ状の輝度ムラが生じるスジ状ムラと、局所的に斑点上の輝度ムラが生じる斑点状ムラがある。
【0004】
例えば、小型高精細液晶パネルの製造工程においてガラス基板上にアモルファスシリコンを堆積した後、レーザー照射を行うことによって移動度の低いアモルファスシリコンを結晶化して移動度の高いポリシリコンに変化させる際に用いるレーザーの強度分布にムラがあると、レーザーのスキャン方向に沿ってポリシリコンの特性にムラが生じ、スジ状ムラの原因となる。また、表示装置中にはさまざまな寄生容量が存在するが、その寄生容量値が信号線などのライン毎にばらつくことによってスジ状ムラが生じる場合もある。
【0005】
また、斑点状ムラは、例えば、表示パネルのセル厚が局所的に周囲と異なる、TFTの特性が局所的に異なる、電極パターン寸法が局所的に異なる、配向膜ピンホールが局所的に存在する、汚染異物が局所的に混入している、などの原因によって生じる。
【0006】
輝度ムラを補正する方法として、例えば、特許文献1には、液晶表示装置においてバックライトからの距離に応じてバックライトからの照射光の光量が異なることに起因する輝度ムラを補正するために、バックライトからの距離に応じた係数を映像信号に乗算することで輝度ムラの補正を図ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−253277号公報(平成12年9月14日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、乗算器およびビット圧縮回路を備える必要があるので、回路構成の複雑化および回路規模の増大を招いてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示装置の輝度ムラを簡単な構成で適切に補正することのできる表示装置および輝度ムラ補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の表示装置は、表示用画像データに応じた画像を表示するための表示画面と、上記表示用画像データに対して上記表示画面の輝度ムラを補正するための補正処理を施し、補正処理後の表示用画像データに基づいて上記表示画面の各画素の表示状態を制御する駆動制御部とを備えた表示装置であって、上記駆動制御部は、上記表示画面のうち上記補正処理の対象領域である補正領域に含まれる画素の階調値を補正するための補正データの生成に用いる補正データ生成用データを圧縮処理した圧縮データを記憶する不揮発性の記憶媒体からなる補正データ生成用データ記憶部と、上記圧縮データを復号する復号部と、上記表示用画像データに応じた画像を上記表示画面に表示させる際に、上記復号部が上記補正データ生成用データ記憶部に記憶されている上記圧縮データを復号することによって再現された補正データ生成用データに基づいて上記補正領域に含まれる画素のうちの少なくとも一部の画素の階調値を変化させるように上記表示用画像データを補正するための上記補正データを生成する補正データ作成部と、上記補正データ作成部が生成した上記補正データにおける各画素の階調補正値を、当該各画素に対応する上記表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算することによって上記補正処理を行う加減算部とを備え、上記補正データ作成部は、上記補正領域に含まれる画素のうちの一部の画素を調整補正画素として選択し、調整補正画素に対する階調値の補正量を当該補正領域に含まれる調整補正画素以外の画素に対する階調値の補正量と異ならせ、かつ、上記調整補正画素が上記補正領域内において時間的または空間的に分散するように各調整補正画素を選択することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の表示装置の輝度ムラ補正方法は、表示用画像データに応じた画像を表示するための表示画面と、上記表示用画像データに対して上記表示画面の輝度ムラを補正するための補正処理を施し、補正処理後の表示用画像データに基づいて上記表示画面の各画素の表示状態を制御する駆動制御部とを備えた表示装置における上記表示画面の輝度ムラ補正方法であって、上記表示画面のうち上記補正処理の対象領域である補正領域に含まれる画素の階調値を補正するための補正データの生成に用いる補正データ生成用データを圧縮処理した圧縮データを記憶する不揮発性の記憶媒体からなる補正データ生成用データ記憶部に記憶させる記憶工程と、上記圧縮データを復号する復号工程と、上記表示用画像データに応じた画像を上記表示画面に表示させる際に、上記復号工程により上記補正データ生成用データ記憶部に記憶されている上記圧縮データを復号することによって再現された補正データ生成用データに基づいて上記補正領域に含まれる画素のうちの少なくとも一部の画素の階調値を変化させるように上記表示用画像データを補正するための上記補正データを生成する補正データ作成工程と、上記補正データ作成工程で生成した上記補正データにおける各画素の階調補正値を、当該各画素に対応する上記表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算することによって上記補正処理を行う加減算工程とを含み、上記補正データ作成工程では、上記補正領域に含まれる画素のうちの一部の画素を調整補正画素として選択し、調整補正画素に対する階調値の補正量を当該補正領域に含まれる調整補正画素以外の画素に対する階調値の補正量と異ならせ、かつ、上記調整補正画素が上記補正領域内において時間的または空間的に分散するように各調整補正画素を選択することを特徴としている。
【0012】
上記の表示装置および輝度ムラ補正方法によれば、輝度ムラを補正するための階調補正値を画素毎に示した補正データにおける各画素の階調補正値を当該各画素に対応する表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算することによって表示用画像データの補正処理を行う。これにより、上述した従来の技術に比べて、乗算器やビット圧縮回路を備える必要がないので、回路規模を大幅に縮小し、製造コストを大幅に低減することができる。
【0013】
また、検査用画像データに応じた画像を表示画面に表示させたときの輝度ムラの発生状況に応じて補正データを作成し、作成した補正データに応じて輝度ムラの補正処理を行うことができる。これにより、輝度ムラを適切に補正できる。
【0014】
また、視認される画像を補正領域内の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に変化させた場合の画像に近づけることができる。すなわち、補正領域の全画素の輝度値を擬似的に表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ補正することができる。したがって、輝度ムラが視認されることをより適切に防止することができる。
【0015】
例えば、携帯型の電子機器等に備えられる中型・小型の表示装置などにはRGB各色6bitの映像信号を用いて表示を行うものがあるが、これらの表示装置では映像信号における各階調間の輝度値の幅がRGB各色8bit等の表示装置に比べて大きくなる。このため、輝度ムラを補正するための補正値の大きさが映像信号の1階調に相当する値未満である場合が多く、従来のように補正領域内の階調補正値を一律にする構成では、補正量が不足したり補正量が多すぎたりして輝度ムラを適切に補正できなかった。これに対して、上記の構成によれば、視認される画像を、補正領域内の各画素を1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に変化させた場合の画像に近づけることができるので、輝度ムラをより適切に補正できる。
【0016】
また、補正領域内における調整補正画素の位置を分散させることにより、視認される画像を当該補正領域の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に補正した場合により近づけることができる。
【0017】
また、上記補正データ作成部は、上記調整補正画素同士を上記補正領域内において空間的に分散させるように各調整補正画素を選択する構成としてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、補正領域内における調整補正画素の位置を分散させることにより、視認される画像を当該補正領域の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に補正した場合により近づけることができる。
【0019】
また、上記補正データ作成部は、上記調整補正画素として選択する画素を上記補正領域内において所定期間毎に変更することにより上記調整補正画素を時間的に分散させる構成としてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、補正領域内における調整補正画素の位置を所定期間毎に変化させることにより、視認される画像を当該補正領域の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に補正した場合により近づけることができる。
【0021】
また、上記表示画面は、互いに平行に配置された多数の走査信号線と互いに平行に配置された多数のデータ信号線とが交差するように配置され、上記走査信号線と上記データ信号線との交差部毎に画素が設けられており、上記加減算部によって上記補正処理が施された1フレーム分の上記表示用画像データを記憶し、記憶した表示用画像データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎あるいは1走査信号線に対応する各画素を複数の画素からなるグループに分割したグループ毎に並列に出力するRAMと、上記加減算部によって上記補正処理が施されて上記RAMに記憶されている表示用画像データに対して上記補正処理の逆処理を行い、上記補正処理が施される前の表示用画像データを復元する逆変換処理部と、上記逆変換処理によって復元された上記表示用画像データと、上記RAMに記憶されている表示用画像データの次に表示を行うフレームである第2フレームの表示用画像データとを比較するフレーム比較部とを備え、上記加減算部は、上記逆変換処理によって復元された上記表示用画像データと上記第2フレームの表示用画像データとが異なると上記フレーム比較部が判断した場合に、上記第2フレームの表示用画像データの各画素の輝度値に対して、当該各画素に対応する上記補正データの画素の階調補正値を加算または減算することによって上記補正処理を行い、上記RAMに記憶させる1フレーム分の表示用画像データを上記補正処理後の表示用画像データに更新する一方、上記逆変換処理によって復元された上記表示用画像データと上記第2フレームの表示用画像データとが同じであると上記フレーム比較部が判断した場合には上記RAMに記憶させる表示用画像データの更新を行わない構成としてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、逆変換処理部がRAMに格納されている補正処理後の表示用画像データに対して逆変換処理を行って補正処理前の表示用画像データを復元する。これにより、フレーム比較部において現フレームの表示用画像データ(RAMに格納されている表示用画像データに対して逆変換処理を施した表示用画像データ)と次フレーム(第2フレーム)の表示用画像データとを比較する際、補正処理が施されていない状態の表示用画像データ同士を比較することができる。したがって、現フレームの表示用画像データと次フレームの表示用画像データとが同じであるか否かを適切に判断することができる。また、加減算部では、RAMに格納する前の表示用画像データおよび補正データがそれぞれ1画素分ずつ直列に入力されるので、直列に入力される表示用画像データの各画素の輝度値に対して当該各画素に対応する補正データの画素の階調補正値を1画素ずつ順次、加算または減算することで補正処理を行える。したがって、簡単な構成で補正処理を行うことができる。
【0023】
また、上記表示画面は、互いに平行に配置された多数の走査信号線と互いに平行に配置された多数のデータ信号線とが交差するように配置され、上記走査信号線と上記データ信号線との交差部毎に画素が設けられており、1フレーム分の上記表示用画像データを記憶し、記憶した表示用画像データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎あるいは1走査信号線に対応する各画素を複数の画素からなるグループに分割したグループ毎に並列に出力するRAMと、1画素分ずつ直列に入力される上記補正データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎に対応する画素毎に並列に出力する直列入力並列出力型のシフトレジスタとを備え、上記加減算部は、上記RAMから上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎に並列に入力される上記表示用画像データの各画素に対して、上記シフトレジスタから上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎に並列に入力される補正データにおける上記各画素に対応する画素の階調補正値を並行して加算または減算する構成としてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、1走査信号線に対応する各画素に対する加算または減算処理を並行して行うので、処理時間の短縮を図ることができる。また、上記の加減算部は、例えば、1走査信号線に対応する画素の数に応じた加減算器を備えるだけで実現できるので、上述した従来技術のように乗算器やビット圧縮器を備える必要がなく、簡単な構成で表示用画像データの補正を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、表示装置の輝度ムラを簡単な構成で適切に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態にかかる表示装置に備えられる駆動制御部の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の表示装置およびこの表示装置における輝度ムラを補正するための補正データを生成する補正データ作成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した補正データ作成装置において撮像データから抽出される輝度データ、およびこの輝度データから算出される移動平均値の一例を示すグラフである。
【図4】図3に示した輝度データからバックライトに起因する輝度ムラ等の緩やかに変化する輝度ムラの影響を除去した輝度データ、および表示画面の平均輝度を示すグラフである。
【図5】図2に示した補正データ作成装置における補正データの生成方法を説明するための説明図である。
【図6】図2に示した補正データ作成装置における補正データの生成方法を説明するための説明図である。
【図7】図2に示した補正データ作成装置において生成される補正データにおける補正画素(調整補正画素)および補正しない画素(調整補正画素以外の画素)の一例を示す説明図である。
【図8】図2に示した補正データ作成装置における輝度ムラ領域の円形領域への近似の概念を示す説明図である。
【図9】(a)および(b)は図1に示した駆動制御部において設定される補正パターンの一例を示す説明図である。
【図10】図1に示した駆動制御部において設定される補正パターンの一例を示す説明図である。
【図11】図1に示した表示装置における画像データの補正方法を示す説明図である。
【図12】(a)および(b)は、図1に示した駆動制御部において設定される補正パターンの一例を示す説明図である。
【図13】図1に示した駆動制御部における補正パターンの設定方法の一例を示す説明図である。
【図14】図1に示した駆動制御部における補正パターンの設定方法の一例を示す説明図である。
【図15】輝度ムラ補正処理の前後の輝度データを示すグラフである。
【図16】本発明の他の実施形態にかかる表示装置に備えられる駆動制御部の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明のさらに他の実施形態にかかる表示装置に備えられる駆動制御部の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明のさらに他の実施形態にかかる表示装置に備えられる駆動制御部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、携帯電話等のモバイル型の装置に備えられる透過型の液晶表示装置であって、RGBの各色を6ビットで表現した画像データに基づいて表示を行う表示装置における、ソースライン(データ信号線)の延伸方向に平行な方向のスジ状の輝度ムラ(スジ状ムラ)、および局所的な斑点状の輝度ムラ(斑点状ムラ)を補正する場合の例について主に説明する。すなわち、本実施形態では、互いに平行に配置された多数のゲートライン(走査信号線)と互いに平行に配置された多数のソースラインとが交差するように配置され、上記ゲートラインと上記ソースラインとの交差部毎に画素が設けられた構成の表示装置において、ソースラインの延伸方向に平行な方向のスジ状の輝度ムラ、および局所的な斑点状の輝度ムラを補正する場合の例について説明する。
【0028】
図2は、本実施形態にかかる補正データ生成用データ作成装置10および表示装置20の構成を示すブロック図である。本実施形態では、補正データ生成用データ作成装置10が検査用画像データに応じた画像を表示させている状態の表示装置20の表示画面を撮像した結果に基づいて補正データ生成用データを作成する。より具体的には、補正データ生成用データ作成装置10は、表示装置20においてスジ状ムラを補正するための第1補正データを生成する際に用いる第1補正データ生成用データ、および表示装置20において斑点状ムラを補正するための第2補正データを生成する際に用いる第2補正データ生成用データを作成する。そして、表示装置20が上記各補正データ生成用データを記憶しておき、表示用画像データに応じた画像を表示する際に上記両補正データ生成用データに基づいて第1補正データおよび第2補正データを生成し、これら両補正データに基づいて上記表示用画像データを補正して表示を行う。
【0029】
(1−1.補正データ生成用データ作成装置10)
まず、補正データ生成用データ作成装置10について説明する。図2に示したように、補正データ生成用データ作成装置10は、表示データ生成部11、撮像部12、輝度データ抽出部13、第1移動平均化処理部14、第1輝度ムラ検出部15、第1補正データ生成用データ生成部16、第2移動平均化処理部14b、第2輝度ムラ検出部15b、および第2補正データ生成用データ生成部16bを備えている。
【0030】
表示データ生成部11は、表示パネル21における輝度ムラの有無の検査を行う際にこの表示パネルに表示させる表示データである検査用画像データを生成し、表示パネル21の駆動制御装置22aに出力する。一般に、輝度ムラは中間調の画像(特に濃いグレーの画像)を同一階調で全面均一表示をさせた場合に視認されやすい。このため、本実施形態では、表示データ生成部11は、輝度ムラを検出するために表示パネルの全画素に中間調の同一階調の画像を表示させるための画像データを検査用画像データとして生成する。
【0031】
撮像部12は、表示データ生成部11によって生成された検査用画像データに応じた画像が表示されている表示パネル21の表示面を撮像して撮像データを取得する。撮像部12としては、例えばCCDカメラなどを用いることができる。
【0032】
輝度データ抽出部13は、撮像部12の取得した撮像データから輝度データを抽出する。
【0033】
第1移動平均化処理部14は、輝度データ抽出部13の抽出した輝度データにおける上記表示画面の各ソースラインに対応する領域(あるいはソースラインの延伸方向に平行な所定幅の領域(例えば2〜3ライン分の領域))の画素の集合であるライン画素群について、当該ライン画素群に含まれる各画素の輝度の平均値を当該ライン画素群の輝度値として算出する。また、第1移動平均化処理部14は、上記各ライン画素群の輝度値を、そのライン画素群を含む所定範囲の周辺領域(例えば当該ライン画素群を中心とする当該ライン画素群の延伸方向に垂直な方向の3mmの幅の領域)に含まれる各画素の輝度値で平均化した移動平均化データを算出する移動平均化処理を行う。なお、以下では、移動平均化処理後の各画素の輝度値を移動平均値と称する。
【0034】
図3の実線は輝度データ抽出部13の抽出した輝度データに基づいて算出した各ライン画素群の輝度値を示すグラフであり、破線は上記の各ライン画素群の輝度値の移動平均値を示すグラフである。上記移動平均値は、バックライトに起因する輝度ムラなどの緩やかな輝度ムラを除去し、ムラと認識されやすい局所的な輝度ムラを抽出するために求めるものであり、ムラのない状態の輝度を示す。また、図4の実線は、図3における各ライン画素群の輝度値から上記移動平均値を引いた値にパネル輝度の平均値(表示画面全体の輝度の平均値)を加えたもので、バックライトに起因する輝度ムラ等の緩やかに変化する輝度ムラの影響を除去した後の各ライン画素群の輝度値を示すグラフであり、破線はパネル輝度の平均値を示すグラフである。なお、これら各グラフにおける横軸は各ライン画素群の位置を示しており、縦軸は各ライン画素群の輝度値(各ライン画素群に属する画素の輝度値の平均値)示している。
【0035】
第1輝度ムラ検出部15は、輝度データ抽出部13が撮像データから抽出した各ライン画素群の輝度値と、その移動平均値とに基づいて輝度ムラが生じている領域を検出する。
【0036】
具体的には、第1輝度ムラ検出部15は、輝度データ抽出部13が撮像データから抽出した輝度データにおける各ライン画素群の輝度値と、その移動平均値との差を算出し、算出した差の絶対値が所定の閾値以上であるライン画素群の集合からなる領域を輝度ムラとして検出する。つまり、各ライン画素群の輝度値の移動平均値を当該各ライン画素群についての輝度ムラが生じていない場合の適正輝度値とみなして各ライン画素群の輝度値と比較することにより、輝度ムラが生じている領域を検出する。これにより、バックライトの影響等を除去して輝度ムラを適切に検出することができる。
【0037】
すなわち、透過型の液晶表示装置では、一般にバックライトからの照射光を表示パネルに均一に照射するために拡散板等が備えられるものの、完全に均一化することは困難なため、バックライトに対する相対位置に応じてバックライトからの照射光の輝度に差が生じる場合がある。ただし、バックライトに対する相対位置に起因する輝度分布は表示パネルの広範囲にわたって比較的なだらかに変化するので(図3における破線部の傾き参照)、輝度ムラとして視認されることは少ない。つまり、人間の目に輝度ムラと認識されるのは、局所的に大きく輝度が変化している場合であり、空間的に大きな周期で輝度が連続的に変化している場合は、ムラと認識されにくい。このため、バックライトからの照射光の輝度分布に起因する輝度の差は輝度ムラとして視認されることは少ない。
【0038】
一方で、バックライトの影響を考慮せずに、輝度ムラが生じていない適正領域の輝度値を表示画面の全領域について一定値とみなすと、輝度ムラとして視認されない領域が輝度ムラとして検出されたり、輝度ムラとして視認される領域が適正領域として検出されたりする場合が生じる。つまり、輝度ムラが生じていない適正領域の輝度値(適正輝度値)は表示パネル上の位置に応じて異なっている。
【0039】
そこで、本実施形態では、輝度データ抽出部13の抽出した輝度データに対して第1移動平均化処理部14が移動平均化処理を施し、各ライン画素群の輝度値の移動平均値を当該各ライン画素群が適正領域である場合の輝度値(適正輝度値)とみなす。これにより、バックライトからの照射光の輝度分布の影響を除去し、輝度ムラとして視認されやすい、隣接領域の輝度との差が急激に変化している領域を輝度ムラとして適切かつ容易に検出することができる。
【0040】
なお、移動平均化処理において平均化する範囲(ライン画素群の延伸方向に垂直な方向の範囲)は、スジ状の輝度ムラ領域の幅よりも十分に広く、当該範囲内の各位置におけるバックライトからの照射光の輝度値の差が輝度ムラ領域における輝度値の適正輝度値からのずれに対して十分に小さくなる範囲に設定することが好ましい。具体的には、携帯電話等のモバイル機器に備えられる数百画素×数百画素程度の表示パネルの場合、1mm以上5mm以下の範囲に設定することが好ましい。本実施形態では、360画素×480画素の表示パネル21を用いており、上記範囲を3mmとした。
【0041】
第1補正データ生成用データ生成部16は、第1輝度ムラ検出部15の検出した輝度ムラの情報に基づいて、表示装置20においてスジ状の輝度ムラを視認されにくくするための第1補正データを生成する際に用いられる第1補正データ生成用データ(補正データ生成用データ)を生成し、生成した第1補正データ生成用データに圧縮処理を施して表示装置20に出力する。なお、輝度ムラ領域に含まれるライン画素群の輝度値のピーク値と適正輝度値との差が所定の基準値未満の場合にはスジ状の輝度ムラは存在しないものみなし、第1補正データ生成用データを作成しないようにしてもよい。
【0042】
本実施形態では、上記したように、RGBの各色を6ビットで表現した画像データに基づいて表示を行う表示装置20を用いている。この種の低階調パネルでは、輝度ムラの検出結果に基づいて単純に表示用画像データの階調を調節するだけでは、輝度ムラを適切に補正できない場合がある。これは、輝度ムラとして認識される輝度値のずれの最小値は、6ビット階調のパネルなら表示用画像データにおける1階調分に相当する輝度値未満であるため、例えば暗い輝度ムラを補正しようとしてデータを1階調上げるように補正すると補正量が大きくなりすぎて明るい輝度ムラとして視認されてしまったり、逆に明るい輝度ムラを補正しようとしてデータを1階調下げるように補正すると暗い輝度ムラとして視認されてしまったりするためである。
【0043】
そこで、第1補正データ生成用データ生成部16は、適正輝度値に対する輝度のずれが画像データの1階調分に相当する輝度値未満であってもこの輝度のずれに起因する輝度ムラが視認されにくくするための第1補正データ生成用データを生成する。
【0044】
図5は、補正パターンの生成方法を説明するための説明図である。より具体的には、図5は、各画素に対して階調値9,10,11(階調値0が黒、階調値63が白に相当)の検査用画像データをそれぞれ表示させ、これら各階調値に応じた画像を表示した状態の表示パネル21を撮像した撮像データに基づいて抽出した各ライン画素群の輝度値、およびパネル輝度の平均値を示すグラフである。なお、図5では、図4と同様の処理を施し、バックライトに起因する輝度ムラ等の緩やかに変化する輝度ムラの影響を除去した後の各ライン画素群の輝度値を示している。
【0045】
第1輝度ムラ検出部15は、撮像データから抽出した輝度データにおける適正輝度値に対する輝度値の差の絶対値が所定の閾値以上である部分を輝度ムラとして検出する。具体的には、上記差が正の値であって絶対値が閾値以上である部分を明るいムラとして検出し、上記差が負の値であって絶対値が閾値以上である部分を暗いムラとして検出する。図5の例では、C1,C2で示した部分が明るい輝度ムラとして検出され、D1,D2で示した部分が暗い輝度ムラとして検出される。
【0046】
次に、第1補正データ生成用データ生成部16は、各輝度ムラ部分の値と適正輝度値との差を検出する。図5の例では、輝度ムラC1,C2,D1,D2について差c1,c2,d1,d2がそれぞれ検出される。
【0047】
また、第1補正データ生成用データ生成部16は、基準階調値よりも1階調高い画像データに対する適正部分の輝度値と基準階調値の画像データに対する適正部分の輝度値との差A、および基準階調値の画像データに対する適正部分の輝度値と基準階調値よりも1階調低い画像データに対する適正部分の輝度値との差Bとを検出する。
【0048】
そして、第1補正データ生成用データ生成部16は、明るい輝度ムラC1,C2については当該輝度ムラについての上記差c1,c2と上記差Bとの比c1/B,c2/Bをそれぞれ算出し、暗い輝度ムラD1,D2については当該輝度ムラについての上記差d1,d2と上記差Aとの比d1/A,d2/Aをそれぞれ算出する。
【0049】
そして、明るい輝度ムラについての上記比(c1/B、c2/B、など)が1以下の場合は、第1補正データ生成用データ生成部16は、明るい輝度ムラに対応するライン画素群に属する画素のうち当該輝度ムラについての上記比に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データを1階調低くするための第1補正データ生成用データを生成する。
【0050】
また、上記比(c1/B、c2/B、など)が1を超える場合、第1補正データ生成用データ生成部16は、明るい輝度ムラに対応するライン画素群に属する画素に対する表示用画像データを上記比の整数部分に応じた階調値だけ低くするための第1補正データ生成用データ、および、上記比の小数部分に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データをさらに1階調低くするための第1補正データ生成用データを生成する。
【0051】
図6は、明るい輝度ムラが生じている位置と当該各輝度ムラについての上記比の値との関係の一例を示すグラフである。
【0052】
第1補正データ生成用データ生成部16は、各輝度ムラ領域を上記比の値に応じてグループ分けする。例えば、図6に示したように、上記比が0.125以上0.375未満の輝度ムラ領域を補正強度1、上記比が0.375以上0.625未満の輝度ムラ領域を補正強度2、上記比が0.625以上0.875未満の輝度ムラ領域を補正強度3、上記比が0.875以上1.125未満の輝度ムラ領域を補正強度4、上記比が1.125以上1.375未満の輝度ムラ領域を補正強度5に分類する。
【0053】
そして、補正強度1の輝度ムラ領域については上記比が0.25であるものとみなし、4画素に1画素の割合で階調値を1階調下げるための第1補正データ生成用データを作成する。例えば、図6に示したckに対応する位置ではck/Bの値が0.19であることから、補正強度1に分類され、4画素に1画素の割合で階調値を1階調下げるための第1補正データ生成用データが作成される。
【0054】
また、補正強度2の輝度ムラ領域については上記比が0.5であるものとみなし、2画素に1画素の割合で階調値を1階調下げるための第1補正データ生成用データを作成する。例えば、図6に示したcnに対応する位置ではcn/Bの値が0.44であることから、補正強度2に分類され、2画素に1画素の割合で階調値を1階調下げるための第1補正データ生成用データが作成される。
【0055】
また、補正強度3の輝度ムラ領域については上記比が0.75であるものとみなし、4画素に3画素の割合で階調値を1階調下げるための第1補正データ生成用データを作成する。例えば、図6に示したclに対応する位置ではcl/Bの値が0.80であることから、補正強度3に分類され、4画素に3画素の割合で階調値を1階調下げるための第1補正データ生成用データが作成される。
【0056】
また、補正強度4の輝度ムラ領域については上記比が1であるものとみなし、各画素について階調値を1階調下げるための第1補正データ生成用データを作成する。
【0057】
また、補正強度5の輝度ムラ領域については上記比が1.25であるものとみなし、各画素の階調値を1階調下げ、4画素に1画素の割合の画素については階調値をさらに1階調下げる(合計2階調下げる)ための第1補正データ生成用データを作成する。例えば、図6に示したcmに対応する位置ではcm/Bの値が1.29であることから、補正強度5に分類され、各画素の階調値を1階調下げるとともに、4画素に1画素の割合で階調値をさらに1階調下げるための第1補正データ生成用データが作成される。
【0058】
また、上記比(c1/B、c2/B、など)が1を超える場合、第1補正データ生成用データ生成部16は、上記比を除算した場合の除算結果が1以下となる2以上の数nで上記比を除算し、この除算結果に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データをn階調低くするための第1補正データ生成用データを作成してもよい。例えば、図6に示した補正強度5に属する輝度ムラ領域の場合、上記比が1.25(=5/4)であるものとみなし、n=2で除算した値(5/4÷2=5/8)を算出し、この除算結果に応じて8画素に5画素の割合で2階調下げるための第1補正データ生成用データを作成すればよい。
【0059】
また、暗い輝度ムラについての上記比(d1/A、d2/A、など)が1以下の場合は、第1補正データ生成用データ生成部16は、暗い輝度ムラに対応するライン画素群に属する画素のうち当該輝度ムラについての上記比に応じた割合の画素に対する表示用画像データを1階調高くするための第1補正データ生成用データを生成する。
【0060】
また、上記比(d1/A、d2/A、など)が1を超える場合、第1補正データ生成用データ生成部16は、暗い輝度ムラに対応するライン画素群に属する画素に対する表示用画像データを上記比の整数部分に応じた階調値だけ高くするための第1補正データ生成用データ、および、上記比の小数部分に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データをさらに1階調高くするための第1補正データ生成用データを生成する。
【0061】
また、上記比(d1/A、d2/A、など)が1を超える場合、第1補正データ生成用データ生成部16は、上記比を除算した場合の除算結果が1以下となる2以上の数nで上記比を除算し、この除算結果に応じた割合の画素に対する表示用画像データをn階調高くするための第1補正データ生成用データを作成してもよい。
【0062】
なお、図6では上記比が1.375以上の場合については図示していないが、1.375以上の場合にも上述した方法と同様にして各輝度ムラ領域のグループ分けおよび各輝度ムラ領域に対応する第1補正データ生成用データの作成を行えばよい。また、各グループに対応する上記比の幅は図6に示した例に限られるものではない。
【0063】
したがって、例えば上記比が1以下であった場合、適正輝度値に対する差(適正輝度値からのずれ)が大きい輝度ムラ領域については表示用画像データを1階調補正する画素の割合は大きくなり(表示用画像データを1階調補正する画素が密になり)、適正輝度値に対する差が比較的小さい輝度ムラ領域については表示用画像データを1階調補正する画素の割合は小さくなる(表示用画像データを1階調補正する画素が疎になる)。図7は、第1補正データ生成用データにおける上記比が1以下である場合に表示用画像データの階調を1階調補正する画素の例を示す説明図である。
【0064】
例えば、c1/B=1/3の場合、表示用画像データにおける輝度ムラC1に対応するソースライン上の画素に対する画像データを、ソースラインの延伸方向に沿って3画素毎に1画素だけ1階調低く補正させるための第1補正データ生成用データ(補正対象のソースラインに接続された全画素数に対する調整補正画素の割合を示す画像データ)を生成する。また、d1/A=1/3の場合、表示用画像データにおける輝度ムラD1に対応するソースライン上の画素に対する画像データを、ソースラインの延伸方向に沿って3画素毎に1画素だけ1階調高く補正させるための第1補正データ生成用データを生成する。
【0065】
なお、上記比ci/B(iは輝度ムラの位置を示す1以上の整数)または上記比dj/A(jは輝度ムラの位置を示す1以上の整数)の大きさに応じて、各輝度ムラ領域における輝度ムラの程度(適正輝度値に対するずれの程度)が予め設定された複数のグループのうちのいずれのグループに属するかを判断し、この判断結果と各グループに対して予め設定された値とに基づいて表示用画像データにおける調整補正画素の割合(あるいは調整補正画素同士の間隔)を設定するようにしてもよい。
【0066】
また、上記の例では、ci/Bあるいはdj/Aの値と調整補正画素の割合とを同値にする場合について説明したが、これに限らず、例えばci/Bあるいはdj/Aの値に予め定められた補正係数を乗じた値に基づいて調整補正画素の割合を設定するようにしてもよい。また、上記補正係数を表示画像データの階調値に応じて設定してもよい。例えば、上述したように輝度ムラは中間調において視認されやすく、黒および白に近い表示の場合には視認されにくいことから、中間調における上記補正係数を黒および白に近い階調における上記補正係数よりも大きく設定してもよい。
【0067】
このように、上記第1補正データ生成用データは、例えば、輝度ムラに対応するソースライン(補正領域の位置)と、当該ソースラインにおける調整補正画素の割合(調整補正画素間隔)と、上記調整補正画素について1階調高くするか低くするかを示す情報とからなる。なお、上記比が1を超える輝度ムラがある場合には、これらの情報に加えて当該輝度ムラに対応する領域に含まれる各画素に対する階調値の補正量(調整補正画素以外の画素に対する補正量)が含まれる。あるいは、上記比が1を超える輝度ムラがある場合には、上記調整補正画素について1階調高くするか低くするかを示す情報に代えて、上記調整補正画素の階調値の補正量(上述したnの値)、および当該調整補正画素の階調値を高くするか低くするかを示す情報を含めてもよい。
【0068】
なお、上記の説明では、第1補正データ生成用データ生成部16が、検出された輝度ムラ領域内の画素のみを補正対象としているが、これに限らず、輝度ムラ領域とその周辺領域(例えば輝度ムラ領域から数画素あるいは数mm程度の範囲)とを含む領域の画素を補正対象としてもよい。すなわち、輝度ムラ領域を補正領域としてもよく、輝度ムラ領域とその周辺領域とを含む領域を補正領域としてもよい。このように、周辺領域を補正領域に含めることにより、輝度ムラ領域の輪郭をぼかして輝度ムラ領域をより視認されにくくすることができる。
【0069】
また、必ずしも検出された全ての輝度ムラ領域を補正する必要はなく、検出された輝度ムラ領域のうちの一部の輝度ムラ領域のみを補正するようにしてもよい。例えば、輝度ムラ領域のサイズや適正輝度値からのずれの程度などに応じて視認されやすい輝度ムラ領域のみを抽出して補正するようにしてもよい。
【0070】
また、第1補正データ生成用データ生成部16は、上記の第1補正データ生成用データを、R(Red),G(Green),B(Blue)の各副画素についてそれぞれ算出する。
【0071】
なお、R,G,Bのうちの1色(例えばG)についての第1補正データ生成用データを生成し、それを他の色について共用してもよい。スジ状の輝度ムラは所定範囲の領域内において連続的に発生する場合が多いので、R,G,Bのうちの1色について生成した第1補正データ生成用データを、両隣の他の色の副画素に適用しても、R,G,Bの各色についてそれぞれ第1補正データ生成用データを個別に生成する場合と比較して画質の程度はほとんど変わらない。また、R,G,Bの各色について共通の第1補正データ生成用データを用いることにより、これら各色について個別の第1補正データ生成用データを生成する場合に比べて、後述する表示装置20に備えられる第1補正データ生成用データを格納するための第1補正データ生成用データ記憶部31に要求される記憶容量を低減できる。
【0072】
その後、第1補正データ生成用データ生成部16は、生成した第1補正データ生成用データに圧縮処理を施し、圧縮処理後の第1補正データ生成用データを表示装置20の駆動制御装置22aに出力する。なお、圧縮処理の方法および圧縮後の第1補正データ生成用データのサイズは特に限定されるものではなく、表示装置20に備えられる第1補正データ生成用データ記憶部31の記憶容量などに応じて適宜設定すればよい。例えば、ランレングス符号化などの従来から公知の方法を用いて圧縮処理を行ってもよい。ランレングス符号化では、例えば、圧縮前の第1補正データ生成用データが0010000000011・・・である場合、符号化後のデータは[0,2][1,1][0,8][1,2]となる。あるいは、0の値を省略して[2][1,1][8][1,2]と表現することもできる。
【0073】
このように第1補正データ生成用データを圧縮することにより、圧縮処理の方法にもよるが、例えば360画素×480画素の表示パネルを有する表示装置に対する第1補正データ生成用データを例えば1kbit程度の非常に少ない記憶容量で記憶させることができる。したがって、これらの表示装置に備えられる既存のメモリの空き領域を第1補正データ生成用データ記憶部31として用いることができる。
【0074】
第2移動平均化処理部14bは、撮像部12が上記検査用画像データを表示している状態の表示装置20の表示画面を撮像した撮像データから輝度データ抽出部13が抽出した輝度データに対して、各画素の輝度値を、当該各画素を中心とする所定サイズのブロックに含まれる各画素の輝度値の平均値に置き換える第2移動平均化処理を行う。なお、以下では、第2移動平均化処理後の各画素の輝度値を第2移動平均値と称する。
【0075】
なお、上記所定サイズは、斑点状の輝度ムラ領域の範囲よりも十分に広く、当該所定サイズ内の各位置におけるバックライトからの照射光の輝度値の差が輝度ムラ領域における輝度値の適正輝度値からのずれに対して十分に小さくなる範囲に設定することが好ましい。具体的には、携帯電話等のモバイル機器に備えられる数百画素×数百画素程度の表示パネルの場合、2mm×2mm〜10mm×10mmの範囲に設定することが好ましい。本実施形態では、360画素×480画素の表示パネル21を用いており、上記範囲を5mm×5mmとした。なお、上記所定サイズにおける縦方向の長さと横方向の長さとは必ずしも同じでなくてもよい。
【0076】
第2輝度ムラ検出部15bは、輝度データ抽出部13が抽出した各画素の輝度値と当該各画素についての第2移動平均値との差を算出し、この差の絶対値が所定の閾値以上である画素が所定数以上連続している領域を斑点状の輝度ムラとして検出する。なお、上記差が所定の基準値未満の場合には斑点状の輝度ムラは存在しないものみなし、第2補正データ生成用データを作成しないようにしてもよい。また、上記所定数は、輝度ムラが視認されることを防止できるように表示装置20のサイズや用途等に応じて適宜設定すればよい。
【0077】
また、第2輝度ムラ検出部15bは、図8に示すように、検出した斑点状の各輝度ムラ領域を円形領域に近似する。円形領域への近似方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の種々の方法を用いることができる。
【0078】
第2補正データ生成用データ生成部16bは、第2輝度ムラ検出部15bの検出結果に基づいて、斑点状の輝度ムラを視認されにくくするための第2補正データ生成用データ(補正データ生成用データ)を生成し、生成した第2補正データ生成用データに圧縮処理を施して表示装置20に備えられる駆動制御装置22aに出力する。
【0079】
具体的には、第2補正データ生成用データ生成部16bは、第2輝度ムラ検出部15bによって輝度ムラとして抽出された領域を円形に近似した領域について、当該領域内の各画素の平均輝度と、当該領域内の輝度ムラが生じていない適正輝度値(例えば当該領域内の各画素の第2移動平均値)との差を算出する。すなわち、本実施形態では、後に説明する第2補正データ生成用データ記憶部31bに記憶させる容量を少なくするため、斑点状の輝度ムラ領域を円形に近似し、さらに、近似した領域について同一補正強度で補正を行うこととしている。なお、以下の説明では、上記差がe(e>0)である場合(明るい輝度ムラが生じている場合)、およびf(f<0)である場合(暗い輝度ムラが生じている場合)について説明する。
【0080】
また、第2補正データ生成用データ生成部16bは、表示データ生成部11が表示パネル21の全域に基準階調値よりも1階調高い画像データに対応する画像を表示させ、撮像部12がそれを撮像した撮像データから輝度データ抽出部13が抽出した輝度データに基づいて、基準階調値よりも1階調高い画像データに対する適正輝度値と基準階調値の画像データに対する適正輝度値との差Aを算出する。また、第2補正データ生成用データ生成部16bは、表示データ生成部11が表示パネル21の全域に基準階調値よりも1階調低い画像データに対応する画像を表示させ、撮像部12がそれを撮像した撮像データから輝度データ抽出部13が抽出した輝度データに基づいて、基準階調値の画像データに対する適正輝度値と基準階調値よりも1階調低い画像データに対する適輝度値との差Bを算出する。
【0081】
そして、明るい輝度ムラが生じている各領域ついて、上記eの絶対値|e|と上記Bとの比|e|/Bを算出する。そして、上記比|e|/Bが1以下の場合、この輝度ムラを補正するために画像データの階調値を1階調低くするように補正する調整補正画素の数を、上記各領域に含まれる画素の上記比|e|/Bに応じた割合に設定する。例えば、上記比|e|/Bの値が1/3である領域については、その領域に含まれる画素のうち3画素に1つの画素を1階調低くするように第2補正データ生成用データを生成する。
【0082】
同様に、暗い輝度ムラが生じている各領域について、上記fの絶対値|f|と上記Aとの比|f|/Aを算出する。そして、上記比|f|/Aが1以下の場合、この輝度ムラを補正するために画像データの階調値を1階調高くするように補正する調整補正画素の数を、上記各領域に含まれる画素の上記比|f|/Aに応じた割合に設定する。例えば、上記比|f|/Aの値が1/3である領域については、その領域に含まれる画素のうち3画素に1つの画素を1階調高くするように第2補正データ生成用データを生成する。
【0083】
なお、上記比(|e|/B、|f|/Aなど)が1を超える場合、その比に対応する領域における各画素を上記比の整数部分に応じた階調値だけ補正し、上記比の小数部分に応じた割合の画素(調整補正画素)に対する表示用画像データをさらに1階調補正するための第2補正データ生成用データを生成する。あるいは、上記比(|e|/B、|f|/Aなど)が1を超える場合、上記比を除算した場合の除算結果が1以下となる2以上の数nで上記比を除算し、この除算結果に応じた割合の画素に対する表示用画像データをn階調高くするための第2補正データ生成用データを作成するようにしてもよい。
【0084】
また、上記比A/|e|または上記比B/|f|の大きさに応じて、各ブロックの輝度ムラの程度(適正輝度値に対する輝度値のずれの程度。補正強度。)が予め設定された複数のグループ(例えば図9(a)に示す補正強度1〜8の8つのグループ)のうちのいずれのグループに属するかを判断し、この判断結果と各グループに対して予め設定された値とに基づいて調整補正画素の割合を設定するようにしてもよい。あるいは、グループの分類結果を示す情報を上記割合に代えて第2補正データ生成用データに含めるようにしてもよい。
【0085】
なお、上記の説明では、第2補正データ生成用データ生成部16bが、検出された輝度ムラ領域内の画素のみを補正対象としているが、これに限らず、輝度ムラ領域とその周辺領域(例えば輝度ムラ領域から数画素あるいは数mm程度の範囲)とを含む領域の画素を補正対象としてもよい。すなわち、輝度ムラ領域を補正領域としてもよく、輝度ムラ領域とその周辺領域とを含む領域を補正領域としてもよい。このように、周辺領域を補正領域に含めることにより、輝度ムラ領域の輪郭をぼかして輝度ムラ領域をより視認されにくくすることができる。
【0086】
また、必ずしも検出された全ての輝度ムラ領域を補正する必要はなく、検出された輝度ムラ領域のうちの一部の輝度ムラ領域のみを補正するようにしてもよい。例えば、輝度ムラ領域のサイズや適正輝度値からのずれの程度などに応じて視認されやすい輝度ムラ領域のみを抽出して補正するようにしてもよい。
【0087】
また、第2補正データ生成用データ生成部16bは、上記の第2補正データ生成用データを、R(Red),G(Green),B(Blue)の各副画素についてそれぞれ算出する。
【0088】
なお、R,G,Bのうちの1色(例えばG)についての第2補正データ生成用データを生成し、それを他の色について共用してもよい。斑点状の輝度ムラは所定範囲の領域内において連続的に発生する場合が多いので、R,G,Bのうちの1色について生成した第2補正データ生成用データを、両隣の他の色の副画素に適用しても、R,G,Bの各色についてそれぞれ第2補正データ生成用データを生成する場合と比較して画質の程度はほとんど変わらない。また、R,G,Bの各色について共通の第2補正データ生成用データを用いることにより、これら各色について個別の第2補正データ生成用データを生成する場合に比べて、後述する表示装置20に備えられる第2補正データ生成用データを格納するための第2補正データ生成用データ記憶部31bに要求される記憶容量を低減できる。
【0089】
なお、本実施形態では、第2補正データ生成用データ生成部16bが、斑点状の輝度ムラが生じている各輝度ムラ領域を当該輝度ムラ領域のサイズに応じた円形領域に近似し、当該各円形領域の中心座標(あるいは中心座標に対応する画素)および半径と、当該各円形領域についての調整補正画素の割合と、上記調整補正画素について1階調高くするか低くするかを示す情報とを含む第2補正データ生成用データを生成する。なお、上記比が1を超える輝度ムラがある場合には、これらの情報に加えて当該輝度ムラに対応する領域に含まれる各画素に対する階調値の補正量(調整補正画素以外の画素に対する補正量)が含まれる。あるいは、上記比が1を超える輝度ムラがある場合には、上記調整補正画素について1階調高くするか低くするかを示す情報に代えて、上記調整補正画素の階調値の補正量(上述したnの値)、および当該調整補正画素の階調値を高くするか低くするかを示す情報とを含めてもよい。
【0090】
その後、第2補正データ生成用データ生成部16bは、生成した第2補正データ生成用データに圧縮処理を施し、圧縮処理後の第2補正データ生成用データを表示装置20の駆動制御装置22aに出力する。なお、圧縮処理の方法および圧縮後の第2補正データ生成用データのサイズは特に限定されるものではなく、表示装置20に備えられる第2補正データ生成用データ記憶部31bの記憶容量などに応じて適宜設定すればよい。
【0091】
(1−2.表示装置20)
図1は、表示装置20に備えられる駆動制御装置22aの構成を示すブロック図である。この図に示すように、駆動制御装置22aは、第1補正データ生成用データ記憶部31と、第2補正データ生成用データ記憶部31bと、第1復号部32、第1空間分散処理部33、第1時間分散処理部34、第2復号部32b、第2空間分散処理部33b、第2時間分散処理部34b、および統合処理部35からなる補正データ作成部41と、加減算器36と、シフトレジスタ37と、第1ラッチ部38と、第2ラッチ部39と、D/A変換部40とを備えている。なお、第1復号部32、第1空間分散処理部33、および第1時間分散処理部34によって第1補正データ作成部が構成され、第2復号部32b、第2空間分散処理部33b、および第2時間分散処理部34bによって第2補正データ作成部が構成されている(いずれも図示せず)。
【0092】
第1補正データ生成用データ記憶部31は、表示装置20の製造時に補正データ生成用データ作成装置10から入力される第1補正データ生成用データ(補正データ生成用データ)を記憶する不揮発性のメモリである。なお、本実施形態では、第1補正データ生成用データ記憶部31に、補正データ生成用データ作成装置10によって圧縮処理が施された第1補正データ生成用データを格納するようになっている。
【0093】
第1復号部32は、表示装置20において表示用画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させる際、第1補正データ生成用データ記憶部31に記憶されている第1補正データ生成用データを読み出し、この第1補正データ生成用データを復号して第1空間分散処理部33に出力する。なお、第1補正データ生成用データ記憶部31の記憶容量に余裕がある場合は、第1補正データ生成用データ生成部16が第1補正データ生成用データを圧縮せずに第1補正データ生成用データ記憶部31に記憶させるようにしてもよく、その場合、第1復号部32を省略してもよい。
【0094】
第1空間分散処理部33は、第1復号部32から入力された第1補正データ生成用データに基づいて、輝度ムラ領域に対応する各ソースラインにおける調整補正画素の位置を設定し、この設定結果を示す第1補正データを第1時間分散処理部34に出力する。具体的には、ソースラインの端部から何画素目の画素を調整補正画素とするか(オフセット値)を決定するとともに、当該画素および当該画素から所定間隔毎の画素を調整補正画素として設定する。
【0095】
なお、上記比が1以下である輝度ムラ領域については調整補正画素の階調値を1階調変化させる一方、その他の画素については補正しない。また、上記比が1を超える輝度ムラ領域については、当該輝度ムラ領域における各画素の階調値を上記比の整数部分に応じた階調値だけ変化させるとともに、調整補正画素の階調値をさらに1階調変化させる。あるいは、上記比が1を超える輝度ムラ領域については、調整補正画素の階調値を上記nの値に応じた階調値だけ変化させる一方、その他の画素については補正しないようにしてもよい。
【0096】
また、隣接する複数のソースラインにまたがって輝度ムラが生じている場合には、これら各ソースラインにおける調整補正画素同士のソースラインの延伸方向についての位置を隣接するソースライン間で異ならせて分散させるように各調整補正画素の位置を設定してもよい。図10は、この場合の第1補正データの一例を示す説明図である。
【0097】
第1時間分散処理部34は、第1空間分散処理部33から入力される第1補正データに基づいて、各ソースラインにおける調整補正画素の位置を、所定期間毎(例えば1フレーム毎)に変更するように設定し、この設定結果を示す第1補正データを統合処理部35に出力する。図11は、第1時間分散処理部34によって設定された第1補正データの一例を示す説明図である。この図に示す例では、第1時間分散処理部34は、調整補正画素の割合(調整補正画素同士のピッチ)を一定に保ったままで調整補正画素の位置(オフセット値)を1フレーム毎にソースラインの延伸方向に変化させている。
【0098】
なお、第1空間分散処理部33と第1時間分散処理部34の順番は逆であってもよい。すなわち、第1復号部32から第1時間分散処理部34に第1補正データ生成用データが入力され、第1時間分散処理部34から第1空間分散処理部33に第1補正データが入力される構成であってもよい。
【0099】
第2補正データ生成用データ記憶部31bは、表示装置20の製造時に補正データ生成用データ作成装置10から入力される第2補正データ生成用データ(補正データ生成用データ)を記憶する不揮発性のメモリである。なお、本実施形態では、第2補正データ生成用データ記憶部31bに、補正データ生成用データ作成装置10によって圧縮処理が施された第2補正データ生成用データを格納するようになっている。
【0100】
第2復号部32bは、表示装置20において表示用画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させる際、第2補正データ生成用データ記憶部31bに記憶されている第2補正データ生成用データを読み出し、この第2補正データ生成用データを復号して第2空間分散処理部33bに出力する。なお、第2補正データ生成用データ記憶部31bの記憶容量に余裕がある場合は、第2補正データ生成用データ生成部16bが第2補正データ生成用データを圧縮せずに第2補正データ生成用データ記憶部31bに記憶させるようにしてもよく、その場合、第2復号部32bを省略してもよい。
【0101】
第2空間分散処理部33bは、第2復号部32bから入力された第2補正データ生成用データに基づいて、各輝度ムラ領域における調整補正画素の位置を設定し、この設定結果を示す第2補正データを第2時間分散処理部34bに出力する。
【0102】
具体的には、第2空間分散処理部33bは、第2復号部32bから入力された第2補正データ生成用データから調整補正画素の割合(あるいは輝度ムラの程度に応じたグループの分類結果)を検出し、この検出結果に対応する補正位置のパターンを補正パターン記憶部(図示せず)から抽出することで調整補正画素を決定する。補正パターン記憶部には、第2補正データ生成用データに含まれている調整補正画素の割合(あるいは輝度ムラの程度に応じたグループの分類結果)に応じた、上記ブロック内における調整補正画素の位置を示すパターンが予め格納されている。図9(a)は、輝度ムラの程度を補正強度1〜8の8つのグループに分類する場合の上記ブロック内における調整補正画素の配置パターンの一例を示している(図中の黒丸が調整補正画素を示している)。
【0103】
図12(a)および図12(b)は、第2復号部32bから入力された第2補正データ生成用データ(半径、調整補正画素の割合などの情報)に基づいて、第2空間分散処理部33bが決定した調整補正画素の配置パターンの一例を示す説明図である。具体的には、図12(a)は輝度ムラ領域に対応する円形領域の半径が6(6画素)、この輝度ムラ領域が補正強度3のグループに分類される場合の例を示している。また、図12(b)は、輝度ムラ領域に対応する円形領域の半径が9(9画素)、この輝度ムラ領域が補正強度4のグループに分類される場合の例を示している。
【0104】
なお、図9(a)および図9(b)に示したように、調整補正画素の各割合(あるいは輝度ムラの程度に応じた各グループ)に対して、複数の調整補正画素の配置パターンを予め設定しておき、隣接するブロックにおいて異なる配置パターンを適用することにより、調整補正画素同士が隣り合わないようにしてもよい。
【0105】
また、上記の説明では補正パターンを補正パターン記憶部に予め記憶させておくものとしたが、これに限らず、例えばブロック内における調整補正画素の割合(あるいは輝度ムラの程度に応じたグループの分類結果)をパラメータとする所定の演算式に基づいて調整補正画素の位置を算出するようにしてもよい。
【0106】
また、上記の説明では、R,G,Bの各副画素について共通の配置パターンを用いて調整補正画素の位置を決定するものとしているが、これに限らず、色毎に配置パターンを設定するようにしてもよい。例えば、図13に示すように、輝度ムラの程度に応じた各グループ(あるいは調整補正画素の割合)に対して、Gの副画素に対する補正パターンと,RおよびBの副画素に対する補正パターンとを設定しておき、これら両補正パターンを用いて補正対象の各副画素を選択するようにしてもよい。あるいは、これら両補正パターンを交互に用いるようにしてもよい。
【0107】
第2時間分散処理部34bは、第2空間分散処理部33bから入力される第2補正データに基づいて、上記の各ブロックにおける調整補正画素の位置を、所定期間毎(本実施形態では1フレーム毎)に変更するように設定し、この設定結果を示す第2補正データを統合処理部35に出力する。
【0108】
例えば、図9(a)および図9(b)に示したように、第2補正データ生成用データに含まれている調整補正画素の各割合(あるいは輝度ムラの程度に応じた各グループ)に対して複数の調整補正画素の配置パターンを予め設定しておき、フレーム毎に適用する配置パターンを切り替えてもよい。あるいは、図14に示すように、配置パターンの適用位置をフレーム毎にずらすことにより、調整補正画素の位置を1フレーム毎に変更するようにしてもよい。
【0109】
なお、第2空間分散処理部33bと第2時間分散処理部34bの順番は逆であってもよい。すなわち、第2復号部32bから第2時間分散処理部34bに第2補正データ生成用データが入力され、第2時間分散処理部34bから第2空間分散処理部33bに第2補正データが入力される構成であってもよい。
【0110】
統合処理部35は、第1時間分散処理部34から出力された第1補正データと第2時間分散処理部34bから出力された第2補正データとを統合した統合補正データを生成し、加減算器36に出力する。
【0111】
例えば、統合処理部35は、スジ状の輝度ムラを補正するための第1補正データにおける各画素の補正量(階調補正値)と斑点状の輝度ムラを補正するための第2補正データにおける各画素の補正量(階調補正値)とを対応する画素毎に加算することによって統合補正データを生成する。
【0112】
なお、第1補正データにおける補正量と第2補正データにおける補正量とを加算した結果が予め定めた閾値を超える画素については、当該画素の補正量を上記閾値に設定するようにしてもよい。例えば、上記閾値を±1に設定しておき、第1補正データにおける補正量および第2補正データにおける補正量が共に+1階調である画素については当該画素の補正量を+1階調に設定すればよい。同様に、第1補正データにおける補正量および第2補正データにおける補正量が共に−1階調である画素については当該画素の補正量を−1階調に設定すればよい。上記の閾値は±1に限るものではなく、1以上の任意の数値に設定することができる。
【0113】
加減算器36は、統合補正データにおける各画素の補正量を当該各画素に対応する表示用画像データの各画素の画素値に加減算処理してシフトレジスタ37に順次出力する。例えば、補正量が+1階調の場合には階調値1を加算し、補正量が−1階調の場合には階調値1を減算する。
【0114】
なお、本実施形態では、加減算器36には表示用画像データの各画素の画素値がシリアルに入力され、それに同期して統合処理部35から加減算器36に統合補正データがシリアルに入力されるようになっている。
【0115】
シフトレジスタ37は、直列入力並列出力型(SIPO(Serial-In, Parallel-Out))のシフトレジスタであり、加減算器36からシリアルに出力された加減算処理後の1ゲートライン分の表示用画像データをパラレルに変換して第1ラッチ部38に出力する。
【0116】
第1ラッチ部38は、シフトレジスタ37からパラレルに出力された1ライン(1ゲートライン)分の表示用画像データをラッチし、第2ラッチ部39は第1ラッチ部38にラッチされた1ライン(1ゲートライン)分の画像データを再ラッチする。
【0117】
D/A変換部(デジタル/アナログ変換部)40は、第2ラッチ部39にラッチされた1ライン(1ゲートライン)分の画像データをアナログ信号に変換し、表示パネル21の各ソースラインに所定のタイミングで出力する。
【0118】
表示パネル21は、多数のゲートライン(走査信号線)と多数のソースライン(データ信号線)とを備えており、これらゲートラインおよびソースラインによって区画されて成るマトリクス状の各領域にそれぞれ画素が設けられている(いずれも図示せず)。
【0119】
各画素は、スイッチング用トランジスタと画素容量とからなり、画素容量は液晶容量と必要に応じて付加される補助容量とから構成されている(いずれも図示せず)。スイッチング用トランジスタは、ゲートがゲートラインに接続され、ソースがソースラインに接続され、ドレインが画素容量の一方の電極に接続されている。なお、画素容量の他方の電極は、全画素に共通の共通電極線に接続されている。
【0120】
これにより、ゲートドライバ(図示せず)によってゲートラインが選択されると、選択されたゲートラインに接続されている各画素のスイッチング用トランジスタが導通し、それと同期して駆動制御装置22aのD/A変換部40から各ソースラインに印加された電圧が対応する画素容量に印加される。
【0121】
なお、ゲートラインの選択期間が終了して、スイッチング用トランジスタが遮断されている間、画素容量は該遮断時の電圧を保持し続ける。液晶の透過率または反射率は、液晶容量に印加される電圧によって変化するので、ゲートラインを選択し、ソースラインに画像データに応じた電圧を印加することで、画素の表示状態を画像データに合わせて変化させることができる。
【0122】
以上のように、本実施形態にかかる表示装置20は、表示用画像データに統合補正データを加減算処理することによって表示用画像データを補正する加減算器36を備えている。これにより、上述した従来技術のように表示用画像データに補正データを乗算する構成に比べて、乗算器やビット圧縮回路を備える必要がないので、回路規模を大幅に縮小し、製造コストを大幅に低減することができる。
【0123】
また、本実施形態では、スジ状の輝度ムラを補正するための第1補正データを作成する処理部(第1補正データ生成用データ記憶部31、第1復号部32、第1空間分散処理部33、および第1時間分散処理部34)と、斑点状の輝度ムラを補正するための第2補正データを作成する処理部(第2補正データ生成用データ記憶部31b、第2復号部32b、第2空間分散処理部33b、および第2時間分散処理部34b)とを別々に設けている。これにより、例えば、スジ状の輝度ムラを補正するための第1補正データ生成用データの圧縮方法と、斑点状の輝度ムラを補正するための第2補正データ生成用データの圧縮方法とが異なる場合であっても、これら両補正データ生成用データに基づく補正処理を効率よく行うことができる。
【0124】
また、本実施形態では、表示装置20が、表示用画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させる際、第1補正データ生成用データ記憶部31に記憶されている第1補正データ生成用データおよび第2補正データ生成用データ記憶部31bに記憶されている第2補正データ生成用データに基づいて調整補正画素を選択し、選択した調整補正画素の階調値の補正量をこの調整補正画素が属する補正領域における他の画素に対する階調値の補正量と異ならせる。また、第2補正データ生成用データ記憶部31bに記憶されている第2補正データ生成用データに基づいて補正領域に含まれる画素のうち上記割合に応じた数の画素を調整補正画素として選択し、選択した調整補正画素の階調値の補正量を他の画素に対する階調値の補正量と異ならせる。
【0125】
このように、補正領域に含まれる画素のうち、調整補正画素の補正量を他の画素の補正量と異ならせることにより、当該補正領域の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に補正した場合と略同様に視認させることができる。すなわち、補正領域の全画素の輝度値を擬似的に表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)の中間調で補正することができる。したがって、輝度ムラを精度よく補正し、輝度ムラ視認されることをより適切に防止することができる。
【0126】
図15は、スジ状の輝度ムラの補正処理を行っていない検査用画像データに応じた画像を表示させた状態の表示パネル21を撮像した撮像データから得られた輝度データと、スジ状の輝度ムラの補正処理を施した検査用画像データに応じた画像を表示させた表示パネル21を撮像した撮像データから得られた輝度データの輝度データとを示すグラフである。なお、横軸は各ライン画素群の位置を示しており、縦軸は各ライン画素群の輝度値(上記各ライン画素群に属する画素の輝度値の平均値)を示している。これらのグラフからも明らかなように、本実施形態にかかる補正方法により、スジ状の輝度ムラが視認されないように画像データを補正することができる。
【0127】
また、本実施形態では、各補正領域における調整補正画素の位置を所定期間毎(例えば1フレーム毎)に変化させる。つまり、調整補正画素の位置を輝度ムラ領域内において空間的かつ時間的に分散させる。
【0128】
これにより、視認される画像を、輝度ムラ領域内の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは小数部分が0でない階調値)で一律に変化させた場合の画像により近づけることができる。したがって、輝度ムラが視認されることをより適切に防止することができる。
【0129】
また、本実施形態では、表示装置20に備えられる第1補正データ生成用データ記憶部31に、輝度ムラ領域の位置を示す情報と、当該輝度ムラ領域に対する調整補正画素の割合(調整補正画素間隔)と、上記調整補正画素について少なくとも1階調高くするか低くするかを示す情報とを記憶させておき、表示装置20に備えられる第1空間分散処理部33および第1時間分散処理部34が、表示用画像データに応じた画像を表示させる際に、輝度ムラ領域における調整補正画素の位置を空間的かつ時間的に分散させるように決定している。これにより、第1補正データ生成用データのデータサイズを小さくし、第1補正データ生成用データ記憶部31に要求される記憶容量を低減することができる。
【0130】
ただし、これに限らず、表示用画像データを表示させる際の調整補正画素の位置を補正データ生成用データ作成装置10において予め設定し、各調整補正画素の位置と、各調整補正画素について1階調高くするのか低くするのかを示す情報とを第1補正データ生成用データ記憶部31に記憶させるようにしてもよい。すなわち、第1空間分散処理部33および第1時間分散処理部34を表示装置20ではなく補正データ生成用データ作成装置10に備えてもよい。この場合、表示装置20の回路構成を簡略化するとともに、表示用画像データの補正処理にかかる処理速度を高速化することができる。
【0131】
また、本実施形態では、各輝度ムラ領域における適正輝度値に対する輝度値のずれを算出する際、ライン画素群の輝度値の移動平均値を適正輝度値とみなして上記の輝度値のずれを算出する。これにより、例えばバックライトからの照射光の輝度分布などによって表示画面上の位置に応じて適正輝度値が異なる場合であっても、各輝度ムラ領域における適正輝度値に対する輝度値のずれの程度を容易かつ適切に算出することができる。なお、例えば表示画面上の位置に応じた適正輝度値が予めわかっているような場合には、その適正輝度値に基づいて各輝度ムラ領域における輝度値のずれを算出してもよい。
【0132】
また、本実施形態では、斑点状の輝度ムラに対応する補正領域を円形領域に近似し、この円形領域の中心座標と半径とを上記補正領域の位置を示す情報として第2補正データ生成用データに含める。これにより、第2補正データ生成用データには、各補正領域の中心座標および半径、各補正領域における調整補正画素数の割合(あるいは輝度ムラの程度に応じて分類されたグループを示す情報)、および調整補正画素の階調値を1階調高くするのか低くするのかを示す情報の4つのパラメータを含めるだけでよいので、第2補正データ生成用データのデータ量を低減して表示装置20に備えられる第2補正データ生成用データ記憶部31bに要求される記憶容量を低減することができる。
【0133】
なお、補正領域を円形領域に近似する構成に限らず、例えば多角形に近似してもよい。その場合、補正領域の位置および範囲を示す情報として、例えば、上記多角形の各頂点の位置を補正データ生成用データに含めるようにしてもよく、上記多角形が正多角形である場合には当該多角形の外接円または内接円の中心位置および半径を補正データ生成用データに含めるようにしてもよい。
【0134】
また、調整補正画素の位置を空間的かつ時間的に分散させるためのデータを補正データ生成用データ作成装置10において予め作成し、このデータを第2補正データ生成用データ記憶部31bに記憶させるようにしてもよい。すなわち、第2空間分散処理部33bおよび第2時間分散処理部34bを表示装置20ではなく補正データ生成用データ作成装置10に備えてもよい。この場合、表示装置20の回路構成および画像データの補正処理を簡略化するとともに、処理速度を高速化することができる。
【0135】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態と同様の機能を有する部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0136】
図16は、本実施形態にかかる表示装置20に備えられる駆動制御装置22bの構成を示すブロック図である。駆動制御装置22bは、実施形態1における駆動制御装置22aに代えて表示装置20に備えられる。この図に示すように、駆動制御装置22bは、実施形態1における駆動制御装置22aの構成に加えて、フレーム比較部42、RAM(フレームバッファ)43、およびシフトレジスタ44とを備えている。
【0137】
RAM43は、1フレーム分(1画面分)の表示用画像データを記憶するメモリ(所謂フレームバッファメモリ)であり、図示しない制御部から入力されるクロック信号に応じた所定のタイミングで格納している1フレーム分の表示用画像データを1ライン(1ゲートライン)分ずつパラレルにシフトレジスタ44に出力する。なお、本明細書では、RAM43が1ゲートラインに対応する画素毎に画像データを並列に出力する場合について主に説明するが、これに限らず、表示画面の1ゲートラインに対応する各画素を複数の画素からなるグループに分割し、分割したグループ毎に画像データを並列に出力するようにしてもよい。
【0138】
フレーム比較部42は、外部から入力された1フレーム分(RAM43に格納されている表示用画像データの次に表示を行うフレーム(第2フレーム))の表示用画像データと、RAM43に格納されている当該フレームより前の1フレーム分の表示用画像データとを比較する。そして、これら両表示用画像データが異なっている場合、フレーム比較部42は、RAM43に格納する表示用画像データを上記の外部から入力された1フレーム分の表示用画像データに更新する。一方、上記の両表示用画像データが同じである場合、フレーム比較部42は、RAM43に格納する表示用画像データを更新せず、既に格納されている表示用画像データを引き続きRAM43に格納させる。これにより、次に表示するフレームの表示用画像データが前回表示したフレームの表示用画像データと同じである場合には、RAM43に格納されている共通の表示用画像データに基づいて表示が行われる。
【0139】
シフトレジスタ44は、直列入力並列出力型(PISO(Parallel-In, Serial-Out))のシフトレジスタであり、RAM43からパラレルに出力された1ライン(1ゲートライン)分の表示用画像データをシリアルに変換して1画素分ずつ加減算器36に出力する。
【0140】
加減算器36には、図示しない制御回路から高速クロック(水平走査周波数にソースラインの数を乗じた周波数以上の周波数を有するクロック)が入力され、この高速クロックに同期して、シフトレジスタ44から出力される各画素の表示用画像データに補正データ作成部41から入力される各画素の統合用補正データを加減算処理する。
【0141】
補正データ作成部41、シフトレジスタ37、第1ラッチ部38、第2ラッチ部39、およびD/A変換部40の構成は実施形態1と同様である。
【0142】
以上のように、本実施形態では、1フレーム分の表示用画像データを1ライン(1ゲートライン)分ずつパラレルに出力するRAM43と、RAM43からパラレルに出力された表示用画像データをシリアルに変換して1画素分ずつ加減算器36に出力するシフトレジスタ44とを備えている。
【0143】
これにより、表示用画像データをパラレルに出力するRAM43を備えた構成であっても、シフトレジスタ44から1画素分ずつシリアルに出力される表示用画像データと補正データ作成部41から1画素分ずつシリアルに出力される統合補正データとの加減算処理を行い、表示用画像データに対する輝度ムラの補正処理を行うことができる。また、1画素分の表示用画像データと1画素分の統合補正データとを加減算処理する加減算器36を備えるだけでよいので、上述した従来技術のように表示用画像データに補正データを乗算する構成に比べて、乗算器やビット圧縮回路を備える必要がないので、回路規模を大幅に縮小し、製造コストを大幅に低減することができる。
【0144】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態と同様の機能を有する部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0145】
図17は、本実施形態にかかる表示装置20に備えられる駆動制御装置22cの構成を示すブロック図である。駆動制御装置22cは、実施形態1における駆動制御装置22aに代えて表示装置20に備えられる。この図に示すように、駆動制御装置22cは、加減算器36に代えて加減算器36bが備えられている点、直列入力並列出力型のシフトレジスタ37が補正データ作成部41と加減算器36bとの間に設けられている点、および並列入力直列出力型のシフトレジスタ44が設けられておらず、RAM43からの出力が加減算器36bに直接入力される点が実施形態2における駆動制御装置22bと異なっている。
【0146】
シフトレジスタ37は、補正データ作成部41から1画素分ずつシリアルに出力される統合補正データをパラレルに変換し、1ライン(1ゲートライン)分ずつ加減算器36bに出力する。
【0147】
加減算器(並列加減算器)36bは、RAM43から1ライン(1ゲートライン)分ずつパラレルに出力される表示用画像データにおける各画素のデータと、シフトレジスタ37から1ライン(1ゲートライン)分ずつパラレルに出力される表示用画像データにおける各画素のデータとを加減算処理し、第1ラッチ部38に1ライン(1ゲートライン)分ずつパラレルに出力する。具体的には、加減算器36bは、1画素分の表示用画像データと1画素分の統合補正データとを加減算処理する加減算器をソースラインの数と同数備えており、1ライン(1ゲートライン)分の加減算処理を並行して行うようになっている。
【0148】
以上のように、本実施形態では、1フレーム分の表示用画像データを1ライン(1ゲートライン)分ずつパラレルに出力するRAM43と、補正データ作成部41から1画素分ずつシリアルに出力される統合補正データをパラレルに変換し、1ライン(1ゲートライン)分ずつ加減算器36bに出力するシフトレジスタ37とを備えている。また、加減算器36bは、1ライン(1ゲートライン)分の各画素についての加減算処理を並行して行う。
【0149】
これにより、表示用画像データをパラレルに出力するRAM43を備えた構成であっても、表示用画像データに対する輝度ムラの補正処理を行うことができる。また、1ライン分の表示用画像データと1ライン分の統合補正データとを加減算処理する加減算器36bを備えるだけでよいので、上述した従来技術のように表示用画像データに補正データを乗算する構成に比べて、乗算器やビット圧縮回路を備える必要がないので、回路規模を大幅に縮小し、製造コストを大幅に低減することができる。
【0150】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態と同様の機能を有する部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0151】
図18は、本実施形態にかかる表示装置20に備えられる駆動制御装置22dの構成を示すブロック図である。駆動制御装置22dは、実施形態1における駆動制御装置22aに代えて表示装置20に備えられる。この図に示すように、駆動制御装置22dは、補正データ作成部41、加減算器36、第1ラッチ部38、第2ラッチ部39、D/A変換部40、フレーム比較部42、RAM43、逆変換データ生成部45、および第2加減算器46を備えている。
【0152】
加減算器36は、フレーム比較部42から1画素ずつシリアルに入力される表示用画像データと補正データ作成部41から1画素分ずつシリアルに入力される統合補正データとの加減算処理を行い、加減算処理後の表示用画像データをRAM43に格納する。また、加減算器36は、各画素についての加減算処理の結果を逆変換データ生成部45に出力する。
【0153】
RAM43は、1ライン(1ゲートライン)分の表示用画像データを格納し、格納した表示用画像データを所定のタイミングで第1ラッチ部38に1ライン(1ゲートライン)分ずつパラレルに出力する。
【0154】
逆変換データ生成部45は、加減算器36から入力される加減算処理の結果に基づいて、RAM43に格納されている加減算処理後の表示用画像データを加減算処理前の表示用画像データに戻すための逆変換データを生成し、第2加減算器46に出力する。例えば、加減算処理によって1階調高くされた画素については1階調低くするための逆変換データを生成し、加減算処理によって1階調低くされた画素については1階調高くするための逆変換データを生成する。
【0155】
第2加減算器46は、RAM43に格納されている表示用画像データに対して、逆変換データ生成部45から入力される逆変換データを加減算処理することにより、RAM43に格納されている表示用画像データに対して加減算器36による加減算処理の逆処理を行い、加減算処理が施される前の状態に復元してフレーム比較部42に出力する。
【0156】
フレーム比較部42は、第2加減算器46から入力される表示用画像データと、外部から入力される次のフレームの表示用画像データとを比較する。そして、両表示用画像データが異なっている場合、次のフレームの表示用画像データを加減算器36に出力し、統合補正データの加減算処理を行わせる。一方、両表示用画像データが同じである場合、フレーム比較部42は、加減算器36による加減算処理を行わせず、RAM43に格納されている前のフレームの表示用画像データをRAM43から第1ラッチ部38に出力させて表示を行わせる。
【0157】
以上のように、本実施形態では、輝度ムラ補正のための加減算処理が施された1フレーム分の表示用画像データを格納するRAM43と、RAM43に格納されている表示用画像データに対して上記加減算処理が施される前の表示用画像データに戻すための逆変換処理を行う逆変換データ生成部45および第2加減算器46と、逆変換処理が施された1フレーム分の表示用画像データと外部から入力される次のフレームの表示用画像データとを比較するフレーム比較部とを備えている。
【0158】
これにより、表示用画像データをパラレルに出力するRAM43を備えた構成であっても、表示用画像データに対する輝度ムラの補正処理を行うことができる。また、1画素分の表示用画像データと1画素分の統合補正データとを加減算処理する加減算器36bを備えるだけでよいので、上述した従来技術のように表示用画像データに補正データを乗算する構成に比べて、乗算器やビット圧縮回路を備える必要がないので、回路規模を大幅に縮小し、製造コストを大幅に低減することができる。
【0159】
また、RAM43に格納されている輝度ムラ補正後の1フレーム分の表示用画像データを逆変換処理して得られる輝度ムラ補正前の1フレーム分の表示用画像データと、輝度ムラ補正前の次のフレームの表示用画像データとを比較し、両表示用画像データが同じである場合には、加減算器36による輝度ムラ補正処理(加減算処理)を省略してRAM43に格納する表示用画像データの更新を行わず、RAM43に既に格納されている輝度ムラ補正後の表示用画像データに基づいて表示を行うことができる。これにより、処理効率を向上させ、消費電力の低減を図ることができる。
【0160】
なお、輝度ムラは、一般に、中間調の画像(特に濃いグレーの画像)を表示させた場合に視認されやすく、白画像(あるいは白に近い画像)や黒画像(あるいは黒に近い画像)を表示させた場合には比較的視認されにくい。このため、白画像や黒画像を表示させる場合に上述した輝度ムラの補正処理を行うと、補正した領域が不自然に視認されてしまう場合がある。
【0161】
このため、上記の各実施形態において、輝度ムラの補正処理の対象とする表示用画像データの上限値および下限値を予め設定しておき、補正処理前の表示用画像データの階調レベルが上限値以上の場合および下限値以下の場合には補正処理を行わないようにしてもよい。例えば、補正データ作成部41からフレーム比較部42に統合補正データを入力し、フレーム比較部42が外部から入力される表示用画像データにおける補正領域に属する画素の階調値の平均値と上記上限値および上記下限値とを比較し、上限値以上の補正領域および下限値以下の補正領域については補正処理(加減算処理)を行わせないように加減算器36を制御するようにしてもよい。
【0162】
一般的には、濃いグレーの画像を表示させた場合に輝度ムラが視認されやすいことから、例えば、下限値を階調値の最大値(白画像)の10%、上限値を階調値の最大値の80%に設定すればよい。具体的には、例えば、表示用画像データの取り得る階調値0〜63(0が黒画像、63が白画像)に対して、下限値を階調値6、上限値を階調値51に設定し、補正処理前の表示用画像データにおける各画素の階調値の平均値が6以下である補正領域および51以上である補正領域については輝度ムラの補正処理を行わないようにすればよい。
【0163】
なお、上記の上限値および下限値は、例えば、各階調レベルの画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させた場合の輝度ムラの目視試験や、各階調レベルの画像データに補正処理を施して表示した場合に補正領域が不自然に視認されるか否かの目視試験の結果に応じて適宜設定すればよい。
【0164】
また、補正領域に属する各画素の階調値の平均値と上限値および下限値とを比較する構成に限らず、例えば、補正領域に属する各画素の階調値の最大値、最小値、最大値と最小値の中間値、補正領域に属する各画素うちの一部の画素についての階調値の平均値、最大値、最小値、最大値と最小値の中間値のうちのいずれかと、上限値および下限値とを比較するようにしてもよい。
【0165】
また、表示用画像データにおける補正領域に含まれる各画素の階調値と、予め定められた上限値および下限値とを比較し、階調値が上記上限値以上である画素および上記下限値以下である画素については階調値を補正しない構成としてもよい。
【0166】
また、上記各実施形態では、スジ状の輝度ムラおよび斑点状の輝度ムラの両方を補正するための補正データを表示用画像データに加減算処理する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、スジ状の輝度ムラまたは斑点状の輝度ムラの一方のみを補正するための補正データを表示用画像データに加減算処理する構成としてもよい。また、輝度ムラの補正データを表示用画像データに加減算処理する構成に限らず、例えば表示装置が液晶表示装置である場合にバックライトからの照射光の輝度のばらつきに起因する表示画像のムラを補正するための補正データを表示用画像データに加減算処理する構成としてもよい。また、複数の表示パネルを組み合わせて表示画面を形成している表示装置において、各表示パネルの協会部近傍において各表示パネルの特性のばらつきに起因する表示画像のムラを補正するための補正データを表示用画像データに加減算処理する構成としてもよい。
【0167】
また、上記各実施形態では、補正データ生成用データ作成装置10が表示装置20とは別に備えられているものとしたが、これに限るものではなく、補正データ生成用データ作成装置10の一部または全部が表示装置20に備えられている構成としてもよい。補正データ生成用データ作成装置10のうち、撮像部12を除く各部を表示装置20に設け、撮像部12によって表示パネル21の表示画面を撮像して取得した撮像データを表示装置20内に設けられた補正データ生成用データ作成装置10に入力するようにしてもよい。
【0168】
また、上記各実施形態において、補正データ生成用データ作成装置10あるいは駆動制御装置22a〜22dに備えられる各部(各ブロック)を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、これら各ブロックは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログ
ラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(randomaccess memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである上記各ブロックの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、補正データ生成用データ作成装置10あるいは駆動制御装置22a〜22dに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
【0169】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0170】
また、補正データ生成用データ作成装置10あるいは駆動制御装置22a〜22dを通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等
が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0171】
また、補正データ生成用データ作成装置10あるいは駆動制御装置22a〜22dの各ブロックは、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
【0172】
また、上記の各実施形態では、本発明を液晶表示装置に適用する場合について説明したが、本発明の適用対象はこれに限るものではなく、例えばプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置にも適用できる。
【0173】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0174】
本発明の表示装置は、表示用画像データに応じた画像を表示するための表示画面と、上記表示用画像データに対して上記表示画面の輝度ムラを補正するための補正処理を施し、補正処理後の表示用画像データに基づいて上記表示画面の各画素の表示状態を制御する駆動制御部とを備えた表示装置であって、上記駆動制御部は、上記輝度ムラを補正するための階調補正値を画素毎に示した補正データにおける各画素の階調補正値を、当該各画素に対応する上記表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算することによって上記補正処理を行う加減算部を備えている構成としてもよい。
【0175】
また、本発明の表示装置の輝度ムラ補正方法は、表示用画像データに応じた画像を表示するための表示画面と、上記表示用画像データに対して上記表示画面の輝度ムラを補正するための補正処理を施し、補正処理後の表示用画像データに基づいて上記表示画面の各画素の表示状態を制御する駆動制御部とを備えた表示装置における上記表示画面の輝度ムラ補正方法であって、上記輝度ムラを補正するための階調補正値を画素毎に示した補正データにおける各画素の階調補正値を、当該各画素に対応する上記表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算することによって上記補正処理を行う加減算工程を含む方法としてもよい。
【0176】
上記の表示装置および輝度ムラ補正方法によれば、輝度ムラを補正するための階調補正値を画素毎に示した補正データにおける各画素の階調補正値を当該各画素に対応する表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算することによって表示用画像データの補正処理を行う。これにより、上述した従来の技術に比べて、乗算器やビット圧縮回路を備える必要がないので、回路規模を大幅に縮小し、製造コストを大幅に低減することができる。
【0177】
また、上記加減算部は、上記表示用画像データおよび上記補正データがそれぞれ1画素分ずつ直列に入力されるようになっており、直列に入力される上記表示用画像データの各画素の輝度値に対して、当該各画素に対応する上記補正データの画素の階調補正値を1画素ずつ順次、加算または減算する構成としてもよい。
【0178】
上記の構成によれば、表示用画像データの補正処理を、より簡単な構成の加減算部で実現することができる。
【0179】
また、上記表示画面は、互いに平行に配置された多数の走査信号線と互いに平行に配置された多数のデータ信号線とが交差するように配置され、上記走査信号線と上記データ信号線との交差部毎に画素が設けられており、1フレーム分の上記表示用画像データを記憶し、記憶した表示用画像データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎あるいは1走査信号線に対応する各画素を複数の画素からなるグループに分割したグループ毎に並列に出力するRAMと、上記RAMから出力された上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎の表示用画像データを1画素分ずつ直列に出力する並列入力直列出力型のシフトレジスタとを備え、上記加減算部は、上記シフトレジスタから1画素分ずつ直列に出力される上記表示用画像データの各画素の輝度値に対して、当該各画素に対応する上記補正データの画素の階調補正値を1画素ずつ順次、加算または減算する構成としてもよい。
【0180】
1フレーム分の上記表示用画像データを記憶するRAM(いわゆるフレームバッファ)を備えた構成では、RAMからの出力は一般に1走査信号線毎(あるいは1走査信号線上の各画素を複数の画素からなるグループに分割したグループ毎)に並列に出力される。これに対して、上記の構成では、RAMから1走査信号線毎(あるいは上記グループ毎)に並列に出力された表示用画像データが入力され、入力された表示用画像データを加減算部に対して1画素ずつ直列に出力する並列入力直列出力型のシフトレジスタを備えている。これにより、加減算部において、直列に入力される表示用画像データの各画素の輝度値に対して、当該各画素に対応する補正データの画素の階調補正値を1画素ずつ順次、加算または減算することができる。したがって、表示用画像データを表示画面の1走査信号線に対応する画素毎あるいは1走査信号線に対応する各画素を複数の画素からなるグループに分割したグループ毎に並列に出力するRAMを備えた構成であっても、簡単な構成の加減算部で補正処理を行うことができる。
【0181】
また、上記表示画面は、互いに平行に配置された多数の走査信号線と互いに平行に配置された多数のデータ信号線とが交差するように配置され、上記走査信号線と上記データ信号線との交差部毎に画素が設けられており、上記加減算部によって上記補正処理が施された1フレーム分の上記表示用画像データを記憶し、記憶した表示用画像データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎あるいは1走査信号線に対応する各画素を複数の画素からなるグループに分割したグループ毎に並列に出力するRAMと、上記加減算部によって上記補正処理が施されて上記RAMに記憶されている表示用画像データに対して上記補正処理の逆処理を行い、上記補正処理が施される前の表示用画像データを復元する逆変換処理部と、上記逆変換処理によって復元された上記表示用画像データと、上記RAMに記憶されている表示用画像データの次に表示を行うフレームである第2フレームの表示用画像データとを比較するフレーム比較部とを備え、上記加減算部は、上記逆変換処理によって復元された上記表示用画像データと上記第2フレームの表示用画像データとが異なると上記フレーム比較部が判断した場合に、上記第2フレームの表示用画像データの各画素の輝度値に対して、当該各画素に対応する上記補正データの画素の階調補正値を加算または減算することによって上記補正処理を行い、上記RAMに記憶させる1フレーム分の表示用画像データを上記補正処理後の表示用画像データに更新する一方、上記逆変換処理によって復元された上記表示用画像データと上記第2フレームの表示用画像データとが同じであると上記フレーム比較部が判断した場合には上記RAMに記憶させる表示用画像データの更新を行わない構成としてもよい。
【0182】
上記の構成によれば、逆変換処理部がRAMに格納されている補正処理後の表示用画像データに対して逆変換処理を行って補正処理前の表示用画像データを復元する。これにより、フレーム比較部において現フレームの表示用画像データ(RAMに格納されている表示用画像データに対して逆変換処理を施した表示用画像データ)と次フレーム(第2フレーム)の表示用画像データとを比較する際、補正処理が施されていない状態の表示用画像データ同士を比較することができる。したがって、現フレームの表示用画像データと次フレームの表示用画像データとが同じであるか否かを適切に判断することができる。また、加減算部では、RAMに格納する前の表示用画像データおよび補正データがそれぞれ1画素分ずつ直列に入力されるので、直列に入力される表示用画像データの各画素の輝度値に対して当該各画素に対応する補正データの画素の階調補正値を1画素ずつ順次、加算または減算することで補正処理を行える。したがって、簡単な構成で補正処理を行うことができる。
【0183】
また、上記表示画面は、互いに平行に配置された多数の走査信号線と互いに平行に配置された多数のデータ信号線とが交差するように配置され、上記走査信号線と上記データ信号線との交差部毎に画素が設けられており、1フレーム分の上記表示用画像データを記憶し、記憶した表示用画像データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎あるいは1走査信号線に対応する各画素を複数の画素からなるグループに分割したグループ毎に並列に出力するRAMと、1画素分ずつ直列に入力される上記補正データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎に対応する画素毎に並列に出力する直列入力並列出力型のシフトレジスタとを備え、上記加減算部は、上記RAMから上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎に並列に入力される上記表示用画像データの各画素に対して、上記シフトレジスタから上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎に並列に入力される補正データにおける上記各画素に対応する画素の階調補正値を並行して加算または減算する構成としてもよい。
【0184】
上記の構成によれば、1走査信号線に対応する各画素に対する加算または減算処理を並行して行うので、処理時間の短縮を図ることができる。また、上記の加減算部は、例えば、1走査信号線に対応する画素の数に応じた加減算器を備えるだけで実現できるので、上述した従来技術のように乗算器やビット圧縮器を備える必要がなく、簡単な構成で表示用画像データの補正を行うことができる。
【0185】
また、上記駆動制御部は、上記表示画面に検査用画像データに応じた画像を表示させた際に上記検査用画像データに対応する適正輝度値と異なる輝度値の画像が表示された領域である輝度ムラ領域のうちの少なくとも一部の輝度ムラ領域について、上記表示用画像データに応じた画像を表示する際の輝度値と当該表示用画像データに対応する適正輝度値との差を小さくするように、上記表示用画像データにおける上記少なくとも一部の輝度ムラ領域に対応する領域または当該輝度ムラ領域とその周辺領域とを含む領域である補正領域に含まれる画素の階調値を補正するための補正データの生成に用いる補正データ生成用データを記憶する補正データ生成用データ記憶部と、上記表示用画像データに応じた画像を上記表示画面に表示させる際に、上記補正データ生成用データに基づいて上記補正領域に含まれる画素のうちの少なくとも一部の画素の階調値を変化させるように上記表示用画像データを補正するための上記補正データを生成する補正データ作成部とを備え、上記加減算部は、上記補正データ作成部が生成した補正データにおける各画素の階調補正値を、当該各画素に対応する上記表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算する構成としてもよい。
【0186】
上記の構成によれば、検査用画像データに応じた画像を表示画面に表示させたときの輝度ムラの発生状況に応じて補正データを作成し、作成した補正データに応じて輝度ムラの補正処理を行うことができる。これにより、輝度ムラを適切に補正できる。
【0187】
また、上記表示画面は、互いに平行に配置された多数の走査信号線と互いに平行に配置された多数のデータ信号線とが交差するように配置され、上記走査信号線と上記データ信号線との交差部毎に画素が設けられており、上記補正データ生成用データ記憶部は、上記表示画面においてデータ信号線の延伸方向に平行な方向に延伸するように存在するスジ状の輝度ムラを補正するための第1補正データの生成に用いる第1補正データ生成用データを記憶する第1補正データ生成用データ記憶部と、上記表示画面において局所的に存在する斑点状の輝度ムラを補正するための第2補正データの生成に用いる第2補正データ生成用データを記憶する第2補正データ生成用データ記憶部とを備え、上記補正データ作成部は、上記表示用画像データに応じた画像を上記表示画面に表示させる際に、上記第1補正データ生成用データに基づいて、スジ状の輝度ムラに対応する上記補正領域に含まれる画素のうちの少なくとも一部の画素の階調値を変化させるように上記表示用画像データを補正するための上記第1補正データを生成する第1補正データ作成部と、上記表示用画像データに応じた画像を上記表示画面に表示させる際に、上記第2補正データ生成用データに基づいて、斑点状の輝度ムラに対応する上記補正領域に含まれる画素のうちの少なくとも一部の画素の階調値を変化させるように上記表示用画像データを補正するための上記第2補正データを生成する第2補正データ作成部と、上記第1補正データおよび上記第2補正データを統合した統合補正データを生成する統合処理部とを備えており、上記加減算部は、上記統合補正データにおける各画素の階調補正値を、当該各画素に対応する上記表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算することによって上記補正処理を行う構成としてもよい。
【0188】
上記の構成によれば、スジ状の輝度ムラおよび斑点状の輝度ムラを、簡単な回路で補正することができる。また、スジ状の輝度ムラを補正するための第1補正データを生成する第1補正データ作成部と斑点状の輝度ムラを補正するための第2補正データを生成する第2補正データ作成部とを別々に設けているので、第1補正データおよび第2補正データを、それぞれの輝度ムラの特性に応じたアルゴリズムで作成することができる。
【0189】
また、上記駆動制御部は、上記表示用画像データにおける上記補正領域に含まれる画素の階調値の平均値、最大値、最小値、最大値と最小値との中間値、あるいは上記補正領域に含まれる画素のうちの一部の画素の階調値の平均値、最大値、最小値、最大値と最小値との中間値のうちのいずれか1つの値と、予め定められた上限値および下限値とを比較し、上記いずれか1つの値が上記上限値以上である場合および上記いずれか1つの値が上記下限値以下である場合には、上記表示用画像データにおける上記補正領域に属する画素の階調値を補正しない構成としてもよい。
【0190】
また、上記駆動制御部は、上記表示用画像データにおける上記補正領域に含まれる各画素の階調値と、予め定められた上限値および下限値とを比較し、階調値が上記上限値以上である画素および上記下限値以下である画素については階調値を補正しない構成としてもよい。
【0191】
一般に、輝度ムラは中間調の画像(特に濃いグレーの画像)を表示させた場合に視認されやすく、白画像(あるいは白に近い画像)や黒画像(あるいは黒に近い画像)を表示させた場合には比較的視認されにくいため、白画像や黒画像に対して輝度ムラの補正処理を行うと補正した領域がかえって不自然に視認されてしまう。これに対して、上記の各構成によれば、輝度ムラの補正処理によって補正した領域が不自然に視認されてしまうことを防止できる。
【0192】
また、上記補正データ作成部は、上記補正領域に含まれる画素のうちの一部の画素を調整補正画素として選択し、調整補正画素に対する階調値の補正量を当該補正領域に含まれる調整補正画素以外の画素に対する階調値の補正量と異ならせる構成としてもよい。
【0193】
上記の構成によれば、視認される画像を補正領域内の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に変化させた場合の画像に近づけることができる。すなわち、補正領域の全画素の輝度値を擬似的に表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ補正することができる。したがって、輝度ムラが視認されることをより適切に防止することができる。
【0194】
例えば、携帯型の電子機器等に備えられる中型・小型の表示装置などにはRGB各色6bitの映像信号を用いて表示を行うものがあるが、これらの表示装置では映像信号における各階調間の輝度値の幅がRGB各色8bit等の表示装置に比べて大きくなる。このため、輝度ムラを補正するための補正値の大きさが映像信号の1階調に相当する値未満である場合が多く、従来のように補正領域内の階調補正値を一律にする構成では、補正量が不足したり補正量が多すぎたりして輝度ムラを適切に補正できなかった。これに対して、上記の構成によれば、視認される画像を、補正領域内の各画素を1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に変化させた場合の画像に近づけることができるので、輝度ムラをより適切に補正できる。
【0195】
また、上記補正データ作成部は、上記調整補正画素同士が上記補正領域内において密集せずに分散するように各調整補正画素を選択する構成であってもよい。
【0196】
上記の構成によれば、補正領域内における調整補正画素の位置を分散させることにより、視認される画像を当該補正領域の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に補正した場合により近づけることができる。
【0197】
また、上記補正データ作成部は、上記調整補正画素として選択する画素を上記補正領域内において所定期間毎に変更する構成としてもよい。
【0198】
上記の構成によれば、補正領域内における調整補正画素の位置を所定期間毎に変化させることにより、視認される画像を当該補正領域の全画素の輝度値を表示用画像データの1階調分に相当する輝度値未満(あるいは表示用画像データの小数部分が0でない階調値に相当する輝度値)だけ一律に補正した場合により近づけることができる。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種表示装置、およびこれらの表示装置に適用できる。
【符号の説明】
【0200】
10 補正データ生成用データ作成装置
20 表示装置
21 表示パネル
22a〜22d 駆動制御装置
31 第1補正データ生成用データ記憶部
31b 第2補正データ生成用データ記憶部
32 第1復号部(第1補正データ作成部)
32b 第2復号部(第2補正データ作成部)
33 第1空間分散処理部(第1補正データ作成部)
33b 第2空間分散処理部(第2補正データ作成部)
34 第1時間分散処理部(第1補正データ作成部)
34b 第2時間分散処理部(第2補正データ作成部)
35 統合処理部
36 加減算器(加減算部)
36b 加減算器(並列加減算器、加減算部)
37 シフトレジスタ(直列入力並列出力型のシフトレジスタ)
38 第1ラッチ部
39 第2ラッチ部
40 D/A変換部
41 補正データ作成部
42 フレーム比較部
43 RAM(フレームバッファ)
44 シフトレジスタ(並列入力直列出力型のシフトレジスタ)
45 逆変換データ生成部(逆変換処理部)
46 第2加減算器(逆変換処理部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示用画像データに応じた画像を表示するための表示画面と、上記表示用画像データに対して上記表示画面の輝度ムラを補正するための補正処理を施し、補正処理後の表示用画像データに基づいて上記表示画面の各画素の表示状態を制御する駆動制御部とを備えた表示装置であって、
上記駆動制御部は、
上記表示画面のうち上記補正処理の対象領域である補正領域に含まれる画素の階調値を補正するための補正データの生成に用いる補正データ生成用データを圧縮処理した圧縮データを記憶する不揮発性の記憶媒体からなる補正データ生成用データ記憶部と、
上記圧縮データを復号する復号部と、
上記表示用画像データに応じた画像を上記表示画面に表示させる際に、上記復号部が上記補正データ生成用データ記憶部に記憶されている上記圧縮データを復号することによって再現された補正データ生成用データに基づいて上記補正領域に含まれる画素のうちの少なくとも一部の画素の階調値を変化させるように上記表示用画像データを補正するための上記補正データを生成する補正データ作成部と、
上記補正データ作成部が生成した上記補正データにおける各画素の階調補正値を、当該各画素に対応する上記表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算することによって上記補正処理を行う加減算部とを備え、
上記補正データ作成部は、
上記補正領域に含まれる画素のうちの一部の画素を調整補正画素として選択し、調整補正画素に対する階調値の補正量を当該補正領域に含まれる調整補正画素以外の画素に対する階調値の補正量と異ならせ、かつ、上記調整補正画素が上記補正領域内において時間的または空間的に分散するように各調整補正画素を選択することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記補正データ作成部は、上記調整補正画素同士を上記補正領域内において空間的に分散させるように各調整補正画素を選択することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記補正データ作成部は、上記調整補正画素として選択する画素を上記補正領域内において所定期間毎に変更することにより上記調整補正画素を時間的に分散させることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記加減算部は、上記表示用画像データおよび上記補正データがそれぞれ1画素分ずつ直列に入力されるようになっており、直列に入力される上記表示用画像データの各画素の輝度値に対して、当該各画素に対応する上記補正データの画素の階調補正値を1画素ずつ順次、加算または減算し、
上記表示画面は、互いに平行に配置された多数の走査信号線と互いに平行に配置された多数のデータ信号線とが交差するように配置され、上記走査信号線と上記データ信号線との交差部毎に画素が設けられており、
上記加減算部によって上記補正処理が施された1フレーム分の上記表示用画像データを記憶し、記憶した表示用画像データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎あるいは1走査信号線に対応する各画素を複数の画素からなるグループに分割したグループ毎に並列に出力するRAMと、
上記加減算部によって上記補正処理が施されて上記RAMに記憶されている表示用画像データに対して上記補正処理の逆処理を行い、上記補正処理が施される前の表示用画像データを復元する逆変換処理部と、
上記逆変換処理によって復元された上記表示用画像データと、上記RAMに記憶されている表示用画像データの次に表示を行うフレームである第2フレームの表示用画像データとを比較するフレーム比較部とを備え、
上記加減算部は、上記逆変換処理によって復元された上記表示用画像データと上記第2フレームの表示用画像データとが異なると上記フレーム比較部が判断した場合に、上記第2フレームの表示用画像データの各画素の輝度値に対して、当該各画素に対応する上記補正データの画素の階調補正値を加算または減算することによって上記補正処理を行い、上記RAMに記憶させる1フレーム分の表示用画像データを上記補正処理後の表示用画像データに更新する一方、上記逆変換処理によって復元された上記表示用画像データと上記第2フレームの表示用画像データとが同じであると上記フレーム比較部が判断した場合には上記RAMに記憶させる表示用画像データの更新を行わないことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
上記表示画面は、互いに平行に配置された多数の走査信号線と互いに平行に配置された多数のデータ信号線とが交差するように配置され、上記走査信号線と上記データ信号線との交差部毎に画素が設けられており、
1フレーム分の上記表示用画像データを記憶し、記憶した表示用画像データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎あるいは1走査信号線に対応する各画素を複数の画素からなるグループに分割したグループ毎に並列に出力するRAMと、
1画素分ずつ直列に入力される上記補正データを上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎に対応する画素毎に並列に出力する直列入力並列出力型のシフトレジスタとを備え、
上記加減算部は、上記RAMから上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎に並列に入力される上記表示用画像データの各画素に対して、上記シフトレジスタから上記表示画面の1走査信号線に対応する画素毎に並列に入力される補正データにおける上記各画素に対応する画素の階調補正値を並行して加算または減算することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
表示用画像データに応じた画像を表示するための表示画面と、上記表示用画像データに対して上記表示画面の輝度ムラを補正するための補正処理を施し、補正処理後の表示用画像データに基づいて上記表示画面の各画素の表示状態を制御する駆動制御部とを備えた表示装置における上記表示画面の輝度ムラ補正方法であって、
上記表示画面のうち上記補正処理の対象領域である補正領域に含まれる画素の階調値を補正するための補正データの生成に用いる補正データ生成用データを圧縮処理した圧縮データを記憶する不揮発性の記憶媒体からなる補正データ生成用データ記憶部に記憶させる記憶工程と、
上記圧縮データを復号する復号工程と、
上記表示用画像データに応じた画像を上記表示画面に表示させる際に、上記復号工程により上記補正データ生成用データ記憶部に記憶されている上記圧縮データを復号することによって再現された補正データ生成用データに基づいて上記補正領域に含まれる画素のうちの少なくとも一部の画素の階調値を変化させるように上記表示用画像データを補正するための上記補正データを生成する補正データ作成工程と、
上記補正データ作成工程で生成した上記補正データにおける各画素の階調補正値を、当該各画素に対応する上記表示用画像データの画素の輝度値に加算または減算することによって上記補正処理を行う加減算工程とを含み、
上記補正データ作成工程では、
上記補正領域に含まれる画素のうちの一部の画素を調整補正画素として選択し、調整補正画素に対する階調値の補正量を当該補正領域に含まれる調整補正画素以外の画素に対する階調値の補正量と異ならせ、かつ、上記調整補正画素が上記補正領域内において時間的または空間的に分散するように各調整補正画素を選択することを特徴とする表示装置の輝度ムラ補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−141626(P2012−141626A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−42513(P2012−42513)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【分割の表示】特願2009−285685(P2009−285685)の分割
【原出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】