説明

表示装置及びその駆動方法

【課題】或る階調を表示している画素に、それよりも高い階調に対応した映像信号を書き込んだ場合に、この映像信号を書き込んだ直後の非選択期間で階調再現性が不十分となるのを防止する。
【解決手段】各選択期間において、映像信号線DLを介して電流源CSと画素PXが含む駆動回路とを接続して駆動回路に映像信号を書き込む書込動作を行い、各非選択期間において、駆動回路と画素電極とを接続して駆動電流を表示素子OLEDに流す表示動作を行い、画素PXが、第1非選択期間で第1階調を表示し、第2非選択期間で第1階調と等しいか又はそれよりも低い第2階調を表示する場合には、第1非選択期間と第2非選択期間との間の第1選択期間で第1映像信号を駆動回路に書き込み、画素PXが、第1非選択期間で第2階調よりも低い第3階調を表示し、第2非選択期間で第2階調を表示する場合には、第1選択期間で第1映像信号よりも大きな第2映像信号を前記駆動回路に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその駆動方法に係り、特には、画素に映像信号として電流信号を供給するアクティブマトリクス型表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カレントコピー型の回路を画素回路に採用したアクティブマトリクス型有機EL表示装置が記載されている。この表示装置では、各画素に映像信号として電流信号を供給し、有機EL素子を映像信号の大きさに対応した輝度で発光させる。
【0003】
この表示装置を駆動する場合、通常、有効走査期間とブランキング期間(垂直ブランキング期間)とを交互に繰り返す。有効走査期間では、例えば、画素を行毎に順次選択し、選択した画素に映像信号を書き込む。各画素の有機EL素子は、有効走査期間のうち選択されていない期間とブランキング期間とにおいて、先の映像信号の大きさに対応した輝度で発光する筈である。
【0004】
しかしながら、本発明者は、本発明を為すに際し、以下の事実を見い出している。すなわち、或る階調を表示している画素に、それよりも高い階調に対応した映像信号を書き込むと、この映像信号を書き込んだ直後の非選択期間では、表示すべき階調が再現されないことがある。この場合、映像信号を書き込んでから光学的応答を生じるまでに、1フレーム期間(60Hzの場合で16.7msec)が必要となる。
【特許文献1】米国特許第6373454号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、或る階調を表示している画素に、それよりも高い階調に対応した映像信号を書き込んだ場合に、この映像信号を書き込んだ直後の非選択期間で階調再現性が不十分となるのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によると、映像信号線と、映像信号を出力する電流源と、第1電源端子に接続されると共に入力信号に対応した大きさの駆動電流を出力する駆動回路と、画素電極と第2電源端子に接続された対向電極とそれらの間に介在した活性層とを備えた表示素子とを含んだ画素とを具備し、各選択期間において、前記映像信号線を介して前記電流源と前記駆動回路とを接続して前記駆動回路に前記入力信号として前記映像信号を書き込む書込動作を行い、各非選択期間において、前記駆動回路と前記画素電極とを接続して前記駆動電流を前記表示素子に流す表示動作を行い、前記画素が、第1非選択期間で第1階調を表示し、その次の第2非選択期間で前記第1階調と等しいか又はそれよりも低い第2階調を表示する場合には、前記第1非選択期間と前記第2非選択期間との間の第1選択期間で前記映像信号として第1映像信号を前記駆動回路に書き込み、前記画素が、第1非選択期間で前記第2階調よりも低い第3階調を表示し、前記第2非選択期間で前記第2階調を表示する場合には、前記第1選択期間で前記映像信号として第1映像信号と比較してより大きい第2映像信号を前記駆動回路に書き込むことを特徴とする表示装置が提供される。
【0007】
本発明の第2側面によると、映像信号線と、映像信号を出力する電流源と、第1電源端子に接続されると共に入力信号に対応した大きさの駆動電流を出力する駆動回路と、画素電極と第2電源端子に接続された対向電極とそれらの間に介在した活性層とを備えた表示素子とを含み、前記駆動回路は、選択期間において前記映像信号線を介して前記電流源に接続されて前記入力信号として前記映像信号が書き込まれ、各非選択期間において前記画素電極に接続されて前記駆動電流を前記表示素子に出力する画素と、第1非選択期間で前記画素が表示すべき第1階調と、その次の第2非選択期間で前記画素が表示すべき第2階調とを比較し、前記第2階調が前記第1階調と等しいか又はそれよりも低い場合には前記第1非選択期間と前記第2非選択期間との間の第1選択期間において前記電流源に前記映像信号として第1映像信号を出力させ、前記第2階調が前記第1階調よりも高い場合には前記第1選択期間において前記電流源に前記映像信号として前記第1映像信号と比較してより大きな第2映像信号を出力させるコントローラとを具備したことを特徴とする表示装置が提供される。
【0008】
本発明の第3側面によると、映像信号線と、映像信号を出力する電流源と、第1電源端子に接続されると共に入力信号に対応した大きさの駆動電流を出力する駆動回路と、画素電極と第2電源端子に接続された対向電極とそれらの間に介在した活性層とを備えた表示素子とを含んだ画素とを具備した表示装置の駆動方法であって、各選択期間において、前記映像信号線を介して前記電流源と前記駆動回路とを接続して前記駆動回路に前記入力信号として前記映像信号を書き込む書込動作を行い、各非選択期間において、前記駆動回路と前記画素電極とを接続して前記駆動電流を前記表示素子に流す表示動作を行い、前記画素が、第1非選択期間で第1階調を表示し、その次の第2非選択期間で前記第1階調と等しいか又はそれよりも低い第2階調を表示する場合には、前記第1非選択期間と前記第2非選択期間との間の第1選択期間で前記映像信号として第1映像信号を前記駆動回路に書き込み、前記画素が、第1非選択期間で前記第2階調よりも低い第3階調を表示し、前記第2非選択期間で前記第2階調を表示する場合には、前記第1選択期間で前記映像信号として第1映像信号と比較してより大きい第2映像信号を前記駆動回路に書き込むことを特徴とする駆動方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、或る階調を表示している画素に、それよりも高い階調に対応した映像信号を書き込んだ場合に、この映像信号を書き込んだ直後の非選択期間で階調再現性が不十分となるのを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様の又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の一態様に係る表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1の表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す部分断面図である。図3は、図1の表示装置の一部を示す等価回路図である。なお、図2では、表示装置を、その表示面,すなわち前面又は光出射面,が下方を向き、背面が上方を向くように描いている。
【0012】
この表示装置は、アクティブマトリクス型駆動方式を採用した下面発光型の有機EL表示装置である。この有機EL表示装置は、表示パネルDPと、映像信号線ドライバXDRと、走査信号線ドライバYDRと、コントローラCNTとを含んでいる。
【0013】
表示パネルDPは、例えば、ガラス基板などの絶縁基板SUBを含んでいる。基板SUB上には、図2に示すように、アンダーコート層UCとして、例えば、SiNx層とSiOx層とが順次積層されている。
【0014】
アンダーコート層UC上には、例えばチャネル及びソース・ドレインが形成されたポリシリコン層である半導体層SC、例えばTEOS(tetraethyl orthosilicate)などを用いて形成され得るゲート絶縁膜GI、及び例えばMoWなどからなるゲートGが順次積層されており、それらはトップゲート型の薄膜トランジスタを構成している。この例では、これら薄膜トランジスタは、pチャネル薄膜トランジスタであり、図1及び図3に示す駆動制御素子DR及びスイッチSWa乃至SWcとして利用している。
【0015】
ゲート絶縁膜GI上には、図1及び図3に示すキャパシタCの一方の電極と走査信号線SL1及びSL2とがさらに配置されている。これらは、ゲートGと同一の工程で形成可能である。
【0016】
走査信号線SL1及びSL2は、図1に示すように、各々が画素PXの行方向(X方向)に延びており、画素PXの列方向(Y方向)に交互に配列している。これら走査信号線SL1及びSL2は、走査信号線ドライバYDRに接続されている。
【0017】
ゲート絶縁膜GI、ゲートG、走査信号線SL1及びSL2、並びにキャパシタCの一方の電極は、図2に示す層間絶縁膜IIで被覆されている。層間絶縁膜IIは、例えばプラズマCVD法などにより成膜されたSiOxなどからなる。この層間絶縁膜IIの一部は、キャパシタCの誘電体層として利用する。
【0018】
層間絶縁膜II上には、図1に示すキャパシタCの他方の電極、図2に示すソース電極SE及びドレイン電極DE、並びに、図1に示す映像信号線DL及び電源線PSLが配置されている。これらは、同一工程で形成可能であり、例えば、Mo/Al/Moの三層構造を有している。
【0019】
ソース電極SE及びドレイン電極DEは、層間絶縁膜IIに設けられたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタのソース及びドレインに電気的に接続されている。
【0020】
映像信号線DLは、図1に示すように、各々がY方向に延びており、X方向に配列している。これら映像信号線DLは、映像信号線ドライバXDRに接続されている。
電源線PSLは、この例では、各々がY方向に延びており、X方向に配列している。
【0021】
ソース電極SE、ドレイン電極DE、映像信号線DL、電源線PSL、及びキャパシタCの他方の電極は、図2に示すパッシベーション膜PSで被覆されている。パッシベーション膜PSは、例えばSiNxなどからなる。
【0022】
パッシベーション膜PS上には、図2に示すように、前面電極として、光透過性の第1電極PEが互いから離間して並置されている。各第1電極PEは、画素電極であり、パッシベーション膜PSに設けた貫通孔を介して、スイッチSWaのドレイン電極DEに接続されている。
【0023】
第1電極PEは、この例では陽極である。第1電極PEの材料としては、例えば、ITO(indium tin oxide)のような透明導電性酸化物を使用することができる。
【0024】
パッシベーション膜PS上には、さらに、図2に示す隔壁絶縁層PIが配置されている。隔壁絶縁層PIには、第1電極PEに対応した位置に貫通孔が設けられているか、或いは、第1電極PEが形成する列又は行に対応した位置にスリットが設けられている。ここでは、一例として、隔壁絶縁層PIには、第1電極PEに対応した位置に貫通孔が設けられていることとする。
【0025】
隔壁絶縁層PIは、例えば、有機絶縁層である。隔壁絶縁層PIは、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
【0026】
第1電極PE上には、活性層として、発光層を含んだ有機物層ORGが配置されている。発光層は、例えば、発光色が赤色、緑色、又は青色のルミネセンス性有機化合物を含んだ薄膜である。この有機物層ORGは、発光層に加え、正孔注入層、正孔注入層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などもさらに含むことができる。
【0027】
隔壁絶縁層PI及び有機物層ORGは、第1電極に対向して配置された対向電極としての第2電極CEで被覆されている。第2電極CEは、画素PX間で互いに接続された共通電極であり、この例では背面電極として設けられた光反射性の陰極である。第2電極CEは、例えば、パッシベーション膜PSと隔壁絶縁層PIとに設けられたコンタクトホールを介して、映像信号線DLと同一の層上に形成された電極配線(図示せず)に電気的に接続されている。各々の有機EL素子OLEDは、第1電極PE、有機物層ORG及び第2電極CEで構成されている。
【0028】
絶縁基板SUB上では、複数の画素PXがマトリクス状に配列している。これら画素PXは、映像信号線DLと走査信号線SL1との交差部近傍に配置されている。
【0029】
各画素PXは、表示素子である有機EL素子OLEDと、駆動回路と、出力制御スイッチSWaとを含んでいる。この例では、駆動回路は、図1及び図3に示すように、駆動制御素子DRと、映像信号供給制御スイッチSWbと、ダイオード接続スイッチSWcと、キャパシタCとを含んでいる。上記の通り、この例では、駆動制御素子DR及びスイッチSWa乃至SWcは、pチャネル薄膜トランジスタである。スイッチSWb及びSWcは、駆動制御素子DRのドレインとゲートと映像信号線DLとの接続を、それらが互いに接続された第1状態と、それらが互いから切断された第2状態との間で切り替えるスイッチ群を構成している。
【0030】
駆動制御素子DRと出力制御スイッチSWaと有機EL素子OLEDとは、第1電源端子ND1と第2電源端子ND2との間で、この順に直列に接続されている。この例では、第1電源端子ND1は電源線PSLに接続された高電位電源端子であり、第2電源端子ND2は低電位電源端子である。
【0031】
出力制御スイッチSWaのゲートは、走査信号線SL1に接続されている。映像信号供給制御スイッチSWbは映像信号線DLと駆動制御素子DRのドレインとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL2に接続されている。ダイオード接続スイッチSWcは駆動制御素子DRのドレインとゲートとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL2に接続されている。
【0032】
キャパシタCは、定電位端子と駆動制御素子DRのゲートとの間に接続されている。この例では、キャパシタCは、第1電源端子ND1と駆動制御素子DRのゲートとの間に接続されている。
【0033】
表示パネルDP上には、映像信号線ドライバXDRが配置されている。映像信号線ドライバXDRは、図3に示すように、映像信号線DL毎に、電流源CSを含んでいる。さらに、映像信号線ドライバXDRは、マルチプレクサMLTと基準トランジスタTRrefとを含んでいる。
【0034】
マルチプレクサMLTは、クロック信号CLK、スタート信号START、シリアル信号としての映像信号DATAが入力される入力端子を含んでいる。さらに、マルチプレクサMLTは、電流源CS毎に複数の出力端子を含んでいる。マルチプレクサMLTは、クロック信号CLKとスタート信号DATAとに基づいて、シリアル信号としての映像信号DATAをパラレル信号に変換し、これを各電流源CSへと出力する。この例では、マルチプレクサMLTは、映像信号を7ビットのディジタル信号として、各電流源CSに出力する。
【0035】
基準トランジスタTRrefは、この例ではpチャネル電界効果トランジスタである。基準トランジスタTRrefのソースは抵抗素子Rを介して定電位端子ND1’に接続されており、そのドレインは接地線に接続されている。この表示装置の駆動時には、基準トランジスタTRrefのソース−ドレイン間に基準電流Irefを流す。
【0036】
電流源CSは、映像信号線ドライバXDRの出力端子,すなわち映像信号線DLに接続された端子,と接地線との間に接続されている。電流源CSは、マルチプレクサMLTがパラレル信号として出力するディジタル信号をアナログ信号へと変換する。この例では、電流源CSは、マルチプレクサMLTが出力する7ビットのディジタル映像信号から、電流信号としてのアナログ映像信号を生成する。
【0037】
電流源CSは、複数の定電流源TRdgtと複数のスイッチSWdgtとを含んでいる。定電流源TRdgtとスイッチSWdgtとは、それぞれ、映像信号線ドライバXDRの出力端子と接地線との間で直列に接続されている。この例では、電流源CSは、7つの定電流源TRdgtと7つのスイッチSWdgtとを含んでいる。また、この例では、定電流源TRdgt及びスイッチSWdgtは、pチャネル電界効果トランジスタである。
【0038】
定電流源TRdgtのゲートは、それぞれ、基準トランジスタTRrefのゲートに接続されている。スイッチSWdgtのゲートは、それぞれ、マルチプレクサMLTの出力端子に接続されている。
【0039】
定電流源TRdgtは、例えば、それらの1つが基準トランジスタTRrefと同一の構造を有しており、残りの6つがチャネル幅が異なること以外は基準トランジスタTRrefと同一の構造を有している。7つの定電流源TRdgtは、それらに接続されているスイッチSWdgtが閉じている間、例えば、基準電流Irefの1倍、2倍、4倍、8倍、16倍、32倍、64倍の大きさの定電流をそれぞれ出力する。
【0040】
表示パネルDP上には、走査信号線ドライバYDRがさらに配置されている。上記の通り、走査信号線ドライバYDRには、走査信号線SL1及びSL2が接続されている。
【0041】
映像信号線ドライバXDRと走査信号線ドライバYDRとは、コントローラCNTに接続されている。コントローラCNTは、映像信号線ドライバXDRと走査信号線ドライバYDRとに、クロック信号CLK、スタート信号START、映像信号DATAなどの信号を出力する。
【0042】
コントローラCNTは、この例では、6ビットの映像信号(以下、6ビット信号という)から7ビットの映像信号(以下、7ビット信号という)を生成し、これを映像信号DATAとして映像信号線ドライバXDRに出力する。すなわち、この例では、コントローラCNTは、64階調の映像信号から128階調の映像信号を生成し、これを映像信号DATAとして映像信号線ドライバXDRに出力する。
【0043】
具体的には、コントローラCNTは、全ての6ビット信号を、例えば、1フレーム期間又はそれよりも長い期間にわたって記憶する。そして、各々の画素PXに供給すべき映像信号Isigのための映像信号DATAを、以下の方法で生成する。
【0044】
まず、この映像信号Isigに対応した6ビット信号(以下、変換前信号という)を、先の画素PXに1フレーム期間前に供給した映像信号Isigに対応した6ビット信号(以下、比較用信号という)と比較する。より大きな信号がより高い階調に対応しているとすると、変換前信号が比較用信号と等しいか又はそれよりも小さい場合には、変換前信号を、これと大きさが等しい7ビット信号(以下、第1変換後信号という)へと変換する。変換前信号が比較用信号よりも大きい場合には、変換前信号を、これよりも大きな7ビット信号(以下、第2変換後信号という)へと変換する。
【0045】
比較用信号よりも大きな変換前信号は、例えば、以下のように変換する。比較用信号が000000乃至001010(10進法で0乃至10)であり且つ変換前信号が000001乃至010100(10進法で1乃至20)である場合、第2変換後信号の大きさは変換前信号の1.5倍にほぼ等しくする。比較用信号が000000乃至001010であり且つ変換前信号が010101乃至101110(10進法で21乃至46)である場合、第2変換後信号の大きさは変換前信号の1.4倍にほぼ等しくする。比較用信号が000000乃至001010であり且つ変換前信号が101111乃至111111(10進法で47乃至63)である場合、及び、比較用信号が001011乃至010100(10進法で11乃至20)であり且つ変換前信号が001100乃至101110(10進法で12乃至46)である場合、第2変換後信号の大きさは変換前信号の1.3倍にほぼ等しくする。比較用信号が001011乃至010100であり且つ変換前信号が101111乃至111111である場合、及び、比較用信号が010101乃至111110(10進法で21乃至62)であり且つ変換前信号が010110乃至101110(10進法で22乃至46)である場合、第2変換後信号の大きさは変換前信号の1.2倍にほぼ等しくする。比較用信号が010101乃至111110であり且つ変換前信号が101111乃至111111である場合、第2変換後信号の大きさは変換前信号の1.1倍にほぼ等しくする。
【0046】
この有機EL表示装置は、例えば、以下の方法により駆動する。
図4は、図1乃至図3に示す表示装置の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。図4には、画素PXがM個の行を形成している場合の駆動方法を描いており、横軸は時間を示し、縦軸は電位を示している。
【0047】
図4において、「XDR出力」のうち、「Isigm」と表記した期間は映像信号線ドライバXDRが映像信号線DLに映像信号Isigmを出力する期間を示している。また、図4において、「SL1電位」及び「SL2電位」で示す波形は走査信号線SL1及びSL2の電位をそれぞれ示している。
【0048】
この駆動方法では、ブランキング期間と有効走査期間とを交互に繰り返す。ブランキング期間では、全ての画素PXで、スイッチSWb及びSWcは開いたままとしておく。有効走査期間では、画素PXを行毎に選択する。各画素PXの選択期間では書込動作を行い、非選択期間では表示動作を行う。
【0049】
例えば、m行目の画素を選択している期間(以下、m行目選択期間という)では、まず、m行目の画素PXのスイッチSWaを開く。次いで、マルチプレクサMLTから各電流源CSに7ビットのディジタル映像信号を出力すると共に、m行目の画素PXのスイッチSWb及びSWcを閉じる。なお、7ビットのディジタル映像信号は、上記の第1又は第2変換後信号をシリアル信号からパラレル信号へと変換したものである。
【0050】
電流源CSは、ディジタル映像信号をアナログ映像信号としての書込電流Isigmに変換する。この書込電流Isigmは、第1電源端子ND1から電流源CSへと流れる。これにより、駆動制御素子DRのゲート電位を、駆動制御素子DRのソース−ドレイン間に書込電流Isigmが流れるときの値に設定する。
【0051】
その後、スイッチSWb及びSWcを開く。さらに、スイッチSWaを閉じることにより、m行目選択期間を終了する。
【0052】
スイッチSWaを閉じると、有機EL素子OLEDには、書込電流Isigmに対応した大きさの駆動電流Idrvmが流れる。非選択期間では、スイッチSWaは閉じたままとする。したがって、各画素PXの有機EL素子OLEDは、その画素PXが次に選択されるまで、駆動電流Idrvmの大きさに対応した輝度で発光し続ける。
【0053】
さて、この駆動方法によれば、或る階調を表示している画素PXに、それよりも高い階調に対応した映像信号を書き込んだ場合に、この映像信号を書き込んだ直後の非選択期間で階調再現性が不十分となるのを防止することができる。これについて、図5及び図6を参照しながら説明する。
【0054】
図5は、比較例に係る駆動方法を示すタイミングチャートである。図6は、本発明の一態様に係る駆動方法を示すタイミングチャートである。図中、横軸は時間を示し、縦軸は電位と電流値と輝度とを示している。
【0055】
図5及び図6には、m行目の或る画素PXに供給する走査信号及び映像信号と、その画素PXの輝度とを描いている。また、図5及び図6には、第Nフレームと第N+3フレームとで階調TLを表示し、第N+1フレームと第N+2フレームとで階調TLよりも高い階調THを表示する例を示している。
【0056】
図5の駆動方法は、比較用信号に対する変換前信号の大きさに拘らず、各変換前信号(6ビットの映像信号)をこれと大きさが等しい変換後信号(7ビットの映像信号)へと変換する。これ以外は、図5の駆動方法は、図4を参照しながら説明した駆動方法と同様である。
【0057】
この駆動方法では、第Nフレームにおいてm行目の画素PXに書き込む映像信号Isigmは、第N+3フレームにおいてm行目の画素PXに書き込む映像信号Isigmと等しい。また、第N+1フレームにおいてm行目の画素PXに書き込む映像信号Isigmは、第N+2フレームにおいてm行目の画素PXに書き込む映像信号Isigmと等しい。そして、第Nフレームにおいて映像信号を書き込んだ直後の非選択期間、第N+2フレームにおいて映像信号を書き込んだ直後の非選択期間、第N+3フレームにおいて映像信号を書き込んだ直後の非選択期間の何れにおいても、十分な階調再現性を達成している。
【0058】
しかしながら、この駆動方法では、理由が明らかにされている訳ではないが、先の画素PXは、第N+2フレームにおけるm行目選択期間を終了するまで、階調THに対応した輝度で発光しない。すなわち、第N+1フレームにおけるm行目選択期間を終了してから第N+2フレームにおけるm行目選択期間を開始するまでの間、先の画素PXは階調THに対応した輝度と比較してより低い輝度で発光する。例えば、先の画素PXは、第N+1フレームで映像信号Isigmを書き込んだ直後の非選択期間では、第N+2フレームで映像信号Isigmを書き込んだ直後の非選択期間の50乃至80%の輝度で発光する。
【0059】
このように、図5の方法では、階調TLを表示している画素PXに、それよりも高い階調THに対応した映像信号を書き込んだ場合に、この映像信号を書き込んだ直後の非選択期間で階調再現性が不十分となる。
【0060】
これに対し、図6の駆動方法では、第N+1フレームにおいてm行目の画素PXに書き込む映像信号Isigmを、第N+2フレームにおいてm行目の画素PXに書き込む映像信号Isigmと比較してより大きくする。したがって、第N+1フレームにおいてm行目の画素PXに書き込む映像信号Isigmの大きさを適宜設定することにより、第N+1フレームにおけるm行目選択期間を終了してから第N+2フレームにおけるm行目選択期間を開始するまでの間、先の画素PXを階調THに対応した輝度で発光させることができる。すなわち、上記の階調再現性が不十分となるのを防止することができる。
【0061】
このように、本態様では、画素PXが、第1非選択期間で第1階調を表示し、その次の第2非選択期間で第1階調と等しいか又はそれよりも低い第2階調を表示する場合には、第1非選択期間と第2非選択期間との間の第1選択期間で映像信号として第1映像信号を前記駆動回路に書き込む。そして、画素PXが、第1非選択期間で第2階調よりも低い第3階調を表示し、第2非選択期間で第2階調を表示する場合には、第1選択期間で映像信号として第1映像信号と比較してより大きい第2映像信号を駆動回路に書き込む。これにより、或る階調TLを表示している画素PXに、それよりも高い階調THに対応した映像信号を書き込んだ場合に、この映像信号を書き込んだ直後の非選択期間で階調再現性が不十分となるのを防止する。
【0062】
この駆動方法では、或る階調TLを表示している画素PXで、それよりも高い階調THを複数の非選択期間にわたって表示させる場合、典型的には、映像信号Isigmを以下のように設定する。すなわち、階調THに対応した映像信号を書き込む最初の選択期間においてのみ映像信号Isigmをより大きくし、それ以降の選択期間で書き込む映像信号Isigmは本来の大きさとする。
【0063】
この駆動方法では、或る階調TLを表示している画素PXで、それよりも高い階調THを表示させる場合、例えば、以下のように変換前信号から変換後信号への変換を行う。すなわち、階調TLが高くなるほど、変換前信号に対する変換後信号の比をより小さくする。また、階調TLが一定の条件のもとでは、階調THが高くなるほど、変換前信号に対する変換後信号の比をより小さくする。
【0064】
本態様では、画素PXに図1及び図3の構造を採用したが、画素PXには他の構造を採用することも可能である。例えば、ダイオード接続スイッチSWcは、駆動制御素子DRのドレインとゲートとの間に接続する代わりに、駆動制御素子DRのゲートと映像信号線DLとの間に接続してもよい。或いは、映像信号供給制御スイッチSWbは、駆動制御素子DRのドレインと映像信号線DLとの間に接続する代わりに、駆動制御素子DRのゲートと映像信号線DLとの間に接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一態様に係る表示装置を概略的に示す平面図。
【図2】図1の表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す部分断面図。
【図3】図1の表示装置の一部を示す等価回路図。
【図4】図1乃至図3に示す表示装置の駆動方法の一例を示すタイミングチャート。
【図5】比較例に係る駆動方法を示すタイミングチャート。
【図6】本発明の一態様に係る駆動方法を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0066】
C…キャパシタ、CE…対向電極、CNT…コントローラ、CS…電流源、DE…ドレイン電極、DL…映像信号線、DP…表示パネル、DR…駆動制御素子、G…ゲート、GI…ゲート絶縁膜、II…層間絶縁膜、MLT…マルチプレクサ、ND1…電源端子、ND1’…定電位端子、ND2…電源端子、OLED…有機EL素子、ORG…有機物層、PE…画素電極、PI…隔壁絶縁層、PS…パッシベーション膜、PSL…電源線、PX…画素、R…抵抗素子、SC…半導体層、SE…ソース電極、SL1…走査信号線、SL2…走査信号線、SUB…絶縁基板、SWa…スイッチ、SWb…スイッチ、SWc…スイッチ、SWdgt…スイッチ、TRdgt…定電流源、TRref…基準トランジスタ、UC…アンダーコート層、XDR…映像信号線ドライバ、YDR…走査信号線ドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号線と、
映像信号を出力する電流源と、
第1電源端子に接続されると共に入力信号に対応した大きさの駆動電流を出力する駆動回路と、画素電極と第2電源端子に接続された対向電極とそれらの間に介在した活性層とを備えた表示素子とを含んだ画素とを具備し、
各選択期間において、前記映像信号線を介して前記電流源と前記駆動回路とを接続して前記駆動回路に前記入力信号として前記映像信号を書き込む書込動作を行い、
各非選択期間において、前記駆動回路と前記画素電極とを接続して前記駆動電流を前記表示素子に流す表示動作を行い、
前記画素が、第1非選択期間で第1階調を表示し、その次の第2非選択期間で前記第1階調と等しいか又はそれよりも低い第2階調を表示する場合には、前記第1非選択期間と前記第2非選択期間との間の第1選択期間で前記映像信号として第1映像信号を前記駆動回路に書き込み、
前記画素が、第1非選択期間で前記第2階調よりも低い第3階調を表示し、前記第2非選択期間で前記第2階調を表示する場合には、前記第1選択期間で前記映像信号として第1映像信号と比較してより大きい第2映像信号を前記駆動回路に書き込むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画素が、前記第1非選択期間で前記第3階調を表示し、前記第2非選択期間で前記第2階調を表示し、その次の第3非選択期間で前記第2階調を表示する場合には、前記第1選択期間で前記映像信号として前記第2映像信号を前記駆動回路に書き込み、前記第2非選択期間と前記第3非選択期間との間の第2選択期間で前記映像信号として前記第1映像信号を前記駆動回路に書き込むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画素が、前記第1非選択期間で前記第1階調を表示し、前記第2非選択期間で前記第1階調と等しいか又はそれよりも低く且つ前記第2階調よりも高い第4階調を表示する場合には、前記第1選択期間において前記映像信号として第3映像信号を前記駆動回路に書き込み、
前記画素が、前記第1非選択期間で前記第3階調を表示し、前記第2非選択期間で前記第4階調を表示する場合には、前記第1選択期間において前記映像信号として第3映像信号と比較してより大きい第4映像信号を前記駆動回路に書き込み、
前記第3映像信号の大きさに対する前記第4映像信号の大きさの比は、前記第1映像信号の大きさに対する前記第2映像信号の大きさの比と比較してより小さいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
映像信号線と、
映像信号を出力する電流源と、
第1電源端子に接続されると共に入力信号に対応した大きさの駆動電流を出力する駆動回路と、画素電極と第2電源端子に接続された対向電極とそれらの間に介在した活性層とを備えた表示素子とを含み、前記駆動回路は、選択期間において前記映像信号線を介して前記電流源に接続されて前記入力信号として前記映像信号が書き込まれ、各非選択期間において前記画素電極に接続されて前記駆動電流を前記表示素子に出力する画素と、
第1非選択期間で前記画素が表示すべき第1階調と、その次の第2非選択期間で前記画素が表示すべき第2階調とを比較し、前記第2階調が前記第1階調と等しいか又はそれよりも低い場合には前記第1非選択期間と前記第2非選択期間との間の第1選択期間において前記電流源に前記映像信号として第1映像信号を出力させ、前記第2階調が前記第1階調よりも高い場合には前記第1選択期間において前記電流源に前記映像信号として前記第1映像信号と比較してより大きな第2映像信号を出力させるコントローラとを具備したことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
映像信号線と、映像信号を出力する電流源と、第1電源端子に接続されると共に入力信号に対応した大きさの駆動電流を出力する駆動回路と、画素電極と第2電源端子に接続された対向電極とそれらの間に介在した活性層とを備えた表示素子とを含んだ画素とを具備した表示装置の駆動方法であって、
各選択期間において、前記映像信号線を介して前記電流源と前記駆動回路とを接続して前記駆動回路に前記入力信号として前記映像信号を書き込む書込動作を行い、
各非選択期間において、前記駆動回路と前記画素電極とを接続して前記駆動電流を前記表示素子に流す表示動作を行い、
前記画素が、第1非選択期間で第1階調を表示し、その次の第2非選択期間で前記第1階調と等しいか又はそれよりも低い第2階調を表示する場合には、前記第1非選択期間と前記第2非選択期間との間の第1選択期間で前記映像信号として第1映像信号を前記駆動回路に書き込み、
前記画素が、第1非選択期間で前記第2階調よりも低い第3階調を表示し、前記第2非選択期間で前記第2階調を表示する場合には、前記第1選択期間で前記映像信号として第1映像信号と比較してより大きい第2映像信号を前記駆動回路に書き込むことを特徴とする駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−114287(P2007−114287A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303106(P2005−303106)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】