説明

表示装置の製造方法

【課題】表示装置の製造方法において、大判の基板に施される工程で生じる静電破壊を極力抑止する。
【解決手段】大判の基板10上のパネル領域10Pの外側に、MOS形成用半導体層21、第1の絶縁膜13、MOS形成用金属層22からなるMOS構造である静電破壊誘発部20が形成される。基板10の搬送時やハンドリング時に静電気が生じた場合、静電破壊誘発部20において、基板10上の他の部位に比して高い頻度で静電破壊が起こされる。これは、上記MOS構造が、上記静電気による静電破壊に対して弱い構造を有しているためである。このパネル領域10Pの外側における静電破壊により、基板10の静電気の電荷は減少する。そのため、大判の基板10に施される工程において、パネル領域10Pの内側の表示画素及び駆動回路に静電破壊が及ぶことを極力抑止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製造方法に関し、特に、大判の基板から複数の表示パネルが得られる表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CRTに替わる表示装置として、LCDや有機エレクトロルミネッセンス素子(Organic Electro Luminescent Device:以降、「有機EL素子」と略称する)を表示素子として用いた表示装置が開発されている。この表示素子は、それを駆動する駆動トランジスタ等と共に、基板上に形成される。
【0003】
次に、上記表示装置は次のような製造工程を経ることにより完成する。即ち、複数の表示パネルの形成領域(以降、「パネル領域」と略称する)が画定された大判の基板を準備する。次に、その基板のパネル領域ごとに、上記表示素子及びそれを駆動する駆動トランジスタ等を含む複数の表示画素、及びその表示画素に駆動信号を供給するトランジスタ等を含む垂直駆動回路及び水平駆動回路(以降、「駆動回路」と略称する)が形成される。そして、その基板を複数のパネル領域ごとに切断することにより、表示装置が完成する。
【0004】
上記表示装置では、基板に形成された表示画素及び駆動回路が静電気によって破壊される現象、即ち静電破壊が多く発生することが知られている。そこで、表示画素及び駆動回路を構成する金属層の配置の工夫や、静電破壊防止回路の設置等の対策が施されていた。
【特許文献1】特開2003−271075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記表示装置の製造工程、即ち、大判の基板に施される工程では、例えば基板の搬送時やハンドリング時に、その基板に静電気が生じるという問題があった。そして、そのような大判の基板に生じた静電気による表示画素及び駆動回路の静電破壊については、十分な対処が為されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、表示装置の製造方法において、大判の基板に施される工程で生じる静電破壊を極力抑止することを目的とする。
【0007】
本発明の表示装置の製造方法は、複数のパネル領域が画定された基板を準備し、パネル領域の外側の基板上に、第1の絶縁膜を間に挟む半導体層及び第1の金属層からなる静電破壊誘発部を形成する工程と、パネル領域の内側の基板上に、第1の絶縁膜、半導体層、及び第1の金属層からなるトランジスタと、そのトランジスタによって駆動される表示素子とを形成する工程と、基板をパネル領域ごとに切断する工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の表示装置の製造方法は、上記工程に加えて、第1の金属層を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、第2の絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程と、コンタクトホールを通して第1の金属層と接続され第2の絶縁膜上に延びる第2の金属層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の表示装置の製造方法は、上記工程において、上記静電破壊誘発部は、尖鋭部を有したパターンであるか、もしくは基板を搬送する方向に沿って線状に延びるパターンであることを特徴とする。また、表示素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パネル領域の外側において、静電破壊に対して弱い構造を有した静電破壊誘発部が形成される。そのため、大判の基板に静電気が生じても、パネル領域の外側の静電破壊誘発部において、基板の他の部位に比して高い頻度で静電破壊が引き起こされる。これにより、パネル領域の内側の表示画素及び駆動回路に対する静電破壊が極力抑止される。即ち、大判の基板に施される工程で生じる静電気を起因とするパネル領域の内側の静電破壊を極力抑止できる。また、上記静電破壊誘発部を、製造工程の煩雑化を極力回避しつつ形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態に係る表示装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図であり、大判の基板10を示す平面図である。なお、図1では、この大判の基板10が、それに画定された複数のパネル領域10Pごとに切断される直前の状態を示している。
【0012】
図1に示すように、大判の基板10には複数のパネル領域10Pが画定されている。基板10が複数のパネル領域10Pごとに切断される直前の状態では、各パネル領域10Pの内側には、駆動トランジスタTR及びそれに接続された表示素子Eとを備えた複数の表示画素が形成されている。また、各パネル領域10Pの内側には、表示画素に駆動信号を供給するトランジスタ等を含む不図示の駆動回路(即ち垂直駆動回路及び水平駆動回路)が形成されている。なお、本実施形態では、表示画素の表示素子Eは、有機EL素子であるものとして説明する。
【0013】
また、パネル領域10Pの外側には、後述するように、パネル領域10Pを囲むようにして、いわゆるMOS構造を有した静電破壊誘発部20が形成されている。この静電破壊誘発部20は、大判の基板10に静電気が生じた場合、パネル領域の外側、特に基板10の端部において、基板10の他の部位に比して高い頻度で静電破壊を引き起こさせて、その静電気の電荷を減少させる機能を有する。
【0014】
次に、この静電破壊誘発部20の断面構造について、図面を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。図2(A)は、図1のX−X線に沿った断面を示している。図2(B)は、図1のY−Y線に沿った断面を示している。なお、図2(A)では、1つのパネル領域10Pに複数形成される表示画素の中から、その1つの示すものである。
【0015】
図2(A)に示すように、パネル領域10Pの内側では、基板10上に、バッファ層11を介して、所定の半導体層からなる能動層12が形成されている。さらに、能動層12を覆う第1の絶縁膜13が形成されている。第1の絶縁膜13は、表示画素の駆動トランジスタTRを構成しうる所定の条件を有しており、例えば約100nmの膜厚で形成されている。第1の絶縁膜13であって能動層12上の領域には、ゲート電極14が形成されている。さらに第1の絶縁膜13上には、ゲート電極14を覆う第2の絶縁膜15が形成されている。第2の絶縁膜15であって能動層のドレイン12d及びソース12s上の領域には、それぞれコンタクトホールが形成されている。さらに、第2の絶縁膜15上には、そのコンタクトホールを通してドレイン12d及びソース12sにそれぞれ接続されたドレイン電極D及びソース電極Sが形成されている。ドレイン電極D及びソース電極Sは、例えばアルミニウムを含む金属からなる。
【0016】
また、第2の絶縁膜15上には、それらの電極を覆うようにして第1の平坦化膜16が形成されている。第1の平坦化膜16には、ドレイン電極Dもしくはソース電極S上にコンタクトホールが設けられている。そして、第1の平坦化膜16上には、そのコンタクトホールを通してドレイン電極Dもしくはソース電極Sと接続された陽極17Aが形成されている。また、第1の平坦化膜16上には、陽極17Aを露出する開口部を有した第2の平坦化膜18が形成されている。上記開口部で露出された陽極17Aの領域は、表示素子Eの発光領域に対応する。
【0017】
さらに、第2の平坦化膜18の開口部で露出された陽極17A上には、有機発光材料を含む発光層17Lが形成されている。そして、第2の平坦化膜18及び発光層17Lを覆う陰極17Cが形成されている。これらの陽極17A、発光層17L、陰極17Cは表示素子Eを構成している。
【0018】
一方、図2(B)に示すように、パネル領域10Pの外側では、基板10上に、バッファ層11が形成され、駆動トランジスタTRの能動層12と同じ半導体層からなるMOS形成用半導体層21が形成されている。そのMOS形成用半導体層21上には、第1の絶縁膜13を介して、MOS形成用金属層22が形成されている。その上層には、第2の絶縁膜15、第1の平坦化膜16が形成されている。
【0019】
この構成により、基板10に静電気が生じた場合、パネル領域10Pの外側に形成されたMOS構造である静電破壊誘発部20において、基板10上の他の部位に比して高い頻度で静電破壊が引き起こされる。これは、MOS構造である静電破壊誘発部20が、静電気による絶縁破壊を起こし易い膜厚の第1の絶縁膜13を有しており、静電破壊に弱い構造を有しているためである。このパネル領域10Pの外側における静電破壊により、基板10の静電気の電荷は減少する。そのため、大判の基板10に施される工程において、パネル領域10Pの内側の表示画素及び駆動回路に対する静電破壊が極力抑止される。
【0020】
次に、上記静電破壊誘発部20の形成方法について図面を参照して説明する。図3は、本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。図3(A)は、後述する第1の露光における大判の基板10を示す平面図であり、図3(B)は、後述する第1の露光に用いる第1のマスクを示す平面図である。また、図4は、本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図であり、後述する第2の露光を説明する図である。図4(A)は、その第2の露光に用いる第2のマスクを示す平面図であり、図4(B)は図4(A)の部分拡大図である。また、図5は、図4(A)及び図4(B)の第2のマスク50のパターンPを示す平面図である。
【0021】
まず、図2(A)、図2(B)、及び図3(A)に示すように、大判のガラス基板である基板10を準備する。この基板10には、後に表示装置となる複数のパネル領域10Pが画定されている。
【0022】
次に、基板10の全面上に、例えばシリコン酸化膜等からなるバッファ層11が形成される。このバッファ層11の全面上には半導体層(後の能動層12、MOS形成用半導体層21となる)が形成される。この半導体層は例えばポリシリコン層からなる。この場合、バッファ層11上にアモルファスシリコン層が例えば50nm程度の厚さに形成され、このアモルファスシリコン層がレーザーアニール等の加熱処理により結晶化されることによってポリシリコン層となる。なお、半導体層は、ポリシリコン層に限定されず、その一部もしくは全体がアモルファスシリコンからなるものであってもよい。
【0023】
次に、この半導体層のパターニングにより、パネル領域10Pの内側では駆動トランジスタTRの能動層12が形成される。このパターニングでは、まず、半導体層を覆うポジレジスト層からなる第1のレジスト層PR1が形成され、その第1のレジスト層PR1に対して、図3(B)に示すような第1のマスク40を介して、第1の露光を行う。このとき、第1のマスク40には、駆動トランジスタTRの能動層12に対応した不図示のパターンに加えて、第1の遮光部41が含まれている。この第1の遮光部41は、所定の幅を以って複数のパネル領域を囲む遮光帯30を第1のレジスト層PR1に投影するパターンである。
【0024】
この第1の露光は、複数のパネル領域10Pからなる集合ごとに繰り返し行われる。その際、第1の遮光部41は、隣接するパネル領域10Pに露光の際の光漏れが生じることを防止する役割を果たす。この第1の露光では、第1のレジスト層PR1において能動層12となる領域及び遮光帯30は露光されないため、これらの領域は、後の現像の際に残存しうる領域となる。これにより、複数のパネル領域10Pの集合を囲むようにして、遮光帯30が形成される。
【0025】
次に、第1のレジスト層PR1に対して、第2のマスクを介した第2の露光を行う。第2の露光は、複数のパネル領域10Pからなる集合ごとに繰り返し行われる。
【0026】
図4(A)及び図4(B)に示すように、第2のマスク50には、その辺に沿って所定の幅を以って延在する第2の遮光部51と、その第2の遮光部51の内側で第2の遮光部51と所定の距離L1,L2を以って離間する第3の遮光部52とが設けられている。上記所定の距離L1,L2は、第1のマスク40における第1の遮光部41の幅と同一もしくは略同一である。例えば、上記所定の距離L1,L2は、約1.5mmである。
【0027】
また、第2の遮光部51と第3の遮光部52との間の領域は、後述する所定のパターンPTが離散的に形成されたパターン形成部53となっている。即ち、第2のマスク50は、第2及び第3の遮光部51,52以外の領域、及びパターンPT以外の領域で光を透過する。
【0028】
ここで、パターン形成部53に形成されたパターンPTの詳細について説明すると、 図5(A)及び図5(B)に示すように、このパターンPTは、例えば三角形の頂点近傍の形状のような尖鋭部を含んでいることが好ましい。これは、後にパターンPTに対応して形成されるMOS形成用半導体層21において、電界集中を引き起こし易い構造を得るためである。MOS形成用半導体層21において電界集中が容易に生じれば、静電気静電破壊誘発部20において、静電破壊を発生させ易くなる。
【0029】
また、図5(C)に示すように、このパターンPTは、基板10の搬送方向に沿って延びる線状のパターンであってもよい。この線状のパターンPTの長手方向の長さL3は、例えば約100μm〜150μmである。
【0030】
そして、上述した第1及び第2の露光の終了後、第1のレジスト層PR1が現像される。その後、現像された第1のレジスト層PR1をエッチングマスクとして、半導体層がエッチングされる。このエッチングにより、パネル領域10P内では、駆動トランジスタTRの能動層12が形成される。
【0031】
一方、パネル領域10Pの外側では、静電破壊誘発部20を構成するMOS構造の一部として、半導体層からなり、第2のマスク50のパターンPTに対応したパターンを有するMOS形成用半導体層21が形成される。
【0032】
さらに、駆動トランジスタTRの能動層12、及びMOS形成用半導体層21を覆うようにして、例えばシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜13が形成される。そして、この第1の絶縁膜13の全面上には、例えばモリブデンもしくはクロムを含む第1の金属層が形成される。第1の金属層上には、ポジレジスト層からなる第2のレジスト層PR2が形成される。
【0033】
第1の金属層は、次に示すような露光及び現像を経てパターニングされ、パネル領域10Pの内側では駆動トランジスタTRのゲート電極14となり、パネル領域10Pの外側では、第2のマスク50のパターンPTに対応したパターンを有するMOS形成用金属層22となる。
【0034】
まず、図3(A)に示すように、第2のレジスト層PR2に対して、不図示の第3のマスクを介して第3の露光を行う。このとき、第3のマスクには、ゲート電極14及びそのゲート電極14と接続された配線の不図示のパターンに加え、第1のマスク40の第1の遮光部41と同様のパターンが含まれている。
【0035】
この第3の露光は、複数のパネル領域10Pからなる集合ごとに繰り返し行われる。その際、第1の遮光部41は、隣接するパネル領域10Pに露光の際の光漏れが生じることを防止する役割を果たす。この第3の露光では、第2のレジスト層PR2において能動層12となる領域及び遮光帯40は露光されないため、これらの領域は、後の現像の際に残存しうる領域となる。これにより、複数のパネル領域10Pの集合を囲むようにして、遮光帯30が形成される。
【0036】
次に、第2のレジスト層PR2に対して、第2の露光と同様の第4の露光を行う。即ち、第2のマスク50を介して、第2のレジスト層PR2を露光する。第4の露光は、複数のパネル領域10Pからなる集合ごとに繰り返し行われる。そして、第2のレジスト層PR2が現像される。その後、現像された第2のレジスト層PR2をエッチングマスクとして、第1の金属層がエッチングされる。このエッチングにより、パネル領域10Pの内側では、駆動トランジスタTRのゲート電極14及びそれに接続された不図示の配線が形成される。
【0037】
一方、パネル領域10Pの外側では、第1の金属層からなり、第2のマスク50のパターンPTに対応したパターンを有するMOS形成用金属層22が形成される。
こうして、パネル領域10Pの外側の基板10上では、第2のマスク50のパターンPTに対応して、MOS形成用半導体層21、第1の絶縁膜13、及びMOS形成用金属層22からなるMOS構造が形成される。このMOS構造が、基板10に生じる静電気による静電破壊を他の部位に比して高い頻度で引き起こす静電破壊誘発部20となる。
【0038】
さらに、層間絶縁膜として、例えばシリコン酸化膜等からなる第2の絶縁膜15が形成される。また、第2の絶縁膜15には、能動層12のドレイン12d及びソース12s上にコンタクトホールが形成される。そして、そのコンタクトホール内を含む第2の絶縁膜15上には、例えばアルミニウムを含む金属からなる第2の金属層が形成される。そして、第2の金属層のパターニングにより、上記コンタクトホールを通してドレイン12d及びソース12sにそれぞれ接続されたドレイン電極D及びソース電極Sが形成される。即ちドレイン電極D及びソース電極Sは、アルミニウムを含む金属からなる。さらに、第2の絶縁膜15上には、例えば感光性のレジスト材料からなり、ドレイン電極D及びソース電極Sを覆う第1の平坦化膜16が形成される。こうして、パネル領域10Pの内側の基板10上に、いわゆるトップゲート型の駆動トランジスタTRが形成される。なお、図示しないが、駆動回路に含まれる他のトランジスタについても、駆動トランジスタTRと同様に形成される。
【0039】
さらに、パネル領域10Pの内側では、駆動トランジスタTR上の第1の平坦膜16にコンタクトホールが形成される。そして、第1の平坦化膜16上には、そのコンタクトホールを通してドレイン電極Dもしくはソース電極Sと接続された表示素子Eの陽極17Aが形成される。陽極17Aは、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる。さらに、陽極17A上には、発光領域に対応した開口部を有した第2の平坦化膜18が形成される。そして、第2の平坦化膜18の開口部で露出された陽極17A上に発光層17Lが形成される。そして、例えばアルミニウムを含む金属からなる陰極17Cが、第2の平坦化膜18及び発光層17Lを覆うようにして形成される。
【0040】
その後、上記静電破壊誘発部20が形成された基板10は、必要な工程を経て、最後にパネル領域10Pごとに切断され、複数の表示装置となる。この切断の際、静電破壊誘発部20は、不要な箇所として切り落とされため、完成した表示装置には含まれない。
【0041】
上述した製造方法によれば、MOS形成用半導体層21を構成する半導体層、及びMOS形成用金属層22を構成する第1の金属層をパターニングする際、第1のレジスト層PR1もしくは第2のレジスト層PR2の遮光帯30の不要部分の除去と、MOS形成用半導体層21及びMOS形成用金属層22のパターンPTの形成とを同時に行うことができる。即ち、遮光帯30を有効的に活用することにより、製造工程の煩雑化を極力回避しつつ、上記静電破壊の抑止を図ることができる。
【0042】
また、上記静電破壊誘発部20は、遮光帯30の形成領域内において形成されている。そのため、遮光帯30の形成領域以外には、パネル領域10Pの外側の基板10上に、静電破壊誘発部20を形成するための領域を新たに設ける必要が無い。即ち、基板10上においてパネル領域10Pを画定する際の自由度を極力大きくすることができる。
【0043】
なお、上記実施形態の他の実施形態として、静電破壊誘発部20は、上記以外の構造を有していてもよい。次に、その場における本発明の他の実施形態について、図面を参照して説明する。図6は、本発明の他の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。図6(A)及び図6(B)は、図1のY−Y線に沿った断面を示している。
【0044】
図6(A)に示すように、静電破壊誘発部20は、図2(B)の構成に加えて、第2の絶縁膜15を介してMOS形成用金属層22と接続され第2の絶縁膜15上に延在する配線層60が形成されてもよい。この配線層60は、パネル領域10Pの内側に形成された駆動トランジスタTRのドレイン電極D及びソース電極Sと同じ第2の金属からなり、同一工程で形成される。即ち、配線層60は、例えばアルミニウムを含む金属からなる。
【0045】
この金属層60は、基板10に生じた静電気の電荷をMOS形成用金属層22に集約する機能を果たす。そのため、この構成によれば、静電破壊誘発部20において、より確実に静電破壊を誘発することが可能となり、パネル領域10Pの内側の表示画素及び駆動回路の静電破壊をより確実に抑止することができる。
【0046】
また、上記いずれの実施形態においても、パネル領域10Pの内側に形成される駆動トランジスタTR及びその他のトランジスタは、上記構成のトップゲート型に限定されない。即ち、駆動トランジスタTR及びその他のトランジスタは、基板10上にバッファ層を介してゲート電極が形成され、さらに第1の絶縁膜を介して能動層が形成されるボトムゲート型であってもよい。
【0047】
この場合、図6(B)に示すように、図2(B)の構成において、基板10上にバッファ層11を介してMOS形成用金属層22が形成され、その上層に、さらに第1の絶縁膜14を介してMOS形成用半導体層21が形成される。また、図示しないが、図6(A)の配線層60と同様の配線層が、MOS形成用半導体層21と接続されてもよい。
【0048】
また、上記いずれの実施形態においても、静電破壊誘発部20を構成するMOS形成用半導体層21及びMOS形成用金属層22は、第2のマスク50のパターンPTに対応したパターンを有していたが、本発明はこれに限定されない。即ち、MOS形成用半導体層21もしくはMOS形成用金属層22のいずれか一方が、第2のマスク50のパターンPTに対応したパターンを有するように形成されてもよい。
【0049】
また、上記いずれの実施形態においても、表示素子として有機EL素子を用いたが、本発明はこれに限定されない。即ち、本発明は、有機EL素子の替わりに、その他の表示素子を用いた場合についても適用される。この場合、表示素子は、例えば無機EL、もしくは液晶を用いたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【図2】図1のX−X線及びY−Y線に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
10 基板 10P パネル領域
11 バッファ層 12 能動層 13 第1の絶縁膜
14 ゲート電極 15 第2の絶縁膜 16 第1の平坦化膜
17A 陽極 17L 発光層 17C 陰極
18 第2の平坦化膜 20 静電破壊誘発部
21 MOS形成用半導体層 22 MOS形成用金属層
30 遮光帯 40 第1のマスク 41 第1の遮光部
50 第2のマスク 51 第2の遮光部 52 第3の遮光部
53 パターン形成部 60 配線層
PT パターン
PR1 第1のレジスト層 PR2 第2のレジスト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネル領域が画定された基板を準備し、
前記パネル領域の外側の前記基板上に、第1の絶縁膜を間に挟む半導体層及び第1の金属層からなる静電破壊誘発部を形成する工程と、
前記パネル領域の内側の前記基板上に、前記第1の絶縁膜、前記半導体層、及び前記第1の金属層からなるトランジスタと、そのトランジスタによって駆動される表示素子とを形成する工程と、
前記基板を前記パネル領域ごとに切断する工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の金属層を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホールを通して前記第1の金属層と接続され前記第2の絶縁膜上に延びる第2の金属層を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記静電破壊誘発部は、尖鋭部を有したパターンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記静電破壊誘発部は、前記基板を搬送する方向に沿って線状に延びるパターンであることを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記表示素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−163818(P2007−163818A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359750(P2005−359750)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】