説明

表示装置

【課題】円の円弧の一部からなる反射面を備えた導光体を利用することにより、視野角を制限することができつつも装置の奥行きを短くすることができて、小型化に有利な表示装置を提供する。
【解決手段】一方の焦点f1側に配置された光源から放射された光は、楕円ミラー17の入射面25から入射し、楕円の反射面で反射して出射面27から出射され、透過型の液晶表示パネル5を透過して他方の焦点f2側の焦点fに集光する。したがって、視野角を他方の焦点f方向だけに限定することができる。また、楕円の一方の焦点f1からの光を他方の焦点f2側に集光させるには、楕円ミラー17の側方に光源を配置すればよいので、装置の奥行きを短くすることができて、小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示装置に係り、特に、特定の位置においてのみ画像を観察することができるように視野角を制限する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、次のようなものが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
この装置は、液晶表示パネルと、拡散板と、液晶表示パネルから所定距離に結像させる焦点距離を有するフレネルレンズと、光源とを有する。これらは表示装置の筐体内において直線的に配置されている。このような構成により、所定位置にいる観察者だけが画像を見ることができ、視野角を制限することができる。
【特許文献1】特許第2620516号(図18)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、各部材を直線的に配置する必要があるので、装置の奥行きが長くなり、小型化を図ることができないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、楕円の円弧の一部からなる反射面を備えた導光体を利用することにより、視野角を制限することができつつも装置の奥行きを短くすることができて、小型化に有利な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、画像を表示するための透過型の液晶表示パネルと、板状の外観形状を呈し、面方向から見て一端面が楕円の円弧の一部で構成され、光を透過する部材で構成された本体と、前記楕円の一方の焦点側にあたる前記本体の端面に形成され、光が入射される入射面と、面方向から見て前記本体の他端面に形成され、前記入射面から前記本体に入射された光を前記楕円の他方の焦点側に出射する出射面と、前記本体の端面に形成され、面方向から見て前記楕円の円弧の一部からなる反射面とを備えている導光体と、前記楕円の一方の焦点側に配設された光源と、を備えていることを特徴とするものである。
【0006】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、一方の焦点側に配置された光源から放射された光は、導光体の入射面から入射し、楕円の反射面で反射して出射面から出射され、透過型の液晶表示パネルを透過して他方の焦点位置に集光する。したがって、視野角を他方の焦点方向だけに限定することができる。また、楕円の一方の焦点からの光を他方の焦点に集光させるには、導光体の側方に光源を配置すればよいので、装置の奥行きを短くすることができて、小型化を図ることができる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、画像を表示するための透過型の液晶表示パネルと、板状の外観形状を呈し、面方向から見て一端面が楕円の円弧の一部で構成され、光を透過する部材で構成された本体と、前記楕円の一方の焦点側にあたる前記本体の端面に形成され、光が入射される入射面と、面方向から見て前記本体の他端面に形成され、前記入射面から前記本体に入射された光を前記楕円の他方の焦点側に出射する出射面と、前記本体の端面に形成され、面方向から見て前記楕円の円弧の一部からなる反射面とを備えている導光体と、前記導光体を複数備え、入射面を一方側に向けた導光体と、入射面を他方側へ向けた導光体とを面同士を合わせて積層して構成された反射ユニットと、一方側へ向けられた前記導光体の入射面付近に配置された第1の光源と、他方側へ向けられた前記導光体の入射面付近に配置された第2の光源とを備えた一対の光源と、を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項2記載の発明によれば、一方の焦点側に配置された第1の光源及び第2の光源から放射された光は、反射ユニットの各導光体の入射面から入射し、楕円の反射面で反射して出射面から出射され、透過型の液晶表示パネルを透過してそれぞれ異なる他方の焦点に集光する。したがって、視野角を二箇所の方向だけに限定することができる。また、楕円の一方の焦点からの光を他方の焦点に集光させるには、導光体の側方に光源を配置すればよいので、装置の奥行きを短くすることができて、小型化を図ることができる。
【0009】
また、本発明において、前記透過型の液晶表示パネルに異なる第1の画像と第2の画像を交互に出力する画像出力手段と、前記画像出力手段が第1の画像から第2の画像に、または第2の画像から第1の画像に順次に切り換える際に、第1の画像が出力されている場合には前記第1の光源を、第2の画像が出力されている場合には前記第2の光源を点灯させる光源制御手段と、を備えていることが好ましい(請求項3)。画像出力手段が第1の画像と第2の画像とを交互に出力するのに合わせて、光源制御手段が第1の光源及び第2の光源を交互に点灯させることにより、一つの液晶表示パネルを異なる位置で観察すると、第1の画像と第2の画像を観察することができる。したがって、いわゆる「デュアルビュー」の表示装置を実現することができる。
【0010】
また、本発明において、前記透過型の液晶表示パネルに右眼用画像と左眼用画像を交互に出力する画像出力手段と、前記画像出力手段が右眼用画像から左眼用画像に、または左眼用画像から右眼用画像に順次に切り換える際に、右眼用画像が出力されている場合には前記第1の光源を、左眼用画像が出力されている場合には前記第2の光源を点灯させる光源制御手段と、を備えていることが好ましい(請求項4)。画像出力手段が右眼用画像と左眼用画像とを交互に出力するのに合わせて、光源制御手段が第1の光源と第2の光源とを切り換えて点灯させることにより、右眼用画像と左眼用画像の視差に基づく立体画像を観察することができる。
【0011】
また、本発明において、前記導光体の反射面は、光を反射する光反射材料が、前記本体の外側にあたる周面に層を構成していることが好ましい(請求項5)。
【0012】
また、本発明において、前記本体のうち、前記出射面と前記入射面を除く面側に白色塗装に重ねて黒色塗装が施され、前記出射面と前記入射面を除く端面側に黒色塗装が施されていることが好ましい(請求項6)。光透過性の樹脂により光源の光を効率的に透過させることができ、入射した光を反射面の光反射材料で反射させることができるとともに、白色塗装及び黒色塗装により入射した光を漏れなく効率的に出射面に導くことができる。また、反射面の反射材料が光透過性の樹脂で保護されることになるので、反射材料の経時劣化(反射面の曇りなど)を抑制することができる。また、全面に反射層を設けるよりはコスト的に有利である。
【0013】
また、本発明において、前記本体が積層されたときに本体間に空気層が形成されていることが好ましい(請求項7)。導光体を積層した際に、間に空気層を形成することができる。光は屈折率が高い媒体を進む特性を有するので、各導光体から隣接する導光体に光が漏れることを防止することができ、積層面の塗装を省略することができる。
【0014】
また、本発明において、前記本体は、楕円の長軸に沿う、前記入射面に近い側の一端面が副反射面として形成され、前記入射面から入射した光が副反射面及び反射面を介して他方の焦点側よりも外側に向かって出射するように構成されていることが好ましい(請求項8)。観察者の眼の位置に光を集光させる立体画像表示装置では、通常、観察者の眼が集光位置からずれると画像が見えなくなるが、副反射面及び反射面により焦点位置よりも外側に向かって出射するようにしているので、立体画像は見ることができないものの、右眼用画像または左眼用画像だけによる二次元画像として見ることができる。したがって、立体視している観察者の周囲であっても観察者が立体視している画像の概略を知ることができる。
【0015】
また、本発明において、前記入射面は、その厚みが、前記反射面の厚みよりも厚く構成されていることが好ましい(請求項9)。入射面の厚みを厚くすることにより、光源の光を効率的に入射させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る立体画像表示装置によれば、一方の焦点側に配置された光源から放射された光は、導光体の入射面から入射し、楕円の反射面で反射して出射面から出射され、透過型の液晶表示パネルを透過して他方の焦点位置に集光する。したがって、視野角を他方の焦点方向だけに限定することができる。また、楕円の一方の焦点からの光を他方の焦点に集光させるには、導光体の側方に光源を配置すればよいので、装置の奥行きを短くすることができて、小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は、実施例に係る立体表示装置の概略構成を示す横断面図であり、図2は、楕円ミラーを構成する楕円を説明する模式図である。図3は、楕円ミラーの一部断面を示す図であり、(a)は楕円ミラーの正面図、(b)は側面図であり、図4は、楕円ミラーの外観斜視図である。図5は、反射ユニットの外観斜視図であり、(a)は出射面側から見た図であり、(b)はその反対側から見た図であり、図6は、反射ユニットの正面図である。
【0018】
本実施例に係る立体画像表示装置(本発明における表示装置)は、横断面がコの字状を呈する筐体3を備えている。この筐体3の前面4には、透過型の液晶表示パネル5がフロントベゼルを含む支持部7を介して取り付けられている。液晶表示パネル5の両端側にあたる支持部7の奥側には、支持枠9を介して拡散部材11が取り付けられている。この拡散部材11は、光を縦方向(紙面方向)に拡散させる機能を備えている。支持枠9の一方の奥側(前面4から見て左側奥)には、放熱機構13を介して右眼用の光源15が取り付けられ、支持枠9の他方の奥側(前面4から見て右側奥)には、放熱機構14を介して左眼用の光源16が取り付けられている。光源15,16(本発明における第1の光源及び第2の光源に相当)は外観が棒状を呈し、図1において、紙面方向に長手方向が位置するように配置されている。
【0019】
一対の光源15,16の奥側には、同形状の楕円ミラー17を互い違いに積層して構成された反射ユニット19が配設されている(図1及び図5参照)。楕円ミラー17は、薄板状の外観を呈しており、面方向(紙面方向)からみて一端面が楕円の円弧の一部を構成している。楕円ミラー17は、左眼用も右眼用も向きが異なるだけで同じ構成であるので、ここでは右眼用を例に採って図2を参照しながら説明する。
【0020】
なお、上述した楕円ミラー17が本発明における導光体に相当する。
【0021】
楕円ミラー17は、外観形状が刃状を呈するブレード18(本発明における本体に相当)を備えている。このブレード18は、楕円21の円弧の一部から構成されている。一方の焦点f1の位置には、楕円ミラー17の長軸aに沿う面23と、短軸bに沿う入射面25とが形成する角が位置する。つまり、一方の焦点f1側に面23と入射面25とからなる入射部26を備えている。換言すると、楕円ミラー17のブレード18は、一方の焦点f1側の円弧の内周側で構成されている。また、面方向(紙面方向)からみて直線状を呈する他端面には、出射面27を備えている。楕円ミラー17の端面側から見て帯状を呈する円弧部28は、出射面27から出射した光が他方の焦点f2側に集光するように形成されている。但し、後述する楕円ミラー17の構成により、出射面27から出射した光は、他方の焦点f2よりも楕円21の中心c側に寄った焦点fに集光する。この焦点fの位置は、観察者の右眼ERの位置にあたる。なお、楕円ミラー17を左右反転させると、焦点fの位置は観察者の左眼ELの位置にあたる。右眼ERと左眼ELとの間隔、つまり焦点fと焦点(f)との間隔は、平均的に64mm程度、最大でも80mm程度である。
【0022】
上述したように楕円ミラー17のブレード18が一方の焦点f1側の円弧の内周側で構成されているので、ブレード18の面同士を重ね合わせるだけで実用的な強度を備えた反射ユニット19を構成することができる。なお、ブレード18間での光の漏れを抑制できるように以下のように構成することが好ましい。
【0023】
楕円ミラー17のブレード18は、光源15,16の光を透過する光透過性の樹脂、例えば、アクリル樹脂で構成され、厚さが数ミリ程度(例えば、2mm)である。楕円ミラー17の円弧部28は、アクリル樹脂29の外面に光反射材料、例えば、アルミニウム膜31が蒸着されている。その上には、白色塗装33に重ねて黒色塗装35が施されている。換言すると、円弧部28の端面は、アルミニウム膜31と、白色塗装33と、黒色塗装35とにより覆われ、最内側面が反射面36を構成している。また、楕円21の長軸bに沿う、楕円ミラー17の入射面25側に近い側の一端面が副反射部37として形成されている。この副反射部37は、円弧部28と同様に、アルミニウム膜31と、白色塗装33と、黒色塗装35とからなる三重塗装を施されている。副反射部37のアルミニウム膜31は、副反射面39を構成している。入射部26の反対側にあたる先端部41及び面23は、アルミニウム膜31及び白色塗装33が被着されておらず、反射面36を構成していない。入射部26のうち入射面25と、出射面27とは一切塗装が施されていないが、アクリル樹脂29の両面は白色塗装33に重ねて黒色塗装35が施されているだけである。
【0024】
なお、円弧部28には、上述したアルミニウム膜を蒸着する他に、光反射材料を塗布することによって被膜を形成するようにしてもよく、さらに金属箔を貼り付けることによって被膜を形成するようにしてもよい。また、光反射材料として、上述したアルミニウムの他に、例えば、銀合金からなる被膜を形成するようにしてもよい。さらに、アクリル樹脂29の両面には、白色塗装33に重ねて黒色塗装35だけでなく、最内面に、上述した光反射材料からなる被膜を形成するようにしてもよい。
【0025】
楕円ミラー17は、上述したように構成されており、光透過性のアクリル樹脂により光源15,16の光を効率的に透過させることができ、入射した光を反射面36の光反射材料で反射させることができるとともに、白色塗装33及び黒色塗装35により入射した光を効率的に出射面27に導くことができる。また、反射面36のアルミニウム膜31がアクリル樹脂29で保護されることになるので、アルミニウム膜31が曇ったり腐食したりすることで反射率が低下するような経時劣化を抑制できる。
【0026】
なお、上述したように、楕円21の一方の焦点f1側から放射された光が、楕円21の他方の焦点f2ではなく焦点fに集光するのは、楕円ミラー17がアクリル樹脂29で構成されているので、その出射面27で屈折することによる。
【0027】
また、立体画像表示装置では、通常、観察者の眼が集光位置からずれると画像が見えなくなるが、副反射面39及び反射面36により焦点位置fよりも外側に向かって出射するようにしているので、立体画像は見ることができないものの、右眼用画像または左眼用画像だけによる二次元画像として見ることができる。したがって、立体視している観察者の周囲であっても観察者が立体視している画像の概略を知ることができるようになっている。
【0028】
反射ユニット19は、図1及び図5に示すように、楕円ミラー17の出射面27を透過型の液晶表示パネル5側に向けるとともに、入射部26を互いに反対側へ向けた互い違いの状態で、一対の光源15,16を結ぶラインに直交する方向(図1の紙面方向、図5の上下方向)に、かつ、一対の光源15,16の長手方向に面同士を積層して構成されている。その際、出射面27が一つの平面を構成するようにして積層してあるので、拡散板11を容易に配設することができるようになっている。
【0029】
このように構成されている立体画像表示装置は、一方の焦点側f1にあたる右眼用の光源15から放射された光は、反射ユニット19の楕円ミラー17の入射部26から入射し、反射面36で反射し、透過型の液晶表示パネル5を透過して他方の焦点位置f2にあたる焦点fに右眼用画像を集光する。また、左眼用の光源16から放射された光は、右眼用のものとは左右対称の関係で入射部26が反対側に向けられた同形状の楕円ミラー17により、他方の焦点側f2にあたる位置に左眼用画像を集光する。反射ユニット19は、立体画像表示装置の正面からみて上下方向に面同士を積層して構成されているので、画像の左右方向における明暗均一性を向上させることができる。したがって、左右方向に光を拡散させる必要がないので、クロストークを悪化させることがない。
【0030】
また、拡散部材11によって光を上下方向に拡散させるものの、拡散させる方向が楕円ミラー17の積層方向であるので、クロストークを悪化させることなく、楕円ミラー17による画像の上下方向の明暗均一性を向上させることができる。
【0031】
なお、上述した入射部26は、次のように構成することが好ましい。ここで図7を参照する。図7(a)〜(e)は、入射部の各種構成を示す概略構成図である。ここでの前提として、光源15(16)が複数個の発光ダイオード43で構成されているものとする。なお、以下の構成によると、発光ダイオード43の光の利用効率を高めることができる。
【0032】
(1)図7(a) 楕円ミラー17の入射面25と光源15(16)との間には、楕円ミラー17の積層方向に光を拡散する拡散部材45を備えている。これにより発光ダイオード43の位置ずれ等があっても、確実に光を入射面25に入射させることができる。
【0033】
(2)図7(b) 入射面25の厚みを、楕円ミラー17における反射面36の厚みの2倍程度にする。例えば、図7(b)のように、入射面25側に向かって厚みが増すように傾斜面46を形成しておく。傾斜面46の角度を、入射した光が全反射するように形成しておくと、傾斜面46への反射材は不要にできる。
【0034】
(3)図7(c) 楕円ミラー17の間であって、入射面25に一致する位置に、反射板47を配置する。これにより、楕円ミラー17間に照射された光が発光ダイオード43側へ反射されるとともに、拡散部材45によって反射されて入射面25に光を向かわせることができる。
【0035】
(4)図7(d) 楕円ミラー17と発光ダイオード43とを一対一に対応させて配置する。この場合には、拡散部材45を省略することができ、構成を簡易化することができる。
【0036】
(5)図7(e) 上述した(3)の変形例であり、反射板47を入射面25よりも円弧部28側へ配置したものである。この場合、楕円ミラー17の入射面25側における外周面の塗装を行わず、アクリル樹脂29を露出させたままとする。これにより、反射板47により楕円ミラー17の間に出射された光を、反射板47によって反射させてアクリル樹脂29に入射させることができる。また、点線で示すように反射板47を傾斜姿勢としてもよい。
【0037】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0038】
(1)上述した実施例では、楕円ミラー17の出射面27と入射部26を除いた面に、白色塗装33と黒色塗装35を施しているが、積層面に微小突起を設けて、積層した状態で楕円ミラー17の面同士が密着しないように構成してもよい。このように構成すると、白色塗装33と黒色塗装35を省略することができ、楕円ミラー17のコストを低減することができる。なお、アクリル樹脂29と微小空間(空気)とでは、アクリル樹脂29の方が屈折率が高いので、隣接する楕円ミラー17へ光が漏れることが抑制できる。
【0039】
また、微小突起に代えて、楕円ミラー17の間に光漏れを防止するシートを挟んで積層するようにしてもよい。
【0040】
(2)上述した実施例では、拡散部材11を設けて楕円ミラー17の積層方向へ光を拡散させるように構成しているが、楕円ミラー17の出射面27に工夫を施すことにより、拡散部材11を省略して、構造の簡易化及びコスト低減を図ることができる。
【0041】
例えば、出射面27で光が拡散するように、表面を荒らすエッチング処理を行ったり、表面が内側にへこんだ凹レンズを形成したりすればよい。
【0042】
(3)なお、上述した楕円ミラー17に代えて、図8に示す楕円ミラー17Aを採用してもよい。なお、図8は、楕円ミラーの変形例を示す概略構成図である。
【0043】
この楕円ミラー17Aは、反射面36が上述した楕円ミラー17と同様の楕円の円弧の一部で構成されているが、一方の焦点f1より円弧の外周側に楕円ミラー17Aのブレード50が存在する。つまり、光は空気中を進み、反射面36で反射されるように構成されている。このような構造の楕円ミラー17Aを積層して反射ユニット19Aを構成しても、上述した反射ユニット19による構成と同様の効果を奏することができる。但し、隣接する楕円ミラー17Aの間における光漏れを防止するための遮断部材51を各楕円ミラー17A間に配置する必要がある。
【0044】
<点灯制御例>
次に、図9を参照して、上述した構成の立体画像表示装置において、光源15A,16Aを採用した場合について説明する。なお、図9は、立体表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0045】
この構成では、光源15A,16Aがそれぞれ複数個の発光ダイオード61で構成されている。反射ユニット19Aを構成する楕円ミラー17は、厚さが液晶表示パネル5の表示ラインのピッチに一致していることが好ましい。また、各発光ダイオード61は、楕円ミラー17ごとに配設され、各々が独立して点灯制御される。
【0046】
制御部63は、映像信号VDを受け取るとともに液晶表示パネル5に右眼用画像と左眼用画像とを交互に出力する画像信号出力部65と、画像信号出力部65が右眼用画像と左眼用画像とを順次に切り換える際に、垂直同期信号VSに応じて、画像に対応した側の光源15A,16Aの発光ダイオード61だけを画像の表示位置に応じて点灯させてゆく光源制御部67とを備えている。
【0047】
なお、画像信号出力部65が本発明における画像出力手段に相当し、光源制御部67が本発明における光源制御手段に相当する。
【0048】
光源制御部67は、画像信号出力部65が右眼用画像と左眼用画像とを液晶表示パネル5に出力する際に、右眼用の光源15Aと左眼用の光源16Aの各発光ダイオード61を点灯させてゆく。具体的には、図10のように制御してゆく。なお、図10(a)〜(d)は光源の制御例を示す模式図である。
【0049】
図10(a)に示すように、まず左眼用画像だけが液晶表示パネル5に表示されている状態では、左眼用の光源16Aの全発光ダイオード61を点灯させる。次に、右眼用画像に切り替わるが、図10(b),(c)に示すように、その最初の段階では、液晶表示パネル5のうちの上部が右眼用画像に書き換えられるだけである。その状態では、左眼用画像に対応する側の左眼用の光源16Aのうち左眼用画像の表示位置に応じた発光ダイオード61だけを発光させるとともに、右眼用画像に対応する側の右眼用の光源15Aのうち右眼用画像の表示位置に応じた発光ダイオード61だけを発光させる。このようにして、図10(d)のように液晶表示パネル5の画像が右眼用画像だけとなるまで右眼用の光源15Aと、左眼用の光源16Aとを構成している複数個の発光ダイオード61の点灯を独立して制御する。
【0050】
液晶表示パネル5に左眼用画像と右眼用画像とを交互に表示させる際に、液晶素子のメモリ効果により、前後するフィールドの両方の画像が表示されている状態が存在する(図10(b),(c))。その場合には、両方の画像が観察者に同時に入射するので正常に立体視することができない。そこで、光源制御部67が、一対の光源15A,16Aを構成している複数個の発光ダイオード61のうち、画像に対応している側の発光ダイオード61だけを画像の表示位置に応じて点灯させてゆく(スキャンさせる)。これにより、左眼用画像は左眼に、右眼用画像は右眼に入射するので、液晶表示パネル5に両画像が同時に表示されていても正常に立体視することができる。また、両画像が表示されて正常に立体視できない期間に一方の光源を消灯させる必要もないので、画像の輝度が低下することもない。
【0051】
なお、上記の説明では、各発光ダイオード61が楕円ミラー17ごとに配設されているとしているが、数枚の楕円ミラー17ごとに一つの発光ダイオード61を備える構成としてもよい。この場合には、発光ダイオード61の個数を少なくできるので、コストを抑制することができる。
【0052】
上記の構成とした場合には、図10中に示すように、例えば、ブロックBL1〜4からなる4つのブロックに分けて点灯制御を行うようにすればよい。これにより正常に立体視を行うことができつつも点灯制御を比較的容易に行うことができる。
【0053】
上記の構成の場合の他の制御例について図11を参照して説明する。なお、図11(a)〜(d)は、光源の他の制御例を示す模式図である。
【0054】
この例では、左眼用画像と右眼用画像との境界(隣接する領域)に、黒帯BSを表示させるようになっている。具体的には、上述した画像信号出力部65が、右眼用画像と左眼用画像とを液晶表示パネル5に出力する際に、画像間に黒帯BSに係る映像信号を挿入して出力する。この場合には、黒帯BSの部分においては右眼用及び左眼用の光源15A,16Aの両方が点灯していてもよいので、点灯制御を容易にすることができる。したがって、上述した発光ダイオード61のブロックBL1〜4ごとの制御に好適である。
【0055】
また、左眼用画像と右眼用画像との境界は、液晶素子のメモリ効果により、画像が確定していない状態、例えば前の画像から次の画像への遷移状態が表示されるだけで不鮮明な画像となる。したがって、この境界に黒帯BSを表示することにより、不確定画像の影響を抑制して立体画像を鮮明に表示させることができる。
【0056】
<視野角制限>
上述した実施例は、立体画像に係る表示装置の例であったが、以下に視野角制限の例を示す。
【0057】
ここで図12を参照する。なお、図12は、視野角が制限されていることの説明に供する模式図である。
【0058】
この装置は、一方の楕円ミラー17だけを用いて構成されている。但し、副反射部37の副反射面39は不要である。この場合には、楕円ミラー17の出射面27から出射した光が焦点fに集光する。したがって、可視領域VR1(図12中のハッチングされた領域)と、不可視領域IVR1とが生じることになる。そのため、可視領域VR1中にあたる位置L1では、画像を観察することができる一方、不可視領域IVR1中にあたる位置L2では、画像を観察することができない。つまり、一方の楕円ミラー17だけを用いることにより、その焦点f方向だけに限定することができる。
【0059】
なお、副反射面37を備えている場合には、不可視領域IVR1側(図12における位置L2側)にも可視領域VR1が広がることになる(可視領域VR1を含む扇形状の領域となる)。この場合であっても、一方の楕円ミラー17により図12における観察者の右眼ER側だけに視野角を制限することができる。
【0060】
また、両方の楕円ミラー17を備えている場合であっても、それぞれの副反射面39を備えない構成とすることで、図2における観察者の右眼ERと左眼ELの位置と液晶表示パネル5とを結んで構成される台形領域と、その台形領域を、右眼ERと左眼ELとを結んだラインで対称に配置してなる逆台形領域内が可視領域VR1となる。これは、図12における可視領域VR1を、図2における左眼EL付近の焦点fにも配置したような領域となる。
【0061】
上述した構成で単に視野角制限を行うだけでよい場合には、上述した立体表示装置のように画像を交互に出力する必要もなく、さらに光源の点灯制御を行う必要もなく、光源を常時点灯させておけばよい。
【0062】
上述した装置によると、一方の焦点f1側に配置された光源から放射された光は、楕円ミラー17の入射面25から入射し、楕円の反射面36で反射して出射面27から出射され、透過型の液晶表示パネル5を透過して他方の焦点f2側の焦点fに集光する。したがって、視野角を他方の焦点f方向だけに限定することができる。また、楕円の一方の焦点f1からの光を他方の焦点f2側に集光させるには、楕円ミラー17の側方に光源15,16を配置すればよいので、装置の奥行きを短くすることができて、小型化を図ることができる。
【0063】
(ブレード変形)
ここで図13を参照する。なお、図13は、楕円ミラーの変形例を示す斜視図である。
上述した実施例では、楕円ミラー17が薄板状であるとしているが、立体表示を行わない場合には、厚板状としてもよい。
【0064】
すなわち、立体表示を行う必要がなく、視野角制限を行えばよい表示装置の場合には、楕円ミラー17を積層する必要がないので、単体の厚板状のブレード18Aで構成された楕円ミラー17Aとしてもよい。但し、図12に示したように、視野が焦点f方向の可視領域VR1だけでよい場合には副反射部37に副反射面39を備える必要はない。
【0065】
(デュアルビュー表示)
ここで図14を参照する。なお、図14は、デュアルビューの表示装置の概念を説明する模式図である。
【0066】
焦点fと焦点(f)との間隔が、平均的な人の両眼間隔よりも広くなるような楕円ミラー17及び反射ユニット19を採用することにより、観察方向により異なる画像を見ることができる装置とすることができる。このようなものをデュアルビューと称する。例えば、自動車のセンターコンソールに配備することにより、運転席側にはナビゲーション画像を表示させ、助手席側にはテレビ画像を表示させることができる。具体的には、楕円ミラー17の副反射部39によって得られる二次元画像を観察可能な領域を利用すればよい。つまり、図14における可視領域VR1,VR2を利用する。なお、焦点f,(f)を上記の間隔に設定することにより、両画像が重複して観察されてしまう領域を極力少なくすることができる。また、図14における点線DLよりも外側に焦点fが位置するように楕円ミラー17を構成することにより、装置正面から見て両画像が重複して観察可能な領域をなくすことができる。図14においては、図示省略してあるが、他方の焦点f2,(f2)は、楕円21よりも外側に位置する。
【0067】
制御的には、上述した立体画像表示装置における右眼用画像と左眼用画像に代えて、第1の画像(例えば、ナビゲーション画像)と第2の画像(例えば、テレビ画像)とを画像信号出力部65(図9)から交互に出力させるとともに、それぞれに応じた光源15,16を交互に点灯させればよい。
【0068】
また、可視領域VR1,VR2における光量を増加させるために、光源15,16だけでなく、副反射面39を入射可能な面とし、ここに光源15,16と同様の光源を追加することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例に係る立体表示装置の概略構成を示す横断面図である。
【図2】楕円ミラーを構成する楕円を説明する模式図である。
【図3】楕円ミラーの一部断面を示す図であり、(a)は楕円ミラーの正面図、(b)は側面図である。
【図4】楕円ミラーの外観斜視図である。
【図5】反射ユニットの外観斜視図であり、(a)は出射面側から見た図であり、(b)はその反対側から見た図である。
【図6】反射ユニットの正面図である。
【図7】(a)〜(e)は入射部の各種構成を示す概略構成図である。
【図8】楕円ミラーの変形例を示す概略構成図である。
【図9】立体表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】(a)〜(d)は光源の制御例を示す模式図である。
【図11】(a)〜(d)は光源の他の制御例を示す模式図である。
【図12】視野角が制限されていることの説明に供する模式図である。
【図13】楕円ミラーの変形例を示す斜視図である。
【図14】デュアルビューの表示装置の概念を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0070】
3 … 筐体
5 … 液晶表示パネル
11 … 拡散部材
15 … 右眼用の光源
16 … 左眼用の光源
17 … 楕円ミラー
19 … 反射ユニット
21 … 楕円
26 … 入射部
27 … 出射面
29 … アクリル樹脂
31 … アルミニウム膜
36 … 反射面
63 … 制御部
65 … 画像信号出力部
67 … 光源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するための透過型の液晶表示パネルと、
板状の外観形状を呈し、面方向から見て一端面が楕円の円弧の一部で構成され、光を透過する部材で構成された本体と、前記楕円の一方の焦点側にあたる前記本体の端面に形成され、光が入射される入射面と、面方向から見て前記本体の他端面に形成され、前記入射面から前記本体に入射された光を前記楕円の他方の焦点側に出射する出射面と、前記本体の端面に形成され、面方向から見て前記楕円の円弧の一部からなる反射面とを備えている導光体と、
前記楕円の一方の焦点側に配設された光源と、
を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
画像を表示するための透過型の液晶表示パネルと、
板状の外観形状を呈し、面方向から見て一端面が楕円の円弧の一部で構成され、光を透過する部材で構成された本体と、前記楕円の一方の焦点側にあたる前記本体の端面に形成され、光が入射される入射面と、面方向から見て前記本体の他端面に形成され、前記入射面から前記本体に入射された光を前記楕円の他方の焦点側に出射する出射面と、前記本体の端面に形成され、面方向から見て前記楕円の円弧の一部からなる反射面とを備えている導光体と、
前記導光体を複数備え、入射面を一方側に向けた導光体と、入射面を他方側へ向けた導光体とを面同士を合わせて積層して構成された反射ユニットと、
一方側へ向けられた前記導光体の入射面付近に配置された第1の光源と、他方側へ向けられた前記導光体の入射面付近に配置された第2の光源とを備えた一対の光源と、
を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記透過型の液晶表示パネルに異なる第1の画像と第2の画像を交互に出力する画像出力手段と、
前記画像出力手段が第1の画像から第2の画像に、または第2の画像から第1の画像に順次に切り換える際に、第1の画像が出力されている場合には前記第1の光源を、第2の画像が出力されている場合には前記第2の光源を点灯させる光源制御手段と、
を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の表示装置において、
前記透過型の液晶表示パネルに右眼用画像と左眼用画像を交互に出力する画像出力手段と、
前記画像出力手段が右眼用画像から左眼用画像に、または左眼用画像から右眼用画像に順次に切り換える際に、右眼用画像が出力されている場合には前記第1の光源を、左眼用画像が出力されている場合には前記第2の光源を点灯させる光源制御手段と、
を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の表示装置において、
前記導光体の反射面は、光を反射する光反射材料が、前記本体の外側にあたる周面に層を構成していることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の表示装置において、
前記本体のうち、前記出射面と前記入射面を除く面側に白色塗装に重ねて黒色塗装が施され、前記出射面と前記入射面を除く端面側に黒色塗装が施されていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の表示装置において、
前記本体が積層されたときに本体間に空気層が形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の表示装置において、
前記本体は、楕円の長軸に沿う、前記入射面に近い側の一端面が副反射面として形成され、前記入射面から入射した光が副反射面及び反射面を介して他方の焦点側よりも外側に向かって出射するように構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の表示装置において、
前記入射面は、その厚みが、前記反射面の厚みよりも厚く構成されていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−156916(P2009−156916A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331911(P2007−331911)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】