説明

表示装置及びその駆動制御方法

【課題】表示パネルに付設される電源ドライバを小型化、低コスト化することができるとともに、発光素子を表示信号に応じた適切な輝度階調で発光動作させることができる表示装置及びその駆動制御方法を提供する。
【解決手段】表示装置100は、複数の表示画素EMが二次元配列された表示パネル110の行方向に配設された複数の走査ラインSLに走査信号Vselを順次印加する走査ドライバ120と、各行の走査ラインSLに並行に配設された複数の第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLBに、各々第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomを順次印加する第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130Bと、表示パネル110の列方向に配設された複数のデータラインDLを介して、表示データに応じた階調電流Idataを各表示画素EMへ供給するデータドライバ140と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその駆動制御方法に関し、特に、表示データに応じた電流を供給することにより所定の輝度階調で発光する電流駆動型の発光素子を、複数配列してなる表示パネルを備えた表示装置及びその駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に続く次世代の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)や無機エレクトロルミネッセンス素子(無機EL素子)、あるいは、発光ダイオード(LED)等のような発光素子を、マトリクス状に配列した表示パネル(表示画素アレイ)を備えた発光素子型の表示デバイス(発光素子型ディスプレイ)が注目されている。
【0003】
特に、アクティブマトリックス駆動方式を適用した発光素子型ディスプレイは、周知の液晶表示装置に比較して、表示応答速度が速く、また、視野角依存性もなく、高輝度・高コントラスト化、表示画質の高精細化等が可能であるとともに、液晶表示装置のようにバックライトを必要としないので、一層の薄型軽量化や低消費電力化が可能である、という極めて優位な特徴を有している。
【0004】
そして、このような発光素子型ディスプレイにおいては、発光素子の動作(発光状態)を制御するための駆動制御機構や制御方法が種々提案されている。例えば、特許文献1等には、表示パネルを構成する各表示画素ごとに、上記発光素子に加えて、表示データに応じた所定の発光駆動電流を供給して該発光素子を発光駆動制御するための複数のスイッチング素子(薄膜トランジスタ)からなる駆動回路(発光駆動回路)を備えた構成が記載されている。
【0005】
図15は、従来技術における表示画素(発光駆動回路及び発光素子)を備えた発光素子型ディスプレイの要部構成例を示す等価回路図であり、図16は、従来技術における表示画素(発光駆動回路及び発光素子)を備えた発光素子型ディスプレイの要部構成例を示す概略断面図である。なお、図16においては、図示の都合上、各表示画素の発光駆動回路を構成する複数のスイッチング用トランジスタのうち、発光素子に直接発光駆動電流を供給するトランジスタ(発光駆動素子)のみを示す。
【0006】
例えば特許文献1等に記載された発光素子型ディスプレイ(有機EL表示装置)は、図15(a)に示すように、行方向に配設された複数の選択信号ライン(走査ライン)SLpと列方向に配設された複数の表示信号ライン(データライン)DLpとの各交点近傍に、複数の表示画素EMpが2次元配列(マトリクス配列)され、各表示画素EMpは、図15(b)に示すように、ゲート端子が選択信号ラインSLpに、ドレイン端子が表示信号ラインDLpに、ソース端子が接点Npに各々接続されたスイッチング用トランジスタ(薄膜トランジスタ)Tr111と、ゲート端子が接点Npに接続され、ドレイン端子が所定の駆動電源電圧Vddが印加された電源ラインVLpに接続されたスイッチング用トランジスタTr112と、接点Npと所定の直流電圧Vdc(Vdd又はGND)間に接続されたコンデンサCpと、を備えた発光駆動回路DCp、及び、該発光駆動回路DCpの薄膜トランジスタTr112のソース端子にアノード端子(陽極)が接続され、カソード端子に接地電位GNDが印加された有機EL素子(電流駆動型の発光素子)OELを有して構成されている。
【0007】
また、図15に示した発光素子型ディスプレイに適用される各表示画素EMpの断面構造は、図16に示すように、透明な基板SBp上にゲート電極GT、ゲート絶縁膜ISg、ポリシリコン薄膜(半導体層)SM、からなるスイッチング用トランジスタTrp(ソース端子及びドレイン端子を省略;上述したTr112に相当する)が設けられ、当該薄膜トランジスタTrp上に層間絶縁膜ISyを介して配線層(表示信号ラインDLp、電源ラインVLp等)が設けられ、さらに平坦化膜ISfを介して透明電極材料からなるアノード電極(陽極)ELa、有機EL層(ホール輸送層LYh、発光層LYm、電子輸送層LYe)、カソード電極(陰極)ELcを順次積層してなる有機EL素子OELが設けられた構成を有している。ここで、各表示画素EMpの有機EL素子OELのカソード電極ELcは、例えば全表示画素EMpに共通の単一の金属層(いわゆる、べた電極)により構成され、接地電位GNDが印加されるように構成されている。
【0008】
このような構成を有する表示画素EMpにおいては、選択信号ラインSLpにオンレベルの選択信号SCANが印加されることにより、薄膜トランジスタTr111がオン動作して選択状態に設定され、このタイミングに同期して、表示信号ラインDLpを介して表示信号DATAを印加することにより、薄膜トランジスタTr111を介して、表示信号DATAに応じた電位が接点Np(すなわち、薄膜トランジスタTr112のゲート端子)に印加される。
【0009】
これにより、薄膜トランジスタTr112が接点Npの電位に応じた導通状態(すなわち、表示信号DATAに応じた導通状態)でオン動作して、駆動電源電圧Vddから薄膜トランジスタTr112及び有機EL素子OELを介して接地電位GNDに、所定の発光駆動電流が流れ、有機EL素子OELが表示信号DATAに応じた輝度階調で発光動作する。また、このとき、接点Npに印加された表示信号DATAに基づいて、コンデンサCpに電荷が蓄積(充電)される。
【0010】
次いで、選択信号ラインSLpにオフレベルの選択信号SCANを印加することにより、表示画素EMpの薄膜トランジスタTr111がオフ動作して非選択状態に設定され、表示信号ラインDLpと発光駆動回路DCpとが電気的に遮断される。このとき、コンデンサCpに蓄積された電荷が保持されることにより、薄膜トランジスタTr112はオン状態を持続する。
【0011】
したがって、上記選択状態における発光動作と同様に、駆動電源電圧Vddから薄膜トランジスタTr112を介して、有機EL素子OELに所定の発光駆動電流が流れて、発光動作が継続される。この発光動作は、次の表示信号DATAが印加される(書き込まれる)まで、例えば、1フレーム期間継続するように制御される。
【0012】
なお、図15においては、表示画素EMpを構成する発光駆動回路DCpとして、表示信号DATAの電圧値を調整することにより、有機EL素子OELに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所定の輝度階調で発光動作させる電圧階調指定方式(又は、電圧階調指定駆動)の回路構成を示したが、表示信号DATAの電流値を調整することにより、有機EL素子OELに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所定の輝度階調で発光動作させる電流階調指定方式(又は、電流階調指定駆動)の回路構成も知られている。
【0013】
【特許文献1】特開2000−267628号公報 (第3頁、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述したような発光駆動回路により表示信号(表示データ)に応じた電流値を有する発光駆動電流を生成して有機EL素子(発光素子)に供給する構成を有する表示画素においては、有機EL素子のカソード電極側に全表示画素に共通の接地電位GNDが印加されているため、有機EL素子を発光動作させるためには、当該有機EL素子のアノード電極側にスイッチング用トランジスタ(図15では薄膜トランジスタTr112に相当する)を介して接続され、発光駆動電流の電流源となる電源ラインに印加される駆動電源電圧として、上記接地電位GNDを基準とし、発光動作時の有機EL素子及び上記スイッチング用トランジスタの各両端電位の総和以上となる電圧値を設定する必要がある。
【0015】
ここで、上記発光駆動回路の回路構成やスイッチング用トランジスタの動作特性、有機EL素子の素子特性、動作マージン、当該回路の駆動制御方法等にもよるが、上記駆動電源電圧として、例えば、数十V程度の比較的高い電圧値に設定しなければならないものもある。なお、このような駆動電源電圧として高い電圧値を設定する必要がある発光駆動回路の回路構成及び当該回路の駆動制御方法については、後述する発明の詳細な説明において比較例として説明する。
そのため、高い電圧値を有する駆動電源電圧を各表示画素に印加するためには、高耐圧の回路構成を有する電源ドライバを周辺装置として備える必要があり、これにより、当該ドライバの大型化や製品コストの上昇を招くという問題を有していた。
【0016】
また、有機EL素子に発光駆動電流を供給するスイッチング用トランジスタには、電源ライン側に高電位が印加され、有機EL素子側に低電位が印加されているため、電源ライン側から有機EL素子方向への同一方向にのみ発光駆動電流が流れることになり、スイッチング用トランジスタを構成する薄膜トランジスタのしきい値電圧変動(Vthシフト)が生じやすく、表示信号に応じた適切な輝度階調での発光動作が行われなくなるという問題も有していた。
【0017】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、表示パネルに付設される電源ドライバを小型化、低コスト化することができるとともに、発光素子を表示信号に応じた適切な輝度階調で発光動作させることができる表示装置及びその駆動制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の発明は、行方向に配設された複数の選択ライン及び列方向に配設された複数のデータラインの各交点近傍に、電流駆動型の発光素子と該発光素子に発光駆動電流を供給する発光駆動素子とからなる複数の表示画素が配列された表示パネルを備えた表示装置において、前記表示パネルは、各行ごとに、前記表示画素に設けられる前記発光素子の一端に前記発光駆動素子を介して接続された第1の電源ラインと、前記発光素子の他端に接続された第2の電源ラインと、を有し、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインを介して、前記各行の表示画素に個別に電源電圧を印加する手段を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記表示装置は、前記表示パネルの前記各行の表示画素に対して、前記選択ラインを介して所定のタイミングで選択信号を印加し、選択状態に設定する選択駆動部と、所望の画像情報を表示するための表示データに応じた階調信号を生成し、前記選択状態に設定された行の前記表示画素に印加するデータ駆動部と、前記各行の表示画素に対して、前記第1の電源ラインを介して所定のタイミングで第1の電源電圧を印加する第1の電源駆動部と、前記各行の表示画素に対して、前記第2の電源ラインを介して所定のタイミングで第2の電源電圧を印加する第2の電源駆動部と、タイミング制御信号を供給することにより、前記選択駆動部及び前記データ駆動部、前記第1及び第2の電源駆動部の各々を所定のタイミングで動作させる駆動制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の表示装置において、前記第1の電源駆動部及び前記第2の電源駆動部は、相互に電圧レベルが反転関係となる前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を生成する手段と、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を同期して印加する手段と、を有することを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の表示装置において、前記駆動制御部は、前記選択駆動部から前記選択ラインに前記選択信号を印加するタイミングに同期して、前記第1の電源駆動部及び前記第2の電源駆動部から前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加するためのタイミング制御信号を生成する手段を有していることを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項2又は3記載の表示装置において、前記駆動制御部は、前記選択駆動部から前記選択ラインに前記選択信号を印加するタイミングに先立って、前記第1の電源駆動部及び前記第2の電源駆動部から前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加するためのタイミング制御信号を生成する手段を有していることを特徴とする。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項2又は3記載の表示装置において、前記駆動制御部は、前記第1の電源駆動部及び前記第2の電源駆動部から前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、任意のタイミングで前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加するためのタイミング制御信号を生成する手段を有していることを特徴とする。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置において、前記表示画素の前記発光駆動素子は、前記発光素子に前記発光駆動電流を流す電流路と、前記発光駆動電流の供給状態を制御する制御端子を備え、前記データ駆動部から印加される前記階調信号に基づいて、前記制御端子と前記電流路の一端側との間に前記階調信号に応じた電圧成分が保持されるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の表示装置において、前記表示画素の各々は、前記発光素子の発光動作を制御する発光駆動回路を備え、前記発光駆動回路は、少なくとも、電流路の一端側が前記発光素子の電流供給側の端子に接続され、該電流路の他端側が前記第1の電源ラインに接続された第1のスイッチ手段と、制御端子が前記選択ラインに接続され、電流路の一端側が前記第1の電源ラインに接続され、該電流路の他端側が前記第1のスイッチ手段の制御端子に接続された第2のスイッチ手段と、制御端子が前記選択ラインに接続され、電流路の一端側が前記データラインが接続され、該電流路の他端側が前記発光素子の電流供給側の端子に接続された第3のスイッチ手段と、を備え、前記発光駆動素子は、前記第1のスイッチ手段であることを特徴とする。
【0026】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の表示装置において、前記発光駆動素子、又は、前記第1乃至第3のスイッチ手段は、アモルファスシリコンからなる半導体層を備えた電界効果型の薄膜トランジスタであることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の表示装置において、前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする。
【0027】
請求項11記載の発明は、行方向に配設された複数の選択ライン及び列方向に配設された複数のデータラインの各交点近傍に、電流駆動型の発光素子と該発光素子に発光駆動電流を供給する発光駆動素子とからなる複数の表示画素が配列された表示パネルを備え、所定のタイミングで前記表示パネルの各行ごとの前記表示画素に選択信号を順次印加して、選択状態に設定し、当該選択タイミングに同期して、所望の画像情報を表示するための表示データに応じた階調信号を印加することにより、前記表示画素を所定の輝度階調で発光動作させて、前記表示パネルに前記所望の画像情報を表示する表示装置の駆動制御方法において、各行の前記表示画素ごとに、当該表示画素に設けられる前記発光素子の一端に前記発光駆動素子を介して接続された第1の電源ライン、及び、前記発光素子の他端に接続された第2の電源ラインに対して、相互に電圧レベルが反転関係となる第1の電源電圧及び第2の電源電圧を印加することを特徴とする。
【0028】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の表示装置の駆動制御方法において、前記選択ラインに前記選択信号を印加して、当該選択ラインに接続された前記表示画素を選択状態に設定するタイミングに同期して、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加することを特徴とする。
【0029】
請求項13記載の発明は、請求項11記載の表示装置の駆動制御方法において、前記選択ラインに前記選択信号を印加して、当該選択ラインに接続された前記表示画素を選択状態に設定するタイミングに先立って、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加することを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項11記載の表示装置の駆動制御方法において、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、任意のタイミングで前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る表示装置及びその駆動制御方法においては、表示パネルに2次元配列された複数の表示画素に対して、各行ごとの表示画素に設けられた発光素子(例えば有機EL素子)の電流供給側(アノード側)及び電流排出側(カソード側)に接続された第1及び第2の電源ラインと、当該第1及び第2の電源ラインの各々に、相互に電圧レベルが反転関係となる第1及び第2の電源電圧を同期して印加する第1及び第2の電源駆動部(第1及び第2の電源ドライバ)を備え、各行の表示画素が選択状態に設定されるタイミングに対して同期して、もしくは、当該タイミングに先立って、又は、任意のタイミングで表示画素に第1及び第2の電源電圧を印加する。
【0031】
これにより、表示画素への表示データ(階調信号)の書込動作時及び発光動作時において当該表示画素に設けられる発光素子に印加される電位差を上記各動作に応じた適正な状態(電位差)に保持しつつ、発光動作時において発光素子の電流供給側に印加すべき高電位側の電源電圧の電圧値を、上記第1及び第2の電源電圧により分配(分割)して低く設定することができるので、当該高電位側の電源電圧(例えば第1の電源電圧)を生成する電源ドライバ(例えば第1の電源ドライバ)における回路構成を耐圧の低いものにすることができ、当該ドライバの小型化や製品コストの低減を図ることができる。
【0032】
また、各行の表示画素が選択状態に設定されるタイミングに先立って、又は、任意のタイミングで第1及び第2の電源電圧を印加することにより、表示画素に設けられた発光駆動素子や発光素子に対して、発光動作時における電圧印加状態(順バイアス状態)とは逆の状態(逆バイアス状態)に設定することができるので、アモルファスシリコン薄膜トランジスタからなる発光駆動素子の駆動履歴に起因するしきい値電圧の変動(Vthシフト)や、発光素子の発光履歴に伴う素子特性の劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係る表示装置及びその駆動制御方法について、実施の形態を示して詳しく説明する。
[第1の実施形態]
<表示装置>
まず、本発明に係る表示装置の概略構成について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る表示装置の一実施形態を示す概略ブロック図であり、図2は、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネル及びその周辺装置(走査ドライバ、データドライバ、第1及び第2の電源ドライバ)の一例を示す要部構成図である。
【0034】
図1、図2に示すように、本実施形態に係る表示装置100は、概略、行及び列方向に相互に直交するように配設された複数の走査ライン(選択ライン)SLと複数のデータラインDLとの各交点近傍に、後述する発光駆動回路及び電流駆動型の発光素子を備えた複数の表示画素EMが配列された表示パネル110と、該表示パネル110の走査ラインSLに接続され、各走査ラインSLごとに所定のタイミングで選択レベルの走査信号(選択信号)Vselを順次印加することにより、行ごとの表示画素EMを選択状態に設定する走査ドライバ(選択駆動部)120と、各行の走査ラインSLに並行に配設された複数の第1の電源ラインVLAに接続され、各第1の電源ラインVLAごとに所定のタイミングで第1の電源電圧Vscを順次印加する第1の電源ドライバ(第1の電源駆動部)130Aと、各行の走査ラインSLに並行に配設された複数の第2の電源ラインVLBに接続され、各第2の電源ラインVLBごとに所定のタイミングで第2の電源電圧Vcomを順次印加する第2の電源ドライバ(第2の電源駆動部)130Bと、表示パネル110の各データラインDLに接続され、表示データに応じた階調信号(階調電流Idata)を、各データラインDLを介して表示画素EMへ供給するデータドライバ(データ駆動部)140と、後述する表示信号生成回路160から供給されるタイミング信号に基づいて、少なくとも上記走査ドライバ120、第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130B、データドライバ140の動作状態を制御して、表示パネル110における所定の画像表示動作を実行するための走査制御信号、電源制御信号A、B、データ制御信号を生成して出力するシステムコントローラ(駆動制御部)150と、例えば表示装置100の外部から供給される映像信号に基づいて、表示データ(輝度階調データ)を生成してデータドライバ140に供給するとともに、該表示データに基づいて表示パネル110に所定の画像情報を表示するためのタイミング信号(システムクロック等)を抽出、又は、生成してシステムコントローラ150に供給する表示信号生成回路160と、を備えた構成を有している。
【0035】
以下、上記各構成について具体的に説明する。
(表示パネル・表示画素)
図3は、本実施形態に係る表示装置に適用される表示画素(発光駆動回路及び発光素子)の一例を示す回路構成図である。なお、本実施形態においては、表示画素として、表示データに応じた電流値を有する階調電流を供給することにより、発光素子(有機EL素子)に表示データに応じた電流値を有する発光駆動電流を流して、所望の輝度階調で発光動作(表示動作)させる電流階調指定方式の駆動制御方法に対応した回路構成(発光駆動回路)を備えた場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来技術にも示したように、表示データに応じた電圧値を有する階調電圧を印加することにより、発光素子に表示データに応じた電流値を有する発光駆動電流を流して、所望の輝度階調で発光動作させる電圧階調指定方式の駆動制御方法に対応した回路構成を備えたものであってもよい。
【0036】
本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネル110に二次元配列される各表示画素EMは、例えば図3に示すように、概略、走査ドライバ120から各行ごとの走査ラインSLを介して印加される走査信号Vselに基づいて、当該表示画素EMを選択状態に設定し、当該選択状態においてデータドライバ140からデータラインDLを介して供給される階調信号(階調電流Idata)を取り込み、第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130Bの各々から各行ごとの第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLBを介して印加される第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomに基づいて、上記階調信号に応じた電流値を有する発光駆動電流を生成する発光駆動回路DCと、該発光駆動回路DCから供給される発光駆動電流に基づいて、所定の輝度階調で発光動作する周知の有機EL素子(電流駆動型の発光素子)OELと、を備えた構成を有している。
【0037】
ここで、本実施形態に適用される発光駆動回路DCは、具体的には、図3に示すように、ゲート端子(制御端子)が走査ラインSLに、ドレイン端子及びソース端子(電流路の一端側、他端側)が第1の電源電圧Vscが印加される第1の電源ラインVLA及び接点N11に各々接続された薄膜トランジスタ(第2のスイッチ手段)Tr11と、ゲート端子(制御端子)が走査ラインSLに、ソース端子及びドレイン端子(電流路の一端側、他端側)がデータラインDL及び接点N12に各々接続された薄膜トランジスタ(第3のスイッチ手段)Tr12と、ゲート端子(制御端子)が接点N11に、ドレイン端子及びソース端子(電流路の一端側、他端側)が第1の電源ラインVLA及び接点N12に各々接続された薄膜トランジスタ(発光駆動素子、第1のスイッチ手段)Tr13と、接点N11及び接点N12間(薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース端子間)に接続されたコンデンサCsと、を備えた回路構成を有している。
【0038】
また、有機EL素子OELは、アノード端子(電流供給側の端子)が上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード端子(電流排出側の端子)が第2の電源電圧Vcomが印加される第2の電源ラインVLBに接続されている。このような回路構成を有する表示画素EMを備えた表示パネル110の具体的なデバイス構造については後述する。
【0039】
なお、図3において、コンデンサCsは、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に形成される寄生容量であってもよいし、該寄生容量に加えて接点N11及び接点N12間にさらに容量素子を並列に接続したものであってもよい。
また、薄膜トランジスタTr11〜Tr13については、特に限定するものではないが、例えば、薄膜トランジスタTr11〜Tr13を全て単一のチャネル型の薄膜トランジスタ(電界効果型トランジスタ)により構成することにより、nチャネル型のアモルファスシリコン半導体層を備えた薄膜トランジスタ(アモルファスシリコン薄膜トランジスタ)を適用することができる。
【0040】
この場合、すでに確立されたアモルファスシリコン製造技術を適用して、素子特性(電子移動度等)が均一で安定したアモルファスシリコン薄膜トランジスタからなる発光駆動回路を、比較的簡易な製造プロセスで製造することができる。なお、以下の説明においては、発光駆動回路DCの一構成例として、薄膜トランジスタTr11〜Tr13を全てnチャネル型の薄膜トランジスタにより構成した場合について説明する。
【0041】
さらに、図3においては、発光駆動回路DCの回路構成として、3個の薄膜トランジスタを備えた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではないことはいうまでもない。また、図3においては、発光駆動回路DCにより発光駆動される発光素子を有機EL素子OELとしたが、本発明における発光素子はこれに限定されるものではなく、電流駆動型の発光素子であれば、例えば、発光ダイオード等の他の発光素子であってもよい。
【0042】
(走査ドライバ)
走査ドライバ120は、システムコントローラ150から供給される走査制御信号に基づいて、各走査ラインSLに選択レベル(上述した表示画素EMにおいては、ハイレベル)の走査信号Vselを印加することにより、各行ごとの表示画素EMを選択状態に設定する。具体的には、各行の走査ラインSLに走査信号Vselを印加する動作を、相互に時間的に重ならないタイミングでずらして実行することにより、各行ごとの表示画素EMを順次選択状態に設定する。
【0043】
ここで、走査ドライバ120は、例えば図2に示すように、後述するシステムコントローラ150から走査制御信号として供給される走査クロック信号SCK及び走査スタート信号SSTに基づいて、各行の走査ラインSLに対応するシフト信号を順次出力する周知のシフトレジスタ121と、該シフトレジスタ121から順次出力されるシフト信号を所定の信号レベル(選択レベル、非選択レベル)に変換し、システムコントローラ150から走査制御信号として供給される出力制御信号SOEに基づいて、各行の走査ラインSLに走査信号Vselとして出力する出力回路部(出力バッファ)122と、を備えた構成を適用することができる。
【0044】
(第1及び第2の電源ドライバ)
第1の電源ドライバ130Aは、システムコントローラ150から供給される電源制御信号Aに基づいて、各行の表示画素EMについて、選択期間(非発光動作期間)中は、所定のローレベルの第1の電源電圧Vscを当該行の第1の電源ラインVLAに印加し、非選択期間(発光動作期間)は、所定のハイレベルの第1の電源電圧Vscを当該行の第1の電源ラインVLAに印加する。
【0045】
また、第2の電源ドライバ130Bは、システムコントローラ150から供給される電源制御信号Bに基づいて、各行の表示画素EMについて、選択期間(非発光動作期間)中は、所定のハイレベルの第2の電源電圧Vcomを当該行の第2の電源ラインVLBに印加し、非選択期間(発光動作期間)は、所定のローレベルの第2の電源電圧Vcomを当該行の第2の電源ラインVLBに印加する。
すなわち、第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130Bは、相互に電圧レベルが反転関係となる第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomを、各々個別の第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLBを介して表示画素EMに同期して印加する。
【0046】
ここで、表示画素EMの選択期間(非発光動作期間)においては、第1の電源ラインVLAにローレベルが印加され、かつ、第2の電源ラインVLBにハイレベルが印加されることにより、第1の電源電圧Vscと第2の電源電圧Vcom間の電位差が実質的に0Vとなり、有機EL素子OELの発光動作に関わる電流が遮断された状態と等価となるように、第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomの電圧レベルが設定される。
【0047】
また、非選択期間(発光動作期間)においては、第1の電源ラインVLAにハイレベルが印加され、かつ、第2の電源ラインVLBにローレベルが印加されることにより、第1の電源電圧Vscと第2の電源電圧Vcom間に電位差が生じ、有機EL素子OELに表示データに応じた発光駆動電流が流れるように、第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomの電圧レベルが設定される。
【0048】
なお、第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130Bは、例えば図2に示すように、上述した走査ドライバ120と同様に、システムコントローラ150から電源制御信号A、Bとして供給されるクロック信号VCA、VCB及びスタート信号VSA、VSBに基づいて、各行の第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLBに対応するシフト信号を順次出力する周知のシフトレジスタ131A、131Bと、シフト信号を所定の電圧レベルに変換して、電源制御信号A、Bとして供給される出力制御信号VOA、VOBに基づいて、第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLBに第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomとして出力する出力回路部132A、132Bと、を備えた構成を適用することができる。
【0049】
(データドライバ)
図4は、本実施形態に係る表示装置に適用可能なデータドライバの一例を示す概略ブロック図である。なお、図4に示すデータドライバの内部構成については、表示データに応じた電流値を有する階調電流を生成することができる一構成例を示したものに過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
データドライバ140は、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号に基づいて、後述する表示信号生成回路160から供給される、デジタル信号からなる表示データ(輝度階調データ)を1行分ごとに所定のタイミングで順次取り込んで保持し、該表示データの階調値に対応する電流値を有する階調電流Idataを生成して、書込動作期間に選択状態に設定された行の表示画素EMに対して、各データラインDLを介して一斉に供給する。
【0051】
データドライバ140は、例えば図4に示すように、システムコントローラ150から供給されるデータ制御信号(シフトクロック信号CLK、サンプリングスタート信号STR)に基づいて、順次シフト信号を出力するシフトレジスタ回路41と、該シフト信号の入力タイミングに基づいて、表示信号生成回路160から供給される1行分の表示データD0〜Dmを順次取り込むデータレジスタ回路42と、データ制御信号(データラッチ信号STB)に基づいて、データレジスタ回路42により取り込まれた1行分の表示データD0〜Dmを保持するデータラッチ回路43と、図示を省略した電源供給手段から供給される階調基準電圧V0〜VPに基づいて、上記保持された表示データD0〜Dmを、所定のアナログ信号電圧(階調電圧Vpix)に変換するD/Aコンバータ44と、アナログ信号電圧に変換された表示データに対応する階調電流Idataを生成し、データ制御信号(出力イネ−ブル信号OE)に基づくタイミングで、当該表示データに対応する列のデータラインDLに一斉に出力する電圧電流変換・階調電流供給回路45と、を備えた構成を適用することができる。
【0052】
(システムコントローラ)
システムコントローラ150は、少なくとも、走査ドライバ120、第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130B、データドライバ140の各々に対して、動作状態を制御するタイミング制御信号として、走査制御信号及び電源制御信号A、B、データ制御信号を生成して出力することにより、各ドライバを所定のタイミングで動作させて、所定の電圧レベルを有する走査信号Vsel及び第1の電源電圧Vsc、第2の電源電圧Vcom、並びに、表示データに応じた階調信号(階調電流Idata)を生成して出力させ、各表示画素EM(発光駆動回路DC)における駆動制御動作(書込動作、発光動作)を連続的に実行させて、映像信号に基づく所定の画像情報を表示パネル110に表示させる制御動作(後述する表示装置の駆動制御動作)を行う。
【0053】
(表示信号生成回路)
表示信号生成回路160は、例えば、表示装置100の外部から供給される映像信号から輝度階調信号成分を抽出し、表示パネル110の1行分ごとに、該輝度階調信号成分をデジタル信号からなる表示データ(輝度階調データ)としてデータドライバ140のデータレジスタ回路42に供給する。ここで、上記映像信号が、テレビ放送信号(コンポジット映像信号)のように、画像情報の表示タイミングを規定するタイミング信号成分を含む場合には、表示信号生成回路160は、上記輝度階調信号成分を抽出する機能のほか、タイミング信号成分を抽出してシステムコントローラ150に供給する機能を有するものであってもよい。この場合においては、上記システムコントローラ150は、表示信号生成回路160から供給されるタイミング信号に基づいて、走査ドライバ120や第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130B、データドライバ140に対して個別に供給する各制御信号を生成する。
【0054】
<表示画素(発光駆動回路)の駆動制御方法>
次に、本実施形態に係る表示装置に適用される表示画素(図3参照)の駆動制御方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る表示装置に適用される表示画素における駆動制御方法(書込動作、発光動作)を示すタイミングチャートである。
【0055】
本実施形態に係る表示画素EMの駆動制御動作(有機EL素子OELの発光駆動制御)は、例えば図5に示すように、所定の1処理サイクル期間Tcyc内に、表示画素EMを選択状態に設定し、表示データに応じた階調信号(階調電流Idata)を供給することにより、当該表示データに応じた電圧成分を保持させる書込動作期間(選択期間)Twrtと、当該書込動作期間Twrtにより保持された電圧成分に基づいて、表示データに応じた発光駆動電流を有機EL素子OELに流して、所定の輝度階調で発光動作させる発光動作期間(非選択期間)Temと、を含むように設定されている(Tcyc≧Tem+Twrt)。
【0056】
ここで、本実施形態に係る1処理サイクル期間Tcycは、例えば、表示画素EMが1フレーム(1画面)の画像のうちの1画素分の画像情報を表示するのに要する期間に設定される。すなわち、複数の表示画素EMを行方向及び列方向に2次元配列した表示パネル110に、1フレームの画像を表示する場合、上記1処理サイクル期間Tcycは、1行分の表示画素EMが1フレームの画像のうちの1行分の画像を表示するのに要する期間に設定される。
【0057】
(書込動作期間)
まず、書込動作期間Twrtにおいては、図5に示すように、走査ドライバ120から走査ラインSLに対して、選択レベル(ハイレベル;例えば+20V)の走査信号Vselを印加して当該表示画素EMを選択状態に設定するとともに、この選択タイミングに同期して、第1の電源ドライバ130Aから第1の電源ラインVLAに対して、ローレベル(例えば0V)の第1の電源電圧Vscを、また、第2の電源ドライバ130Bから第2の電源ラインVLBに対して、ハイレベル(例えば0V)の第2の電源電圧Vcomを印加する。
【0058】
そして、この選択タイミングに同期して、データドライバ140からデータラインDLに対して、表示データに応じた負極性の電流値(例えば−10μA)を有する階調電流Idataを供給する(すなわち、データラインDL側からデータドライバ140方向に上記階調電流Idataを引き込むように流す)。
【0059】
これにより、発光駆動回路DCに設けられた薄膜トランジスタTr11及びTr12がオン動作して、ローレベル(例えば0V)の第1の電源電圧Vscが薄膜トランジスタTr11を介して薄膜トランジスタTr13のゲート端子(接点N11;コンデンサCsの一端側)に印加されるとともに、薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12;コンデンサCsの他端側)が薄膜トランジスタTr12を介して、データラインDLに電気的に接続される。
【0060】
ここで、データラインDLには負極性の電流値を有する階調電流Idataが供給されることにより、データラインDL側からデータドライバ140方向に階調電流Idataが流れるので、上記薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12;コンデンサCsの他端側)には、薄膜トランジスタTr12を介して、ローレベル(例えば0V)の第1の電源電圧Vscよりも低電位の電圧レベルが印加されることになる。
【0061】
このように、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間)に電位差が生じることにより、薄膜トランジスタTr13がオン動作して、第1の電源ラインVLAから薄膜トランジスタTr13、接点N12、薄膜トランジスタTr12、データラインDLを介して、データドライバ140方向に、階調電流Idataに対応した書込電流が流れる。
【0062】
このとき、コンデンサCsには、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタのTr13のゲート−ソース間)に生じた電位差に対応する電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。また、第1の電源ラインVLAには、ローレベル(例えば0V)の第1の電源電圧Vscが印加され、さらに、書込電流がデータラインDL方向に流れるように制御されていることから、有機EL素子OELのアノード端子(接点N12)に印加される電位は、カソード端子側に印加されるハイレベル(例えば0V)の第2の電源電圧Vcomよりも低くなるので、有機EL素子OELに逆バイアス電圧が印加されることになり、有機EL素子OELには電流は流れず、発光動作は行われない(非発光動作)。
【0063】
(発光動作期間)
次いで、書込動作期間Twrt終了後の発光動作期間Temにおいては、図5に示すように、走査ドライバ120から走査ラインSLに対して、非選択レベル(ローレベル;例えば−15V)の走査信号Vselを印加して当該表示画素EMを非選択状態に設定するとともに、第1の電源ドライバ130Aから第1の電源ラインVLAに対して、ハイレベル(例えば+15V)の第1の電源電圧Vscを、また、第2の電源ドライバ130Bから第2の電源ラインVLBに対して、ローレベル(例えば−15V)の第2の電源電圧Vcomを印加する。また、この非選択タイミングに同期して、データドライバ140からデータラインDLへの階調電流Idataの供給を遮断して、当該階調電流Idataの引き込み動作を停止する。
【0064】
これにより、発光駆動回路DCに設けられた薄膜トランジスタTr11及びTr12がオフ動作して、薄膜トランジスタTr13のゲート端子(接点N11;コンデンサCsの一端側)への第1の電源電圧Vscの印加が遮断されるとともに、薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12;コンデンサCsの他端側)への階調電流Idataの引き込み動作に起因する電圧レベルの印加が遮断されるので、コンデンサCsには、上述した書込動作期間Twrtにおいて蓄積された電荷が保持される。
【0065】
このように、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタのTr13のゲート−ソース間;コンデンサCsの両端)の電位差が保持されることになり、薄膜トランジスタTr13はオン状態を維持する。また、有機EL素子OELのアノード端子側となる第1の電源ラインVLAには、ハイレベル(例えば+15V)の第1の電源電圧Vscが印加され、この電圧レベルは、有機EL素子OELのカソード端子側に印加される第2の電源電圧Vcom(例えば−15V)に比較して高電位になるように設定されているので、有機EL素子OELは順バイアス電圧が印加された状態に設定される。
【0066】
ここで、ハイレベル(例えば+15V)の第1の電源電圧Vscとローレベル(例えば−15V)の第2の電源電圧Vcom間に設定される電位差は、オン動作時の薄膜トランジスタTr13と発光動作時の有機EL素子OELの各両端電位、さらに薄膜トランジスタTr13におけるしきい値変動(Vthシフト)を抑制するための動作マージンの総和に相当する(又は、それ以上の)電位差を有するように設定される。なお、本実施形態において設定される電位差30V(=+15V−(−15V))は、オン動作時の薄膜トランジスタTr13の両端電位15Vと、発光動作時の有機EL素子OELの両端電位5Vと、動作マージン10Vとを合算して設定された数値である。
【0067】
したがって、第1の電源ラインVLAから薄膜トランジスタTr13、接点N12を介して、有機EL素子OEL方向に所定の発光駆動電流Iemが流れ、有機EL素子OELが発光動作する。ここで、コンデンサCsにより保持される電圧成分は、薄膜トランジスタTr13において階調電流Idataに対応した書込電流を流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流Iemは、上記書込電流と同等の電流値を有することになり、有機EL素子OELは、発光動作期間Tem中、表示データ(階調電流Idata)に応じた輝度階調で発光する動作を継続する。
【0068】
そして、少なくとも各行ごとの表示画素EMに設定される書込動作期間Twrtが相互に時間的に重ならないように、上述した一連の動作を表示パネル110を構成する全ての行の表示画素EMについて順次繰り返し実行することにより、表示パネル一画面分の表示データが書き込まれて、映像信号に基づく所望の画像情報が表示される。
【0069】
このように、本実施形態に係る表示画素EM(発光駆動回路DC)によれば、書込動作期間Twrtにおいて、表示データ(輝度階調)に応じた電流値を指定した階調電流Idata(書込電流)を強制的に薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間に流して、その電流値に応じて保持される薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間の電圧成分に基づいて、有機EL素子(発光素子)OELに流す発光駆動電流Iemを制御することにより、所定の輝度階調で発光動作させる電流階調指定方式の駆動制御方法を実現することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る表示画素EM(発光駆動回路DC)の回路構成によれば、各表示画素EMに設けられた発光駆動回路DCを構成する単一の発光駆動用の薄膜トランジスタTr13により、表示データに応じた階調電流Idataの電流レベルを電圧レベルに変換する機能(電流/電圧変換機能)と、有機EL素子OELに所定の電流値を有する発光駆動電流Iemを供給する機能(発光駆動機能)の双方を実現することができるので、発光駆動回路DCを構成する各トランジスタの動作特性のバラツキや経時変化の影響を受けることなく、長期間にわたり安定的に所望の発光特性を実現することができる。
【0071】
ここで、上述した本実施形態に係る表示装置の駆動制御方法と、従来技術に基づく駆動制御方法とを比較して、本発明に特有の作用効果について具体的に説明する。
図6は、従来技術に基づく表示画素の一例を示す回路構成図であり、図7は、従来技術に基づく表示装置(表示画素)の駆動制御方法を示すタイミングチャートである。なお、上述した本実施形態に係る表示画素の回路構成(図3参照)と同等の構成については、同等の符号を付して説明する。また、上述した本実施形態に係る駆動制御方法と同等の制御動作については、同等の用語を使用して説明する。
【0072】
従来技術に基づく表示画素(比較例)は、図6に示すように、図3と同様の回路構成を有する表示画素EMx及び当該表示画素EMxを二次元配列した表示パネルにおいて、各表示画素EMxの有機EL素子OELのアノード端子が発光駆動回路DCxの薄膜トランジスタTr13を介して電源ラインVLに接続されて電源電圧Vsxが印加され、また、カソード電極(カソード端子)が、図16に示したように全表示画素EMxに共通の単一の金属層(べた電極)により構成され、常時所定の一定電圧Vcx(例えば接地電位GND;0V)が印加された構成を有している。
【0073】
この比較例における駆動制御方法は、図7に示すように、本実施形態と同様に、1処理サイクル期間Tcyc内に書込動作期間(選択期間)Twrtと発光動作期間(非選択期間)Temと、を含むように設定され、まず、書込動作期間Twrtにおいては、走査ラインSLに対してハイレベル(例えば+20V)の走査信号Vselを印加して表示画素EMxを選択状態に設定するとともに、電源ラインVLに対してローレベル(有機EL素子OELのカソード端子に印加される一定電圧と等電位か、それ以下の電圧;例えば0V)の電源電圧Vsxが印加される。
【0074】
そして、このタイミングに同期してデータラインDLに対して表示データに応じた階調電流Ipix(例えば−10μA)を供給することにより、コンデンサCsに当該階調電流Idataに応じた電圧成分を保持させる(充電する)。このとき、有機EL素子OELのアノード端子側(薄膜トランジスタTr13のドレイン端子側)の電源ラインVLには、カソード端子側に印加される一定電圧Vcx(接地電圧GND)以下の電圧Vscが印加され、さらに、負極性の階調電流Idataに起因する書込電流が電源ラインVLから薄膜トランジスタTr13、Tr12を介してデータラインDL方向に流れるように制御されていることから、有機EL素子OELのアノード端子(接点N12)に印加される電位はカソード端子の電位(接地電位GND)よりも低くなり、有機EL素子OELに逆バイアス電圧が印加されて、有機EL素子OELには電流が流れず発光動作は行われない。
【0075】
次いで、発光動作期間Temにおいては、図7に示すように、走査ラインSLに対してローレベルの走査信号Vselが印加されて表示画素EMが非選択状態に設定されるとともに、電源ラインVLに対してハイレベル(薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電位と有機EL素子OELのアノード−カソード端子間電位と動作マージンの総和以上となる電圧;例えば+30V)の電源電圧Vsxが印加される。また、このタイミングに同期して、データラインDLに対する階調電流Ipixの供給が遮断される。
【0076】
これにより、コンデンサCsに保持された電圧成分に基づいて、薄膜トランジスタTr13はオン状態を維持し、また、電源ラインVLには、カソード端子側に印加される一定電圧(接地電圧GND)よりも高く、有機EL素子OELの発光動作に対応した電圧レベルを有する電源電圧Vsx(+30V)が印加されるので、有機EL素子OELに順バイアス電圧が印加されて、電源ラインVLから薄膜トランジスタTr13、接点N12を介して発光駆動電流Iemが流れ、有機EL素子OELが表示データに対応した輝度階調で発光する。
【0077】
このように、従来技術に基づく駆動制御方法(比較例)においては、表示パネルに二次元配列された各表示画素EMxの有機EL素子OELのカソード電極(カソード端子)が共通の単一の金属層(べた電極)により構成され、常時所定の一定電圧Vcx(例えば接地電位GND)が印加されているため、電源ラインVLに印加する電源電圧Vsxとして、カソード端子側に印加される一定電圧Vcx(接地電位GND;0V)を基準にして、有機EL素子OELの発光動作に対応した電圧レベルを有する電源電圧Vsx(例えば+30V)を印加する必要がある。これにより、比較例においては、電源ドライバとして、数十Vの比較的高い電圧値を有する電源電圧Vsxを電源ラインVLに印加することができる高耐圧の回路構成を備える必要があり、これにより、当該ドライバの大型化や製品コストの上昇を招くという問題を有していた。
【0078】
これに対して、図1乃至図5に示した本実施形態に係る表示装置及びその駆動制御方法によれば、表示画素EMの有機EL素子(発光素子)OELのアノード端子側には、第1の電源ドライバ130Aから第1の電源ラインVLAを介して各行ごとに第1の電源電圧Vscが印加され、また、カソード端子側には、第2の電源ドライバ130Bから第2の電源ラインVLBを介して各行ごとに第2の電源電圧Vcomが印加されるように構成されている。すなわち、従来技術に基づく表示画素EMxの構成において、表示パネルに二次元配列された全ての表示画素EMxに共通に、単一の金属層(べた電極)からなるカソード電極が設けられた構成とは異なり、本実施形態においては、表示パネル110の各行ごとにカソード電極を分離した構成(すなわち、第2の電源ラインVLBに相当する)を有している。
【0079】
そして、表示画素EM(発光駆動回路DC)への表示データの書込動作期間(選択期間)Twrtにおいては、第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcom間に電位差が生じないように、第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomの電圧レベルを個別(第1の電源電圧Vscをローレベル(例えば0V)、また、第2の電源電圧Vcomをハイレベル(例えば0V))に設定することにより、発光駆動回路DC(コンデンサCs)に表示データ(階調電流Idata)に応じた電圧成分を保持させるとともに、有機EL素子OELに逆バイアス電圧を印加して発光動作させないように制御する。
【0080】
一方、発光動作期間(非選択期間)Temにおいては、第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcom間に有機EL素子OELの発光動作に対応した電位差を生じさせるように、第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomの電圧レベルを個別(第1の電源電圧Vscをハイレベル(例えば+15V)、また、第2の電源電圧Vcomをローレベル(例えば−15V))に設定することにより、書込動作期間Twrtにおいて発光駆動回路DC(コンデンサCs)に保持された電圧成分に基づいて、発光駆動電流Iemを有機EL素子OELの順バイアス方向に流し、表示データに応じた輝度階調で発光動作させるように制御する。これにより、従来技術に基づく駆動制御方法と同様に、表示画素EMへの書込動作及び有機EL素子OELの発光動作が良好に実行される。
【0081】
したがって、従来技術に基づく回路構成を有する表示画素における駆動制御方法のように、有機EL素子OELのカソード端子側に印加される一定電圧Vcx(接地電位GND)を基準として、アノード端子側(電源ラインVL)に比較的高い電圧値(例えば+30V)を有する電源電圧Vsxを印加する必要がなく、第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130Bにより当該電源電圧(例えば+30V)を分配して印加することにより、第1の電源ドライバ130Aにより印加する第1の電源電圧Vscを比較的低い電圧値(例えば+15V;上述した比較例に対して半減)にすることができるので、表示パネルの周辺装置として設けられる電源ドライバ(第1の電源ドライバ130A)の耐圧を低く設定することができ、当該ドライバの小型化や製品コストの低減を図ることができる。
【0082】
なお、本実施形態においては、第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLBの各々に第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomを印加する構成として、第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130Bを独立して設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図5に示したタイミングチャートのように、第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomとは同一のタイミングで電圧レベルが変化するように制御されるので、例えば、第1の電源ドライバ130Aと第2の電源ドライバ130Bを単一の電源ドライバとして構成し、単一のシフトレジスタにおいて生成されるシフト信号を、第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLBの各々に対応して設けられた出力回路部(出力バッファ)により出力電圧レベルを変換することにより、上述した第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomを生成するものであってもよい。さらに、走査信号Vselと第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomとは同一のタイミングで電圧レベルが変化するように制御されるので、走査ドライバと第1の電源ドライバ130A及び第2の電源ドライバ130Bを単一のドライバに統合するように構成したものであってもよい。
【0083】
[第2の実施形態]
次に、本実施形態に係る表示装置及びその駆動制御方法の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
図8は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第2の実施形態を示すタイミングチャートであり、また、図9は、本実施形態に係る表示装置の駆動制御方法における動作状態を説明するための等価回路図であり、図10は、本実施形態に係る表示装置の駆動制御方法における電荷の保持状態を説明するための概念図である。ここで、本実施形態における表示装置の構成は、上述した第1の実施形態と同等であるので、その説明を省略する。また、上述した第1の実施形態に係る駆動制御方法と同等の制御動作については、その説明を簡略化する。
【0084】
上述した第1の実施形態においては、図3に示したように、各表示画素EMに設けられる発光駆動回路DCとして、単一のチャネル型の複数の薄膜トランジスタTr11〜Tr13からなる回路構成を示し、この場合、製造プロセスが簡易で素子特性(電子移動度)が均一なアモルファスシリコン薄膜トランジスタを適用することができることを説明したが、アモルファスシリコン薄膜トランジスタは、一般に駆動履歴によるしきい値電圧の変動(Vthシフト)が発生しやすいということが知られている。
【0085】
そのため、発光駆動用の薄膜トランジスタTr13として、アモルファスシリコン薄膜トランジスタを適用した場合、そのしきい値電圧Vthの変動により、有機EL素子OELに供給される発光駆動電流Iemの電流値が、表示データに対応しなくなって適切な輝度階調で発光動作(表示動作)することができなくなり、表示画質の劣化を招く可能性がある。
【0086】
そこで、本実施形態においては、図8に示すように、上述した第1の実施形態(図5参照)に示した前回の発光動作期間Temから次回の書込動作期間Twrtへの移行に際し、第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLBの各々に印加される第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomの電圧レベルの切換タイミングを、次回の書込動作期間Twrtを規定するハイレベルの走査信号Vselの印加タイミングよりも早くなるように設定する。
【0087】
ここで、走査ドライバ120により印加される走査信号Vsel、第1の電源ドライバ130Aにより印加される第1の電源電圧Vscは、上述した第1の実施形態と同様に、各々、−15V〜+20V、0V〜+15V間で電圧変化するように設定され、また、データドライバ140から供給される負極性の電流値を有する階調電流Idataは、例えば−10μAに設定されているものとする。
【0088】
本実施形態に係る表示装置の駆動制御方法は、まず、発光動作期間Twrtにおいては、上述した第1の実施形態と同様に、各表示画素EM(発光駆動回路DC)の発光駆動用の薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタTr13)のゲート−ソース間(接点N11とN12間)に設けられたコンデンサCsに、表示デー夕(階調電流Idata)に応じた電圧成分が保持され、当該表示データに応じた発光駆動電流Iemが有機EL素子OELに供給されている。
【0089】
この発光動作期間Twrtにおいては、図8及び図9(a)に示すように、ハイレベル(+15V)の第1の電源電圧Vscが第1の電源ラインVLAに印加され、ローレベル(−15V)の第2の電源電圧Vcomが第2の電源ラインVLBに印加されている。ここで、上記コンデンサCsに例えば+10Vの電圧成分が保持され、接点N11に+5Vの電圧が印加されているとした場合における、当該第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLB間に形成される容量成分による電荷の蓄積(保持)状態を検討すると、図10(a)に示すように、第1の電源ラインVLAと接点N11間に形成される容量Ctr(薄膜トランジスタTr13のドレイン−ゲート間容量)、及び、接点N11とN12間に形成される容量Cs(コンデンサCs)には、各々両端電位差が+10Vに相当する電荷が保持され、また、有機EL素子OELのアノード−カソード間の素子容量Celにも、両端電位差が+10Vに相当する電荷が保持されている。これにより、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間には、Vds=+20V(=10+10=15−(−5))の電位差が生じ、薄膜トランジスタTr13は順バイアス状態に設定されている。
【0090】
次いで、図8及び図9(b)に示すように、当該発光動作期間Iemから書込動作期間Twrtに移行するタイミング、すなわち、ハイレベルの走査信号Vselが印加されるタイミングに先立って、ローレベル(0V)の第1の電源電圧Vscが第1の電源ラインVLAに印加され、ハイレベル(+5V)の第2の電源電圧Vcomが第2の電源ラインVLBに印加されると、第1の電源ラインVLA及び第2の電源ラインVLB間に形成される容量成分による電荷の蓄積(保持)、配分の状態は、図10(b)に示すように、第1の電源ラインVLAと接点N11間に形成される容量Ctr、及び、接点N11とN12間に形成される容量Csに保持された電荷が放電されて、各々両端電位差が−2V、−1Vに相当する電荷が保持され、また、有機EL素子OELのアノード−カソード間の素子容量Celに保持された電荷も放電されて、両端電位差が−2Vに相当する電荷が保持される。これにより、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間にはVds=−3V(=−2−(−1)=0−(−3))の電位差が生じ、薄膜トランジスタTr13は逆バイアス状態に設定されることになるとともに、有機EL素子OELのアノード−カソード間にも−2V(=3−5)の電位差が印加されて逆バイアス状態に設定され、有機EL素子OELへの発光駆動電流Iemの供給が遮断されて非発光状態に移行する。
【0091】
次いで、図8に示すように、上述した第1の実施形態と同様に、ハイレベルの走査信号Vselが印加されて書込動作期間Twrtに移行すると、データラインDLを介して供給される階調電流Idataに応じた電圧成分が、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCs間)に保持される。その後、ローレベルの走査信号Vselが印加され、ハイレベル(+15V)の第1の電源電圧Vscが第1の電源ラインVLAに印加されるとともに、ローレベル(−15V)の第2の電源電圧Vcomが第2の電源ラインVLBに印加されることにより発光動作期間Temに移行し、上述した書込動作期間Twrtに書き込まれた階調電流Idataに応じた発光駆動電流Iemが有機EL素子OELに流れて、表示データに応じた輝度階調で発光動作が行われる。
【0092】
このような駆動制御方法は、本実施形態に係る表示装置において、各表示画素EMに設けられる有機EL素子OELのカソード電極に相当する(又は、カソード端子に接続される)第2の電源ラインVLBが、表示パネル110の行ごとに分割(分離)して設けられた構成を有することにより実現することができるものであって、従来技術に基づく表示パネルの構成(カソード電極を全表示画素に対して共通の単一の電極(べた電極)として設けた構成)においては、実質的に実現が困難であった。
【0093】
したがって、前回の発光動作期間Temから次回の書込動作期間Twrtに移行するタイミングに先立って、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間、及び、有機EL素子OELのアノード−カソード間に、発光動作期間Temにおける電圧印加状態(順バイアス状態)とは逆の状態(逆バイアス状態)が設定されるので、アモルファスシリコン薄膜トランジスタからなる発光駆動用の薄膜トランジスタTr13の駆動履歴に起因するしきい値電圧の変動(Vthシフト)や、有機EL素子OELの発光履歴に伴う素子特性の劣化を抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態においては、書込動作期間Twrtに移行するタイミングに先立つ比較的短い期間のみ、薄膜トランジスタTr13及び有機EL素子OELに上記の逆バイアス状態が設定されるだけであるので、前回の発光動作期間Tem(すなわち、書込動作期間Twrtに移行する前の発光動作期間)がほとんど短縮されることがなく、有機EL素子OELの発光時間(発光輝度)が十分維持されて表示画質の劣化を招くこともない。
[第3の実施形態]
【0095】
次に、本実施形態に係る表示装置及びその駆動制御方法の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
図11は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第3の実施形態を示すタイミングチャートである。ここで、本実施形態における表示装置の構成は、上述した第1の実施形態と同等であるので、その説明を省略する。また、上述した第1又は第2の実施形態に係る駆動制御方法と同等の制御動作については、その説明を簡略化する。
【0096】
上述した第1の実施形態に示したように、有機EL素子等の発光素子を含む複数の表示画素が二次元配列(マトリクス配列)された表示パネルを備えた表示装置(図1〜図3参照)においては、一般に、各表示画素に書き込まれた表示データ(電圧成分)が、1画面分の表示動作が行われる1フレーム期間保持されて発光動作が継続される、ホールド型の表示駆動制御が採用されている。
【0097】
このような駆動制御方法においては、通常、陰極線管(ブラウン管)を適用した表示装置において採用されているインパルス型の表示駆動制御と異なり、各表示画素が1フレーム期間のほとんどの期間、表示動作(発光動作)を継続することになるので、動画像の表示動作において、前回のフレームに表示された画像情報が残像として視認されやすくなり、画像情報のボケやにじみを生じ、表示画質の劣化を招く可能性がある。
【0098】
そこで、本実施形態においては、図11に示すように、1処理サイクル期間Tcyc(例えば1フレーム期間)において、上述した第1の実施形態(図5参照)に示した書込動作期間Twrt及び発光動作期間Temに加え、各表示画素EM(有機EL素子OEL)を最低階調で発光動作、もしくは、非発光動作させる黒表示動作期間Tnemを含むように設定して、擬似的なインパルス駆動(擬似インパルス駆動)を実行する。
【0099】
ここで、本実施形態に係る黒表示動作期間Tnemにおいては、図11に示すように、発光動作期間Temの終了後であって、次回の書込動作期間Twrtの開始までの期間に、第1の電源ラインVLAにローレベル(0V)の第1の電源電圧Vscを印加するとともに、第2の電源ラインVLBにハイレベル(+5V)の第2の電源電圧Vcomを印加する。
【0100】
なお、書込動作期間Twrt及び発光動作期間Temについては、上述した第1又は第2の実施形態と同等であるので、詳しい説明を省略する。また、走査信号Vsel、第1の電源電圧Vsc及び第2の電源電圧Vcomに設定される電圧レベルの変化範囲、及び、階調電流Idataに設定される電流レベルの変化範囲については、上述した第2の実施形態と同等であるとする。
【0101】
このような駆動制御方法によれば、黒表示動作期間Tnemにおいて、上述した第2の実施形態と同様に、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間、及び、有機EL素子OELのアノード−カソード間に、発光動作期間Temにおける電圧印加状態(順バイアス状態)とは逆の状態(逆バイアス状態)が設定され(図9、図10参照)、なおかつ、この逆バイアス状態が比較的長い時間維持されるので、1フレーム期間内に黒表示動作期間を挿入する擬似インパルス駆動の本来の目的である動画像のボケやにじみの発生を抑制する効果に加え、アモルファスシリコン薄膜トランジスタからなる発光駆動用の薄膜トランジスタTr13の駆動履歴に起因するしきい値電圧の変動(Vthシフト)や、有機EL素子OELの発光履歴に伴う素子特性の劣化を一層抑制することができる。
【0102】
<表示パネルのデバイス構造>
次に、上述した各実施形態に係る表示装置に適用される表示パネル(表示画素)のデバイス構造について具体的に説明する。
上述したように、本発明に適用される表示パネル110においては、各表示画素EMに設けられた有機EL素子OELのカソード電極(カソード端子)が、全表示画素に共通の単一の電極(べた電極)から構成されるのではなく、各行ごとに分離して第2の電源ラインVLBとして配設された構成を有している。
【0103】
図12は、本発明に係る表示装置に適用される表示パネルのデバイス構造の第1の例を示す概略図である。ここで、図12(a)は、表示パネルに配列された複数行の表示画素におけるカソード電極(第2の電源ラインVLBに相当する)の配設状態を示す概略平面図であり、図12(b)は、図12(a)に示した表示パネルにおける行間の断面構造を示す要部断面図である。また、図13は、本発明に係る表示装置に適用される表示パネルのデバイス構造の第1の例の変形例を示す概略図である。なお、図12及び図13においては、表示画素や各種配線層の配設状態を簡明にするために、便宜的にハッチングを施した。
【0104】
本発明に適用される表示パネル110(表示画素EM)に適用されるデバイス構造の第1の例は、図12(a)、(b)に示すように、ガラス基板等の透明な絶縁性基板SUB上の各画素形成領域ごとに、薄膜トランジスタTR(薄膜トランジスタTr11〜Tr13に相当する)やコンデンサ(図示を省略)、各種配線層(走査ラインSL、第1の電源ラインVLA等)等を適宜配置して相互に接続することにより、図3に示した回路構成と等価な発光駆動回路DCが形成された下層部Ludと、当該発光駆動回路DC上に平坦化膜等を介してアノード電極ELa、有機EL層Lel(正孔輸送層、発光層、電子輸送層)、カソード電極ELcを順次積層して形成された有機EL素子OELを含む上層部Lupと、を積層した構成を有している。
【0105】
ここで、上述した第1の実施形態に示した構成(図2参照)と同様に、図12(a)、(b)に示すように、表示パネル110の行方向(図面左右方向)に走査ラインSL及び第1の電源ラインVLAが並行して配設され、また、列方向(図面上下方向)にデータラインDLが配設されている。これらの配線層は、発光駆動回路DCが形成される下層部Ludに設けられ、特に、走査ラインSL及び第1の電源ラインVLAは、各行の表示画素EM間に設けられる境界領域BDRに配設されている。
【0106】
そして、本発明に適用される表示パネル110においては、上述したようなデバイス構造において、各行の表示画素EMのカソード電極ELcが、各々単一の電極層により構成され、かつ、隣接する行間で当該カソード電極(電極層)ELc相互が電気的に分離されるように構成されている。すなわち、各行ごとに表示画素EMのカソード電極ELc相互を接続して構成される第2の電源ラインVLBが設けられている。
【0107】
このようなデバイス構造は、例えば、図12(a)、(b)に示すように、各行間に設けられた境界領域BDRに、絶縁性基板SUB(下層部Lud上面)から突出する逆テーパレジスト(上端側よりも下端側の寸法を小さく形成したレジスト膜)RTを設けた状態で、絶縁性基板SUB上の全面に電極材料を蒸着する手法や、メタルマスクを用いた選択的な蒸着法を適用することにより実現することができる。なお、図12(b)に示した逆テーパレジストRT上に形成された電極層Exdは、絶縁性基板SUB上の全面に電極材料を蒸着した際に、カソード電極ELcと離間して同時に形成されたものである。
【0108】
なお、図12に示した表示パネル110のデバイス構造においては、行方向に配設される走査ラインSL及び第1の電源ラインVLAを、各表示画素EMの有機EL素子OEL(有機EL層Lel)の形成領域、及び、逆テーパレジストRTの形成領域に対して、平面的に重ならないように配置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図13に示すように、これらの配線を、境界領域BDRに形成された逆テーパレジストRTの下層(直下)に配置するものであってもよい。これによれば、有機EL素子OEL(有機EL層Lel)の形成領域を、走査ラインSLや第1の電源ラインVLA等の配線層の配置に関わりなく、広く設定することができるので、有機EL素子OEL(有機EL層Lel)において放射された光を絶縁性基板SUB方向に出射するボトムエミッション型の発光構造を採用した場合であっても、表示パネルの開口率を高く設定することができる。
【0109】
図14は、本発明に係る表示装置に適用される表示パネルのデバイス構造の第2の例を示す概略図である。ここで、図14(a)は、表示画素の上層部に形成される有機EL素子(有機EL層、カソード電極)と、下層部に形成される走査ライン、第1及び第2の電源ライン、データラインとの関係を示す概略平面図であり、図14(b)は、表示パネルに配列された表示画素において下層部に形成される発光駆動回路の一具体例を示す平面レイアウトである。なお、上述したデバイス構造の第1の例と同等の構成については、その説明を簡略化する。また、有機EL層Lelの形成領域(すなわち、表示画素の発光領域)を便宜的にハッチングを施して示した。
【0110】
本発明に適用される表示パネル110(表示画素EM)に適用されるデバイス構造の第2の例は、上述した第1の例と同様に、絶縁性基板(図示を省略)上の各画素形成領域ごとに、発光駆動回路DCが形成された下層部と、有機EL素子OELが形成された上層部と、を積層した構成において、図14(a)に示すように、下層部に行方向(図面左右方向)に配設された走査ラインSLや第1の電源ラインVLAに並行に第2の電源ラインVLBが設けられているとともに、表示画素EMごとの上層部に設けられた有機EL素子OELのカソード電極ELcがコンタクトホールHLvを介して、下層部に設けられた第2の電源ラインVLBに電気的に接続された構成を有している。すなわち、各行ごとの表示画素EMのカソード電極ELcが単一の第2の電源ラインVLBに共通に接続された構成を有している。
【0111】
なお、下層部に形成される発光駆動回路DCは、例えば、図3に示した発光駆動回路DCと同等の回路構成を適用することができ、具体的には、図14(b)に示すように、絶縁性基板上の画素形成領域の上方及び下方の縁辺領域に行方向に走査ラインSL、第2の電源ラインVLB及び第1の電源ラインVLAが配設され、これらのラインに直交するように、当該画素形成領域の左方の縁辺領域に列方向にデータラインDLが配設された構成を有している。また、画素形成領域の左方及び右方の縁辺領域に列方向に延在するように薄膜トランジスタTr11〜Tr13が配置形成され、画素形成領域の略中央領域を除く領域に、平面的な広がりを有するようにコンデンサCsが形成された構成を有している。そして、これらの配線層や機能素子は、図3に示した回路構成を有するように、相互に電気的に接続されている。
【0112】
そして、図3に示した発光駆動回路DCの回路構成によれば、上層部に形成される有機EL素子OELを構成するアノード電極は、下層部の最上層に設けられた平坦化膜等の層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールHLaを介して、発光駆動回路DCを構成するコンデンサCsの一方の電極(接点N12側)及び薄膜トランジスタTr13のソース電極、薄膜トランジスタTr12のドレイン電極に電気的に接続され、また、有機EL素子OELのカソード電極ELcは、有機EL層Lelやアノード電極が形成されていない領域において、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールHLvを介して、下層部に設けられた第2の電源ラインVLBに電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係る表示装置の一実施形態を示す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネル及びその周辺装置の一例を示す要部構成図である。
【図3】本実施形態に係る表示装置に適用される表示画素(発光駆動回路及び発光素子)の一例を示す回路構成図である。
【図4】本実施形態に係る表示装置に適用可能なデータドライバの一例を示す概略ブロック図である。
【図5】本実施形態に係る表示装置に適用される表示画素における駆動制御方法(書込動作、発光動作)を示すタイミングチャートである。
【図6】従来技術に基づく表示画素の一例を示す回路構成図である。
【図7】従来技術に基づく表示装置(表示画素)の駆動制御方法を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第2の実施形態を示すタイミングチャートである。
【図9】本実施形態に係る表示装置の駆動制御方法における動作状態を説明するための等価回路図である。
【図10】本実施形態に係る表示装置の駆動制御方法における電荷の保持状態を説明するための概念図である。
【図11】本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第3の実施形態を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明に係る表示装置に適用される表示パネルのデバイス構造の第1の例を示す概略図である。
【図13】本発明に係る表示装置に適用される表示パネルのデバイス構造の第1の例の変形例を示す概略図である。
【図14】本発明に係る表示装置に適用される表示パネルのデバイス構造の第2の例を示す概略図である。
【図15】従来技術における表示画素(発光駆動回路及び発光素子)を備えた発光素子型ディスプレイの要部構成例を示す等価回路図である。
【図16】従来技術における表示画素(発光駆動回路及び発光素子)を備えた発光素子型ディスプレイの要部構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0114】
100 表示装置
110 表示パネル
120 走査ドライバ
130A 第1の電源ドライバ
130B 第2の電源ドライバ
140 データドライバ
150 システムコントローラ
EM 表示画素
DC 発光駆動回路
OEL 有機EL素子
VLA 第1の電源ライン
VLB 第2の電源ライン
SL 走査ライン
DL データライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向に配設された複数の選択ライン及び列方向に配設された複数のデータラインの各交点近傍に、電流駆動型の発光素子と該発光素子に発光駆動電流を供給する発光駆動素子とからなる複数の表示画素が配列された表示パネルを備えた表示装置において、
前記表示パネルは、各行ごとに、前記表示画素に設けられる前記発光素子の一端に前記発光駆動素子を介して接続された第1の電源ラインと、前記発光素子の他端に接続された第2の電源ラインと、を有し、
前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインを介して、前記各行の表示画素に個別に電源電圧を印加する手段を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示装置は、
前記表示パネルの前記各行の表示画素に対して、前記選択ラインを介して所定のタイミングで選択信号を印加し、選択状態に設定する選択駆動部と、
所望の画像情報を表示するための表示データに応じた階調信号を生成し、前記選択状態に設定された行の前記表示画素に印加するデータ駆動部と、
前記各行の表示画素に対して、前記第1の電源ラインを介して所定のタイミングで第1の電源電圧を印加する第1の電源駆動部と、
前記各行の表示画素に対して、前記第2の電源ラインを介して所定のタイミングで第2の電源電圧を印加する第2の電源駆動部と、
タイミング制御信号を供給することにより、前記選択駆動部及び前記データ駆動部、前記第1及び第2の電源駆動部の各々を所定のタイミングで動作させる駆動制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の電源駆動部及び前記第2の電源駆動部は、
相互に電圧レベルが反転関係となる前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を生成する手段と、
前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を同期して印加する手段と、
を有することを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記選択駆動部から前記選択ラインに前記選択信号を印加するタイミングに同期して、前記第1の電源駆動部及び前記第2の電源駆動部から前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加するためのタイミング制御信号を生成する手段を有していることを特徴とする請求項2又は3記載の表示装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記選択駆動部から前記選択ラインに前記選択信号を印加するタイミングに先立って、前記第1の電源駆動部及び前記第2の電源駆動部から前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加するためのタイミング制御信号を生成する手段を有していることを特徴とする請求項2又は3記載の表示装置。
【請求項6】
前記駆動制御部は、前記第1の電源駆動部及び前記第2の電源駆動部から前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、任意のタイミングで前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加するためのタイミング制御信号を生成する手段を有していることを特徴とする請求項2又は3記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示画素の前記発光駆動素子は、前記発光素子に前記発光駆動電流を流す電流路と、前記発光駆動電流の供給状態を制御する制御端子を備え、前記データ駆動部から印加される前記階調信号に基づいて、前記制御端子と前記電流路の一端側との間に前記階調信号に応じた電圧成分が保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示画素の各々は、前記発光素子の発光動作を制御する発光駆動回路を備え、
前記発光駆動回路は、少なくとも、電流路の一端側が前記発光素子の電流供給側の端子に接続され、該電流路の他端側が前記第1の電源ラインに接続された第1のスイッチ手段と、制御端子が前記選択ラインに接続され、電流路の一端側が前記第1の電源ラインに接続され、該電流路の他端側が前記第1のスイッチ手段の制御端子に接続された第2のスイッチ手段と、制御端子が前記選択ラインに接続され、電流路の一端側が前記データラインが接続され、該電流路の他端側が前記発光素子の電流供給側の端子に接続された第3のスイッチ手段と、を備え、
前記発光駆動素子は、前記第1のスイッチ手段であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記発光駆動素子、又は、前記第1乃至第3のスイッチ手段は、アモルファスシリコンからなる半導体層を備えた電界効果型の薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の表示装置。
【請求項11】
行方向に配設された複数の選択ライン及び列方向に配設された複数のデータラインの各交点近傍に、電流駆動型の発光素子と該発光素子に発光駆動電流を供給する発光駆動素子とからなる複数の表示画素が配列された表示パネルを備え、所定のタイミングで前記表示パネルの各行ごとの前記表示画素に選択信号を順次印加して、選択状態に設定し、当該選択タイミングに同期して、所望の画像情報を表示するための表示データに応じた階調信号を印加することにより、前記表示画素を所定の輝度階調で発光動作させて、前記表示パネルに前記所望の画像情報を表示する表示装置の駆動制御方法において、
各行の前記表示画素ごとに、当該表示画素に設けられる前記発光素子の一端に前記発光駆動素子を介して接続された第1の電源ライン、及び、前記発光素子の他端に接続された第2の電源ラインに対して、相互に電圧レベルが反転関係となる第1の電源電圧及び第2の電源電圧を印加することを特徴とする表示装置の駆動制御方法。
【請求項12】
前記選択ラインに前記選択信号を印加して、当該選択ラインに接続された前記表示画素を選択状態に設定するタイミングに同期して、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加することを特徴とする請求項11記載の表示装置の駆動制御方法。
【請求項13】
前記選択ラインに前記選択信号を印加して、当該選択ラインに接続された前記表示画素を選択状態に設定するタイミングに先立って、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加することを特徴とする請求項11記載の表示装置の駆動制御方法。
【請求項14】
前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインの各々に、任意のタイミングで前記第1の電源電圧及び前記第2の電源電圧を印加することを特徴とする請求項11記載の表示装置の駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−248800(P2007−248800A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72072(P2006−72072)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】