説明

表示装置用筐体

【課題】落下等による外部からの衝撃や圧力から内部の部品を保護することができるとともに、内部の部品の着脱を容易に行うことができる表示装置用筐体を提供する。
【解決手段】下カバー200の表面に凹状の第一嵌合部,及び第二嵌合部が設けられている。第一嵌合部にディスプレイモジュール10が嵌合されることにより、ディスプレイモジュール10が下カバー200に固定される。また、第二嵌合部に基板モジュール20が嵌合されることにより、基板モジュール20が下カバー200に固定される。これにより、ディスプレイモジュール10、及び基板モジュール20の取り外しを容易に行うことができる。また、ディスプレイモジュール10及び基板モジュール20と、表示装置用筐体2とを直接に固定するため、表示装置用筐体2にモジュールを固定するための部品を使用しなくて済み、表示装置1の軽量化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用筐体に関するものであり、詳細には、落下等による外部からの衝撃や圧力から内部の部品を保護することができるとともに、内部の部品の着脱を容易に行うことができる表示装置用筐体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属フレームを使用し、外部からの衝撃による金属フレーム内部の電子機器の破損を防止する液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の液晶表示装置では、金属フレームと金属フレーム内部の電子機器との間に挟み込まれたダミーゴムにより外部からの衝撃を吸収することができる。
【0003】
また、装置を大型化させることなく、外部からの衝撃等による装置の破損を防止するとともに、装置内部を確実に保護することができる電子部品の放熱装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の放熱装置では、発熱電子部品およびそれが設けられた回路基板が、筐体にて覆われる。この筐体は、放熱性を有するウレタン樹脂やエポキシ樹脂で形成されている。さらに、筐体内部に樹脂が充填されているので、落下等による外部からの衝撃や圧力が装置に加わったとしても、そのような衝撃等を樹脂にて確実に吸収することができる。そして、装置内部の発熱電子部品および回路基板を確実に保護することができる。
【特許文献1】特開2001−117077号公報
【特許文献2】特開2004−165251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、落下等による外部からの衝撃や圧力が加わった場合、金属フレームに傷やへこみが生じる可能性があるという問題点があった。また、特許文献2に記載の発明の電子部品の放熱装置では、筐体内部に樹脂が充填されるため、部品の取り外しに手間がかかるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、落下等による外部からの衝撃や圧力から内部の部品を保護することができるとともに、内部の部品の着脱を容易に行うことができる表示装置用筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の表示装置用筐体は、画像を表示する表示部を有した表示ユニットの表示面側に着装され、前記表示部の周縁を覆い且つ可撓性を有する第一カバーと、前記表示ユニットを挟んで前記第一カバーと対向して配置され、前記表示ユニットを裏面側から覆い且つ可撓性を有する第二カバーと、前記第一カバーの外周部と前記第二カバーの外周部とを固定する外周固定手段と、前記第一カバーの内面、又は前記第二カバーの内面の少なくとも一方に形成され、前記表示ユニットとモジュールである操作ユニットとを収納する凹部とを備えている。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る表示装置用筐体は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記表示部の周縁と、当該周縁と当接する前記第一カバーの当接面とを固定する第一固定手段を備えている。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る表示装置用筐体は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記凹部の外周部には、前記第一カバーと前記第二カバーとを固定する第二固定手段を備えている。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る表示装置用筐体は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記第一定手段は、磁性部材又は面ファスナを使用したものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る表示装置用筐体は、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記第二固定手段は、磁性部材又は面ファスナを使用したものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6に係る表示装置用筐体は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記凹部は、少なくとも一対の対向する側面が深さ方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項7に係る表示装置用筐体は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記外周固定手段は、ファスナ又はホックであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項8に係る表示装置用筐体は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記外周固定手段は、前記第一カバーから凸設された第一リブと、前記第二カバーから凸設された第二リブとから構成され、前記第一リブと前記第二リブとが係合されることにより、前記第一カバーの外周部と、前記第二カバー側の外周部とが固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る表示装置用筐体では、画像を表示する表示ユニットの表示面側に装着される第一カバー、又は当該第一カバーと対向した位置に配置された第二カバーの少なくとも一方には、表示ユニットと操作ユニット(以下、これらのユニットを称して「モジュール」という。)を収納する凹部が設けられている。そして、モジュールを凹部に嵌合させることにより、モジュールは、表示装置用筐体に固定される。これにより、モジュールの取り外しを容易に行うことができる。また、内部にモジュールを直接、表示装置用筐体に固定するため、表示装置用筐体にモジュールを固定するための部品が不要となる。これにより、表示装置用筐体の部品の点数を減らすことができる。その結果、表示装置の軽量化が可能となる。また、外周固定手段で第一カバーと、第二カバーが固定されているため、落下時の勢いで内部のモジュールが外部に放出されることを防ぐことができる。
【0015】
また、本発明の請求項2に係る表示装置用筐体では、請求項1に記載の発明の効果に加え、第一固定手段により、表示ユニットの表示部の周縁と、表示部の周縁と当接する第一カバーの当接面とが固定される。これにより、第一カバーが表示ユニットの表示部に固定され、表示ユニットから第一カバーが離れてしまうことを防止できる。
【0016】
また、本発明の請求項3に係る表示装置用筐体では、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、凹部の外周部には、第二固定手段が備えられ、第一カバーと第二カバーとが固定される。これにより、第一カバーと第二カバーに挟まれた内部のモジュールが確実に固定される。
【0017】
また、本発明の請求項4に係る表示装置用筐体では、請求項2に記載の発明の効果に加え、第一固定手段には、磁性部材又は面ファスナが使用されている。これにより、第一カバーが表示ユニットの表示部の周縁に固定され、表示ユニットから第一カバーが離れてしまうことを防止できる。
【0018】
また、本発明の請求項5に係る表示装置用筐体では、請求項3に記載の発明の効果に加え、第二固定手段には、磁性部材又は面ファスナが使用されている。これにより、第一カバーと第二カバーとに隙間が形成されることを防止できる。その結果、第一カバーと第二カバーが確実に固定されるとともに、容易に着脱可能となる。
【0019】
また、本発明の請求項6に係る表示装置用筐体では、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明の効果に加え、凹部の少なくとも一対の対向する側面は、深さ方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されている。これにより、内部に装着されるモジュールは、より強く凹部に嵌合される。その結果、不用意にモジュールが表示装置用筐体から外れてしまうことを防止することが可能となる。
【0020】
また、本発明の請求項7に係る表示装置用筐体では、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の効果に加え、外周固定手段には、ファスナ又はホックが使用され、第一カバーと、第二カバーが固定されているため、内部のモジュールが容易に着脱可能となる。
【0021】
また、本発明の請求項8に係る表示装置用筐体では、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の効果に加え、外周固定手段は、第一カバーから凸設された第一リブと、第二カバーから凸設された第二リブとから構成され、第一リブと第二リブが係合されることにより、前記第一カバーの外周部と、前記第二カバー側の外周部とが固定される。これにより、別途部品を設けることなく、第一カバーと第二カバーとを固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態である表示装置用筐体2について、図面を参照して説明する。はじめに、表示装置用筐体2を含む表示装置1の物理的構成について図1〜図4を参照して説明する。図1は、表示装置1の斜視図である。図2は、表示装置1の平面図である。図3は、表示装置1の左側面図である。図4は、表示装置1の正面図である。ここで、図2における紙面手前側を表示装置1及び表示装置用筐体2の「表側」、紙面奥側を「裏側」、紙面左側を「左側」、紙面右側を「右側」、紙面下側を「下側」、紙面上側を「上側」とする。
【0023】
図1〜図4に示すように、表示装置1は、略直方体状に形成されている。表示装置1の表面の中央より上側寄りには、平面視長方形状の表示部11が設けられている。この表示部11は、電子書籍などの情報を表示する画面であり、表側より可視可能となっている。
【0024】
また、図1〜図3に示すように、表示装置1の表面の下側には、基板モジュール20(図5参照)を収納するために平面視長方形状で凸状に膨出した凸部120が形成されている。そして、この凸部120の表面には、平面視円状の操作ボタン21が複数左右方向に配設されている。この操作ボタン21は、表示装置1への情報の入力や選択を行う為のボタンであり、表示装置1の表側から操作ボタン21を操作することが可能となっている。なお、操作ボタン21の表面と、凸部120の表面とは略同一の高さとなっており、表示装置1が落下等により外部から衝撃を受けた場合に、操作ボタン21に傷等がつかないようになっている。なお、図1,図2及び図4に示すように、表示装置1の端面には本発明の要部であり、表示装置1を構成する表示装置用筐体2(図5参照)を着脱させるためのスライダ51,52を備えたファスナ50が設けられている。このファスナ50についての詳細は後述する。
【0025】
次に、図5を参照して、表示装置1の内部の物理的構成について説明する。図5は、上カバー100が開放された状態における表示装置1の斜視図である。図5に示すように、表示装置1は、ディスプレイモジュール10、基板モジュール20、及び表示装置用筐体2から構成されている。ディスプレイモジュール10は、表面に設けられた表示部11に種々の画像、文字等を表示させることが可能な板状のモジュールである。表示部11としては、周知のマイクロカプセル、液晶、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(ElectroLuminescence)素子等が使用可能である。基板モジュール20は、略直方体状に形成され、情報の入力や選択をする操作ボタン21を表面に複数備えている。また、フラットケーブル(図示外)を介してディスプレイモジュール10と接続されている。そして、操作ボタン21により操作された情報をディスプレイモジュール10に対して送信することにより、所望情報をディスプレイモジュール10の表示部11に表示させることが可能である。なお、図示しないが、表示装置1は、内部に収納する他のモジュールとして、バッテリ等も備えていてもよい。
【0026】
次に、図5及び図6を参照して、表示装置1を構成する表示装置用筐体2の物理的構成について説明する。図6は、上カバー100が開放された状態における表示装置用筐体2の斜視図である。
【0027】
図5及び図6に示すように、表示装置用筐体2は、ディスプレイモジュール10と基板モジュール20(図5参照)(以下、これらを総称して「モジュール」という。)を表裏方向から覆うための上カバー100と下カバー200とから構成されている。上カバー100は、平面視長方形状に形成されている。そして、表示装置用筐体2の内部に装着されるモジュールの表側を覆うために設けられている。下カバー200は、平面視長方形状に形成されている。そして、上カバー100と対向して配置され、表示装置用筐体2の内部に装着されるモジュールの裏側を覆うために設けられている。また、上カバー100と下カバー200とは、双方の上端部分において接続している。そして、その接続部分を曲折させることにより、モジュールが表裏方向から挟持される。上カバー100及び下カバー200は、十分に可撓性を有するウレタンゴムにより形成さている。これにより、外部からの衝撃や圧力を吸収し、内部に収納されるモジュールを保護する役割を果たしている。
【0028】
また、上カバー100及び下カバー200における接続部分を除いた外周部には、ファスナ50の係合部である第一咬合子53,第二咬合子54(図7,図8参照)が設けられている。そして、接続部分を曲折させ、モジュールが上カバー100と下カバー200により挟持された状態で、ファスナ50により係合されることによりモジュールを保護することが可能となっている。
【0029】
図6を参照して、下カバー200の形状の詳細について説明する。下カバー200の表面には、上下方向中央より上側寄りに、平面視長方形状を有する凹状の第一嵌合部201が設けられている。また、第一嵌合部201の下方には平面視長方形状を有する凹状の第二嵌合部202が設けられている。なお、第一嵌合部201、及び第二嵌合部202の側壁は、裏面に対して垂直方向に形成されている。
【0030】
そして、図5に示すように、ディスプレイモジュール10は、表示部11を表側に向けた状態で第一嵌合部201に嵌合される。これにより、ディスプレイモジュール10は下カバー200に固定される。また、基板モジュール20は、操作ボタン21を表側に向けた状態で裏側が第二嵌合部202に嵌合される。これにより、基板モジュール20は下カバー200に固定される。
【0031】
図5及び図6を参照して、上カバー100の詳細について説明する。上カバー100におけるディスプレイモジュール10が挟持される面には、枠状の段部110が形成されている。そして、段部110にて包囲される部分には、平面視長方形状の第一開口部101が形成されている。第一開口部101は、表示装置用筐体2がディスプレイモジュール10を挟持した状態で、ちょうど表示部11が面接する部分に形成されている。これにより、ユーザが表示部11を表側から視認できるようになっている。また、上カバー100の内部には、中空状の中空部105が形成されている。また、段部110の裏面(当接面106という。)には、磁石60が取り付けられている。
【0032】
また、表示装置用筐体2がモジュールを挟持した状態において、上カバー100における基板モジュール20と面接する部分には上述した凸部120が設けられている。その内部には、凹部103が形成されている。そして、凹部103の底面には、平面視円状に開口した第二開口部104が複数設けられている。
【0033】
そして、図5に示すように、下カバー200にモジュールを嵌合させ、接続部分を曲折させて上カバー100をモジュールの表側から覆うことにより、表示装置用筐体2は図1に示す状態となる。この状態で、当接面106がディスプレイモジュール10の表示部11の周縁に当接する。そして、ディスプレイモジュール10の表示部11の周端部を除いた部分が中空部105に嵌り込み、第一開口部101を介してディスプレイモジュール10の表示部11が表側より視認可能となる。また、基板モジュール20の表側が、凹部103に嵌り込む。そして、第二開口部104を介してユーザによる操作ボタン21の操作が可能となる。
【0034】
次に、図1、図7及び図8を参照して、ファスナ50について説明する。図7は、ファスナ50の周辺の部分拡大図である。図8は、表示装置1の図2に示すI−I線における矢視方向断面図である。
【0035】
図7に示すように、ファスナ50は、上カバー100の外周部に装着される第一咬合子53,下カバー200の外周部に装着される第二咬合子54,及びファスナ50を開閉する時に摺動させるスライダ51,52より構成されている。
【0036】
上述したように、第一咬合子53は上カバー100における接続部分の一部を除く外周部に設けられている。また、第二咬合子54は下カバー200における接続部分の一部を除く外周部に設けられている。また、図7及び図8に示すように、スライダ51,52は、第一咬合子53及び第二咬合子54を挟み込むようにして、表示装置用筐体2の外周部に設けられている。そして、スライダ51,52を外周部に沿って摺動させることにより、第一咬合子53と第二咬合子54とを噛み合せることが可能である。これにより、表示装置用筐体2の開閉が可能となっている。例えば、スライダ51を平面視反時計周りに表示装置用筐体2の外周部に沿って摺動させることにより、第一咬合子53と第二咬合子54とを噛み合せ、上カバー100の外周部と下カバー200の外周部とを接続させることが可能となる。また、逆に、スライダ51を平面視時計周りに表示装置用筐体2の外周部に沿って摺動させることにより、第一咬合子53と第二咬合子54との噛み合せを外し、上カバー100の外周部と下カバー200の外周部とを離間させることが可能となる。
【0037】
また、スライダ52を平面視時計周りに表示装置用筐体2の外周部に沿って摺動させることにより、第一咬合子53と第二咬合子54とを噛み合せ、上カバー100の外周部と下カバー200の外周部とを接続させることが可能となる。また、逆に、スライダ51を平面視反時計周りに表示装置用筐体2の外周部に沿って摺動させることにより、第一咬合子53と第二咬合子54との噛み合せを外し、上カバー100の外周部と下カバー200の外周部とを離間させることが可能となる。そして、接続部分を曲折させたり、伸長させたりすることにより、表示装置用筐体2を折り畳み式に開閉することが可能となっている。
【0038】
次に、図8を参照して、ディスプレイモジュール10と上カバー100との固定方法について説明する。前述したように、上カバー100における当接面106には、磁石60が設けられている。また、ディスプレイモジュール10は、画像を形成するための各種処理を実行する制御機器が格納された表示装置本体12、当該表示装置本体12の表面に設けられた表示部11、及び表示部11以外の部分を覆うように設けられた磁性体である金属製のフレーム15から構成されている。そして、図8に示すように、ディスプレイモジュール10における表示部11と反対側の部分が、下カバー200の第二嵌合部202に嵌合される。また、上カバー100と下カバー200とがファスナ50により接続された状態では、ディスプレイモジュール10のフレーム15が、当接面106及び磁石60に当接する。そして、磁石60の磁力により磁性体のフレーム15が吸着される。これにより、上カバー100の第一開口部101とディスプレイモジュール10とが固定された状態となる。
【0039】
以上説明したように、表示装置用筐体2は、上カバー100と下カバー200とから構成されている。そして、下カバー200の上面には、凹状の第一嵌合部201,及び第二嵌合部202が設けられている。そして、第一嵌合部201にディスプレイモジュール10が嵌合されることにより、ディスプレイモジュール10が下カバー200に固定される。また、第二嵌合部202に基板モジュール20が嵌合されることにより、基板モジュール20が下カバー200に固定される。これにより、モジュールの取り外しを容易に行うことができる。また、表示装置用筐体2におけるモジュールの配置位置を固定することが可能であるとともに、表示装置用筐体2にモジュールを固定するための部品が不要となるので、表示装置用筐体2の部品の点数を減らすことができ、表示装置1の軽量化が可能となる。
【0040】
また、上カバー100の外周部と、下カバー200の外周部とに設けられたファスナ50により、上カバー100と下カバー200とを接続することが可能となる。これにより、表示装置1の落下時の勢いで、内部に装着されるモジュールが表示装置用筐体2の外部に放出されることを防ぐことができる。また、上カバー100と下カバー200の材質には、軟体の樹脂材であるウレタンゴムが使用されているので、外部からの衝撃や圧力を吸収し、内部に収納されるモジュールを保護することができる。
【0041】
また、上カバー100の段部110の当接面106には、第一開口部101の周囲を取り囲むように磁石60が設けられている。そして、ディスプレイモジュール10の磁性体である金属製のフレーム15が磁石60に吸着され、上カバー100にディスプレイモジュール10が固定された状態となる。これにより、上カバー100の第一開口部101付近において、ディスプレイモジュール10が上カバー100から離れてしまうことを防止できる。このため、ディスプレイモジュール10が上カバー100に確実に固定されるとともに、見栄えが良くなる。
【0042】
尚、本発明の表示装置用筐体2は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。上カバー100とディスプレイモジュール10とを固定する手段として磁石60が使用されているが、これに限定されない。例えば、上カバー100の当接面106、及びディスプレイモジュール10のフレーム15に磁石60の代わりに面ファスナを取り付け、固定するようにしてもよい。また、磁石60の代わりにホック等を使用して固定するようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施の形態では、下カバー200に設けられた第一嵌合部201の内側の側面は表面に対して垂直な面となっているが、第一嵌合部201の深さ方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ形状に形成するようにしてもよい。
【0044】
次に、第一嵌合部201の内側の側面の形状を変形した第一変形例について説明する。図9を参照して、第一変形例における表示装置用筐体3の物理的構成について説明する。図9は、第一変形例の表示装置1の図2に示すII−II線(図2)における矢視方向断面図である。なお、上カバー100の中空部105の側面の形状、下カバー200の第一嵌合部201の側面の形状、及びディスプレイモジュール10のフレーム15の形状以外は上述した実施の形態と同様のため、その説明を省略する。また、図9に示すように、表示装置1の左側と右側は同一の形状を有している。
【0045】
図9に示すように、第一変形例における表示装置用筐体3は、ディスプレイモジュール30の表面側を覆う上カバー300,ディスプレイモジュール30の裏面側を覆う下カバー400を少なくとも含む構成を有している。また、表示装置用筐体3の内部に収納されるディスプレイモジュール30は、画像を形成するための各種処理を実行する制御機器が格納された表示装置本体12、当該表示装置本体12の表面に設けられた表示部11、及び表示部11以外の部分を覆うように設けられた磁性体である金属製のフレーム16から構成されている。
【0046】
ここで、第一嵌合部201の外周部430の内側の側面431は、第一嵌合部201の深さ方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されている。また、上カバー300の外周部330の内側の側面331は、表側から裏側の方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されている。そして、上カバー300に設けられた側面331のテーパの傾斜角度と、下カバー400に設けられた側面431のテーパの傾斜角度とは、同一角度であり、図9のように、上カバー300と下カバー400とをファスナ50により接続した状態では、上カバー300の側面331と下カバー400の側面431とが同一平面を形成するように側面331のテーパと側面431のテーパとが配置されている。
【0047】
また、表示装置用筐体3の内部に収納されるディスプレイモジュール30のフレーム16の側壁18は、ディスプレイモジュール30における表示部11側から裏側の方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されている。なお、この側壁18の傾斜角度は、上カバー300の外周部330の側面331,及び下カバー400の外周部430の側面431と同一の傾斜角度となっている。
【0048】
以上のように、上述した第一変形例の表示装置1において、第一嵌合部201の側面431は、深さ方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されることで、内部に収納されるディスプレイモジュール30は、より強く第一嵌合部201に嵌合される。その結果、不用意にディスプレイモジュール30が表示装置用筐体3から外れてしまうことを防止することが可能となる。
【0049】
なお、第一嵌合部201の左右の内側の側面431に対して、外方に傾斜するテーパ形状を形成するようにしているが、第一嵌合部201の前後の内側の側面に対しても同様に深さ方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状にしてもよい。また、第二嵌合部202の内側の側面に対しても同様にテーパ形状を形成し、基板モジュール20を固定するようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施の形態では、表示装置用筐体2の上カバー100と下カバー200とを固定する手段として、上カバー100の外周部と下カバー200の外周部とを固定する部分にファスナ50を取り付け、上カバー100と下カバー200とを固定しているが、固定する手段としてはこれに限定されない。例えば、上カバー100,及び下カバー200の外周部をリブ状に形成し、互いに係合して固定してもよい。
【0051】
次に、上カバー100,及び下カバー200の外周部の形状を変形した第二変形例について説明する。図10を参照して、第二変形例における表示装置用筐体4の物理的構成について説明する。図10は、第二変形例の表示装置1の図2に示すII−II線における矢視方向断面図である。なお、上カバー100と下カバー200とを固定する外周部以外は、上述した実施の形態と同様の為、説明を省略する。また、図10に示すように、表示装置1の左側と右側は同一の形状を有している。
【0052】
図10に示すように、第二変形例における表示装置用筐体4は、ディスプレイモジュール10の表側を覆う上カバー500,及びディスプレイモジュール10の裏側を覆う下カバー600を少なくとも含む構成を有している。
【0053】
ここで、上カバー500の外周部530の左右方向中央から内側部分には、表側から裏側方向に凸設された第一リブ540が設けられている。この第一リブ540の外側の側面541は、表側から裏側方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されている。また、下カバー600の外周部630の左右方向中央から外側部分には、裏側から表側方向に凸設された第二リブ640が設けられている。この第二リブ640の内側の側面641は、裏側から表側方向に向かうに従って内方に傾斜するテーパ状に形成されている。なお、この第一リブ540の外側の側面541の傾斜角度と、第二リブ640の内側の側面641の傾斜角度は、同一の傾斜角度になるように形成されている。そして、図10に示すように、上カバー500の第一リブ540と下カバー600の第二リブ640とが係合されることにより、上カバー500と下カバー600とを固定することが可能となる。
【0054】
以上のように、上述した第二変形例の表示装置用筐体4では、上カバー500の外周部530に表側から裏側方向に凸設された第一リブ540と、下カバー600の外周部630から裏側から表側方向に凸設された第二リブ640とが係合されることにより、上カバー500の外周部530と、下カバー600側の外周部630とが固定される。これにより、別途部品を設けることなく、上カバー500と下カバー600とを固定することが可能となる。
【0055】
また、上述した実施の形態では、表示装置用筐体2の上カバー100と下カバー200とを固定する手段として、上カバー100の外周部と下カバー200の外周部にファスナ50を取り付け、上カバー100と下カバー200とを固定しているが、固定する手段としてはこれに限定されない。例えば、第一嵌合部201の外周部、又は第二嵌合部202の外周部に凹状の係合部を設けて上カバー100と下カバー200とを係合させることにより、上カバー100と下カバー200とを固定させてもよい。
【0056】
次に、第一嵌合部201の外周部の形状を変形した第三変形例について説明する。図11を参照して、第三変形例における表示装置用筐体5の物理的構成について説明する。図11は、第三変形例の表示装置1の図2に示すI−I線における矢視方向断面図である。なお、上カバー100と下カバー200とを固定する第一嵌合部201の外周部以外は、上述した実施の形態と同様の為、説明を省略する。
【0057】
図11に示すように、第三変形例における表示装置用筐体5は、ディスプレイモジュール10、及び基板モジュール20の表側を覆う上カバー700と、ディスプレイモジュール10、及び基板モジュール20の裏側を覆う下カバー800とを少なくとも含む構成を有している。
【0058】
ここで、上カバー700の凹部103の外周部には、下方に凸設された第一係合部750が設けられている。この第一係合部750は、その左右の側面が表側から裏側方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されている。また、下カバー800の第二嵌合部202の外周部には、凹状に形成された第二係合部850が設けられている。この第二係合部850の左右の内壁面は、深さ方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されている。なお、この第一係合部750の側面のテーパの傾斜角度と、第二係合部850の内壁面のテーパの傾斜角度は、同一の傾斜角度になるように形成されている。そして、図11に示すように、第一係合部750と、第二係合部850とが係合されることにより、上カバー700と下カバー800とを固定することが可能となる。
【0059】
以上のように、上述した第三変形例の表示装置用筐体5では、上カバー700に設けられた弟一係合部750と、下カバー800に設けられた弟二係合部850とが係合されることにより、上カバー700と下カバー800が固定される。これにより、上カバー700と下カバー800とが確実に固定され、表示装置1が落下した際に、表示装置用筐体5の内部のモジュールが外部に放出されることを防ぐことができる。
【0060】
また、上述した第三変形例では、上カバー700と下カバー800とを固定する手段として、凹状の係合部を使用しているが、磁石等の磁性部材を使用して上カバー700と下カバー800とを固定するようにしてもよい。また、磁石等の磁性部材の代わりに面ファスナを使用してもよい。
【0061】
なお、上述した実施の形態、及び変形例における上カバー100,300,500,700が「第一カバー」に該当し、下カバー200,400,600,800が「第二カバー」に該当する。また、ディスプレイモジュール10,30が「表示ユニット」に該当し、基板モジュール20が「操作ユニット」に該当する。また、ファスナ50が「外周固定手段」に該当し、磁石60が、「磁性部材」に該当する。また、第一嵌合部201及び第二嵌合部202が「凹部」に該当する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】表示装置1の斜視図である。
【図2】表示装置1の平面図である。
【図3】表示装置1の左側面図である。
【図4】表示装置1の正面図である。
【図5】上カバー100が開放された状態における表示装置1の斜視図である。
【図6】上カバー100が開放された状態における表示装置用筐体2の斜視図である。
【図7】ファスナ50の周辺の部分拡大図である。
【図8】表示装置1の図2に示すI−I線における矢視方向断面図である。
【図9】第一変形例の表示装置1の図2に示すII−II線における矢視方向断面図である。
【図10】第二変形例の表示装置1の図2に示すII−II線における矢視方向断面図である。
【図11】第三変形例の表示装置1の図2に示すI−I線における矢視方向断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 表示装置
2,3,4,5 表示装置用筐体
10,30 ディスプレイモジュール
11 表示部
20 基板モジュール
50 ファスナ
60 磁石
100,300,500,700 上カバー
106 当接面
200,400,600,800 下カバー
201 第一嵌合部
202 第二嵌合部
540 第一リブ
640 第二リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部を有した表示ユニットの表示面側に着装され、前記表示部の周縁を覆い且つ可撓性を有する第一カバーと、
前記表示ユニットを挟んで前記第一カバーと対向して配置され、前記表示ユニットを裏面側から覆い且つ可撓性を有する第二カバーと、
前記第一カバーの外周部と前記第二カバーの外周部とを固定する外周固定手段と、
前記第一カバーの内面、又は前記第二カバーの内面の少なくとも一方に形成され、前記表示ユニットとモジュールである操作ユニットとを収納する凹部と
を備えたことを特徴とする表示装置用筐体。
【請求項2】
前記表示部の周縁と、当該周縁と当接する前記第一カバーの当接面とを固定する第一固定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置用筐体。
【請求項3】
前記凹部の外周部には、前記第一カバーと前記第二カバーとを固定する第二固定手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置用筐体。
【請求項4】
前記第一固定手段は、磁性部材又は面ファスナを使用したものであることを特徴とする請求項2に記載の表示装置用筐体。
【請求項5】
前記第二固定手段は、磁性部材又は面ファスナを使用したものであることを特徴とする請求項3に記載の表示装置用筐体。
【請求項6】
前記凹部は、少なくとも一対の対向する側面が深さ方向に向かうに従って外方に傾斜するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置用筐体。
【請求項7】
前記外周固定手段は、ファスナ又はホックであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置用筐体。
【請求項8】
前記外周固定手段は、前記第一カバーから凸設された第一リブと、前記第二カバーから凸設された第二リブとから構成され、
前記第一リブと前記第二リブとが係合されることにより、前記第一カバーの外周部と、前記第二カバー側の外周部とが固定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置用筐体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−54900(P2010−54900A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221006(P2008−221006)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】