説明

表示装置で輝度値をサブフィールド符号語に符号化するための方法及び装置

【課題】本発明は、表示装置でサブフィールド符号語にピクチャの画素の輝度値を符号化するための方法及び装置に関する。
【解決手段】本発明は、映像ピクチャを表示するためにサブフィールド及びPWM(パルス幅変調)を用いる表示装置全てに対して適用される。本発明は、予測される何れの輝度の問題を補償するために用いられる。再帰的符号化の一般概念は、他のサブフィールドと共に一のサブフィールドで起こる問題を補償するようにサブフィールドを次々に符号化することである。更に、サブフィールド符号語のビットは、サブフィールド符号語のビットにより発生する光発光又は輝度における欠点(例えば、ライン負荷及び/又は直線性)がサブフィールド符号語の後続ビットにより補償されるように、再帰的に次々に計算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置のサブフィールド符号語にピクチャの画素の輝度値を符号化するための方法及び装置に関する。本発明は、映像ピクチャを表示するためにPMM技術及びサブフィールドを用いる全ての表示装置に適用される。
【背景技術】
【0002】
符号化は階調表現(直線性及びノイズディザリング)及び動き演出(擬似輪郭のレベル)を担うため、PWM技術を用いる表示のサブフィールド符号化部分は表示装置の最も重要な部分の1つである。
【0003】
サブフィールド符号化の目的は、サブフィールドデータでサブフィールドメモリを満たすことである。画素のサブフィールドデータは符号語であり、各々のビットは、サブフィールドの間、この画素の状態、即ち、“オン”又は“オフ”に対応できる。このサブフィールドメモリは、サブフィールド毎に、次のフレーム中に読み取られ、それは、画素毎に書き込まれる。この情報は、表示装置を制御するために直接用いられる。
【0004】
サブフィールド符号化ステップは、一般に、図1に示すようなデガンマ関数の後に行われる。デガンマ関数は、先ず、入力輝度値に適用される。それらの値は、次いで、サブフィールド符号化ステップによりサブフィールド符号語に符号化される。サブフィールド符号化ステップは、結局、ディザリングステップにより先行される。サブフィールド符号語は、次いで、サブフィールドメモリに記憶される。
【0005】
標準的方法においては、符号化ステップは、単純なルックアップテーブルを用いることにより実施される。サブフィールド符号語は各々の輝度値に関連付けられる。幾つかの問題は全く解決できないか又はこの標準的方法を用いるときに単純な方式でしか解が得られない。これはライン負荷の影響の場合であり、所定の輝度値に対して現画素により出射される光は、現画素が属す一ラインの画素の負荷により変化する。この問題は、標準的方法を用いることによって完全には解決されない。平均パワーレベルが表示装置において制御されるときの直線性の問題についても同様である。
【0006】
ライン負荷の影響については、図2及び3に示している。図2は、ライン負荷の影響の問題を被る表示装置により表示されたテストピクチャを示している。最初のライン及び最終のラインにおいては、画素の半分が黒色である一方、他の半分は白色である。図3は、その表示装置により表示されたピクチャを示している。ライン負荷の影響は中間ラインで可視的である。この効果について、次に説明する。即ち、サブフィールドが全部のラインで用いられるとき、その輝度は、そのサブフィールドが用いられないラインにおける輝度に比べて20%減少する。その値20%は、例として与えられている。中間ラインの画素の輝度値は、それ故、255・(1−(1−1/2)x0.20)=229.5である一方、他のラインの白色画素は255・(1−(1−1)x0.20)=255を有する。
【特許文献1】欧州特許第0973147号明細書
【特許文献2】米国特許第6069609号明細書
【特許文献3】米国特許第5596349号明細書
【特許文献4】欧州特許第0822536号明細書
【特許文献5】米国特許第6100859号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、何れの輝度の問題、特に、ライン負荷の影響の問題を単純な方法で解決することができるサブフィールド符号化方法について開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
それ故、本発明は、表示装置におけるサブフィールド符号語にピクチャの画素の輝度値を符号化するための方法であって、サブフィールド符号語の各々のビットは状態“オン”又は“オフ”を有し、その状態が“オン”であるときに、サブフィールドを呼ばれる期間の間に光発光を生成し、そのサブフィールド符号語により画素について発光される光は、ピクチャフレームを構成するサブフィールド符号語のビットに関連付けられるサブフィールドの全持続時間及び前記画素の輝度値を表す、方法に関する。各々のサブフィールドはその持続時間に比例する重みを有する。本発明にしたがって、各々のサブフィールド符号語のビットは、最も有効な重みを有するサブフィールドに関連付けられるビットから少なくとも有効な重みを有するサブフィールドに関連付けられるビットまで、対応するサブフィールドの重みの多い順に再帰的に計算される。
【0009】
特に、現画素のサブフィールド符号語の各々のビットは、
− 最も有効な重みを有するサブフィールドに関連付けられるビットについて、現画素の輝度値が前記ビットに関連付けられた閾値に等しいかそれより大きい場合、前記ビットに状態“オン”を割り当てることにより、及び
− サブフィールド符号語の各々の後続ビットについて、残留輝度値が前記ビットに関連付けられた閾値に等しいかそれより大きい場合、サブフィールド符号語の後続のビット及び前記ビットにより符号化されるべき残留輝度値を計算し、前記ビットに状態“いいえ”を割り当てることにより、
計算される。
【0010】
ビットに関連付けられた閾値は、前記ビット足す1に対応するサブフィールドの重みより小さい重みを有するサブフィールドの重みの和に等しい。
【0011】
特定の実施形態においては、現画素についてビットにより符号化されるべき残留輝度値は、現画素が属す表示装置のラインの画素の状態の関数として計算される。
【0012】
例えば、現画素のサブフィールド符号語の現ビットにより符号化されるべき残留輝度値は、
− 前記現ビットに関連付けられたサブフィールドの直前に計算される、先行するサブフィールドと呼ばれるサブフィールドについて、現画素が属す画素のラインにおいて“オン”状態の前記先行するサブフィールドに関連付けられたビットを有する画素の番号を計算し、
− 前記画素の番号に基づいて前記サブフィールドのサブフィールド輝度値を評価し、そして
− サブフィールド符号語の後続ビット及び前記先行サブフィールドに関連付けられたビットにより符号化されるべき輝度値から前記サブフィールド輝度値を減算する、
ことにより計算される。
【0013】
本発明はまた、表示装置におけるサブフィールド符号語にピクチャの画素の輝度値を符号化するための装置であって、サブフィールド符号語の各々のビットは状態“オン”又は“オフ”を有し、その状態が“オン”であるときに、サブフィールドを呼ばれる期間の間に光発光を生成し、そのサブフィールド符号語により画素について発光される光は、ピクチャフレームを構成するサブフィールド符号語のビットに関連付けられたサブフィールドの全持続時間及び前記画素の輝度値を表す、装置に関する。各々のサブフィールドはその持続時間に比例する重みを有する。本発明にしたがって、この装置は、各々のサブフィールド符号語のビットを、最も有効な重みを有するサブフィールドに関連付けられるビットから少なくとも有効な重みを有するサブフィールドに関連付けられがビットまで、対応するサブフィールドの重みの多い順に再帰的に計算する。
【0014】
現画素のサブフィールド符号語の各々のビットを計算するために、その装置は、
− 現画素の輝度値が前記ビットに関連付けられる閾値に等しいかそれより大きい場合、最も有効な重みを有するサブフィールド関連付けられがビットに状態“オン”を割り当てるため、及び、サブフィールド符号語の後続ビット及び前記ビットにより符号化されるべき残留輝度値が前記ビットに関連付けられた閾値に等しいか又はそれより大きい場合、前記ビットに状態“オン”を割り当てるための比較器回路と、
− サブフィールド符号語の後続ビット及び前記ビットにより符号化されるべき残留輝度を、最も有効な重みのサブフィールドに関連付けられたビットに後続するサブフィールド符号語の各々のビットについて計算するための計算回路と、
を有する。
【0015】
その装置は、サブフィールド符号語の異なるビットに関連付けられた閾値を出力するための制御器を更に有する。ビットに関連付けられた閾値は、有利であることに、前記ビット足す1に対応するサブフィールドの重みより小さい重みを有するサブフィールドの重みの和に等しい。
【0016】
好適な実施形態においては、計算回路は、現画素が属す表示装置のラインの画素の状態の関数として現画素についてビットにより符号化されるべき残留輝度値を計算する。その場合、現画素のサブフィールド符号語の現ビットにより符号化されるべき残留輝度値を計算するために、計算ユニットは、
− 前記現ビットに関連付けられたサブフィールドの直前に計算される、先行するサブフィールドと呼ばれるサブフィールドについて、現画素が属す画素のラインにおいて“オン”状態の前記先行するサブフィールドに関連付けられたビットを有する画素の番号を計算するための手段と、
− 前記画素の番号に基づいて前記サブフィールドのサブフィールド輝度値を評価するための手段と、
− サブフィールド符号語の後続ビット及び前記先行サブフィールドに関連付けられたビットにより符号化されるべき輝度値から前記サブフィールド輝度値を減算するための手段と、
を有する。
【0017】
本発明はまた、上記の符号化装置を有するPWM表示装置に関する。
本発明の例示としての実施形態については、図に示して、以下の詳細な説明で詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画素の輝度値を、それをサブフィールド符号語に変換するように適用されるステップを示す模式図である。
【図2】本発明の方法を用いて符号化されるべきテストピクチャである。
【図3】図2のテストピクチャについてのライン負荷の影響を示す図である。
【図4】本発明の方法を実施する装置の模式図である。
【図5】本発明の方法を実施する装置の詳細模式図である。
【図6】サブフィールド符号語の最も重要なビットを生成するための図5の装置の第1部分の模式図である。
【図7】サブフィールド符号語の他のビットを生成するための図5の装置の第2部分の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明については、幾つかのピクチャを表示するときにライン負荷の影響の問題を被る表示装置に関連して詳述するが、本発明は、評価される何れの輝度の問題を補償するように用いられることが可能である。
【0020】
再帰的符号化の一般概念は、一のサブフィールドにおいて他のサブフィールドと共に生じる問題を補償することが可能であるように、サブフィールドを次々に符号化することである。特に、サブフィールド符号語のビットは、サブフィールド符号語のビットにより発生される光発光又は輝度がサブフィールド符号語のビットの後続ビットにより補償されるように、互いに再帰的に計算される。特定の実施形態においては、各々のサブフィールド符号語のビットは、最も重要な重みを有するサブフィールドに関連する最も重要なビット(MSB)から最も重要でない重みを有するサブフィールドに関連する最も重要でないビット(LSB)までの対応するサブフィールドの重みの大きい順に再帰的に計算される。
【0021】
本発明にしたがって、状態“1”(=“オン”)が、この画素の輝度値がこのビット(又は対応するサブフィールド)に関連付けられた閾値に等しいか又はそれより大きい場合に、現画素のMSBに割り当てられる。各々の後続ビットについては、前記ビット及び後続ビットにより符号化されるべき残留輝度値が、その残留輝度値が慚愧ビットに関連付けられる閾値に等しいか又はそれより大きい場合に、前記ビットに割り当てられる。
【0022】
実施例について、後続サブフィールドの重みと対応する切り替え値を用いて説明する。
【0023】
【表1】

現サブフィールドSF(又は、サブフィールド符号語のビット)の切り替え値SVは、例えば、前記現サブフィールドに先行するサブフィールドの重みWの和足す1であり、
【0024】
【数1】

である。
【0025】
現画素のサブフィールド符号語の現ビットにより符号化されるべき残留輝度値は、
− 現ビットに先行するビットにより発生される輝度を評価し、そして
− 現ビットに先行するビット及び前記先行ビットに後続するビットにより符号化されるべき輝度値から前記輝度値を減算する、
ことにより計算される。サブフィールド符号語の各々のビットは映像フレームの複数のサブフィールドにおける特定のサブフィールドを参照するため、表現“ビットの輝度”又は“サブフィールドの輝度”を、本明細書においては、以下、平凡に使用することにする。現画素についてのビットの輝度は、現画素が属す画素のラインにおいて状態“1”の先行ビットを有する画素の番号に基づいて計算される。
【0026】
上記のように、サブフィールドの輝度は、表示されるべき画素のラインのライン負荷(考慮されている画素のラインにおける“オン”状態の画素の番号)に応じて変化する。それ故、そのサブフィールドの輝度は、必要な情報全てが認識されるとすぐ、評価される。そのサブフィールドの輝度は、ピクチャの負荷の終了時に評価されるが、時間遅延を制限するように、それは、通常、各々のラインの最小において評価される。画素のサブフィールドの輝度は単に画素自体の関数であり、そして画素の輝度が直接評価されることができる完全なディスプレイについては、サブフィールドの輝度はピクチャの全ての画素に対して略同じである。あるラインにおける輝度がこのラインの負荷分布に依存する(例えば、ライン負荷の影響)ディスプレイについては、サブフィールドの輝度は、サブフィールドがライン全体について符号化されたときにのみ、評価される。
【0027】
本発明にしたがって、ライン負荷の影響の問題は新しい方法で処理される。一般に、ライン負荷の影響は、あるラインにおける輝度損失として認識される。それにも拘わらず、サブフィールドがあるライン全体で用いられるときに、その輝度は、そのサブフィールドが用いられないあるラインの輝度と比べて、20%だけ減少することに相当し、サブフィールドがあるラインで用いられないとき、そのサブフィールドの輝度は、そのサブフィールドがライン電対で用いられるときの輝度に比べて、25%増加することに相当する。基準輝度は異なるが、その効果は同じである。それ故、図2及び3において、最初のライン及び最後のラインの画素の輝度値は、255・(1+(1−1/2)x0.25)=287である一方、中間ラインの白色画素は、輝度、255・(1+(1−1)x0.25)=287を有する。
【0028】
各々のサブフィールドの輝度が評価されるため、APL制御のための直線性問題はまた、本発明の方法により補償されることができることに留意する必要がある。
【0029】
本発明の方法について、上記表に与えられている切り替え値及びサブフィールド重みを用いる実施例を用いて適切に説明する。
【0030】
再帰的符号化方法は、サブフィールド毎に且つライン毎に実行される。目的は、適切なサブフィールド符号語を各々の画素値について決定することである。その方法の開始時に、画素値全てのサブフィールド符号語は、XXXXXXXXXXのように表される。
最初のライン:白色画素の輝度値(符号化される値:255)はXXXXXXXXXXにおいて符号化される。
最初のライン:黒色画素の輝度値(符号化される値:0)はXXXXXXXXXXにおいて符号化される。
中間のライン:画素の輝度値(符号化される値:255)はXXXXXXXXXXにおいて符号化される。
最後のライン:白色画素の輝度値(符号化される値:255)はXXXXXXXXXXにおいて符号化される。
最後のライン:黒色画素の輝度値(符号化される値:0)はXXXXXXXXXXにおいて符号化される。
【0031】
本発明にしたがって、最も重要なサブフィールド(10番目のサブフィールド)に対応するサブフィールド符号語のビットがピクチャの画素全部について決定される。最初のラインにおいて及び最初の再帰的ステップ(10番目のサブフィールドに関連したビットの符号化)中、オリジナルの輝度値、255を有する白色画素は、255≧176(10番目のサブフィールドについての切り替え値)であるため、サブフィールド10を用いる。それ故、それらのサブフィールド符号語はXXXXXXXXX1のタイプを有する。黒色画素は、0<176であるため、このサブフィールドを有さず、それ故、それらのサブフィールド符号語はXXXXXXXXX0のタイプを有する。
【0032】
一旦、このサブフィールド符号語がこのラインについて決定されると、その負荷が評価され、その有効な輝度が評価される。図2の実施例においては、このサブフィールドについてのこのラインの負荷は、画素の半分が白色であり且つこのサブフィールドを用い、他の半分が黒色であり且つ、それ故、このサブフィールドを用いないために、1/2に等しい。そのサブフィールドは予測されるものより明るく、このラインの輝度は、80・(1+(1−1/2)x0.25)=90に等しい。サブフィールドが用いられる画素について、このサブフィールドの輝度は、符号化される輝度値に対して減算される。それ故、最初のラインの第1再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値はXXXXXXXXX1において符号化される。符号化される残留値は165である。
最初のライン:黒色画素の輝度値はXXXXXXXXX0において符号化される。符号化される値は0である。
【0033】
最初のラインについて、第9サブフィールド(最も重要な残留サブフィールド)の符号化に対応する第2再帰的ステップが実行される。白色画素は、ここで、165の輝度値を有し、それ故、それらの画素は、165≧117であるため、第9サブフィールドを用いる。黒色画素は、0<117であるため、第9サブフィールドを用いない。このサブフィールドについてのこのラインの負荷は1/2に等しい。この最初のラインについての第9サブフィールドの有効輝度は、59・(1+(1−1/2)x0.25)=66に等しい。それ故、最初のラインの第2再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値はXXXXXXXX11において符号化される。符号化される残留値は99である。
最初のライン:黒色画素の輝度値はXXXXXXXX00において符号化される。符号化される値は0である。
【0034】
最初のラインについて、第8サブフィールドの符号化に対応する第3再帰的ステップが、次いで、実行される。白色画素は、99≧75であるため、第8サブフィールドを用いる。最初のラインについてのこのサブフィールドの有効輝度は、42・(1+(1−1/2)x0.25)=47に等しい。それ故、最初のラインの第3再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値はXXXXXXX111において符号化される。符号化される残留値は52である。
最初のライン:黒色画素の輝度値はXXXXXXX000において符号化される。符号化される値は0である。
【0035】
最初のラインについて、第7サブフィールドの符号化に対応する第4再帰的ステップが、次いで、実行される。白色画素は、52≧46であるため、第7サブフィールドを用いる。最初のラインについてのこのサブフィールドの有効輝度は、29・(1+(1−1/2)x0.25)=33に等しい。それ故、最初のラインの第4再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値はXXXXXX1111において符号化される。符号化される残留値は19である。
最初のライン:黒色画素の輝度値はXXXXXX0000において符号化される。符号化される値は0である。
【0036】
最初のラインについて、第6サブフィールドの符号化に対応する第5再帰的ステップが、次いで、実行される。白色画素は、19<27であるため、第6サブフィールドを用いる。それ故、このサブフィールドについてのこのラインの負荷は0に等しい。それ故、最初のラインについてのこのサブフィールドの有効輝度は、19・(1+(1−1/2)x0.25)=24に等しい。それ故、最初のラインの第5再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値はXXXXX01111において符号化される。符号化される残留値は19である。
最初のライン:黒色画素の輝度値はXXXXX00000において符号化される。符号化される値は0である。
【0037】
最初のラインについて、第5サブフィールドの符号化に対応する第6再帰的ステップが、次いで、実行される。白色画素は、19≧15であるため、第5サブフィールドを用いる。最初のラインについてのこのサブフィールドの有効輝度は、12・(1+(1−1/2)x0.25)=14に等しい。それ故、最初のラインの第6再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値はXXXX101111において符号化される。符号化される残留値は5である。
最初のライン:黒色画素の輝度値はXXXX000000において符号化される。符号化される値は0である。
【0038】
最初のラインは、最も大きい残留値(白色画素についての残留値である5)が切り替え値(8)より小さいため、第4サブフィールドを用いない。それ故、第7再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値はXXX0101111において符号化される。符号化される残留値は5である。
最初のライン:黒色画素の輝度値はXXX0000000において符号化される。符号化される値は0である。
【0039】
最初のラインについて、第3サブフィールドの符号化に対応する第8再帰的ステップが、次いで、実行される。白色画素は、5≧4であるため、第3サブフィールドを用いる。最初のラインについてのこのサブフィールドの輝度は、4・(1+(1−1/2)x0.25)=4に等しい。それ故、第8再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値はXX10101111において符号化される。符号化される残留値は1である。
最初のライン:黒色画素の輝度値はXX00000000において符号化される。符号化される値は0である。
【0040】
最初のラインについて、第2サブフィールドの符号化に対応する第9再帰的ステップが、次いで、実行される。白色画素は第2サブフィールドを用いない。最初のラインについてのこのサブフィールドの輝度は、2・(1+(1−1/2)x0.25)=2に等しい。それ故、第9再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値はX010101111において符号化される。符号化される残留値は1である。
最初のライン:黒色画素の輝度値はX000000000において符号化される。符号化される値は0である。
【0041】
最終的に、第1サブフィールドの符号化に対応する第10再帰的ステップが、次いで、実行される。白色画素は、1≧1であるため、第1サブフィールドを用いる。それ故、第10再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値は1010101111において符号化される。
最初のライン:黒色画素の輝度値は0000000000において符号化される。
【0042】
最初のラインと同一である他のラインの白色画素及び黒色画素の輝度値は最初のラインについて規定されるように符号化される。
【0043】
中間のラインについて、第10サブフィールド(最も重要な残留サブフィールド)の符号化に対応する第1再帰的ステップが次のように実行される。画素(それらの全ては白色である)は、255≧176であるため、第10サブフィールドを用いる。このサブフィールドについてのこのラインの負荷は、このラインの画素全てはこのサブフィールドを用いるために等しい。それ故、中間のラインについてのこのサブフィールドの輝度は、予測される値、即ち、80・(1+(1−1)x0.25)=80に等しい。それ故、第1再帰的ステップの終了時に、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値はXXXXXXXXX1において符号化される。符号化される残留値は175である。
【0044】
中間のラインの第2再帰的ステップ(第9サブフィールドの符号化)の終了時に、175≧117であるため、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値はXXXXXXXX11において符号化される。符号化される残留値は116である。
【0045】
中間のラインの第3再帰的ステップ(第8サブフィールドの符号化)の終了時に、116≧75であるため、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値はXXXXXXX111において符号化される。符号化される残留値は74である。
【0046】
中間のラインの第4再帰的ステップ(第7サブフィールドの符号化)の終了時に、74≧46であるため、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値はXXXXXX1111において符号化される。符号化される残留値は45である。
【0047】
中間のラインの第5再帰的ステップ(第6サブフィールドの符号化)の終了時に、45≧27であるため、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値はXXXXX11111において符号化される。符号化される残留値は26である。
【0048】
中間のラインの第6再帰的ステップ(第5サブフィールドの符号化)の終了時に、26≧15であるため、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値はXXXX111111において符号化される。符号化される残留値は14である。
【0049】
中間のラインの第7再帰的ステップ(第4サブフィールドの符号化)の終了時に、14≧8であるため、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値はXXX1111111において符号化される。符号化される残留値は7である。
【0050】
中間のラインの第8再帰的ステップ(第3サブフィールドの符号化)の終了時に、7≧4であるため、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値はXX11111111において符号化される。符号化される残留値は3である。
【0051】
中間のラインの第9再帰的ステップ(第2サブフィールドの符号化)の終了時に、3≧2であるため、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値はX111111111において符号化される。符号化される残留値は1である。
【0052】
中間のラインの第10再帰的ステップ(第1サブフィールドの符号化)の終了時に、1≧1であるため、次のように得られる。
中間のライン:画素の輝度値は1111111111において符号化される。符号化される残留値は1である。
【0053】
それ故、最終的に、全体のピクチャについて次のように得られる。
最初のライン:白色画素の輝度値は1010101111において符号化される。
最初のライン:黒色画素の輝度値は0000000000において符号化される。
中間のライン:画素の輝度値は1111111111において符号化される。
最後のライン:白色画素の輝度値は1010101111において符号化される。
最後のライン:黒色画素の輝度値は0000000000において符号化される。
【0054】
負荷の影響がこの符号化により可視的でないことを調べることが可能である。最初のライン及び最後のラインにおいて、白色画素はサブフィールドの重みの和227を有する。しかし、用いられるサブフィールドはそれらのラインにおいて50%の負荷を有し、それ故、輝度は227・(1+(1−1/2)x0.25)=227に等しい。そして、中間のラインにおいては、白色画素はサブフィールドの重みの和255を有する。しかし、用いられるサブフィールドはそれらのラインにおいて100%の負荷を有するため、輝度は予測される輝度(255)に等しい。それ故、可視的なライン負荷は存在しない。
【0055】
本発明の方法を実施するための装置を図4に示す。この装置は、再帰的符号化回路10と該回路を制御するための制御器11とを有する。再帰的符号化回路10はデガンマ回路からもたらされる映像を受け、サブフィールドメモリ13におけるサブフィールド符号語SF[15:0]を出力する。図4の実施例においては、その回路10はまた、デガンマ回路12からもたらされるデータにディザリング機能を適用する。
【0056】
再帰的符号化回路10の模式図を図5に示し、その再帰的符号化回路10はn個(nはサブフィールドの番号である)の符号化ブロックであって、一のブロックは各々のサブフィールドについてのものである、符号化ブロックを有する。以下の説明においては、各々のサブフィールドはSFで表され、iはサブフィールドの番号である。SFは最も大きい重みを有するサブフィールド(また、最も重要なサブフィールド)を表し、SFは最も小さい重みを有するサブフィールド(また、最も重要でないサブフィールド)を表す。各々の符号化ブロックは、先行刷る符号かブロック又はデガンマ回路からもたらされる輝度値及び符号化されるサブフィールドSFに関連付けられる切り替え値SVを制御器11から受け、後続する符号化ブロックにより符号化されるべき残留輝度値RV及びサブフィールドSFに対応するサブフィールド符号ビットBを出力する。サブフィールド符号ビットBはサブフィールドメモリ13に記憶される。
【0057】
特に、サブフィールドSFに関連付けられる符号化ブロックは、制御器11からサブフィールドSFの切り替え値及びデガンマ回路12からもたらされる輝度値を受け、後続する符号化ブロックにより符号化されるべき残留輝度値RV及びサブフィールド符号ビットBを出力する。サブフィールドSF,i∈[2...n−1]に関連付けられる符号化ブロックは、制御器11から関連する切り替え値SV及び残留輝度値RVを受け、後続する符号化ブロックにより符号化されるべき残留輝度値RV及びサブフィールド符号ビットBを出力する。サブフィールドSFに関連付けられる最後の符号化ブロックは残留輝度値RV及び切り替え値SVを受け、サブフィールド符号ビットBを出力する。
【0058】
サブフィールドSF,i∈[2...n]に関連付けられる符号化ブロックの例示としてのブロック図を図6に示す。その符号化ブロックは、
− サブフィールドSF,i∈[2...n−1]についての残留輝度値RV及びサブフィールドSFについてのデガンマ回路12からもたらされる画素のラインのために輝度値を記憶するためのラインメモリ20と、
− 前記輝度値又は残留輝度値RVにディザリング機能を適用するためのディザリングブロック21と、
− 切り替え値SVに対してディザリングされた輝度値を比較し、前記ディザリングされた輝度値がSVに等しいか又はそれより大きいときに出力するための比較回路であって、ビットBはサブフィールドメモリ13に記憶されているサブフィールド符号ビットである、比較回路22と、
− サブフィールドSFについて考慮されているラインの負荷Loadを計算するための負荷評価回路23と、
− 負荷値Loadに基づいて画素の考慮しているラインについてサブフィールドSFの有効な輝度Lを評価するための輝度評価回路24と、
− 1ライン期間のビットBを遅延させるための1ビットラインメモリ25であって、前記遅延ビットはB′で表される、1ビットラインメモリ25と、
− ビットB′と有効輝度Lを乗算するための回路26と、
− メモリ20に記憶されている輝度値から乗算回路26の出力値を減算するための回路27であって、結果値は後続の符号化ブロックにより符号化されるべき残留値である、回路27と、
を有する。
【0059】
サブフィールドSFに関連付けられる符号化ブロックの例示としての模式図を図7に示す。その符号化ブロックは、
− 残留輝度値RVにディザリング機能を適用するためのディザリングブロック21と、
− 切り替え値SVに対してディザリングされた輝度値を比較し、前記ディザリングされた輝度値がSVに等しいか又はそれより大きいときにビットBを“1”に出力する比較回路22であって、ビットBはサブフィールドメモリ13に記憶されているサブフィールド符号ビットである、比較回路22と、
を有する。
【0060】
それらの回路図全ては実施形態の例示として与えられている。本発明の装置の異なるラインメモリは1つの信号メモリ内に組み込まれることが可能である。そのラインメモリはまた、ディザリング回路を有しないことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 再帰的符号化回路
11 制御器
12 デガンマ回路
13 サブフィールドメモリ
20 ラインメモリ
21 ディザリング
22 比較回路
23 負荷評価回路
24 輝度評価回路
25 1ビットラインメモリ
26 乗算回路
27 減算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置でサブフィールド符号語にピクチャの画素の輝度値を符号化するための方法であって、前記サブフィールド符号語の各々のビットは状態“オン”又は“オフ”を有し、そしてその状態が“オン”のときにサブフィールドと呼ばれる期間中に光発光を生成し、前記サブフィールド符号語により画素について発光された光は前記画素の前記輝度値を表現し、前記サブフィールド符号語の前記ビットに関連付けられた前記サブフィールドの全持続時間はピクチャフレームを構成し、各々のサブフィールドはその持続時間に比例する重みを有し、各々のサブフィールド符号語の前記ビットは、最も重要な重みを有するサブフィールドに関連付けられるビットから最も重要でない重みを有するサブフィールドに関連付けられるビットまで次々に再帰的に計算される、方法であり、
現画素の前記サブフィールド符号語の各々のビットは、
最も重要な重みを有する前記サブフィールドに関連付けられたビットについて、前記現画素の輝度値が前記ビットに関連付けられた閾値に等しいか又はそれより大きい場合に、前記ビットに対して状態“オン”を割り当て、
前記サブフィールド符号語の各々の後続ビットについて、前記サブフィールド符号語の前記後続ビット及び前記ビットにより符号化されるべき残留輝度値を計算し、前記残留輝度値が前記ビットに割り当てられた閾値に等しいか又はそれより大きい場合に、前記ビットに対して状態“オン”を割り当てる、
ことにより計算される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ビットに関連付けられた前記閾値は、前記ビットに対応する前記サブフィールドの前記重み足す1より小さい重みを有するサブフィールドサブフィールドの重みの和に等しい、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、現画素についてのビットにより符号化されるべき残留輝度値は、前記現画素が属す表示装置のラインの画素の状態の関数として計算される、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、現画素のサブフィールド符号語の現ビットにより符号化されるべき前記残留輝度値は、
前記現ビットに割り当てられた前記サブフィールドの直前に計算される、先行サブフィールドと呼ばれるサブフィールドについて、前記現画素が属す画素のラインにおいて“オン”状態の前記先行サブフィールドに関連付けられるビットを有する画素の番号を計算し、
前記画素の番号に基づいて前記サブフィールドについて、サブフィールド輝度値を評価し、そして
前記先行サブフィールドに関連付けられるビット及び前記サブフィールド符号語の前記後続ビットにより符号化されるべき輝度値から前記サブフィールド輝度値を減算する、
ことにより計算される、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
表示装置でサブフィールド符号語にピクチャの画素の輝度値を符号化するための装置であって、前記サブフィールド符号語の各々のビットは状態“オン”又は“オフ”を有し、そしてその状態が“オン”のときにサブフィールドと呼ばれる期間中に光発光を生成し、前記サブフィールド符号語により画素について発光された光は前記画素の前記輝度値を表現し、前記サブフィールド符号語の前記ビットに関連付けられた前記サブフィールドの全持続時間はピクチャフレームを構成し、各々のサブフィールドはその持続時間に比例する重みを有し、各々のサブフィールド符号語の前記ビットは、最も重要な重みを有するサブフィールドに関連付けられるビットから最も重要でない重みを有するサブフィールドに関連付けられるビットまで次々に再帰的に計算される、装置であり、
現画素の前記サブフィールド符号語の各々のビットを計算するために、その装置は、
前記現画素の前記輝度値が前記ビットに関連付けられた閾値に等しいか又はそれより大きい場合に最も重要な重みを有するサブフィールドに関連付けられるビットに対して状態“オン”を割り当てるため、及び、前記ビット及び前記サブフィールド符号語の前記後続ビットにより符号化されるべき前記残留輝度値が前記ビットに関連付けられた閾値に等しいか又はそれより大きい場合に前記ビットに対して状態“オン”を割り当てるための比較回路と、
前記の最も重要な重みのサブフィールドに割り当てられたビットに後続する前記サブフィールド符号語の各々のビットについて、前記ビット及び前記サブフィールド符号語の前記後続ビットにより符号化されるべき前記残留輝度値を計算するための計算回路と、
を有することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記サブフィールド符号語の異なるビットに関連付けられる閾値を出力するための制御器を更に有する、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の装置であって、ビットに関連付けられた閾値は、前記ビットに対応する前記サブフィールドの前記重み足す1より小さい重みを有するサブフィールドの重みの和に等しい、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れ一項に記載の装置であって、前記計算回路は、現画素が属す表示装置のラインの画素の状態の関数として前記現画素についてビットにより符号化されるべき前記残留輝度値を計算する、ことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、現画素のサブフィールド符号語の現ビットにより符号化されるべき前記残留輝度値を計算するために、前記計算回路は、
前記現ビットに割り当てられた前記サブフィールドの直前に計算される、先行サブフィールドと呼ばれるサブフィールドについて、前記現画素が属す画素のラインにおいて“オン”状態の前記先行サブフィールドに関連付けられるビットを有する画素の番号を計算するための手段と、
前記画素の番号に基づいて前記サブフィールドについて、サブフィールド輝度値を評価するための手段と、
前記先行サブフィールドに関連付けられるビット及び前記サブフィールド符号語の前記後続ビットにより符号化されるべき輝度値から前記サブフィールド輝度値を減算するための手段と、
を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項5乃至9の何れ一項に記載の符号化装置を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−33285(P2013−33285A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−240030(P2012−240030)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【分割の表示】特願2006−256017(P2006−256017)の分割
【原出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】