説明

表示装置

【課題】表示パネルと回路基板をともに配置した場合に、更なる薄型化を実現すること。
【解決手段】表示画面が設けられた表示パネル320と、表示パネル320の背面において、表示パネル320よりも狭い所定範囲に配置されたT基板350と、表示パネル320の上端から下方向に延在し、T基板350に接続される第1のフレキシブルプリント基板450と、表示パネル320の下端から上方向に延在し、T基板350に接続される第2のフレキシブルプリント460基板と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時においては、液晶ディスプレイなどの表示装置が薄型化し、より薄型の表示装置に対する需要が高くなっている。このため、例えば特開2006−84977号公報に記載されているように、有機ELパネルを用いた表示装置が出現している。
【0003】
【特許文献1】特開2006−84977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示ディスプレイ部の内部に、表示パネルと、表示パネルを駆動するための回路基板、電子部品などの部材をともに配置する場合、これらの部材によって表示ディスプレイ部の厚さが増大し、薄型化を十分に達成することができないという問題がある。また、表示パネルと回路基板との間を接続する配線の取り回しが不適切であると、表示ディスプレイ部の厚さが増大するとともに、表示ディスプレイ部の外形が増加するという問題も発生する。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、表示パネルと回路基板をともに配置した場合に、更なる薄型化を実現することが可能な、新規かつ改良された表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、表示画面が設けられた表示パネルと、前記表示パネルの背面において、前記表示パネルよりも狭い所定範囲に配置された回路基板と、前記表示パネルの上端から下方向に延在し、前記回路基板に接続される第1のフレキシブルプリント基板と、前記表示パネルの下端から上方向に延在し、前記回路基板に接続される第2のフレキシブルプリント基板と、を備える表示装置が提供される。
【0007】
上記構成によれば、回路基板は、表示パネルの背面において、表示パネルよりも狭い所定範囲に配置される。第1のフレキシブルプリント基板は、表示パネルの上端から下方向に延在して回路基板に接続される。また、第2のフレキシブルプリント基板は、表示パネルの下端から上方向に延在して回路基板に接続される。従って、表示パネルの上端又は下端から引き出された第1及び第2のフレキシブルプリント基板によって、表示パネルよりも狭い所定範囲に配置された回路基板への電気的接続を行うことができ、回路基板によって表示装置の厚みが増加してしまうことを最小限に抑えることができる。
【0008】
また、前記回路基板は、前記表示パネルの背面の下部の領域に配置されたものであってもよい。かかる構成によれば、表示パネルの上部において、回路基板が表示装置の厚さに影響を与えることがないため、表示装置の厚さを最小限に抑えることができ、薄型の表示装置を実現することができる。
【0009】
また、前記回路基板は、前記表示パネルの背面の下側半分以下の領域に配置されたものであってもよい。かかる構成によれば、回路基板が表示パネルの背面の下側半分以下の領域に配置されるため、表示装置の上側の広い範囲で表示装置の厚さを最小限に抑えることができ、薄型で軽量感に富んだ表示装置を実現することができる。
【0010】
また、前記第1のフレキシブルプリント基板は、前記表示パネルの上端において下方向に180°折り返されて配置され、前記第2のフレキシブルプリント基板は、前記表示パネルの下端において上方向に180°折り返されて配置されているものであってもよい。かかる構成によれば、表示パネルの上端から上側に引き出された第1のフレキシブルプリント基板を下側に延在させて回路基板と接続することが可能となる。また、表示パネルの下端から下側に引き出された第2のフレキシブルプリント基板を上側に延在させて回路基板と接続することが可能となる。
【0011】
また、前記第1のフレキシブルプリント基板は、前記表示パネルに電源ラインを接続し、前記第2のフレキシブルプリント基板は、前記表示パネルに信号ラインを接続するものであってもよい。かかる構成によれば、表示パネルを駆動するために必要な電源ライン、信号ラインを第1及び第2のフレキシブルプリント基板によって表示パネルに接続することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示パネルと回路基板をともに配置した場合に、更なる薄型化を実現することが可能な表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
[表示装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置1000の外観を示す概略斜視図である。ここで、図1(A)は、正面右上から表示装置1000を見た状態を示す概略斜視図である。また、図1(B)は、表示装置1000の背面、右上から表示装置1000を見た状態を示す斜視図である。また、図2は、正面左側から表示装置1000を見た状態を示す概略斜視図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態の表示装置1000は、本体スタンド部100、アーム部(支持部)200、及び表示ディスプレイ部300を備えて構成されている。表示装置1000は、例えばテレビ放送の映像などを受信して表示ディスプレイ部300の表示画面300aに表示するものである。
【0016】
表示ディスプレイ部300は、有機エレクトロルミネセンス(EL; Electro Luminescence)現象を利用して画像を表示する表示パネル(有機ELパネル)320を備えている。有機ELパネル320は、自発光素子である複数の有機EL素子を有して構成され、バックライトなどの構成が不要であるため、その厚さは十分に薄く構成される。図2に示すように、本実施形態の表示ディスプレイ部300は、その厚さtが数mm程度(3mm程度)以下に抑えられており、非常に厚さの薄い薄型パネルとされている。
【0017】
アーム部200は、本体スタンド部100の後方に1箇所設けられ、本体スタンド部100から上方に向けて立設されている。アーム部200は、表示装置1000を正面から見た場合に、本体スタンド部100の横方向(水平方向)の中心よりも右側に設けられており、表示ディスプレイ部300の横方向の中心よりも右側に連結されている。このように、本実施形態の表示装置1000では、表示ディスプレイ部300の水平方向の中心よりも左右いずれかの端部側にアーム部200が設けられ、表示ディスプレイ部300が片持ちで支持されている。なお、アーム部200は、表示ディスプレイ部300の水平方向の端に接続しても良い。また、アーム部200の上端を表示ディスプレイ部300の水平方向の中心近傍に接続し、下端を図1のように本体スタンド部100の端部に接続することで、片持ち構造としても良い。
【0018】
液晶ディスプレイの場合、バックライトが必要であるため、表示ディスプレイ部の厚さが厚くなり、重量も重くなる。特に、本実施形態のように、コンピュータ用のディスプレイではなく、テレビ映像を表示するディスプレイとしての使用を想定した場合、テレビ受像機としての画質を確保するためには、コンピュータ用ディスプレイよりも多くのバックライトを配置する必要がある。また、液晶ディスプレイには、バックライトの他に、バックライトを制御するためのインバータも必要になる。このため、液晶ディスプレイの場合、重量が重くなり、表示ディスプレイ部を片持ちで支持するためには、アーム部を含めたディスプレイ部の剛性を大幅に高める必要があり、構造の複雑化、重量の増大が想定される。従って、液晶ディスプレイを片持ちで支持することは、ユーザの利便性、製造コスト等を考慮すると現実的ではない。
【0019】
一方、有機ELパネルは、自発光素子である有機EL素子からなるため、バックライトや、これに付随するインバータなどの構成部材は不要であり、薄板のガラス製のパネルのみで軽量に構成することができる。従って、本実施形態によれば、表示ディスプレイ部300自体を非常に軽量に構成することができ、表示ディスプレイ部300を片持ちで支持することが可能となる。
【0020】
表示ディスプレイ部300は、アーム部200との連結部を中心として、図2の矢印A1方向に回動可能とされており、ユーザは、表示ディスプレイ部300のチルト位置を所望の角度に設定することができる。
【0021】
従来の表示パネルにおいて、表示パネルを支持する部材は、一点支持の場合は表示パネルの横方向の中央部分を下側から支持している。また、2点支持の場合は、表示パネルの横方向の両端近傍を下側から支持している。本実施形態では、アーム部200を表示ディスプレイ部300の横方向の中央部分からずらした配置し、表示ディスプレイ部300を片持ちで支持するため、アーム部200がユーザの視野から外れ、ユーザに対して表示画面300aのみを独立して認識させることができる。これにより、ユーザに対しては、あたかも本体スタンド部100上に表示ディスプレイ部300がアーム部200を介さずに浮いているような印象を与えることができる。従って、表示ディスプレイ部300を片持ちで支持することにより、ユーザに対して表示画面300aのみを独立して注視させることが可能となる。
【0022】
また、本体スタンド部100の中央にアーム部200の根元を連結する必要がなくなり、アーム部200の設置の自由度が向上する。従って、本体スタンド部100の内部構造、基板の配置等を考慮して、本体スタンド部100に対するアーム部200の設置位置を決めることが可能となり、設計の自由度を高めることができる。これにより、本体スタンド部100の内部構造を考慮した上で、最も効率良く構成部材を配置することが可能となり、表示装置1000の大きさを最小限に抑えることも可能となる。また、アーム部200が本体スタンド部100の中央に設置されないため、本体スタンド部100の上面に有効なスペースを広くとることができ、本体スタンド部100の上面に表示部、操作ボタン、LED表示灯などを自由に配置することも可能となる。
【0023】
また、図1及び図2に示すように、アーム部200は、本体スタンド部100の後方から表示ディスプレイ部300の裏面に向かって傾斜して設けられている。図2において、鉛直方向に対するアーム部200の傾斜角度θは、45°〜60°程度の値とされる。これにより、表示ディスプレイ部300を正面から見た場合に、アーム部200は表示ディスプレイ部300の裏に隠れてしまい、アーム部200がユーザの視野内で認識されることが抑えられる。従って、アーム部200を表示ディスプレイ部300の中心からずらして配置したこととの相乗効果により、アーム部200がユーザの視界内に認識されることを確実に抑えることができる。
【0024】
このため、ユーザの視野には、表示ディスプレイ部300と本体スタンド部100のみが映り、アーム部200は殆ど視野に入らないため、ユーザが表示ディスプレイ部300と本体スタンド部100の接続状態を直接的に認識することが抑えられる。従って、ユーザにとっては、あたかも空間に表示ディスプレイ部300が浮いているような感覚が生じる。
【0025】
また、上述したように、本実施形態の構成では、表示ディスプレイ部300の厚さが数mm程度と非常に薄く構成されているため、ユーザにとって表示ディスプレイ部300の軽量感が強調されて認識される。従って、ユーザにとって、空間に表示ディスプレイ部300が浮いている感覚との相乗効果により、非常に浮遊感、軽量感の溢れる表示ディスプレイ部300が提供される。
【0026】
これにより、ユーザは、空間に浮遊しているように認識される表示ディスプレイ部300の表示内容のみを注視することができ、他の構造物に気をとられることなく、集中して表示内容を見ることができる。従って、ユーザに表示画面300aが浮いている感じを演出しつつ、良好なデザイン性を維持することが可能となるとともに、表示画面300aの視認性を大幅に向上させた表示装置1000を提供することが可能となる。
【0027】
[アーム部の構成]
図3は、アーム部200の構成を示す模式図である。図3に示すように、アーム部200には、その長手方向に沿って、側面に貫通する開口230が形成されており、中抜き構造とされている。そして、このような中抜き構造としたことにより、アーム部200は、上部に位置する第1アーム部210と、下部に位置する第2アーム部220とから構成されている。第1アーム部210及び第2アーム部220は、薄い平板状に構成され、開口230を間に介在して対向しており、第1アーム部210及び第2アーム部220の肉厚は最小限に抑えられている。
【0028】
上述したように、表示ディスプレイ部300は、非常に薄く、軽量感、浮遊感に富んだ構成とされている。従って、表示ディスプレイ部300を支持するアーム部200についても、中抜き構造として肉厚を最小限に抑えることで、表示ディスプレイ部300と同様に軽量感、浮遊感に富んだ構成とすることができ、表示装置1000の全体として、軽量感、浮遊感を強調することができる。
【0029】
上述したように、液晶表示ディスプレイの場合、重量が重いため、強度を確保するためには、アーム部を中抜き構造にして軽量感、軽快感のある構成とすることは困難である。本実施形態では、有機ELパネル320によって表示ディスプレイ部300を構成しているため、アーム部200を中抜き構造にした場合であっても、必要な強度を確保することができる。従って、表示ディスプレイ部300を確実に支持するとともに、軽量感、軽快感に富んだ良好なデザイン性を確保することができる。
【0030】
第1アーム部210の上面には、カバー240が被せられる。そして、第1アーム部210の上面とカバー240の間には、本体スタンド部100と表示ディスプレイ部300を電気的に接続するフレキシブルプリント基板250が内蔵されている。
【0031】
図4は、アーム部200の構成を詳細に示す模式図である。ここで、図4(A)は、表示ディスプレイ部300の正面側からアーム部200を見た状態を示す正面図、図4(B)は左側面図、図4(C)は右側面図、図4(D)は上面図、図4(E)は下面図、図4(F)は背面図、図4(G)は図4(C)中の一点鎖線I−I’に沿った断面図、をそれぞれ示している。カバー240を取り外した状態のアーム部200の本体部は、例えばアルミニウムなどの金属を素材として、鋳造や削り出しにより一体のブロックとして構成することができる。
【0032】
また、図5は、カバー240の構成を詳細に示す模式図である。ここで、図5(A)は、表示ディスプレイ部300の正面側からカバー240を見た状態を示す正面図、図5(B)は左側面図、図5(C)は右側面図、図5(D)は上面図、図5(E)は下面図、図5(F)は背面図、図5(G)は図5(C)中の一点鎖線II−II’に沿った断面図、をそれぞれ示している。図5に示すように、カバー240には、凹部242が設けられており、凹部242の両側の側壁242aが、第1アーム部210の幅方向の側面と嵌合するように構成されている。フレキシブルプリント基板250は、凹部242の底に収納された状態で、第1アーム部210とカバー240の間に配置される。従って、フレキシブルプリント基板250が外観に露出することはない。
【0033】
以上のように、表示ディスプレイ部300を有機ELパネル320から構成することで、表示ディスプレイ部300の重量を最小限に抑えることが可能となり、アーム部200を中抜き構造としても必要な強度を確保することができる。そして、アーム部200を中抜き構造としてアーム部200の体積を最小限に抑えたことにより、軽量、薄型に構成された表示ディスプレイ部300とともに、浮遊感、軽快感をユーザに喚起させることができる。また、第1アーム部210の中にフレキシブルプリント基板250を内蔵したことにより、ユーザに配線の存在を意識させない構造とすることができる。
【0034】
[表示ディスプレイ部の構成]
図6は、表示ディスプレイ部300の構成を示す模式図であって、表示ディスプレイ部300の分解斜視図を示している。図6に示すように、表示ディスプレイ部300は、ベズル310、有機ELパネル320、グラファイトシート330、ベースプレート340、T基板350、ヒンジ部360、リアカバー420、Tカバー430を有して構成されている。
【0035】
ベースプレート340は、表示ディスプレイ部300の主要な骨格を成す部材であって、アーム部200は、ヒンジ部360を介してベースプレート340に対して連結される。また、有機ELパネル320、T基板350、ヒンジ部360などの主要構成部材は、ベースプレート340に対して固定されている。有機ELパネル320、T基板350、ヒンジ部360、リアカバー420、Tカバー430など、表示ディスプレイ部300を構成する主要な部材は、全てベースプレート340を基準として取り付けられる。
【0036】
有機ELパネル320の裏面には、グラファイトシート330が貼り付けられている。有機ELパネル320は、グラファイトシート330が貼り付けられた面をベースプレート340に対向させた状態で、ベースプレート340に対して粘着テープにより固定される。
【0037】
T基板350は硬質基板からなり、有機ELパネル320と接続される電源ライン、信号ラインが接続されている。T基板350の大きさはベースプレート340の大きさに対応しており、T基板350は、ベースプレート340に対して、有機ELパネル320が固定された面の反対側に固定されている。
【0038】
ヒンジ部360は、アーム部200とベースプレート340を連結する構成部材である。ヒンジ部360は、三角形状の平面形状を有する金属製の第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364、金属製のシャフト366等の構成部材を有して構成されている。シャフト366は、表示ディスプレイ部300の下端に沿って水平に配置されている。第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364は、ベースプレート340に対して固定され、シャフト366に対して回動可能に取り付けられている。一方、シャフト366は、アーム部200に対して固定されている。従って、ベースプレート340は、アーム部200に固定されたシャフト366に対して回動することができ、この際、回転中心軸はシャフト366の中心軸となる。これにより、上述したように図2中の矢印A1方向に表示ディスプレイ部300を回動させることができ、表示ディスプレイ部300のチルト角度を可変することが可能である。
【0039】
ベズル310は、有機ELパネル320の縁に装着され、表示ディスプレイ部300の縁の外観を構成する部材である。リアカバー420及びTカバー430は、表示ディスプレイ部300の裏面を覆う金属製のカバーである。リアカバー420には、T基板350及びヒンジ部360の位置に対応する部分に開口422が設けられており、主として表示ディスプレイ部300の裏面の上部を覆っている。一方、Tカバー430は、開口422の位置に対応して装着され、T基板350及びヒンジ部360を覆うように構成されている。
【0040】
ベースプレート340、T基板350、及びヒンジ360部は、いずれも表示ディスプレイ部300の下側の半分以下の領域のみに設けられており、表示ディスプレイ部300の全体の面積に対してベースプレート340、T基板350、及びヒンジ360部が占める面積は最小限に抑えられている。一方、ベースプレート340、T基板350、及びヒンジ360部が配置された領域以外では、主として有機ELパネル320、グラファイトシート330、リアカバー420の3つの部材のみ表示ディスプレイ部300の厚さが定められる。従って、特に表示ディスプレイ部300の上側半分を含む領域では、表示ディスプレイ部300の厚さを非常に薄くすることが可能となり、上述したように厚さを3mm程度に抑えることができる。
【0041】
通常、表示装置1000は机上などに配置されるため、ユーザが表示ディスプレイ部300を下側から見ることは殆どなく、表示ディスプレイ部300の厚さは上側から認識される。従って、ベースプレート340、T基板350、ヒンジ部360などの部材を表示ディスプレイ部300の下側に配置して、表示ディスプレイ部300の上側の厚さを最小限に抑えることで、ユーザに対して表示ディスプレイ部300の薄さを強調することができる。従って、上述したような浮遊感、軽快感を演出しつつ、良好なデザイン性を維持することができる。
【0042】
図7は、ベースプレート340の構成を示す平面図である。ここで、図7(A)は、表示ディスプレイ部300の背面側からベースプレート340を見た状態を示す正面図、図7(B)は図7(A)の下面図、図7(C)は図7(A)の背面図、をそれぞれ示している。ベースプレート340はプレス成形された金属板から構成される。図7に示すように、ベースプレート340には、複数のネジ孔342,344が形成されている。ネジ孔342は、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364を固定するために用いられる。他のネジ孔344は、T基板350、Tカバー430などの表示ディスプレイ部300の構成要素を固定するために用いられる。
【0043】
ベズル310は、有機ELパネル320の周縁部に対して接着により固定される。図6に示すように、ベズル310には、有機ELパネル320の表示画面300aを露出させるための開口312が設けられている。
【0044】
図8は、リアカバー420の構成を示す模式図である。ここで、図8(A)は、表示ディスプレイ部300の正面側からリアカバー420を見た状態を示す正面図、図8(B)は表示ディスプレイ部300の背面側からリアカバー420を見た状態を示す背面図、をそれぞれ示している。
【0045】
また、図9は、Tカバー430の構成を示す模式図である。ここで、ここで、図9(A)は、表示ディスプレイ部300の正面側からTカバー430を見た状態を示す正面図、図9(B)は左側面図、図9(C)は右側面図、図9(D)は上面図、図5(E)は下面図、図9(F)は背面図、図9(G)は図9(A)中の一点鎖線III−III’に沿った断面図、をそれぞれ示している。
【0046】
図8に示すように、リアカバー420には、ベースプレート340、T基板350、及びヒンジ部360の位置に対応して開口422が設けられている。また、リアカバー420には、リアカバー420を固定するためのネジが挿入される貫通孔424が設けられている。リアカバー420は、後述するように、ベズル310に対して固定され、有機ELパネル320の背面側の上部を覆う。
【0047】
図10は、Tカバー430を取り外した状態で、表示装置1000を背面側から見た状態を示している。表示ディスプレイ部300の下側の領域には、ベースプレート340、T基板350、ヒンジ部360が配置されており、Tカバー430を取り外した状態では、T基板350及びヒンジ部360がリアカバー420の開口422から外観に露出している。
【0048】
図9に示すように、Tカバー430には、ヒンジ部360のシャフト366に対応する凹部432と、ベースプレート340、T基板350、第1ヒンジ板362、及び第2ヒンジ板364が配置された領域に対応する凹部434が設けられている。また、Tカバー430には、アーム部200に対応する位置に切り欠き部436が設けられている。
【0049】
Tカバー430をリアカバー420に被せると、シャフト366が凹部432に収納され、T基板350、第1ヒンジ板362、及び第2ヒンジ板364が凹部434に収納される。これにより、図1(B)に示すように、T基板350、ヒンジ部360などの構成部材がTカバー430によって覆われる。また、アーム部200は、Tカバー430の切り欠き部436から後方へ突出する。
【0050】
従って、表示ディスプレイ部300の背面側には、リアカバー420、Tカバー430、アーム部200のみが外観に露出し、非常にシンプルで洗練された外観を構成することができる。特に、表示ディスプレイ部300の上側では、厚さに関係する構成部材は、主として有機ELパネル320、グラファイトシート330、及びリアカバー420の3部材であるため、非常に薄型で浮遊感、軽量感のある表示ディスプレイ部300を構成することができる。また、ベースプレート340を表示ディスプレイ部300の剛性部材とし、表示ディスプレイ部300の主要な構成要素をベースプレート340に対して固定するようにしたため、非常に薄型でありながら、十分な強度を備えた表示ディスプレイ部300を構成することが可能となる。
【0051】
[ヒンジ部の構成]
図11は、表示装置1000を背面から見た状態を示す図であって、図10の状態からリアカバー420、ベズル310などの部材を取り外した状態を示している。また、図12は、ヒンジ部360の構成を示す斜視図である。
【0052】
また、図13は、ヒンジ部360の構成を詳細に示す模式図である。ここで、図13(A)は、表示ディスプレイ部300の背面側からヒンジ部360を見た状態を示す正面図、図13(B)は右側面図、図13(C)は上面図、図13(D)は下面図、図13(E)は背面図、をそれぞれ示している。
【0053】
ヒンジ部360のシャフト366は、アーム部200に対して固定される。図4に示すように、アーム部200の上部の先端には、シャフト366が装着される受け面202が設けられている。受け面202には、ボス202a及び孔202bが設けられている。
【0054】
また、図12に示すように、シャフト366の外周面の一部には、平坦面372が設けられている。平坦面372には、アーム部200の受け面202のボス202aが挿入される孔372aが設けられている。また、平坦面372には、孔202bに対応した位置にネジ孔372bが設けられている。
【0055】
平坦面372は、アーム部200の受け面202と当接され、孔372aにボス202aが挿入される。この状態でアーム部200の後側から孔202bにネジを挿入し、ネジ孔372bに締めこむことによって、シャフト366がアーム部200に固定される。これにより、図11に示すように、ヒンジ部360のシャフト366とアーム部200が一体化される。そして、一体化されたシャフト366とアーム部200は、表示ディスプレイ部300を支持する剛性部材となる。
【0056】
シャフト366は、表示ディスプレイ部300の下辺に沿って水平に配置されている。そして、シャフト366を回転中心軸として、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364がシャフト366に対して回動可能に係合する。
【0057】
図13(A)に示すように、第1ヒンジ板362には、複数の孔362fが設けられている。また、第2ヒンジ板364には、複数の孔364fが設けられている。これらの孔362f,364fは、ベースプレート340のネジ孔342の位置に対応しており、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364は、孔362f,364fに挿入したネジをベースプレート340のネジ孔342に締め込むことによって、T基板350をベースプレート340との間の介在させた状態で、ベースプレート340に対して固定される。これにより、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364は、ベースプレート340とともに表示ディスプレイ部300の剛性を確保するための強度メンバーとなる。
【0058】
図14は、シャフト366の構成を詳細に示す模式図である。ここで、図14(A)は、表示ディスプレイ部300の背面側からシャフト366を見た状態を示す正面図、右側面図、左側面図、をそれぞれ示している。また、図14(B)は、シャフト366の中心軸に沿った断面を示している。また、図14(C)は、図14(A)中の一点鎖線IV−IV’に沿った断面を示している。
【0059】
図14に示すように、シャフト366は中間部分で分轄されており、シャフト366は2つのシャフト368及びシャフト370から構成されている。上述した平坦面372は、シャフト368に設けられている。
【0060】
図14(A)及び図14(B)に示すように、シャフト368とシャフト370が連結される部位には、溝375が設けられている。また、シャフト368の端部には、シャフト370の係合穴370aに挿入される係合軸368aが設けられている。シャフト370の端部には、平坦面370gが設けられている。
【0061】
図14(B)に示すように、シャフト368の係合軸368aには、ピン369が挿入される2つの孔368bが設けられている。また、シャフト370の平坦面370gが形成された部位には、ピン369が挿入される2つの孔370bが設けられている。
【0062】
シャフト368とシャフト370は、係合穴370aに係合軸368aを挿入した状態で、孔368b及び孔370bにピン369を挿入し、カシメ止めすることで固定される。この際、カシメ止めにより、ピン369の外径と孔368b及び孔370bの内径が嵌合し、固定される。
【0063】
図14(A)に示すように、係合軸368aと反対側のシャフト368の端部には、係合軸368cが設けられている。また、溝375の位置には係合軸368dが設けられている。係合軸368cには、中心軸に沿って所定の深さの穴368eが設けられている。また、係合軸368cの端面の一部には、所定の深さの係合溝368fが設けられている。
【0064】
同様に、シャフト370の端部には、係合軸370cが設けられている。係合軸370cには、中心軸に沿って所定の深さの穴370eが設けられている。また、係合軸370cの端面の一部には、所定の深さの係合溝370fが設けられている。
【0065】
図12及び図13に示すように、第1ヒンジ板362の両端には、シャフト368の両端の係合軸368c,368dと係合する2つの係合部362a,362bが折り曲げ加工により設けられている。係合部362a,362bには、それぞれ貫通孔362c(図12及び図13において不図示)が設けられている。
【0066】
また、第2ヒンジ板364の一端には、シャフト370の一端に設けられた係合軸370cに係合する1つの係合部364aが折り曲げ加工により形成されている。図13(B)に示すように、係合部364aには、貫通孔364cが設けられている。
【0067】
図15は、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364とシャフト366との係合状態を示す模式図であって、表示ディスプレイ部300の下方向からシャフト366を見た状態を示している。ここで、図15(A)は、シャフト366に対して第1ヒンジ板362が回動可能に装着された状態を示している。また、図15(B)は、シャフト366に対して第2ヒンジ板364が回動可能に装着された状態を示している。
【0068】
図15(A)に示すように、ワッシャー378を係合軸368cに挿入した状態で、第1ヒンジ板362の係合部362aの貫通孔362cは、シャフト368の係合軸368cに挿入される。また、係合部362bの貫通孔362cは係合軸368dに挿入される。そして、ばねワッシャー379を係合軸368cに挿入した状態で、ロック位置規定板380が係合軸368cの先端に装着され、カシメピン382を穴368eに打ち込むことで、カシメピン382が穴368eに固定される。これにより、ロック位置規定板380が係合軸368cの先端面に固定され、第1ヒンジ板362がシャフト368に対して回動可能に装着される。
【0069】
また、図15(B)に示すように、ワッシャー378を係合軸370cに挿入した状態で、第2ヒンジ板364の係合部364aの貫通孔364cが係合軸370cに挿入され、更に、ばねワッシャー379が係合軸370cに挿入される。そして、ロック位置規定板380が係合軸370cの先端に装着され、カシメピン382を穴370eに打ち込むことで、カシメピン382が穴370eに固定される。これにより、ロック位置規定板380が係合軸370cの先端面に固定され、第2ヒンジ板364がシャフト370に対して回動可能に装着される。
【0070】
ヒンジ部360を組み立てる際には、シャフト366をシャフト368とシャフト370に分離した状態で、先ず、シャフト368の係合軸368dに第1ヒンジ板362の係合部362bの貫通孔362cを挿入する。次に、係合軸368cにワッシャー378を挿入し、係合軸368cに係合部362aの貫通孔362cを挿入する。
【0071】
次に、シャフト368の係合軸368aをシャフト370の係合穴370aに挿入し、孔368b及び孔370bにピン369を挿入し、カシメ止めすることでシャフト368とシャフト370を固定し、一体化する。これにより、シャフト368とシャフト370の間に溝375が形成され、溝375内の係合軸368dに係合部362bが係合した状態となる。
【0072】
次に、シャフト370の係合軸370cにワッシャー378を挿入し、係合軸370cに第2ヒンジ部364の係合部364aの貫通孔364cを挿入する。そして、シャフト366の両端において、係合軸368c、係合軸370cにバネワッシャー379を挿入し、係合軸368c、係合軸370cの先端面にロック位置規定板380を取り付け、カシメピン382を穴368e、穴370eに挿入してカシメ止めする。
【0073】
第1ヒンジ板362は、2箇所に設けられた係合部362a,362bの貫通孔362cが、シャフト368の両端の係合軸368c,368dに対して回動可能に係合するため、シャフト366に対して回動可能に支持される。また、第2ヒンジ板364は、1箇所に設けられた係合部364aの貫通孔364cが、シャフト370の一端の係合軸370cに対して回動可能に係合するため、シャフト366に対して回動可能に支持される。従って、第1のヒンジ板362及び第2ヒンジ板364の双方がシャフト366に対して回動可能に装着される。
【0074】
従って、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364をベースプレート340に装着することで、剛性部材であるシャフト366を回転中心軸として、表示ディスプレイ部300を回動可能に支持することができる。
【0075】
本実施形態では、シャフト366に対して2つの第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364を回動可能に支持しているが、1つのヒンジ板を回動可能に支持しても良い。但し、シャフト366が長い場合は、1枚のヒンジ板の両端に設けた係合部でヒンジ板を回動可能に支持すると、シャフト366の長手方向の中間部分でヒンジ板がシャフトから離れる方向に変形してしまう場合がある。また、ヒンジ板に回転方向の捩れが生じ、ヒンジ板の両端での回転角度位置に相違が生じることによって、ヒンジ板の回動がスムーズに行われなくなる場合がある。一方、本実施形態のように、ヒンジ板を第1ヒンジ板362と第2ヒンジ板364の2つに分割し、第1ヒンジ板362の両端に2つの係合部362a,362bを設けると、ヒンジ板全体としてシャフト366との係合箇所を3箇所に増加することができ、シャフト366の中間部近傍でヒンジ板がシャフトから離れる方向に変形してしまうことを抑止できる。また、ヒンジ板を分割したことにより、個々のヒンジ板の剛性が高くなり、ヒンジ板の捩れを抑えることができるため、シャフト366の両端での第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板368の回転角度位置を同一にすることができる。従って、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板368をシャフト366に対してスムーズに回動させることができ、表示ディスプレイ部300のチルト動作を滑らかに行うことが可能となる。
【0076】
[ヒンジ板の回動ロック機構]
図16は、ロック位置規定板380の構成を示す模式図である。ロック位置規定板380は、板材をプレス加工することによって形成されている。図16に示すように、ロック位置規定板380には、カシメピン382が挿入される孔380a、係合軸368c,370cの先端の係合溝368f,370fと係合する突起部380b、及び第1ヒンジ板362、第2ヒンジ板364の回動ロック位置を規定する突起部380cが設けられている。
【0077】
図17は、ロック位置規定板380の突起部380cによって第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364の回転位置が規定される様子を示す模式図である。ここで、図17(A)は、図13(A)中の矢印A2方向から第1ヒンジ板362の係合部362aを見た状態を示している。また、図17(B)は、図13(A)中の矢印A3方向から第2ヒンジ板364の係合部364aを見た状態を示している。
【0078】
図17(A)に示すように、第1ヒンジ板362の係合部362aには、その輪郭に凹部362dが形成されている。そして、係合溝368fに突起部380bを挿入してロック位置規定板380を係合軸368cの先端に装着すると、凹部362dの位置にロック位置規定板380の突起部380cが位置するように構成されている。これにより、第1ヒンジ板362がシャフト366の中心軸を回転中心として回動した場合に、凹部362dの両側の端面362eが突起部380cと当接することで、第1ヒンジ板362の回動可能範囲が規定される。
【0079】
同様に、図17(B)に示すように、第2ヒンジ板364の係合部364aには、その輪郭に凹部364dが形成されている。そして、係合溝370fに突起部380bを挿入してロック位置規定板380を係合軸370cの先端に装着すると、凹部364dの位置にロック位置規定板380の突起部380cが位置するように構成されている。これにより、第2ヒンジ板364がシャフト366の中心軸を回転中心として回動した場合に、凹部364dの両側の端面364eが突起部380cと当接することで、第2ヒンジ板364の回動可能範囲が規定される。
【0080】
ここで、第1ヒンジ板362の凹部362dの2つの端面362eの角度範囲と、第2ヒンジ板364の凹部364dの2つの端面364eの角度範囲は同一とされている。そして、図14(A)に示すように、ロック位置規定板380の角度位置を規定する係合溝368f及び370fは、ピン369によりシャフト368とシャフト370の相対的な角度位置が規定されることで、シャフト366の中心軸に対して同一の角度位置に位置する。このため、凹部362dの2つの端面362eに対する突起部380cの角度位置は、凹部364dの2つの端面364eに対する突起部380cの角度位置と同一となる。従って、図17(A)及び図17(B)に示すように、表示ディスプレイ部300のチルトを上向きに動かす場合に、第1ヒンジ板362の可動角度をα11とし、第2ヒンジ板364の可動角度をα12とすると、α11=α21の関係が成立する。また、表示ディスプレイ部300のチルトを下向きに動かす場合に、第1ヒンジ板362の可動角度をα12とし、第2ヒンジ板364の可動角度をα22とすると、α12=α22の関係が成立する。
【0081】
従って、表示ディスプレイ部300のチルトを上向きまたは下向きに動かす場合に、チルトがロックされる位置は、第1ヒンジ板362と第2ヒンジ板364の双方で同一の位置となる。これにより、シャフト366の両端部でチルト位置を同時にロックすることができ、チルト位置がロックした際に、表示ディスプレイ部300とシャフト366との間に捩れが生じてしまうことを確実に抑止することが可能となる。従って、ロック位置で表示ディスプレイ部300の上辺がシャフト366の中心軸に対して傾いてしまうことを抑えることが可能となり、表示ディスプレイ部300のスムーズな動きを実現することが可能となる。
【0082】
図18は、シャフト368とシャフト370とを結合する構成の他の例を示す模式図である。ここで、図18(A)は、シャフト366の中心軸に沿った断面を示している。また、図18(B)は、図18(A)中の一点鎖線V−V’に沿った断面を示す模式図である。図18の例では、シャフト368の係合軸368dをシャフト370の穴370hに挿入し、穴370hのキー370iと係合軸368dのキー溝368gを係合させることで、シャフト368とシャフト370の角度位置を規定している。シャフト368とシャフト370は、シャフト370に固定用のカシメピン367をカシメ止めすることで、シャフト370からシャフト368が抜けないように構成される。このような構成によっても、シャフト368の係合溝368fとシャフト370の係合溝370fとの角度位置を規定することができ、チルト位置がロックされる位置を、第1ヒンジ板362と第2ヒンジ板364の双方で同一の位置とすることができる。
【0083】
[表示ディスプレイ部の基板配線構造]
図19は、有機ELパネル320とT基板350を接続するフレキシブルプリント基板450,460と、有機ELパネル320とが接続された様子を示す模式図である。図19に示すように、有機ELパネル320の上端には、電源ラインが設けられたフレキシブルプリント基板450が接続されている。また、有機ELパネル320の下端には、信号ラインが設けられたフレキシブルプリント基板460が接続されている。フレキシブルプリント基板460には、ドライバIC470が実装されている。ドライバIC470は、有機ELパネル320の各有機EL素子を発光させるための制御信号を送るドライバICである。
【0084】
図20は、図19の構成が表示ディスプレイ部300に組み込まれた状態を示す模式図であって、表示ディスプレイ部300の側面から有機ELパネル320、ベースプレート340、T基板350、フレキシブルプリント基板450,460を見た状態を示している。
【0085】
図20に示すように、有機ELパネル320の上端から引き出されたフレキシブルプリント基板450は、180°折り返されてT基板350へ接続される。また、有機ELパネル320の下端から引き出されたフレキシブルプリント基板460は、180°折り返されてT基板350へ接続される。従って、有機ELパネル320の背面において、有機ELパネル320の全面にT基板350を配置する必要がなくなり、T基板350の占有領域を最小限に抑えることが可能となる。
【0086】
これにより、有機ELパネル320の下部の最小限の範囲にT基板350を配置することができ、特にT基板350よりも上部の領域において、表示ディスプレイ部300の厚さを最小限に抑えることが可能となる。T基板350が配置されていない領域では、主として有機ELパネル320、グラファイトシート330、リアカバー420によって表示ディスプレイ部300の厚さが規定されるため、上述したように表示ディスプレイ部300の厚さを3mm程度と非常に薄くすることが可能となり、軽量感、浮遊感に富んだ表示ディスプレイ部300を構成することが可能となる。
【0087】
また、T基板350から引き出されたフレキシブルプリント基板450,460を180°折り返して有機ELパネル320に接続することで、有機ELパネル320の外形を拡げることなく、有機ELパネル320とT基板350との電気的接続を行うことが可能となる。従って、本実施形態の表示ディスプレイ部300の基板配線構造によれば、表示ディスプレイ部300の大きさを最小限に抑えることができ、表示ディスプレイ部300の小型化を達成することができる。
【0088】
また、図20は、ベースプレート340と、ベースプレート340を支持する支持部材348(第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364)とが結合部される様子を示している。ベースプレート340は、支持部材348の少なくとも一部に密着して結合され、または固定部346を介して支持部材348と結合される。上述したように、ベースプレート340は支持部材348としての第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364に結合されるが、例えば、表示ディスプレイ部300にチルト調整機構を設けない場合は、図20に示す支持部材348を本体スタンド部から立設されたスタンドアームなどの構成部材とすることができる。この場合においても、ベースプレート340及びT基板350など、表示ディスプレイ部300を構成する主要な部材が表示ディスプレイ部300の下部に集約して配置されるため、特に表示ディスプレイ部300の上側の厚さを最小限に抑えることができる。
【0089】
[ヒンジ部による放熱構造]
T基板350には、有機ELパネル320と接続される電源ライン、信号ラインが設けられている。また、T基板350には、電子部品352が実装されている。本実施形態では、図11に示すように、ヒンジ部360の第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364とベースプレート340との間にT基板350が配置されている。このため、回路の駆動によりT基板350または電子部品352で発生した熱は、熱伝導性の高い金属製の第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364に伝熱して拡散される。従って、T基板350の熱を効率良く放熱することができる。第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364に伝達された熱は、金属製のリアカバー420、Tカバー430を介して外部へ放出される。従って、T基板350の発熱により表示ディスプレイ部300が加熱してしまうことを確実に抑止できる。T基板350または電子部品352から第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364への伝熱を効率良く行うために、熱伝導部材を介してT基板350または電子部品352と第1ヒンジ板362、第2ヒンジ板364を接触させても良い。
【0090】
図21は、図20の状態を表示ディスプレイ部300の背面側から見た状態を示す模式図である。図21に示すように、有機ELパネル320の下端から引き出された複数のフレキシブルプリント基板460を180°折り返してT基板350に接続すると、ドライバIC470が水平方向の一直線上に配列される。ドライバIC470は、シャフト366の近傍に、シャフト366の延在する方向に沿って配置される。
【0091】
図22は、表示ディスプレイ部300のシャフト366の近傍の断面を示す模式図である。図22に示すように、フレキシブルプリント基板460上に実装されたドライバIC470は、第1ヒンジ板362、第2ヒンジ板364の根元の位置に配置される。
【0092】
そして、図22に示すように、ドライバIC470と、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364とは、放熱シート472を介して接続されている。また、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364と、リヤカバー420とは、放熱シート474を介して接続されている。
【0093】
このような構成によれば、ドライバIC470から発生した熱は、放熱シート472を介して第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364へ伝熱されて拡散する。そして、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364の熱は、放熱シート474を介してリアカバー420へ伝熱され、表示ディスプレイ部300の外部へ放熱される。リアカバー420は金属製であるため、放熱効果をより高くすることができる。従って、表示ディスプレイ部300内の熱を効率良く放熱することが可能である。
【0094】
ドライバIC470は有機ELパネル320に配列された各有機EL素子の信号を制御するため、有機ELパネル320の下端に沿ってパネルの列方向(水平方向)に配列される。また、表示ディスプレイ部300のチルト位置を可変するため、ヒンジ部360のシャフト366も有機ELパネル320の下端に沿って水平方向に延在して配置される。従って、本実施形態の表示装置1000では、ドライバIC470の配列方向とヒンジ部360のシャフト366の延在する方向を同一方向とすることができ、ドライバIC470と第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364の配置位置を適合させることが可能となる。従って、ドライバIC470で発生した熱を、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364を介して確実に放熱することが可能となる。
【0095】
図23は、表示ディスプレイ部300の上部の断面構成を示す模式図である。図23に示すように、有機ELパネル320の上端から引き出された複数のフレキシブルプリント基板450は、180°折り返されて、リアカバー420に密着した状態で下方のT基板350へ導かれる。グラファイトシート330は有機ELパネル320の裏面の前面に貼り付けられており、フレキシブルプリント基板450は、グラファイトシート330とリアカバー420との間に位置している。
【0096】
このような構成によれば、有機ELパネル320で発生した熱は、グラファイトシート330へ伝熱され、グラファイトシート330で拡散、均一化される。そして、グラファイトシート330で拡散された熱は、リアカバー420へ伝熱され、リアカバー420から外部へ放出される。リアカバー420は金属製であるため、放熱効果をより高くすることができる。従って、表示ディスプレイ部300の上部においても、内部の熱をリアカバー420から外部へ効率良く放出することが可能である。
【0097】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の外観を示す概略斜視図である。
【図2】正面左側から表示装置を見た状態を示す概略斜視図である。
【図3】アーム部の構成を示す模式図である。
【図4】アーム部の構成を詳細に示す模式図である。
【図5】アーム部のカバーの構成を詳細に示す模式図である。
【図6】表示ディスプレイ部の構成を示す分解斜視図図である。
【図7】ベースプレートの構成を示す平面図である。
【図8】リアカバーの構成を示す模式図である。
【図9】Tカバーの構成を示す模式図である。
【図10】Tカバーを取り外した状態で、表示装置を背面側から見た状態を示す模式図である。
【図11】図10の状態からリアカバー、ベズルなどの部材を取り外した状態を示す模式図である。
【図12】ヒンジ部の構成を示す斜視図である。
【図13】ヒンジ部の構成を詳細に示す模式図である。
【図14】シャフトの構成を詳細に示す模式図である。
【図15】第1ヒンジ板及び第2ヒンジ板とシャフトとの係合状態を示す模式図である。
【図16】ロック位置規定板の構成を示す模式図である。
【図17】ロック位置規定板によって第1ヒンジ板及び第2ヒンジ板の回転位置が規定される様子を示す模式図である。
【図18】シャフトの構成の他の例を示す模式図である。
【図19】フレキシブルプリント基板と有機ELパネルとが接続された様子を示す模式図である。
【図20】図23の構成が表示ディスプレイ部に組み込まれた状態を示す模式図である。
【図21】図24の状態を表示ディスプレイ部の背面側から見た状態を示す模式図である。
【図22】表示ディスプレイ部のシャフトの近傍の断面を示す模式図である。
【図23】表示ディスプレイ部の上部の断面構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0099】
1000 表示装置
320 有機ELパネル
350 T基板
360 ヒンジ部
450,460 フレキシブルプリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面が設けられた表示パネルと、
前記表示パネルの背面において、前記表示パネルよりも狭い所定範囲に配置された回路基板と、
前記表示パネルの上端から下方向に延在し、前記回路基板に接続される第1のフレキシブルプリント基板と、
前記表示パネルの下端から上方向に延在し、前記回路基板に接続される第2のフレキシブルプリント基板と、
を備えることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記回路基板は、前記表示パネルの背面の下部の領域に配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記回路基板は、前記表示パネルの背面の下側半分以下の領域に配置されたことを特徴とする、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1のフレキシブルプリント基板は、前記表示パネルの上端において下方向に180°折り返されて配置され、前記第2のフレキシブルプリント基板は、前記表示パネルの下端において上方向に180°折り返されて配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1のフレキシブルプリント基板は、前記表示パネルに電源ラインを接続し、前記第2のフレキシブルプリント基板は、前記表示パネルに信号ラインを接続することを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−292698(P2008−292698A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137116(P2007−137116)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】