表示装置及び表示方法
【課題】複数行に対して同時にアドレスを行いながら、画像全体としての誤差を最小にし、画質の向上を確実に実現する。
【解決手段】表示装置1は、ブロック毎の選択パターンを定義した選択パターンテーブル13を備える。表示装置1のデータ決定部3は、ブロック毎に、データ変換テーブル12を用いて、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差がブロック内の画像データ全体として最小になるように、かつ、同じ重みの所定のSFについて隣接する行のビット値が同じになるように、表示用の画像データを決定する。データ決定部3は、表示用の画像データを複数決定した場合、選択パターンテーブル13を用いて、当該ブロックの選択パターンを抽出し、抽出した選択パターンに基づいて、複数の表示用の画像データから1個の表示用の画像データを選択する。
【解決手段】表示装置1は、ブロック毎の選択パターンを定義した選択パターンテーブル13を備える。表示装置1のデータ決定部3は、ブロック毎に、データ変換テーブル12を用いて、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差がブロック内の画像データ全体として最小になるように、かつ、同じ重みの所定のSFについて隣接する行のビット値が同じになるように、表示用の画像データを決定する。データ決定部3は、表示用の画像データを複数決定した場合、選択パターンテーブル13を用いて、当該ブロックの選択パターンを抽出し、抽出した選択パターンに基づいて、複数の表示用の画像データから1個の表示用の画像データを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のマトリクス型表示装置及び表示方法に関し、特に、画像データを表示するフィールドを複数のサブフィールドに分割し、これらの複数のサブフィールドを足し合わせて階調表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マトリクス状に配置された電極に電圧を印加することにより、水平方向(行方向)及び垂直方向(列方向)に多数配置された画素を選択して発光させるマトリクス型表示装置が知られている。この表示装置は、画像データを表示するための時間に相当するフィールドを複数のサブフィールド(以下、「SF」という。)に時間的に分割し、分割したそれぞれのSFの表示時間に重み付けをし、これらのSFを足し合わせて(時間積分して)画像表示する。これにより、人の眼に映る画像の時間的な積分作用によって、階調表示を実現することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、表示パネルに256階調の画像表示を行うために、1フィールドを8つのSFに分割し、1,2,4,8,16,32,64,128の重み付けを各SFに持たせ、これらのSFを足し合わせることにより画像表示を行う表示装置(第1の表示装置)が記載されている。
【0004】
この第1の表示装置は、1画素あたり8ビットの画像データを、表示パネルに256階調表示するにあたり、8ビットの画像データをSF1〜SF8までの8種類の2値の画像データに変換する。そして、変換した2値の画像データに従って、SF1〜SF8の処理をそれぞれ行うことにより、256階調の画像表示を行う。
【0005】
図12は、従来の第1の表示装置におけるSF毎の画像データを説明する図である。表示パネルを構成する各画素において、8ビットの画像データがSF1〜SF8毎の2値の画像データに変換され、変換された画像データが表示のためにそのまま用いられる。図12には、各行の所定列の画素におけるSF1〜SF8の2値の画像データが示されている。
【0006】
図13は、従来の第1の表示装置における駆動タイミングを説明する図である。図13に示すように、行及び列により特定される8ビットの画像データは、1フィールドの処理によって、256階調表示される。1フィールドは、SF1〜SF8の8つのSFに分割され、各SFは、アドレス期間a1〜a8及び表示期間b1〜b8により構成される。アドレス期間a1〜a8は、発光させる画素を選択するための処理が行われる期間であり、全て同じ時間長である。表示期間b1〜b8は、アドレス期間a1〜a8により選択された画素を、重みに応じて所定時間分発光させるための処理が行われる期間であり、表示期間b1が最も短い時間長であり、表示期間b8が最も長い時間長である。
【0007】
8ビットの画像データが変換されたSF1〜SF8の2値の画像データにより、その画素は、その重みに応じて表示期間b1〜b8の所定時間分発光する。例えば、8ビットの画像データがSF1〜SF8の2値の画像データ(「10100100」:左側が下位ビット、右側が上位ビットとする。以下、同じ。)に変換された場合、その画素は、SF1のアドレス期間a1において選択され、表示期間b1が実行されて、その時間分発光する。そして、SF3,6のアドレス期間a3,a6において選択され、同様に表示期間b3,b6が実行されて、その時間分発光する。SF2,SF4,SF5,SF7,SF8では画素は選択されないから発光しない。このようにして、その画素は、SF1,SF3,SF6における時間分発光することにより、階調表示がなされる。
【0008】
図14は、SFを構成するアドレス期間及び表示期間を説明する図である。横軸は経過時間を示しており、縦軸は、経過時間に対するアドレス電極パルス、走査電極パルス及び維持電極パルスを示しており、これらのパルスはそれぞれの画素の電極に印加される。アドレス期間において、列数nの画素に対応するアドレス電極パルスが、所定のパルス幅にて、行毎に印加される。画素を発光させる場合にはアドレス電極パルスが印加され、発光させない場合には印加されない。また、行数Mの画素に対応する走査電極パルス0〜M−1が、アドレス電極パルスと同じパルス幅にてそれぞれ印加される。アドレス電極パルスと走査電極パルスとが同時に印加された画素では、セルが放電して発光する。放電したセルでは、電極を覆う誘電体上に電荷が蓄積しており、その後の一定期間内であれば、再び放電を発生させることができる。
【0009】
一方、表示期間において、行数Mの画素に対応する走査電極パルスと維持電極パルスが交互に印加される。これにより、セルでは放電と充電が繰り返されて発光が継続する。図13に示した表示期間b1〜b8は、この繰り返しの数によって時間長が異なっている。
【0010】
このように、行数M及び列数Nの画素により構成される表示パネルにおいて、各SFは、1行同時アドレスであり、1アドレス期間で1行のデータが書き込まれる。しかしながら、この第1の表示装置では、行数が増加したり、表示するビット数が多くなったりすると、アドレスの回数が増えてアドレス時間が長くなり、充分なアドレスパルス幅を取ることができなくなる。また、輝度が低下したり、フレームレートが低下したりする問題の他、アドレス電極パルスの電力が増加する等の問題がある。
【0011】
このような第1の表示装置の問題を解決するために、所定のSFにおいて、連続する複数行のデータを同値にし、複数行を同時にアドレスして1アドレス期間で複数行のデータを書き込むことにより、マルチラン同時走査駆動にて画像表示を行う表示装置(第2の表示装置)が知られている。この第2の表示装置によれば、アドレス期間を短縮することができるから、前述の問題を解決することができる。しかしながら、トレードオフとして、入力データである元の画像データと表示データである表示用の画像データとの間で誤差が生じ、画質が劣化するという問題があった。
【0012】
このような第2の表示装置の問題を解決するために、例えば、非特許文献1の表示装置(第3の表示装置)が知られている。この第3の表示装置は、実用的な処理時間の範囲で、隣接する所定行数の画像データを単位として、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が最小になるように、SF内で垂直方向に隣接する複数行を同じ値に設定し、複数行を同時にアドレスするマルチラン同時走査駆動を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3259253号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】薄井武順、他5名、「PDPのマルチライン同時走査駆動法における画素値決定法に関する検討」、映像情報メディア学会2010年冬季大会講演予稿集、社団法人映像情報メディア学会、平成22年11月26日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述した第3の表示装置では、複数行を同時にアドレスし、1アドレス期間で複数行のデータを書き込むから、アドレス期間を短くすることができる。また、隣接する所定行数の画像データを単位として、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差を最小にするから、表示画像全体として画質を向上させることができる。
【0016】
しかしながら、第3の表示装置では、誤差が最小となる表示用の画像データが必ずしも1個のみに特定されるとは限らず、複数の候補が特定される場合がある。非特許文献1には、第3の表示装置についてテーブルを用いた表示用の画像データの特定手法について記載されているが、誤差が最小となる表示用の画像データの候補が複数特定された場合の処理については何ら言及していない。非特許文献1では、複数の表示用の画像データの候補から1個の表示用の画像データを決定する手法は明らかでないが、場合によっては、表示画像全体として画質の向上の実現が不十分になり、画質の劣化が顕著になることもあり得る。
【0017】
本願の発明者らの実験(コンピュータシミュレーション)によれば、非特許文献1に記載された第3の表示装置において、隣接する4行の画像データを単位とした場合に、表示画像全体のうちの約30%について、誤差が最小となる表示用の画像データの候補が複数特定されることがあり得るという実験結果を得た。この場合の表示画像は、約30%の画像領域内で、例えば人の髪の毛の色が赤くなったりして、画質の劣化が見られた。このような結果を踏まえ、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差を最小化する際に、表示用の画像データの候補が複数特定された場合であっても、表示画像全体として画質の向上を確実に実現し、画質の劣化を抑えることが可能な表示装置が望まれていた。
【0018】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数行に対して同時にアドレスを行いながら、画像全体としての誤差を最小にし、画質の向上を確実に実現可能な表示装置及び表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するために、本発明による表示装置は、行方向及び列方向に配列した複数の画素を階調表示する際に、前記画素についての元の画像データを、ビット位置を示すサブフィールド毎のビット値からなる表示用画像データに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を、前記ビット位置の重みに応じた時間分前記ビット値に基づいて発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記表示用画像データに従って前記階調表示を行う表示装置において、所定行数の複数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロックにおいて複数の前記元の画像データと複数の前記表示用画像データとの間の誤差が最小になり、かつ、所定のサブフィールドについて、前記所定行数内で連続する複数行のビット値が同じになるように、前記階調表示を行う表示用画像データを決定するデータ決定部と、前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するドライバ部と、を備え、前記データ決定部が、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による表示装置は、前記データ決定部が、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、所定のブロックの表示用画像データと前記所定のブロックに対して上下左右に位置する隣接ブロックの表示用画像データとが異なるように、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明による表示装置は、前記データ決定部が、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、各ブロックの表示用画像データがランダムになるように、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明による表示方法は、行方向及び列方向に配列した複数の画素を階調表示する際に、前記画素についての元の画像データを、ビット位置を示すサブフィールド毎のビット値からなる表示用画像データに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を、前記ビット位置の重みに応じた時間分前記ビット値に基づいて発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記表示用画像データに従って前記階調表示を行う方法において、所定行数の複数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロックにおいて複数の前記元の画像データと複数の前記表示用画像データとの間の誤差が最小になり、かつ、所定のサブフィールドについて、前記所定行数内で連続する複数行のビット値が同じになるように、前記階調表示を行う表示用画像データを決定するステップと、前記ステップにて、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択するステップと、前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、同時走査を行う隣接する所定行数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロック内において元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差を最小にする際に、対象となる表示用の画像データが複数存在する場合、予め設定されたブロック毎の選択条件に従って、同様の誤差を有する表示用の画像データが分散するように、複数の中から1個の表示用の画像データを選択するようにした。これにより、複数行に対して同時にアドレスを行いながら、画像全体としての誤差を最小にし、画質の向上を確実に実現することができ、画質の劣化を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】駆動タイミングを説明する図である。
【図3】アドレス期間について説明する図である。
【図4】データ決定部により決定される、SF毎の表示用の画像データを説明する図である。
【図5】データ変換テーブルの構成を示す図である。
【図6】選択パターンテーブルの構成を示す図である。
【図7】データ決定部のアルゴリズムの概要を説明する図である。
【図8】データ決定部の処理を示すフローチャートである。
【図9】データ決定部による表示用の画像データY1〜Y4を特定する処理(ステップS808)の詳細を示すフローチャートである。
【図10】データ決定部のアルゴリズムの具体例1(誤差が最小となる表示用の画像データY1〜Y4が1個決定された場合)を説明する図である。
【図11】データ決定部のアルゴリズムの具体例2(誤差が最小となる表示用の画像データY1〜Y4が複数個決定された場合)を説明する図である。
【図12】従来の第1の表示装置におけるSF毎の画像データを説明する図である。
【図13】従来の第1の表示装置における駆動タイミングを説明する図である。
【図14】従来の第1の表示装置におけるSFを構成するアドレス期間及び表示期間を説明する図である。
【図15】RGBの画像データに対するSSIM(Structural SIMilarity)による画質評価結果を示す図である。
【図16】YUVの画像データに対するSSIMによる画質評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔本発明の概要〕
本発明の実施形態による表示装置は、PDP等の直交する行電極及び列電極により画素を選択するマトリクス型表示装置において、元の画像データをビット毎のデータに変換して表示用の画像データであるSF毎のデータを生成し、画素を選択するアドレス期間と、選択した画素をビットの重みに応じた時間分発光させる表示期間とからなるサイクルによって、SFの処理を時間的に重ねる(積分する)ことで、画像データの階調表示を行う。そして、アドレス期間を短縮するために、連続する複数行において、所定のSFの画像データを同値に設定し、その複数行に対して同時走査を行う。画質の劣化を抑えるために、同時走査を行う隣接する所定行数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロック内において元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が最小になるように、予め設定されたデータ変換テーブルを用いて、表示用の画像データを決定する。ここで、表示用の画像データの候補が存在する場合、予め設定された選択パターンテーブルを用い、そのブロックの選択パターン(選択条件)に基づいて、同様の誤差(プラス側の誤差またはマイナス側の誤差)を有する表示用の画像データが分散するように、複数の候補から1個の表示用の画像データを選択する。これにより、表示画像全体として誤差が偏ることなく分散するようになるから、画質の向上を確実に実現することができ、画質の劣化を抑えることが可能となる。
【0026】
このデータ変換テーブルは、元の画像データと、複数行同時走査を行うSFのビット値との間の全ての組合せにおいて、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が前もって計算され、それらの全ての組合せのデータが収納されたテーブルである。表示装置は、表示用の画像データを決定する際に、この予め設定されたデータ変換テーブルを参照することにより、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差を瞬時に導出し、誤差を比較する。そして、誤差が最も小さい組合せを特定し、その組合せにおける表示用の画像データを特定する。
【0027】
また、選択パターンテーブルは、ブロック毎に選択パターンが定義されたテーブルである。表示装置は、誤差が最小となる表示用の画像データの候補を複数決定した場合、選択パターンテーブルにおける当該ブロックの選択パターンを参照することにより、複数の候補から1個の表示用の画像データを選択する。つまり、表示装置は、元の画像データと表示用の画像データとの間の組合せの候補を複数特定した場合、複数の候補から1個の組合せを選択する。
【0028】
〔表示装置の構成〕
まず、本発明の実施形態による表示装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。この表示装置1は、M行×N列に配列した画素を備えたPDP等のマトリクス型表示装置であり、サブフィールド変換部2、データ決定部3、フレームメモリ4、タイミングパルス発生部5、表示パネル6、データドライバ7、維持ドライバ8、アドレス電極9、走査電極10、維持電極11、データ変換テーブル12及び選択パターンテーブル13を備えている。尚、図1において、走査電極10と維持電極11とは別の電極であるが、説明を簡単にするために、便宜上同じ電極として示している。
【0029】
サブフィールド変換部2は、1画素あたり8ビットの画像データを1画素毎に入力し、これを表示パネル6に28=256階調で表示するために、最下位ビットから最上位ビットまで、それぞれのビットのみからなる8種類の2値の画像データ(ビット値)に変換し、SF1〜SF8におけるSF毎の2値の画像データをデータ決定部3に出力する。サブフィールド変換部2による変換処理は、タイミングパルス発生部5により発生するタイミング信号に基づいて行われる。
【0030】
データ決定部3は、サブフィールド変換部2から、1画素の画像データ(元の画像データ)としてSF1〜SF8におけるSF毎の2値の画像データを入力する。ここで、同時走査を行う隣接する所定行数の画像データが予め1ブロックとして設定され、データ決定部3は、ブロック毎に処理を行う。データ決定部3は、ブロック毎に、データ変換テーブル12を用いて、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差がブロック内の画像データ全体として最小になるように(当該ブロックにおいて複数の元の画像データと複数の表示用画像データとの間の誤差がブロック内の画像データ全体として最小になるように)かつ、同じ重みの所定のSFについて隣接する行のビット値が同じになるように、元の画像データを表示用の画像データに変換し、すなわち、8ビットの元の画像データをSF1〜SF8までの表示用の画像データに振り分けることで、表示用の画像データに変換し、ブロック内の表示用の画像データをそれぞれ決定する。そして、データ決定部3は、決定した表示用の画像データが1個の場合、その表示用の画像データをSF1〜SF8における2値の画像データとしてフレームメモリ4にそれぞれ格納する。例えば、データ決定部3は、画像データの変換の際に、後述する図4のように、4m〜4m+3行において、表示用の画像データの重みが小さいSF1,SF2について、ビット値が同じd1,d2になるように設定し、SF3,4について、4m,4m+1行ではビット値が同じd3,d4になるように、4m+2,4m+3行でもビット値が同じd5,d6になるように、それぞれ設定する。データ決定部3による決定処理は、タイミングパルス発生部5により発生するタイミング信号に基づいて行われる。データ変換テーブル12を参照して元の画像データを表示用の画像データに変換するデータ決定部3の処理の詳細については後述する。
【0031】
また、データ決定部3は、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が全体として最小になるように、かつ、同じ重みの所定のSFについて隣接する行のビット値が同じになるように、ブロック内の表示用の画像データをそれぞれ決定したときに、決定した表示用の画像データが1個ではなく複数存在する場合(同じ誤差を有する複数の表示用の画像データが存在する場合)、選択パターンテーブル13を用いて、そのブロックの選択パターンを特定し、特定した選択パターンに基づいて、1個の表示用の画像データを選択し、選択した表示用の画像データをSF1〜SF8における2値の画像データとしてフレームメモリ4にそれぞれ格納する。すなわち、データ決定部3は、元の画像データとの間の誤差が最小となる表示用の画像データを複数決定した場合、そのブロックの選択パターンに基づいて、1個の表示用の画像データを選択する。このような選択は、複数の表示用の画像データが決定された全てのブロックに対して行われ、選択パターンテーブル13には、ブロック毎に選択パターンが定義されている。
【0032】
フレームメモリ4には、データ決定部3により、SF1〜SF8におけるSF毎の2値の画像データ(表示用の画像データ/1画素分の画像データ)が格納され、M行×N列の画素からなる1画面のフレームを単位にして画像データを記憶する。また、フレームメモリ4から、データドライバ7により、SF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の画像データが1フレーム毎に読み出される。フレームメモリ4による処理は、タイミングパルス発生部5により発生するタイミング信号に基づいて行われる。
【0033】
タイミングパルス発生部5は、1画素あたり8ビットの画像データを入力し、その入力タイミングに従って、サブフィールド変換部2、データ決定部3、フレームメモリ4、データドライバ7及び維持ドライバ8がそれぞれの処理を行うためのタイミング信号を発生する。
【0034】
表示パネル6は、2枚のガラス板、アドレス電極9、走査電極10、維持電極11等を備えており、2枚のガラス板及び隔壁で仕切られた空間の放電セルが、水平方向(行方向)及び垂直方向(列方向)に配列された複数の画素として構成されている。放電セルには希ガスが封入されている。SFのアドレス期間において、データドライバ7によりアドレス電極9に電圧が加わると共に、維持ドライバ8により走査電極10に電圧が加わると、放電が起こって紫外線が発生する。隔壁には蛍光体が塗布されており、紫外線によって蛍光体が励起され、画素が発光する。また、表示期間において、維持ドライバ8により走査電極10及び維持電極11に交互に電圧が加わると、放電と充電とを繰り返し、画素の発光が表示期間の時間分継続する。尚、蛍光体の発光色は放電セル毎に赤、緑及び青に塗り分けられており、画像データに応じて放電セルの画素が選択され、カラー表示が行われる。
【0035】
データドライバ7は、フレームメモリ4から、SF1〜SF8におけるSF毎の2値の画像データを1フレーム分読み出す。そして、SFを構成するアドレス期間において、SF毎の2値の画像データに従い、行毎かつSF毎に、駆動パルス(アドレス電極パルス)をアドレス電極9に印加する。具体的には、データドライバ7は、SF1のアドレス期間において、SF1の1行目/各列の画像データに従い、それぞれのアドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。そして、SF1の2行目〜M行目についても同様の処理を順次行う。また、SF2〜SF8のアドレス期間においても、1行目〜M行目について同様の処理を順次行う。アドレス電極パルスの印加により、発光させる画素が選択される。
【0036】
本発明の実施形態では、データドライバ7は、データ決定部3により同じ2値の画像データが設定されたSFにおける複数行に対し、同じタイミングのアドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。これにより、複数行を同時に走査することから、アドレス電極9に印加するアドレス電極パルスの数を減らすことができる。すなわち、アドレス走査の数を減らすことができ、アドレス期間を短くすることができると共に、アドレス電極パルスの電力を削減することができる。
【0037】
維持ドライバ8は、SFを構成するアドレス期間において、予め設定されたタイミングにて、行毎に駆動パルス(走査電極パルス)を走査電極10に印加する。これにより、データドライバ7からのアドレス電極パルスが同時に印加された場合、発光させる画素が選択される。また、維持ドライバ8は、SFを構成する表示期間において、SF毎に異なる回数の走査電極パルスを走査電極10に印加すると共に、走査電極パルスと対になる駆動パルス(維持電極パルス)を維持電極11に印加する。走査電極パルス及び維持電極パルスは、交互に繰り返して印加され、ビットの重みが小さい側のSFほど繰り返し回数が少なく、表示期間の時間が短くなる。
【0038】
本発明の実施形態では、維持ドライバ8は、データ決定部3により同じ2値の画像データが設定されたSFにおける複数行に対し、それぞれの走査電極パルスを同じタイミングで走査電極10に印加する。これにより、複数行を同時に走査するから、アドレス走査の数を減らすことができ、アドレス期間を短くすることができる。
【0039】
データドライバ7により印加されるアドレス電極パルス、及び維持ドライバ8により印加される走査電極パルスが同時に放電セルに与えられると、放電が起こって蛍光体が励起され、画素が発光する。これにより、アドレス期間が実行される。そして、表示期間において、維持ドライバ8により印加される走査電極パルス及び維持電極パルスが交互に放電セルに与えられると、放電と充電とが繰り返され、画素の発光が継続する。これにより、表示期間が実行される。このように、SFの2値の画像データに従ってアドレス期間が実行され、アドレス期間が実行されて選択された画素は、SFの重みに応じた時間長の表示期間を実行して発光する。そして、SF1からSF8までのSFを実行することにより、画像データに応じた256階調の表示を行うことができる。
【0040】
〔駆動タイミング〕
次に、駆動タイミングについて説明する。図2は、図1に示した表示装置1における駆動タイミングを説明する図であり、図3は、図2に示したSFを構成するアドレス期間について説明する図である。表示装置1は、後述する図4に示すように、8ビットの画像データを表示する際に、8ビットの階調を1,2,4,8,16,32,64,128の重みを持つSF1〜SF8で表示する場合、4行(4m〜4m+3行目)の画像データを1ブロックとして扱い、ブロック毎に処理を行う。具体的には、表示装置1は、1と2の重みを持つSF1,SF2の隣接する4行(4m〜4m+3行目)の画像データを同じ値に設定し、隣接する4行に対して同時にアドレスを行い、4と8の重みを持つSF3,SF4の隣接する2行の画像データ(4m,4m+1、及び4m+2,4m+3行目)を同じ値に設定し、隣接する2行に対して同時にアドレスを行う。表示装置1は、16,32,64,128の重みを持つSF5〜SF8については従来どおり1行毎にアドレスを行う。
【0041】
図2を参照して、1フィールドは、SF1〜SF8の8つのSFに分割され、各SFは、アドレス期間a1〜a8及び表示期間b1〜b8により構成される。アドレス期間a1〜a8は全てが同じ時間長(アドレス回数)ではなく、a5〜a8の時間長が最も長く、a3,a4の時間長がa5〜a8の1/2であり、a1,a2の時間長がa5〜a8の1/4であることがわかる。表示期間b1〜b8は、表示期間b1が最も短い時間長であり、表示期間b8が最も長い時間長である。
【0042】
図3を参照して、アドレス期間について詳細に説明する。横軸は経過時間を示しており、縦軸は、経過時間に対するアドレス電極パルス及び走査電極パルス4m〜4m+3を示しており、これらのパルスはそれぞれの電極に印加される。SF1のアドレス期間a1では、n列のアドレス電極パルスが連続した4行のブロック毎に同じタイミングでアドレス電極9に印加され、走査電極パルスも連続した4行のブロック毎に同じタイミングで走査電極10に印加される。SF2のアドレス期間a2についても同様である。具体的には、n列のアドレス電極パルスと連続した4行分の走査電極パルス4m〜4m+3とが、同時にそれぞれの電極に印加される。これにより、アドレス期間a1,a2の時間長は、アドレス期間a5,a6の時間長tに対して1/4に短くすることができる。
【0043】
また、SF3のアドレス期間a3では、n列のアドレス電極パルスが連続した2行毎に同じタイミングでアドレス電極9に印加され、走査電極パルスも連続した2行毎に同じタイミングで走査電極10に印加される。SF4のアドレス期間a4についても同様である。具体的には、n列の第1のアドレス電極パルスと連続した2行分の走査電極パルス4m,4m+1とが、同時にそれぞれの電極に印加され、n列の第2のアドレス電極パルスと連続した2行分の走査電極パルス4m+2,4m+3とが、同時にそれぞれの電極に印加される。これにより、アドレス期間a3,a4の時間長は、アドレス期間a5,a6の時間長tに対して1/2に短くすることができる。
【0044】
また、SF5のアドレス期間a5では、n列のアドレス電極パルスが1行毎にアドレス電極9に印加され、走査電極パルスも1行毎に走査電極10に印加される。SF6〜SF8のアドレス期間a6〜a8についても同様である。具体的には、アドレス電極パルスと走査電極パルス4mとが同時に電極に印加され、引き続き、アドレス電極パルスと走査電極パルス4m+1とが同時に印加される。走査電極パルス4m+2,4m+3についても同様である。これらのアドレス期間a5〜a8の時間長は、時間長tとなる。
【0045】
このように、データドライバ7は、データ決定部3により、SF1及びSF2について、同一の画像データに従い隣接する4行のブロック毎に、アドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。また、維持ドライバ8は、SF1及びSF2について、隣接する4行のブロック毎に同じタイミングで走査電極パルスを走査電極10に印加する。これにより、アドレス電極9に印加するアドレス電極パルスの数を1/4に減らすことができ、アドレス期間を1/4に短くすることができる。
【0046】
同様に、データドライバ7は、データ決定部3により、SF3及びSF4について、同一の画像データに従い隣接する2行毎に、アドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。また、維持ドライバ8は、SF3及びSF4について、隣接する2行毎に同じタイミングで走査電極パルスを走査電極10に印加する。これにより、アドレス電極9に印加するアドレス電極パルスの数を1/2に減らすことができ、アドレス期間を1/2に短くすることができる。
【0047】
〔データ決定部〕
次に、図1に示した表示装置1のデータ決定部3について詳細に説明する。前述のとおり、データ決定部3は、ブロック毎に、データ変換テーブル12を用いて、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が全体として最小になるように、かつ、同じ重みの所定のSFについて隣接する行のビット値が同じになるように、ブロック内の表示用の画像データをそれぞれ決定する。また、決定した表示用の画像データが複数存在する場合、選択パターンテーブル13を用いて、1個の表示用の画像データを選択する。
【0048】
図4は、データ決定部3により決定される、SF毎の表示用の画像データを説明する図である。図4に示すように、複数行同時走査を行う隣接する4行(4m〜4m+3行目)の画像データを単位としたブロック毎に、処理が行われる。ブロックを構成する4行の画像データについて、元の画像データをX1〜X4、変換後の画像データである表示用の画像データをY1〜Y4とし、複数行同時走査を行うSFのビット値をd1〜d6とする。尚、XiとYi(i=1〜4)との間の二乗誤差をδiとする。
【0049】
表示用の画像データY1〜Y4におけるそれぞれのSF1〜SF8の画像データは、ブロック毎に、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が全体として最も小さくなるように設定される。表示用の画像データY1〜Y4は、重みが小さいSF1,SF2について、ビット値が同じd1,d2になるように設定され、SF3,4について、最初の2行ではビット値が同じd3,d4になるように、次の2行でもビット値が同じd5,d6になるようにそれぞれ設定される。すなわち、ビットの重みが小さいSFほど、ビット値が同一になる行数が多くなるように設定される。ビットの重みが小さいSFの画像データを変更しても、画質に与える影響がさほど大きくないから、画質劣化を抑えることができる。
【0050】
(データ変換テーブル)
次に、データ決定部3がデータ変換を行う際に用いるデータ変換テーブル12の構成について説明する。図5は、その構成を示す図である。このデータ変換テーブル12は、表示装置1が実際に動作する前に、予め作成される。データ変換テーブル12は、元の画像データX、SF1のビット値を示すd1、SF2のビット値を示すd2、SF3のビット値を示すd3,d5、SF4のビット値を示すd4,d6、表示用の画像データY、及び誤差δの各項目により構成される。元の画像データX及び表示用の画像データYは0〜255の値であり、d1〜d6は0または1のビット値であり、誤差δは、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の二乗誤差である。誤差δを二乗誤差とすることにより、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の誤差を、画像を見る人間の視覚特性に適合させることができ、二乗誤差に基づいて表示用の画像データが特定されることで、画質向上を実現することができる。
【0051】
元の画像データXと、d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)のビット値との間の組合せは、例えば、元の画像データX=0の場合、d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)のビット値の組合せが24=16通り存在し、元の画像データX=1の場合も16通り存在する。したがって、元の画像データXが8ビットであって、そのデータ範囲が0〜255の場合、256×16=4096通り存在することになる。つまり、図5のデータ変換テーブル12では、元の画像データXに対して、4096通りのd1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)のビット値の組合せが存在する。
【0052】
そして、表示用の画像データYは、元の画像データXと、SF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)及びSF5〜SF8のビット値からなる画像データとの間の差が最小となるデータが設定される。例えば、図5の(1)の箇所において、元の画像データX=0、d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)=(1100)の場合、表示用の画像データYは、元の画像データX=0との間の差が最小となるデータ、すなわち、SF5〜SF8=0のときの画像データ=(11000000)となる。つまり、表示用の画像データY=3となり、誤差δ=(0−3)2=9となる。また、図5の(2)の箇所において、元の画像データX=255、d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)=(1011)の場合、表示用の画像データYは、元の画像データX=255との間の差が最小となるデータ、すなわち、SF5〜SF8=1111のときの画像データ=(10111111)となる。つまり、表示用の画像データY=253となり、誤差δ=(255−253)2=4となる。
【0053】
このように、元の画像データX、SF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)、元の画像データXとSF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)及びSF5〜SF8のビット値からなる画像データとの間の差が最小となる表示用の画像データY、誤差δからなるデータ変換テーブル12が予め設定される。つまり、データ変換テーブル12は、元の画像データXと、複数行同時走査を行うSFのビット値の全ての組合せ毎に、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の誤差が予め計算され、それらの全ての組合せが収納されたテーブルである。
【0054】
(選択パターンテーブル)
次に、データ決定部3が表示用の画像データを複数決定した際に用いる選択パターンテーブル13の構成について説明する。図6は、その構成を示す図である。この選択パターンテーブル13は、表示装置1が実際に動作する前に予め作成され、M行×N列の画素からなる1画面のフレームに対し、選択パターンA,Bがブロック毎に定義されている。0,1,2,・・・,N−1は、フレームの水平方向において、ブロックの位置を特定するための番号(列番号)を示し、0,1,2,・・・,M/4−1は、フレームの垂直方向において、ブロックの位置を特定するための番号を示す。Mは4の倍数とする。
【0055】
図6に示す選択パターンテーブル13は、任意のブロックにおける選択パターンと、そのブロックを中心とした上下左右の隣接ブロックにおける選択パターンとが異なるように定義されている。例えば、水平方向の番号2及び垂直方向の番号2のブロックにおける選択パターンはAであり、その上下左右の隣接ブロックにおける選択パターンは全てBであり、選択パターンが異なっている。他のブロックにおいても同様である。
【0056】
元の画像データXに対し、複数行同時走査を行うSFのビット値の組合せを示す番号をkとした場合、例えば、選択パターンAは、決定された複数の表示用の画像データに対応する複数のkのうち、最も小さいkを選択することを示し、選択パターンBは、最も大きいkを選択することを示す。つまり、データ決定部3により2個の表示用の画像データが決定され、これらの2個の表示用の画像データに対応してk=k1,k2(k1<k2)である場合、選択パターンAは、k=k1を選択することを示し、選択パターンBは、k=k2を選択することを示す。
【0057】
尚、選択パターンテーブル13は、選択パターンA,Bがブロック毎にランダムに配置されるように定義してもよいし、3以上の表示用の画像データが決定されることを想定して3以上の異なる選択パターンを定義するようにしてもよい。また、任意のブロックにおける選択パターンと、そのブロックを中心とした上下左右及び斜めの隣接ブロックにおける選択パターンとが異なるように定義するようにしてもよい。要するに、同一の選択パターンが1画面のフレーム全体として偏ることなく分散するように配置されていればよい。表示パネル6に表示される1画面のフレームにおいて、選択パターンが分散することにより、表示用の画像データが分散し、誤差も分散し、同じ誤差(プラス側の誤差またはマイナス側の誤差)を有する表示用の画像データが同じ領域に偏ることがなく、画質劣化を抑えることができるからである。また、選択パターンテーブル13に、例えば4個の選択パターンA,B,C,Dが定義され、データ決定部3により4個の表示用の画像データが決定された場合、選択パターンAは、決定された4個の表示用の画像データに対応する4個のkのうち最も小さいkを選択することを示し、選択パターンDは、最も大きいkを選択することを示し、選択パターンBは、選択パターンAの次に小さいkを選択することを示し、選択パターンCは、選択パターンDの次に大きいkを選択することを示すようにしてもよい。また、選択パターンテーブル13に、例えば4個の選択パターンA,B,C,Dが定義され、データ決定部3により2個の表示用の画像データが決定された場合、選択パターンA,Bは、決定された2個の表示用の画像データに対応する2個のkのうち小さい方のkを選択することを示し、選択パターンC,Dは、大きい方のkを選択することを示すようにしてもよい。
【0058】
このように、データ決定部3が表示用の画像データを複数決定した場合に、フレーム内の画素位置に応じたブロック毎に、どの表示用の画像データを選択するかを示す選択パターンテーブル13が予め設定される。1画面のフレーム内で選択パターンが分散するように定義した選択パターンテーブル13を用いることにより、表示用の画像データが分散し、すなわち誤差が分散するから、同じ誤差(プラス側の誤差またはマイナス側の誤差)を有する表示用の画像データが同じ領域に偏ることがなく、画質劣化を抑えることができる。
【0059】
(データ決定部/処理)
次に、データ決定部3の処理について詳細に説明する。図7は、データ決定部3のアルゴリズムの概要を説明する図であり、図8は、データ決定部3の処理を示すフローチャートである。また、図10は、データ決定部3のアルゴリズムの具体例1(誤差が最小となる表示用の画像データY1〜Y4が1個決定された場合)を説明する図であり、図11は、データ決定部13のアルゴリズムの具体例2(誤差が最小となる表示用の画像データY1〜Y4が複数個決定された場合)を説明する図である。図7及び図8において、以下に示すステップS801〜ステップS809の処理は、ブロック毎に行われる。
【0060】
まず、データ決定部3は、サブフィールド変換部2から、ブロックを構成する元の画像データX1〜X4を入力し(ステップS801)、パラメータk=0を設定する(ステップS802)。ここで、kは、d1〜d6の各ビット値の重みを考慮した数値である。例えば、k=0はd1〜d6=(000000)を示し、k=1はd1〜d6=(100000)を示し、同様に、k=62はd1〜d6=(011111)を示し、k=63はd1〜d6=(111111)を示している。
【0061】
図10の具体例では、データ決定部3は、画像データX1=47,X2=60,X3=44,X4=47を入力する。また、図11の具体例では、データ決定部3は、画像データX1=32,X2=40,X3=40,X4=48を入力する。
【0062】
図7及び図8に戻って、データ決定部3は、図5に示したデータ変換テーブル12から、元の画像データX=X1,k=0(すなわち、d1〜d6=(000000))における表示用の画像データY=Y1及び誤差δ=δ1を抽出し、同様に、元の画像データX=X2〜X4,k=0における表示用の画像データY=Y2〜Y4及び誤差δ=δ2〜δ4を抽出する(ステップS803)。そして、データ決定部3は、誤差Δk=δ1+δ2+δ3+δ4を計算し(ステップS804)、k=k+1を計算してd1〜d6を再設定する(ステップS805)。
【0063】
データ決定部3は、kが63よりも大きいか否か(k>63であるか否か)を判定し(ステップS806)、kが63よりも大きい(k>63)、すなわちk=64であると判定した場合(ステップS806:Y)、ステップS807へ移行する。一方、データ決定部3は、ステップS806において、kが63よりも大きくない(k>63でない)と判定した場合(ステップS806:N)、ステップS803へ移行し、ステップS805にて計算した新たなkについての処理を行う。
【0064】
図10の具体例1では、データ決定部3は、k=0のとき、すなわちd1〜d6=(000000)のとき、データ変換テーブル12から、表示用の画像データY1=48,Y2=64,Y3=48,Y4=48、及び誤差δ1=1,δ2=16,δ3=16,δ4=1を抽出し、誤差Δ0=1+16+16+1=34を計算する。図11の具体例2では、データ決定部3は、k=0のとき、すなわちd1〜d6=(000000)のとき、データ変換テーブル12から、表示用の画像データY1=32,Y2=32,Y3=32,Y4=48、及び誤差δ1=0,δ2=64,δ3=64,δ4=0を抽出し、誤差Δ0=0+64+64+0=128を計算する。同様に、データ決定部3は、k=1〜63のときの表示用の画像データY1〜Y4及び誤差δ1〜δ4を抽出し、誤差Δ1〜Δ63を計算する。
【0065】
図7及び図8に戻って、データ決定部3は、ステップS806から移行して、k=0〜63における全ての誤差Δkのうち、誤差Δkが最小となるk=kmin;(d1,d2,・・・,d6)を特定し(ステップS807)、k=kminにおける表示用の画像データY1〜Y4を特定する(ステップS808)。そして、データ決定部3は、ステップS808において特定した表示用の画像データY1〜Y4を、元の画像データX1〜X4全体に対し最小の誤差を有する表示用の画像データY1〜Y4として決定し、これらをフレームメモリ4に出力する(ステップS809)。尚、データ決定部3は、ステップS807において、誤差Δkが最小となるk=kminを複数特定する場合があり得る。この場合の処理については、後述する図9にて説明する。
【0066】
図9は、図8に示すフローチャートのうち、表示用の画像データY1〜Y4を特定する処理(ステップS808)の詳細を示すフローチャートである。データ決定部3は、ステップS807において特定したk=kminが複数個であるか否かを判定し(ステップS901)、k=kminが複数個であると判定した場合(ステップS901:Y)、ステップS902へ移行し、k=kminが1個であると判定した場合(ステップS901:N)、ステップS904へ移行する。
【0067】
データ決定部3は、k=kminが複数個の場合ステップS901から移行して、選択パターンテーブル13から、X1〜X4のブロックに対応する選択パターンを抽出し(ステップS902)、その選択パターンに基づいて複数個のkから1個のkを選択する(ステップS903)。
【0068】
データ決定部3は、k=kminが1個の場合ステップS901から移行して、またはステップS903から移行して、k=kminが1個の場合のkにおける表示用の画像データY1〜Y4、またはステップS903にて選択したkにおける表示用の画像データY1〜Y4を特定する(ステップS904)。
【0069】
図10の具体例1では、データ決定部3は、誤差Δ0〜Δ63のうちの最小の誤差Δ61=10を判定し、すなわち、誤差Δkが最小となるk=kmin=61;d1〜d6=(101111)を特定し、k=kmin=61のときの表示用の画像データY1=45,Y2=61,Y3=45,Y4=45を特定し、フレームメモリ4に出力する。この場合、特定された(決定された)表示用の画像データY1〜Y4は1個である。
【0070】
図11の具体例2では、データ決定部3は、誤差Δ0〜Δ63のうちの最小の誤差Δ20=Δ60=10を判定し、すなわち、誤差Δkが最小となる2個のk=kmin=20;d1〜d6=(001010)及びk=kmin=60;d1〜d6=(001111)を特定する。そして、データ決定部3は、選択パターンテーブル13から、そのブロックに対応する選択パターンを抽出する。例えば、抽出した選択パターンが前述のAの場合、選択パターンAに基づいて、k=kmin=20,60のうちの小さい方のk=kmin=20を選択し、k=kmin=20のときの表示用の画像データY1=36,Y2=36,Y3=36,Y4=52を特定し、フレームメモリ4に出力する。一方、抽出した選択パターンが前述のBの場合、選択パターンBに基づいて、k=kmin=20,60のうちの大きい方のk=kmin=60を選択し、k=kmin=60のときの表示用の画像データY1=28,Y2=44,Y3=44,Y4=44を特定し、フレームメモリ4に出力する。この場合、特定された(決定された)表示用の画像データY1〜Y4は2個である。尚、表示用の画像データY1〜Y4が3個以上の場合もあり得るが、前述と同様の手法により、選択パターンに基づいた1個のkが選択される。
【0071】
データ決定部3は、前述の処理を、1画面のフレームを構成する全てのブロックに対して繰り返し行うことにより、全ての画素について元の画像データを表示用の画像データに変換し、フレームメモリ4に出力する。
【0072】
〔実験結果〕
次に、実験結果(コンピューターによるシミュレーションの結果)について説明する。図15は、RGBの画像データに対するSSIM(Structural SIMilarity)による画質評価結果を示す図であり、図16は、YUVの画像データに対するSSIMによる画質評価結果を示す図である。図15及び図16において、(1)は、従来技術による表示装置(非特許文献1の表示装置)を用いた場合の画質評価結果のSSIMを示し、(2)は、図1に示した本発明の実施形態による表示装置1を用いた場合の画質評価結果のSSIMを示している。また、横軸の「時計」「桜」「ドラマ」「夜景」は画像データの種類を示し、縦軸はSSIMを示している。SSIMは、元の画像データと階調表示が行われる画像データとの間で、画質を評価するために用いる構造的類似性の指数である。SSIMの値が大きいほど、2つの画像データの類似性の度合いが高いことを示しており、つまり、階調表示が行われる画像データが元の画像データに近く、画質が良いことを示している。図15及び図16から、(1)の従来技術よりも(2)の本発明の実施形態の方が、全ての画像データの種類においてSSIMが大きいことがわかる。つまり、(1)の従来技術よりも(2)の本発明の実施形態の方が、元の画像データとの間の類似度が高く、画質が良くなっていることがわかる。
【0073】
以上のように、本発明の実施形態による表示装置1によれば、元の画像データX、SF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)、元の画像データXとSF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)及びSF5〜SF8のビット値からなる画像データとの間の差が最小となる表示用の画像データY、誤差δからなるデータ変換テーブル12が予め設定され、データ決定部3が、このデータ変換テーブル12を用いて、ブロック毎に、元の画像データX1〜X4及びd1〜d6の全ての組合せについて、表示用の画像データY1〜Y4及びその誤差δ1〜δ4を抽出し、64通りのΔk=δ1+δ2+δ3+δ4(k=0〜63)を計算し、Δkが最小となるkを特定し、kにおける表示用の画像データY1〜Y4を、元の画像データX1〜X4全体に対して最小の誤差を有する表示用の画像データとして決定するようにした。これにより、表示用の画像データYにおける所定の重みを有するSFが、隣接する行について同じビット値になっているから、データドライバ7は、表示用の画像データYの値に従って複数行を同時にアドレスすることができ、画像全体としての誤差を最小にし、画質劣化を抑制することが可能となる。
【0074】
また、本発明の実施形態による表示装置1によれば、ブロック毎の選択パターンを定義した選択パターンテーブル13が予め設定され、データ決定部3が、Δkが最小となるkを複数特定した場合、この選択パターンテーブル13に定義された選択パターンに基づいて、複数のkのうちの1個のkを選択し、そのkにおける表示用の画像データY1〜Y4を、元の画像データX1〜X4全体に対し最小の誤差を有する表示用の画像データとして決定するようにした。選択パターンが1画面のフレーム内で分散するように定義された選択パターンテーブル13を用いることで、表示用の画像データが分散し、すなわち同じ誤差(プラス側の誤差またはマイナス側の誤差)を有する表示用の画像データが同じ領域に偏ることがなく誤差が分散するから、画質劣化を抑えることができる。
【0075】
例えば、ある領域内の複数のブロックにおいて、データ決定部3によりΔkが最小となるkが複数特定された場合、すなわち表示用の画像データが複数決定された場合を想定する。従来技術では、その領域内において、全ての表示用の画像データY1の誤差がプラス側またはマイナス側に偏ってしまい、画質が劣化する可能性がある。これに対し、本発明の実施形態による表示装置1では、選択パターンがその領域内で分散するように定義された選択パターンテーブル13を用いるから、その領域内において、同じプラス側の誤差またはマイナス側の誤差を有する表示用の画像データY1〜Y4は分散し、同じ極性の誤差を有する表示用の画像データY1〜Y4が偏ることがないから、画質の劣化を抑えることができる。
【0076】
図11に示した具体例では、ある領域の全てのブロックにおいて、元の画像データX1=32,X2=40,X3=40,X4=48が同じ場合、従来技術では、その領域内の全てのブロックにおいて、同じ表示用の画像データY1=36,Y2=36,Y3=36,Y4=52(選択パターンA)が決定される可能性がある。これに対し、本発明の実施形態による表示装置1では、同じ表示用の画像データY1〜Y4が決定されることがなく、表示用の画像データY1=36,Y2=36,Y3=36,Y4=52(選択パターンA)と、表示用の画像データY1=28,Y2=44,Y3=44,Y4=44(選択パターンB)とが分散することになる。ここで、元の画像データX1=32に対して、選択パターンAの表示用の画像データY1=36はプラス側の誤差を有し、選択パターンBの表示用の画像データY1=28はマイナス側の誤差を有している。同様に、元の画像データX2,X3=40に対して、選択パターンAの表示用の画像データY2,Y3=36はマイナス側の誤差を有し、選択パターンBの表示用の画像データY2,Y3=44はマイナス側の誤差を有している。また、元の画像データX4=48に対して、選択パターンAの表示用の画像データY4=52はプラス側の誤差を有し、選択パターンBの表示用の画像データY4=44はマイナス側の誤差を有している。これにより、同じ表示用の画像データY1〜Y4が分散し、同じ誤差を有する表示用の画像データY1〜Y4が同じ領域に偏ることがない。したがって、プラス側の誤差及びマイナス側の誤差が画素単位で分散するから、全体の画像として見ると誤差が相殺されて0になり、結果として画質劣化を抑えることができる。
【0077】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。前記実施形態では、表示装置1のデータ決定部3が、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の二乗誤差を定義したデータ変換テーブル12を用いるようにしたが、二乗誤差の代わりに、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の差を定義したデータ変換テーブル12を用いるようにしてもよい。図5に示したデータ変換テーブル12は一例であり、本発明は、このデータ変換テーブル12を用いることに限定されるものではない。図6に示した選択パターンテーブル13についても同様である。
【0078】
また、前記実施形態では、表示装置1のデータ決定部3が、表示用の画像データY1〜Y4の所定ビットであるd1〜d6が規定されたデータ変換テーブル12を用いて、表示用の画像データY1〜Y4を決定するようにしたが、表示用の画像データY1〜Y4を決定する処理はこれに限定されるものではない。例えば、データ決定部3は、元の画像データX1〜X4の平均値を算出し、その平均値における下位の2ビットをd1,d2に設定し、d3〜d6が規定されたデータ変換テーブル12を用いて、表示用の画像データY1〜Y4を決定するようにしてもよい。これにより、パラメータkの数を減らすことができ、データ決定部3の処理負荷を軽減することができる。
【0079】
また、本発明は、画像データの階調数を8ビットに限定するものではなく、ビットを分散させて同じビット値を設定するSFをSF1〜SF4に限定するものでもない。例えば、同じビット値を設定するSFをSF1〜SF3としてもよいし、SF1〜SF5としてもよい。また、どのSFを複数行同時アドレスの対象にするか、データ変換テーブル12及び選択パターンテーブル13をどのようなものにするかは、前記実施形態に限定されるものではない。また、本発明は、データ決定部3によってデータ変換を行う単位を4行としたが、4行に限定されるものではなく、例えば8行としてもよい。
【0080】
また、図4に示したSF毎の表示用の画像データY1〜Y4では、変換単位(4行)のブロック毎に、重みが小さいSF1,SF2について、ビット値が同じd1,d2になるように設定され、SF3,4について、最初の2行ではビット値が同じd3,d4になるように、次の2行でもビット値が同じd5,d6になるようにそれぞれ設定される。すなわち、SF1,SF2では、同じビット値が連続する行数が4であり、最大値である。これに対し、SF3,SF4では、同じビット値が連続する行数が2であり、最大値4の約数になっている。本発明では、所定の第1のSFについて(図4の例ではSF1,SF2)、ビット値が同じになる連続する行数を最大値とした場合(図4の例では最大値4)、この第1のSFとは異なる第2のSF(図4の例ではSF3,SF4)については、ビット値が同じになる連続する行数がその最大値の約数になるように(図4の例では、SF3,SF4の行数は2)、それぞれの表示用の画像データYを決定すればよい。
【符号の説明】
【0081】
1 表示装置
2 サブフィールド変換部
3 データ決定部
4 フレームメモリ
5 タイミングパルス発生部
6 表示パネル
7 データドライバ
8 維持ドライバ
9 アドレス電極
10 走査電極
11 維持電極
12 データ変換テーブル
13 選択パターンテーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のマトリクス型表示装置及び表示方法に関し、特に、画像データを表示するフィールドを複数のサブフィールドに分割し、これらの複数のサブフィールドを足し合わせて階調表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マトリクス状に配置された電極に電圧を印加することにより、水平方向(行方向)及び垂直方向(列方向)に多数配置された画素を選択して発光させるマトリクス型表示装置が知られている。この表示装置は、画像データを表示するための時間に相当するフィールドを複数のサブフィールド(以下、「SF」という。)に時間的に分割し、分割したそれぞれのSFの表示時間に重み付けをし、これらのSFを足し合わせて(時間積分して)画像表示する。これにより、人の眼に映る画像の時間的な積分作用によって、階調表示を実現することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、表示パネルに256階調の画像表示を行うために、1フィールドを8つのSFに分割し、1,2,4,8,16,32,64,128の重み付けを各SFに持たせ、これらのSFを足し合わせることにより画像表示を行う表示装置(第1の表示装置)が記載されている。
【0004】
この第1の表示装置は、1画素あたり8ビットの画像データを、表示パネルに256階調表示するにあたり、8ビットの画像データをSF1〜SF8までの8種類の2値の画像データに変換する。そして、変換した2値の画像データに従って、SF1〜SF8の処理をそれぞれ行うことにより、256階調の画像表示を行う。
【0005】
図12は、従来の第1の表示装置におけるSF毎の画像データを説明する図である。表示パネルを構成する各画素において、8ビットの画像データがSF1〜SF8毎の2値の画像データに変換され、変換された画像データが表示のためにそのまま用いられる。図12には、各行の所定列の画素におけるSF1〜SF8の2値の画像データが示されている。
【0006】
図13は、従来の第1の表示装置における駆動タイミングを説明する図である。図13に示すように、行及び列により特定される8ビットの画像データは、1フィールドの処理によって、256階調表示される。1フィールドは、SF1〜SF8の8つのSFに分割され、各SFは、アドレス期間a1〜a8及び表示期間b1〜b8により構成される。アドレス期間a1〜a8は、発光させる画素を選択するための処理が行われる期間であり、全て同じ時間長である。表示期間b1〜b8は、アドレス期間a1〜a8により選択された画素を、重みに応じて所定時間分発光させるための処理が行われる期間であり、表示期間b1が最も短い時間長であり、表示期間b8が最も長い時間長である。
【0007】
8ビットの画像データが変換されたSF1〜SF8の2値の画像データにより、その画素は、その重みに応じて表示期間b1〜b8の所定時間分発光する。例えば、8ビットの画像データがSF1〜SF8の2値の画像データ(「10100100」:左側が下位ビット、右側が上位ビットとする。以下、同じ。)に変換された場合、その画素は、SF1のアドレス期間a1において選択され、表示期間b1が実行されて、その時間分発光する。そして、SF3,6のアドレス期間a3,a6において選択され、同様に表示期間b3,b6が実行されて、その時間分発光する。SF2,SF4,SF5,SF7,SF8では画素は選択されないから発光しない。このようにして、その画素は、SF1,SF3,SF6における時間分発光することにより、階調表示がなされる。
【0008】
図14は、SFを構成するアドレス期間及び表示期間を説明する図である。横軸は経過時間を示しており、縦軸は、経過時間に対するアドレス電極パルス、走査電極パルス及び維持電極パルスを示しており、これらのパルスはそれぞれの画素の電極に印加される。アドレス期間において、列数nの画素に対応するアドレス電極パルスが、所定のパルス幅にて、行毎に印加される。画素を発光させる場合にはアドレス電極パルスが印加され、発光させない場合には印加されない。また、行数Mの画素に対応する走査電極パルス0〜M−1が、アドレス電極パルスと同じパルス幅にてそれぞれ印加される。アドレス電極パルスと走査電極パルスとが同時に印加された画素では、セルが放電して発光する。放電したセルでは、電極を覆う誘電体上に電荷が蓄積しており、その後の一定期間内であれば、再び放電を発生させることができる。
【0009】
一方、表示期間において、行数Mの画素に対応する走査電極パルスと維持電極パルスが交互に印加される。これにより、セルでは放電と充電が繰り返されて発光が継続する。図13に示した表示期間b1〜b8は、この繰り返しの数によって時間長が異なっている。
【0010】
このように、行数M及び列数Nの画素により構成される表示パネルにおいて、各SFは、1行同時アドレスであり、1アドレス期間で1行のデータが書き込まれる。しかしながら、この第1の表示装置では、行数が増加したり、表示するビット数が多くなったりすると、アドレスの回数が増えてアドレス時間が長くなり、充分なアドレスパルス幅を取ることができなくなる。また、輝度が低下したり、フレームレートが低下したりする問題の他、アドレス電極パルスの電力が増加する等の問題がある。
【0011】
このような第1の表示装置の問題を解決するために、所定のSFにおいて、連続する複数行のデータを同値にし、複数行を同時にアドレスして1アドレス期間で複数行のデータを書き込むことにより、マルチラン同時走査駆動にて画像表示を行う表示装置(第2の表示装置)が知られている。この第2の表示装置によれば、アドレス期間を短縮することができるから、前述の問題を解決することができる。しかしながら、トレードオフとして、入力データである元の画像データと表示データである表示用の画像データとの間で誤差が生じ、画質が劣化するという問題があった。
【0012】
このような第2の表示装置の問題を解決するために、例えば、非特許文献1の表示装置(第3の表示装置)が知られている。この第3の表示装置は、実用的な処理時間の範囲で、隣接する所定行数の画像データを単位として、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が最小になるように、SF内で垂直方向に隣接する複数行を同じ値に設定し、複数行を同時にアドレスするマルチラン同時走査駆動を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3259253号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】薄井武順、他5名、「PDPのマルチライン同時走査駆動法における画素値決定法に関する検討」、映像情報メディア学会2010年冬季大会講演予稿集、社団法人映像情報メディア学会、平成22年11月26日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述した第3の表示装置では、複数行を同時にアドレスし、1アドレス期間で複数行のデータを書き込むから、アドレス期間を短くすることができる。また、隣接する所定行数の画像データを単位として、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差を最小にするから、表示画像全体として画質を向上させることができる。
【0016】
しかしながら、第3の表示装置では、誤差が最小となる表示用の画像データが必ずしも1個のみに特定されるとは限らず、複数の候補が特定される場合がある。非特許文献1には、第3の表示装置についてテーブルを用いた表示用の画像データの特定手法について記載されているが、誤差が最小となる表示用の画像データの候補が複数特定された場合の処理については何ら言及していない。非特許文献1では、複数の表示用の画像データの候補から1個の表示用の画像データを決定する手法は明らかでないが、場合によっては、表示画像全体として画質の向上の実現が不十分になり、画質の劣化が顕著になることもあり得る。
【0017】
本願の発明者らの実験(コンピュータシミュレーション)によれば、非特許文献1に記載された第3の表示装置において、隣接する4行の画像データを単位とした場合に、表示画像全体のうちの約30%について、誤差が最小となる表示用の画像データの候補が複数特定されることがあり得るという実験結果を得た。この場合の表示画像は、約30%の画像領域内で、例えば人の髪の毛の色が赤くなったりして、画質の劣化が見られた。このような結果を踏まえ、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差を最小化する際に、表示用の画像データの候補が複数特定された場合であっても、表示画像全体として画質の向上を確実に実現し、画質の劣化を抑えることが可能な表示装置が望まれていた。
【0018】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数行に対して同時にアドレスを行いながら、画像全体としての誤差を最小にし、画質の向上を確実に実現可能な表示装置及び表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するために、本発明による表示装置は、行方向及び列方向に配列した複数の画素を階調表示する際に、前記画素についての元の画像データを、ビット位置を示すサブフィールド毎のビット値からなる表示用画像データに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を、前記ビット位置の重みに応じた時間分前記ビット値に基づいて発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記表示用画像データに従って前記階調表示を行う表示装置において、所定行数の複数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロックにおいて複数の前記元の画像データと複数の前記表示用画像データとの間の誤差が最小になり、かつ、所定のサブフィールドについて、前記所定行数内で連続する複数行のビット値が同じになるように、前記階調表示を行う表示用画像データを決定するデータ決定部と、前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するドライバ部と、を備え、前記データ決定部が、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による表示装置は、前記データ決定部が、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、所定のブロックの表示用画像データと前記所定のブロックに対して上下左右に位置する隣接ブロックの表示用画像データとが異なるように、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明による表示装置は、前記データ決定部が、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、各ブロックの表示用画像データがランダムになるように、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明による表示方法は、行方向及び列方向に配列した複数の画素を階調表示する際に、前記画素についての元の画像データを、ビット位置を示すサブフィールド毎のビット値からなる表示用画像データに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を、前記ビット位置の重みに応じた時間分前記ビット値に基づいて発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記表示用画像データに従って前記階調表示を行う方法において、所定行数の複数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロックにおいて複数の前記元の画像データと複数の前記表示用画像データとの間の誤差が最小になり、かつ、所定のサブフィールドについて、前記所定行数内で連続する複数行のビット値が同じになるように、前記階調表示を行う表示用画像データを決定するステップと、前記ステップにて、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択するステップと、前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、同時走査を行う隣接する所定行数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロック内において元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差を最小にする際に、対象となる表示用の画像データが複数存在する場合、予め設定されたブロック毎の選択条件に従って、同様の誤差を有する表示用の画像データが分散するように、複数の中から1個の表示用の画像データを選択するようにした。これにより、複数行に対して同時にアドレスを行いながら、画像全体としての誤差を最小にし、画質の向上を確実に実現することができ、画質の劣化を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】駆動タイミングを説明する図である。
【図3】アドレス期間について説明する図である。
【図4】データ決定部により決定される、SF毎の表示用の画像データを説明する図である。
【図5】データ変換テーブルの構成を示す図である。
【図6】選択パターンテーブルの構成を示す図である。
【図7】データ決定部のアルゴリズムの概要を説明する図である。
【図8】データ決定部の処理を示すフローチャートである。
【図9】データ決定部による表示用の画像データY1〜Y4を特定する処理(ステップS808)の詳細を示すフローチャートである。
【図10】データ決定部のアルゴリズムの具体例1(誤差が最小となる表示用の画像データY1〜Y4が1個決定された場合)を説明する図である。
【図11】データ決定部のアルゴリズムの具体例2(誤差が最小となる表示用の画像データY1〜Y4が複数個決定された場合)を説明する図である。
【図12】従来の第1の表示装置におけるSF毎の画像データを説明する図である。
【図13】従来の第1の表示装置における駆動タイミングを説明する図である。
【図14】従来の第1の表示装置におけるSFを構成するアドレス期間及び表示期間を説明する図である。
【図15】RGBの画像データに対するSSIM(Structural SIMilarity)による画質評価結果を示す図である。
【図16】YUVの画像データに対するSSIMによる画質評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔本発明の概要〕
本発明の実施形態による表示装置は、PDP等の直交する行電極及び列電極により画素を選択するマトリクス型表示装置において、元の画像データをビット毎のデータに変換して表示用の画像データであるSF毎のデータを生成し、画素を選択するアドレス期間と、選択した画素をビットの重みに応じた時間分発光させる表示期間とからなるサイクルによって、SFの処理を時間的に重ねる(積分する)ことで、画像データの階調表示を行う。そして、アドレス期間を短縮するために、連続する複数行において、所定のSFの画像データを同値に設定し、その複数行に対して同時走査を行う。画質の劣化を抑えるために、同時走査を行う隣接する所定行数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロック内において元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が最小になるように、予め設定されたデータ変換テーブルを用いて、表示用の画像データを決定する。ここで、表示用の画像データの候補が存在する場合、予め設定された選択パターンテーブルを用い、そのブロックの選択パターン(選択条件)に基づいて、同様の誤差(プラス側の誤差またはマイナス側の誤差)を有する表示用の画像データが分散するように、複数の候補から1個の表示用の画像データを選択する。これにより、表示画像全体として誤差が偏ることなく分散するようになるから、画質の向上を確実に実現することができ、画質の劣化を抑えることが可能となる。
【0026】
このデータ変換テーブルは、元の画像データと、複数行同時走査を行うSFのビット値との間の全ての組合せにおいて、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が前もって計算され、それらの全ての組合せのデータが収納されたテーブルである。表示装置は、表示用の画像データを決定する際に、この予め設定されたデータ変換テーブルを参照することにより、元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差を瞬時に導出し、誤差を比較する。そして、誤差が最も小さい組合せを特定し、その組合せにおける表示用の画像データを特定する。
【0027】
また、選択パターンテーブルは、ブロック毎に選択パターンが定義されたテーブルである。表示装置は、誤差が最小となる表示用の画像データの候補を複数決定した場合、選択パターンテーブルにおける当該ブロックの選択パターンを参照することにより、複数の候補から1個の表示用の画像データを選択する。つまり、表示装置は、元の画像データと表示用の画像データとの間の組合せの候補を複数特定した場合、複数の候補から1個の組合せを選択する。
【0028】
〔表示装置の構成〕
まず、本発明の実施形態による表示装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態による表示装置の構成を示すブロック図である。この表示装置1は、M行×N列に配列した画素を備えたPDP等のマトリクス型表示装置であり、サブフィールド変換部2、データ決定部3、フレームメモリ4、タイミングパルス発生部5、表示パネル6、データドライバ7、維持ドライバ8、アドレス電極9、走査電極10、維持電極11、データ変換テーブル12及び選択パターンテーブル13を備えている。尚、図1において、走査電極10と維持電極11とは別の電極であるが、説明を簡単にするために、便宜上同じ電極として示している。
【0029】
サブフィールド変換部2は、1画素あたり8ビットの画像データを1画素毎に入力し、これを表示パネル6に28=256階調で表示するために、最下位ビットから最上位ビットまで、それぞれのビットのみからなる8種類の2値の画像データ(ビット値)に変換し、SF1〜SF8におけるSF毎の2値の画像データをデータ決定部3に出力する。サブフィールド変換部2による変換処理は、タイミングパルス発生部5により発生するタイミング信号に基づいて行われる。
【0030】
データ決定部3は、サブフィールド変換部2から、1画素の画像データ(元の画像データ)としてSF1〜SF8におけるSF毎の2値の画像データを入力する。ここで、同時走査を行う隣接する所定行数の画像データが予め1ブロックとして設定され、データ決定部3は、ブロック毎に処理を行う。データ決定部3は、ブロック毎に、データ変換テーブル12を用いて、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差がブロック内の画像データ全体として最小になるように(当該ブロックにおいて複数の元の画像データと複数の表示用画像データとの間の誤差がブロック内の画像データ全体として最小になるように)かつ、同じ重みの所定のSFについて隣接する行のビット値が同じになるように、元の画像データを表示用の画像データに変換し、すなわち、8ビットの元の画像データをSF1〜SF8までの表示用の画像データに振り分けることで、表示用の画像データに変換し、ブロック内の表示用の画像データをそれぞれ決定する。そして、データ決定部3は、決定した表示用の画像データが1個の場合、その表示用の画像データをSF1〜SF8における2値の画像データとしてフレームメモリ4にそれぞれ格納する。例えば、データ決定部3は、画像データの変換の際に、後述する図4のように、4m〜4m+3行において、表示用の画像データの重みが小さいSF1,SF2について、ビット値が同じd1,d2になるように設定し、SF3,4について、4m,4m+1行ではビット値が同じd3,d4になるように、4m+2,4m+3行でもビット値が同じd5,d6になるように、それぞれ設定する。データ決定部3による決定処理は、タイミングパルス発生部5により発生するタイミング信号に基づいて行われる。データ変換テーブル12を参照して元の画像データを表示用の画像データに変換するデータ決定部3の処理の詳細については後述する。
【0031】
また、データ決定部3は、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が全体として最小になるように、かつ、同じ重みの所定のSFについて隣接する行のビット値が同じになるように、ブロック内の表示用の画像データをそれぞれ決定したときに、決定した表示用の画像データが1個ではなく複数存在する場合(同じ誤差を有する複数の表示用の画像データが存在する場合)、選択パターンテーブル13を用いて、そのブロックの選択パターンを特定し、特定した選択パターンに基づいて、1個の表示用の画像データを選択し、選択した表示用の画像データをSF1〜SF8における2値の画像データとしてフレームメモリ4にそれぞれ格納する。すなわち、データ決定部3は、元の画像データとの間の誤差が最小となる表示用の画像データを複数決定した場合、そのブロックの選択パターンに基づいて、1個の表示用の画像データを選択する。このような選択は、複数の表示用の画像データが決定された全てのブロックに対して行われ、選択パターンテーブル13には、ブロック毎に選択パターンが定義されている。
【0032】
フレームメモリ4には、データ決定部3により、SF1〜SF8におけるSF毎の2値の画像データ(表示用の画像データ/1画素分の画像データ)が格納され、M行×N列の画素からなる1画面のフレームを単位にして画像データを記憶する。また、フレームメモリ4から、データドライバ7により、SF1〜SF8におけるサブフィールド毎の2値の画像データが1フレーム毎に読み出される。フレームメモリ4による処理は、タイミングパルス発生部5により発生するタイミング信号に基づいて行われる。
【0033】
タイミングパルス発生部5は、1画素あたり8ビットの画像データを入力し、その入力タイミングに従って、サブフィールド変換部2、データ決定部3、フレームメモリ4、データドライバ7及び維持ドライバ8がそれぞれの処理を行うためのタイミング信号を発生する。
【0034】
表示パネル6は、2枚のガラス板、アドレス電極9、走査電極10、維持電極11等を備えており、2枚のガラス板及び隔壁で仕切られた空間の放電セルが、水平方向(行方向)及び垂直方向(列方向)に配列された複数の画素として構成されている。放電セルには希ガスが封入されている。SFのアドレス期間において、データドライバ7によりアドレス電極9に電圧が加わると共に、維持ドライバ8により走査電極10に電圧が加わると、放電が起こって紫外線が発生する。隔壁には蛍光体が塗布されており、紫外線によって蛍光体が励起され、画素が発光する。また、表示期間において、維持ドライバ8により走査電極10及び維持電極11に交互に電圧が加わると、放電と充電とを繰り返し、画素の発光が表示期間の時間分継続する。尚、蛍光体の発光色は放電セル毎に赤、緑及び青に塗り分けられており、画像データに応じて放電セルの画素が選択され、カラー表示が行われる。
【0035】
データドライバ7は、フレームメモリ4から、SF1〜SF8におけるSF毎の2値の画像データを1フレーム分読み出す。そして、SFを構成するアドレス期間において、SF毎の2値の画像データに従い、行毎かつSF毎に、駆動パルス(アドレス電極パルス)をアドレス電極9に印加する。具体的には、データドライバ7は、SF1のアドレス期間において、SF1の1行目/各列の画像データに従い、それぞれのアドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。そして、SF1の2行目〜M行目についても同様の処理を順次行う。また、SF2〜SF8のアドレス期間においても、1行目〜M行目について同様の処理を順次行う。アドレス電極パルスの印加により、発光させる画素が選択される。
【0036】
本発明の実施形態では、データドライバ7は、データ決定部3により同じ2値の画像データが設定されたSFにおける複数行に対し、同じタイミングのアドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。これにより、複数行を同時に走査することから、アドレス電極9に印加するアドレス電極パルスの数を減らすことができる。すなわち、アドレス走査の数を減らすことができ、アドレス期間を短くすることができると共に、アドレス電極パルスの電力を削減することができる。
【0037】
維持ドライバ8は、SFを構成するアドレス期間において、予め設定されたタイミングにて、行毎に駆動パルス(走査電極パルス)を走査電極10に印加する。これにより、データドライバ7からのアドレス電極パルスが同時に印加された場合、発光させる画素が選択される。また、維持ドライバ8は、SFを構成する表示期間において、SF毎に異なる回数の走査電極パルスを走査電極10に印加すると共に、走査電極パルスと対になる駆動パルス(維持電極パルス)を維持電極11に印加する。走査電極パルス及び維持電極パルスは、交互に繰り返して印加され、ビットの重みが小さい側のSFほど繰り返し回数が少なく、表示期間の時間が短くなる。
【0038】
本発明の実施形態では、維持ドライバ8は、データ決定部3により同じ2値の画像データが設定されたSFにおける複数行に対し、それぞれの走査電極パルスを同じタイミングで走査電極10に印加する。これにより、複数行を同時に走査するから、アドレス走査の数を減らすことができ、アドレス期間を短くすることができる。
【0039】
データドライバ7により印加されるアドレス電極パルス、及び維持ドライバ8により印加される走査電極パルスが同時に放電セルに与えられると、放電が起こって蛍光体が励起され、画素が発光する。これにより、アドレス期間が実行される。そして、表示期間において、維持ドライバ8により印加される走査電極パルス及び維持電極パルスが交互に放電セルに与えられると、放電と充電とが繰り返され、画素の発光が継続する。これにより、表示期間が実行される。このように、SFの2値の画像データに従ってアドレス期間が実行され、アドレス期間が実行されて選択された画素は、SFの重みに応じた時間長の表示期間を実行して発光する。そして、SF1からSF8までのSFを実行することにより、画像データに応じた256階調の表示を行うことができる。
【0040】
〔駆動タイミング〕
次に、駆動タイミングについて説明する。図2は、図1に示した表示装置1における駆動タイミングを説明する図であり、図3は、図2に示したSFを構成するアドレス期間について説明する図である。表示装置1は、後述する図4に示すように、8ビットの画像データを表示する際に、8ビットの階調を1,2,4,8,16,32,64,128の重みを持つSF1〜SF8で表示する場合、4行(4m〜4m+3行目)の画像データを1ブロックとして扱い、ブロック毎に処理を行う。具体的には、表示装置1は、1と2の重みを持つSF1,SF2の隣接する4行(4m〜4m+3行目)の画像データを同じ値に設定し、隣接する4行に対して同時にアドレスを行い、4と8の重みを持つSF3,SF4の隣接する2行の画像データ(4m,4m+1、及び4m+2,4m+3行目)を同じ値に設定し、隣接する2行に対して同時にアドレスを行う。表示装置1は、16,32,64,128の重みを持つSF5〜SF8については従来どおり1行毎にアドレスを行う。
【0041】
図2を参照して、1フィールドは、SF1〜SF8の8つのSFに分割され、各SFは、アドレス期間a1〜a8及び表示期間b1〜b8により構成される。アドレス期間a1〜a8は全てが同じ時間長(アドレス回数)ではなく、a5〜a8の時間長が最も長く、a3,a4の時間長がa5〜a8の1/2であり、a1,a2の時間長がa5〜a8の1/4であることがわかる。表示期間b1〜b8は、表示期間b1が最も短い時間長であり、表示期間b8が最も長い時間長である。
【0042】
図3を参照して、アドレス期間について詳細に説明する。横軸は経過時間を示しており、縦軸は、経過時間に対するアドレス電極パルス及び走査電極パルス4m〜4m+3を示しており、これらのパルスはそれぞれの電極に印加される。SF1のアドレス期間a1では、n列のアドレス電極パルスが連続した4行のブロック毎に同じタイミングでアドレス電極9に印加され、走査電極パルスも連続した4行のブロック毎に同じタイミングで走査電極10に印加される。SF2のアドレス期間a2についても同様である。具体的には、n列のアドレス電極パルスと連続した4行分の走査電極パルス4m〜4m+3とが、同時にそれぞれの電極に印加される。これにより、アドレス期間a1,a2の時間長は、アドレス期間a5,a6の時間長tに対して1/4に短くすることができる。
【0043】
また、SF3のアドレス期間a3では、n列のアドレス電極パルスが連続した2行毎に同じタイミングでアドレス電極9に印加され、走査電極パルスも連続した2行毎に同じタイミングで走査電極10に印加される。SF4のアドレス期間a4についても同様である。具体的には、n列の第1のアドレス電極パルスと連続した2行分の走査電極パルス4m,4m+1とが、同時にそれぞれの電極に印加され、n列の第2のアドレス電極パルスと連続した2行分の走査電極パルス4m+2,4m+3とが、同時にそれぞれの電極に印加される。これにより、アドレス期間a3,a4の時間長は、アドレス期間a5,a6の時間長tに対して1/2に短くすることができる。
【0044】
また、SF5のアドレス期間a5では、n列のアドレス電極パルスが1行毎にアドレス電極9に印加され、走査電極パルスも1行毎に走査電極10に印加される。SF6〜SF8のアドレス期間a6〜a8についても同様である。具体的には、アドレス電極パルスと走査電極パルス4mとが同時に電極に印加され、引き続き、アドレス電極パルスと走査電極パルス4m+1とが同時に印加される。走査電極パルス4m+2,4m+3についても同様である。これらのアドレス期間a5〜a8の時間長は、時間長tとなる。
【0045】
このように、データドライバ7は、データ決定部3により、SF1及びSF2について、同一の画像データに従い隣接する4行のブロック毎に、アドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。また、維持ドライバ8は、SF1及びSF2について、隣接する4行のブロック毎に同じタイミングで走査電極パルスを走査電極10に印加する。これにより、アドレス電極9に印加するアドレス電極パルスの数を1/4に減らすことができ、アドレス期間を1/4に短くすることができる。
【0046】
同様に、データドライバ7は、データ決定部3により、SF3及びSF4について、同一の画像データに従い隣接する2行毎に、アドレス電極パルスをアドレス電極9に印加する。また、維持ドライバ8は、SF3及びSF4について、隣接する2行毎に同じタイミングで走査電極パルスを走査電極10に印加する。これにより、アドレス電極9に印加するアドレス電極パルスの数を1/2に減らすことができ、アドレス期間を1/2に短くすることができる。
【0047】
〔データ決定部〕
次に、図1に示した表示装置1のデータ決定部3について詳細に説明する。前述のとおり、データ決定部3は、ブロック毎に、データ変換テーブル12を用いて、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が全体として最小になるように、かつ、同じ重みの所定のSFについて隣接する行のビット値が同じになるように、ブロック内の表示用の画像データをそれぞれ決定する。また、決定した表示用の画像データが複数存在する場合、選択パターンテーブル13を用いて、1個の表示用の画像データを選択する。
【0048】
図4は、データ決定部3により決定される、SF毎の表示用の画像データを説明する図である。図4に示すように、複数行同時走査を行う隣接する4行(4m〜4m+3行目)の画像データを単位としたブロック毎に、処理が行われる。ブロックを構成する4行の画像データについて、元の画像データをX1〜X4、変換後の画像データである表示用の画像データをY1〜Y4とし、複数行同時走査を行うSFのビット値をd1〜d6とする。尚、XiとYi(i=1〜4)との間の二乗誤差をδiとする。
【0049】
表示用の画像データY1〜Y4におけるそれぞれのSF1〜SF8の画像データは、ブロック毎に、当該ブロックにおいて元の画像データと表示用の画像データとの間の誤差が全体として最も小さくなるように設定される。表示用の画像データY1〜Y4は、重みが小さいSF1,SF2について、ビット値が同じd1,d2になるように設定され、SF3,4について、最初の2行ではビット値が同じd3,d4になるように、次の2行でもビット値が同じd5,d6になるようにそれぞれ設定される。すなわち、ビットの重みが小さいSFほど、ビット値が同一になる行数が多くなるように設定される。ビットの重みが小さいSFの画像データを変更しても、画質に与える影響がさほど大きくないから、画質劣化を抑えることができる。
【0050】
(データ変換テーブル)
次に、データ決定部3がデータ変換を行う際に用いるデータ変換テーブル12の構成について説明する。図5は、その構成を示す図である。このデータ変換テーブル12は、表示装置1が実際に動作する前に、予め作成される。データ変換テーブル12は、元の画像データX、SF1のビット値を示すd1、SF2のビット値を示すd2、SF3のビット値を示すd3,d5、SF4のビット値を示すd4,d6、表示用の画像データY、及び誤差δの各項目により構成される。元の画像データX及び表示用の画像データYは0〜255の値であり、d1〜d6は0または1のビット値であり、誤差δは、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の二乗誤差である。誤差δを二乗誤差とすることにより、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の誤差を、画像を見る人間の視覚特性に適合させることができ、二乗誤差に基づいて表示用の画像データが特定されることで、画質向上を実現することができる。
【0051】
元の画像データXと、d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)のビット値との間の組合せは、例えば、元の画像データX=0の場合、d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)のビット値の組合せが24=16通り存在し、元の画像データX=1の場合も16通り存在する。したがって、元の画像データXが8ビットであって、そのデータ範囲が0〜255の場合、256×16=4096通り存在することになる。つまり、図5のデータ変換テーブル12では、元の画像データXに対して、4096通りのd1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)のビット値の組合せが存在する。
【0052】
そして、表示用の画像データYは、元の画像データXと、SF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)及びSF5〜SF8のビット値からなる画像データとの間の差が最小となるデータが設定される。例えば、図5の(1)の箇所において、元の画像データX=0、d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)=(1100)の場合、表示用の画像データYは、元の画像データX=0との間の差が最小となるデータ、すなわち、SF5〜SF8=0のときの画像データ=(11000000)となる。つまり、表示用の画像データY=3となり、誤差δ=(0−3)2=9となる。また、図5の(2)の箇所において、元の画像データX=255、d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)=(1011)の場合、表示用の画像データYは、元の画像データX=255との間の差が最小となるデータ、すなわち、SF5〜SF8=1111のときの画像データ=(10111111)となる。つまり、表示用の画像データY=253となり、誤差δ=(255−253)2=4となる。
【0053】
このように、元の画像データX、SF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)、元の画像データXとSF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)及びSF5〜SF8のビット値からなる画像データとの間の差が最小となる表示用の画像データY、誤差δからなるデータ変換テーブル12が予め設定される。つまり、データ変換テーブル12は、元の画像データXと、複数行同時走査を行うSFのビット値の全ての組合せ毎に、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の誤差が予め計算され、それらの全ての組合せが収納されたテーブルである。
【0054】
(選択パターンテーブル)
次に、データ決定部3が表示用の画像データを複数決定した際に用いる選択パターンテーブル13の構成について説明する。図6は、その構成を示す図である。この選択パターンテーブル13は、表示装置1が実際に動作する前に予め作成され、M行×N列の画素からなる1画面のフレームに対し、選択パターンA,Bがブロック毎に定義されている。0,1,2,・・・,N−1は、フレームの水平方向において、ブロックの位置を特定するための番号(列番号)を示し、0,1,2,・・・,M/4−1は、フレームの垂直方向において、ブロックの位置を特定するための番号を示す。Mは4の倍数とする。
【0055】
図6に示す選択パターンテーブル13は、任意のブロックにおける選択パターンと、そのブロックを中心とした上下左右の隣接ブロックにおける選択パターンとが異なるように定義されている。例えば、水平方向の番号2及び垂直方向の番号2のブロックにおける選択パターンはAであり、その上下左右の隣接ブロックにおける選択パターンは全てBであり、選択パターンが異なっている。他のブロックにおいても同様である。
【0056】
元の画像データXに対し、複数行同時走査を行うSFのビット値の組合せを示す番号をkとした場合、例えば、選択パターンAは、決定された複数の表示用の画像データに対応する複数のkのうち、最も小さいkを選択することを示し、選択パターンBは、最も大きいkを選択することを示す。つまり、データ決定部3により2個の表示用の画像データが決定され、これらの2個の表示用の画像データに対応してk=k1,k2(k1<k2)である場合、選択パターンAは、k=k1を選択することを示し、選択パターンBは、k=k2を選択することを示す。
【0057】
尚、選択パターンテーブル13は、選択パターンA,Bがブロック毎にランダムに配置されるように定義してもよいし、3以上の表示用の画像データが決定されることを想定して3以上の異なる選択パターンを定義するようにしてもよい。また、任意のブロックにおける選択パターンと、そのブロックを中心とした上下左右及び斜めの隣接ブロックにおける選択パターンとが異なるように定義するようにしてもよい。要するに、同一の選択パターンが1画面のフレーム全体として偏ることなく分散するように配置されていればよい。表示パネル6に表示される1画面のフレームにおいて、選択パターンが分散することにより、表示用の画像データが分散し、誤差も分散し、同じ誤差(プラス側の誤差またはマイナス側の誤差)を有する表示用の画像データが同じ領域に偏ることがなく、画質劣化を抑えることができるからである。また、選択パターンテーブル13に、例えば4個の選択パターンA,B,C,Dが定義され、データ決定部3により4個の表示用の画像データが決定された場合、選択パターンAは、決定された4個の表示用の画像データに対応する4個のkのうち最も小さいkを選択することを示し、選択パターンDは、最も大きいkを選択することを示し、選択パターンBは、選択パターンAの次に小さいkを選択することを示し、選択パターンCは、選択パターンDの次に大きいkを選択することを示すようにしてもよい。また、選択パターンテーブル13に、例えば4個の選択パターンA,B,C,Dが定義され、データ決定部3により2個の表示用の画像データが決定された場合、選択パターンA,Bは、決定された2個の表示用の画像データに対応する2個のkのうち小さい方のkを選択することを示し、選択パターンC,Dは、大きい方のkを選択することを示すようにしてもよい。
【0058】
このように、データ決定部3が表示用の画像データを複数決定した場合に、フレーム内の画素位置に応じたブロック毎に、どの表示用の画像データを選択するかを示す選択パターンテーブル13が予め設定される。1画面のフレーム内で選択パターンが分散するように定義した選択パターンテーブル13を用いることにより、表示用の画像データが分散し、すなわち誤差が分散するから、同じ誤差(プラス側の誤差またはマイナス側の誤差)を有する表示用の画像データが同じ領域に偏ることがなく、画質劣化を抑えることができる。
【0059】
(データ決定部/処理)
次に、データ決定部3の処理について詳細に説明する。図7は、データ決定部3のアルゴリズムの概要を説明する図であり、図8は、データ決定部3の処理を示すフローチャートである。また、図10は、データ決定部3のアルゴリズムの具体例1(誤差が最小となる表示用の画像データY1〜Y4が1個決定された場合)を説明する図であり、図11は、データ決定部13のアルゴリズムの具体例2(誤差が最小となる表示用の画像データY1〜Y4が複数個決定された場合)を説明する図である。図7及び図8において、以下に示すステップS801〜ステップS809の処理は、ブロック毎に行われる。
【0060】
まず、データ決定部3は、サブフィールド変換部2から、ブロックを構成する元の画像データX1〜X4を入力し(ステップS801)、パラメータk=0を設定する(ステップS802)。ここで、kは、d1〜d6の各ビット値の重みを考慮した数値である。例えば、k=0はd1〜d6=(000000)を示し、k=1はd1〜d6=(100000)を示し、同様に、k=62はd1〜d6=(011111)を示し、k=63はd1〜d6=(111111)を示している。
【0061】
図10の具体例では、データ決定部3は、画像データX1=47,X2=60,X3=44,X4=47を入力する。また、図11の具体例では、データ決定部3は、画像データX1=32,X2=40,X3=40,X4=48を入力する。
【0062】
図7及び図8に戻って、データ決定部3は、図5に示したデータ変換テーブル12から、元の画像データX=X1,k=0(すなわち、d1〜d6=(000000))における表示用の画像データY=Y1及び誤差δ=δ1を抽出し、同様に、元の画像データX=X2〜X4,k=0における表示用の画像データY=Y2〜Y4及び誤差δ=δ2〜δ4を抽出する(ステップS803)。そして、データ決定部3は、誤差Δk=δ1+δ2+δ3+δ4を計算し(ステップS804)、k=k+1を計算してd1〜d6を再設定する(ステップS805)。
【0063】
データ決定部3は、kが63よりも大きいか否か(k>63であるか否か)を判定し(ステップS806)、kが63よりも大きい(k>63)、すなわちk=64であると判定した場合(ステップS806:Y)、ステップS807へ移行する。一方、データ決定部3は、ステップS806において、kが63よりも大きくない(k>63でない)と判定した場合(ステップS806:N)、ステップS803へ移行し、ステップS805にて計算した新たなkについての処理を行う。
【0064】
図10の具体例1では、データ決定部3は、k=0のとき、すなわちd1〜d6=(000000)のとき、データ変換テーブル12から、表示用の画像データY1=48,Y2=64,Y3=48,Y4=48、及び誤差δ1=1,δ2=16,δ3=16,δ4=1を抽出し、誤差Δ0=1+16+16+1=34を計算する。図11の具体例2では、データ決定部3は、k=0のとき、すなわちd1〜d6=(000000)のとき、データ変換テーブル12から、表示用の画像データY1=32,Y2=32,Y3=32,Y4=48、及び誤差δ1=0,δ2=64,δ3=64,δ4=0を抽出し、誤差Δ0=0+64+64+0=128を計算する。同様に、データ決定部3は、k=1〜63のときの表示用の画像データY1〜Y4及び誤差δ1〜δ4を抽出し、誤差Δ1〜Δ63を計算する。
【0065】
図7及び図8に戻って、データ決定部3は、ステップS806から移行して、k=0〜63における全ての誤差Δkのうち、誤差Δkが最小となるk=kmin;(d1,d2,・・・,d6)を特定し(ステップS807)、k=kminにおける表示用の画像データY1〜Y4を特定する(ステップS808)。そして、データ決定部3は、ステップS808において特定した表示用の画像データY1〜Y4を、元の画像データX1〜X4全体に対し最小の誤差を有する表示用の画像データY1〜Y4として決定し、これらをフレームメモリ4に出力する(ステップS809)。尚、データ決定部3は、ステップS807において、誤差Δkが最小となるk=kminを複数特定する場合があり得る。この場合の処理については、後述する図9にて説明する。
【0066】
図9は、図8に示すフローチャートのうち、表示用の画像データY1〜Y4を特定する処理(ステップS808)の詳細を示すフローチャートである。データ決定部3は、ステップS807において特定したk=kminが複数個であるか否かを判定し(ステップS901)、k=kminが複数個であると判定した場合(ステップS901:Y)、ステップS902へ移行し、k=kminが1個であると判定した場合(ステップS901:N)、ステップS904へ移行する。
【0067】
データ決定部3は、k=kminが複数個の場合ステップS901から移行して、選択パターンテーブル13から、X1〜X4のブロックに対応する選択パターンを抽出し(ステップS902)、その選択パターンに基づいて複数個のkから1個のkを選択する(ステップS903)。
【0068】
データ決定部3は、k=kminが1個の場合ステップS901から移行して、またはステップS903から移行して、k=kminが1個の場合のkにおける表示用の画像データY1〜Y4、またはステップS903にて選択したkにおける表示用の画像データY1〜Y4を特定する(ステップS904)。
【0069】
図10の具体例1では、データ決定部3は、誤差Δ0〜Δ63のうちの最小の誤差Δ61=10を判定し、すなわち、誤差Δkが最小となるk=kmin=61;d1〜d6=(101111)を特定し、k=kmin=61のときの表示用の画像データY1=45,Y2=61,Y3=45,Y4=45を特定し、フレームメモリ4に出力する。この場合、特定された(決定された)表示用の画像データY1〜Y4は1個である。
【0070】
図11の具体例2では、データ決定部3は、誤差Δ0〜Δ63のうちの最小の誤差Δ20=Δ60=10を判定し、すなわち、誤差Δkが最小となる2個のk=kmin=20;d1〜d6=(001010)及びk=kmin=60;d1〜d6=(001111)を特定する。そして、データ決定部3は、選択パターンテーブル13から、そのブロックに対応する選択パターンを抽出する。例えば、抽出した選択パターンが前述のAの場合、選択パターンAに基づいて、k=kmin=20,60のうちの小さい方のk=kmin=20を選択し、k=kmin=20のときの表示用の画像データY1=36,Y2=36,Y3=36,Y4=52を特定し、フレームメモリ4に出力する。一方、抽出した選択パターンが前述のBの場合、選択パターンBに基づいて、k=kmin=20,60のうちの大きい方のk=kmin=60を選択し、k=kmin=60のときの表示用の画像データY1=28,Y2=44,Y3=44,Y4=44を特定し、フレームメモリ4に出力する。この場合、特定された(決定された)表示用の画像データY1〜Y4は2個である。尚、表示用の画像データY1〜Y4が3個以上の場合もあり得るが、前述と同様の手法により、選択パターンに基づいた1個のkが選択される。
【0071】
データ決定部3は、前述の処理を、1画面のフレームを構成する全てのブロックに対して繰り返し行うことにより、全ての画素について元の画像データを表示用の画像データに変換し、フレームメモリ4に出力する。
【0072】
〔実験結果〕
次に、実験結果(コンピューターによるシミュレーションの結果)について説明する。図15は、RGBの画像データに対するSSIM(Structural SIMilarity)による画質評価結果を示す図であり、図16は、YUVの画像データに対するSSIMによる画質評価結果を示す図である。図15及び図16において、(1)は、従来技術による表示装置(非特許文献1の表示装置)を用いた場合の画質評価結果のSSIMを示し、(2)は、図1に示した本発明の実施形態による表示装置1を用いた場合の画質評価結果のSSIMを示している。また、横軸の「時計」「桜」「ドラマ」「夜景」は画像データの種類を示し、縦軸はSSIMを示している。SSIMは、元の画像データと階調表示が行われる画像データとの間で、画質を評価するために用いる構造的類似性の指数である。SSIMの値が大きいほど、2つの画像データの類似性の度合いが高いことを示しており、つまり、階調表示が行われる画像データが元の画像データに近く、画質が良いことを示している。図15及び図16から、(1)の従来技術よりも(2)の本発明の実施形態の方が、全ての画像データの種類においてSSIMが大きいことがわかる。つまり、(1)の従来技術よりも(2)の本発明の実施形態の方が、元の画像データとの間の類似度が高く、画質が良くなっていることがわかる。
【0073】
以上のように、本発明の実施形態による表示装置1によれば、元の画像データX、SF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)、元の画像データXとSF1〜SF4のビット値d1,d2,d3(またはd5),d4(またはd6)及びSF5〜SF8のビット値からなる画像データとの間の差が最小となる表示用の画像データY、誤差δからなるデータ変換テーブル12が予め設定され、データ決定部3が、このデータ変換テーブル12を用いて、ブロック毎に、元の画像データX1〜X4及びd1〜d6の全ての組合せについて、表示用の画像データY1〜Y4及びその誤差δ1〜δ4を抽出し、64通りのΔk=δ1+δ2+δ3+δ4(k=0〜63)を計算し、Δkが最小となるkを特定し、kにおける表示用の画像データY1〜Y4を、元の画像データX1〜X4全体に対して最小の誤差を有する表示用の画像データとして決定するようにした。これにより、表示用の画像データYにおける所定の重みを有するSFが、隣接する行について同じビット値になっているから、データドライバ7は、表示用の画像データYの値に従って複数行を同時にアドレスすることができ、画像全体としての誤差を最小にし、画質劣化を抑制することが可能となる。
【0074】
また、本発明の実施形態による表示装置1によれば、ブロック毎の選択パターンを定義した選択パターンテーブル13が予め設定され、データ決定部3が、Δkが最小となるkを複数特定した場合、この選択パターンテーブル13に定義された選択パターンに基づいて、複数のkのうちの1個のkを選択し、そのkにおける表示用の画像データY1〜Y4を、元の画像データX1〜X4全体に対し最小の誤差を有する表示用の画像データとして決定するようにした。選択パターンが1画面のフレーム内で分散するように定義された選択パターンテーブル13を用いることで、表示用の画像データが分散し、すなわち同じ誤差(プラス側の誤差またはマイナス側の誤差)を有する表示用の画像データが同じ領域に偏ることがなく誤差が分散するから、画質劣化を抑えることができる。
【0075】
例えば、ある領域内の複数のブロックにおいて、データ決定部3によりΔkが最小となるkが複数特定された場合、すなわち表示用の画像データが複数決定された場合を想定する。従来技術では、その領域内において、全ての表示用の画像データY1の誤差がプラス側またはマイナス側に偏ってしまい、画質が劣化する可能性がある。これに対し、本発明の実施形態による表示装置1では、選択パターンがその領域内で分散するように定義された選択パターンテーブル13を用いるから、その領域内において、同じプラス側の誤差またはマイナス側の誤差を有する表示用の画像データY1〜Y4は分散し、同じ極性の誤差を有する表示用の画像データY1〜Y4が偏ることがないから、画質の劣化を抑えることができる。
【0076】
図11に示した具体例では、ある領域の全てのブロックにおいて、元の画像データX1=32,X2=40,X3=40,X4=48が同じ場合、従来技術では、その領域内の全てのブロックにおいて、同じ表示用の画像データY1=36,Y2=36,Y3=36,Y4=52(選択パターンA)が決定される可能性がある。これに対し、本発明の実施形態による表示装置1では、同じ表示用の画像データY1〜Y4が決定されることがなく、表示用の画像データY1=36,Y2=36,Y3=36,Y4=52(選択パターンA)と、表示用の画像データY1=28,Y2=44,Y3=44,Y4=44(選択パターンB)とが分散することになる。ここで、元の画像データX1=32に対して、選択パターンAの表示用の画像データY1=36はプラス側の誤差を有し、選択パターンBの表示用の画像データY1=28はマイナス側の誤差を有している。同様に、元の画像データX2,X3=40に対して、選択パターンAの表示用の画像データY2,Y3=36はマイナス側の誤差を有し、選択パターンBの表示用の画像データY2,Y3=44はマイナス側の誤差を有している。また、元の画像データX4=48に対して、選択パターンAの表示用の画像データY4=52はプラス側の誤差を有し、選択パターンBの表示用の画像データY4=44はマイナス側の誤差を有している。これにより、同じ表示用の画像データY1〜Y4が分散し、同じ誤差を有する表示用の画像データY1〜Y4が同じ領域に偏ることがない。したがって、プラス側の誤差及びマイナス側の誤差が画素単位で分散するから、全体の画像として見ると誤差が相殺されて0になり、結果として画質劣化を抑えることができる。
【0077】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。前記実施形態では、表示装置1のデータ決定部3が、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の二乗誤差を定義したデータ変換テーブル12を用いるようにしたが、二乗誤差の代わりに、元の画像データXと表示用の画像データYとの間の差を定義したデータ変換テーブル12を用いるようにしてもよい。図5に示したデータ変換テーブル12は一例であり、本発明は、このデータ変換テーブル12を用いることに限定されるものではない。図6に示した選択パターンテーブル13についても同様である。
【0078】
また、前記実施形態では、表示装置1のデータ決定部3が、表示用の画像データY1〜Y4の所定ビットであるd1〜d6が規定されたデータ変換テーブル12を用いて、表示用の画像データY1〜Y4を決定するようにしたが、表示用の画像データY1〜Y4を決定する処理はこれに限定されるものではない。例えば、データ決定部3は、元の画像データX1〜X4の平均値を算出し、その平均値における下位の2ビットをd1,d2に設定し、d3〜d6が規定されたデータ変換テーブル12を用いて、表示用の画像データY1〜Y4を決定するようにしてもよい。これにより、パラメータkの数を減らすことができ、データ決定部3の処理負荷を軽減することができる。
【0079】
また、本発明は、画像データの階調数を8ビットに限定するものではなく、ビットを分散させて同じビット値を設定するSFをSF1〜SF4に限定するものでもない。例えば、同じビット値を設定するSFをSF1〜SF3としてもよいし、SF1〜SF5としてもよい。また、どのSFを複数行同時アドレスの対象にするか、データ変換テーブル12及び選択パターンテーブル13をどのようなものにするかは、前記実施形態に限定されるものではない。また、本発明は、データ決定部3によってデータ変換を行う単位を4行としたが、4行に限定されるものではなく、例えば8行としてもよい。
【0080】
また、図4に示したSF毎の表示用の画像データY1〜Y4では、変換単位(4行)のブロック毎に、重みが小さいSF1,SF2について、ビット値が同じd1,d2になるように設定され、SF3,4について、最初の2行ではビット値が同じd3,d4になるように、次の2行でもビット値が同じd5,d6になるようにそれぞれ設定される。すなわち、SF1,SF2では、同じビット値が連続する行数が4であり、最大値である。これに対し、SF3,SF4では、同じビット値が連続する行数が2であり、最大値4の約数になっている。本発明では、所定の第1のSFについて(図4の例ではSF1,SF2)、ビット値が同じになる連続する行数を最大値とした場合(図4の例では最大値4)、この第1のSFとは異なる第2のSF(図4の例ではSF3,SF4)については、ビット値が同じになる連続する行数がその最大値の約数になるように(図4の例では、SF3,SF4の行数は2)、それぞれの表示用の画像データYを決定すればよい。
【符号の説明】
【0081】
1 表示装置
2 サブフィールド変換部
3 データ決定部
4 フレームメモリ
5 タイミングパルス発生部
6 表示パネル
7 データドライバ
8 維持ドライバ
9 アドレス電極
10 走査電極
11 維持電極
12 データ変換テーブル
13 選択パターンテーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向及び列方向に配列した複数の画素を階調表示する際に、前記画素についての元の画像データを、ビット位置を示すサブフィールド毎のビット値からなる表示用画像データに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を、前記ビット位置の重みに応じた時間分前記ビット値に基づいて発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記表示用画像データに従って前記階調表示を行う表示装置において、
所定行数の複数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロックにおいて複数の前記元の画像データと複数の前記表示用画像データとの間の誤差が最小になり、かつ、所定のサブフィールドについて、前記所定行数内で連続する複数行のビット値が同じになるように、前記階調表示を行う表示用画像データを決定するデータ決定部と、
前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するドライバ部と、を備え、
前記データ決定部が、
前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記データ決定部が、
前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、所定のブロックの表示用画像データと前記所定のブロックに対して上下左右に位置する隣接ブロックの表示用画像データとが異なるように、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、
前記データ決定部が、
前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、各ブロックの表示用画像データがランダムになるように、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
行方向及び列方向に配列した複数の画素を階調表示する際に、前記画素についての元の画像データを、ビット位置を示すサブフィールド毎のビット値からなる表示用画像データに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を、前記ビット位置の重みに応じた時間分前記ビット値に基づいて発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記表示用画像データに従って前記階調表示を行う方法において、
所定行数の複数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロックにおいて複数の前記元の画像データと複数の前記表示用画像データとの間の誤差が最小になり、かつ、所定のサブフィールドについて、前記所定行数内で連続する複数行のビット値が同じになるように、前記階調表示を行う表示用画像データを決定するステップと、
前記ステップにて、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択するステップと、
前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するステップと、
を有することを特徴とする表示方法。
【請求項1】
行方向及び列方向に配列した複数の画素を階調表示する際に、前記画素についての元の画像データを、ビット位置を示すサブフィールド毎のビット値からなる表示用画像データに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を、前記ビット位置の重みに応じた時間分前記ビット値に基づいて発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記表示用画像データに従って前記階調表示を行う表示装置において、
所定行数の複数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロックにおいて複数の前記元の画像データと複数の前記表示用画像データとの間の誤差が最小になり、かつ、所定のサブフィールドについて、前記所定行数内で連続する複数行のビット値が同じになるように、前記階調表示を行う表示用画像データを決定するデータ決定部と、
前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するドライバ部と、を備え、
前記データ決定部が、
前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記データ決定部が、
前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、所定のブロックの表示用画像データと前記所定のブロックに対して上下左右に位置する隣接ブロックの表示用画像データとが異なるように、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、
前記データ決定部が、
前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、各ブロックの表示用画像データがランダムになるように、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
行方向及び列方向に配列した複数の画素を階調表示する際に、前記画素についての元の画像データを、ビット位置を示すサブフィールド毎のビット値からなる表示用画像データに変換し、前記画素を選択するアドレス期間と、前記選択した画素を、前記ビット位置の重みに応じた時間分前記ビット値に基づいて発光させる表示期間とからなるサブフィールドの処理により、前記表示用画像データに従って前記階調表示を行う方法において、
所定行数の複数の画像データを単位とするブロック毎に、当該ブロックにおいて複数の前記元の画像データと複数の前記表示用画像データとの間の誤差が最小になり、かつ、所定のサブフィールドについて、前記所定行数内で連続する複数行のビット値が同じになるように、前記階調表示を行う表示用画像データを決定するステップと、
前記ステップにて、前記階調表示を行う表示用画像データとして複数の表示用画像データを決定した場合、前記ブロック毎に予め設定された選択条件に従って、前記複数の表示用画像データから1個の表示用画像データを選択するステップと、
前記所定のサブフィールドのアドレス期間において、前記連続する複数行の画素に対して同時に走査するステップと、
を有することを特徴とする表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−113876(P2013−113876A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257241(P2011−257241)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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