表示装置及び駆動方法
【課題】従来の容量に蓄積した電荷を発光素子に流し、発光(残光)させることで所望の輝度を得る駆動方法では、現実的なレイアウトサイズよりかなり大きいキャパシタの容量を必要とする。
【解決手段】 発光素子と、発光素子に接続され発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、駆動回路は、キャパシタと、選択線の信号によりデータ線とキャパシタとを接続するスイッチとを備え、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームの画像データを保存する記憶部と、記憶部に保存された画像データを時間的に分割された複数のフィールドに繰り返し出力する制御回路とを有し、データ線に、出力された画像データに基づくデータ信号が出力される。
【解決手段】 発光素子と、発光素子に接続され発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、駆動回路は、キャパシタと、選択線の信号によりデータ線とキャパシタとを接続するスイッチとを備え、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームの画像データを保存する記憶部と、記憶部に保存された画像データを時間的に分割された複数のフィールドに繰り返し出力する制御回路とを有し、データ線に、出力された画像データに基づくデータ信号が出力される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を用いた表示装置及びその駆動方法に関するものである。特に、有機及び無機EL(エレクトロルミネセンス)又はLED(発光ダイオード)等のような発光輝度が素子を流れる電流により制御される電流制御型発光素子を用いた表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機物半導体材料を用いた、電子デバイスの開発が広く行なわれており、発光素子である有機EL(Electro-Luminescence)、有機TFT(Thin Film Transistor)、有機太陽電池等の開発が報告されている。中でも、有機ELディスプレイは、最も実用化に近い技術として有望視されている。
【0003】
有機ELディスプレイパネルの構成は、パッシブマトリックス型とアクティブマトリックス型に分類される。パッシブマトリックス型ではTFTが不要であるので、高精細化や基板の低コスト化といった利点がある。しかし、点滅駆動が前提となり、点灯時に流す電流値が大きくなるため、輝度と寿命に深刻なトレードオフが存在し、高輝度のディスプレイパネルを得ることが難しいとされる。また、寄生容量や瞬時輝度に起因する消費電力の増大が問題としてある。
【0004】
一方、アクティブマトリックス型では、必ずしも点滅駆動させる必要が無く、常時点灯に近い動作が可能となるため、点灯時に流す電流値を低くすることができ、有機ELの長寿命化や消費電力の面で有利となる。しかし、アクティブマトリックス型では、TFTの特性ドリフトや精細度、コスト、歩留まりの面で不利である。
【0005】
パッシブマトリックス型とアクティブマトリックス型の長所を併せ持つ方式として、電荷蓄積手段に蓄積した電荷を、選択期間後に発光素子に流すことによる発光(以下、残光と呼ぶ)を利用した駆動方法(以下、電荷駆動方式と呼ぶ)が提案されている。電荷蓄積手段としては、通常は基板上の画素内の駆動回路内に設けたキャパシタを用いる。駆動回路としては、基本的には、スイッチと、キャパシタを1つずつ設ければ良い。電荷駆動方式については、特許文献1、特許文献2、特許文献3などに紹介されている。
【0006】
図5は、従来の電荷駆動方式の表示装置の構成を示す図である。画素101は、1つのキャパシタ103と、電荷の蓄積を制御する1つのスイッチ104と、発光素子102から成る。なお、図5では一部の画素のみ示しているが、実際は横方向にX個、縦方向にY個、マトリックス状に配置されて表示領域を構成している。そして、各画素を行単位で選択する選択線106−1〜選択線106−Yと、各画素にデータ信号を入力するデータ線105−1〜データ線105−Xとから成る。発光素子102は、例えば有機エレクトロルミネセンス(EL)素子が用いられる。
【0007】
上記表示装置の動作原理について説明する。選択線106−1からの信号によって選択線106に接続される各画素のスイッチ104がONする。すると、データ線105−1〜105−Xから輝度データに応じたデータ電圧(又はデータ電流)がスイッチ104を介してキャパシタ103に印加される。これにより、データ電圧に応じた電流が発光素子に流れ、所望の輝度で発光する。
【0008】
次に、選択線106−1からの信号によって選択線106に接続される各画素のスイッチ104をOFFする。すると、キャパシタ103に蓄積された電荷が発光素子102に流れ、残光を生じる。残光は電荷量で制御することができ、この電荷量はデータ電圧とキャパシタ103の容量で決定される。つまり、キャパシタ充電時のデータ電圧(又はデータ電流)に応じた発光に加え、電荷量に応じた残光を利用することで、所望の輝度を得る駆動方式である。
【0009】
この方式を用いれば、画素の駆動回路の構成がシンプルなので高精細化が容易であり、さらにTFTをスイッチとして用いるので、TFTの特性ばらつきの影響が小さく、TFTの歩留まりを上げることが可能となる。
【0010】
図6は、従来の電荷駆動方式の表示装置のタイミングチャートを示す図である。横軸は時間を示し、2フレーム(M番目、(M+1)番目)の動作を説明している。1つのフレームは1画面分の画像データを表示する時間であり、1フレーム周期で表示装置を駆動する不図示のコントローラに、外部から画像データが入力される。
【0011】
図6に示す選択信号S1〜SYは、図5の選択線106−1〜106−Yにそれぞれ印加される信号である。例えば、M番目のフレームにおいて、1選択期間にHighとなる電圧パルスを選択信号S1〜SYとして、順次印加していく。選択信号S1〜SYの各々がHighとなる期間、画素101内のスイッチ104はONとなり、キャパシタ103の1端子側(発光素子102のアノード側)の電位がデータ線105−1〜105−Xに印加されたデータ電圧となる。この結果、データ電圧に応じた電荷がキャパシタ103に蓄積される。このように、1フレーム期間で、キャパシタ103には行単位で順次、電荷が蓄積されていく。また、(M+1)番目のフレームについても同様な動作が行われる。
【0012】
図5のデータ線105−1〜105−Xには、画像データに応じた信号であるデータ信号がそれぞれ印加される。ここでは、データ線105−1に印加されるデータ信号D1を例にとって説明をする。図6において、データ信号はデータ信号D1のみが示されている。
【0013】
データ信号D1は選択期間に発光素子102を所望の輝度で発光させる階調電圧であり、選択信号S1〜SYに同期して規定の階調で変化する。ここで、電圧ではなく、電流としても良い。例えば、M番目のフレームにおいて、選択信号S1〜SYに応じてデータ信号D1の階調電圧は変化する。このM番目のフレームのデータ信号D1はM番目のフレームの画像データに基づく信号である。また、同様に、(M+1)番目のフレームのデータ信号D1は(M+1)番目のフレームの画像データに基づく信号である。
【0014】
マトリックス状に配された発光素子102は、選択信号S1〜SYに応じて、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第Y行目の発光素子102のように行単位で順次発光する。各発光素子102は、選択期間はデータ信号D1の電圧と発光素子102のカソード電位の電圧差に応じた電流が流れて発光する。選択期間後は、キャパシタ103に蓄積された電荷が発光素子102に流れて残光として発光する。例えば、M番目のフレームでは、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第Y行目の発光素子102のように、順次発光(選択期間の発光と残光)する。また、(M+1)番目のフレームについても、同様に発光の動作を行う。図6においてI1〜IYはデータ線105−1に接続されるY個の画素の発光素子102の発光素子電流を示す。
【特許文献1】特開平08−054836号公報
【特許文献2】特許3281848号公報
【特許文献3】特開2000−276109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、電荷駆動方式を用いる場合、残光が必要とする輝度に対して小さいので、瞬時輝度が高くなってしまう。瞬時輝度が高くピーク電流が大きいので、DC成分の消費電力が大きくなってしまう。ここで、アクティブマトリックス型と同等の消費電力に低減するためには、ピーク電流を抑え、且つ残光を大きくすることが求められる。
【0016】
低いピーク電流で同等の輝度を保つには、容量を大きくして残光時間を長くすれば良い。しかしながら、1画素あたりの有機EL素子の容量と、1画素内に作成できるキャパシタの容量にはレイアウト上の制限がある。例えば、VGAの3インチパネルを想定した場合、残光を利用してピーク輝度250cd/m2を得るには、14pF程度の容量が必要となる。ここでは、データ電圧を15V、発光素子の電流密度を1A/cm2と仮定した。これに対し、仮に1画素全域にレイアウトしても、有機EL素子とキャパシタを合わせて2〜3pF程度であり、これでは30〜50cd/m2程度の輝度しか得られない。
【0017】
従って、従来の容量に蓄積した電荷を発光素子に流し、発光(残光)させることで所望の輝度を得る駆動方法では、現実的なレイアウトサイズよりかなり大きいキャパシタの容量を必要とする、という課題があった。
【0018】
本発明の目的は、残光に用いる容量の大きさを従来と比べて低減し、所望の輝度で発光が可能な表示装置及び駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、発光素子と、前記発光素子に接続され前記発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、
一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、
前記駆動回路は、キャパシタと、前記選択線の信号により前記データ線と前記キャパシタとを接続するスイッチとを備える表示装置であって、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームの該画像データを保存する記憶部と、前記記憶部に保存された前記画像データを時間的に分割された複数のフィールドに繰り返し出力する制御回路とを有し、
前記データ線に出力された前記画像データに基づく前記データ信号が出力され、
前記複数のフィールドの各々で、前記データ線から前記キャパシタへの前記データ信号の伝達と、前記キャパシタから前記発光素子への電荷供給とを実行してなる表示装置である。
【0020】
また本発明は、発光素子と、前記発光素子に接続され前記発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、
一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、
前記駆動回路は、キャパシタと、前記選択線の信号により前記データ線と前記キャパシタとを接続するスイッチとを備える表示装置の駆動方法であって、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームが、時間的に分割された複数のフィールドから成り、前記複数のフィールドの各々で、前記データ線から前記キャパシタへの前記データ信号の伝達と、前記キャパシタから前記発光素子への電荷供給とを実行してなる表示装置の駆動方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、1画面分の画像データを表示する1つのフレームを複数のフィールドで表示する。フィールド数が増えて選択期間が短くなっても、1つの残光の輝度は低下することはない。この特徴を利用し、残光による発光量をフィールド数だけ倍増することができる。この結果、残光に用いる容量の大きさを従来と比べて低減し、所望の輝度で発光することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態において、表示装置の構成は図5を用いて説明した構成と同じなので説明を省略する。選択線106−1〜106−Yのそれぞれは、一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する配線であり、データ線105−1〜105−Xのそれぞれは、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加する配線である。画素101の駆動回路は、1つのキャパシタ103と、電荷の蓄積を制御する1つのスイッチ104とから構成される。
【0023】
図1は、本発明に係る実施形態の表示装置のタイミングチャートを示す図である。横軸は時間を示し、2フレーム(M番目、(M+1)番目)の動作を説明している。1つのフレームは1画面分の画像データを表示する時間であり、1フレーム周期で表示装置を駆動する不図示のコントローラに、外部から画像データが入力される。1つのフレームは、時間的に分割された複数のフィールドで構成され、フィールド数をN(Nは2以上の自然数である)として以後説明を続ける。複数のフィールドの各々で、データ線からキャパシタへのデータ信号の伝達と、キャパシタから発光素子への電荷供給とが実行される。
【0024】
図1に示す選択信号S1〜SYは、図5の選択線106−1〜106−Yにそれぞれ印加される信号である。第1フィールド〜第Nフィールドの各フィールドにおいて選択信号S1〜SYが順次印加されていき、各選択信号は1選択期間にHighとなる電圧パルスとして印加される。例えば、選択信号S1がHighとなる期間、選択線106−1に接続される画素101内のスイッチ104はONとなり、キャパシタ103の1端子側(発光素子102のアノード側)の電位がデータ線105に印加されたデータ電圧となる。この結果、データ電圧に応じた電荷がキャパシタ103に蓄積される。選択信号S2〜SYについても順次同様な動作が行われていく。このように、1フィールド期間で、キャパシタ103には行単位で順次、電荷が蓄積されていく。
【0025】
第1フィールド〜第Nフィールドまでの動作は各フレームごとに行われ、図1ではM番目のフレームと(M+1)番目のフレームでの動作が示されている。
【0026】
図5のデータ線105−1〜105−Xには、画像データに応じた信号であるデータ信号がそれぞれ印加される。ここでは、データ線105−1に印加されるデータ信号D1を例にとって説明をする。図1において、データ信号はデータ信号D1のみが示されている。
【0027】
データ信号D1は選択期間に発光素子102を所望の輝度で発光させる階調電圧であり、選択信号S1〜SYに同期して規定の階調で変化する。ここで、電圧ではなく、電流としても良い。例えば、M番目のフレームにおいて、第1フィールドでは、選択信号S1〜SYに応じてデータ信号D1の階調電圧は変化する。この第1フィールドのデータ信号D1はM番目のフレームの画像データに基づく信号であるが、第1フィールドに続く第2フィールド〜第Nフィールドにおいても、選択信号S1〜SYに応じて同じ信号を出力する。つまり、第1フィールド〜第Nフィールドでは、1画面分の走査を同じ画像データに基づいてN回繰り返していることになる。また、(M+1)番目のフレームについても、(M+1)番目のフレームの画像データに基づいて、M番目のフレームと同様な動作を行なう。
【0028】
マトリックス状に配された発光素子102は、選択信号S1〜SYに応じて、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第Y行目の発光素子102のように行単位で順次発光する。各発光素子102は、選択期間はデータ信号D1の電圧と発光素子102のカソード電位の電圧差に応じた電流が流れて発光する。選択期間後は、キャパシタ103に蓄積された電荷が発光素子102に流れて残光として発光する。1つのフィールドでは、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第Y行目の発光素子102のように、順次発光(選択期間の発光と残光)する。これを第1フィールド〜第Nフィールドまで繰り返す。また、(M+1)番目のフレームについても、同様に発光の動作を行なう。図1においてI1〜IYはデータ線105−1に接続されるY個の画素の発光素子102のそれぞれの発光素子電流を示す。
【0029】
次に、本実施形態による効果を説明する。図5及び図6を用いた説明した従来の表示方法において、1フレームで全画素が選択期間に発光する輝度を1とし、また、1フレームで全画素が残光として発光する輝度をM(選択期間に対する相対値)とする。その場合、従来の表示方法では、1フレームでの輝度は(1+M)となる。
【0030】
これに対して、本実施形態の1フレームでの輝度を求める。まず、1フレームで全画素が選択期間に発光する輝度は1であり、従来と変わらない。これは、選択期間の輝度は(発光素子の端子間電圧)×(発光時間)であり、フィールド数がNに増えても、1選択期間の発光時間は(1/N)となる為である。それに対し、1フレームで全画素が残光として発光する輝度は(M×N)となり、増大する。これは、残光の輝度は(キャパシタに蓄積された電荷量)によって決まる為である。つまり、キャパシタに電荷を蓄積する回数分だけ、残光の輝度は増大することが可能となる。従って、本実施形態の1フレームでの輝度は、(1+M・N)となる。
【0031】
これは、残光による輝度が選択期間の輝度に対して十分に大きい場合(M>>1)、1フレームでの輝度がN倍となることを示唆している。
【0032】
上記の効果を踏まえて、所望の輝度でどこまでキャパシタの容量を低減することができるのかを説明する。従来の駆動方法と同じ輝度で発光させる場合を考えて、容量を(1/A)に低減できると仮定すると、上記の関係から、
(1+M)=(1+M・N・(1/A))
となり、A=Nであることが分かる。
【0033】
つまり、従来の駆動方法に比べて、容量を(1/N)に低減することが可能になる。
【0034】
図2は、フィールド数を変えた場合の、キャパシタの必要とする容量を示す図である。縦軸の容量比は、フィールド数が1の場合の容量を1として、フィールド数を大きくした場合の必要とする容量の比を相対値として算出したものである。このように、フィールド数Nを大きくすることで、容量を(1/N)に低減することが出来る。
【0035】
ここで、フィールド数の決定方法を説明する。上述した効果から、フィールド数のNを出来る限り大きくした方が容量を低減するには有利となる。しかしながら、Nを無制限に大きくすることはできない。キャパシタの容量にデータ電圧に対応した電荷を蓄積するには、一定の時定数を要する。つまり、Nが大きいほど、1選択期間は(1/N)と短くなり、ある所から所望の電荷を蓄積できなくなる。この結果、所望の輝度より残光が小さくなり、期待する効果が得られなくなる。従って、所望の電圧がキャパシタに蓄積されるまでに要する時間以上となるように、フィールド数Nを決定することが望ましい。フィールドの数は後述する制御回路201で設定され、制御回路201は、複数の選択線の各選択線を選択する1つの選択期間を、データ信号に対応する電圧が電荷蓄積手段に蓄積される時間以上となるように、フィールドの数を設定する。
【0036】
また、残光の時定数によってもフィールド数が制限される。残光の時定数は、キャパシタと発光素子、及び配線等における抵抗と容量によって決まる。1選択期間が残光の時定数に対して短い場合、発光素子102に所望の電荷が全て流れず、正確な階調表示ができない。
【0037】
従って、各選択期間の終了時から、複数の選択線のうち同じ選択線が次に選択されるまでの時間内に、発光素子102が非発光となるように、フィールド数Nを決定することが望ましい。
【0038】
以下、さらに本発明の実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0039】
図3は、本発明に係る第1実施例の電荷駆動方式の表示装置の構成を示す図である。本実施例の表示装置では、パネルサイズは3インチ、表示色はRGB3色、解像度はVGAである。画素101は、1つのキャパシタ103と、電荷の蓄積を制御する1つのスイッチ104と、発光素子102から成る。なお、図3では一部の画素のみ示しているが、実際は横方向に1920個、縦方向に480個、マトリックス状に配置されて表示領域を構成している。そして、各画素を行単位で選択する選択線106−1〜選択線106−480と、各画素にデータ信号を入力するデータ線105−1〜データ線105−1920とから成る。発光素子102は、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子である。
【0040】
図4は、本発明に係る実施例1の表示装置のタイミングチャートを示す図である。横軸は時間を示し、2フレーム(M番目、(M+1)番目)の動作を説明している。1つのフレームは1画面分の画像データを表示する時間であり、1フレーム周期で表示装置を駆動する不図示のコントローラに、外部から画像データが入力される。1つのフレームは、時間的に分割された複数のフィールドで構成され、本実施例ではフィールド数は6である。ここで、入力画像データのフレーム周波数を60Hzとする。複数のフィールドの各々で、データ線からキャパシタへのデータ信号の伝達と、キャパシタから発光素子への電荷供給とが実行される。
【0041】
図4に示す選択信号S1〜S480は、図3の選択線106−1〜106−480にそれぞれ印加される信号である。第1フィールド〜第6フィールドの各フィールドにおいて選択信号S1〜S480が順次印加されていき、各選択信号は1選択期間にHighとなる電圧パルスとして印加される。例えば、選択信号S1がHighとなる期間、選択線106−1に接続される画素101内のスイッチ104はONとなり、キャパシタ103の1端子側(発光素子102のアノード側)の電位がデータ線105に印加されたデータ電圧となる。この結果、データ電圧に応じた電荷がキャパシタ103に蓄積される。選択信号S2〜S160についても順次同様な動作が行われていく。このように、1フィールド期間で、キャパシタ103には行単位で順次、電荷が蓄積されていく。
【0042】
第1フィールド〜第6フィールドまでの動作は各フレームごとに行われ、図4ではM番目のフレームと(M+1)番目のフレームでの動作が示されている。
【0043】
図5のデータ線105−1〜105−1920には、画像データに応じた信号であるデータ信号がそれぞれ印加される。ここでは、データ線105−1に印加されるデータ信号D1を例にとって説明をする。図4において、データ信号はデータ信号D1のみが示されている。
【0044】
データ信号D1は選択期間に発光素子102を所望の輝度で発光させる階調電圧であり、選択信号S1〜S480に同期して規定の階調で変化する。例えば、M番目のフレームにおいて、第1フィールドでは、選択信号S1〜S480に応じてデータ信号202の階調電圧は変化する。この第1フィールドのデータ信号D1はM番目のフレームの画像データに基づく信号であるが、第1フィールドに続く第2フィールド〜第6フィールドにおいても、選択信号S1〜S480に応じて同じ信号を出力する。つまり、第1フィールド〜第6フィールドでは、1画面分の走査を同じ画像データに基づいて6回繰り返していることになる。また、(M+1)番目のフレームについても、(M+1)番目のフレームの画像データに基づいて、M番目のフレームと同様な動作を行なう。
【0045】
マトリックス状の配された発光素子102は、選択信号S1〜S480に応じて、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第480行目の発光素子102のように行単位で順次発光する。各発光素子102は、選択期間はデータ信号D1の電圧と発光素子102のカソード電位の電圧差に応じた電流が流れて発光する。選択期間後は、キャパシタ103に蓄積された電荷が発光素子102に流れて残光として発光する。1つのフィールドでは、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第480行目の発光素子102のように、順次発光(選択期間の発光と残光)する。これを第1フィールド〜第6フィールドまで同様に繰り返す。また、(M+1)番目のフレームについても、同様に発光の動作を行なう。図4においてI1〜I480はデータ線105−1に接続される480個の画素の発光素子102のそれぞれの発光素子電流を示す。
【0046】
次に、本実施例による効果を説明する。例えば、有機EL素子の発光効率が、電流密度が2.95mA/cm2(直流)で250cd/m2の輝度を示すものとする。図5及び図6を用いた説明した従来の表示方法において、250cd/m2のピーク輝度を出す場合に、選択期間の電流密度を1A/cm2、データ電圧を15Vに設定すると、必要なキャパシタの容量は14pFとなる。このとき、1フレームで全画素が選択期間に発光する輝度は177cd/m2、1フレームで全画素が残光として発光する輝度を73cd/m2、といった内訳になる。仮に1画素全域にキャパシタをレイアウトしても、有機EL素子とキャパシタを合わせた容量は2.4pFである。これは、有機EL素子の比誘電率を3、キャパシタの絶縁膜の比誘電率を7.5、有機EL素子と絶縁膜の厚さを共に100nmとした。これでは43cd/m2の輝度しか得られない。
【0047】
ここで、本実施例ではフィールド数N=6としたので、従来の駆動方法と同じ250cd/m2で発光させる場合は、容量を1/6に低減できる。即ち、2.3pFの容量で良い。従って、レイアウト可能な現実的なキャパシタの容量でも、本実施例では250cd/m2のピーク輝度を出すことが可能になる。
【0048】
ここで、フィールド数N=6とした理由を説明する。キャパシタの容量にデータ電圧に対応した電荷を蓄積するのに要する時間を、以下の条件でSPICEシミュレーションを用いて計算した。有機EL素子のON抵抗を125kΩとし、データ線(例えば、データ線105−1)の寄生抵抗を2.3kΩ、寄生容量を9.5pFとした。また、選択線(例えば、選択線106−1)の寄生抵抗を61kΩ、寄生容量を58pFとした。また、スイッチ104としてp型の低温ポリシリコンTFTを仮定し、L/W=10/15μmと設定した。この結果、電荷の蓄積に要する時間は3.5μsecであった。フレーム周波数を60Hzとしたので、フィールド数N=6の場合の選択期間は5.8μsecとなる。従って、マージンを少し見て、本実施例の条件では、N=6が望ましいと考えられる。
【0049】
図7は本発明に係る実施例1の電荷駆動方式の表示装置の全体の構成を示す図である。
【0050】
図7において、201は制御回路、202は第1フレームメモリ202−1と第2フレームメモリ202−2とからなる記憶部、203はデータドライバ、204は選択ドライバ、205は画素がマトリックス状に配置された表示パネルである。
【0051】
制御回路201には、画像データ、水平同期クロック(Hsync)、垂直同期クロック(Vsync)が入力され、入力された画像データは、フレームごとに交互に第1フレームメモリ202−1、第2フレームメモリ202−2に入力される。
【0052】
本実施例ではパネル表示データの1フレームは6つのフィールドからなり、例えば、まず、n番目のフレームの画像データが第1フレームメモリ202−1に保存される。次に、第1フレームメモリ202−1に記憶された、n番目のフレームの画像データが6つのフィールドの各フィールドのそれぞれで読み出され、データドライバによりパネルのデータ線に送られる。この読み出し時に(n+1)番目のフレームの画像データが第2フレームメモリ202−2に保存される。
【0053】
そして、次に、第2フレームメモリ202−2に保存された、(n+1)番目のフレームの画像データが6つのフィールドの各フィールドのそれぞれで読み出され、データドライバによりパネルのデータ線に送られる。この読み出し時に(n+2)番目のフレームの画像データが第1フレームメモリ202−1に保存される。こうして、一方のフレームメモリへの保存と、他方のフレームメモリからの1フレーム内の各フィールドでの読み出しとが同時に行われていく。
【0054】
図8は、フィールドの数が2つで、表示パネル205の行数が12行としたときに、任意の1列分に対応する、制御回路に入力される画像データと、表示パネルに入力されるパネル表示データとを示す図である。図8では簡易化のためにフィールドの数が2つとしている。nフレームの画像データの番号1〜12は第1行目〜第12行目の画素に与えられるデータを示し、(n+1)フレームの画像データの番号13〜24は第1行目〜第12行目の画素に与えられるデータを示す。同様に、(n+2)フレームの画像データの番号25〜36は第1行目〜第12行目の画素に与えられるデータを示す。
【実施例2】
【0055】
図9は本発明に係る実施例2の電荷駆動方式の表示装置の全体の構成を示す図である。
【0056】
本実施例では記憶部をフレームメモリ206のみで構成している。
【0057】
図10は、フィールドの数が2つで、表示パネル205の行数が12行としたときに、任意の1列分に対応する、制御回路に入力される画像データと、表示パネルに入力されるパネル表示データとを示す図である。
【0058】
図10では簡易化のためにフィールドの数が2つとしており、以下の説明においてフィールドの数が2つの場合について説明する。
【0059】
例えば、まず、n番目のフレームの画像データがフレームメモリ206に保存されていく。番号1〜6のデータがフレームメモリ206に保存された時に、第1フィールドとして、フレームメモリ206から番号1からのデータ読み出しを開始する。そして、n番目のフレームの画像データがフレームメモリ206に保存し終わるとともに、第2フィールドとしてフレームメモリ206から番号1からのデータ読み出しを開始する。
【0060】
第2フィールドとしてフレームメモリ206から番号1からのデータ読み出しを開始されるとともに、(n+1)番目のフレームの画像データがフレームメモリ206に保存されていく。
【0061】
こうして、1つのフレームメモリで、図8で示した動作と同様に、1フレームで2つのフィールドを構成することができる。
【実施例3】
【0062】
本実施例では、輝度モードにより倍速数を切り換える表示装置の例について説明する。
【0063】
図11(a)は残光量を説明する図である。図11(b)は倍速数と輝度比との関係を示す特性図である。倍速数は等倍速(フィールド数が1)の整数倍を示す。例えば倍速数2はフィールド数が2であることを示す。輝度比は等倍速(フィールド数が1)に対する輝度の相対値を示す。
【0064】
図11(b)に示すように、倍速数に比例して大きくなる。なお、倍速数が同じでも残光量比が小さければ輝度比は小さくなる。残光量比は図11(a)に示すように、残光量比=(残光期間の発光量)/(選択期間の発光量)で表される。
【0065】
図11(b)の特性から、輝度の切り換えを、倍速数(フィールドの数)を切り換えることで実現することができる。例えば、高輝度モード、標準輝度モード、低輝度モードに表示を切り換える場合には、4倍速、2倍速、等倍速のように、切り換えればよい。なお、フォールドの数は必ずしも倍に切り換える必要はなく、フィールドの数を3(3倍速)、2(2倍速)、1(等倍速)のように切り換えても良い。
【0066】
図12は本発明に係る実施例3の電荷駆動方式の表示装置の倍速数を切り換える回路構成を示す図である。
【0067】
図12に示すように、輝度モード制御回路301は、輝度モード切換制御部302、クロック制御部303からなる。この輝度モード制御回路301及びクロック制御部303は図7又は図9の制御回路201の一部として設けられる。クロック制御部303は選択線に印加する選択信号と、データ線に印加されるデータ信号との印加のタイミングを規定するクロックをデータドライバ203と選択ドライバ204とに出力する。輝度モード切換制御部302は複数の段階に輝度を切り換えるためにクロック制御部303のクロックの周波数を切り換える。フィールド数は、このクロックの周波数の切り換えにより設定される。高輝度モード、標準輝度モード、低輝度モードのような輝度モード指令が輝度モード制御回路に入力されると、輝度モード切換制御部302はクロック制御部303の表示クロック(Hsync、Vsync)の周波数を輝度モードに応じて変更する。変更された表示クロックに基づき、データドライバ203と選択ドライバ204は画像データを表示する。
【0068】
本発明の表示装置を用いて、いろいろな情報機器を構成できる。情報機器としては、携帯電話、携帯コンピュータ、スチルカメラもしくはビデオカメラ、PDAなど、もしくは、それらの各機能の複数をあわせ持つ機器である。
【0069】
これらの情報機器は、情報入力部を備えている。携帯電話の場合には情報入力部はアンテナを含んでいる。PDAや携帯PCの場合には、ネットワークに対するインターフェース部が情報入力部になる。スチルカメラやムービーカメラの場合には、情報入力部はCCDやCMOSなどによるセンサ部を含んでいる。また、テレビ等の表示装置にも本発明を適用することができる。
【0070】
図13は本発明の表示装置を搭載したデジタルスチルカメラのブロック図である。撮影部112で撮影した被写体の映像、またはメモリ115に記録された被写体の映像を、映像信号処理回路113で信号処理し、表示パネル114で見ることができる。CPU116では、操作部117からの入力によって、撮影部112、メモリ115、映像信号処理回路113などを制御して、状況に適した撮影、記録、再生、表示を行う。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は発光素子を用いた表示装置及びその駆動方法に適用され、特に、有機及び無機EL又はLED等のような発光輝度が素子を流れる電流により制御される電流制御型発光素子の表示装置に利用できる。例えば本発明は携帯電話、携帯コンピュータ、スチルカメラもしくはビデオカメラ、PDA等の情報機器に用いられる表示装置、テレビ等の表示装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る実施形態の表示装置のタイミングチャートを示す図である。
【図2】本発明に係る、フィールド数を変えた場合の、キャパシタの必要とする容量を示す図である。
【図3】本発明に係る実施例1の電荷駆動方式の表示装置の構成を示す図である。
【図4】本発明に係る実施例1の表示装置のタイミングチャートを示す図である。
【図5】従来の電荷駆動方式の表示装置の構成を示す図である。
【図6】従来の電荷駆動方式の表示装置のタイミングチャートを示す図である。
【図7】本発明に係る実施例1の電荷駆動方式の表示装置の全体の構成を示す図である。
【図8】フィールドの数が2つで、表示パネルの行数が12行としたときに、任意の1列分に対応する、制御回路に入力される画像データと、表示パネルに入力されるパネル表示データとを示す図である。
【図9】本発明に係る実施例2の電荷駆動方式の表示装置の全体の構成を示す図である。
【図10】フィールドの数が2つで、表示パネル205の行数が12行としたときに、任意の1列分に対応する、制御回路に入力される画像データと、表示パネルに入力されるパネル表示データとを示す図である。
【図11】(a)は残光量を説明する図、及び(b)は倍速数と輝度比との関係を示す特性図である。
【図12】本発明に係る実施例3の電荷駆動方式の表示装置の倍速数を切り換える回路構成を示す図である。
【図13】本発明の表示装置を用いたデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
101 画素
102 発光素子
103 キャパシタ
104 スイッチ
105 データ線
106 選択線
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を用いた表示装置及びその駆動方法に関するものである。特に、有機及び無機EL(エレクトロルミネセンス)又はLED(発光ダイオード)等のような発光輝度が素子を流れる電流により制御される電流制御型発光素子を用いた表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機物半導体材料を用いた、電子デバイスの開発が広く行なわれており、発光素子である有機EL(Electro-Luminescence)、有機TFT(Thin Film Transistor)、有機太陽電池等の開発が報告されている。中でも、有機ELディスプレイは、最も実用化に近い技術として有望視されている。
【0003】
有機ELディスプレイパネルの構成は、パッシブマトリックス型とアクティブマトリックス型に分類される。パッシブマトリックス型ではTFTが不要であるので、高精細化や基板の低コスト化といった利点がある。しかし、点滅駆動が前提となり、点灯時に流す電流値が大きくなるため、輝度と寿命に深刻なトレードオフが存在し、高輝度のディスプレイパネルを得ることが難しいとされる。また、寄生容量や瞬時輝度に起因する消費電力の増大が問題としてある。
【0004】
一方、アクティブマトリックス型では、必ずしも点滅駆動させる必要が無く、常時点灯に近い動作が可能となるため、点灯時に流す電流値を低くすることができ、有機ELの長寿命化や消費電力の面で有利となる。しかし、アクティブマトリックス型では、TFTの特性ドリフトや精細度、コスト、歩留まりの面で不利である。
【0005】
パッシブマトリックス型とアクティブマトリックス型の長所を併せ持つ方式として、電荷蓄積手段に蓄積した電荷を、選択期間後に発光素子に流すことによる発光(以下、残光と呼ぶ)を利用した駆動方法(以下、電荷駆動方式と呼ぶ)が提案されている。電荷蓄積手段としては、通常は基板上の画素内の駆動回路内に設けたキャパシタを用いる。駆動回路としては、基本的には、スイッチと、キャパシタを1つずつ設ければ良い。電荷駆動方式については、特許文献1、特許文献2、特許文献3などに紹介されている。
【0006】
図5は、従来の電荷駆動方式の表示装置の構成を示す図である。画素101は、1つのキャパシタ103と、電荷の蓄積を制御する1つのスイッチ104と、発光素子102から成る。なお、図5では一部の画素のみ示しているが、実際は横方向にX個、縦方向にY個、マトリックス状に配置されて表示領域を構成している。そして、各画素を行単位で選択する選択線106−1〜選択線106−Yと、各画素にデータ信号を入力するデータ線105−1〜データ線105−Xとから成る。発光素子102は、例えば有機エレクトロルミネセンス(EL)素子が用いられる。
【0007】
上記表示装置の動作原理について説明する。選択線106−1からの信号によって選択線106に接続される各画素のスイッチ104がONする。すると、データ線105−1〜105−Xから輝度データに応じたデータ電圧(又はデータ電流)がスイッチ104を介してキャパシタ103に印加される。これにより、データ電圧に応じた電流が発光素子に流れ、所望の輝度で発光する。
【0008】
次に、選択線106−1からの信号によって選択線106に接続される各画素のスイッチ104をOFFする。すると、キャパシタ103に蓄積された電荷が発光素子102に流れ、残光を生じる。残光は電荷量で制御することができ、この電荷量はデータ電圧とキャパシタ103の容量で決定される。つまり、キャパシタ充電時のデータ電圧(又はデータ電流)に応じた発光に加え、電荷量に応じた残光を利用することで、所望の輝度を得る駆動方式である。
【0009】
この方式を用いれば、画素の駆動回路の構成がシンプルなので高精細化が容易であり、さらにTFTをスイッチとして用いるので、TFTの特性ばらつきの影響が小さく、TFTの歩留まりを上げることが可能となる。
【0010】
図6は、従来の電荷駆動方式の表示装置のタイミングチャートを示す図である。横軸は時間を示し、2フレーム(M番目、(M+1)番目)の動作を説明している。1つのフレームは1画面分の画像データを表示する時間であり、1フレーム周期で表示装置を駆動する不図示のコントローラに、外部から画像データが入力される。
【0011】
図6に示す選択信号S1〜SYは、図5の選択線106−1〜106−Yにそれぞれ印加される信号である。例えば、M番目のフレームにおいて、1選択期間にHighとなる電圧パルスを選択信号S1〜SYとして、順次印加していく。選択信号S1〜SYの各々がHighとなる期間、画素101内のスイッチ104はONとなり、キャパシタ103の1端子側(発光素子102のアノード側)の電位がデータ線105−1〜105−Xに印加されたデータ電圧となる。この結果、データ電圧に応じた電荷がキャパシタ103に蓄積される。このように、1フレーム期間で、キャパシタ103には行単位で順次、電荷が蓄積されていく。また、(M+1)番目のフレームについても同様な動作が行われる。
【0012】
図5のデータ線105−1〜105−Xには、画像データに応じた信号であるデータ信号がそれぞれ印加される。ここでは、データ線105−1に印加されるデータ信号D1を例にとって説明をする。図6において、データ信号はデータ信号D1のみが示されている。
【0013】
データ信号D1は選択期間に発光素子102を所望の輝度で発光させる階調電圧であり、選択信号S1〜SYに同期して規定の階調で変化する。ここで、電圧ではなく、電流としても良い。例えば、M番目のフレームにおいて、選択信号S1〜SYに応じてデータ信号D1の階調電圧は変化する。このM番目のフレームのデータ信号D1はM番目のフレームの画像データに基づく信号である。また、同様に、(M+1)番目のフレームのデータ信号D1は(M+1)番目のフレームの画像データに基づく信号である。
【0014】
マトリックス状に配された発光素子102は、選択信号S1〜SYに応じて、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第Y行目の発光素子102のように行単位で順次発光する。各発光素子102は、選択期間はデータ信号D1の電圧と発光素子102のカソード電位の電圧差に応じた電流が流れて発光する。選択期間後は、キャパシタ103に蓄積された電荷が発光素子102に流れて残光として発光する。例えば、M番目のフレームでは、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第Y行目の発光素子102のように、順次発光(選択期間の発光と残光)する。また、(M+1)番目のフレームについても、同様に発光の動作を行う。図6においてI1〜IYはデータ線105−1に接続されるY個の画素の発光素子102の発光素子電流を示す。
【特許文献1】特開平08−054836号公報
【特許文献2】特許3281848号公報
【特許文献3】特開2000−276109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、電荷駆動方式を用いる場合、残光が必要とする輝度に対して小さいので、瞬時輝度が高くなってしまう。瞬時輝度が高くピーク電流が大きいので、DC成分の消費電力が大きくなってしまう。ここで、アクティブマトリックス型と同等の消費電力に低減するためには、ピーク電流を抑え、且つ残光を大きくすることが求められる。
【0016】
低いピーク電流で同等の輝度を保つには、容量を大きくして残光時間を長くすれば良い。しかしながら、1画素あたりの有機EL素子の容量と、1画素内に作成できるキャパシタの容量にはレイアウト上の制限がある。例えば、VGAの3インチパネルを想定した場合、残光を利用してピーク輝度250cd/m2を得るには、14pF程度の容量が必要となる。ここでは、データ電圧を15V、発光素子の電流密度を1A/cm2と仮定した。これに対し、仮に1画素全域にレイアウトしても、有機EL素子とキャパシタを合わせて2〜3pF程度であり、これでは30〜50cd/m2程度の輝度しか得られない。
【0017】
従って、従来の容量に蓄積した電荷を発光素子に流し、発光(残光)させることで所望の輝度を得る駆動方法では、現実的なレイアウトサイズよりかなり大きいキャパシタの容量を必要とする、という課題があった。
【0018】
本発明の目的は、残光に用いる容量の大きさを従来と比べて低減し、所望の輝度で発光が可能な表示装置及び駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、発光素子と、前記発光素子に接続され前記発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、
一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、
前記駆動回路は、キャパシタと、前記選択線の信号により前記データ線と前記キャパシタとを接続するスイッチとを備える表示装置であって、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームの該画像データを保存する記憶部と、前記記憶部に保存された前記画像データを時間的に分割された複数のフィールドに繰り返し出力する制御回路とを有し、
前記データ線に出力された前記画像データに基づく前記データ信号が出力され、
前記複数のフィールドの各々で、前記データ線から前記キャパシタへの前記データ信号の伝達と、前記キャパシタから前記発光素子への電荷供給とを実行してなる表示装置である。
【0020】
また本発明は、発光素子と、前記発光素子に接続され前記発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、
一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、
前記駆動回路は、キャパシタと、前記選択線の信号により前記データ線と前記キャパシタとを接続するスイッチとを備える表示装置の駆動方法であって、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームが、時間的に分割された複数のフィールドから成り、前記複数のフィールドの各々で、前記データ線から前記キャパシタへの前記データ信号の伝達と、前記キャパシタから前記発光素子への電荷供給とを実行してなる表示装置の駆動方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、1画面分の画像データを表示する1つのフレームを複数のフィールドで表示する。フィールド数が増えて選択期間が短くなっても、1つの残光の輝度は低下することはない。この特徴を利用し、残光による発光量をフィールド数だけ倍増することができる。この結果、残光に用いる容量の大きさを従来と比べて低減し、所望の輝度で発光することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態において、表示装置の構成は図5を用いて説明した構成と同じなので説明を省略する。選択線106−1〜106−Yのそれぞれは、一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する配線であり、データ線105−1〜105−Xのそれぞれは、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加する配線である。画素101の駆動回路は、1つのキャパシタ103と、電荷の蓄積を制御する1つのスイッチ104とから構成される。
【0023】
図1は、本発明に係る実施形態の表示装置のタイミングチャートを示す図である。横軸は時間を示し、2フレーム(M番目、(M+1)番目)の動作を説明している。1つのフレームは1画面分の画像データを表示する時間であり、1フレーム周期で表示装置を駆動する不図示のコントローラに、外部から画像データが入力される。1つのフレームは、時間的に分割された複数のフィールドで構成され、フィールド数をN(Nは2以上の自然数である)として以後説明を続ける。複数のフィールドの各々で、データ線からキャパシタへのデータ信号の伝達と、キャパシタから発光素子への電荷供給とが実行される。
【0024】
図1に示す選択信号S1〜SYは、図5の選択線106−1〜106−Yにそれぞれ印加される信号である。第1フィールド〜第Nフィールドの各フィールドにおいて選択信号S1〜SYが順次印加されていき、各選択信号は1選択期間にHighとなる電圧パルスとして印加される。例えば、選択信号S1がHighとなる期間、選択線106−1に接続される画素101内のスイッチ104はONとなり、キャパシタ103の1端子側(発光素子102のアノード側)の電位がデータ線105に印加されたデータ電圧となる。この結果、データ電圧に応じた電荷がキャパシタ103に蓄積される。選択信号S2〜SYについても順次同様な動作が行われていく。このように、1フィールド期間で、キャパシタ103には行単位で順次、電荷が蓄積されていく。
【0025】
第1フィールド〜第Nフィールドまでの動作は各フレームごとに行われ、図1ではM番目のフレームと(M+1)番目のフレームでの動作が示されている。
【0026】
図5のデータ線105−1〜105−Xには、画像データに応じた信号であるデータ信号がそれぞれ印加される。ここでは、データ線105−1に印加されるデータ信号D1を例にとって説明をする。図1において、データ信号はデータ信号D1のみが示されている。
【0027】
データ信号D1は選択期間に発光素子102を所望の輝度で発光させる階調電圧であり、選択信号S1〜SYに同期して規定の階調で変化する。ここで、電圧ではなく、電流としても良い。例えば、M番目のフレームにおいて、第1フィールドでは、選択信号S1〜SYに応じてデータ信号D1の階調電圧は変化する。この第1フィールドのデータ信号D1はM番目のフレームの画像データに基づく信号であるが、第1フィールドに続く第2フィールド〜第Nフィールドにおいても、選択信号S1〜SYに応じて同じ信号を出力する。つまり、第1フィールド〜第Nフィールドでは、1画面分の走査を同じ画像データに基づいてN回繰り返していることになる。また、(M+1)番目のフレームについても、(M+1)番目のフレームの画像データに基づいて、M番目のフレームと同様な動作を行なう。
【0028】
マトリックス状に配された発光素子102は、選択信号S1〜SYに応じて、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第Y行目の発光素子102のように行単位で順次発光する。各発光素子102は、選択期間はデータ信号D1の電圧と発光素子102のカソード電位の電圧差に応じた電流が流れて発光する。選択期間後は、キャパシタ103に蓄積された電荷が発光素子102に流れて残光として発光する。1つのフィールドでは、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第Y行目の発光素子102のように、順次発光(選択期間の発光と残光)する。これを第1フィールド〜第Nフィールドまで繰り返す。また、(M+1)番目のフレームについても、同様に発光の動作を行なう。図1においてI1〜IYはデータ線105−1に接続されるY個の画素の発光素子102のそれぞれの発光素子電流を示す。
【0029】
次に、本実施形態による効果を説明する。図5及び図6を用いた説明した従来の表示方法において、1フレームで全画素が選択期間に発光する輝度を1とし、また、1フレームで全画素が残光として発光する輝度をM(選択期間に対する相対値)とする。その場合、従来の表示方法では、1フレームでの輝度は(1+M)となる。
【0030】
これに対して、本実施形態の1フレームでの輝度を求める。まず、1フレームで全画素が選択期間に発光する輝度は1であり、従来と変わらない。これは、選択期間の輝度は(発光素子の端子間電圧)×(発光時間)であり、フィールド数がNに増えても、1選択期間の発光時間は(1/N)となる為である。それに対し、1フレームで全画素が残光として発光する輝度は(M×N)となり、増大する。これは、残光の輝度は(キャパシタに蓄積された電荷量)によって決まる為である。つまり、キャパシタに電荷を蓄積する回数分だけ、残光の輝度は増大することが可能となる。従って、本実施形態の1フレームでの輝度は、(1+M・N)となる。
【0031】
これは、残光による輝度が選択期間の輝度に対して十分に大きい場合(M>>1)、1フレームでの輝度がN倍となることを示唆している。
【0032】
上記の効果を踏まえて、所望の輝度でどこまでキャパシタの容量を低減することができるのかを説明する。従来の駆動方法と同じ輝度で発光させる場合を考えて、容量を(1/A)に低減できると仮定すると、上記の関係から、
(1+M)=(1+M・N・(1/A))
となり、A=Nであることが分かる。
【0033】
つまり、従来の駆動方法に比べて、容量を(1/N)に低減することが可能になる。
【0034】
図2は、フィールド数を変えた場合の、キャパシタの必要とする容量を示す図である。縦軸の容量比は、フィールド数が1の場合の容量を1として、フィールド数を大きくした場合の必要とする容量の比を相対値として算出したものである。このように、フィールド数Nを大きくすることで、容量を(1/N)に低減することが出来る。
【0035】
ここで、フィールド数の決定方法を説明する。上述した効果から、フィールド数のNを出来る限り大きくした方が容量を低減するには有利となる。しかしながら、Nを無制限に大きくすることはできない。キャパシタの容量にデータ電圧に対応した電荷を蓄積するには、一定の時定数を要する。つまり、Nが大きいほど、1選択期間は(1/N)と短くなり、ある所から所望の電荷を蓄積できなくなる。この結果、所望の輝度より残光が小さくなり、期待する効果が得られなくなる。従って、所望の電圧がキャパシタに蓄積されるまでに要する時間以上となるように、フィールド数Nを決定することが望ましい。フィールドの数は後述する制御回路201で設定され、制御回路201は、複数の選択線の各選択線を選択する1つの選択期間を、データ信号に対応する電圧が電荷蓄積手段に蓄積される時間以上となるように、フィールドの数を設定する。
【0036】
また、残光の時定数によってもフィールド数が制限される。残光の時定数は、キャパシタと発光素子、及び配線等における抵抗と容量によって決まる。1選択期間が残光の時定数に対して短い場合、発光素子102に所望の電荷が全て流れず、正確な階調表示ができない。
【0037】
従って、各選択期間の終了時から、複数の選択線のうち同じ選択線が次に選択されるまでの時間内に、発光素子102が非発光となるように、フィールド数Nを決定することが望ましい。
【0038】
以下、さらに本発明の実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0039】
図3は、本発明に係る第1実施例の電荷駆動方式の表示装置の構成を示す図である。本実施例の表示装置では、パネルサイズは3インチ、表示色はRGB3色、解像度はVGAである。画素101は、1つのキャパシタ103と、電荷の蓄積を制御する1つのスイッチ104と、発光素子102から成る。なお、図3では一部の画素のみ示しているが、実際は横方向に1920個、縦方向に480個、マトリックス状に配置されて表示領域を構成している。そして、各画素を行単位で選択する選択線106−1〜選択線106−480と、各画素にデータ信号を入力するデータ線105−1〜データ線105−1920とから成る。発光素子102は、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子である。
【0040】
図4は、本発明に係る実施例1の表示装置のタイミングチャートを示す図である。横軸は時間を示し、2フレーム(M番目、(M+1)番目)の動作を説明している。1つのフレームは1画面分の画像データを表示する時間であり、1フレーム周期で表示装置を駆動する不図示のコントローラに、外部から画像データが入力される。1つのフレームは、時間的に分割された複数のフィールドで構成され、本実施例ではフィールド数は6である。ここで、入力画像データのフレーム周波数を60Hzとする。複数のフィールドの各々で、データ線からキャパシタへのデータ信号の伝達と、キャパシタから発光素子への電荷供給とが実行される。
【0041】
図4に示す選択信号S1〜S480は、図3の選択線106−1〜106−480にそれぞれ印加される信号である。第1フィールド〜第6フィールドの各フィールドにおいて選択信号S1〜S480が順次印加されていき、各選択信号は1選択期間にHighとなる電圧パルスとして印加される。例えば、選択信号S1がHighとなる期間、選択線106−1に接続される画素101内のスイッチ104はONとなり、キャパシタ103の1端子側(発光素子102のアノード側)の電位がデータ線105に印加されたデータ電圧となる。この結果、データ電圧に応じた電荷がキャパシタ103に蓄積される。選択信号S2〜S160についても順次同様な動作が行われていく。このように、1フィールド期間で、キャパシタ103には行単位で順次、電荷が蓄積されていく。
【0042】
第1フィールド〜第6フィールドまでの動作は各フレームごとに行われ、図4ではM番目のフレームと(M+1)番目のフレームでの動作が示されている。
【0043】
図5のデータ線105−1〜105−1920には、画像データに応じた信号であるデータ信号がそれぞれ印加される。ここでは、データ線105−1に印加されるデータ信号D1を例にとって説明をする。図4において、データ信号はデータ信号D1のみが示されている。
【0044】
データ信号D1は選択期間に発光素子102を所望の輝度で発光させる階調電圧であり、選択信号S1〜S480に同期して規定の階調で変化する。例えば、M番目のフレームにおいて、第1フィールドでは、選択信号S1〜S480に応じてデータ信号202の階調電圧は変化する。この第1フィールドのデータ信号D1はM番目のフレームの画像データに基づく信号であるが、第1フィールドに続く第2フィールド〜第6フィールドにおいても、選択信号S1〜S480に応じて同じ信号を出力する。つまり、第1フィールド〜第6フィールドでは、1画面分の走査を同じ画像データに基づいて6回繰り返していることになる。また、(M+1)番目のフレームについても、(M+1)番目のフレームの画像データに基づいて、M番目のフレームと同様な動作を行なう。
【0045】
マトリックス状の配された発光素子102は、選択信号S1〜S480に応じて、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第480行目の発光素子102のように行単位で順次発光する。各発光素子102は、選択期間はデータ信号D1の電圧と発光素子102のカソード電位の電圧差に応じた電流が流れて発光する。選択期間後は、キャパシタ103に蓄積された電荷が発光素子102に流れて残光として発光する。1つのフィールドでは、第1行目の発光素子102→第2行目の発光素子102→・・・→第480行目の発光素子102のように、順次発光(選択期間の発光と残光)する。これを第1フィールド〜第6フィールドまで同様に繰り返す。また、(M+1)番目のフレームについても、同様に発光の動作を行なう。図4においてI1〜I480はデータ線105−1に接続される480個の画素の発光素子102のそれぞれの発光素子電流を示す。
【0046】
次に、本実施例による効果を説明する。例えば、有機EL素子の発光効率が、電流密度が2.95mA/cm2(直流)で250cd/m2の輝度を示すものとする。図5及び図6を用いた説明した従来の表示方法において、250cd/m2のピーク輝度を出す場合に、選択期間の電流密度を1A/cm2、データ電圧を15Vに設定すると、必要なキャパシタの容量は14pFとなる。このとき、1フレームで全画素が選択期間に発光する輝度は177cd/m2、1フレームで全画素が残光として発光する輝度を73cd/m2、といった内訳になる。仮に1画素全域にキャパシタをレイアウトしても、有機EL素子とキャパシタを合わせた容量は2.4pFである。これは、有機EL素子の比誘電率を3、キャパシタの絶縁膜の比誘電率を7.5、有機EL素子と絶縁膜の厚さを共に100nmとした。これでは43cd/m2の輝度しか得られない。
【0047】
ここで、本実施例ではフィールド数N=6としたので、従来の駆動方法と同じ250cd/m2で発光させる場合は、容量を1/6に低減できる。即ち、2.3pFの容量で良い。従って、レイアウト可能な現実的なキャパシタの容量でも、本実施例では250cd/m2のピーク輝度を出すことが可能になる。
【0048】
ここで、フィールド数N=6とした理由を説明する。キャパシタの容量にデータ電圧に対応した電荷を蓄積するのに要する時間を、以下の条件でSPICEシミュレーションを用いて計算した。有機EL素子のON抵抗を125kΩとし、データ線(例えば、データ線105−1)の寄生抵抗を2.3kΩ、寄生容量を9.5pFとした。また、選択線(例えば、選択線106−1)の寄生抵抗を61kΩ、寄生容量を58pFとした。また、スイッチ104としてp型の低温ポリシリコンTFTを仮定し、L/W=10/15μmと設定した。この結果、電荷の蓄積に要する時間は3.5μsecであった。フレーム周波数を60Hzとしたので、フィールド数N=6の場合の選択期間は5.8μsecとなる。従って、マージンを少し見て、本実施例の条件では、N=6が望ましいと考えられる。
【0049】
図7は本発明に係る実施例1の電荷駆動方式の表示装置の全体の構成を示す図である。
【0050】
図7において、201は制御回路、202は第1フレームメモリ202−1と第2フレームメモリ202−2とからなる記憶部、203はデータドライバ、204は選択ドライバ、205は画素がマトリックス状に配置された表示パネルである。
【0051】
制御回路201には、画像データ、水平同期クロック(Hsync)、垂直同期クロック(Vsync)が入力され、入力された画像データは、フレームごとに交互に第1フレームメモリ202−1、第2フレームメモリ202−2に入力される。
【0052】
本実施例ではパネル表示データの1フレームは6つのフィールドからなり、例えば、まず、n番目のフレームの画像データが第1フレームメモリ202−1に保存される。次に、第1フレームメモリ202−1に記憶された、n番目のフレームの画像データが6つのフィールドの各フィールドのそれぞれで読み出され、データドライバによりパネルのデータ線に送られる。この読み出し時に(n+1)番目のフレームの画像データが第2フレームメモリ202−2に保存される。
【0053】
そして、次に、第2フレームメモリ202−2に保存された、(n+1)番目のフレームの画像データが6つのフィールドの各フィールドのそれぞれで読み出され、データドライバによりパネルのデータ線に送られる。この読み出し時に(n+2)番目のフレームの画像データが第1フレームメモリ202−1に保存される。こうして、一方のフレームメモリへの保存と、他方のフレームメモリからの1フレーム内の各フィールドでの読み出しとが同時に行われていく。
【0054】
図8は、フィールドの数が2つで、表示パネル205の行数が12行としたときに、任意の1列分に対応する、制御回路に入力される画像データと、表示パネルに入力されるパネル表示データとを示す図である。図8では簡易化のためにフィールドの数が2つとしている。nフレームの画像データの番号1〜12は第1行目〜第12行目の画素に与えられるデータを示し、(n+1)フレームの画像データの番号13〜24は第1行目〜第12行目の画素に与えられるデータを示す。同様に、(n+2)フレームの画像データの番号25〜36は第1行目〜第12行目の画素に与えられるデータを示す。
【実施例2】
【0055】
図9は本発明に係る実施例2の電荷駆動方式の表示装置の全体の構成を示す図である。
【0056】
本実施例では記憶部をフレームメモリ206のみで構成している。
【0057】
図10は、フィールドの数が2つで、表示パネル205の行数が12行としたときに、任意の1列分に対応する、制御回路に入力される画像データと、表示パネルに入力されるパネル表示データとを示す図である。
【0058】
図10では簡易化のためにフィールドの数が2つとしており、以下の説明においてフィールドの数が2つの場合について説明する。
【0059】
例えば、まず、n番目のフレームの画像データがフレームメモリ206に保存されていく。番号1〜6のデータがフレームメモリ206に保存された時に、第1フィールドとして、フレームメモリ206から番号1からのデータ読み出しを開始する。そして、n番目のフレームの画像データがフレームメモリ206に保存し終わるとともに、第2フィールドとしてフレームメモリ206から番号1からのデータ読み出しを開始する。
【0060】
第2フィールドとしてフレームメモリ206から番号1からのデータ読み出しを開始されるとともに、(n+1)番目のフレームの画像データがフレームメモリ206に保存されていく。
【0061】
こうして、1つのフレームメモリで、図8で示した動作と同様に、1フレームで2つのフィールドを構成することができる。
【実施例3】
【0062】
本実施例では、輝度モードにより倍速数を切り換える表示装置の例について説明する。
【0063】
図11(a)は残光量を説明する図である。図11(b)は倍速数と輝度比との関係を示す特性図である。倍速数は等倍速(フィールド数が1)の整数倍を示す。例えば倍速数2はフィールド数が2であることを示す。輝度比は等倍速(フィールド数が1)に対する輝度の相対値を示す。
【0064】
図11(b)に示すように、倍速数に比例して大きくなる。なお、倍速数が同じでも残光量比が小さければ輝度比は小さくなる。残光量比は図11(a)に示すように、残光量比=(残光期間の発光量)/(選択期間の発光量)で表される。
【0065】
図11(b)の特性から、輝度の切り換えを、倍速数(フィールドの数)を切り換えることで実現することができる。例えば、高輝度モード、標準輝度モード、低輝度モードに表示を切り換える場合には、4倍速、2倍速、等倍速のように、切り換えればよい。なお、フォールドの数は必ずしも倍に切り換える必要はなく、フィールドの数を3(3倍速)、2(2倍速)、1(等倍速)のように切り換えても良い。
【0066】
図12は本発明に係る実施例3の電荷駆動方式の表示装置の倍速数を切り換える回路構成を示す図である。
【0067】
図12に示すように、輝度モード制御回路301は、輝度モード切換制御部302、クロック制御部303からなる。この輝度モード制御回路301及びクロック制御部303は図7又は図9の制御回路201の一部として設けられる。クロック制御部303は選択線に印加する選択信号と、データ線に印加されるデータ信号との印加のタイミングを規定するクロックをデータドライバ203と選択ドライバ204とに出力する。輝度モード切換制御部302は複数の段階に輝度を切り換えるためにクロック制御部303のクロックの周波数を切り換える。フィールド数は、このクロックの周波数の切り換えにより設定される。高輝度モード、標準輝度モード、低輝度モードのような輝度モード指令が輝度モード制御回路に入力されると、輝度モード切換制御部302はクロック制御部303の表示クロック(Hsync、Vsync)の周波数を輝度モードに応じて変更する。変更された表示クロックに基づき、データドライバ203と選択ドライバ204は画像データを表示する。
【0068】
本発明の表示装置を用いて、いろいろな情報機器を構成できる。情報機器としては、携帯電話、携帯コンピュータ、スチルカメラもしくはビデオカメラ、PDAなど、もしくは、それらの各機能の複数をあわせ持つ機器である。
【0069】
これらの情報機器は、情報入力部を備えている。携帯電話の場合には情報入力部はアンテナを含んでいる。PDAや携帯PCの場合には、ネットワークに対するインターフェース部が情報入力部になる。スチルカメラやムービーカメラの場合には、情報入力部はCCDやCMOSなどによるセンサ部を含んでいる。また、テレビ等の表示装置にも本発明を適用することができる。
【0070】
図13は本発明の表示装置を搭載したデジタルスチルカメラのブロック図である。撮影部112で撮影した被写体の映像、またはメモリ115に記録された被写体の映像を、映像信号処理回路113で信号処理し、表示パネル114で見ることができる。CPU116では、操作部117からの入力によって、撮影部112、メモリ115、映像信号処理回路113などを制御して、状況に適した撮影、記録、再生、表示を行う。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は発光素子を用いた表示装置及びその駆動方法に適用され、特に、有機及び無機EL又はLED等のような発光輝度が素子を流れる電流により制御される電流制御型発光素子の表示装置に利用できる。例えば本発明は携帯電話、携帯コンピュータ、スチルカメラもしくはビデオカメラ、PDA等の情報機器に用いられる表示装置、テレビ等の表示装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る実施形態の表示装置のタイミングチャートを示す図である。
【図2】本発明に係る、フィールド数を変えた場合の、キャパシタの必要とする容量を示す図である。
【図3】本発明に係る実施例1の電荷駆動方式の表示装置の構成を示す図である。
【図4】本発明に係る実施例1の表示装置のタイミングチャートを示す図である。
【図5】従来の電荷駆動方式の表示装置の構成を示す図である。
【図6】従来の電荷駆動方式の表示装置のタイミングチャートを示す図である。
【図7】本発明に係る実施例1の電荷駆動方式の表示装置の全体の構成を示す図である。
【図8】フィールドの数が2つで、表示パネルの行数が12行としたときに、任意の1列分に対応する、制御回路に入力される画像データと、表示パネルに入力されるパネル表示データとを示す図である。
【図9】本発明に係る実施例2の電荷駆動方式の表示装置の全体の構成を示す図である。
【図10】フィールドの数が2つで、表示パネル205の行数が12行としたときに、任意の1列分に対応する、制御回路に入力される画像データと、表示パネルに入力されるパネル表示データとを示す図である。
【図11】(a)は残光量を説明する図、及び(b)は倍速数と輝度比との関係を示す特性図である。
【図12】本発明に係る実施例3の電荷駆動方式の表示装置の倍速数を切り換える回路構成を示す図である。
【図13】本発明の表示装置を用いたデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
101 画素
102 発光素子
103 キャパシタ
104 スイッチ
105 データ線
106 選択線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子に接続され前記発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、
一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、
前記駆動回路は、キャパシタと、前記選択線の信号により前記データ線と前記キャパシタとを接続するスイッチとを備える表示装置であって、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームの該画像データを保存する記憶部と、前記記憶部に保存された前記画像データを時間的に分割された複数のフィールドに繰り返し出力する制御回路とを有し、
前記データ線に、出力された前記画像データに基づく前記データ信号が出力され、
前記複数のフィールドの各々で、前記データ線から前記キャパシタへの前記データ信号の伝達と、前記キャパシタから前記発光素子への電荷供給とを実行してなる表示装置。
【請求項2】
前記1つのフレーム内の複数のフィールドでは、
1画面分の同じ画像データに応じたデータ信号が、各フィールドにおいて前記データ線に印加されることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御回路は、複数の前記選択線の各選択線を選択する1つの選択期間を、
前記データ信号に対応する電圧が前記電荷蓄積手段に蓄積される時間以上となるように、前記フィールドの数を設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記選択線に印加する前記選択信号と、前記データ線に印加される前記データ信号との印加のタイミングを規定するクロックを出力するクロック制御部と、複数の段階に輝度を切り換えるために前記クロックの周波数を切り換える輝度モード切換制御部と、を有し、
前記複数のフィールドのフィールド数は、前記周波数の切り換えにより設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載された表示装置と、被写体を撮影する撮影部と、前記撮影部で撮影された信号を処理する映像信号処理回路とを備え、前記映像信号処理回路で信号処理された映像信号が前記表示装置で表示されることを特徴とするカメラ。
【請求項6】
発光素子と、前記発光素子に接続され前記発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、
一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、
前記駆動回路は、キャパシタと、前記選択線の信号により前記データ線と前記キャパシタとを接続するスイッチとを備える表示装置の駆動方法であって、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームが、時間的に分割された複数のフィールドから成り、前記複数のフィールドの各々で、前記データ線から前記キャパシタへの前記データ信号の伝達と、前記キャパシタから前記発光素子への電荷供給とを実行してなる表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記1つのフレーム内の複数のフィールドでは、
1画面分の同じ画像データに応じたデータ信号が、各フィールドにおいて前記データ線に印加されることを特徴とする、請求項6に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項8】
複数の前記選択線の各選択線を選択する1つの選択期間を、
前記データ信号に対応する電圧が前記電荷蓄積手段に蓄積される時間以上となるように、前記フィールドの数を決定することを特徴とする、請求項6又は7に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項9】
前記選択線に印加する前記選択信号と、前記データ線に印加される前記データ信号との印加のタイミングを規定するクロックの周波数を、複数の段階に輝度を切り換えるために切り換えを行い、
前記複数のフィールドのフィールド数は、前記周波数の切り換えにより設定されることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子に接続され前記発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、
一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、
前記駆動回路は、キャパシタと、前記選択線の信号により前記データ線と前記キャパシタとを接続するスイッチとを備える表示装置であって、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームの該画像データを保存する記憶部と、前記記憶部に保存された前記画像データを時間的に分割された複数のフィールドに繰り返し出力する制御回路とを有し、
前記データ線に、出力された前記画像データに基づく前記データ信号が出力され、
前記複数のフィールドの各々で、前記データ線から前記キャパシタへの前記データ信号の伝達と、前記キャパシタから前記発光素子への電荷供給とを実行してなる表示装置。
【請求項2】
前記1つのフレーム内の複数のフィールドでは、
1画面分の同じ画像データに応じたデータ信号が、各フィールドにおいて前記データ線に印加されることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御回路は、複数の前記選択線の各選択線を選択する1つの選択期間を、
前記データ信号に対応する電圧が前記電荷蓄積手段に蓄積される時間以上となるように、前記フィールドの数を設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記選択線に印加する前記選択信号と、前記データ線に印加される前記データ信号との印加のタイミングを規定するクロックを出力するクロック制御部と、複数の段階に輝度を切り換えるために前記クロックの周波数を切り換える輝度モード切換制御部と、を有し、
前記複数のフィールドのフィールド数は、前記周波数の切り換えにより設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載された表示装置と、被写体を撮影する撮影部と、前記撮影部で撮影された信号を処理する映像信号処理回路とを備え、前記映像信号処理回路で信号処理された映像信号が前記表示装置で表示されることを特徴とするカメラ。
【請求項6】
発光素子と、前記発光素子に接続され前記発光素子を発光させる駆動回路とを有する画素がマトリックス状に配置され、
一方向に配された複数の画素の行に選択信号を印加する選択線と、他方向に配された複数の画素の列にデータ信号を印加するデータ線と、をそれぞれ複数有し、
前記駆動回路は、キャパシタと、前記選択線の信号により前記データ線と前記キャパシタとを接続するスイッチとを備える表示装置の駆動方法であって、
1画面分の画像データを表示する1つのフレームが、時間的に分割された複数のフィールドから成り、前記複数のフィールドの各々で、前記データ線から前記キャパシタへの前記データ信号の伝達と、前記キャパシタから前記発光素子への電荷供給とを実行してなる表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記1つのフレーム内の複数のフィールドでは、
1画面分の同じ画像データに応じたデータ信号が、各フィールドにおいて前記データ線に印加されることを特徴とする、請求項6に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項8】
複数の前記選択線の各選択線を選択する1つの選択期間を、
前記データ信号に対応する電圧が前記電荷蓄積手段に蓄積される時間以上となるように、前記フィールドの数を決定することを特徴とする、請求項6又は7に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項9】
前記選択線に印加する前記選択信号と、前記データ線に印加される前記データ信号との印加のタイミングを規定するクロックの周波数を、複数の段階に輝度を切り換えるために切り換えを行い、
前記複数のフィールドのフィールド数は、前記周波数の切り換えにより設定されることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の表示装置の駆動方法。
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図13】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図13】
【公開番号】特開2010−156839(P2010−156839A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335059(P2008−335059)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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