説明

表示装置及びその駆動方法

【課題】非晶質シリコン薄膜トランジスタ及び有機発光素子のしきい電圧の劣化を補償することができる表示装置及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】発光素子、ストレージキャパシタ、制御端子、入力端子、及び出力端子を有し、発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタ、走査信号によってデータ電圧をストレージキャパシタに供給する第1スイッチングトランジスタ、前段走査信号によって駆動トランジスタをダイオード接続させる第2スイッチングトランジスタ、発光信号によって駆動電圧を駆動トランジスタに供給する第3スイッチングトランジスタを各々備える複数の画素を有し、ストレージキャパシタは、ダイオード接続された駆動トランジスタを通じて駆動トランジスタのしきい電圧及び発光素子のしきい電圧に依存する制御電圧を保存し、制御電圧及びデータ電圧を駆動トランジスタの制御端子に伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその駆動方法に関し、特に、非晶質シリコン薄膜トランジスタを具備しながらも非晶質シリコン薄膜トランジスタ及び有機発光素子のしきい電圧の劣化を補償することができる表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータやテレビなどの軽量化及び薄型化に伴って、表示装置に対しても軽量化及び薄型化が要求されており、その要求に応えるために陰極線管(CRT)が平板表示装置に代替されつつある。
平板表示装置には、液晶表示装置(LCD)、電界放出表示装置(FED)、有機発光表示装置(organic light emitting display)、プラズマ表示装置(PDP)等がある。
【0003】
一般に、能動型平板表示装置は、複数の画素が行列状に配列され、与えられた輝度情報に従って各画素の光強度を制御することによって画像を表示する。このうち、有機発光表示装置は、蛍光性有機物質を電気的に励起発光させて画像を表示する表示装置であって、自己発光型であり、消費電力が小さく、視野角が広く、画素の応答速度が速く、高画質の動画表示が容易である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
有機発光表示装置は、有機発光素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)とこれを駆動する薄膜トランジスタ(TFT)とを備える。薄膜トランジスタは、活性層(active layer)の種類によって多結晶シリコン(poly silicon)薄膜トランジスタと、非晶質シリコン(amorphous silicon)薄膜トランジスタ等に区分される。多結晶シリコン薄膜トランジスタを採用した有機発光表示装置は、様々なメリットがあって一般に広く用いられているが、薄膜トランジスタの製造工程が複雑で、コストも増加する。また、有機発光表示装置では、大画面の実現が困難である。
【0005】
一方、非晶質シリコン薄膜トランジスタを採用した有機発光表示装置は、大画面の実現が容易であり、多結晶シリコン薄膜トランジスタを採用した有機発光表示装置に比べて製造工程数も相対的に少ない。しかし、非晶質シリコン薄膜トランジスタが有機発光素子に継続的に電流を供給することによって、非晶質シリコン薄膜トランジスタ自身のしきい電圧(Vth)が遷移して劣化する可能性がある。これは、同一のデータ電圧が印加されても不均一な電流を有機発光素子に流し、結局、有機発光表示装置の画質劣化が生ずるという問題点があった。
【0006】
一方、有機発光素子においても長時間電流を流すことによってそのしきい電圧が遷移する。n型薄膜トランジスタの場合、有機発光素子が薄膜トランジスタのソース側に位置しており、有機発光素子のしきい電圧が劣化すると、薄膜トランジスタのソース側の電圧が変動する。このため、薄膜トランジスタのゲートに同一のデータ電圧が印加されても、薄膜トランジスタのゲートとソースとの間の電圧が変動し不均一な電流が有機発光素子に流れることになる。これによっても、有機発光表示装置の画質劣化が生ずるという問題点があった。
【0007】
【特許文献1】特開平08−227276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上記従来の表示装置における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、非晶質シリコン薄膜トランジスタを具備しながらも非晶質シリコン薄膜トランジスタ及び有機発光素子のしきい電圧の劣化を補償することができる表示装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明による表示装置は、発光素子と、ストレージキャパシタと、制御端子、入力端子、及び出力端子を有し、前記発光素子が発光するように発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタと、走査信号によってデータ電圧を前記ストレージキャパシタに供給する第1スイッチングトランジスタと、前段走査信号によって前記駆動トランジスタをダイオード接続させる第2スイッチングトランジスタと、発光信号によって駆動電圧を前記駆動トランジスタに供給する第3スイッチングトランジスタとを各々備える複数の画素を有し、前記ストレージキャパシタは、前記ダイオード接続された駆動トランジスタを通じて前記駆動トランジスタのしきい電圧及び前記発光素子のしきい電圧に依存する制御電圧を保存し、前記制御電圧及び前記データ電圧を前記駆動トランジスタの制御端子に伝達することを特徴とする。
【0010】
前記第2スイッチングトランジスタは、前記前段走査信号によって前記駆動トランジスタの制御端子と入力端子を接続することを特徴とする。
前記第1スイッチングトランジスタは、前記走査信号によって前記ストレージキャパシタを前記データ電圧に接続し、前記第3スイッチングトランジスタは、前記発光信号によって前記駆動トランジスタの入力端子を前記駆動電圧に接続することを特徴とする。
前記前段走査信号によって前記ストレージキャパシタを基準電圧に接続する第4スイッチングトランジスタをさらに備えることを特徴とする。
前記複数の画素は、第1画素群及び第2画素群を備え、前記基準電圧は、前記第1及び第2画素群に互いに異なる値で印加されることを特徴とする。
前記ストレージキャパシタに接続され、所定の電圧を充電して維持する補助キャパシタをさらに備えることを特徴とする。
前記前段走査信号及び前記走査信号を生成する走査駆動部と、前記データ電圧を生成するデータ駆動部と、前記発光信号を生成する発光駆動部とをさらに備えることを特徴とする。
【0011】
前記第1スイッチングトランジスタは、前記走査信号によって前記ストレージキャパシタを基準電圧に接続することを特徴とする。
前記前段走査信号及び前記走査信号を生成する走査駆動部と、前記データ電圧及び前記基準電圧を生成するデータ駆動部と、前記発光信号を生成する発光駆動部をさらに備えることを特徴とする。
前記複数の画素は、第1画素群及び第2画素群を備え、前記データ駆動部は、互いに異なる値を有する前記基準電圧を生成し前記第1及び第2画素群に印加することを特徴とする。
前記走査駆動部、前記データ駆動部、及び前記発光駆動部を制御する信号制御部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
前記第1乃至第3スイッチングトランジスタ及び前記駆動トランジスタは、非晶質シリコンを含むことを特徴とする。
前記第1乃至第3スイッチングトランジスタ及び前記駆動トランジスタは、nMOS薄膜トランジスタであることを特徴とする。
前記発光素子は、有機発光層を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するためになされた本発明による表示装置は、発光素子と、駆動電圧に接続された入力端子、前記発光素子に接続された出力端子、及び制御端子を有する駆動トランジスタと、走査信号に応答して作動し、前記駆動トランジスタの制御端子とデータ電圧の間に接続されている第1スイッチングトランジスタと、前段走査信号に応答して作動し、前記駆動トランジスタの入力端子と制御端子の間に接続されている第2スイッチングトランジスタと、発光信号に応答して作動し、前記駆動トランジスタの入力端子と前記駆動電圧の間に接続されている第3スイッチングトランジスタと、前記駆動トランジスタの制御端子と前記第1スイッチングトランジスタの間に接続されているストレージキャパシタとを各々備える複数の画素を有することを特徴とする。
【0014】
前記前段走査信号に応答して作動し、前記ストレージキャパシタと基準電圧の間に接続されている第4スイッチングトランジスタをさらに有することを特徴とする。
前記ストレージキャパシタと前記駆動電圧または前記基準電圧の間に接続されている補助キャパシタをさらに有することを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するためになされた本発明による表示装置の駆動方法は、制御端子と第1端子及び第2端子を備える駆動トランジスタ、前記駆動トランジスタの第2端子に接続されている発光素子、及び前記駆動トランジスタの制御端子に接続されているキャパシタとを各々備える複数の画素を有した表示装置の駆動方法であって、前記キャパシタ両端に基準電圧及び駆動電圧を供給する段階と、前記駆動トランジスタの制御端子と第1端子を接続する段階と、前記キャパシタにデータ電圧を印加する段階と、前記駆動トランジスタの第1端子を前記駆動電圧に接続する段階とを有することを特徴とする。
【0016】
前記駆動トランジスタの制御端子と第1端子を接続する段階は、前記駆動電圧を遮断する段階を含むことを特徴とする。
前記キャパシタにデータ電圧を印加する段階は、前記駆動トランジスタの第1端子を孤立させる段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示装置及びその駆動方法によれば、三つのスイッチングトランジスタ、一つの駆動トランジスタ、有機発光素子、及びキャパシタを備え、前記キャパシタに駆動トランジスタのしきい電圧及び有機発光素子のしきい電圧に依存する電圧を保存することによって、駆動トランジスタ及び有機発光素子のしきい電圧が変動しても、これを補償し、画質劣化を防止することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に係る表示装置及びその駆動方法を実施するための最良の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
図面は、各種層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示している。明細書全体を通じて類似した部分については同一の図面符号を付けている。層、膜、領域、板などの部分が、他の部分の“上に”あるとする時、これは他の部分の“すぐ上に”ある場合に限らず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“すぐ上に”あるとする時、これは中間に他の部分がない場合を意味する。また、ある部分が他の部分と接続されているとする時、これは他の部分と“直接”接続されている場合に限らず、また他の部分を通じて接続されている場合も含む。
【実施例1】
【0019】
まず、図1乃至図9を参照して、本発明の第1の実施例による有機発光表示装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施例による有機発光表示装置のブロック図であり、図2は、本発明の第1の実施例による有機発光表示装置の一画素に対する等価回路図である。図3は、本発明の第1の実施例による有機発光表示装置の一画素の駆動トランジスタと有機発光素子の断面を示した断面図であり、図4は、本発明の第1の実施例による有機発光表示装置の有機発光素子の概略図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1の実施例による有機発光表示装置は、表示板300及びこれに接続された走査駆動部400と、データ駆動部500と、発光駆動部700、及びこれらを制御する信号制御部600を含む。
表示板300は、等価回路によれば、複数の信号線(G−G、D−D、S−S)、複数の電圧線(図示せず)、及びこれらに接続され略行列状に配列された複数の画素(PX)を含む。
【0021】
信号線は、走査信号(Vg0〜Vgn)を伝達する複数の走査信号線(G−G)と、データ信号(Vdata)を伝達するデータ線(D−D)、及び発光信号(Vs1〜Vsn)を伝達する複数の発光信号線(S−S)を含む。走査信号線(G−G)及び発光信号線(S−S)は、略行方向に延びて互いに略平行であり、データ線(D−D)は、略列方向に延びて互いに略平行である。
電圧線は、駆動電圧(Vdd)を伝達する駆動電圧線(図示せず)と、基準電圧(Vref)を伝達する基準電圧線(図示せず)を含む。駆動電圧線及び基準電圧線は行方向または列方向に延びている。
【0022】
図2に示すように、各画素は、駆動トランジスタ(Qd)、キャパシタ(C1、C2)、有機発光素子OLED(LD)、及び4つのスイッチングトランジスタ(Qs1〜Qs4)を含む。
駆動トランジスタ(Qd)は、制御端子(Ng)、入力端子(Nd)、及び出力端子(Ns)を備え、入力端子(Nd)は、駆動電圧(Vdd)に接続されている。キャパシタ(C1)の一端子(N1)は、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(Ng)に接続され、他の端子(N2)は、スイッチングトランジスタ(Qs1、Qs2)に接続されている。キャパシタ(C2)は、キャパシタ(C1)と駆動電圧(Vdd)の間に接続され、有機発光素子(LD)のアノード(anode)及びカソード(cathode)は、各々駆動トランジスタ(Qd)の出力端子(Ns)及び共通電圧(Vss)に接続されている。
【0023】
有機発光素子(LD)は、駆動トランジスタ(Qd)が供給する電流(ILD)の大きさに応じて強度を異にして発光することによって画像を表示し、電流(ILD)の大きさは、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(Ng)と出力端子(Ns)の間の電圧の大きさに依存する。
スイッチングトランジスタ(Qs1)は、走査信号線(G)、データ電圧(Vdata)及びキャパシタ(C1)の端子(N2)に接続され、走査信号(Vgi)に応答して作動する。
【0024】
スイッチングトランジスタ(Qs2)は、前段の走査信号線(Gi−1)、基準電圧(Vref)、及びキャパシタ(C1)の端子(N2)に接続され、スイッチングトランジスタ(Qs3)は、前段の走査信号線(Gi−1)と駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(Ng)及び入力端子(Nd)に接続され、これらスイッチングトランジスタ(Qs2、Qs3)は、前段の走査信号(Vgi−1)に応答して作動する。
スイッチングトランジスタ(Qs4)は、駆動トランジスタ(Qd)の入力端子(Nd)と駆動電圧(Vdd)の間に接続され、発光信号(Vsi)に応答して作動する。
【0025】
スイッチング及び駆動トランジスタ(Qs1〜Qs4、Qd)は、非晶質シリコンまたは多結晶シリコンからなるnチャンネル金属酸化膜半導体(nMOS)トランジスタからなる。しかし、トランジスタ(Qs1〜Qs4、Qd)は、pMOSトランジスタからなることもできる。この場合、pMOSトランジスタ及びnMOSトランジスタは、互いに相補型(complementary)であってpMOSトランジスタの作動と電圧及び電流は、nMOSトランジスタのそれと逆である。
【0026】
以下、上記した有機発光表示装置の駆動トランジスタ(Qd)及び有機発光素子(LD)の構造について説明する。
図3に示すように、絶縁基板110上に制御端子電極(control electrode)124が形成されている。制御端子電極124の側面は、基板110面に対し傾斜されて形成され、その傾斜角は20〜80度である。
制御端子電極124上には、窒化ケイ素(SiNx)などからなる絶縁膜140が形成されている。
【0027】
絶縁膜140上部には、水素化非晶質シリコン(非晶質シリコンはa−Siと略称する。)または多結晶シリコンなどからなる半導体154が形成されている。
半導体154の上部には、シリサイド(silicide)またはn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質からなる抵抗性接触部材(ohmic contact)163、165が形成されている。
半導体154及び抵抗性接触部材163、165の側面は傾斜され、その傾斜角は30〜80度である。
【0028】
抵抗性接触部材163、165及び絶縁膜140の上には、出力端子電極175及び入力端子電極173が形成されている。
出力端子電極175と入力端子電極173は互いに分離され、制御端子電極124を基準にして両側に位置している。制御端子電極124、出力端子電極175及び入力端子電極173は、半導体154と共に駆動トランジスタ(Qd)をなし、そのチャンネル(channel)は、出力端子電極175と入力端子電極173の間の半導体154に形成される。
出力端子電極175及び入力端子電極173も半導体154などと同様に、その側面が約30乃至80度傾斜されている。
【0029】
出力端子電極175及び入力端子電極173と露出された半導体154部分の上には、平坦化特性が優れ、かつ感光性を有する有機物質、プラズマ化学気相蒸着(PECVD)で形成されるa−Si:C:O、 a−Si:O:Fなどの低誘電率絶縁物質または窒化ケイ素(SiNx)などからなる保護膜180が形成されている。
保護膜180には、出力端子電極175を露出する接触孔(contact hole)185が形成されている。
【0030】
保護膜180上には、接触孔185を通じて出力端子電極175と物理的・電気的に接続されている画素電極190が形成されている。画素電極190は、ITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明な導電物質やアルミニウム、または銀合金の反射性が優れた物質で形成することができる。
保護膜180の上部は、有機絶縁物質または無機絶縁物質からなり、有機発光セルを分離するための隔壁360が設けられている。隔壁360は、画素電極190の周縁周りを囲って有機発光層370が充填される領域を限定している。
【0031】
隔壁360に囲まれた画素電極190上の領域には、有機発光層370が形成されている。
有機発光層370は、図4に示すように、発光層(EML)の他に電子と正孔のバランスを良くして発光効率を向上させるため、電子輸送層(ETL)及び正孔輸送層(HTL)を備える多層構造を有し、更に、別の電子注入層(EIL)及び正孔注入層(HIL)を含むことができる。
隔壁360上には、隔壁360と同一模様のパターンで形成され、金属のように低い比抵抗を有する導電物質からなる補助電極382が形成されている。補助電極382は、後に形成される共通電極270と接触しており、共通電極270に伝達される信号が歪曲するのを防ぐ機能をする。
【0032】
隔壁360、有機発光層370、及び補助電極382の上には、共通電圧(Vss)が印加される共通電極270が形成されている。共通電極270は、ITOまたはIZOなどの透明な導電物質からなっている。画素電極190が透明な場合、共通電極270は、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)などを含む金属からなることができる。
不透明な画素電極190及び透明な共通電極270は、表示板300(図1)の上部方向に画像を表示する上面発光(top emission)方式の有機発光表示装置に適用し、透明な画素電極190及び不透明な共通電極270は、表示板300の下方向に画像を表示する底面発光(bottom emission)方式の有機発光表示装置に適用する。
【0033】
画素電極190、有機発光層370、及び共通電極270は、図2に示した有機発光素子OLED(LD)をなし、画素電極190はアノード、共通電極270はカソード、又は画素電極190はカソード、共通電極270はアノードとなる。有機発光素子(LD)は、発光層(EML)を形成する有機物質によって三原色、例えば赤色、緑色、青色のうちの一色を固有に表示し、三原色の空間的な和によって所望のカラーを表示する。
【0034】
再び図1を参照すれば、走査駆動部400は、表示板300の走査信号線(G−G)に接続され、スイッチングトランジスタ(Qs1〜Qs3)をターンオンすることができる高電圧(Von)と、ターンオフすることができる低電圧(Voff)の組み合わせからなる走査信号(Vgi)を走査信号線(G0−Gn)に印加し、複数の集積回路からなることができる。
【0035】
データ駆動部500は、表示板300のデータ線(D−D)に接続され画像信号を示すデータ電圧(Vdata)を画素に印加し、複数の集積回路からなることができる。
発光駆動部700は、表示板300の発光信号線(S−S)に接続されスイッチングトランジスタ(Qs4)をターンオンすることができる高電圧(Von)とターンオフすることができる低電圧(Voff)との組み合わせからなる発光信号(Vsi)を発光信号線(S−S)に印加し、複数の集積回路からなることができる。
【0036】
複数の走査駆動集積回路、データ駆動集積回路または発光駆動集積回路は、チップの形態でTCP(tape carrier package)(図示せず)方式で装着してTCPを表示板300に付着することもでき、TCPを用いずにガラス基板上に集積回路チップを直接付着することもできる(COG実装方式:chip on glass)。
更に、集積回路を画素の薄膜トランジスタと共に表示板300に直接設けることもできる。
信号制御部600は、走査駆動部400、データ駆動部500、及び発光駆動部700などの動作を制御する。
【0037】
以下、有機発光表示装置の表示動作について、図5乃至図9を参照して詳細に説明する。
図5は、本発明の第1の実施例による有機発光表示装置の駆動信号を示したタイミング図であり、図6乃至図9は、図5に示した各区間における一画素に対する等価回路図である。
【0038】
図1で、信号制御部600は、外部のグラフィック制御部(図示せず)から入力映像信号(R、G、B)及び該表示を制御する入力制御信号、例えば垂直同期信号(Vsync)と水平同期信号(Hsync)、メインクロック(MCLK)、データイネーブル信号(DE)などの提供を受ける。信号制御部600は、入力映像信号(R、G、B)及び入力制御信号に基づいて、映像信号(R、G、B)を表示板300の動作条件に合わせて適合に処理し、走査制御信号(CONT1)、データ制御信号(CONT2)、及び発光制御信号(CONT3)などを生成した後、走査制御信号(CONT1)を走査駆動部400に送り、データ制御信号(CONT2)及び処理した映像信号(DAT)はデータ駆動部500に送り、発光制御信号(CONT3)は発光駆動部700に送る。
【0039】
走査制御信号(CONT1)は、高電圧(Von)の出力開始を指示する垂直同期開始信号(STV)、高電圧(Von)の出力時期を制御するゲートクロック信号(CPV)及び高電圧(Von)の持続時間を限定する出力イネーブル信号(OE)などを含む。
データ制御信号(CONT2)は、映像データ(DAT)の入力開始を指示する水平同期開始信号(STH)と、データ線(D−D)に該当データ電圧の印加を指示するロード信号(LOAD)などを含む。
本実施例による有機発光表示装置は、一行、例えばi番目行の画素に映像を表示するため、i番目走査信号(Vgi)の他に(i−1)番目、つまり前段の走査信号(Vgi−1)も共に用いる。
【0040】
まず、走査駆動部400が信号制御部600からの走査制御信号(CONT1)によって前段の走査信号(Vgi−1)の電圧値を高電圧(Von)にすると、前段の走査信号線(Gi−1)に接続されたスイッチングトランジスタ(Qs2、Qs3)がターンオンされる。この時、走査信号線(G)に印加される走査信号(Vgi)の電圧値は低電圧(Voff)であって、これに接続されたスイッチングトランジスタ(Qs1)はターンオフ状態を維持する(図2参照)。
この時、発光駆動部700が信号制御部600からの発光制御信号(CONT3)によって発光信号線(S)に印加する発光信号(Vsi)の電圧値は高電圧(Von)であり、これによってスイッチングトランジスタ(Qs4)はターンオン状態を維持する。
【0041】
上記のような状態にある画素の等価回路を図6に示し、前記区間を先充電区間(TA1)と称する(図5参照)。図6に示すように、スイッチングトランジスタ(Qs4)は、抵抗(r)で示すことができる。
以下、キャパシタ(C1)の一端子(N1)及び駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(Ng)は、抵抗(r)を通じて駆動電圧(Vdd)に接続され、これらの電圧は、駆動電圧(Vdd)から抵抗(r)による電圧降下量を引いた値となり、キャパシタ(C1)の他の端子(N2)は、基準電圧(Vref)に接続されて基準電圧(Vref)に初期化され、キャパシタ(C1)は両端の電圧差を維持する。この時、駆動電圧(Vdd)は、駆動トランジスタ(Qd)の出力端子電圧(Vns)よりも充分高く、駆動トランジスタ(Qd)をターンオンする程度の大きさである。
従って、駆動トランジスタ(Qd)は、ターンオンされ出力端子(Ns)を通じて任意の電流を有機発光素子(LD)に供給し、これによって有機発光素子(LD)は、発光することができる。しかし、先充電区間(TA1)の長さが1フレームに比べて極めて短いため、該区間(TA1)における有機発光素子(LD)の発光は視認されない他、表示しようとする輝度に殆ど影響を及ぼさない。
【0042】
次に、発光駆動部700が発光制御信号(CONT3)によって発光信号(Vsi)を低電圧(Voff)に変換しスイッチングトランジスタ(Qs4)をターンオフすることによって本充電区間(TA2)が開始する(図5参照)。前段の走査信号(Vgi−1)は、前記区間(TA2)においても高電圧(Von)を維持し続けており、これによってスイッチングトランジスタ(Qs2、Qs3)はオン状態を維持する。
【0043】
次に、図7に示すように、駆動トランジスタ(Qd)は、駆動電圧(Vdd)から分離される一方、ダイオード接続される。即ち、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(Ng)及び入力端子(Nd)は、互いに接続された状態で駆動電圧(Vdd)から分離される。駆動トランジスタ(Qd)の制御端子電圧(Vng)が充分高いため、駆動電圧(Vdd)から分離された駆動トランジスタ(Qd)はターンオン状態を維持する。
これにより、先充電区間(TA1)で所定のレベルに充電されたキャパシタ(C1)の端子(N1)に充電された電荷は、駆動トランジスタ(Qd)及び有機発光素子(LD)を通じて放電され始め、その結果、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子電圧(Vng)が低くなる。制御端子電圧(Vng)の電圧降下は、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(Ng)と出力端子(Ns)の間の電圧が駆動トランジスタ(Qd)のしきい電圧(Vth)と同じになり、駆動トランジスタ(Qd)がもはや電流を流さない時点まで継続する。この時、有機発光素子(LD)のアノードとカソード間の電圧は、有機発光素子(LD)のしきい電圧(Vto)になる。即ち、
【0044】
(数1)
Vng=Vth+Vto+Vss
が成立し、キャパシタ(C1)に充電される電圧(Vc)は、
(数2)
Vc=Vth+Vto+Vss−Vref
を満足する。
【0045】
このことから、キャパシタ(C1)が駆動トランジスタ(Qd)のしきい電圧(Vth)及び有機発光素子(LD)のしきい電圧(Vto)に依存する電圧を保存することが分かる。
電圧(Vc)がキャパシタ(C1)に充電された後に、走査駆動部400が走査制御信号(CONT1)によって前段の走査信号(Vgi−1)を低電圧(Voff)に変換しスイッチングトランジスタ(Qs2、Qs3)をターンオフすることによって記入区間(TA3)が開始する(図5参照)。発光信号(Vsi)は、その区間(TA3)においても低電圧(Voff)を維持し続け、これによってスイッチングトランジスタ(Qs4)はオフ状態を維持する。
【0046】
データ駆動部500は、信号制御部600からのデータ制御信号(CONT2)によってi番目行の画素に対する映像データ(DAT)を順次に受信してシフトし、各映像データ(DAT)に対応するデータ電圧(Vdata)を該当データ線(D−D)に印加する。
走査駆動部400は、記入区間(TA3)の時点から所定の遅延時間(ΔT)が経過した後、走査信号(Vgi)の電圧値を高電圧(Von)にしてスイッチングトランジスタ(Qs1)をターンオンさせる。
【0047】
そうすると、図8のように、駆動トランジスタ(Qd)の入力端子(Nd)は開放され、キャパシタ(C1)の端子(N2)は、データ電圧(Vdata)に接続される。これにより、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子電圧(Vng)は、キャパシタ(C1)によるブートストラッピング(bootstrapping)効果によって数式3のように変化する。
【0048】
(数3)
Vng=Vth+Vto+Vss+(Vdata−Vref)×C1/(C1+C’)
ここで、キャパシタと該キャパシタの容量は同じ符号を使用し、C’は駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(Ng)に形成された寄生容量の総計を表す。
C1がC’より極めて大きい場合、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子電圧(Vng)を数式4のように表すことができる。
【0049】
(数4)
Vng=Vth+Vto+Vss+Vdata−Vref
結局、キャパシタ(C1)は、前記区間(TA3)において数式2のように、本充電区間(TA2)で充電された電圧(Vc)を維持し続けながら、データ電圧(Vdata)を駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(Ng)に伝達する役割を果たす。
【0050】
キャパシタ(C2)は、キャパシタ(C1)の端子(N2)電圧及び駆動トランジスタ(Qd)の制御端子電圧(Vng)を安定させる役割を果たす。キャパシタ(C2)の一端子がキャパシタ(C1)の端子(N2)の代わりに、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(Ng)に接続されることができ、この場合、駆動電圧(Vdd)に接続されたキャパシタ(C2)の他の端子が基準電圧(Vref)や共通電圧(Vss)、或いは別の一定の電位を有する端子に接続されることもできる。この時、数式4は次の数式5のようになる。
【0051】
(数5)
Vng=Vth+Vto+Vss+(Vdata−Vref)×C1/(C1+C2)
この時、データ電圧(Vdata)を含む項目の大きさが小さくなるので、所望の輝度を表示するため映像信号を処理する際に、適合な大きさに調整する必要がある。一方、キャパシタ(C2)は必要に応じて省略することもできる。
【0052】
発光駆動部700が信号制御部600からの発光制御信号(CONT3)によって発光信号(Vsi)を高電圧(Von)に変えてスイッチングトランジスタ(Qs4)をターンオンし、走査駆動部400が信号制御部600からの走査制御信号(CONT1)によって走査信号(Vgi)を低電圧(Voff)に変えてスイッチングトランジスタ(Qs1)をターンオフすることによって発光区間(TA4)が開始する(図5参照)。前段の走査信号(Vgi−1)は、前記区間(TA4)においても低電圧(Voff)を維持し続けており、スイッチングトランジスタ(Qs2、Qs3)はオフ状態を維持する。
【0053】
以下、図9に示したように、キャパシタ(C1)の端子(N2)はデータ電圧(Vdata)から分離され、駆動トランジスタ(Qd)の入力端子(Nd)に駆動電圧(Vdd)が接続された状態となる。かかる状態では、キャパシタ(C1)における電荷の流出及び流入が無くなり、キャパシタ(C1)は充電された電圧(Vc)を維持し続け、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子電圧(Vng)も数式4のような電圧を維持する。
これにより、駆動トランジスタ(Qd)は、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子電圧(Vng)と出力端子電圧(Vns)の間の電圧(Vgs)によって制御される出力電流(ILD)を出力端子(Ns)を通じて有機発光素子(LD)に供給する。その結果、有機発光素子(LD)は、出力電流(ILD)の大きさに応じて強度を異ならせて発光することによって該当する画像を表示する。出力電流(ILD)は、次のように表すことができる。
【0054】
【数6】

ここで、kは薄膜トランジスタの特性による定数であってk=μ・CSiNx・W/Lであり、μは電界効果移動度、CSiNxは絶縁層の容量、Wは薄膜トランジスタのチャンネル幅、Lは薄膜トランジスタのチャンネル長さを示す。
【0055】
数式4及び数式6によれば、出力電流(ILD)は、駆動トランジスタ(Qd)のしきい電圧(Vth)及び有機発光素子(LD)のしきい電圧(Vto)の変化に影響されない。即ち、駆動トランジスタ(Qd)のしきい電圧(Vth)がΔVthだけ変化したり、有機発光素子のしきい電圧(Vto)がΔvtoだけ変化したとき、本充電区間(TA2)において制御端子(Ng)に該変動分(ΔVth、ΔVto)を含む電圧(Vng)が充電される。従って、前記変動分(ΔVth、ΔVto)は、数式6でVngとVth及びVnsの項目に各々含まれて消去され、出力電流(ILD)は変わらない。結局、本実施例による有機発光表示装置は、駆動トランジスタ(Qd)のしきい電圧(Vth)及び有機発光素子(LD)のしきい電圧(Vto)の劣化が生じても、それを補償することができる。
【0056】
一方、必要によって記入区間(TA3)で発光信号(Vsi)を高電圧(Von)に変換しスイッチングトランジスタ(Qs4)をターンオンさせることによって、有機発光素子(LD)を予め発光させることもできる。この場合、スイッチングトランジスタ(Qs3)を確実にターンオフさせた後でスイッチングトランジスタ(Qs4)をターンオンさせるのが好ましい。
発光区間(TA4)は、次のフレームでi番目行の画素に対する先充電区間(TA1)が再び開始するまで継続され、次行の画素に対しても前記した各区間(TA1〜TA4)での動作を同様に反復する。かかる方法で、全ての走査信号線(G0−Gn)及び発光信号線(S1−Sn)に対し順に区間(TA1〜TA4)制御を行い、全ての画素に該当する画像を表示する。ここで、走査信号線(G)及び走査信号(Vg0)は、第1行画素に画像を表示するためだけ用いられる。
【0057】
各区間(TA1〜TA4)の長さは、必要によって調整することができる。
基準電圧(Vref)は、共通電圧(Vss)のような電圧レベルに設定することができ、例えば0Vである。これと異なって、基準電圧(Vref)が負の電圧レベルを有するように設定することもできる。そうした場合、データ駆動部500が画素に印加するデータ電圧(Vdata)の大きさを小さくして駆動することができる。または、表示板300の特性に応じて基準電圧(Vref)を調節することによって表示板300の全体的な輝度を調整することができる。
【0058】
特に、表示板300の大きさが大きいほど、駆動電圧線の抵抗値によって駆動電圧(Vdd)値が行方向または列方向に異なる場合があるが、この場合、基準電圧(Vref)を行毎または列毎に相異させて印加すれば、表示板300の輝度を全体的に均一に調整することができる。
駆動電圧(Vdd)は、キャパシタ(Cst)に電荷を充分に供給し、駆動トランジスタ(Qd)が出力電流(ILD)を流せるよう充分に高い電圧に設定するのが好ましい。
【実施例2】
【0059】
以下、本発明の第2の実施例による有機発光表示装置について、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第2の実施例による有機発光表示装置の一画素に対する等価回路図である。
図10に示すように、本発明の第2の実施例による有機発光表示装置の各画素は、駆動トランジスタ(Qd)、キャパシタ(C1、C2)、有機発光素子(LD)、及び三つのスイッチングトランジスタ(Qs1、Qs3、Qs4)を備える。
図7に示した画素は、図2に示した画素からスイッチングトランジスタ(Qs2)を取り除いたものと実質的に同じであり、詳細な説明を省略する。
【0060】
以下、有機発光表示装置の表示動作について、図11を参照して詳細に説明する。
図11は、本発明の第2の実施例による有機発光表示装置の駆動信号を示したタイミング図である。
本実施例による有機発光表示装置は、一行、例えばi番目行の画素に映像を表示するためi番目走査信号(Vgi)の他に(i−1)番目、つまり前段の走査信号(Vgi−1)も共に用い、データ線(D)を通じてデータ電圧(Vdata)のみならず基準電圧(Vref)も供給する。
図11に示すように、発光駆動部700が信号制御部600からの発光制御信号(CONT3)によって発光信号線(Si)に印加される発光信号(Vsi)の電圧値を低電圧(Voff)にし、発光信号線(S)に接続されたスイッチングトランジスタ(Qs4)をターンオフさせることによって予備区間(TB1)が開始する。
【0061】
走査信号(Vgi)は、前記区間(TB1)において低電圧(Voff)を維持し続けており、走査信号線(G)に接続されたスイッチングトランジスタ(Qs1)はオフ状態を維持する。
また、走査駆動部400は、信号制御部600からの走査制御信号(CONT1)によって前段の走査信号(Vgi−1)の電圧値を高電圧(Von)にし、所定の時間経過後に再び低電圧(Voff)にする。
前段の走査信号(Vgi−1)が低電圧(Voff)になった後、発光駆動部700は、信号制御部600からの発光制御信号(CONT3)によって発光信号(Vsi)の電圧値を高電圧(Von)にしてスイッチングトランジスタ(Qs4)をターンオンさせる。
【0062】
前記区間(TB1)における前段の走査信号(Vgi−1)及びデータ電圧(Vdata)は、(i−1)番目行及び(i−2)番目行の画素に映像を表示するために用いられる。従って、前記区間(TB1)は、実質的にi番目行の画素に表示動作を行うためというより、前段の走査信号(Vgi−1)及びデータ電圧(Vdata)がi番目行の画素に与えかねない影響を除去するために設定された区間である。
即ち、前段の走査信号(Vgi−1)が高電圧(Von)になり前段の走査信号線(Gi−1)に接続されたスイッチングトランジスタ(Qs3)がターンオンされても、スイッチングトランジスタ(Qs4)がオフ状態となっているため駆動電圧(Vdd)が駆動トランジスタ(Qd)から遮断される。また、スイッチングトランジスタ(Qs1)がオフ状態となっており、基準電圧(Vref)及び(i−2)番目行のデータ電圧(Vdata)は、キャパシタ(C1)に伝達されない。これにより、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子電圧(Vng)は変化せず、i番目行の映像表示に影響を与えない。
データ駆動部500は、予備区間(TB1)が終了する時点で基準電圧(Vref)をデータ線(D−D)に印加する。
【0063】
次に、走査駆動部400が信号制御部600からの走査制御信号(CONT1)によって前段の走査信号(Vgi−1)及び走査信号(Vgi)の電圧値を高電圧(Von)にしてスイッチングトランジスタ(Qs1、Qs3)を各々ターンオンさせることによって先充電区間(TB2)が開始する。
発光信号(Vsi)は高電圧(Von)を維持し続け、スイッチングトランジスタ(Qs4)はオン状態を維持する。これとは異なって、必要な場合、スイッチングトランジスタ(Qs4)を予備区間(TB1)ではなく、先充電区間(TB2)が開始するときにターンオンさせることもできる。
【0064】
スイッチングトランジスタ(Qs1)がターンオンし、基準電圧(Vref)がデータ線(D−D)を通じてキャパシタ(C1)の端子(N2)に印加されることを除き、先充電区間(TB2)における動作は第1の実施例の先充電区間(TA1)における動作と実質的に同一であり、詳細な説明は省略する。
再び発光駆動部700が信号制御部600からの発光制御信号(CONT3)によって発光信号(Vsi)を低電圧(Voff)に変えてスイッチングトランジスタ(Qs4)をターンオフさせることによって本充電区間(TB3)が開始する。前段の走査信号(Vgi−1)及び走査信号(Vgi)は、該区間(TB3)においても高電圧(Von)を維持し続けており、スイッチングトランジスタ(Qs1、Qs3)はオン状態を維持する。
【0065】
これにより、キャパシタ(C1)は数式2での電圧(Vc)を充電する。該区間(TB3)において電圧(Vc)を充電する動作は、前記第1の実施例の本充電区間(TA2)におけるそれと実質的に同一であり、詳細な説明は省略する。
所定の時間経過後に走査駆動部400は、信号制御部600からの走査制御信号(CONT1)によって走査信号(Vgi)を低電圧(Voff)に変えてスイッチングトランジスタ(Qs1)をターンオフさせる。すると、その後データ駆動部500が(i−1)番目行の映像表示のためのデータ電圧(Vdata)をデータ線(D−D)に印加しても、i番目行の画素は影響を受けない。
再び所定時間が経過した後に走査駆動部400は、信号制御部600からの走査制御信号(CONT1)によって前段の走査信号(Vgi−1)を低電圧(Voff)にし、データ駆動部500は、信号制御部600からのデータ制御信号(CONT2)によって基準電圧(Vref)をデータ線(D−D)に印加する。
【0066】
次に、走査駆動部400は、信号制御部600からの走査制御信号(CONT1)によって走査信号(Vgi)の電圧値を高電圧(Von)にしてスイッチングトランジスタ(Qs1)をターンオンさせることによって記入区間(TB4)が開始する。
前段の走査信号(Vgi−1)及び発光信号(Vsi)は、該区間(TB4)で低電圧(Voff)を維持し続けており、スイッチングトランジスタ(Qs3、Qs4)はオフ状態を維持する。
記入区間(TB4)が開始すると、キャパシタ(C1)の端子(N2)に基準電圧(Vref)が印加される。前記基準電圧(Vref)は、次行(i+1)の表示動作のためのものであって、該基準電圧(Vref)がキャパシタ(C1)の端子(N2)に印加されても、キャパシタ(C1)が充電している電圧(Vc)及び制御端子電圧(Vng)には影響を与えない。
【0067】
所定の時間経過後にデータ駆動部500は、信号制御部600からのデータ制御信号(CONT2)によってi番目行のデータ電圧(Vdata)をデータ線(D−D)に印加する。これにより、キャパシタ(C1)は、前記データ電圧(Vdata)を駆動トランジスタ(Qd)の制御端子(ng)に伝達し、数式4での電圧(Vng)を維持する。
データ電圧(Vdata)の記入動作は、第1の実施例の記入区間(TA3)における記入動作と実質的に同一であり、これに関する詳細な説明は省略する。
発光駆動部700が信号制御部600からの発光制御信号(CONT3)によって発光信号(Vsi)を高電圧(Von)に変えてスイッチングトランジスタ(Qs4)をターンオンさせ、走査駆動部400が信号制御部600からの走査制御信号(CONT1)によって走査信号(Vgi)を低電圧(Voff)に変えてスイッチングトランジスタ(Qs1)をターンオフさせることによって発光区間(TB5)が開始する。前段の走査信号(Vgi−1)は、前記区間(TB5)においても低電圧(Voff)を維持し続けており、スイッチングトランジスタ(Qs3)はオフ状態を維持する。
前記区間(TB5)における表示動作は、第1の実施例の発光区間(TA4)における表示動作と実質的に同一であり、詳細な説明は省略する。
【0068】
結局、本実施例による有機発光表示装置は、駆動トランジスタ(Qd)の制御端子電圧(Vng)が発光区間(TB5)の間に式4を満足するため、駆動トランジスタ(Qd)のしきい電圧(Vth)及び有機発光素子(LD)のしきい電圧(Vto)が劣化しても、それを補償することができる。
また、本実施例による有機発光表示装置は、基準電圧(Vref)をデータ駆動部500を通じて印加することで、スイッチングトランジスタ及び配線の数を減らすことができる。また、基準電圧(Vref)を行毎にまたは列毎にまたは画素毎に異ならせて印加することができ、表示板300の輝度を全体的により均一に調整できる。
【0069】
上記のように、三つのスイッチングトランジスタ、一つの駆動トランジスタ、有機発光素子、及びキャパシタを備え、前記キャパシタに駆動トランジスタのしきい電圧及び有機発光素子のしきい電圧に依存する電圧を保存することによって、駆動トランジスタ及び有機発光素子のしきい電圧が変動しても、これを補償し、画質劣化を防止することができる。
【0070】
尚、本発明は、上述の実施例に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施例による有機発光表示装置のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例による有機発光表示装置の一画素に対する等価回路図である。
【図3】本発明の第1の実施例による有機発光表示装置の一画素の駆動トランジスタと有機発光素子の断面を示した断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例による有機発光表示装置の有機発光素子の概略図である。
【図5】本発明の第1の実施例による有機発光表示装置の駆動信号を示したタイミング図である。
【図6】図5に示した各区間における一画素に対する等価回路図である。
【図7】図5に示した各区間における一画素に対する等価回路図である。
【図8】図5に示した各区間における一画素に対する等価回路図である。
【図9】図5に示した各区間における一画素に対する等価回路図である。
【図10】本発明の第2の実施例による有機発光表示装置の一画素に対する等価回路図である。
【図11】本発明の第2の実施例による有機発光表示装置の駆動信号を示したタイミング図である。
【符号の説明】
【0072】
110 絶縁基板
124 制御端子電極
140 絶縁膜
154 半導体
163、165 抵抗性接触部材
173 入力端子電極
175 出力端子電極
180 保護膜
185 接触孔
190 画素電極
270 共通電極
300 表示板
360 隔壁
370 有機発光層
382 補助電極
400 走査駆動部
500 データ駆動部
600 信号制御部
700 発光駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
ストレージキャパシタと、
制御端子、入力端子、及び出力端子を有し、前記発光素子が発光するように発光素子に駆動電流を供給する駆動トランジスタと、
走査信号によってデータ電圧を前記ストレージキャパシタに供給する第1スイッチングトランジスタと、
前段走査信号によって前記駆動トランジスタをダイオード接続させる第2スイッチングトランジスタと、
発光信号によって駆動電圧を前記駆動トランジスタに供給する第3スイッチングトランジスタとを各々備える複数の画素を有し、
前記ストレージキャパシタは、前記ダイオード接続された駆動トランジスタを通じて前記駆動トランジスタのしきい電圧及び前記発光素子のしきい電圧に依存する制御電圧を保存し、前記制御電圧及び前記データ電圧を前記駆動トランジスタの制御端子に伝達することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2スイッチングトランジスタは、前記前段走査信号によって前記駆動トランジスタの制御端子と入力端子を接続することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1スイッチングトランジスタは、前記走査信号によって前記ストレージキャパシタを前記データ電圧に接続し、前記第3スイッチングトランジスタは、前記発光信号によって前記駆動トランジスタの入力端子を前記駆動電圧に接続することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記前段走査信号によって前記ストレージキャパシタを基準電圧に接続する第4スイッチングトランジスタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の画素は、第1画素群及び第2画素群を備え、前記基準電圧は、前記第1及び第2画素群に互いに異なる値で印加されることを特徴とする請求項1又は3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ストレージキャパシタに接続され、所定の電圧を充電して維持する補助キャパシタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記前段走査信号及び前記走査信号を生成する走査駆動部と、
前記データ電圧を生成するデータ駆動部と、
前記発光信号を生成する発光駆動部とをさらに備えることを特徴とする請求項1又は3に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1スイッチングトランジスタは、前記走査信号によって前記ストレージキャパシタを基準電圧に接続することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記前段走査信号及び前記走査信号を生成する走査駆動部と、
前記データ電圧及び前記基準電圧を生成するデータ駆動部と、
前記発光信号を生成する発光駆動部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記複数の画素は、第1画素群及び第2画素群を備え、前記データ駆動部は、互いに異なる値を有する前記基準電圧を生成し前記第1及び第2画素群に印加することを特徴とする請求項1又は8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記走査駆動部、前記データ駆動部、及び前記発光駆動部を制御する信号制御部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1乃至第3スイッチングトランジスタ及び前記駆動トランジスタは、非晶質シリコンを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1乃至第3スイッチングトランジスタ及び前記駆動トランジスタは、nMOS薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記発光素子は、有機発光層を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
発光素子と、
駆動電圧に接続された入力端子、前記発光素子に接続された出力端子、及び制御端子を有する駆動トランジスタと、
走査信号に応答して作動し、前記駆動トランジスタの制御端子とデータ電圧の間に接続されている第1スイッチングトランジスタと、
前段走査信号に応答して作動し、前記駆動トランジスタの入力端子と制御端子の間に接続されている第2スイッチングトランジスタと、
発光信号に応答して作動し、前記駆動トランジスタの入力端子と前記駆動電圧の間に接続されている第3スイッチングトランジスタと、
前記駆動トランジスタの制御端子と前記第1スイッチングトランジスタの間に接続されているストレージキャパシタとを各々備える複数の画素を有することを特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記前段走査信号に応答して作動し、前記ストレージキャパシタと基準電圧の間に接続されている第4スイッチングトランジスタをさらに有することを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記ストレージキャパシタと前記駆動電圧または前記基準電圧の間に接続されている補助キャパシタをさらに有することを特徴とする請求項15又は16に記載の表示装置。
【請求項18】
制御端子と第1端子及び第2端子を備える駆動トランジスタ、前記駆動トランジスタの第2端子に接続されている発光素子、及び前記駆動トランジスタの制御端子に接続されているキャパシタとを各々備える複数の画素を有した表示装置の駆動方法であって、
前記キャパシタ両端に基準電圧及び駆動電圧を供給する段階と、
前記駆動トランジスタの制御端子と第1端子を接続する段階と、
前記キャパシタにデータ電圧を印加する段階と、
前記駆動トランジスタの第1端子を前記駆動電圧に接続する段階とを有することを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項19】
前記駆動トランジスタの制御端子と第1端子を接続する段階は、前記駆動電圧を遮断する段階を含むことを特徴とする請求項18に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項20】
前記キャパシタにデータ電圧を印加する段階は、前記駆動トランジスタの第1端子を孤立させる段階を含むことを特徴とする請求項18に記載の表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−11435(P2006−11435A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179801(P2005−179801)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】