説明

表示装置とそれを搭載する電子機器

【課題】フリッカーを抑制して良好な表示を行う電流駆動型表示装置を提供する。
【解決手段】 奇数行の画素回路を順次走査して表示素子に供給する電流を設定する第1の動作と偶数行の画素回路を順次走査して表示素子に供給する電流を設定する第2の動作とを交互に繰り返して行い、画素回路に設定した電流を表示素子に供給する期間の回数は、画素回路が表示素子に供給する電流を設定する回数の2倍以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される電流に応じて発光するエレクトロルミネセンス(EL)素子をマトリクス状に配置した表示装置に係り、とくに電流駆動型表示素子と電流プログラミング型の画素回路とを用いたインターレース方式で表示を行うアクティブマトリクス型表示装置それを搭載する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代ディスプレイとして発光素子を用いた自発光型のディスプレイが注目されている。その中でも電流によって発光輝度が制御される電流制御型の発光素子である有機EL素子を用いたディスプレイ、すなわち有機ELディスプレイが知られている。有機ELディスプレイには、表示領域および周辺回路に薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス型があり、その駆動方式の1つとして画素内に形成された画素回路に画像データに応じた大きさの電流を設定して有機EL素子を発光させる電流プログラミング方式が用いられている。
【0003】
図16は、EL素子を含む従来の電流プログラミング方式の画素回路の構成例を示す。
【0004】
図16において、P1及びP2が走査信号であり、データ信号として電流データIdataが入力される。EL素子の陽極(アノード)はTFT(M4)のドレイン端子に接続されており、陰極(カソード)は接地電位CGNDに接続されている。M1、M2、M4がP型TFTであり、M3がN型TFTである。
【0005】
図17は、画素回路2の駆動方法を説明するタイミングチャートである。
【0006】
図17において、(a)はIdataに供給される電流データ、(b)(c)はそれぞれP1,P2に供給される走査信号である。注目する画素はi行目にあるとする。
【0007】
I(i−1)、I(i)、I(i+1)は、i−1行(1行前)、i行(対象行)、i+1行(1行後)の対象列の画素回路2に入力される電流データIdataを示す。
【0008】
まず、時刻t0前の時点では、対象行の画素回路2には、走査信号P1にはLowレベルの信号が、P2にはHighレベルの信号が入力され、トランジスタM2がOFF、M3がOFF、M4がONの状態である。この状態では、対象行であるi行の画素回路2には、1行前の電流データIdataに対応するI(i−1)は入力されない。
【0009】
次いで、時刻t0では、P1にはHighレベルの信号が、P2にはLowレベルの信号が入力され、トランジスタM2、M3がON、M4はOFFとなる。この状態で、i行の画素回路2に該当行の電流データIdataに対応するI(i)が入力される。このとき、M4は導通状態でないため、EL素子には電流が流れない。入力されたIdataによりM1の電流駆動能力に応じた電圧が、M1のゲート端子と電源電位VCCの間に配置された容量C1に生じる。
【0010】
次いで、時刻t1では、P2にHighレベルの信号が入力され、M2がOFFの状態となる。さらに、時刻t2では、P1にLowレベルの信号が入力され、M3がOFF、M4がONとなる。この状態では、M4が導通状態であるため、C1に生じた電圧により、M1の電流駆動能力に応じた電流がEL素子に供給される。これにより、供給された電流に応じた輝度でEL素子が発光する。
【0011】
しかしながら、1画素における有機EL素子に流れる電流は微小であり、特に低輝度で素子を発光させる際の電流データIdataは極めて小さい。そのため、所望の電流をプログラミングする際のデータ線の充電に非常に多くの時間が必要となり、1走査期間(時刻t0から時刻t1までのP2がLowレベル信号の期間)では不十分である。そこで、画素回路に比較的大きな電流を設定し、発光期間を制御することで輝度を制御するデューティー駆動が知られているが、ある程度高い周波数で駆動しなければフリッカーが発生してしまう。
【0012】
そのため、特許文献1では、2つのフィールド(奇数フィールドおよび偶数フィールド)で1フレームを構成するインターレース方式で表示を行いながら、デューティー駆動による発光期間制御を行う表示装置が提案されている。
【0013】
図18は、特許文献1に記載の表示装置の駆動方法を説明するタイミングチャートである。
【0014】
図18において、1フレーム(図中の1frame)は奇数フィールド(図中のODDfield)と偶数フィールド(図中のEVENfield)からなる。1〜mは表示装置の行番号を示している。X(1)〜X(m)は各行に対応する走査信号を示しており、Highレベル時に行を選択し、電流プログラミングを行う。Z(1)〜Z(m)は各行に対応する発光期間制御信号を示しており、Lowレベル時に画素が発光し、Highレベル時は非発光となる。奇数フィールドにおいては、奇数行のみ選択されて電流プログラミングを行い、偶数フィールドにおいては、偶数行のみ選択されて電流プログラミングを行う。
【0015】
こうして奇数ラインに対応する制御線と偶数ラインに対応する制御線が互いに分離されて駆動されると共にEL素子をデューティー駆動することにより、隣接したライン間の発光および非発光期間が異なるようになるので、フリッカーが除去される。
【特許文献1】特開2005−31635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来の駆動方法によって1フィールドを60Hzとした場合には、1フレームは30Hzとなる。すなわち、あるラインでの発光および非発光を繰り返す駆動周波数は30Hzとなり、フリッカーを防ぐ十分高い周波数であるとは言えない。その結果、画質の低下を招いてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、インターレース方式で電流プログラミングを行いながら発光期間制御を行う表示装置に関し、フリッカーを抑制して良好な表示を行う表示装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示装置の駆動方法は、
電流に応じて発光輝度が制御される表示素子と、
電流の値が設定され、設定された電流を前記表示素子に供給する画素回路と、
前記表示素子と前記画素回路の組が行方向および列方向にマトリクス状に複数配置された画像表示部と、
前記画像表示部の行毎に設けられた走査線と、
前記画像表示部の行毎に設けられた発光期間制御線と、
前記画像表示部の行数に応じて配置され、前記画素回路が前記表示素子に供給する電流を設定する期間を制御する走査信号を前記走査線に出力し、かつ前記画素回路が前記表示素子に電流を供給する期間を制御する発光期間制御信号を前記発光期間制御線に出力する行制御回路と、
前記画像表示部の列毎に設けられたデータ線と、
前記画像表示部の列数に応じて配置され、前記画素回路が前記表示素子に供給する電流に応じたデータ信号を前記データ線に出力する列制御回路と、
を有する表示装置であって、
前記行制御回路が前記画像表示部の奇数行の前記走査線に前記走査信号を出力し、前記列制御回路が前記データ信号を前記データ線に出力して、前記画像表示部の奇数行の表示素子に供給する電流を当該表示素子の前記画素回路に設定する第1の動作と、
前記行制御回路が前記画像表示部の偶数行の前記走査線に前記走査信号を出力し、前記列制御回路が前記データ信号を前記データ線に出力して、前記画像表示部の偶数行の表示素子に供給する電流を当該表示素子の前記画素回路に設定する第2の動作とを交互に繰り返して行い、
前記第1と第2の動作の繰り返しの周期に同期して、前記繰り返し周期内に前記第1または第2の動作により電流が設定される回数の2倍以上の回数、前記行制御回路が前記画像表示部の奇数行と偶数行の前記発光期間制御線に前記発光期間制御信号を出力し、前記表示素子に、当該表示素子の前記画素回路内に設定された電流を一定期間供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、インターレース方式で電流プログラミングを行いながらも各フィールド内に複数の発光期間を設けている。よって、1フィールドの駆動周波数を60Hzにした場合には、電流プログラミングは30Hz(各行においてフレーム毎に1回)で行われるが、発光は60Hz以上(各行においてフィールド毎に1回以上)で行うことができる。こうして、発光/非発光の駆動周波数を電流プログラミングの2倍以上にすることができるのでフリッカーの発生を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る表示装置を実施するための最良の形態について具体的に説明する。本発明はEL素子を用いたアクティブマトリクス型表示装置に適用され、インターレース方式で電流プログラミングを行いながら発光期間制御を行うものである。
【0021】
以下の実施例おいてはEL素子を用いた有機EL表示装置を例に挙げて説明するが、本発明の表示装置はこれに限定されるものではなく、電流信号によって各画素の表示を制御しうる装置に広く適用される。
【実施例1】
【0022】
図1は、本実施例による表示装置の全体構成を示す。
図1において、画像表示部には、RGB原色数のEL素子と、このEL素子に入力される電流を制御するためのTFTから構成される画素回路とが画素1を構成してm行×n列の2次元状に配列されている。行数mは偶数である。
【0023】
表示領域の周辺には行制御回路3、および列制御回路4が配置されている。
【0024】
行制御回路3の各出力端子からは走査信号P1(1)〜P1(m)、P2(1)〜P2(m)と発光期間制御信号P3(1)〜P3(m)が出力される。走査信号は走査線5を介して、発光期間制御信号は発光期間制御線6を介して、それぞれ各行の画素1のなかに設けられた画素回路(後述する図2の回路2)に入力される。発光期間制御線6は2行の画素に共通に接続されている。すなわち、第1行と第2行、第3行と第4行、第5行と第6行、第m−1行と第m行にはそれぞれ同一の発光期間制御信号が入力される。本実施例では発光期間制御線6は2行毎に共通に接続されているが、共通に接続されていなくても行制御回路3から2行毎に同一の発光期間制御信号が出力されていてもよい。
【0025】
列制御回路4には映像信号が入力され、各出力端子から電流データIdataが出力される。電流データIdataはデータ線7を介して各列の画素回路に入力される。
【0026】
本発明では、インターレース方式により電流プログラミングを行い、1フレームは奇数フィールド及び偶数フィールドの2つのフィールドから構成される。奇数フィールドにおいて奇数行である第1行、第3行、第5行、第m−1行の画素1を順次選択し、偶数フィールドにおいて偶数行である第2行、第4行、第6行、第m行の画素1を順次選択する。
【0027】
図2は、本実施例のEL素子を含む画素回路2の構成例を示す。
図2において、P1及びP2が走査信号であり、P3は発光期間制御信号である。データ信号として電流データIdataが入力される。EL素子の陽極(アノード)はTFT(M4)のドレイン端子に接続されており、陰極(カソード)は接地電位CGNDに接続されている。M1、M2、M4がP型TFTであり、M3がN型TFTである。
【0028】
図3は、画素回路2の駆動方法を説明するタイミングチャートである。
図3において、I(i−1)、I(i)、I(i+1)は、フィールド単位におけるi−1行(1行前)、i行(対象行)、i+1行(1行後)の対象列の画素回路2に入力される電流データIdataを示す。
【0029】
まず、時刻t0前の時点では、対象行の画素回路2には、走査信号P1にはLowレベルの信号が、P2にはHighレベルの信号が、発光期間制御信号P3にはHighレベルの信号が入力され、トランジスタM2がOFF、M3がOFF、M4がOFFの状態である。この状態では、対象行であるm行の画素回路2には、1行前の電流データIdataに対応するI(i−1)は入力されない。
【0030】
次いで、時刻t0では、P1にはHighレベルの信号が、P2にはLowレベルの信号が入力され、トランジスタM2、M3がON、M4はOFFとなる。この状態で、m行の画素回路2に該当行の電流データIdataに対応するI(i)が入力される。このときP3はHighレベルの信号のままであってM4は導通状態でないため、EL素子には電流が流れない。入力されたIdataによりM1の電流駆動能力に応じた電圧が、M1のゲート端子と電源電位VCCの間に配置された容量C1に生じる。このIdataを流すためのゲート端子の電圧を決定して容量C1に保持させることを電流プログラミングとする。
【0031】
次いで、時刻t1では、P1にLowレベルの信号が入力され、P2にHighレベルの信号が入力され、M2、M3がOFFの状態となる。さらに、時刻t2では、P3にLowレベルの信号が入力され、M4がONとなる。この状態では、M4が導通状態であるため、C1に生じた電圧により、M1の電流駆動能力に応じた電流がEL素子に供給される。これにより、供給された電流に応じた輝度でEL素子が発光する。
【0032】
次いで、時刻t3では、P3にHighレベルの信号が入力され、M4がOFFとなり、EL素子への電流の供給が止まって非発光状態となる。P3がLowレベルの期間(時刻t2から時刻t3まで)を変化させることで発光期間を制御して輝度を制御する。
【0033】
本発明における説明において、時刻t0から時刻t1までのP1がHighレベル信号の期間を1走査期間とする。
【0034】
本実施例においては画素回路として、図2の構成を一例に挙げたが、これに限るものではない。
【0035】
図4は、本発明における表示装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図4において、P1(1)〜P1(m)は、第1行〜第m行にそれぞれ対応する走査信号P1を示している。P3(1)〜P3(m)は第1行〜第m行にそれぞれ対応する輝度制御信号P3を示している。第1行と第2行、第3行と第4行、第5行と第6行、第m−1行と第m行はそれぞれ同一の発光期間制御信号が入力されるため、P3(1)=P3(2)、P3(3)=P3(4)、P3(5)=P3(6)、・・・、P3(m−1)=P3(m)となっている。図の煩雑化を避けるために記載していないが、走査信号P2に関しては、図3に記載のタイミングと同様にして出力される。
【0036】
本発明では、インターレース方式により表示を行うため、1フレーム(図中の1frame)は奇数フィールド(図中のODDfield)と偶数フィールド(図中のEVEN field)からなる。
【0037】
奇数フィールドの間では、奇数行である第1行、第3行、第5行、・・・、第m−1行の走査信号P1(1)、P1(3)、P1(5)、・・・、P1(m−1)を順次、Highレベルにしている。すなわち奇数行の画素回路2のみについて電流データIdataを入力し、電流プログラミングしている。
【0038】
偶数フィールドの間では、偶数行である第2行、第4行、第6行、・・・、第m行の走査信号P1(2)、P1(4)、P1(6)、・・・、P1(m)を順次、Highレベルにしている。すなわち偶数行の画素回路2のみについて電流データIdataを入力し、電流プログラミングしている。
【0039】
発光期間制御信号P3は、LowレベルでEL素子発光させる信号である。
【0040】
同一のP3が入力される2つの行(例えば、第1行と第2行)は、いずれかのフィールドで電流プログラミングが行われた後、一定期間Lowレベル期間となり、この期間EL素子が発光する。
【0041】
奇数フィールドにおいては奇数行が電流プログラミングされて、その直後から発光する。このとき偶数行のEL素子は、前のプログラミング時のデータを保存しているから、前の偶数フィールドと同じ輝度で2回目の発光が行われる。
【0042】
その次の偶数フィールドでは偶数行に電流プログラミングが行われて、偶数行のEL素子はその直後から発光する。奇数行のEL素子は先の奇数フィールドで与えられた電流プログラミングにしたがって発光する。
【0043】
このように、電流プログラミングを行うフィールド/行わないフィールドのいずれの場合にも発光期間を設けるので、1回の電流プログラミングに対してEL素子の発光を2回実施することができる。電流プログラミングを行わないフィールドでの発光期間は、その前のフィールドで画素回路にプログラミングされた電流で発光することとなる。つまり発光の周波数はフレーム周波数の2倍になり、フリッカを少なくすることができる.
図5は、図4に示す表示装置の動作を実施する行制御回路3の一例である。
【0044】
図5において、行制御回路3は、フリップフロップ10からなるシフトレジスタ11を有しており、シフトレジスタ11の各出力はNOTゲート12、ANDゲート13からなるロジック回路14に入力され、バッファ15を通じてP1、P2、P3を出力する構成となっている。簡略化のため、第1行から第6行までの出力について図示している。
【0045】
図6は図5の行制御回路の動作を説明するタイミングチャートである。SPはシフトレジスタ11に入力されるスタートパルス信号であり、CLKはシフトレジスタ11に入力されたSPを順次転送するクロック信号である。CLKの1周期は1走査期間とする。Q1〜Q4はシフトレジスタ11における各フリッププロップ10からの出力を示す。FIELDは奇数フィールドと偶数フィールドを判別するフィールド信号である。FIELDがHighレベル期間では奇数行の画素において電流プログラミングを行い、Lowレベル期間では偶数行の画素において電流プログラミングを行う。
【0046】
図5および図6によれば、各行のP1、P2は、シフトレジスタ11におけるその行に対応する段のフリップフロップ10と次段のフリップフロップ10の出力から生成され、P3は次段のフリップフロップ10の出力から生成される。
【0047】
発光期間制御は、SPのHighレベル期間のパルス幅を変えてP3のLowレベルのパルス幅を変えることにより実施できる。
【0048】
図3に示したタイミングチャートによれば、P1およびP2が切り替わる時刻t1からある時間経った時刻t2にP3がLowレベルに切り替わる。これを実施するには、P3を出力するバッファの駆動能力をP1、P2のバッファより小さくすること、あるいはP3の出力のバッファを複数段にしたり容量を付加したりするなどして遅延回路を設けることなどが挙げられる。
【0049】
本実施例においては、図5の構成による行制御回路を例示したが、これに限らず、図4の駆動方法を実施できる構成であればよい。
【0050】
以上のように、本実施例によれば、奇数フィールド/偶数フィールド交互に電流プログラミングを行いながらも各フィールド内に発光期間を設けているので、1フィールドの駆動周波数を60Hzにした場合には、電流プログラミングは30Hz(各行においてフレーム毎に1回)で行われるが、発光は60Hz(各行においてフィールド毎に1回)で行うことができる。すなわち、各画素において1回の電流プログラミングに対して発光回数は2回となる。こうして、発光/非発光の駆動周波数を電流プログラミングの2倍の駆動周波数にすることができるのでフリッカーの発生を抑制することが可能となる。
【0051】
図4において、1フレームの2回の発光期間(P3のパルス幅)は等しく設定されている。また各フィールド内でのタイミングも奇数フィールドと偶数フィールドで同じになっている。パルス幅、あるいはタイミングがフィールド間で大きく異なると、目に見える時間的に平均化された発光強度はフレーム周波数に等しくなってしまうから、フリッカーの抑制効果は生じない。
【実施例2】
【0052】
本実施例における表示装置の全体構成は図1と同様であり、画素回路2およびその駆動方法も図2、図3と同様であるため、その説明および図を省略する。
【0053】
図7は、本発明における表示装置の他の駆動方法を説明するタイミングチャートである。
図7において、P1(1)〜P1(m)は、第1行〜第m行にそれぞれ対応する走査信号P1を示している。P3(1)〜P3(m)は第1行〜第m行にそれぞれ対応する輝度制御信号P3を示している。第1行と第2行、第3行と第4行、第5行と第6行、第m−1行と第m行はそれぞれ同一の発光期間制御信号が入力されるため、P3(1)=P3(2)、P3(3)=P3(4)、P3(5)=P3(6)、・・・、P3(m−1)=P3(m)となっている。図の煩雑化を避けるために記載していないが、走査信号P2に関しては、図3に記載のタイミングと同様にして出力される。
【0054】
図4のタイミングチャートで説明した駆動方法と異なるのは、発光期間制御信号P3の出力波形である。
本実施例における発光期間制御信号P3は、同一のP3が入力される2つの行(例えば、第1行と第2行)のいずれかのP1がHighレベルの期間(電流プログラミング期間)である場合、必ずHighレベル期間(非発光期間)であり、かつ、電流プログラミング期間後、次回の電流プログラミングが行われるまでにLowレベル期間(発光期間)を複数回、設けている。
【0055】
実施例1と同様に、電流プログラミングを行うフィールド/行わないフィールドのいずれの場合にも発光期間を設け、電流プログラミングを行わないフィールドでの発光期間は、その前のフィールドでプログラミングされた電流で発光するのだが、本実施例では、さらに電流プログラミング1回に対してEL素子の発光/非発光を複数回繰り返すことができる。
【0056】
図8は、図7の制御信号が与えられて動作を行う行制御回路3の一例である。
【0057】
図8において、行制御回路3は、フリップフロップ10からなるシフトレジスタ11A、シフトレジスタBを有している。シフトレジスタ11Aの各出力はNOTゲート12、ANDゲート13からなるロジック回路14Aに入力され、バッファ15を通じてP1、P2を出力する構成となっている。シフトレジスタ11Bの各出力は、バッファ15を通じてP3を出力する構成となっている。簡略化のため、第1行から第6行までの出力について図示している。
【0058】
図9は図8の行制御回路の動作を説明するタイミングチャートである。SP1はシフトレジスタ11Aに入力されるスタートパルス信号1であり、Highレベルの信号のパルス幅は1走査期間とする。SP2はシフトレジスタ11Bに入力されるスタートパルス信号2である。CLKは、シフトレジスタ11Aおよびシフトレジスタ11Bに共通に入力され、またシフトレジスタ11Aに入力されたSP1、およびシフトレジスタ11Bに入力されたSP2を順次転送するクロック信号である。CLKの1周期は1走査期間とする。Q1A〜Q3Aはシフトレジスタ11Aにおける各フリッププロップ10からの出力を示す。Q1B〜Q3Bはシフトレジスタ11Bにおける各フリッププロップ10からの出力を示す。FIELDは奇数フィールドと偶数フィールドを判別するフィールド信号である。FIELDがHighレベル期間では奇数行の画素において電流プログラミングを行い、Lowレベル期間では偶数行の画素において電流プログラミングを行う。
【0059】
SP1がHighレベルの期間では、SP2もHighレベルにする。こうすることでP1がHighレベルの期間(電流プログラミング期間)は、必ずP3がHighレベル期間(非発光期間)になる。
【0060】
発光期間制御は、SP2のLowレベル期間のパルス幅を変えてP3のLowレベルのパルス幅を変えたり、Lowレベル期間の回数を変えたりすることにより実施できる。しかし、いずれの場合もパルスの期間と間隔はどこも一様であることが好ましい。1つのパルスだけを長くすると、目に感じる発光強度の時間変化はフレーム周波数と変わらなくなってしまう。
【0061】
図3に示したタイミングチャートによれば、P1およびP2が切り替わる時刻t1からある時間経った時刻t2にP3がLowレベルに切り替わる。これを実施するには、実施例1に記載したように、P3を出力するバッファの駆動能力をP1、P2のバッファより小さくすること、あるいはP3の出力のバッファを複数段にしたり容量を付加したりするなどして遅延回路を設けることなどが挙げられる。
【0062】
本実施例では、シフトレジスタ11AとシフトレジスタBに共通のCLKを入力したが、各シフトレジスタに別々のクロック信号を入力してもよい。
【0063】
また、図10は、本実施例における表示装置の他の全体構成を示している。
図10に示す表示装置では、行制御回路3A、行制御回路3Bを有している。図8におけるa部を行制御回路3A、b部を行制御回路3Bのように分離して配置しても良い。
【0064】
本実施例においては、図8の構成による行制御回路を例示したが、これに限らず、図7の駆動方法を実施できる構成であればよい。
【0065】
以上のように、本実施例によれば、奇数フィールド/偶数フィールド交互に電流プログラミングを行いながらも各フィールド内に複数の発光期間を設けている。よって、1フィールドの駆動周波数を60Hzにした場合には、電流プログラミングは30Hz(各行においてフレーム毎に1回)で行われ、発光は120Hz(各行においてフィールド毎に2回発光するとき)あるいはさらに回数を増やせばそれ以上の周波数で行うことができる。こうして、発光/非発光の駆動周波数を高くすることができるのでフリッカーの発生を抑制することが可能となる。
【実施例3】
【0066】
図11は、本実施例による表示装置の全体構成を示す。
図11において、画像表示部には、RGB原色数のEL素子と、このEL素子に入力される電流を制御するためのTFTから構成される画素回路2とが画素1を構成してm行×n列の2次元状に配列されている。ここでmは偶数、nは自然数とする。表示領域の周辺には行制御回路3、および列制御回路4を備えている。行制御回路3Cの各出力端子からは走査信号P1(1)〜P1(m)、P2(1)〜P2(m)と発光期間制御信号P3(1)〜P3(m)が出力される。走査信号は走査線5を介して各行の画素回路2に入力される。発光期間制御信号は発光期間制御線6を介して各行の画素回路2に入力される。図1とは異なり、発光期間制御線6は全行独立に画素回路2に入力される。列制御回路4には映像信号が入力され、各出力端子から電流データIdataが出力される。電流データIdataはデータ線7を介して各列の画素回路に入力される。
【0067】
本実施例における画素回路2およびその駆動方法は図2、図3と同様であるため、その説明および図を省略する。
【0068】
図12は、本発明における表示装置の駆動方法を説明するタイミングチャートである。
図12において、P1(1)〜P1(m)は、第1行〜第m行にそれぞれ対応する走査信号P1を示している。P3(1)〜P3(m)は第1行〜第m行にそれぞれ対応する輝度制御信号P3を示している。図の煩雑化を避けるために記載していないが、走査信号P2に関しては、図3に記載のタイミングと同様にして出力される。
【0069】
図4、図7のタイミングチャートで説明した駆動方法と異なるのは、発光期間制御信号P3の出力波形である。
【0070】
本実施例における発光期間制御信号P3は、全行において1周期を1走査期間としてHigh/Lowを繰り返す連続信号である。ただし、P1がHighレベルの期間(電流プログラミング期間)では、その行のP3は必ずHighレベル期間(非発光期間)とする。
【0071】
実施例1、実施例2と同様に、電流プログラミングを行うフィールド/行わないフィールドのいずれの場合にも発光期間を設け、電流プログラミングを行わないフィールドでの発光期間は、その前のフィールドでプログラミングされた電流で発光する。また、実施例2と同様に、電流プログラミング1回に対してEL素子の発光/非発光を複数回繰り返すことができる。
【0072】
図13は、図11に示す表示装置の動作を実施する行制御回路3Cの一例である。
図13において、行制御回路3Cは、フリップフロップ10からなるシフトレジスタ11Cを有しており、シフトレジスタ11Cの各出力はNOTゲート12、ANDゲート13、ORゲート16からなるロジック回路14Bに入力され、バッファ15を通じてP1、P2、P3を出力する構成となっている。簡略化のため、第1行から第6行までの出力について図示している。
【0073】
図14は図13の行制御回路の動作を説明するタイミングチャートである。SPはシフトレジスタ11Cに入力されるスタートパルス信号であり、Highレベルの信号のパルス幅は1走査期間とする。CLKはシフトレジスタ11Cに入力されたSPを順次転送するクロック信号である。CLKの1周期は1走査期間とする。Q1〜Q3はシフトレジスタ11Cにおける各フリッププロップ10からの出力を示す。FIELDは奇数フィールドと偶数フィールドを判別するフィールド信号である。FIELDがHighレベル期間では奇数行の画素において電流プログラミングを行い、Lowレベル期間では偶数行の画素において電流プログラミングを行う。
【0074】
LCはP3のHighレベル期間/Lowレベル期間を規定するP3制御信号であり、1周期を1走査期間としてHighレベル期間/Lowレベル期間を繰り返す。
【0075】
P1がHighレベルの期間(電流プログラミング期間)は、P3はLCに関係なく必ずHighレベル期間(非発光期間)になる。
【0076】
発光期間制御は、LCのデューディー比を変えてP3のLowレベルのパルス幅を変えることにより実施できる。
【0077】
また本実施例において、LCは最良の形態として1周期を1走査期間としてHighレベル期間/Lowレベル期間を繰り返す連続信号としているが、必ずしも1周期を1走査期間としなくてもよく、周期的に繰り返す連続信号であればよい。
【0078】
図3に示したタイミングチャートによれば、P1およびP2が切り替わる時刻t1からある時間経った時刻t2にP3がLowレベルに切り替わる。これを実施するには、実施例1、および実施例2に記載したように、P3を出力するバッファの駆動能力をP1、P2のバッファより小さくすること、あるいはP3の出力のバッファを複数段にしたり容量を付加したりするなどして遅延回路を設けることなどが挙げられる。
【0079】
本実施例においては、図13の構成による行制御回路を例示したが、これに限らず、図12の駆動方法を実施できる構成であればよい。
【0080】
以上のように、本実施例によれば、奇数フィールド/偶数フィールド交互に電流プログラミングを行いながらも、(電流プログラミング期間以外において)1走査期間毎に発光期間を設けている。よって、1フィールドの駆動周波数を60Hzにした場合には、電流プログラミングは30Hz(各行においてフレーム毎に1回)で行われるが、発光は60Hz以上で行うことができる。例えば、NTSC規格と同様に1フレーム期間が525走査期間あったとすると、1フレーム期間での発光回数は524回(電流プログラミング時の1走査期間を除くため)となる。こうして、発光/非発光の駆動周波数を高くすることができるのでフリッカーの発生を抑制することが可能となる。
【実施例4】
【0081】
本実施例は、上述した各実施例を電子機器に用いた例である。
図15は、本実施例のデジタルスチルカメラシステムの一例のブロック図である。図中、50はデジタルスチルカメラシステム、51は撮影部、52は映像信号処理回路、53は表示パネル、54はメモリ、55はCPU、56は操作部を示す。
【0082】
図15において、撮像部51で撮影した映像または、メモリ54に記録された映像を、映像信号処理回路52で信号処理し、表示パネル53で見ることができる。CPU55では、操作部56からの入力によって、撮影部51、メモリ54、映像信号処理回路52などを制御して、状況に適した撮影、記録、再生、表示を行う。また、表示パネル53は、この他にも各種電子機器の表示部として利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、電流プログラミング装置、アクティブマトリクス型表示装置、およびこれらの電流供給方法に係わり、特に電流駆動型表示素子に用いたアクティブマトリクス型表示装置に適用される。この表示装置を用いて、例えば情報表示装置を構成できる。この情報表示装置は、例えば携帯電話、携帯コンピュータ、スチルカメラもしくはビデオカメラのいずれかの形態をとる。もしくは、それらの各機能の複数を実現する装置である。情報表示装置は、情報入力部を備えている。例えば、携帯電話の場合には情報入力部は、アンテナを含んで構成される。PDAや携帯PCの場合には、情報入力部は、ネットワークに対するインターフェース部を含んで構成される。スチルカメラやムービーカメラの場合には、情報入力部はCCDやCMOSなどによるセンサ部を含んで構成される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る表示装置の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る表示装置における画素回路の一例を示す図である。
【図3】図2に示す画素回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】図1に示す表示装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図5】図4に示す表示装置の動作を実施する行制御回路の一例を示す図である。
【図6】図5に示す行制御回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】図1に示す表示装置の動作を説明する他のタイミングチャートである。
【図8】図7に示す表示装置の動作を実施する行制御回路の一例を示す図である。
【図9】図8に示す行制御回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図10】本発明に係る表示装置の他の例を示す図である。
【図11】本発明に係る表示装置の他の例を示す図である。
【図12】図11に示す表示装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図13】図12に示す表示装置の動作を実施する行制御回路の一例を示す図である。
【図14】図13に示す行制御回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図15】本発明に係る表示装置を用いたデジタルスチルカメラシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図16】従来例の表示装置における画素回路の一例を示す図である。
【図17】図16に示す画素回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図18】従来の表示装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1 画素
2 画素回路
3、3A、3B、3C 行制御回路
4 列制御回路
5 走査線
6 発光期間制御線
7 データ線
10 フリップフロップ
11、11A、11B、11C シフトレジスタ
12 NOTゲート
13 ANDゲート
14、14A、14B ロジック回路
15 バッファ
16 ORゲート
50 デジタルスチルカメラシステム
51 撮影部
52 映像信号処理回路
53 表示パネル
54 メモリ
55 CPU
56 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流に応じて発光輝度が制御される表示素子と、
電流の値が設定され、設定された電流を前記表示素子に供給する画素回路と、
前記表示素子と前記画素回路の組が行方向および列方向にマトリクス状に複数配置された画像表示部と、
前記画像表示部の行毎に設けられた走査線と、
前記画像表示部の行毎に設けられた発光期間制御線と、
前記画像表示部の行数に応じて配置され、前記画素回路が前記表示素子に供給する電流を設定する期間を制御する走査信号を前記走査線に出力し、かつ前記画素回路が前記表示素子に電流を供給する期間を制御する発光期間制御信号を前記発光期間制御線に出力する行制御回路と、
前記画像表示部の列毎に設けられたデータ線と、
前記画像表示部の列数に応じて配置され、前記画素回路が前記表示素子に供給する電流に応じたデータ信号を前記データ線に出力する列制御回路と、
を有する表示装置であって、
前記行制御回路が前記画像表示部の奇数行の前記走査線に前記走査信号を出力し、前記列制御回路が前記データ信号を前記データ線に出力して、前記画像表示部の奇数行の表示素子に供給する電流を当該表示素子の前記画素回路に設定する第1の動作と、
前記行制御回路が前記画像表示部の偶数行の前記走査線に前記走査信号を出力し、前記列制御回路が前記データ信号を前記データ線に出力して、前記画像表示部の偶数行の表示素子に供給する電流を当該表示素子の前記画素回路に設定する第2の動作とを交互に繰り返して行い、
前記第1と第2の動作の繰り返しの周期に同期して、前記繰り返し周期内に前記第1または第2の動作により電流が設定される回数の2倍以上の回数、前記行制御回路が前記画像表示部の奇数行と偶数行の前記発光期間制御線に前記発光期間制御信号を出力し、前記表示素子に、当該表示素子の前記画素回路内に設定された電流を一定期間供給することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
隣接する2行の前記発光期間制御線に同時に前記発光期間制御信号が出力されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記行制御回路の前記発光期間制御信号の出力端子数が前記走査信号の出力端子数の1/2であり、前記発光期間制御信号が、隣接する2行が共通に接続された前記発光期間制御線に出力されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記行制御回路が前記画像表示部の奇数行と偶数行の前記発光期間制御線に前記発光期間制御信号を出力する期間は、前記第1または第2の動作において前記行制御回路が当該奇数行または偶数行の前記走査線に前記走査信号を出力する期間以外の期間であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記行制御回路がシフトレジスタを含み、該シフトレジスタの入力信号の継続期間に等しい長さの時間、前記発光期間制御信号を生成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光期間制御信号の生成期間が外部信号により制御されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記外部信号は、1周期を1走査期間とする連続信号であることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記画素回路が前記表示素子に供給する電流の設定が、再度前記表示素子に供給する電流を設定するまで保持されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示素子は、エレクトロルミネセンス素子であることを特徴とした請求項1ないし8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の表示装置を搭載した電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−271973(P2007−271973A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98011(P2006−98011)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】